ムスカ
ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ (Romuska Palo Ur Laputa) は宮崎駿監督の映画『天空の城ラピュタ』に登場する、架空の人物。声は俳優の寺田農。通常は「ムスカ」、もしくは「ムスカ大佐」と呼ばれる。 作品が公開されてから20年以上経つにもかかわらず、インターネット上などでカルト的な人気を誇り、宮崎駿監督の他の作品と同様、単純に善悪だけでは割り切れない人物である。
人物
年齢は28歳と32歳の2説がある。髪は茶色で、瞳の色は金色でかなり視力は低い。度の入ったサングラスをかける。 シータと同じく、ラピュタ王家の末裔であり、ラピュタの力を手中に収め、ラピュタの王として世界に君臨することに野心を燃やしている。
性格
自己中心的かつ冷酷。だが、軍のラピュタ探索の指揮官であるモウロ将軍と違って、基本的に手荒なことはしない紳士。教養は高く、旧約聖書やラーマヤナなどの文献を調査したり、ラピュタ文字を解読するなど勉強家で、天才というよりも努力家である(これは、ラピュタを復活させる為の研究と推測される)。拳銃の射撃は相当な腕前で、相当な距離からシータのおさげ髪を外さずに両方とも撃ち抜き、さらに中折れ式リボルバーの再装填をわずか3秒で完了する程(外部リンク「ムスカにチャレンジ」参照)。シータの耳を撃つと予告もしている。 また、映画の冒頭でシータにワイン瓶で殴り倒されるが、気絶しただけで、怪我一つしていなかった。 後に、その行為に対するあてつけからかムスカ自身は「パズーの石頭の方が頑丈だ」といった意味の事を述べている。 また、今も語られる名言に「ラピュタは滅びぬ。何度でも蘇るさ!」「見ろ、人がゴミのようだ!」 「どこに行こうというのかね」「目が、目がぁぁー!!」といった言葉を残している。
特殊機関においてのムスカ
特務部隊に属しており、階級は大佐。 政府の密命を受けて謎の天空城ラピュタの調査をしていた。 空中海賊のドーラ同様に暗号解読の天才であり、一瞬にして相手の暗号を解読する能力を持つ(ちなみに、閣下ことモウロ将軍の打った暗号はドーラに容易に解読されてしまった。しかし、実は暗号とは名ばかりのローマ字による唯の電信であった)。
名前
作品中での設定
もともとは一つだったラピュタ王家は、地上に降りた際に二つに分かれたと作品内で説明されている。一方のシータの本名がリュシータ・トエル・ウル・ラピュタであり、「トエル・ウル・ラピュタ」が「真の王」を表すと同じく説明されている。ムスカの本名と比較すると、「ウル・ラピュタ」が「ラピュタ王」を表すだろう事が示唆され、名前に残りの部分である「真」を表す「トエル」がないことから、ムスカ一族は正統継承者ではなく、分家のようなものであると思われる。 また、「パロ」(par、παρ)はギリシャ語で「従属」の意味を示す(→パロディを参照)。これを古代語と見做して当てはめてみると「ラピュタ副王」となり、上記の説を補強するが推測の域を出ない。
制作上での命名
命名の由来は、フランスワインの銘柄であるミュスカMuscat(アルザスワイン)あるいはミュスカデMuscadet(ロワールワイン)のいずれかより取られたものと推測される。いずれも白ワインであり、マスカットの名に基づく。
行動と最期
ドーラ一家による妨害を受けるも、飛行石を手に入れ、万全の準備をしラピュタへ向かう。ラピュタに到着すると、自分のみが知る通路を抜けて中心部にたどり着く。そこで自らラピュタ王と名乗り、ラピュタの復活と全地上の征服を宣言。ラピュタの兵器とロボットを使い軍隊への攻撃を行うが、拘束していたシータに抵抗され、飛行石を奪われる。玉座の間にて逃げたシータに追いつき、パズーと再会した彼女に3分間の猶予を与える(3分間には、弾切れになった自分の拳銃に、弾を込めるための時間も兼ねていた。だが、実際には1分弱しか待っていない)。しかし、シータとパズーが「滅びの言葉」を唱え、強烈な光で視力を失ったとみられ、崩壊するラピュタと共に海へ転落した。皮肉にも、「ゴミのようだ」と表現したゴリアテの搭乗員同様、彼もまたゴミのように海へと落ちていった。 ちなみに、ラピュタの崩壊シーンをよく見ると、ゴミのように落ちてゆくムスカが描写されている。
ムスカのセリフを使用した作品
- アダルトゲーム水夏(CIRCUS)では第1章と第4章において使用されている。
- 第1章において、風間彰が水瀬伊月に裏山に誘われる。そこからは村が精巧なミニチュアのように見えた。その際、水瀬伊月からの、「ここね……私のお気に入りの場所なんだ」という言葉を受け、風間彰は「人がゴミのように見えるからか?」と返答している。
- 第1章において、風間彰が犬の散歩をする水瀬小夜を見かけて、「おお! ここから見ると、まるで人間がゴミのようだ!」と叫んでいる。ちなみに、同じブランドの「D.C.」でも、主人公朝倉純一が校舎の屋上から見下ろして「人がゴミのようだ」と言った(こういうときには言わねばならない台詞らしい。ちなみにその直後、水越眞子から「誰もいない」と突っ込まれた)。
- 第4章において、名無しの少女が会話から仲間外れにされたことを怒り、アルキメデスを振り回す。その際アルキメデスは「目、目が~!」と叫んでいる。
- アダルトゲームCROSS†CHANNEL(FlyingShine)では、海水浴の場面で使用されている。ムスカの科白によって、人物が錯乱する様子が表されている。島友貴の「跪け! 命乞いをしろ! 小僧から石を取り戻せ!」(錯乱中)という言葉の後に、黒須太一による「その大砲で私と撃ちあうつもりかね?」というムスカの科白を使用した返答が行われている。
- 「げんしけん」(木尾士目)7巻第41話において、アメリカからコミックマーケット(作中ではコミフェス名)に来ていたスージーが、非常に多くの人間が行列しているのを見て「ヒトガゴミノヨウダァー!!!」と叫ぶシーンがある。
- 「珍遊記」において、山田太郎が「どこにいこうというのかね」と逃げるキャラを追いかけるシーンがある。
- 「銀魂」において、山崎退が「目が!目がアァァァァァ!!」と心の中で叫ぶシーンがある。
裏設定
裏設定では『未来少年コナン』に登場するレプカはムスカの子孫である。この事から、実はムスカは既婚者で子持ちであることが分かる。『天空の城ラピュタ』の原案は『未来少年コナン2』として書かれたものであり、その時の設定の名残である可能性が高い。 余談ではあるが、この原案は本来NHKでアニメ化させる予定であったもの。しかしアニメ化が出来ずにアニメ映画になった。その名残として『ふしぎの海のナディア』がNHKでアニメ化されることに。