チキンライス
チキンライスとは、細切れの鶏肉を混ぜた米飯をトマトケチャップで味付けした、日本の焼き飯料理である。
調理
日本発祥の洋食ともされており、味付けにはほとんどの場合においてトマトケチャップが用いられる。主な具材としては鶏肉、玉葱、マッシュルーム、人参、グリーンピース、コーンなどが挙げられ、これらをみじん切り、あるいは小さな賽の目切りにして米飯と合わせ、炒めた料理である。
基本的な作り方はフライパンに油をひき、鶏肉を入れて色が変わるまで炒め、その他の具を入れてしばらくしたら、炊いた米飯を入れる。塩やこしょうなどで味付けし、最後にあらかじめ炒めて水分を飛ばしたトマトケチャップを加えて炒める方法であるが、他の調理法もある(後述)。
チキンライスは大正時代にはチッケンライスと呼ばれ、鶏肉、人参、玉ねぎを炒め、研がずにぬかを落とした米をバターで炒め、最後に釜に材料を全て入れ、鶏ガラスープなどで炊いた、西洋風の炊き込みご飯であり、ケチャップを使用していないため赤くはなかった。ケチャップ味になるのは大正末期から昭和に入ってからとされている。チッケンライスは、主に教会でクリスマスに開かれる「クリスマス慈善会(現在のクリスマス会)」で、貧しい家庭の子供や孤児におむすびにして振舞われた。ボランティアの女学生がクリスマスの知識を参考に栄養価が高く西洋風なもの、さらに子供たちが大人数でも、たくさん食べられるようによく出された。その日には慰問かごも子供たちにプレゼントしていた。
名門洋食店として知られる、東京の資生堂パーラーのチキンライスはトマトケチャップを使用せず、鶏肉と玉葱、マッシュルームをトマトソースで煮込んだものを米飯と炒め合わせてつくる[1]。
油で炒めず炊飯器で調理されることもあるほか、具材も多様化しており、鶏肉ではなくハムやベーコンを具材とした料理も多くみられる。鶏肉が具材に含まれない場合は、「ケチャップライス」と呼ぶこともある。
チャーハンと同じく、お子様ランチに盛られることが多い。最も典型的なイメージの一つとして、山形に盛られたチキンライスの上に小さな飾りの旗を立てる、という盛りつけがあるが、一般客向けのきわめて普通の盛り方は、紡錘形に纏められた形である。
これらをそのままを食べるのではなく、溶き卵を薄く焼いたもので包んだ「オムライス」とすることも多い。
類似した料理
- 海南鶏飯 - マレーシア・シンガポールの名物料理。日本では海南チキンライスとも呼ばれる。
- 鶏飯(けいはん、けーふぁん) - 沖縄および奄美諸島の鶏肉を用いた飯料理。
- アロス・コン・ポーヨ - スペインおよびラテンアメリカの、鶏肉を用いた飯料理。
- ジャンバラヤ - ケイジャン料理の一つ。
脚注
- ^ “チキンライス│伝統的メニュー”. 資生堂パーラー. 2013年2月27日閲覧。
参考文献
- 小菅桂子『チキンライスの日本史』昭和女子大学近代文化研究所、2005年。