バイオハザードIII
バイオハザードIII | |
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Resident Evil: Extinction | |
監督 | ラッセル・マルケイ |
脚本 | ポール・W・S・アンダーソン |
製作 |
ポール・W・S・アンダーソン ベルント・アイヒンガー サミュエル・ハディダ ロバート・クルツァー ジェレミー・ボルト |
製作総指揮 |
マーティン・モスコウィック ヴィクター・ハディダ ケリー・ヴァン・ホーン |
出演者 |
ミラ・ジョヴォヴィッチ オデッド・フェール アリ・ラーター イアン・グレン |
音楽 | チャーリー・クロウザー |
撮影 | デヴィッド・ジョンソンBSC |
編集 | ニーヴン・ハウィー |
製作会社 | コンスタンティン・フィルム |
配給 |
スクリーン・ジェムズ ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント |
公開 |
2007年9月21日 2007年11月3日 |
上映時間 | 94分 |
製作国 |
イギリス ドイツ |
言語 | 英語 |
製作費 | $45,000,000 |
興行収入 |
$147,717,833[1] 29億円[2] |
前作 | バイオハザードII アポカリプス |
次作 | バイオハザードIV アフターライフ |
『バイオハザードIII』(バイオハザードスリー、原題:Resident Evil: Extinction)は、2007年に公開されたホラーアクション映画。監督はラッセル・マルケイへ交代したが、脚本は前2作と同じくポール・W・S・アンダーソンが担当した。
2002年の『バイオハザード』(以降、『I』)、2004年の『バイオハザードII アポカリプス』(以降、『II』)の続編であり、2010年の『バイオハザードIV アフターライフ』(以降、『IV』)の前作である。PG-12指定作品。
原題の「Extinction」は「絶滅」を意味する。
あらすじ
前作から数年後[3]。結局、T-ウィルス汚染は食い止められず、全世界へ蔓延してしまう。人間や動物どころか、自然をもT-ウィルスに破壊された地球は文明社会が崩壊し、膨大な数のアンデッドと荒廃した大地に覆い尽くされた死の星と化してしまっていた。
一方、アンブレラ社は豊富な備蓄のある巨大な地下施設に潜み、東京本部のアルバート・ウェスカーを筆頭に世界各地の支部と連携を取りながら現状の打開を模索する。北米支部のアイザックス博士はアリスの血液から大量に複製した彼女のクローンを使い、アンデッドへの対抗手段や血清についての人体実験を繰り返していた。
そんな中、わずかに生き残った人々は安住の地を求め、各地を旅していた。前作の後、アンブレラ社の監視から逃れるためにカルロス達から離れ、独り旅を続けながら各地を転々としていたアリスは、ふと立ち寄ったガソリンスタンドにてアラスカが安全な土地であると記されたノートを発見し、それにわずかな希望を抱いた。
一方で、クレア・レッドフィールド率いる車団は、ネバダ州のあるモーテルに拠点を置いていたが、T-ウィルスに二次感染したカラスに襲われる。そこに、放浪していたアリスが現れカラス達を一掃、クレア達の車団に加わることになる。翌日、アリス達は燃料を求め、危険地帯と言われるラスベガスに向かう。ラスベガスに着くと、そこは砂に埋め尽くされた砂漠地帯へと変貌していた。そしてここにもアンブレラ社の罠があった。従来よりもパワーアップしたアンデッドがアリス達を襲撃。アリス達は応戦するも、多数のメンバーが犠牲になった。アリスはアイザックスの居場所を割り出し、現地へ向かう。仲間のカルロスを犠牲にしつつも、何とか施設の敷地内に侵入することに成功。クレア達はヘリでアラスカに向かい、アリスは地下でタイラントと化したアイザックスと対峙する。そして、アンブレラ社との最後の戦いが幕を開ける。
キャスト
詳細はバイオハザードシリーズの登場人物やリンク先の個別項目を参照。
主人公
- アリス・アバーナシー
- 演 - ミラ・ジョヴォヴィッチ
- 主人公。元アンブレラ社特殊部隊員。後述のクローン達のオリジナルに当たる。前作のラスト、テレキネシスのような特殊能力が覚醒し、その能力でクロウ達を焼き尽くした。
クレア車団(クレア・レッドフィールド・コンボイ)
- クレア・レッドフィールド
- 演 - アリ・ラーター
- 生き残った人々が集った「クレア車団」のリーダー。美人で行動力と責任感に溢れ、仲間からの信頼も高い。カルロス同様、愛煙家である。
- カルロス・オリヴェイラ
- 演 - オデッド・フェール
- 前作で生き延びた人物の1人。元U.B.C.S.(アンブレラ社バイオハザード対策部隊)隊長で、アリスと離れた後はクレア車団の一員となっていた。根っからの愛煙家である。物語中盤、ラスベガスにてアンデッド化したL.J.(後述)に二の腕を噛まれ感染してしまう。もう助からないと悟ったカルロスは、アリス達をアンブレラ社の研究施設に侵入させるために自らタンク車で突っ込みアンデッドの注意を引いた。その後、車内に仕掛けたダイナマイトの爆発により死亡した。
- Kマート
- 演 - スペンサー・ロック
- クレア車団の一員。本名は別にあるが気に入っておらず、クレア達と「Kmart」で出会ったことからそう名乗るようになった。クレアを除いて唯一生き残った名前の出ている車団メンバーで、『IV』にも登場する。
- ロイド・ジェファーソン・ウェイド (L.J.)
- 演 - マイク・エップス
- 前作で生き延びた人物の1人。アリスと離れた後はカルロスと共にクレア車団の一員となっていた。ベティとは恋人同士。モーテルにてアンデッド化した宿泊客に噛まれたが、他のメンバーには秘密にしていた。物語中盤のラスベガスのシーンにてアンデッド化し、最後はKマートの目の前でカルロスに射殺された。
- ベティ・グリア
- 演 - アシャンティ
- クレア車団のメンバーで救護担当。元看護師。恋人のL.J.との仲は睦まじく、カルロスが敬遠するほど。多数のクロウに襲われた時に一人バスに残り応戦するも、最終的にはクロウに襲われ死亡する。
- マイケル(マイキー)・ファーバー
- 演 - クリストファー・イーガン
- クレア車団の一員。コンピュータの扱いに長けている。対アンデッド用に防衛線を張ったり生存者に無線を使って呼びかけるなど、メンバーの中でも重要な役目を任されており、クレアからも右腕的存在として信頼されている。ラスベガスにてスーパーアンデッドによって無惨に喰い殺された。
- チェイス・マラヴォイ
- 演 - リンデン・アシュビー
- クレア車団の一員。常に帽子を被っている。物資の不足をシニカルさを交えて語るなど、少々皮肉屋の気がある現実主義な性格だが、正義感も持ち合わせている。L85が愛銃。ラスベガスにてスーパーアンデッドに追われていた車団メンバーを救出したが、自身がスーパーアンデッドに噛まれてしまい、最後はエッフェル塔から飛び下りて死亡した。
- オットー・ワレンスキー
- 演 - ジョー・ハースリー
- クレア車団の一員。メンバーの乗るバスの運転手。未開封の缶詰を振った時に聞こえる音だけで中身を言い当てるという、変わった技能(本人曰く「廃れつつある技術」)を持つ。冗談好きで、子どもたちに対しても陽気に接している。モーテルにてベティと共にクロウの制止にかかったが、ベティ同様クロウに喰い殺され死亡。
アンブレラ社
- サミュエル・アイザックス
- 演 - イアン・グレン
- 前作終盤から登場したアンブレラ社の科学者。科学部門のヘッドであり、アリス計画の中心人物。実験に没頭するあまりウェスカーの命令に背いたり、部下を危険にさらしては見捨てるなど、性格は極めて身勝手かつ冷酷。
- アレクサンダー・スレイター
- 演 - マシュー・マースデン
- アンブレラ社の科学部門部長。アイザックスの分を弁えない研究内容とその手段に対し、不信感を抱いている。
- アルバート・ウェスカー
- 演 - ジェイソン・オマラ
- アンブレラ社の上級幹部。東京の本部に所属している。各支部長達から構成される委員会の議長で、自身はホログラム通信を介してアイザックスや各支部長達と接している。
- ホワイト・クイーン
- 演 - マデリン・キャロル
- アンブレラ社研究施設の人工知能。第1作に登場したレッドクィーンの妹だが、姉とは対照的にアリスに味方している。白い服を着た少女のホログラムを介し、アイザックスなどと会話する。
- アリスのクローン達
- アンブレラ社の施設に捕らえられていた頃のアリスから採取した血液のDNAを元に、大量複製されたクローン。オリジナルのアリスが持つテレキネシスは使えない。
登場クリーチャー
詳細はバイオハザードシリーズ#登場クリーチャーやリンク先の個別項目を参照。
- アンデッド
- T-ウィルスに感染した人々のなれの果て。最も本能的な欲求である食欲に突き動かされ、生き残りの人々を次々と襲う。アンブレラ社の研究によれば、食欲はあっても活動上食べる必要はなく、飲まず食わずで10年以上は動き続けることができるという。前作まではかなり動きが愚鈍だったが、今作からはゲーム版と同様に獲物に飛びかかる際には動きが敏捷になっている。
- ゾンビ犬
- 犬(主にドーベルマン)が、T-ウィルスに感染してアンデッド化したもの。アンデッドと同じく食欲に突き動かされており、俊敏に人を襲う。
- クロウ
- アンデッドの死体を食べたことでT-ウィルスに二次感染したカラス。大群で人々を襲う。名前の由来はカラスを意味する英単語「crow」。
- スーパーアンデッド
- アンデッドの飼い慣らし計画において、アリスの血液から作られた血清を注入されたアンデッド。容貌は眼球が黒く染まった以外アンデッドと大差無いが、知能と敏捷度が向上されており、食欲に突き動かされるままの闇雲な行動より、対象を執拗に追い詰めて襲う行動を取るようになっている。また、体内に宿すT-ウィルスも感染力が強くなっている。
- タイラント
- 演 - ブライアン・スティール(声:ゲイリー・A・ヘッカー)
- スーパーアンデッドに噛まれたアイザックスが、抗ウィルス剤を大量投与したことで突然変異を起こし、クリーチャーと化した存在。
- 負傷してもすぐ再生・強化する強靭な身体能力を持つ他、右手の指は自在に伸縮する触手と化し、口は雄叫びだけで強力な衝撃波を起こす。
- 突然変異により、施設の従業員を全員虐殺したり、施設の設備を破壊するなど、性格も狂暴化しているが、変異前の知能や会話能力を残す。
日本語吹き替え
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | |
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ソフト版 | テレビ朝日版 | ||
アリス・アバーナシー | ミラ・ジョヴォヴィッチ | 本田貴子 | 岡寛恵 |
クローン・アリス | |||
カルロス・オリヴェイラ | オデッド・フェール | てらそままさき | 江原正士 |
クレア・レッドフィールド | アリ・ラーター | 岡寛恵 | 林真里花 |
ロイド・J・ウェイン(L.J.) | マイク・エップス | 江川央生 | 高木渉 |
Kマート | スペンサー・ロック | 小笠原亜里沙 | 弓場沙織 |
サミュエル(サム)・アイザックス | イアン・グレン | 水内清光 | 大塚芳忠 |
アルバート・ウェスカー | ジェイソン・オマラ | 立木文彦 | 中博史 |
ホワイト・クイーン | マデリン・キャロル | 川田妙子 | 釘宮理恵 |
マイケル(マイキー)・ファーバー | クリストファー・イーガン | 杉山大 | 浪川大輔 |
ベティ・グリア | アシャンティ | 小松由佳 | 東條加那子 |
アレクサンダー・スレイター | マシュー・マースデン | 内田夕夜 | 津田健次郎 |
チェイス・マラヴォイ | リンデン・アシュビー | 水内清光 | 原康義 |
オットー・ワレンスキー | ジョー・ハースリー | 鳥海勝美 | 板倉光隆 |
その他の吹き替えキャスト | 丸山壮史 佐藤美一 斉藤貴美子 江藤博樹 荻野晴朗 岩崎正寛 冨田泰代 川島悠美 | ||
演出 | 中野洋志 | 鍛治谷功 | |
翻訳 | 太田直子 | 藤澤睦実 | 久保喜昭 |
制作 | ACクリエイト | ブロードメディア | |
初回放送 | 2010年9月26日 21:00-22:54 テレビ朝日 『日曜洋画劇場』 |
※2015年10月7日発売の「吹替洋画劇場」シリーズ「吹替洋画劇場『バイオハザードIII』デラックス エディション」Blu-rayには本編ディスクとは別に、テレビ朝日版(約87分)の吹き替え版を収録した特典ディスクが付属している。
テレビ放映
2010年9月26日にはテレビ朝日の『日曜洋画劇場』枠で初放送された。アリスをはじめ『II』から続けて登場した人物については、以前フジテレビで放送された『I』『II』と同一の声優陣による吹き替えが施されている。
前週の同年9月19日に『II』の本編が終了した後には本作の冒頭部分が放送され、本作の本編が終了した後には当時公開中だった『IV』の冒頭部分が放送された。
なお2014年5月25日にも『日曜洋画劇場』(ただし『芸能界もしもアワード びっくりぃむ2014』編成のため22:00開始)の予定だったが、当日は『2014 AFC女子アジアカップ・決勝戦』中継(なでしこジャパン×オーストラリア)に差し替えられ、放送されなかった。
2015年10月25日に再び『日曜洋画劇場』枠で放送。なお放送枠は22:50 - 22:55に各局別ミニ番組(関東地区は『For〜もう一人の主人公〜』)、22:55 - 0:10に『関ジャム 完全燃SHOW』拡大版が編成のため、21:00 - 22:50枠で放送、同年8月30日放送の『STAND BY ME ドラえもん』以来の23時を越えない放送となる。
スタッフ
- 監督 - ラッセル・マルケイ
- 製作 - ポール・W・S・アンダーソン、ベルント・アイヒンガー、サミュエル・ハディダ、ロバート・クルツァー、ジェレミー・ボルト
- 製作総指揮 - マーティン・モスコウィック、ヴィクター・ハディダ、ケリー・ヴァン・ホーン
- 脚本 - ポール・W・S・アンダーソン
- 撮影 - デヴィッド・ジョンソン、B.S.C.
- 編集 - ニーヴン・ハウィー
- 音楽 - チャーリー・クロウザー
- 美術 - エウヘニオ・カバレロ
- 衣装 - ジョセフ・ポロ
- 特殊メイク - ブルース・スポルディング・フラー
- クリーチャーデザイン & 監修 - パトリック・タトプロス
- クリーチャー造形 - タトプロス・スタジオ
- VFX監修 - デニス・ベラルディ
- VFX - Mr. X Inc
- 原案 - カプコン『バイオハザードシリーズ』
- 日本語版イメージソング「LAST ANGEL feat.東方神起」歌:倖田來未
プロモーション
日本では、「もしも日本にバイオハザードが起こったら」という題で、エレベーター編、合コン編、渋滞編、セックスレス編、映画館編、学校編などの様々なシチュエーションのパロディCMが製作された。
小説版
- 著:キース・デカンディード、訳:富永和子『バイオハザードIII』(角川ホラー文庫、2007年) ISBN 978-4-04-294302-0
『II』のラストから映画版『III』の冒頭に至るまでの、映画では描かれなかった物語が補完されている。
アンブレラ社の追手からの逃亡中、アリスら仲間達を逃がすための囮となり、アリスらとはぐれてしまったジル・バレンタインは、単身で証拠を集めてアンブレラ社の実態を世界中に伝えようとしたが、T-ウィルス感染が世界へ拡大して文明社会そのものが崩壊したため、徒労に終わってしまう。その後ボルチモアにて、ショッピングモールに立て篭もり水や食料などを独占する武装集団と遭遇したジルは、その周辺の生き残りの人々と協力して武装集団を撃退し、ショッピングモールを奪取する。ジルは役目を終えたとその場を去ろうとするが、生き残った人々から要請され、彼らを束ねるリーダーとなった。映画版ではこの後アンブレラ社に捕らえられ洗脳された戦士として続編『IV』のラストと『V』に登場する。
一方、T-ウィルスの研究にはオリジナルのアリスが不可欠であるため、彼女へのアンブレラ社の追手は途絶えていなかった。また、感染を繰り返した果てに変容してしまったT-ウィルスの前では、人類の更なる進化の可能性を見せたアリスさえ手に入れば、T-ウィルスを身体に適合させた披検体であるアンジェラ・アシュフォードさえも、もう実験には不要と判断したアイザックスは、アリス計画の人工衛星を介してアリスの身体を強制的に乗っ取って操作し、アンジェラを射殺させる。その後、自身がいつ再びアイザックスに遠隔操作されて間接的に仲間を殺しかねないと懸念したアリスは、カルロスら仲間達から離れ1人で人工衛星からの監視を避けながら行動するようになる。また、自身を使ってアンジェラを殺したアイザックスに対し、より強い敵意を持つようになった。
ちなみに、ジルも噂伝いにアンジェラの死を知っている。なお、ミラ・ジョヴォヴィッチは『III』披露時のインタビューにおいて、「『II』と『III』の間の過程の戦いでジルとアンジェラは命を落としてしまったのでは」と答えていたが、続編『IV』のラストと『V』にてジルは映画でも再登場を果たした。
脚注
- ^ “Resident Evil: Extinction”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年2月21日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)670頁
- ^ テレビ放映時に8年後とされた。