協定世界時との差
協定世界時との差(きょうていせかいじとのさ、英: UTC offset)は、協定世界時(UTC)からの時刻の差を表す。協定世界時とのオフセットまたは偏差とも呼ばれる。通常は各時間帯とUTCとの差を時間または時間と分の組合せとして表現する[1]。多くの場合、タイムゾーンが同一の地域では標準時(Standard time)と夏時間(DST)用の2つのUTCとの時間差が使用される。
時間帯間での時刻変換
UTCからUTC+オフセットへの変換
UTCから時間帯"UTC+オフセット"の時刻に変換するには、UTCにおける時刻にオフセットを加算する。オフセットは正負いずれでも構わない。すなわち、オフセットには適切な正または負の符号を必ず付す。一例を挙げる。
時間帯"UTC−05:00"では、UTCからのオフセットは「-5時間」である。これはすなわち、UTCでの時刻に-5時間を加算すること、すなわちUTCでの時刻から5時間を減算することでUTC−05:00での時刻が得られることを意味する。例えばちょうど今、UTC時間帯での地方時(ローカルタイム、local time)が午後4時00分(24時制では16:00)であるとする。その場合、時間帯"UTC−05:00"における現在の地方時は何時か。答えは、午後4時00分 + オフセット = 午後4時00分 + (-5時間) = 午後4時00分 - 5時間 = 午前11時00分(24時制では、16:00 + (-05:00) = 16:00 - 05:00 = 11:00)である。
同じく、時間帯"UTC+05:00"では、午後4時00分 + オフセット = 午後4時00分 + 5時間 = 午後9時00分(24時制では、16:00 + 05:00 = 21:00)である。
UTC+オフセットからUTCへの変換
逆向きの変換では、UTC+オフセットからオフセットを減算する。その際、負数の減算が絶対値の加算であるという、数学的常識に注意すればよい。例えば、時間帯"UTC−05:00"における地方時が午後2時00分(14:00)ならば、UTCでの地方時は、午後2時00分 - オフセット = 午後2時00分 - (-5時間) = 午後2時00分 + 5時間 = 午後7時00分(14:00 − (−05:00) = 14:00 + 05:00 = 19:00)である。
また、同様に時間帯"UTC+05:00"における地方時が午後2時00分(14:00)ならば、UTCでの地方時は、午後2時00分 - オフセット = 午後2時00分 - 5時間 = 午前9時00分(14:00 − 05:00 = 09:00)である。
任意の2時間帯間での変換
ある時間帯"UTC+オフセットfrom"における時刻から"UTC+オフセットto"における時刻に変換する方法を考えるには、まず"UTC+オフセットfrom"における時刻からUTCにおける時刻に変換し、続いてその値を"UTC+オフセットto"における時刻に変換すると考えればよい。
"UTC+オフセットfrom"での時刻が x ならば、UTCでの時刻は、x − オフセットfromである。UTCでの時刻を算出したので、"UTC+オフセットto"での時刻を得るには、この値にオフセットtoを加算する、すなわち、当該時刻は x + オフセットto - オフセットfromである。
値"オフセットto − オフセットfrom"は時間帯"UTC+オフセットfrom"と"UTC+オフセットto"との時間差に相当する。よって、"UTC+オフセットfrom"での時刻から"UTC+オフセットto"での時刻に変換することは、"UTC+オフセットfrom"での時刻にこの時間差を加算することを意味する。
例えば、時間帯"UTC−05:00"での現在の地方時が午前9時00分であるとする(オフセットfrom = -05:00)。このとき、時間帯"UTC+05:00"での地方時は何時か(オフセットto = 05:00)。まず、時間差を計算すると、オフセットto − オフセットfrom = +05:00 − (−05:00) = 05:00 + 05:00 = 10:00、すなわち10時間である。よって、"UTC+05:00"での地方時は、午前9時00分 + 時間差 = 午前9時00分 + 10時間 = 午後7時00分(24時制では、9:00 + 10:00 = 19:00)である。
上の計算では、符号が正しいことに注意すべきである。ある時間帯から別の時間帯に変換する際、それぞれオフセットが"オフセットfrom"、"オフセットto"ならば、両時間帯間の時間差はオフセットto − オフセットfromで得られる。この計算について、最後の結果が何の意味を成すか調べる。大きいオフセットをもつ時間帯の地方時は、小さいオフセットをもつ時間帯の地方時より「時間的に進んでいる」。だから、例えば、時間帯"UTC+05:00"での与えられた任意の時刻は、"UTC−05:00"での時刻よりも時間的に進んでいるといえる。"UTC+05:00"での午後7時00分は、"UTC−05:00"での午前9時00分になる。
脚注
注釈
出典
- ^ “NIST time - What are International Atomic Time (TAI) and Coordinated Universal Time (UTC)?”. NIST. www.nist.gov. 2011年10月15日閲覧。 “[...] The time in local time zones can be expressed as an offset from UTC. For instance, in the United States, eastern standard time (EST) is five hours behind UTC and can be expressed as UTC - 5. [...]”
関連項目
外部リンク
- World Time Zones 時刻提供部門(Time Service Dept.)、USNO、ワシントンD.C.。