「美術家」の版間の差分
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'''美術家'''(びじゅつか、アーティスト)とは、[[美術]](主に絵画、彫刻、工芸)の制作者、美術に関わる仕事をする者のうち、自身の表現媒体が平面、立体、などという専門的ジャンルにとらわれない美的表現を美術的思考のもとに構築し、表現活動を行うプロフェッショナルのことである。 |
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職人と作家と美術家の違い |
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職人は素材、表現方法を均一にして日々職人的技術を洗練していく、いわば生業(なりわい=job)をこなすプロである。 |
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作家は専門的なジャンルにおける新製品の開発、オリジナリティのある美術品をプロヂュースしていくプロである。(例えば日本画家、洋画家、陶芸家、書家などがこれにあたる) |
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美術家は作家の持つ専門性にこだわらないジャンルを超えたオリジナルの美術作品をクリエイトするプロである。(例えば洋画家が陶芸作品を美術家として発表するなどがこれにあたる。)美術家は国内における発表だけでなく、海外でも美術品として通用する美術作品をクリエイトしていけるプロのことを示す場合もある。海外、国内での国際展覧会に出品するものは美術家であろう。 |
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作家、美術家は作品の発表、販売、または後進の指導を行うことによってプロフェッショナルな活動を行っている。創造的な仕事(=work)を行うのは共通である。 |
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職人と美術家の違いは、前者が日々の仕事をこなすことに重点を置くのに対して、後者は絶えず新しい表現方法を求めて創作活動を行っているとみなされる点にある。美術家も、職人的側面は当然持っている。 |
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「美術家」の概念が見え始めるのは、[[ルネサンス|ルネサンス期]]に[[レオナルド・ダ・ヴィンチ]]や[[ミケランジェロ・ブオナローティ|ミケランジェロ]]が活躍し、作家の個性が発揮された時代以降であるが、この時代においても、職人を超えた存在としての技能者とみなされたのはごく一握りの人間でしかなく、例えば[[オランダ]]では17世紀においても、その大半の画家たちは職人とみなされていたのである。 |
「美術家」の概念が見え始めるのは、[[ルネサンス|ルネサンス期]]に[[レオナルド・ダ・ヴィンチ]]や[[ミケランジェロ・ブオナローティ|ミケランジェロ]]が活躍し、作家の個性が発揮された時代以降であるが、この時代においても、職人を超えた存在としての技能者とみなされたのはごく一握りの人間でしかなく、例えば[[オランダ]]では17世紀においても、その大半の画家たちは職人とみなされていたのである。 |
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呼称はあくまで便宜的なもので、今日[[美術]]と呼ばれているものを |
呼称はあくまで便宜的なもので、今日[[美術]]と呼ばれているものを仕事としている人間が、何れの時代にも「美術家」と呼び得るような存在であったわけではない。中世西欧では教会「美術」の担い手は、極めて敬虔な信者の手によらねばならなかった為、始めに修道僧、後に[[職人]]があたった。当時は、絵画や彫刻も一手工業でしかない。 |
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西欧において「美術家」と職人が決定的に分かれたのは、18世紀後半から19世紀初頭にかけてである。 |
西欧において「美術家」と職人が決定的に分かれたのは、18世紀後半から19世紀初頭にかけてである。 |
2007年11月8日 (木) 12:02時点における版
美術家(びじゅつか、アーティスト)とは、美術(主に絵画、彫刻、工芸)の制作者、美術に関わる仕事をする者のうち、自身の表現媒体が平面、立体、などという専門的ジャンルにとらわれない美的表現を美術的思考のもとに構築し、表現活動を行うプロフェッショナルのことである。
職人と作家と美術家の違い
職人は素材、表現方法を均一にして日々職人的技術を洗練していく、いわば生業(なりわい=job)をこなすプロである。 作家は専門的なジャンルにおける新製品の開発、オリジナリティのある美術品をプロヂュースしていくプロである。(例えば日本画家、洋画家、陶芸家、書家などがこれにあたる) 美術家は作家の持つ専門性にこだわらないジャンルを超えたオリジナルの美術作品をクリエイトするプロである。(例えば洋画家が陶芸作品を美術家として発表するなどがこれにあたる。)美術家は国内における発表だけでなく、海外でも美術品として通用する美術作品をクリエイトしていけるプロのことを示す場合もある。海外、国内での国際展覧会に出品するものは美術家であろう。
作家、美術家は作品の発表、販売、または後進の指導を行うことによってプロフェッショナルな活動を行っている。創造的な仕事(=work)を行うのは共通である。
「美術家」の概念が見え始めるのは、ルネサンス期にレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロが活躍し、作家の個性が発揮された時代以降であるが、この時代においても、職人を超えた存在としての技能者とみなされたのはごく一握りの人間でしかなく、例えばオランダでは17世紀においても、その大半の画家たちは職人とみなされていたのである。
呼称はあくまで便宜的なもので、今日美術と呼ばれているものを仕事としている人間が、何れの時代にも「美術家」と呼び得るような存在であったわけではない。中世西欧では教会「美術」の担い手は、極めて敬虔な信者の手によらねばならなかった為、始めに修道僧、後に職人があたった。当時は、絵画や彫刻も一手工業でしかない。
西欧において「美術家」と職人が決定的に分かれたのは、18世紀後半から19世紀初頭にかけてである。