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2009年3月18日 (水) 13:43時点における版
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この項目では、ベクトル解析において、スカラー場の変化率を表すベクトル場のことについて説明しています。地形や人工的な構造物、建造物の傾き(傾斜)のことで、主に道路や鉄道における線形要素のひとつであり、関連用語としてカント、バンクなどがあるものについては「線形 (路線)#勾配」をご覧ください。 |
ベクトル解析における勾配(こうばい、グラディエント、グラジエント、gradient、※グラージェントは発音的に誤用)とは、スカラー場に対して定義され、場の各方向への変化率を記述する偏微分ベクトル場(勾配場)のことである。スカラー場からその勾配場を与えるベクトル値微分作用素そのものを指すこともある。
定義
スカラー量 ψ が、どの二つも互いに直交する単位ベクトルの組 {e1, e2, ..., en} を基底とする n 次元直交座標系の、適当な領域の各点で定義される関数 ψ = ψ(x1, x2, ..., xn) である時、次のベクトル場
を ψ の勾配と言い、
- または
と表現する。∇ についてはナブラも参照。また特に、三次元のときの演算子、
を、ハミルトンの演算子と言う。ここで、i, j, k は、それぞれ x, y, z 方向の単位ベクトルである。
スカラー場 ψの全微分 dψ は
となる。極座標などの一般の座標系においては、微小変位ベクトル dxとの内積が全微分となるように定義される。
スカラーポテンシャル
ベクトル場 F について、スカラー場 ψ との間に次のような関係があるとき、ψ を場 F のスカラーポテンシャルと言う。
ただし、次の関係
を以って、ψ を F のスカラーポテンシャルと言う場合もある。
また、スカラーポテンシャル ψ をもつベクトル場 F に対して、
という関係が成り立つ(× は外積、rot は回転を参照)。
関連項目