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{{Otheruses||中国の県|光沢県}}
'''光沢'''(こうたく、luster)は[[物体]]表面の[[物理]]的性質で、対応する[[心理]]的属性を「つや(艶)」や「光沢感」などと呼ぶ。主として[[光]]を[[反射]]する程度で決まり、[[紙]]・[[塗料]]などではこれを測定して光沢の[[規格]]を定める。しかし実際には、正反射光と散乱反射光の強さの比、正反射像の鮮明さ、表面のざらつき模様などが強く影響する。表面反射光が強い[[金属光沢]]と、透明物質に伴う光沢とに大別される。
{{redirect|艶|アルバム|艶 (アルバム)}}
'''光沢'''(こうたく、{{Lang-en|lustre}}<ref name="terms">{{Cite book|1 =和書|editor=文部省|editor-link=文部省|title =[[学術用語集]] 地学編|year =1984|publisher =[[日本学術振興会]]|isbn =4-8181-8401-2}}</ref>、{{en|luster}}<ref name="terms" />)は、[[物体]]表面の[[物理]]的[[性質]]で、対応する[[心理]]的属性を「つや([[wikt:艶|艶]])」や「光沢感」などと呼ぶ。光沢は主として[[光]]を[[反射]]する程度によって決まるが、実際には、[[鏡面反射|正反射光]]と[[拡散反射|散乱反射光]]の強さの比、正反射像の鮮明さ、表面のざらつき模様などが強く影響する。


光沢は表面反射光が強い[[金属光沢]]と透明物質に伴う[[非金属光沢]]との2種類に大別され、非金属光沢はさらに細分される<ref>[[##hori2009|堀 (2009)]] 103頁。</ref>。
== 光沢の種類 ==

* [[金属光沢]]
[[紙]]や[[塗料]]などでは光沢の[[規格]]が定められており、[[工業]]的に[[規格]]化されている光沢の測定方法としては、ISO 2813 (JIS Z 8741:1997) において規格されている[[鏡面光沢度]]がある<ref>{{Cite book|和書|author = 畑田豊彦ほか|title = 眼・色・光 : より優れた色再現を求めて|year = 2007|publisher = [[日本印刷技術協会]]|id = ISBN 4-88983-092-8、ISBN-13:978-4-88983-092-7|page = 140}}</ref>。
* [[亜金属光沢]]
* [[非金属光沢]]
** [[金剛光沢]](ダイヤモンド光沢)
** [[玻璃光沢]](ガラス光沢)
** [[脂肪光沢]]
** [[樹脂光沢]]
** [[真珠光沢]]
** [[絹糸光沢]]


== 鉱物学における光沢 ==
== 鉱物学における光沢 ==
[[鉱物]]の性質の一つ。[[不透明鉱物]]が多いと金属光沢を示す。
[[鉱物]]の性質の一つ。鉱物はその種類において特有の光沢を示すことが多いため、光沢は鉱物の識別において利用される<ref>[[##hori2009|堀 (2009)]] 103-104頁。</ref>。[[不透明鉱物]]が多いと金属光沢を示す。

== 光沢の種類 ==
=== 金属光沢 ===
[[File:Pyrite foolsgold.jpg|thumb|left|180px|[[黄鉄鉱]]]]
{{Main|金属光沢}}
'''金属光沢'''(英: {{en|metallic lustre}}<ref name="terms" />、{{en|metallic luster}}<ref name="terms" />)とは、理想的な表面状態であれば[[鏡]]のようにふるまう、磨かれた[[金属]]のような光沢である。金属光沢を有する鉱物としては、[[方鉛鉱]]<ref name="webmineral_galena">{{WebMineral|name = Galena|url = https://webmineral.com/data/Galena.shtml|accessdate = 2011-10-08}}</ref>や[[黄鉄鉱]]<ref name="webmineral_pyrite">{{WebMineral |name = Pyrite |url = https://webmineral.com/data/Pyrite.shtml |accessdate = 2011-10-08 }}</ref>、[[磁鉄鉱]]<ref name="webmineral_magnetite">{{WebMineral |name = Magnetite |url = https://webmineral.com/data/Magnetite.shtml |accessdate = 2011-10-08}}</ref>などがある。{{clear}}

=== 亜金属光沢 ===
[[File:Sphalerite4.jpg|thumb|left|180px|[[閃亜鉛鉱]]]]
'''亜金属光沢'''(あきんぞくこうたく、英: {{en|submetallic luster}}<ref>{{Cite book|和書|editor=文部省|editor-link=文部省|title =[[学術用語集]] 採鉱ヤ金学編|year =1954|publisher =[[日本鉱業会]]|id ={{全国書誌番号|54001659}} }}</ref>)は、金属光沢に類似しているが、その輝きや光の反射は金属光沢よりも劣る。その分類には明確な基準があるわけではなく曖昧であり、金属光沢と非金属光沢の中間に位置する分類である<ref>[[##hori2009|堀 (2009)]] 104頁。</ref>。しばしば非常に高い[[屈折率]]を持った不透明に近い鉱物において見られ<ref name="duda_rejl" />、その代表的なものに[[閃亜鉛鉱]]や[[辰砂]]、[[赤銅鉱]]などがある。{{clear}}

=== 非金属光沢 ===
'''非金属光沢'''(ひきんぞくこうたく、英: {{en|nonmetallic lustre}}<ref name="terms" />、{{en|nonmetallic luster}}<ref name="terms" />)

==== {{vanchor|金剛光沢}}(ダイヤモンド光沢)====
[[File:Brillanten.jpg|thumb|left|180px|カッティングされた[[ダイヤモンド]]]]
'''金剛光沢'''(こんごうこうたく、英: {{en|adamantine lustre}}<ref name="terms" />、{{en|adamantine luster}}<ref name="terms" />)は、[[ダイヤモンド]]において最も顕著にみられるような光沢である<ref name="GRG">{{Cite book|author = |title = GIA Gem Reference Guide|year = 1995|publisher = [[ジェモロジカル・インスティテュート・オブ・アメリカ|Gemological Institute of America]]|language = en|isbn = 0-87311-019-6}}</ref>。そのような鉱物は透明もしくは半透明であり、1.9を超える高い[[屈折率]]を有している<ref name="duda_rejl">{{Cite book|author = Duda, Rudolf & Rejl, Lubos|title = Minerals of the World|year = 1990|publisher = Arch Cape Press|language = en|isbn = 0-517-68030-0}}</ref>。金剛光沢を有する鉱物は非常に稀であり、その例として{{仮リンク|白鉛鉱|en|Cerussite}}や[[ジルコン]]が挙げられる<ref name="duda_rejl" />。

後述の瑠璃光沢を有する鉱石の中で、金剛光沢よりはやや劣るものの屈折率が高く他の鉱石と比較して金剛光沢に近い光沢を有するものは亜金剛光沢 ({{en|subadamantine}}) と呼ばれる事もある。その例としては[[柘榴石]](屈折率1.73 - 1.89)や[[コランダム]](屈折率1.76 - 1.77)が挙げられる<ref name="GRG"/>。{{clear}}

==== 玻璃光沢(ガラス光沢)====
[[File:Quartz Brésil.jpg|thumb|left|180px|[[石英]]]]
'''ガラス光沢'''(ガラスこうたく、英: {{en|vitreous lustre}}<ref name="terms" />、{{en|vitreous luster}}<ref name="terms" />)は、[[ガラス]]のような光沢のことである。ガラス光沢を表す {{en|vitreous}} の語は、[[ラテン語]]でガラスを表す {{la|vitrum}} に由来する。ガラス光沢は最も一般的にみられる光沢の一つであり<ref name="rockcollector">{{Cite web|url = http://www.rockcollector.co.uk/opticalprop.htm|title = Optical properties of Rocks and Minerals
|language = en|accessdate=2011-10-08}}</ref>、比較的低い屈折率を持った透明もしくは半透明の鉱物において見られる<ref name="duda_rejl" />。代表的なものに、[[方解石]]や[[石英]]、[[トパーズ]]、[[緑柱石]]、[[電気石]]および[[蛍石]]などがある。{{clear}}

==== 脂肪光沢 ====
[[File:Moos-Opal1.jpg|thumb|left|180px|モス[[オパール]]]]
'''脂肪光沢'''(しぼうこうたく)とは、[[脂肪]]や[[グリース]]のような脂ぎった光沢である。脂肪光沢は[[オパール]]や[[菫青石]]のような微細な[[インクルージョン (鉱物)|インクルージョン]]を多量に含む鉱物においてしばしば見られる<ref name="duda_rejl" />。多くの脂肪光沢を持つ鉱物は、その触感においてもまたべたついている<ref name="GO_340">{{Cite web|url =http://www.emporia.edu/earthsci/amber/go340/visual.htm|title =Emporia State University: GO 340 Gemstones & Gemology: Visual Properties|language =en|accessdate =2008-06-19|archiveurl =https://web.archive.org/web/20110612080930/http://www.emporia.edu/earthsci/amber/go340/visual.htm|archivedate =2011-06-12|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}</ref>。{{clear}}

==== 樹脂光沢 ====
[[File:Amber hg.jpg|thumb|left|180px|[[コハク]]]]
'''樹脂光沢'''(じゅしこうたく)は、[[チューインガム]]や滑らかな表面を持つ[[プラスチック]]のような[[樹脂]]状の光沢である。代表例としては[[コハク]]があり、これは樹脂が[[化石]]化したものである<ref name="webmineral_amber">{{WebMineral|name = Amber|url = https://webmineral.com/data/Amber.shtml|accessdate = 2011-10-08}}</ref>。{{clear}}

==== 真珠光沢 ====
[[File:Mineral Mica GDFL006.JPG|thumb|left|180px|[[白雲母]]]]
'''真珠光沢'''(しんじゅこうたく、英: {{en|pearly lustre}}<ref name="terms" />、{{en|pearly luster}}<ref name="terms" />)を有する鉱物は、同一平面上の透明な薄い[[シート]]が積層されるような[[雲母]]状の[[晶癖]]をしており、これらの[[層]]に反射する光によって[[真珠]]を連想させるような光沢が現れる<ref name="rockcollector" />。このような鉱物の[[へき開]]は「完全」であり、代表的なものに[[白雲母]]や{{仮リンク|束沸石|en|Stilbite}}がある<ref name="duda_rejl" />。{{clear}}

==== 絹糸光沢 ====
[[File:Selenite Gips Marienglas.jpg|thumb|left|180px|[[石膏]]の一種である[[繊維石膏]]]]
'''絹糸光沢'''(けんしこうたく、英: {{en|silky lustre}}<ref name="terms" />、{{en|silky luster}}<ref name="terms" />)を有する鉱物は、非常に整った[[繊維]]状の[[結晶]]が平行に配列した晶癖をしており<ref name="duda_rejl" />、その構造によって[[絹]]を連想させるような光沢が現れる。繊維光沢は絹糸光沢に似ているが、絹糸光沢よりもきめが荒い。代表的なものに[[石綿]]や[[ウレキサイト]]、[[石膏]]の一種である[[繊維石膏]]などがある。{{clear}}

==== 蝋光沢 ====
[[File:Jadestein.jpg|thumb|left|180px|[[ヒスイ]]]]
'''蝋光沢'''(ろうこうたく)は、[[蝋|ワックス]]に似た光沢である。[[ヒスイ]]<ref name="emporia_jade">{{Cite web|author =|date =|url =http://www.emporia.edu/earthsci/amber/go340/jade.htm|title =Emporia State University: GO 340 Gemstones & Gemology: Jade|language =en|accessdate =2008-07-14|archiveurl =https://web.archive.org/web/20110612081228/http://www.emporia.edu/earthsci/amber/go340/jade.htm|archivedate =2011-06-12|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}</ref>や[[玉髄]]<ref name="rock_and_gem">{{Cite book|last = Bonewitz|first = Ronald Louis|title = Rock and Gem|year = 2005|publisher = Dorling Kindersley|language = en|isbn = 0-7513-4400-1|pages = 152{{--}}153}}</ref>などがある。{{clear}}

==== 無光沢、土光沢 ====
[[File:KaolinUSGOV.jpg|thumb|left|180px|[[カオリナイト]]]]
'''無光沢'''もしくは'''土光沢'''の鉱物は、光を四方に散乱させる粗い[[顆粒]]によって[[ランバート反射]]に近い現象が起こるため、ほとんど光沢を示さない。土光沢の鉱物には[[カオリナイト]]などがある<ref name="webmineral_kaolinite">{{WebMineral|name = Kaolinite|url = https://www.webmineral.com/data/Kaolinite.shtml|accessdate = 2011-10-08}}</ref>。しばしば無光沢と土光沢は区別され<ref>{{Cite book|last = Hankin|first = Rosie|title = Rocks, Crystals & Minerals|year = 1998|publisher = uintet Publishing|language = en|isbn = 1-86155-480-X}}</ref>、土光沢の鉱物の方が粗く光沢がより少ない。{{clear}}

== 光学的現象 ==
=== スター効果 ===
[[File:Star-Saphire.jpg|thumb|left|180px|スター[[サファイア]]]]
{{Main|スター効果}}
'''スター効果'''とは、[[宝石]]上に[[星型多角形|星形]]の光の筋が現れる現象である。後述する[[キャッツアイ効果]]が同じ原理で3方向に現れたもの。[[サファイヤ]]や[[ルビー]]において見られ、不純物として含まれる[[ルチル]]に起因する<ref name="rock_and_gem" /><ref name="BuildingBlocks451-3">{{Cite book|last = Emsley|first = John|title = Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements|year = 2001|publisher = [[オックスフォード大学出版局]]
|language = en|isbn = 0-19-850341-5|pages = 451{{--}}53}}</ref>。スター効果はまた、[[柘榴石]]や[[透輝石]]、[[スピネル]]にも見られる。{{clear}}

=== アベンチュリン効果 ===
[[File:Aventurine.jpg|thumb|left|180px|[[アベンチュリン]]]]
{{Main|{{仮リンク|アベンチュリン効果|en|Aventurescence}} }}
'''アベンチュリン効果'''とは、きらめくように光が反射する現象である。それは母鉱物中に、表面の色に影響を与えるほど多量に含まれる板状結晶の微細構造(優先配向)によって引き起こされる。[[クロム]]を含有した[[白雲母]]である[[フクサイト]]が微細構造として含まれるアベンチュリン([[石英]])では石の色が[[緑色]]になり、[[赤鉄鉱]]などの[[酸化鉄]]系結晶が微細構造として含まれているアベンチュリンは石の色が赤色になる。
{{clear}}

=== キャッツアイ効果 ===
[[File:Tigers-Eye.jpg|thumb|left|180px|[[タイガーズアイ]]]]
{{Main|キャッツアイ効果}}
'''キャッツアイ効果'''とは、回転して動くように見える光の筋が現れる現象である。それは、結晶が平行に配列した繊維状の[[晶癖]]を有していたり、結晶内の空隙や[[インクルージョン]]によって同様の構造が形成されているような宝石において現れる。そのような構造の結晶配置に対して垂直な方向に光が入射すると、その反射光が光の狭い帯を形成する。この効果が現れる宝石で最も有名なものは[[タイガーズアイ]]および[[猫目石]]であるが、[[アクアマリン]]や[[月長石|ムーンストーン]]、[[電気石]]などでも見られることがある。{{clear}}

=== 変色効果 ===
[[File:Alexandrite 26.75cts.jpg|thumb|left|180px|[[金緑石]](アレキサンドライト)]]
{{Main|変色効果}}
'''変色効果'''とは、光源の種類によって異なる色を示す現象であり、変色効果を示す代表的な宝石であるアレキサンドライトの名を取って'''アレキサンドライト効果'''とも呼ばれる<ref>{{Cite book|title=The Illustrated Dictionary of Geology|author=Cindy Jones|page=10|year=2007|publisher=Lotus Press|isbn=8189093355}}</ref>。例えば[[ウラル山脈]]で産出する[[アレキサンドライト]]は、日光の下では緑色を示し、[[白熱電球]]の下では赤色を示す。これの特徴的な緑から赤への色変化は、鉱物中の[[アルミニウム]]の極一部が[[酸化クロム]]に置き換わることによって生じる。アレキサンドライトなどの[[金緑石]]由来の[[宝石]]において最もよくみられ、他にも[[サファイヤ]]や[[柘榴石]]、[[スピネル]]において見られる。{{clear}}

=== シラー効果 ===
[[File:Labradoryt, Madagaskar.JPG|thumb|left|180px|[[ラブラドル長石]]]]
'''シラー効果'''とは、石の表面下で金属的な虹色の変色効果が現れる現象である。鉱物の層状構造により、表面近くへ入った光がの層間で[[干渉]]して反射するために起こる。「シラー」は[[ドイツ語]]で「きらめき」を表す {{Lang|de|Schiller}} という語に由来している。[[月長石]]や[[ラブラドル長石]]において見られる。[[長石#アルカリ長石|氷長石]]や[[微斜長石#天河石|アマゾナイト]]に見られる{{仮リンク|アデュラー効果|en|Adularescence}}と類似するがやや効果は弱く、[[アベンチュリン]](砂金石)や[[日長石]]で見られる{{仮リンク|アベンチュリン効果|en|Aventurescence}}では反射のもととなる構造が大きいため単純な光の乱反射になる<ref>{{Cite book|author = Shipley, Robert M.|title = Dictionary of gems and gemology
|year = 2007|publisher = Read Books|language = en|isbn = 0873110072|page = 93}}</ref>。
{{clear}}

=== 遊色効果 ===
[[File:Ammolite.jpg|thumb|180px|left|[[アンモライト]](宝石化した[[アンモナイト]]の化石)]]
[[File:Various pearls.jpg|180px|thumb|様々な[[真珠]] ]]
{{CSS image crop|Image=Coober Pedy opal at the SAM 1.JPG|bSize=650|cWidth=180|cHeight=250|oLeft=170|oTop=80|Description=[[二枚貝]]の[[化石]]が[[オパール]]化したもの(シェルオパール) }}
[[File:Opal,_Etiopia.jpg|180px|thumb|[[オパール]]([[エチオピア]]産)]]
{{Main|遊色効果}}
'''遊色効果'''(英: {{en|play of Color}})、'''暈色'''(イリデッセンス、英: {{en|iridescence}})とは、前述のシラー効果と同様に、石の表面で干渉した光が反射して変色を示す現象だが、不均一な層状によって干渉光にさまざまな波長が含まれるためシラー効果よりも多色の範囲が多彩である。[[真珠]]、[[アンモライト]]、[[螺鈿]]など[[霰石]]を外骨格とした生物由来の宝石に多い。

[[オパール]]は[[水晶]]と同じ[[二酸化ケイ素]]が潜晶質となって他の成分とともに乳濁しているもので[[瑪瑙]]に近い。しかし、わずかな結晶質が干渉を起こしてやはり遊色効果を示すものがあり、これを「プレシャスオパール」と呼んでいる。宝石業者によってはこれをイリデッセンスと区別して「'''オパレッセンス'''([[蛋白光]]、英: {{en|opalescence}})」と呼んでいることがある。

== 脚注 ==
{{Reflist}}


<!-- == 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}} -->
== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author= 原田準平|authorlink=原田準平|title = 鉱物概論 第2版|year = 1973|publisher = [[岩波書店]]|series = [[岩波全書]]|isbn = 4-00-021191-9|pages = 170-171}}
* {{Cite book|和書
* {{Cite book|和書|author= 堀秀道編|authorlink=堀秀道|title = 「鉱物」と「宝石」を楽しむ本|year = 2009|publisher = [[PHP研究所]]|series = [[PHP文庫]]|isbn = 978-4-569-67266-3|ref = #hori2009}}
|author = [[原田準平]]
|title = 鉱物概論 第2版
|year = 1973
|publisher = [[岩波書店]]
|series = 岩波全書
|isbn = 4-00-021191-9
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}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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* [[鉱物学]] - [[鉱物]]
* [[鉱物学]] - [[鉱物]]
* [[光]]
* [[光]]
* [[反射]]
* [[反射]]

== 外部リンク ==
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2024年11月6日 (水) 00:43時点における最新版

光沢(こうたく、英語: lustre[1]luster[1])は、物体表面の物理性質で、対応する心理的属性を「つや()」や「光沢感」などと呼ぶ。光沢は主として反射する程度によって決まるが、実際には、正反射光散乱反射光の強さの比、正反射像の鮮明さ、表面のざらつき模様などが強く影響する。

光沢は表面反射光が強い金属光沢と透明物質に伴う非金属光沢との2種類に大別され、非金属光沢はさらに細分される[2]

塗料などでは光沢の規格が定められており、工業的に規格化されている光沢の測定方法としては、ISO 2813 (JIS Z 8741:1997) において規格されている鏡面光沢度がある[3]

鉱物学における光沢

[編集]

鉱物の性質の一つ。鉱物はその種類において特有の光沢を示すことが多いため、光沢は鉱物の識別において利用される[4]不透明鉱物が多いと金属光沢を示す。

光沢の種類

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金属光沢

[編集]
黄鉄鉱

金属光沢(英: metallic lustre[1]metallic luster[1])とは、理想的な表面状態であればのようにふるまう、磨かれた金属のような光沢である。金属光沢を有する鉱物としては、方鉛鉱[5]黄鉄鉱[6]磁鉄鉱[7]などがある。

亜金属光沢

[編集]
閃亜鉛鉱

亜金属光沢(あきんぞくこうたく、英: submetallic luster[8])は、金属光沢に類似しているが、その輝きや光の反射は金属光沢よりも劣る。その分類には明確な基準があるわけではなく曖昧であり、金属光沢と非金属光沢の中間に位置する分類である[9]。しばしば非常に高い屈折率を持った不透明に近い鉱物において見られ[10]、その代表的なものに閃亜鉛鉱辰砂赤銅鉱などがある。

非金属光沢

[編集]

非金属光沢(ひきんぞくこうたく、英: nonmetallic lustre[1]nonmetallic luster[1]

金剛光沢(ダイヤモンド光沢)

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カッティングされたダイヤモンド

金剛光沢(こんごうこうたく、英: adamantine lustre[1]adamantine luster[1])は、ダイヤモンドにおいて最も顕著にみられるような光沢である[11]。そのような鉱物は透明もしくは半透明であり、1.9を超える高い屈折率を有している[10]。金剛光沢を有する鉱物は非常に稀であり、その例として白鉛鉱英語版ジルコンが挙げられる[10]

後述の瑠璃光沢を有する鉱石の中で、金剛光沢よりはやや劣るものの屈折率が高く他の鉱石と比較して金剛光沢に近い光沢を有するものは亜金剛光沢 (subadamantine) と呼ばれる事もある。その例としては柘榴石(屈折率1.73 - 1.89)やコランダム(屈折率1.76 - 1.77)が挙げられる[11]

玻璃光沢(ガラス光沢)

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石英

ガラス光沢(ガラスこうたく、英: vitreous lustre[1]vitreous luster[1])は、ガラスのような光沢のことである。ガラス光沢を表す vitreous の語は、ラテン語でガラスを表す vitrum に由来する。ガラス光沢は最も一般的にみられる光沢の一つであり[12]、比較的低い屈折率を持った透明もしくは半透明の鉱物において見られる[10]。代表的なものに、方解石石英トパーズ緑柱石電気石および蛍石などがある。

脂肪光沢

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モスオパール

脂肪光沢(しぼうこうたく)とは、脂肪グリースのような脂ぎった光沢である。脂肪光沢はオパール菫青石のような微細なインクルージョンを多量に含む鉱物においてしばしば見られる[10]。多くの脂肪光沢を持つ鉱物は、その触感においてもまたべたついている[13]

樹脂光沢

[編集]
コハク

樹脂光沢(じゅしこうたく)は、チューインガムや滑らかな表面を持つプラスチックのような樹脂状の光沢である。代表例としてはコハクがあり、これは樹脂が化石化したものである[14]

真珠光沢

[編集]
白雲母

真珠光沢(しんじゅこうたく、英: pearly lustre[1]pearly luster[1])を有する鉱物は、同一平面上の透明な薄いシートが積層されるような雲母状の晶癖をしており、これらのに反射する光によって真珠を連想させるような光沢が現れる[12]。このような鉱物のへき開は「完全」であり、代表的なものに白雲母束沸石英語版がある[10]

絹糸光沢

[編集]
石膏の一種である繊維石膏

絹糸光沢(けんしこうたく、英: silky lustre[1]silky luster[1])を有する鉱物は、非常に整った繊維状の結晶が平行に配列した晶癖をしており[10]、その構造によってを連想させるような光沢が現れる。繊維光沢は絹糸光沢に似ているが、絹糸光沢よりもきめが荒い。代表的なものに石綿ウレキサイト石膏の一種である繊維石膏などがある。

蝋光沢

[編集]
ヒスイ

蝋光沢(ろうこうたく)は、ワックスに似た光沢である。ヒスイ[15]玉髄[16]などがある。

無光沢、土光沢

[編集]
カオリナイト

無光沢もしくは土光沢の鉱物は、光を四方に散乱させる粗い顆粒によってランバート反射に近い現象が起こるため、ほとんど光沢を示さない。土光沢の鉱物にはカオリナイトなどがある[17]。しばしば無光沢と土光沢は区別され[18]、土光沢の鉱物の方が粗く光沢がより少ない。

光学的現象

[編集]

スター効果

[編集]
スターサファイア

スター効果とは、宝石上に星形の光の筋が現れる現象である。後述するキャッツアイ効果が同じ原理で3方向に現れたもの。サファイヤルビーにおいて見られ、不純物として含まれるルチルに起因する[16][19]。スター効果はまた、柘榴石透輝石スピネルにも見られる。

アベンチュリン効果

[編集]
アベンチュリン

アベンチュリン効果とは、きらめくように光が反射する現象である。それは母鉱物中に、表面の色に影響を与えるほど多量に含まれる板状結晶の微細構造(優先配向)によって引き起こされる。クロムを含有した白雲母であるフクサイトが微細構造として含まれるアベンチュリン(石英)では石の色が緑色になり、赤鉄鉱などの酸化鉄系結晶が微細構造として含まれているアベンチュリンは石の色が赤色になる。

キャッツアイ効果

[編集]
タイガーズアイ

キャッツアイ効果とは、回転して動くように見える光の筋が現れる現象である。それは、結晶が平行に配列した繊維状の晶癖を有していたり、結晶内の空隙やインクルージョンによって同様の構造が形成されているような宝石において現れる。そのような構造の結晶配置に対して垂直な方向に光が入射すると、その反射光が光の狭い帯を形成する。この効果が現れる宝石で最も有名なものはタイガーズアイおよび猫目石であるが、アクアマリンムーンストーン電気石などでも見られることがある。

変色効果

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金緑石(アレキサンドライト)

変色効果とは、光源の種類によって異なる色を示す現象であり、変色効果を示す代表的な宝石であるアレキサンドライトの名を取ってアレキサンドライト効果とも呼ばれる[20]。例えばウラル山脈で産出するアレキサンドライトは、日光の下では緑色を示し、白熱電球の下では赤色を示す。これの特徴的な緑から赤への色変化は、鉱物中のアルミニウムの極一部が酸化クロムに置き換わることによって生じる。アレキサンドライトなどの金緑石由来の宝石において最もよくみられ、他にもサファイヤ柘榴石スピネルにおいて見られる。

シラー効果

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ラブラドル長石

シラー効果とは、石の表面下で金属的な虹色の変色効果が現れる現象である。鉱物の層状構造により、表面近くへ入った光がの層間で干渉して反射するために起こる。「シラー」はドイツ語で「きらめき」を表す Schiller という語に由来している。月長石ラブラドル長石において見られる。氷長石アマゾナイトに見られるアデュラー効果英語版と類似するがやや効果は弱く、アベンチュリン(砂金石)や日長石で見られるアベンチュリン効果英語版では反射のもととなる構造が大きいため単純な光の乱反射になる[21]

遊色効果

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アンモライト(宝石化したアンモナイトの化石)
様々な真珠
二枚貝の化石がオパール化したもの(シェルオパール)
二枚貝化石オパール化したもの(シェルオパール)
オパールエチオピア産)

遊色効果(英: play of Color)、暈色(イリデッセンス、英: iridescence)とは、前述のシラー効果と同様に、石の表面で干渉した光が反射して変色を示す現象だが、不均一な層状によって干渉光にさまざまな波長が含まれるためシラー効果よりも多色の範囲が多彩である。真珠アンモライト螺鈿など霰石を外骨格とした生物由来の宝石に多い。

オパール水晶と同じ二酸化ケイ素が潜晶質となって他の成分とともに乳濁しているもので瑪瑙に近い。しかし、わずかな結晶質が干渉を起こしてやはり遊色効果を示すものがあり、これを「プレシャスオパール」と呼んでいる。宝石業者によってはこれをイリデッセンスと区別して「オパレッセンス蛋白光、英: opalescence)」と呼んでいることがある。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 文部省 編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2 
  2. ^ 堀 (2009) 103頁。
  3. ^ 畑田豊彦ほか『眼・色・光 : より優れた色再現を求めて』日本印刷技術協会、2007年、140頁。ISBN 4-88983-092-8、ISBN-13:978-4-88983-092-7。 
  4. ^ 堀 (2009) 103-104頁。
  5. ^ Galena (英語), WebMineral.com, 2011年10月8日閲覧
  6. ^ Pyrite (英語), WebMineral.com, 2011年10月8日閲覧
  7. ^ Magnetite (英語), WebMineral.com, 2011年10月8日閲覧
  8. ^ 文部省 編『学術用語集 採鉱ヤ金学編』日本鉱業会、1954年。全国書誌番号:54001659 
  9. ^ 堀 (2009) 104頁。
  10. ^ a b c d e f g Duda, Rudolf & Rejl, Lubos (1990) (英語). Minerals of the World. Arch Cape Press. ISBN 0-517-68030-0 
  11. ^ a b (英語) GIA Gem Reference Guide. Gemological Institute of America. (1995). ISBN 0-87311-019-6 
  12. ^ a b Optical properties of Rocks and Minerals” (英語). 2011年10月8日閲覧。
  13. ^ Emporia State University: GO 340 Gemstones & Gemology: Visual Properties” (英語). 2011年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年6月19日閲覧。
  14. ^ Amber (英語), WebMineral.com, 2011年10月8日閲覧
  15. ^ Emporia State University: GO 340 Gemstones & Gemology: Jade” (英語). 2011年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月14日閲覧。
  16. ^ a b Bonewitz, Ronald Louis (2005) (英語). Rock and Gem. Dorling Kindersley. pp. 152 – 153. ISBN 0-7513-4400-1 
  17. ^ Kaolinite (英語), WebMineral.com, 2011年10月8日閲覧
  18. ^ Hankin, Rosie (1998) (英語). Rocks, Crystals & Minerals. uintet Publishing. ISBN 1-86155-480-X 
  19. ^ Emsley, John (2001) (英語). Nature's Building Blocks: An A-Z Guide to the Elements. オックスフォード大学出版局. pp. 451 – 53. ISBN 0-19-850341-5 
  20. ^ Cindy Jones (2007). The Illustrated Dictionary of Geology. Lotus Press. p. 10. ISBN 8189093355 
  21. ^ Shipley, Robert M. (2007) (英語). Dictionary of gems and gemology. Read Books. p. 93. ISBN 0873110072 

参考文献

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関連項目

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