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'''蛇行動'''(だこうどう)は[[鉄道車両]]における[[共振|共振現象]]の一つである。主として直線部を高速で走行するときに、車体や台車、車軸などが鉛直軸まわりの回転[[振動運動|振動]]([[ヨーイング]])を起こす現象であり、軌道や台車・車体に損傷を与える。影響が大きい場合は脱線事故を引き起こすこともあり、とりわけ高速化にあたっては本現象への対策が重要である。 |
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'''蛇行動'''(だこうどう)は[[鉄道車両]]における[[自励振動]]現象である。主として直線部を高速で走行するときに、車体や台車、車軸などが鉛直軸まわりの回転[[振動運動|振動]]([[ヨーイング]])を起こす現象であり、上から見て蛇がくねって進むような運動をするため蛇行動と呼ばれる。発生した場合、乗り心地の悪化、軌道や台車・車体への損傷、影響が大きい場合は脱線事故を引き起こすこともあり、とりわけ高速化にあたっては本現象への対策が重要である。 |
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また、本稿では蛇行動を抑制する'''ヨーダンパ'''等の機構についても解説する。 |
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また、本稿では蛇行動を抑制するヨーダンパ等の機構についても解説する。 |
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==発生の機構== |
==発生の機構== |
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[[画像:踏面勾配.png|right|300px|thumb|車輪の踏面勾配]] |
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===1輪軸の幾何学的蛇行動=== |
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鉄道車両の[[車輪]]は[[円筒]]形ではなく[[円錐]]形のような[[勾配]]を持った形状となっており、車輪の[[フランジ]]側(内側)の直径は大きく、外側の直径は小さくなっている。このような勾配を'''車輪踏面勾配'''と呼ぶ<ref name = "鉄道技術用語辞典"/>。また、[[超低床電車|超低床LRV]]のような車両を除き、鉄道車両では左右の車輪は[[車軸]]により固定され繋がる構造となっている。この車輪と車軸の一組を[[輪軸]]と呼ぶ。これらの特徴により、輪軸が直線の[[軌道]]を転がるときは、輪軸がレールの片側に寄った場合に定位置に戻る復元力を得り、曲線を転がるときは自動車のようなステアリング操作無しにレールに沿って曲がる機能を発揮する。このような働きを輪軸の'''自己操舵機能'''と呼ぶ<ref name = "鉄道車両技術入門_1"/>。しかし、踏面勾配による自己操舵機能は輪軸に左右動を引き起こす原因ともなる。すなわち、輪軸がどちらかのレールに偏った場合、それを戻そうとする復元力の働きにより、中立位置を超えて反対側のレールに偏り、さらにまた逆向きの復元力が作用するといった繰り返し運動が発生することとなる。動きとしては、左右変位と[[ヨーイング]]回転の振動が連成して現れるものとなり、上から見て蛇がくねって進むような運動をするため蛇行動と呼ばれる。 |
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[[画像:踏面勾配.png|right|280px|thumb|車輪の踏面勾配]] |
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鉄道車両の車輪は円筒形ではなく円錐形となっており、フランジ側(内側)の直径は大きく、外側の直径は小さくなっている。この差を'''踏面勾配'''と呼び、車軸がレールの片側に寄った場合に定位置に戻す復元力を与えるほか、線路に対し適切な[[スラック]]を与えることにより曲線通過を円滑化する働きを有している。これは左右の車輪が直結されている鉄道車両の[[輪軸 (鉄道車両)|輪軸]]において自己操舵機能を与えるものであり、必要不可欠な構造である。 |
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[[画像:Truck hunting oscillation.gif|thumb|200px|2軸台車の蛇行動]] |
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ところが、踏面勾配による自己操舵機能は、輪軸に左右動を引き起こす原因ともなる。すなわち、輪軸がどちらかのレールに偏った場合、それを戻そうとする復元力の働きにより、所定の位置を超えて反対側のレールに偏り、さらにまた逆向きの復元力が作用するといった繰り返し運動が発生することとなる。これを'''1輪軸の幾何学的蛇行動'''と呼び、波長Lは以下の式により表すことができる。 |
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実際の鉄道車両では、輪軸は単体ではなく車体-台車-輪軸という連結構造となっている。このように輪軸は台車に対して拘束されているため、通常の走行速度内では、蛇行動は台車・車体の質量や輪軸に対する[[サスペンション]]により吸収・抑制されている<ref name = "鉄道車両技術入門_20-21"/>。しかし車両の走行速度を上げていくと、蛇行動を発生させる輪軸を動かす力である車輪・レール間の[[粘着式鉄道#粘着現象|クリープ力]]などの影響が、輪軸を拘束しようとする力を上回り蛇行動が発生するようになる<ref name = "電車のメカニズム_72-73"/>。さらに、輪軸、台車、車体は、[[バネ]]や[[ダンパー]]、すり板のような[[剛性]]要素、減衰要素、[[摩擦]]要素などによって連結されているため、それぞれの動きは相互に影響を及ぼす。このため、輪軸単体での蛇行動のみならず、台車の蛇行動、車体の蛇行動も発生する。蛇行動が発生する箇所に応じて、'''輪軸蛇行動'''、'''台車蛇行動'''、'''車体蛇行動'''と呼ばれる<ref name = "鉄道技術用語辞典"/>。車両の諸元、装備により蛇行動に対する安定性は異なり、高速走行を行う車両では蛇行動の安定性に配慮して設計される。この蛇行動に対する安定性のことを'''走行安定性'''とも呼ぶ<ref name = "鉄道技術用語辞典"/>。 |
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[[画像:1軸蛇行動.png|right|300px|thumb|1軸蛇行動の波長]] |
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<math>L=2 \pi \sqrt{\frac{er}{\lambda}}</math> |
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==蛇行動の解析== |
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ここに、 |
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=== 1輪軸の蛇行動特性 === |
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==== 幾何学的蛇行動 ==== |
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*e - 左右車輪間隔の1/2(≒[[軌間]]の1/2) |
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[[File:Kinematic hunting.png|400px|thumb|1輪軸の幾何学的蛇行動モデル]] |
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*r - 車輪半径 |
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蛇行動の基本的特性を考えるために、単体の輪軸がレールに沿って転がっている場合を考える。さらに、この輪軸の[[慣性]]を無視して車輪がレールに対して滑らないという仮定を置いて輪軸の動きを解析する。走行速度が非常に低い場合がこの仮定条件に近い<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_8"/>。このような前提の輪軸の蛇行動を'''輪軸の幾何学的蛇行動'''と呼び、蛇行動の特性を考える上での基礎となる。 |
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*λ - 踏面勾配 |
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である。波長Lが小さいほど振動が激しくなることから、「小さな車輪半径」「狭い軌間」「大きな踏面勾配」は蛇行動の影響が大きいことがわかる。 |
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上記で説明した通り、車輪の踏面に勾配が存在する場合、輪軸が中立位置から偏ったとき、左右の車輪で回転半径が異なる。今、輪軸が一定の回転速度<math>\dot\theta</math>で転がっているときに右側に横変位<math>y</math>が発生したとする。このとき右側車輪の前進速度<math>V_R</math>と左側車輪の前進速度<math>V_L</math>は以下のようになる。 |
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===2軸車・2軸台車の蛇行動=== |
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:<math>V_R = \dot\theta(r+\lambda y)\ ,\ V_L = \dot\theta(r-\lambda y) </math> … (1) |
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[[画像:Truck hunting oscillation.gif|thumb|250px|2軸台車の蛇行動。]] |
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ここで、<math>r</math>:中立位置(両車輪で半径差が無くなる位置)での車輪半径、<math>\lambda</math>:踏面勾配である。さらに、輪軸のヨーイング回転速度<math>\dot\psi</math>は、両側車輪の速度差と次のような関係がある<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_10-11"/>。 |
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実際の鉄道車両は1軸では成り立たず、2軸以上の輪軸、もしくは台車に複数の輪軸を備えた[[ボギー台車]]により構成される。この場合の蛇行動は以下の式により表すことができる。 |
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:<math>\dot\psi = -\frac{V_R - V_L}{2b} </math> … (2) |
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ここで、<math>b</math>:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2(≒[[軌間]]の1/2)である。(2)式に(1)式を代入し、<math>\dot\psi</math>は次のように表すことができる。 |
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:<math>\dot\psi = -\frac{\dot\theta \lambda}{b}y = -\frac{V \lambda}{r b}y </math> … (3) |
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ここで、<math>V</math>:中立位置での車輪前進速度で、輪軸全体の前進速度でもある。 |
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また、輪軸の左右変位速度<math>\dot y</math>とヨーイング角<math>\psi</math> |
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は次のような関係がある<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_10-11"/>。 |
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:<math>\dot y = V \sin \psi </math> … (4) |
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<math>\psi</math>を微小として近似すると、 |
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:<math>\dot y \fallingdotseq V \psi </math> … (5) |
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(5)式の両辺を時間微分して(3)式を代入すると、次のような1輪軸の幾何学的蛇行動における左右変位の運動方程式が得られる。 |
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:<math>\ddot y + V^2 \frac{\lambda}{r b}y = 0 </math> … (6) |
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(6)式は[[正弦波]]による振動を表すので、その固有角周波数<math>\omega</math>は |
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:<math>\omega = V \sqrt{\frac{\lambda}{r b}} </math> … (7) |
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となり、輪軸の幾何学的蛇行動の波長<math>S_1</math>は<math>V</math>によらず一定となり、以下の式により表すことができる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_26"/>。 |
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:<math>S_1= 2\pi \sqrt{\frac{br}{\lambda}}</math> … (8) |
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(8)式は[[1883年]]にクリンゲル(Klingel)の運動解析によって初めて与えられた<ref name = "Handbook of Railway Vehicle Dynamics_7"/>。波長が小さいほど振動が激しくなることから、「小さな車輪半径」「狭い軌間」「大きな踏面勾配」は蛇行動を増長させることがわかる。 |
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==== 慣性、弾性支持を考慮する場合 ==== |
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<math>L=2 \pi \sqrt{\frac{er}{\lambda}}\sqrt{1+\frac{l^2}{e^2}}</math> |
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[[File:Elastic supported wheel-set hunting calculation model.png|thumb|弾性支持された1輪軸モデル]] |
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実際の輪軸は支持[[剛性]]が与えられており、ある程度の限界速度までは蛇行動は抑制されている。台車と輪軸の連結構造は、輪軸に[[軸受]]を挿入し、その上に軸箱が乗り、軸箱と台車枠がコイルバネや支持ゴムで繋がる構造が取られる。このような物体の慣性、要素間の剛性なども考慮した実際的な車両運動の解析においては、車輪・レール間のクリープ力も考慮して運動方程式を求める必要がある。蛇行動は主に左右振動・ヨーイング振動に関する現象なので、解析においては1輪軸の左右、ヨーイング方向に関する運動方程式が最も基本となる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_23"/>。そこで右図のような、輪軸と常に一定距離を保ち並走するような固定端を想定し、これに弾性支持された1輪軸が一定速度<math>V</math>で前進する場合を考える。解析を容易にするために輪軸の動きは小さいと考え、この場合の運動方程式は以下のようになる<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_127"/>。 |
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ここに、 |
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:<math>m\ddot y + 2\frac{\kappa_{22}}{V}\dot y+k_y y -2\kappa_{22} \psi= 0 </math> … (9) |
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*<math>l</math> - 軸距の1/2 |
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:<math>mi^2\ddot \psi+2\kappa_{11} \frac{b^2}{V} \dot\psi+2\kappa_{11}\frac{b\lambda}{r}y+k_\psi \psi = 0 </math> … (10) |
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である。すなわち、蛇行動を長周期化して影響を抑えるには、長い軸距が有効である。 |
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ここで、<math>m</math>:輪軸質量、<math>i</math>:輪軸の[[ヨーイング]]回りの慣性半径、<math>k_\psi</math>:輪軸に対するヨーイング剛性、<math>k_y</math>:輪軸に対する左右支持剛性、<math>b</math>:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2、<math>r</math>:車輪平均半径、<math>\lambda</math>:踏面勾配、<math>\kappa_{11}</math>:縦クリープ係数、<math>\kappa_{22}</math>:横クリープ係数である。図のような前後支持剛性が与えられている場合は<math>k_\psi</math>は以下のようになる<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_131"/>。 |
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:<math> k_\psi = k_x b_1^2</math> … (11) |
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ここで、<math>k_x</math>:輪軸に対する前後支持剛性、<math>b_1</math>:輪軸の前後支持点の左右間隔の1/2である。 |
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(9)、(10)式は、解析を簡単にするために輪軸の動きは小さいと前提を置き、以下のように簡略化を行い導出される<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_26"/>。 |
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実際の蛇行動は慣性運動であり、これら幾何学的条件のみならず、輪軸・台車・車体の質量や[[ばね定数|バネ定数]]・減衰定数なども大きく影響する。 |
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*踏面勾配は一定とする。 |
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*輪軸のローリング角の影響は無視する |
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*左右車輪の接触角度差の影響は無視する |
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*スピンクリープによる力は無視する |
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また、(9)、(10)式において、慣性と剛性を無視すれば(<math>m=0</math>、<math>k_x=k_y=0</math>)、(3)、(5)式が得られ、幾何学的蛇行動の運動方程式と一致する。 |
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蛇行動が発生し出す限界の速度である'''蛇行動限界速度'''<ref name = "鉄道車両技術入門_20-21"/>は、(9)、(10)式において縦クリープ係数と横クリープ係数は等しい(<math>\kappa_{11}=\kappa_{22}=\kappa</math>)とし、その上にさらに近似化をして以下の式が得られる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_26"/>。 |
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:<math> v_c = S_1 \sqrt{\frac{b^2 f_y^2+i^2 f_\phi^2}{b^2+i^2}} </math> … (12) |
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:<math> f_y = \frac{1}{2\pi} \sqrt{\frac{k_y}{m}} ,\quad f_\phi = \frac{1}{2\pi} \sqrt{\frac{k_x b_1^2}{m i^2}}</math> |
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ここで、<math>v_c</math>:蛇行動限界速度、<math>S_1</math>:幾何学的蛇行動波長(=(8)式)である。(12)式より、蛇行動限界速度を大きくして高速でも蛇行動を発生させないためには、幾何学的蛇行動波長を大きくすることの他に、輪軸の質量・慣性半径(=[[慣性モーメント]])を小さくすること、輪軸の支持剛性を大きくすることが有効であることが分かる。 |
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=== 2軸単台車の蛇行動特性 === |
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==== 剛台車の幾何学的蛇行動 ==== |
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実際の鉄道車両は1軸では成り立たず、[[ボギー台車]]のように台車に輪軸が拘束される構成が取られる。台車蛇行動の基本的特性を考察するために、2つの輪軸が台車に剛に取り付された単体の台車を想定する。このような台車を剛台車と呼び、[[1916年]]にカーター(Carter)により、以下のような剛台車の左右、ヨーイング方向に関する運動方程式が導かれた<ref name = "Handbook of Railway Vehicle Dynamics_13"/>。 |
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:<math>m_B\ddot y + 4\frac{\kappa}{V}\dot y -4\kappa \psi= Y </math> … (13) |
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:<math>m_B i_B^2\ddot \psi+4\kappa \frac{b^2+a^2}{V} \dot\psi+4\kappa\frac{b\lambda}{r}y = G </math> … (14) |
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ここで、<math>m_B</math>:台車質量、<math>i_B</math>:台車の[[ヨーイング]]回りの慣性半径、<math>b</math>:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2、<math>r</math>:車輪平均半径、<math>\lambda</math>:踏面勾配、<math>\kappa</math>:クリープ係数(縦クリープ係数=横クリープ係数)、<math>a</math>:台車内の2つの輪軸間距離(軸距)の1/2、<math>Y</math>:左右方向外力、<math>G</math>:ヨーイング回りの外力である。輪軸単体の場合と同様に、この台車が慣性力を無視してレールに対して車輪が滑らないという仮定の下により解析される剛台車蛇行動を、'''台車の幾何学的蛇行動'''と呼ぶ<ref name = "鉄道技術用語辞典"/>。上式の慣性、外力の項を無視することで幾何学的蛇行動の運動方程式が得られ、以下のような台車の幾何学的蛇行動の波長<math>S_2</math>が得られる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_26"/>。 |
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:<math>S_2=2 \pi \sqrt{\frac{br}{\lambda}}\sqrt{1+\frac{a^2}{b^2}} = S_1 \sqrt{1+\frac{a^2}{b^2}}</math> … (15) |
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すなわち、蛇行動を長周期化して影響を抑えるには、長い軸距が有効である。台車を持たず車体と輪軸が直接連結する[[二軸車 (鉄道)|二軸車]]の場合は、軸間距離を車体内の2つの輪軸間距離と置き換えればよい。 |
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==== 輪軸弾性支持台車の場合 ==== |
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実際の台車では、曲線通過などを考慮して輪軸は台車に対してある程度の柔らかさを持った剛性で支持されていることが一般的である。このような輪軸を弾性支持する単台車の蛇行動波長<math>S_3</math> は、小柳による近似式などがある<ref name = "軸箱柔支持台車の蛇行動波長_1731"/>。台車、輪軸の慣性を無視する前提で以下のような式となる。 |
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:<math>S_3 = S_1 \sqrt{1+\frac{a^2}{b^2}(1-\delta)}</math> … (16) |
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:<math> \delta=\frac{1-\sigma Z}{1+Z^2},\quad \sigma=(2p-3)\beta^2,\qquad Z=\beta K^p</math> |
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:<math> \beta = \frac{b}{a},\quad p=1+\frac{k_\psi}{k_\psi + k_y a^2},\quad K = \frac{1}{2\kappa b^2}\frac{k_\psi k_y a^2}{k_\psi + k_y a^2}\frac{S_1}{2\pi} </math> |
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ここで、<math>k_\psi</math>:1輪軸に対するヨーイング剛性、<math>k_y</math>:1輪軸に対する左右支持剛性である。(16)式の近似式の適用条件としては、左右車輪接触点間隔が軸距の半分程度以下(<math> \beta = b/a <0.5</math>)であることを前提としている<ref name = "軸箱柔支持台車の蛇行動波長_1731"/>。式の形より、輪軸を弾性支持する単台車の蛇行動波長は、1輪軸の幾何学的蛇行動波長と剛台車の幾何学的蛇行動波長の間となる。 |
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=== より実際の蛇行動解析 === |
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実際の鉄道車両では、車体-台車-輪軸が相互に連結された構造となっている。そのため、比較的単純なモデルを考えたとしても、車両の運動方程式は10[[自由度]]以上となる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_27-29"/>。なおかつ各要素間は、線形な弾性支持だけでなく、粘性減衰要素や摩擦要素などによる結合となる。そのため、代数的な取扱いで解を求めることは不可能となる。代わりの方法として、コンピュータを用いた数値解析による手法を用いて車体の最適な諸元を求めることができる。具体的には、固有値解析によるものと時刻歴シミュレーションによるものがある<ref name = "鉄道車両技術入門_20-21"/>。 |
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車両の運動に関わる非線形要素を無視あるいは線形近似を行い、線形の運動方程式が得られる場合は、特性方程式を立てて固有値を求めることで、その系の安定性を判別することができる。自由度が多い場合は解析的に固有値を求めるのが困難になるため、[[ヤコビ法]]や[[QR法]]のような数値解析により行列の固有値を求める<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_3"/>。得られた固有値の実部が安定性を表し、虚部が固有振動数を表す。ある速度を与えたときの固有値の実部が、負であればその速度で安定となる<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_134"/>。 |
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また、クリープ力の飽和やフランジ接触、バネ、ダンパの非線形特性、ストッパ接触のような[[非線形性|非線形]]要素を設定して走行安定性を求めたい場合は、それらの要素を含んだ非線形運動方程式を立て、[[数値積分]]により時刻歴応答を得る手法が取られる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_27-29"/>。車体、台車、輪軸の動きを時刻歴に出力することで蛇行動の発生有無を確認できる。 |
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==曲線通過性能との関係== |
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[[File:Wheel-set lateral motion in a curve.png|thumb|曲線通過時の1輪軸の踏面勾配による左右変位]] |
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曲線を円滑に曲がる性能と蛇行動に対する安定性の実現は相反することが知られている<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_14"/>。そのため、実際の車両は、蛇行動を抑えるだけでなく、曲線通過性能とのバランスを考慮して諸元が決められる必要がある。 |
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幾何学的蛇行動と同じく車輪単体がレールに対して滑らずに旋回する場合を考えると、輪軸の軌道中心からのずれは以下の式で表される<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_127"/>。 |
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:<math>y = \frac{rb}{R\lambda} </math> … (17) |
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ここで、<math>y</math>:輪軸の中立位置からの左右変位、<math>R</math>:曲線の曲率半径である。蛇行動の解析と同様に、実際の輪軸は台車に支持され、慣性は無視できず車輪・レール間にはすべりが発生するので、実際の変位量とは異なるが、曲線通過性能の基本的特性を理解するのに重要である。 |
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(17)式によると「大きな車輪半径」「広い軌間」「小さな踏面勾配」「小さな曲線半径」ほど、輪軸の左右変位<math>y</math>が大きくなる。しかし車輪の幅は有限なので、当然ながら<math>y</math>が大きくなれば車輪がレールから外れて脱線してしまう。このような脱線を防ぐため、車輪には[[フランジ]]と呼ばれるつばが線路の内側ついている。普段の走行では'''フランジ遊間'''と呼ばれる輪軸中立位置でのフランジとレールの隙間以内で走行するが、フランジ遊間を超えてレールに対して車輪が大きく左右変位したときはフランジがレールに接触して車輪を案内する構造となっている。しかし、フランジが接触しながらの走行は、振動・乗り心地の悪化やフランジ・レールの摩耗による交換メンテナンス負荷増大などを招くため望ましくない<ref name = "電車のメカニズム_71"/>。また、フランジ接触を起こすような急曲線では、[[スラック]]と呼ばれる曲線の円滑通過のための軌間の拡大が行われるが、広げ過ぎると危険となるので大きくは取れない。 |
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以上のような理由から、曲線通過時にフランジ接触を起こさずに円滑な通過を実現するためには、輪軸左右変位<math>y</math>を小さくしてフランジ遊間以下とするのが望ましい<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_14"/>。(17)式によると<math>y</math>を小さくするには「小さな車輪半径」「狭い軌間」「大きな踏面勾配」が望ましいが、(8)式からわかるように、このような条件は同時に蛇行動を増長させる。このように曲線通過性能と蛇行動安定性に対する要求は相反する。実際の車両では、蛇行動の解析と同様に弾性支持や粘性減衰・摺動摩擦による抵抗などの影響もある。車両諸元における相反性をまとめると以下のようになる<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_14"/>。 |
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{| class="wikitable" style="margin:0 auto" |
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|+ 蛇行動安定性と曲線通過性能において相反する特性 |
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! 車両諸元 !! 蛇行動安定に有利な特性 !! 曲線通過に有利な特性 |
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|- style="text-align:center" |
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! 台車回転抵抗 |
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| 大 || 小 |
|||
|- style="text-align:center" |
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! 軸箱支持剛性 |
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| ある程度大 || 小 |
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|- style="text-align:center" |
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! 踏面等価勾配 |
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| 小 || 大 |
|||
|- style="text-align:center" |
|||
! 軸距 |
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| 大 || 小 |
|||
|} |
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==蛇行動への対策== |
==蛇行動への対策== |
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===蛇行動と高速化=== |
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蛇行動は車輪の踏面勾配により起因し、前述した特性値により一定の波長を持つことから、走行速度が高いほど振動速度が大きくなり、しばしば高速化の障害となる。また、曲線区間においては、踏面勾配による復元力に比べ、作用する遠心力が大きいことから問題になることは少なく、主として直線区間において問題となる現象である。以下、蛇行動への対策について記す。 |
蛇行動は車輪の踏面勾配により起因し、前述した特性値により一定の波長を持つことから、走行速度が高いほど振動速度が大きくなり、しばしば高速化の障害となる。また、曲線区間においては、踏面勾配による復元力に比べ、作用する遠心力が大きいことから問題になることは少なく、主として直線区間において問題となる現象である。車両運動の数値解析や台車回転試験など利用した検証により、蛇行動を抑えることそのものは大きな問題とならなくなっている<ref name = "台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望_12-13"/>。しかし上記のように蛇行抑制と曲線通過性能の確保は相反することが多く、これらの両立は未だに課題である<ref name = "台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望_12-13"/>。以下、蛇行動への対策について記す。 |
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===踏面勾配の適正化=== |
===踏面勾配の適正化=== |
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蛇行動を引き起こす原因は踏面勾配による復元力であるため、高速列車においては踏面勾配を小さく取ることが対策の一つとして有効である。日本においては、在来線車両の踏面勾配は1/20が標準であるのに対し、高速運転が前提の[[新幹線]]車両では1/40を標準としている。しかし、いたずらに踏面勾配を小さくすると曲線抵抗が大きくなる(曲線区間の通過が困難になる)などの問題もあるため、最小曲線半径に応じた適切な値を取ることが望ましい。 |
蛇行動を引き起こす原因は踏面勾配による復元力であるため、高速列車においては踏面勾配を小さく取ることが対策の一つとして有効である。日本においては、在来線車両の踏面勾配は1/20が標準であるのに対し、高速運転が前提の[[新幹線]]車両では1/40を標準としている。しかし、いたずらに踏面勾配を小さくすると曲線抵抗が大きくなる(曲線区間の通過が困難になる)などの問題もあるため、最小曲線半径に応じた適切な値を取ることが望ましい。 |
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===輪軸 |
===輪軸支持剛性の適正化=== |
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[[画像:二段リンク 01.gif|thumb|200px|2段リンク方式。横方向のバネを柔らかくすることで、低い速度で車体蛇行動の領域を通過させ限界速度を向上している。]] |
[[画像:二段リンク 01.gif|thumb|200px|2段リンク方式。横方向のバネを柔らかくすることで、低い速度で車体蛇行動の領域を通過させ限界速度を向上している。]] |
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実際の輪軸においては、前後方向や左右方向に対して完全拘束ではなく、弾性的に支持されている。この[[ばね定数|バネ定数]]を適切に選定することにより、不安定となる速度を使用しない超高速領域に設定する方法や、逆に不安定領域を低い速度に設定し、高速域での振動を抑えるなどの方策がある。[[二軸車 (鉄道)|二軸車]]における2段リンク方式は後者の例である(右図)。 |
実際の輪軸においては、前後方向や左右方向に対して完全拘束ではなく、弾性的に支持されている。この[[ばね定数|バネ定数]]を適切に選定することにより、不安定となる速度を使用しない超高速領域に設定する方法や、逆に不安定領域を低い速度に設定し、高速域での振動を抑えるなどの方策がある。[[二軸車 (鉄道)|二軸車]]における2段リンク方式は後者の例である(右図)。 |
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軸箱支持装置に軸箱守(ペデスタル)方式を用いている場合、摩耗により支持部にガタが発生しやすく、1軸蛇行動の原因となることが多い。このため、耐摩耗性に優れた材料を用いるとともに、定期的な保守が必要である。円筒案内式による軸箱支持装置はこの欠点を改良したもので、ガタが発生しにくい構造となっている。 |
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=== 台車回転抵抗の適正化 === |
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台車と車体の結合部において、車体・台車間のヨーイング回転に対する適切な抵抗を与えることで、台車の蛇行動を抑制する機構が設けられている。台車の車体支持形式の違いにより以下の2つの方法がある。 |
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==== 側受とボルスタアンカー ==== |
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従来しばしば用いられた枕ばり機構(ボルスタ)付きのボギー[[鉄道車両の台車|台車]]では、心皿のほか側受により台車と車体が接しており、この間の摩擦力が蛇行動を抑える機能を有している。そのほか、枕ばり台車には車体に牽引力を伝えるための[[ボルスタアンカー]]を装備するものがあり、これにより副次的に蛇行動を抑制する効果が得られる。 |
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==== ボルスタアンカ・側受 ==== |
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<div style="border:1px solid gray; padding: 5px ;margin: 5px; float: right; text-align: center; font-size: 80%; width: 210px; background: #fff;"> |
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ダイレクトマウント式ボルスタ付台車の旋回の様子<br /> |
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[[ファイル:Bolster track3.gif|200px|ダイレクトマウント台車の回転 側面図]]<br /> |
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断面図<br /> |
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[[ファイル:TR DirectMt sect4.gif|200px|断面図]] |
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</div> |
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枕ばり(ボルスタ)付きの[[ボギー台車]]では、心皿と呼ばれる部分を中心に台車枠と枕ばりが回転し、側受と呼ばれる部分が車両を支えて台車回転時に摺動する構造となっている。この側受に適切な摩擦力を発生させて、蛇行動に対する抵抗を発生させている<ref name = "電車のメカニズム_43-44"/>。車体と枕ばり間の回転は[[ボルスタアンカー]]により拘束されるが、取付部に適切な剛性のゴムブシュを使用することで回転剛性を与えることができる。すなわち、直線走行時の回転変位が小さいときには、ボルスタアンカゴムブシュによる大きな剛性で台車の蛇行動を抑制し、曲線通過時に大きく台車が回転しようとするときには、側受の摩擦力を越えて枕ばりが滑ることで台車が回転できるような仕組みである<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_111-112"/>。 |
|||
この方式の欠点としては、雨水や摺動面の荒れにより側受の摩擦力が変動して走行性能が安定しない点<ref name = "ボルスタレス台車_35"/>などがある。一方の長所としては、側受・枕ばりを装備しない台車であるボルスタレス台車と異なり台車の回転角が空気ばねの許容変位に制約されない点などがある。現在のもので、空気ばねは通常100mm程度まで前後方向に変位できる<ref name = "電車のメカニズム_43-44"/>。 |
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右図は、ダイレクトマウント式のボルスタ付台車の構造を示すもので、2次バネが枕ばり-台車枠間に配置され、ボルスタアンカ・側受が車体-枕ばり間に配置されるインダイレクトマウント式と呼ばれるものもある。ボルスタアンカ・側受の機能はいずれにしても同じである。ボルスタアンカ・側受構造のさらに詳細な説明については[[ボルスタアンカー]]の記事なども参照のこと。 |
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==== ヨーダンパ ==== |
==== ヨーダンパ ==== |
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<div style="border:1px solid gray; padding: 5px ;margin: 5px; float: right; text-align: center; font-size: 80%; width: |
<div style="border:1px solid gray; padding: 5px ;margin: 5px; float: right; text-align: center; font-size: 80%; width: 210px; background: #fff;"> |
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ヨーダンパなし<br /> |
ヨーダンパなし<br /> |
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[[画像:Truck hunting oscillation.gif| |
[[画像:Truck hunting oscillation.gif|200px|ヨーダンパなし]]<br /> |
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ヨーダンパあり<br /> |
ヨーダンパあり<br /> |
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[[画像:Bolsterless TR rotate2.gif| |
[[画像:Bolsterless TR rotate2.gif|200px|ヨーダンパあり]]<br /> |
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[[JR東日本E531系電車|E531系]]のヨーダンパ<br /> |
[[JR東日本E531系電車|E531系]]のヨーダンパ<br /> |
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[[画像:Truck-TR255.jpg| |
[[画像:Truck-TR255.jpg|200px|E531系のヨーダンパ]]<br /> |
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ボルスタアンカー(上)とヨーダンパ(下)を併設する[[近鉄21000系電車|近鉄21000系]]の台車<br /> |
ボルスタアンカー(上)とヨーダンパ(下)を併設する[[近鉄21000系電車|近鉄21000系]]の台車<br /> |
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[[ファイル:KINTETSU 21000 020.JPG| |
[[ファイル:KINTETSU 21000 020.JPG|200px|ボルスタアンカー(上)とヨーダンパ(下)を併設する近鉄21000系の台車]]<br /> |
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</div> |
</div> |
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[[ショックアブソーバー|ダンパ]]の一種であるヨーダンパは、蛇行動抑制のために車体と台車に接続されるものである<ref name = "電車のメカニズム_16-17"/>。台車の左右両側に配置して、ヨーイングによる両側で逆位相の前後振動を減衰させる。上記のような側受構造を持たない、ボルスタレス台車に主に用いられる<ref name = "ボルスタレス台車_35"/>。ダンパはその特性から、速い動きにのみ抵抗し、ゆっくりした動きにはあまり抵抗しない。この特性により、曲線部における台車のゆるやかな回転は許容しつつ、高速振動である蛇行動のみを抑制する機構である<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_111-112"/>。 |
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右図はヨーダンパの役割を模式的に示したものである。ボルスタレス台車においては、台車の回転は空気ばねの変形により行われる。とくに抑制機構のない場合は、空気ばねの減衰特性のみにより蛇行動に抵抗することとなる。一方、ヨーダンパは車体と台車の前後方向を拘束するように取り付けられる。台車は曲線通過時に回転しなければならないため、ヨーダンパ自体は伸縮を許容する構造となっているが、その伸縮部は高速振動を減衰させる機構を有しており、蛇行動を抑制する効果を発揮する。 |
右図はヨーダンパの役割を模式的に示したものである。ボルスタレス台車においては、台車の回転は空気ばねの変形により行われる。とくに抑制機構のない場合は、空気ばねの減衰特性のみにより蛇行動に抵抗することとなる。一方、ヨーダンパは車体と台車の前後方向を拘束するように取り付けられる。台車は曲線通過時に回転しなければならないため、ヨーダンパ自体は伸縮を許容する構造となっているが、その伸縮部は高速振動を減衰させる機構を有しており、蛇行動を抑制する効果を発揮する。 |
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日本においては、新幹線車両の[[新幹線500系電車|500系]]で初めて採用され<ref name = "新世代鉄道の技術_96-97"/>、[[新幹線]]や[[特急形車両]]のほか、最高速度120km/h([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]では130km/h)以上の[[近郊形車両|近郊形電車]]を中心に採用されている。上記の通り、ボルスタアンカ・側受構造の代わりとして開発されたものなので、通常ボルスタレス台車に装備されるものだが、特殊な事例としては[[近鉄21000系電車|近鉄21000系]]の様にボルスタアンカー付きの台車にヨーダンパを装着している例も存在する。また、新幹線車両の[[新幹線E6系電車|E6系]]では、新幹線区間に加えて、曲線が多く曲線半径も小さい在来線区間を走行するため、減衰力切替式のヨーダンパを装備し、在来線区間を走行する際は減衰力を低減させて曲線通過性能の向上を図っている<ref name = "台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望_12-13"/>。 |
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日本においては、[[新幹線]]や[[特急形車両]]のほか、最高速度120km/h([[東日本旅客鉄道|JR東日本]]では130km/h)以上の[[近郊形車両|近郊形電車]]を中心に採用されている。 |
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通常のヨーダンパは台車-車体間で機能・配置されるものだが、新幹線のような高速車両では、編成の車体間にもヨーダンパが装備される場合がある<ref name = "新世代鉄道の技術_96-97"/>。通常のヨーダンパと区別して車体間ヨーダンパと呼ばれる。車体ヨーイング振動をさらに低減させる効果を発揮する。 |
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=== 左右独立車輪 === |
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蛇行動を引き起こさない輪軸構造として、左右独立車輪の研究がなされている。しかしながら、自己操舵機能を持たないことから、片方のレールや車輪が偏摩耗するなどの問題もあり、本格的な採用には至っていない。なお、近年の路面電車では左右独立車輪の採用事例が増えているが、その目的は蛇行動対策ではなく低床化である<ref name = "新世代鉄道の技術_188-189"/>。 |
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==脚注== |
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{{reflist|2|refs= |
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<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_3">[[#鉄道車両のダイナミクス|「鉄道車両のダイナミクス」p.3]]</ref> |
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<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_14">[[#鉄道車両のダイナミクス|「鉄道車両のダイナミクス」p.14]]</ref> |
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<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_23">[[#鉄道車両のダイナミクス|「鉄道車両のダイナミクス」p.23]]</ref> |
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<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_26">[[#鉄道車両のダイナミクス|「鉄道車両のダイナミクス」p.26]]</ref> |
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<ref name = "鉄道車両のダイナミクス_27-29">[[#鉄道車両のダイナミクス|「鉄道車両のダイナミクス」pp.27-29]]</ref> |
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<ref name = "電車のメカニズム_71">[[#電車のメカニズム|「電車のメカニズム」p.71]]</ref> |
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<ref name = "電車のメカニズム_72-73">[[#電車のメカニズム|「電車のメカニズム」pp.72-73]]</ref> |
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<ref name = "電車のメカニズム_43-44">[[#電車のメカニズム|「電車のメカニズム」pp.43-44]]</ref> |
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<ref name = "電車のメカニズム_16-17">[[#電車のメカニズム|「電車のメカニズム」pp.16-17]]</ref> |
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<ref name = "鉄道車両技術入門_1">[[#鉄道車両技術入門|「鉄道車両技術入門」p.1]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_8">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」p.8]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_10-11">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」pp.10-11]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_111-112">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」pp.111-112]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_127">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」p.127]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_131">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」p.131]]</ref> |
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<ref name = "車両システムのダイナミックスと制御_134">[[#車両システムのダイナミックスと制御|「車両システムのダイナミックスと制御」p.134]]</ref> |
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<ref name = "鉄道技術用語辞典">[[#鉄道技術用語辞典|「鉄道技術用語辞典」]]</ref> |
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<ref name = "Handbook of Railway Vehicle Dynamics_7">[[#Handbook of Railway Vehicle Dynamics|「Handbook of Railway Vehicle Dynamics」p.7]]</ref> |
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<ref name = "Handbook of Railway Vehicle Dynamics_13">[[#Handbook of Railway Vehicle Dynamics|「Handbook of Railway Vehicle Dynamics」p.13]]</ref> |
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<ref name = "軸箱柔支持台車の蛇行動波長_1731">[[#軸箱柔支持台車の蛇行動波長|「軸箱柔支持台車の蛇行動波長」p.1731]]</ref> |
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<ref name = "新世代鉄道の技術_96-97">[[#新世代鉄道の技術|「新世代鉄道の技術」pp.96-97]]</ref> |
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<ref name = "新世代鉄道の技術_188-189">[[#新世代鉄道の技術|「新世代鉄道の技術」pp.188-189]]</ref> |
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<ref name = "ボルスタレス台車_35">[[#ボルスタレス台車|「ボルスタレス台車」p.35]]</ref> |
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}} |
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== 参考文献 == |
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*{{Cite |和書 |
|||
|author =石井幸孝 |
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|title = 入門鉄道車両 |
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|year = 1970 |
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|publisher = 交友社 |
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*{{Cite |和書 |
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|author =伊原一夫 |
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|title = 鉄道車両メカニズム図鑑 |
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|year = 1987 |
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|publisher = グランプリ出版 |
|||
|isbn = 978-4906189649 |
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* {{Cite book|和書 |
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|author=宮本昌幸 |
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|title=図解・電車のメカニズム |
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|edition=初版 |
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|year=2009 |
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|publisher=講談社 |
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|language=日本語 |
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|isbn=978-4-06-257660-4 |
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|ref=電車のメカニズム |
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* {{Cite book|和書 |
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|author=川辺謙一 |
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|title=図解・新世代鉄道の技術 |
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|edition=第1版 |
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|date=2009-08-20 |
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|publisher=講談社 |
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|language=日本語 |
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|isbn=978-4-06-257649-9 |
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|ref=新世代鉄道の技術 |
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* {{Cite book|和書 |
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|editor=近藤圭一郎 |
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|title=鉄道車両技術入門 |
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|edition=初版 |
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|date=2013-07-20 |
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|publisher=オーム社 |
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|isbn=978-4-274-21383-0 |
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|ref=鉄道車両技術入門 |
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}} |
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* {{Cite book|和書 |
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|editor = 日本機械学会 |
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|title=車両システムのダイナミックスと制御 |
|||
|edition=OD版初版 |
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|date=2008-10-20 |
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|publisher=養賢堂 |
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|isbn=978-4-8425-9901-4 |
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|ref=車両システムのダイナミックスと制御 |
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}} |
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*{{Cite |和書 |
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|editor = 日本機械学会 |
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|title = 鉄道車両のダイナミクス |
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|year = 1994 |
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|publisher = 電気車研究会 |
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|ref = 鉄道車両のダイナミクス |
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|editor = Simon Iwnicki |
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|title = Handbook of Railway Vehicle Dynamics |
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|year = 2006 |
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|publisher = CRC Press |
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|location = United States |
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|isbn = 0-8493-3321-0 |
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|ref = Handbook of Railway Vehicle Dynamics |
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*{{Cite journal|和書 |
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|author = 小柳志郎 |
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|coauthor = 吉岡毅泰 |
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|date = 1987-08-25 |
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|title = 軸箱柔支持台車の蛇行動波長 |
|||
|journal = 日本機械学会論文集C編 |
|||
|volume = 53 |
|||
|issue = 492 |
|||
|pages = 1728-1734 |
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|issn = 03875024 |
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|naid = 110002390269 |
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|url = http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0002688115 |
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|format = pdf |
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|ref =軸箱柔支持台車の蛇行動波長 |
|||
}} |
|||
* {{Cite journal | 和書 |
|||
| author = 岡本勲 |
|||
| title = ボルスタレス台車 |
|||
| journal = Railway Research Review |
|||
| year = 2008 |
|||
| month = 7 | |
|||
pages = 34-35 |
|||
| publisher = [[鉄道総合技術研究所]] |
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| url = http://bunken.rtri.or.jp/doc/fileDown.jsp?RairacID=0004004765 |
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| format = PDF |
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| ref = ボルスタレス台車 |
|||
}} |
|||
*{{Cite journal|和書 |
|||
|author = 小泉智志 |
|||
|year = 2013 |
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|title = 台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望 |
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|journal = 新日鉄住金技報 |
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|volume = 395 |
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|pages = 11-18 |
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| publisher = [[新日鉄住金]] |
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|url = http://www.nssmc.com/tech/report/nssmc/pdf/395-04.pdf |
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|format = pdf |
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|ref =台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望 |
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}} |
|||
*{{Cite web |
|||
|author=[[鉄道総合技術研究所]] |
|||
|url=http://yougo.rtri.or.jp/dic/ |
|||
|title=鉄道技術用語辞典 |
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|accessdate=2013-09-22 |
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| ref =鉄道技術用語辞典 |
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}} |
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特殊な事例としては[[近鉄21000系電車|近鉄21000系]]の様にボルスタアンカー付きの台車にヨーダンパを装着している例も存在する。 |
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==== その他 ==== |
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蛇行動を引き起こさない輪軸構造として、左右独立車輪の研究がなされている。しかしながら、自己操舵機能を持たないことから、片方のレールや車輪が偏摩耗するなどの問題もあり、本格的な採用には至っていない。なお、近年の路面電車では左右独立車輪の採用事例が増えているが、その目的は蛇行動対策ではなく低床化である。 |
|||
==関連項目== |
==関連項目== |
||
*[[鉄道車両の台車]] |
*[[鉄道車両の台車]] |
||
*[[ショックアブソーバー]] |
*[[ショックアブソーバー]] |
||
*[[自励振動]] |
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{{DEFAULTSORT:たこうとう}} |
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== 参考文献 == |
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[[Category:鉄道車両の台車]] |
|||
[[Category:振動と波動]] |
|||
*伊原一夫 『鉄道車両メカニズム図鑑』 グランプリ出版、1987年 |
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[[Category:鉄道車両工学]] |
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[[Category:鉄道車両の台車|たこうとう]] |
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[[Category:振動と波動|たこうとう]] |
2013年10月20日 (日) 12:16時点における版
蛇行動(だこうどう)は鉄道車両における自励振動現象である。主として直線部を高速で走行するときに、車体や台車、車軸などが鉛直軸まわりの回転振動(ヨーイング)を起こす現象であり、上から見て蛇がくねって進むような運動をするため蛇行動と呼ばれる。発生した場合、乗り心地の悪化、軌道や台車・車体への損傷、影響が大きい場合は脱線事故を引き起こすこともあり、とりわけ高速化にあたっては本現象への対策が重要である。 また、本稿では蛇行動を抑制するヨーダンパ等の機構についても解説する。
発生の機構
鉄道車両の車輪は円筒形ではなく円錐形のような勾配を持った形状となっており、車輪のフランジ側(内側)の直径は大きく、外側の直径は小さくなっている。このような勾配を車輪踏面勾配と呼ぶ[1]。また、超低床LRVのような車両を除き、鉄道車両では左右の車輪は車軸により固定され繋がる構造となっている。この車輪と車軸の一組を輪軸と呼ぶ。これらの特徴により、輪軸が直線の軌道を転がるときは、輪軸がレールの片側に寄った場合に定位置に戻る復元力を得り、曲線を転がるときは自動車のようなステアリング操作無しにレールに沿って曲がる機能を発揮する。このような働きを輪軸の自己操舵機能と呼ぶ[2]。しかし、踏面勾配による自己操舵機能は輪軸に左右動を引き起こす原因ともなる。すなわち、輪軸がどちらかのレールに偏った場合、それを戻そうとする復元力の働きにより、中立位置を超えて反対側のレールに偏り、さらにまた逆向きの復元力が作用するといった繰り返し運動が発生することとなる。動きとしては、左右変位とヨーイング回転の振動が連成して現れるものとなり、上から見て蛇がくねって進むような運動をするため蛇行動と呼ばれる。
実際の鉄道車両では、輪軸は単体ではなく車体-台車-輪軸という連結構造となっている。このように輪軸は台車に対して拘束されているため、通常の走行速度内では、蛇行動は台車・車体の質量や輪軸に対するサスペンションにより吸収・抑制されている[3]。しかし車両の走行速度を上げていくと、蛇行動を発生させる輪軸を動かす力である車輪・レール間のクリープ力などの影響が、輪軸を拘束しようとする力を上回り蛇行動が発生するようになる[4]。さらに、輪軸、台車、車体は、バネやダンパー、すり板のような剛性要素、減衰要素、摩擦要素などによって連結されているため、それぞれの動きは相互に影響を及ぼす。このため、輪軸単体での蛇行動のみならず、台車の蛇行動、車体の蛇行動も発生する。蛇行動が発生する箇所に応じて、輪軸蛇行動、台車蛇行動、車体蛇行動と呼ばれる[1]。車両の諸元、装備により蛇行動に対する安定性は異なり、高速走行を行う車両では蛇行動の安定性に配慮して設計される。この蛇行動に対する安定性のことを走行安定性とも呼ぶ[1]。
蛇行動の解析
1輪軸の蛇行動特性
幾何学的蛇行動
蛇行動の基本的特性を考えるために、単体の輪軸がレールに沿って転がっている場合を考える。さらに、この輪軸の慣性を無視して車輪がレールに対して滑らないという仮定を置いて輪軸の動きを解析する。走行速度が非常に低い場合がこの仮定条件に近い[5]。このような前提の輪軸の蛇行動を輪軸の幾何学的蛇行動と呼び、蛇行動の特性を考える上での基礎となる。
上記で説明した通り、車輪の踏面に勾配が存在する場合、輪軸が中立位置から偏ったとき、左右の車輪で回転半径が異なる。今、輪軸が一定の回転速度で転がっているときに右側に横変位が発生したとする。このとき右側車輪の前進速度と左側車輪の前進速度は以下のようになる。
- … (1)
ここで、:中立位置(両車輪で半径差が無くなる位置)での車輪半径、:踏面勾配である。さらに、輪軸のヨーイング回転速度は、両側車輪の速度差と次のような関係がある[6]。
- … (2)
ここで、:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2(≒軌間の1/2)である。(2)式に(1)式を代入し、は次のように表すことができる。
- … (3)
ここで、:中立位置での車輪前進速度で、輪軸全体の前進速度でもある。 また、輪軸の左右変位速度とヨーイング角 は次のような関係がある[6]。
- … (4)
を微小として近似すると、
- … (5)
(5)式の両辺を時間微分して(3)式を代入すると、次のような1輪軸の幾何学的蛇行動における左右変位の運動方程式が得られる。
- … (6)
(6)式は正弦波による振動を表すので、その固有角周波数は
- … (7)
となり、輪軸の幾何学的蛇行動の波長はによらず一定となり、以下の式により表すことができる[7]。
- … (8)
(8)式は1883年にクリンゲル(Klingel)の運動解析によって初めて与えられた[8]。波長が小さいほど振動が激しくなることから、「小さな車輪半径」「狭い軌間」「大きな踏面勾配」は蛇行動を増長させることがわかる。
慣性、弾性支持を考慮する場合
実際の輪軸は支持剛性が与えられており、ある程度の限界速度までは蛇行動は抑制されている。台車と輪軸の連結構造は、輪軸に軸受を挿入し、その上に軸箱が乗り、軸箱と台車枠がコイルバネや支持ゴムで繋がる構造が取られる。このような物体の慣性、要素間の剛性なども考慮した実際的な車両運動の解析においては、車輪・レール間のクリープ力も考慮して運動方程式を求める必要がある。蛇行動は主に左右振動・ヨーイング振動に関する現象なので、解析においては1輪軸の左右、ヨーイング方向に関する運動方程式が最も基本となる[9]。そこで右図のような、輪軸と常に一定距離を保ち並走するような固定端を想定し、これに弾性支持された1輪軸が一定速度で前進する場合を考える。解析を容易にするために輪軸の動きは小さいと考え、この場合の運動方程式は以下のようになる[10]。
- … (9)
- … (10)
ここで、:輪軸質量、:輪軸のヨーイング回りの慣性半径、:輪軸に対するヨーイング剛性、:輪軸に対する左右支持剛性、:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2、:車輪平均半径、:踏面勾配、:縦クリープ係数、:横クリープ係数である。図のような前後支持剛性が与えられている場合はは以下のようになる[11]。
- … (11)
ここで、:輪軸に対する前後支持剛性、:輪軸の前後支持点の左右間隔の1/2である。
(9)、(10)式は、解析を簡単にするために輪軸の動きは小さいと前提を置き、以下のように簡略化を行い導出される[7]。
- 踏面勾配は一定とする。
- 輪軸のローリング角の影響は無視する
- 左右車輪の接触角度差の影響は無視する
- スピンクリープによる力は無視する
また、(9)、(10)式において、慣性と剛性を無視すれば(、)、(3)、(5)式が得られ、幾何学的蛇行動の運動方程式と一致する。
蛇行動が発生し出す限界の速度である蛇行動限界速度[3]は、(9)、(10)式において縦クリープ係数と横クリープ係数は等しい()とし、その上にさらに近似化をして以下の式が得られる[7]。
- … (12)
ここで、:蛇行動限界速度、:幾何学的蛇行動波長(=(8)式)である。(12)式より、蛇行動限界速度を大きくして高速でも蛇行動を発生させないためには、幾何学的蛇行動波長を大きくすることの他に、輪軸の質量・慣性半径(=慣性モーメント)を小さくすること、輪軸の支持剛性を大きくすることが有効であることが分かる。
2軸単台車の蛇行動特性
剛台車の幾何学的蛇行動
実際の鉄道車両は1軸では成り立たず、ボギー台車のように台車に輪軸が拘束される構成が取られる。台車蛇行動の基本的特性を考察するために、2つの輪軸が台車に剛に取り付された単体の台車を想定する。このような台車を剛台車と呼び、1916年にカーター(Carter)により、以下のような剛台車の左右、ヨーイング方向に関する運動方程式が導かれた[12]。
- … (13)
- … (14)
ここで、:台車質量、:台車のヨーイング回りの慣性半径、:中立位置での左右車輪接触点間隔の1/2、:車輪平均半径、:踏面勾配、:クリープ係数(縦クリープ係数=横クリープ係数)、:台車内の2つの輪軸間距離(軸距)の1/2、:左右方向外力、:ヨーイング回りの外力である。輪軸単体の場合と同様に、この台車が慣性力を無視してレールに対して車輪が滑らないという仮定の下により解析される剛台車蛇行動を、台車の幾何学的蛇行動と呼ぶ[1]。上式の慣性、外力の項を無視することで幾何学的蛇行動の運動方程式が得られ、以下のような台車の幾何学的蛇行動の波長が得られる[7]。
- … (15)
すなわち、蛇行動を長周期化して影響を抑えるには、長い軸距が有効である。台車を持たず車体と輪軸が直接連結する二軸車の場合は、軸間距離を車体内の2つの輪軸間距離と置き換えればよい。
輪軸弾性支持台車の場合
実際の台車では、曲線通過などを考慮して輪軸は台車に対してある程度の柔らかさを持った剛性で支持されていることが一般的である。このような輪軸を弾性支持する単台車の蛇行動波長 は、小柳による近似式などがある[13]。台車、輪軸の慣性を無視する前提で以下のような式となる。
- … (16)
ここで、:1輪軸に対するヨーイング剛性、:1輪軸に対する左右支持剛性である。(16)式の近似式の適用条件としては、左右車輪接触点間隔が軸距の半分程度以下()であることを前提としている[13]。式の形より、輪軸を弾性支持する単台車の蛇行動波長は、1輪軸の幾何学的蛇行動波長と剛台車の幾何学的蛇行動波長の間となる。
より実際の蛇行動解析
実際の鉄道車両では、車体-台車-輪軸が相互に連結された構造となっている。そのため、比較的単純なモデルを考えたとしても、車両の運動方程式は10自由度以上となる[14]。なおかつ各要素間は、線形な弾性支持だけでなく、粘性減衰要素や摩擦要素などによる結合となる。そのため、代数的な取扱いで解を求めることは不可能となる。代わりの方法として、コンピュータを用いた数値解析による手法を用いて車体の最適な諸元を求めることができる。具体的には、固有値解析によるものと時刻歴シミュレーションによるものがある[3]。
車両の運動に関わる非線形要素を無視あるいは線形近似を行い、線形の運動方程式が得られる場合は、特性方程式を立てて固有値を求めることで、その系の安定性を判別することができる。自由度が多い場合は解析的に固有値を求めるのが困難になるため、ヤコビ法やQR法のような数値解析により行列の固有値を求める[15]。得られた固有値の実部が安定性を表し、虚部が固有振動数を表す。ある速度を与えたときの固有値の実部が、負であればその速度で安定となる[16]。
また、クリープ力の飽和やフランジ接触、バネ、ダンパの非線形特性、ストッパ接触のような非線形要素を設定して走行安定性を求めたい場合は、それらの要素を含んだ非線形運動方程式を立て、数値積分により時刻歴応答を得る手法が取られる[14]。車体、台車、輪軸の動きを時刻歴に出力することで蛇行動の発生有無を確認できる。
曲線通過性能との関係
曲線を円滑に曲がる性能と蛇行動に対する安定性の実現は相反することが知られている[17]。そのため、実際の車両は、蛇行動を抑えるだけでなく、曲線通過性能とのバランスを考慮して諸元が決められる必要がある。
幾何学的蛇行動と同じく車輪単体がレールに対して滑らずに旋回する場合を考えると、輪軸の軌道中心からのずれは以下の式で表される[10]。
- … (17)
ここで、:輪軸の中立位置からの左右変位、:曲線の曲率半径である。蛇行動の解析と同様に、実際の輪軸は台車に支持され、慣性は無視できず車輪・レール間にはすべりが発生するので、実際の変位量とは異なるが、曲線通過性能の基本的特性を理解するのに重要である。
(17)式によると「大きな車輪半径」「広い軌間」「小さな踏面勾配」「小さな曲線半径」ほど、輪軸の左右変位が大きくなる。しかし車輪の幅は有限なので、当然ながらが大きくなれば車輪がレールから外れて脱線してしまう。このような脱線を防ぐため、車輪にはフランジと呼ばれるつばが線路の内側ついている。普段の走行ではフランジ遊間と呼ばれる輪軸中立位置でのフランジとレールの隙間以内で走行するが、フランジ遊間を超えてレールに対して車輪が大きく左右変位したときはフランジがレールに接触して車輪を案内する構造となっている。しかし、フランジが接触しながらの走行は、振動・乗り心地の悪化やフランジ・レールの摩耗による交換メンテナンス負荷増大などを招くため望ましくない[18]。また、フランジ接触を起こすような急曲線では、スラックと呼ばれる曲線の円滑通過のための軌間の拡大が行われるが、広げ過ぎると危険となるので大きくは取れない。
以上のような理由から、曲線通過時にフランジ接触を起こさずに円滑な通過を実現するためには、輪軸左右変位を小さくしてフランジ遊間以下とするのが望ましい[17]。(17)式によるとを小さくするには「小さな車輪半径」「狭い軌間」「大きな踏面勾配」が望ましいが、(8)式からわかるように、このような条件は同時に蛇行動を増長させる。このように曲線通過性能と蛇行動安定性に対する要求は相反する。実際の車両では、蛇行動の解析と同様に弾性支持や粘性減衰・摺動摩擦による抵抗などの影響もある。車両諸元における相反性をまとめると以下のようになる[17]。
車両諸元 | 蛇行動安定に有利な特性 | 曲線通過に有利な特性 |
---|---|---|
台車回転抵抗 | 大 | 小 |
軸箱支持剛性 | ある程度大 | 小 |
踏面等価勾配 | 小 | 大 |
軸距 | 大 | 小 |
蛇行動への対策
蛇行動は車輪の踏面勾配により起因し、前述した特性値により一定の波長を持つことから、走行速度が高いほど振動速度が大きくなり、しばしば高速化の障害となる。また、曲線区間においては、踏面勾配による復元力に比べ、作用する遠心力が大きいことから問題になることは少なく、主として直線区間において問題となる現象である。車両運動の数値解析や台車回転試験など利用した検証により、蛇行動を抑えることそのものは大きな問題とならなくなっている[19]。しかし上記のように蛇行抑制と曲線通過性能の確保は相反することが多く、これらの両立は未だに課題である[19]。以下、蛇行動への対策について記す。
踏面勾配の適正化
蛇行動を引き起こす原因は踏面勾配による復元力であるため、高速列車においては踏面勾配を小さく取ることが対策の一つとして有効である。日本においては、在来線車両の踏面勾配は1/20が標準であるのに対し、高速運転が前提の新幹線車両では1/40を標準としている。しかし、いたずらに踏面勾配を小さくすると曲線抵抗が大きくなる(曲線区間の通過が困難になる)などの問題もあるため、最小曲線半径に応じた適切な値を取ることが望ましい。
輪軸支持剛性の適正化
実際の輪軸においては、前後方向や左右方向に対して完全拘束ではなく、弾性的に支持されている。このバネ定数を適切に選定することにより、不安定となる速度を使用しない超高速領域に設定する方法や、逆に不安定領域を低い速度に設定し、高速域での振動を抑えるなどの方策がある。二軸車における2段リンク方式は後者の例である(右図)。
軸箱支持装置に軸箱守(ペデスタル)方式を用いている場合、摩耗により支持部にガタが発生しやすく、1軸蛇行動の原因となることが多い。このため、耐摩耗性に優れた材料を用いるとともに、定期的な保守が必要である。円筒案内式による軸箱支持装置はこの欠点を改良したもので、ガタが発生しにくい構造となっている。
台車回転抵抗の適正化
台車と車体の結合部において、車体・台車間のヨーイング回転に対する適切な抵抗を与えることで、台車の蛇行動を抑制する機構が設けられている。台車の車体支持形式の違いにより以下の2つの方法がある。
ボルスタアンカ・側受
枕ばり(ボルスタ)付きのボギー台車では、心皿と呼ばれる部分を中心に台車枠と枕ばりが回転し、側受と呼ばれる部分が車両を支えて台車回転時に摺動する構造となっている。この側受に適切な摩擦力を発生させて、蛇行動に対する抵抗を発生させている[20]。車体と枕ばり間の回転はボルスタアンカーにより拘束されるが、取付部に適切な剛性のゴムブシュを使用することで回転剛性を与えることができる。すなわち、直線走行時の回転変位が小さいときには、ボルスタアンカゴムブシュによる大きな剛性で台車の蛇行動を抑制し、曲線通過時に大きく台車が回転しようとするときには、側受の摩擦力を越えて枕ばりが滑ることで台車が回転できるような仕組みである[21]。
この方式の欠点としては、雨水や摺動面の荒れにより側受の摩擦力が変動して走行性能が安定しない点[22]などがある。一方の長所としては、側受・枕ばりを装備しない台車であるボルスタレス台車と異なり台車の回転角が空気ばねの許容変位に制約されない点などがある。現在のもので、空気ばねは通常100mm程度まで前後方向に変位できる[20]。
右図は、ダイレクトマウント式のボルスタ付台車の構造を示すもので、2次バネが枕ばり-台車枠間に配置され、ボルスタアンカ・側受が車体-枕ばり間に配置されるインダイレクトマウント式と呼ばれるものもある。ボルスタアンカ・側受の機能はいずれにしても同じである。ボルスタアンカ・側受構造のさらに詳細な説明についてはボルスタアンカーの記事なども参照のこと。
ヨーダンパ
ダンパの一種であるヨーダンパは、蛇行動抑制のために車体と台車に接続されるものである[23]。台車の左右両側に配置して、ヨーイングによる両側で逆位相の前後振動を減衰させる。上記のような側受構造を持たない、ボルスタレス台車に主に用いられる[22]。ダンパはその特性から、速い動きにのみ抵抗し、ゆっくりした動きにはあまり抵抗しない。この特性により、曲線部における台車のゆるやかな回転は許容しつつ、高速振動である蛇行動のみを抑制する機構である[21]。
右図はヨーダンパの役割を模式的に示したものである。ボルスタレス台車においては、台車の回転は空気ばねの変形により行われる。とくに抑制機構のない場合は、空気ばねの減衰特性のみにより蛇行動に抵抗することとなる。一方、ヨーダンパは車体と台車の前後方向を拘束するように取り付けられる。台車は曲線通過時に回転しなければならないため、ヨーダンパ自体は伸縮を許容する構造となっているが、その伸縮部は高速振動を減衰させる機構を有しており、蛇行動を抑制する効果を発揮する。
日本においては、新幹線車両の500系で初めて採用され[24]、新幹線や特急形車両のほか、最高速度120km/h(JR東日本では130km/h)以上の近郊形電車を中心に採用されている。上記の通り、ボルスタアンカ・側受構造の代わりとして開発されたものなので、通常ボルスタレス台車に装備されるものだが、特殊な事例としては近鉄21000系の様にボルスタアンカー付きの台車にヨーダンパを装着している例も存在する。また、新幹線車両のE6系では、新幹線区間に加えて、曲線が多く曲線半径も小さい在来線区間を走行するため、減衰力切替式のヨーダンパを装備し、在来線区間を走行する際は減衰力を低減させて曲線通過性能の向上を図っている[19]。
通常のヨーダンパは台車-車体間で機能・配置されるものだが、新幹線のような高速車両では、編成の車体間にもヨーダンパが装備される場合がある[24]。通常のヨーダンパと区別して車体間ヨーダンパと呼ばれる。車体ヨーイング振動をさらに低減させる効果を発揮する。
左右独立車輪
蛇行動を引き起こさない輪軸構造として、左右独立車輪の研究がなされている。しかしながら、自己操舵機能を持たないことから、片方のレールや車輪が偏摩耗するなどの問題もあり、本格的な採用には至っていない。なお、近年の路面電車では左右独立車輪の採用事例が増えているが、その目的は蛇行動対策ではなく低床化である[25]。
脚注
- ^ a b c d 「鉄道技術用語辞典」
- ^ 「鉄道車両技術入門」p.1
- ^ a b c 「鉄道車両技術入門」pp.20-21
- ^ 「電車のメカニズム」pp.72-73
- ^ 「車両システムのダイナミックスと制御」p.8
- ^ a b 「車両システムのダイナミックスと制御」pp.10-11
- ^ a b c d 「鉄道車両のダイナミクス」p.26
- ^ 「Handbook of Railway Vehicle Dynamics」p.7
- ^ 「鉄道車両のダイナミクス」p.23
- ^ a b 「車両システムのダイナミックスと制御」p.127
- ^ 「車両システムのダイナミックスと制御」p.131
- ^ 「Handbook of Railway Vehicle Dynamics」p.13
- ^ a b 「軸箱柔支持台車の蛇行動波長」p.1731
- ^ a b 「鉄道車両のダイナミクス」pp.27-29
- ^ 「鉄道車両のダイナミクス」p.3
- ^ 「車両システムのダイナミックスと制御」p.134
- ^ a b c 「鉄道車両のダイナミクス」p.14
- ^ 「電車のメカニズム」p.71
- ^ a b c 「台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望」pp.12-13
- ^ a b 「電車のメカニズム」pp.43-44
- ^ a b 「車両システムのダイナミックスと制御」pp.111-112
- ^ a b 「ボルスタレス台車」p.35
- ^ 「電車のメカニズム」pp.16-17
- ^ a b 「新世代鉄道の技術」pp.96-97
- ^ 「新世代鉄道の技術」pp.188-189
参考文献
- 石井幸孝『入門鉄道車両』交友社、1970年。
- 伊原一夫『鉄道車両メカニズム図鑑』グランプリ出版、1987年。ISBN 978-4906189649。
- 宮本昌幸『図解・電車のメカニズム』(初版)講談社、2009年。ISBN 978-4-06-257660-4。
- 川辺謙一『図解・新世代鉄道の技術』(第1版)講談社、2009年8月20日。ISBN 978-4-06-257649-9。
- 近藤圭一郎 編『鉄道車両技術入門』(初版)オーム社、2013年7月20日。ISBN 978-4-274-21383-0。
- 日本機械学会 編『車両システムのダイナミックスと制御』(OD版初版)養賢堂、2008年10月20日。ISBN 978-4-8425-9901-4。
- 日本機械学会 編『鉄道車両のダイナミクス』電気車研究会、1994年。ISBN 4-88548-074-4。
- Simon Iwnicki, ed (2006). Handbook of Railway Vehicle Dynamics. United States: CRC Press. ISBN 0-8493-3321-0
- 小柳志郎、吉岡毅泰「軸箱柔支持台車の蛇行動波長」(pdf)『日本機械学会論文集C編』第53巻第492号、1987年8月25日、1728-1734頁、ISSN 03875024、NAID 110002390269。
- 岡本勲「ボルスタレス台車」(PDF)『Railway Research Review』、鉄道総合技術研究所、2008年7月、34-35頁。
- 小泉智志「台車技術からみた鉄道車両の高性能化の状況と今後の展望」(pdf)『新日鉄住金技報』第395巻、新日鉄住金、2013年、11-18頁。
- 鉄道総合技術研究所. “鉄道技術用語辞典”. 2013年9月22日閲覧。