「ニミッツ級航空母艦」の版間の差分
(100人を超える利用者による、間の185版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
{{Infobox 艦級 |
|||
{| class="wikitable" style="clear:right; float:right; margin: 0em 0em 1em 1em; width: 300px; background:#ffffff" |
|||
|名称 = <!--省略するとページ名を表示--> |
|||
|- |
|||
|画像 = US Navy 090731-N-3038W-003 The aircraft carrier USS Nimitz (CVN 68) and embarked Carrier Air Wing (CVW) 11 depart San Diego for a scheduled deployment to the western Pacific Ocean.jpg|300px |
|||
! colspan=3 style="color: white; height: 30px; background: navy;"| ニミッツ級航空母艦 |
|||
|画像説明 = CVN-68 ニミッツ |
|||
|- |
|||
|艦種 = [[航空母艦]]([[原子力空母]]) |
|||
|colspan=3 align=center|[[File:US Navy 090731-N-3038W-003 The aircraft carrier USS Nimitz (CVN 68) and embarked Carrier Air Wing (CVW) 11 depart San Diego for a scheduled deployment to the western Pacific Ocean.jpg|300px]] |
|||
|命名基準 = [[アメリカ海軍|海軍]]功労者・歴代[[アメリカ合衆国大統領|大統領]]。<br/>一番艦は[[チェスター・ニミッツ]][[元帥 (アメリカ合衆国)|元帥]]に因む。 |
|||
|- |
|||
|建造所 = [[ニューポート・ニューズ造船所]] |
|||
! colspan=3 style="color: white; height: 30px; background: navy;"| 艦級概観 |
|||
|運用者 = {{navy|USA}} |
|||
|- |
|||
|建造期間 = 1968年 - 1982年(1~3番艦)<br/>1981年 - 1998年(4~8番艦)<br/>1998年 - 2009年(9・10番艦) |
|||
|艦種||colspan=2|[[航空母艦]]([[原子力空母]]) |
|||
|就役期間 = 1975年 - 就役中 |
|||
|- |
|||
|建造数 = 10隻 |
|||
|艦名||colspan=2|[[アメリカ海軍|海軍]]功労者。一番艦は[[チェスター・ニミッツ]][[元帥 (アメリカ合衆国)|元帥]]に因む。 |
|||
|前級= [[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ(CVN-65)]] |
|||
|- |
|||
|次級= [[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|ジェラルド・R・フォード級]] |
|||
|style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|建造期間||colspan=2|1968年 - 2006年 |
|||
|基準排水量= 74,086[[トン数|トン]]以上{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|- |
|||
|満載排水量= 約100,000トン{{Efn2|name=Polmar|{{Harvnb|Polmar|2013|pp=113-117}}では、4番艦「[[セオドア・ルーズベルト (空母)|セオドア・ルーズベルト]]」(CVN-71) が満載排水量104,581トンと単独で史上最大の軍艦であり、姉妹艦はそれぞれ微妙に差があるが、全体で"2位グループ"を形成しているとしている。ただし{{Harvnb|Saunders|2015|pp=936-937}}では、5番艦以降は103,637トンで、4番艦は97,933トン、3番艦以前は92,955トンとしている。}} |
|||
|style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|就役期間||colspan=2|1975年 - 就役中 |
|||
|全長= 332.9 m{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|- |
|||
|垂線間長= 317 m{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|rowspan=3|建造費 |
|||
|最大幅= 89.4 m{{Sfn|Wertheim|2013|pp=831-833}} |
|||
|colspan="2"|CVN-69:6億7,900万[[アメリカ合衆国ドル|USドル]] |
|||
|水線幅= 40.8 m{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|- |
|||
|吃水= 11.3-12.1 m{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|colspan="2"|CVN-75:45億USドル |
|||
|原子炉= [[A4W (原子炉)|A4W]][[加圧水型原子炉]]×2基 |
|||
|- |
|||
|主機= [[蒸気タービン]]({{Convert|65000|hp|MW|abbr=on}})×4基 |
|||
|colspan="2"|CVN-77:62億USドル |
|||
|推進器= [[スクリュープロペラ]]×4軸 |
|||
|- |
|||
|出力= 260,000[[馬力|shp]] |
|||
|前級||colspan=2|[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ級航空母艦]] |
|||
|速力= 30[[ノット]] (推定){{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}} |
|||
|- |
|||
|乗員= |
|||
|次級||colspan=2|[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦]] |
|||
* 操艦要員 3,200名 |
|||
|- |
|||
* 航空要員 2,480名 |
|||
! colspan=3 style="color: white; height: 30px; background: navy;"| 性能諸元 |
|||
* 司令部要員 60名 |
|||
|- |
|||
|兵装= |
|||
|rowspan=3|[[排水量]] |
|||
* [[ファランクス (火器)|ファランクス]] [[CIWS]]×2基<br/>※CVN-72、74、75×3基<ref>世界の艦船2022年8月号28頁</ref> |
|||
|colspan="2"|軽荷:78,280 [[トン数|t]] - 80,750 t |
|||
* [[シースパロー (ミサイル)#IBPDMS (NSSMS)|シースパロー]][[艦対空ミサイル#個艦防空ミサイル|短SAM]] 8連装発射機×2基 |
|||
|- |
|||
* [[RAM (ミサイル)|RAM]][[艦対空ミサイル#近接防空ミサイル|近SAM]] 21連装発射機×2基 |
|||
|colspan="2"|基準:80,000 t以上 |
|||
|搭載機= |
|||
|- |
|||
* [[CATOBAR|CATOBAR機]] + [[ヘリコプター]]<br/>冷戦期:90機、現在:70機前後 |
|||
|colspan="2"|満載:95,413 t - 102,000 t以上 |
|||
* [[F-14 (戦闘機)|F-14]](退役)、[[F/A-18 (航空機)|F/A-18A-D]]/[[F/A-18E/F (航空機)|E/F]]、[[A-6 (航空機)|A-6]](退役)、[[E-2 (航空機)|E-2]]、[[EA-6 (航空機)|EA-6B]](退役)、[[EA-18G (航空機)|EA-18G]]、[[S-3 (航空機)|S-3]](退役)、[[C-2 (航空機・アメリカ)|C-2]]、[[SH-60 (航空機)|H-60]]、ほか |
|||
|- |
|||
|レーダー= |
|||
|全長||colspan=2|330 m - 333 m |
|||
* [[AN/SPS-48|AN/SPS-48E]] [[3次元レーダー|3次元式]]×1基 |
|||
|- |
|||
* [[AN/SPS-49]] 対空捜索用×1基 |
|||
|全幅||colspan=2|船体幅:41 m / 発着甲板幅:76.8 m |
|||
* [[AN/SPS-67]] 対水上捜索用×1基 |
|||
|- |
|||
* AN/SPS-64 航海用×1基 |
|||
|吃水||colspan=2|11.3 m - 12.5 m |
|||
* AN/SPN-43B 航空管制用×1基 |
|||
|- |
|||
* [[:en:AN/SPN-46 radar|AN/SPN-46]] 精測進入用×1基 |
|||
|rowspan="4"|機関 |
|||
* Mk.95 短SAM射撃指揮用×4基 |
|||
|colspan="2"|[[蒸気タービン]],(260,000[[馬力|hp]]) |
|||
|電子戦= |
|||
|- |
|||
* [[AN/SLQ-32]](v)4 電波探知妨害装置 |
|||
|A4W[[加圧水型原子炉]]||2基 |
|||
* NULKA ([[:en:Nulka|en]]) [[デコイ (兵器)|デコイ]]・システム |
|||
|- |
|||
* [[Mk 36 SRBOC|Mk.137]] デコイ発射機×4基 |
|||
|[[蒸気タービン]]||4基 |
|||
}} |
|||
|- |
|||
'''ニミッツ級航空母艦'''(ニミッツきゅう こうくうぼかん、{{Lang-en|''Nimitz''-class aircraft carrier}})は、[[アメリカ海軍]]の[[原子力空母]]の{{仮リンク|船級 (総称)|label=艦級|en|Ship class}}。世界で初めて量産された原子力空母であり、世界最大級・史上最大級の[[軍艦]]としても知られる{{Efn2|name="Polmar"}}。 |
|||
|[[スクリュー|推進器]]||4軸 |
|||
|- |
|||
|style="white-space:nowrap; font-size:smaller"|最大速力||colspan=2|30+[[ノット]](56+km/h) |
|||
|- |
|||
|乗員||colspan=2|操艦:3,200名 - [[空母航空団|航空団]]:2,480名 |
|||
|- |
|||
|rowspan=3|兵装 |
|||
|[[ファランクス (火器)|ファランクス]] [[CIWS]]<br/>※CVN-68、69、76、77以外||3基 |
|||
|- |
|||
|[[シースパロー (ミサイル)#IBPDMS (NSSMS)|シースパロー]][[艦対空ミサイル#個艦防空ミサイル|短SAM]] 8連装発射機||2基 |
|||
|- |
|||
|[[RAM (ミサイル)|RAM]][[艦対空ミサイル#近接防空ミサイル|近SAM]] 21連装発射機||2基 |
|||
|- |
|||
|rowspan=2|搭載機 |
|||
|colspan="2"|[[航空機の離着陸方法#通常離着陸機|CTOL機]] + [[ヘリコプター]]<br/>冷戦期:90機、現在:70機前後 |
|||
|- |
|||
|colspan="2"|[[F-14 (戦闘機)|F-14]]、[[F/A-18 (航空機)|F/A-18A-D]]・[[F/A-18E/F (航空機)|E/F]]、[[A-6 (航空機)|A-6]]、[[E-2 (航空機)|E-2]]、[[EA-6 (航空機)|EA-6B]]、[[EA-18G (航空機)|EA-18G]]、[[S-3 (航空機)|S-3]]、[[C-2 グレイハウンド (航空機)|C-2]]、[[SH-60 シーホーク|H-60]]等<br /> |
|||
|} |
|||
'''ニミッツ級航空母艦'''(ニミッツきゅうこうくうぼかん、'''Nimitz class aircraft carrier''')は、[[アメリカ海軍]]が開発した世界最初の量産[[原子力空母]]の艦級。40年以上の期間をかけて全10隻が建造された。世界最大の[[軍艦]]としても知られる。 |
|||
[[ネームシップ]]の建造は[[1967年|1967]][[年度]]計画によって着手され、[[2001年]]度計画による「[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|ジョージ・H・W・ブッシュ]]」に至るまで、計10隻が建造された{{Sfn|Saunders|2015|pp=936-937}}。このように長期間に亘って多数が建造されたことから、順次に工法や設計の改訂が図られており、{{仮リンク|アメリカ海軍協会|en|United States Naval Institute}}(USNI) では4~10番艦を、また『[[世界の艦船]]』誌では9・10番艦を、それぞれ独立した艦級('''改ニミッツ級''')として扱っている{{Sfn|Wertheim|2013|pp=831-833}}{{Sfn|大塚|2014|pp=156-169}}。またこのように改良が重ねられた結果、「'''空母という艦種は同級で完成した'''」と称されるほど高い評価を得ている{{Sfn|大塚|2014|pp=156-169}}。 |
|||
==概要== |
|||
[[アメリカ合衆国]]では1958年度に計画した最初の原子力空母『[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]』に続き、1960年度には2隻目の原子力空母の建造が[[アメリカ合衆国議会|議会]]承認されたが、巨額の建造費を理由に[[ドワイト・D・アイゼンハワー|ドワイト・アイゼンハワー]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]によって通常動力型に変更された。以来2隻の通常動力型空母を経て、9年ぶりとなる1967年度計画で承認されたのが本級である。 |
|||
== 来歴 == |
|||
当初ニミッツ級は[[ミッドウェイ級航空母艦|ミッドウェイ級]]3隻の代替として計画され、2番艦『[[ドワイト・D・アイゼンハワー (空母)|アイゼンハワー]]』が1970年度、3番艦『[[カール・ヴィンソン (空母)|ヴィンソン]]』が1974年度に計画された。その後[[600隻艦隊構想]]によって3隻が追加されることとなり、4番艦『[[セオドア・ルーズベルト (空母)|ルーズベルト]]』が1980年度計画で承認された。以後数年毎の間隔を経て10番艦『[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|ブッシュ]]』まで建造され、現用空母として最大勢力を誇る一大ファミリーとなり、アメリカ合衆国[[シーパワー]]の象徴と呼べる存在になっている。 |
|||
[[第二次世界大戦]]後の[[核戦争]]時代の到来を受け、[[アメリカ空軍|空軍]][[戦略航空軍団]]への対抗もあり、アメリカ海軍は大型の[[艦上爆撃機]]を運用できる[[超大型空母]]の保有を志向した。[[1949年]]度計画の空母「[[ユナイテッド・ステーツ (空母)|ユナイテッド・ステーツ]]」([[排水量#基準排水量|基準排水量]] 66,400 t)は挫折したものの、[[朝鮮戦争]]で[[空母航空団]]の存在意義が再確認されたこともあり、1952年度計画より[[フォレスタル級航空母艦|フォレスタル級]](基準排水量 59,900 t)の建造が認可され、同型4隻が建造された{{Sfn|海人社|2007}}。その[[ネームシップ]]は予算 1.9億[[アメリカ合衆国ドル|USドル]]であったが、その後、値上がりして、改良型である[[キティホーク級航空母艦|キティホーク級]]の[[キティホーク (空母)|ネームシップ]]では 2.6億USドルとなった{{Sfn|中名生|1994}}。 |
|||
一方、1950年の時点で、当時の[[アメリカ海軍作戦部長]]であった[[フォレスト・シャーマン]][[大将]]によって、空母を含めた水上艦の原子力推進化の可能性検討が指示されていた。しかし、この時点では非常に高コストであったことから[[アメリカ原子力委員会|原子力委員会]]が賛成せず、1958年度計画でやっとキティホーク級をベースとした初の原子力空母として「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]」の建造が認可された。ただし、艦型拡大(満載排水量にして9,000トン増大)もあり、建造費は7割増の4.5億ドルとなった。これもあり、[[ドワイト・D・アイゼンハワー|アイゼンハワー]]政権下では、1959年度・1960年度ともに空母建造予算が認められず、1961年度・1963年度に各1隻の建造が認可されたものの、原子力推進の実績がまだ乏しかったこともあり、これらは在来型の[[キティホーク級航空母艦|キティホーク級]]とされた{{Sfn|中名生|1994}}。 |
|||
ネームシップ『[[ニミッツ (空母)|ニミッツ]]』の就役(1975年)から殿艦『ブッシュ』(2009年)まで、33年以上もの間隔が開いており、また45~50年と想定される艦歴<ref>『アメリカ合衆国会計検査院1998年 通常動力と原子力の空母のコスト比較』より</ref>を陳腐化することなく全うするため、逐次設計変更や改装が行われている。中でも5番艦『[[エイブラハム・リンカーン (空母)|リンカーン]]』以降は装甲防御の強化を主眼とした大規模な改良によって、軍艦として史上初めて満載排水量10万tを超過した。また、殿艦『ブッシュ』は次級[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|ジェラルド・R・フォード級]]へのつなぎとして様々な新機軸を採用した。 |
|||
その後、原子力推進技術の成熟を受け原子力委員会は1963年度計画のキティホーク級[[ジョン・F・ケネディ (空母・初代)|最終艦]]の原子力推進化を勧告したものの、同年10月に完成の遅延を理由として[[ロバート・マクナマラ]][[アメリカ合衆国国防長官|国防長官]]は変更の中止(通常推進の維持)を決定した。1964年6月になって「エンタープライズ」の原子炉8基式よりも安価な2基式が実現可能となり、1965年度予算説明においてマクナマラ長官は高性能の原子炉の研究成果を受けて原子力艦隊の創設を発表した。原子力空母4隻体制が認可されたことから、[[ミッドウェイ級航空母艦|ミッドウェイ級]]3隻を代替して、新型原子力空母3隻の建造が計画された。これにより建造されたのが本級である{{Sfn|中名生|1994}}。 |
|||
本級は炉心寿命の問題から就役期間中に[[原子炉]][[燃料棒]]の交換が必要とされ、船体を切断しての数年掛かりの大規模な改装工事「RCOH<ref>RCOH=Refueling and Complex OverHaul(炉心交換工事)</ref>」が逐次実施されている。現在3番艦『ヴィンソン』まで完了し、2013年に『ルーズベルト』が完了の予定だが、近年のアメリカ政府の財政赤字のため計画の遅延が出始めており、改装完了しても出港を延期したり、改修前に契約が出来ずに留め置かれている状況が発生している。 |
|||
[[ニミッツ (空母)|ネームシップ]]の建造は1967年度計画で着手され、残り2隻は1969・1970年度計画とされたがマクナマラ長官の解任と政権交代に伴ってそれぞれ1970年度・1974年度に遅延した。また[[ニューポート・ニューズ造船所]]のストライキもあり、建造には3隻ともに7年を要することとなった。その後、一度は4番艦の建造が認可されたものの、比較的小型の通常動力型空母{{Enlink|Aircraft Carrier (Medium)|CVV}}計画の台頭に伴い、[[ジェラルド・R・フォード]][[アメリカ合衆国大統領|大統領]]は1977年度予算からその要求を削除した。[[ジミー・カーター]]大統領もCVV計画を支持し、[[アメリカ合衆国議会|議会]]の[[アメリカ合衆国下院|下院]]は1979年度予算に4番艦の建造費を追加したが、大統領はその執行を拒否した。翌1980年度予算ではCVVの建造が盛り込まれる計画であったが、当初の小型空母から満載67,000トンの中型空母に肥大化して低コスト性が失われており、[[イランアメリカ大使館人質事件]]の影響もあり、[[アメリカ合衆国上院|上院]]・下院が原子力空母の建造を勧告したことから、CVVにかえて本級[[セオドア・ルーズベルト (空母)|4番艦]]が建造されることとなった。その後、[[ロナルド・レーガン|レーガン]]政権下で打ち出された[[600隻艦隊構想]]を受け、1983年度予算で[[エイブラハム・リンカーン (空母)|5番艦]]・[[ジョージ・ワシントン (空母)|6番艦]]、[[ジョージ・H・W・ブッシュ|大ブッシュ]]政権下でも[[ジョン・C・ステニス (空母)|7番艦]]・[[ハリー・S・トルーマン (空母)|8番艦]]と追加され{{Sfn|中名生|1994}}、最終的に[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|10番艦]]までが建造されることとなった{{Sfn|海人社|2007}}。 |
|||
==設計== |
|||
本級の基本設計は先に建造された『エンタープライズ』を範としつつ、多くの改良が施されている。また前述のように建造・就役期間が長期に亘るため、機会を捉えての改装が逐次施されている。 |
|||
== |
== 設計 == |
||
=== 船体 === |
|||
上述の通り、前級『エンタープライズ』の改良型である。全長は前級の341mから10m弱短縮されたために「最長の軍艦」とはならなかったが、艦幅の拡大(水線38.5m→40.8m)や吃水の増加(10.8m→11.3m<ref>『ルーズベルト』11.8m、『リンカーン』以降11.9m。『ブッシュ』は12.1m。</ref>)によって排水量では上回った(満載83,350t→95,413t<ref>『ルーズベルト』96,386t、『リンカーン』以降102,000t。</ref>)。なお原子力空母である本級は自艦用の燃料を必要としないため、大量の物資を搭載しており、必要に応じて僚艦に補給されることもあるため、これら搭載物資用のスペース確保も排水量増大に一役買っている。また、これらの数値は就役時点のものであり、'''改修によって逐次変動している'''ので留意されたい。 |
|||
[[ファイル:USS Nimitz (CVN-68), USS Theodore Roosevelt (CVN-71) and USS Ronald Reagan (CVN-76) underway in the Western Pacific on 12 November 2017 (171112-N-LB724-346).jpg|thumb|400px|left|上から1番艦、9番艦、4番艦(2017年)所々で差異が確認できる。]] |
|||
ニミッツ級の設計は、おおむね超大型空母の嚆矢であるフォレスタル級のものを踏襲・拡大したものとなっている。約40年間にわたり順次改良されつつ建造され、就役後にもたびたび改装されていることから、各艦ごとにかなりの差異がある{{Sfn|海人社|2008}}。とくに9・10番艦は[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|次級]]へのつなぎとして様々な新機軸を採用しており、改ニミッツ級と称されることもある{{Sfn|海人社|2013}}。本級の運用寿命は45 - 50年と想定されている<ref>『アメリカ合衆国会計検査院1998年 通常動力と原子力の空母のコスト比較』</ref>。 |
|||
強度甲板は飛行甲板とされており、重装甲が施されている。その下には、1層のギャラリー・デッキを挟んで[[格納庫|ハンガー]]が設置されている。外見から受ける印象と異なり、上甲板にあたる主甲板はハンガー床面とされており、飛行甲板はレベル03の天井である04甲板に相当することから、艦の規模に比して乾舷は小さい。主甲板の下には第2~4甲板が設けられ、その下方はレベル5 - 8までの機関区画となっている。水線下に4層程度の空間装甲構造も含む防御構造が設けられ、艦底は二重底である。推進効率向上のため[[バルバス・バウ]]を採用しているが、9番艦からさらに大型化されており以前の艦へバックフィットも検討されている{{Sfn|海人社|2008}}。 |
|||
『[[ジョン・C・ステニス (空母)|ステニス]]』以降は構造部材にHSLA-100[[高張力鋼]]が採用された。 |
|||
水線長比は7.8で、「エンタープライズ」とほぼ同値で「キティホーク」の7.6よりも若干細長い{{Sfn|海人社|2008}}。船型は抵抗上不利な肥えたものが採用され、速力はやや犠牲とされた。「エンタープライズ」と比べると、特にニミッツ級初期建造艦は、排水量が若干減少した一方で、航空燃料は257万ガロンから300万ガロン、航空弾薬は2,500トンから2,970トンへと、それぞれ搭載量が増加したことから、居住性の低下が指摘されている。燃料タンクは、従来通り空所と重層化して舷側に配置されて[[装甲#工夫・技術|空間装甲]]を兼ねるが、弾薬庫の配置は、従来の3か所から2か所に削減し、艦の全長に占める割合を減らすことで脆弱性を低減している{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
外観では[[艦橋|アイランド]]が[[キティホーク級航空母艦|キティホーク級]]準拠となり、SPS-32・33[[フェーズドアレイレーダー|フェイズド・アレイ・レーダー]]を四面に張り巡らせた前級とは大きく印象が異なる(というより前級が異端であった)。ブリッジは3層で構成され、下段を司令部、中段を航海艦橋とし、上段は発着管制に充てられた<ref>そのため、上段の窓は飛行甲板を見渡せる左舷側にのみ開けられている。</ref>。アイランド頂部並びに直後には各種電子装備を据え付けるためのマストが設けられている。この構成は近年の改装の機に改められ、ラティス構造の閉囲を経て[[ステルス性]]を向上させた新型のマストをアイランドと一体化させたものに逐次更新している。 |
|||
抗堪性向上のため、[[セオドア・ルーズベルト (空母)|4番艦]]以降では弾薬庫の舷側に一部とはいえ2.5インチ厚のケブラー板が張られ、また弾薬庫と機械室の天井が二重構造とされており、これにより満載排水量にして5,000トンほど大きくなり、「エンタープライズ」より大きくなった。5・6番艦ではさらに飛行甲板の装甲を増強するとともに上部構造物にも装甲を施したことにより、満載排水量10万トンの大台を超えた。7番艦以降では、さらに構造部材にHSLA-100[[高張力鋼]]が採用された{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
===兵装=== |
|||
本級の固有兵装は個艦防御用に限られる。当初計画では[[ターター・システム|ターターSAM]]発射機2基と[[Mk 33 3インチ砲|Mk 33 50口径3インチ連装両用砲]]2基4門が考えられていたが、結局以下のようになった。 |
|||
{| class="wikitable" style="text-align:center" |
|||
;[[シースパロー (ミサイル)#IBPDMS (NSSMS)|シースパロー短SAM]] |
|||
|+ ニミッツ級の変遷(就役時) |
|||
:1~2番艦は、Mk.25発射機(8連装)計3基を右舷前部と艦尾両舷のスポンソンにそれぞれ配置した。 |
|||
! |
|||
:3番艦以降はこれをMk.29発射機に改め、80年代以降の改装で先の2隻も同じく更新した。 |
|||
!CVN-68 - 70 |
|||
!CVN-71 - 75 |
|||
!CVN-76,77 |
|||
|- |
|||
!基準排水量 |
|||
|72,916 t |
|||
|73,973 t |
|||
|77,000 t以上 |
|||
|- |
|||
!満載排水量 |
|||
|91,487 t |
|||
|96,386 t |
|||
|100,000 t以上 |
|||
|- |
|||
!喫水 |
|||
|11.3 m |
|||
|11.8 m |
|||
|12.1m |
|||
|} |
|||
艦橋構造はキティホーク級準拠のアイランドとされており、[[SCANFAR]][[フェーズドアレイレーダー|フェイズド・アレイ・レーダー]]を四面に張り巡らせた前級と大きく印象が異なる。ブリッジは3層で構成され、下段を司令部、中段を航海艦橋とし、上段は発着管制に充てられた{{Efn2|そのため、上段の窓は飛行甲板を見渡せる左舷側にのみ開けられている。}}。アイランド頂部並びに直後には各種電子装備を据え付けるためのマストが設けられている。この構成は近年の改装の機に改められ、ラティス構造の閉囲を経て[[ステルス性]]を向上させた新型のマストをアイランドと一体化させたものに逐次更新しており、[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|10番艦]]では新造時からこの構造が採用された。 |
|||
;[[RAM (ミサイル)|RAM近SAM]] |
|||
:改装時にファランクスCIWS・シースパロー発射機の一部を置き換え、21連装発射機が逐次搭載されている。 |
|||
=== 機関 === |
|||
;[[ファランクス (火器)|20mmファランクスCIWS]] |
|||
[[原子力船]]であるニミッツ級は主機関としてはもちろん原子力推進を採用しており、原子炉には[[加圧水型原子炉|加圧水型]]の[[A4W (原子炉)|A4W]] 2基を搭載する。A4Wは、[[アメリカ海軍]]が空母用に開発した4番目の原子炉であり、Aは空母用であることを、Wはメーカーの[[ウェスティングハウス・エレクトリック]]を意味する記号である。「[[エンタープライズ (CVN-65)|エンタープライズ]]」ではやはり加圧水型のA2Wを搭載していたが、原子炉出力が低かったために8基という多数を搭載せざるを得なかったことから、2基に削減できたニミッツ級では、船体スペースの活用等で大きな恩恵があったとされている{{Sfn|野木|2008}}。 |
|||
:3~8番艦は新造時より、1~2番艦も改装によって3基乃至4基のファランクスCIWSを装備したが、9~10番艦は装備していない。 |
|||
:配置箇所は右舷前部のシースパロー短SAM発射機近傍、左舷前部スポンソン、後部両舷、あるいは艦尾[[ジェットエンジン]]整備・試験スペース等である。 |
|||
A4Wは熱出力550MWで、蒸気タービンを駆動して得られる軸出力は公称130,000馬力(97,000 kW)、電力にして26,000 kWとされており{{Sfn|吉原|1994}}、日本の商用原子炉の電気出力と比べると数分の1から十数分の1に相当する。[[アメリカ合衆国国務省|アメリカ国務省]]の公式な資料においても、「海軍の原子炉の出力は、最大級のものでも、アメリカの大規模な商業炉のものの5分の1に満たない」とされている{{Efn2|この際には2基のA4Wが集合的に捉えられていると考えられている。}}<ref>{{Cite web|author=[[アメリカ合衆国国務省]]|date=2006-04-17|url=https://www.mofa.go.jp/region/n-america/us/security/fact0604.pdf|title=Fact Sheet on U.S. Nuclear Powered Warship (NPW) Safety|format=PDF|language=英語|accessdate=2013-11-24}}</ref>。 |
|||
;その他 |
|||
:一時期、ウェーキ・ホーミング魚雷対策として[[Mk 32 短魚雷発射管|Mk 32 324mm短魚雷3連装発射管]]を後部に装備した艦があった。 |
|||
:テロ対策として、キャット・ウォークに[[ブローニングM2重機関銃|M2 12.7mm重機関銃]]を配置することがある。<ref>員数外の装備であり、カタログデータに反映されない。</ref> |
|||
軍艦の原子炉は通常は巡航出力を発揮するため15パーセント程度の出力で運転されているが、戦闘時には1分以内に100パーセントの全力運転に移行できる。また、停泊中は停止されている。なお、原子炉は主機関のほかカタパルトへの高圧蒸気供給も担っている{{Sfn|野木|2008}}。 |
|||
===電子兵装=== |
|||
ニミッツ級は炉心寿命の関係で就役期間中に[[原子炉]][[燃料棒]]の交換が必要であり、船体切断を伴う2・3年掛かりの大工事である燃料交換・大規模整備 (Refueling and Complex OverHaul, [[:en:Refueling_and_Overhaul#Refueling_and_Complex_Overhaul|RCOH]]) が逐次実施されている。核燃料交換のサイクルは、当初13年に一度と推定されていたが{{Efn2|このため、元々は約30年(1回のRCOHを挟んだ26年の運用)で退役する予定だった。{{Sfn|Schank|Smith|Alkire|Arena|2005|pp=7}}}}、運用初期の経験から通常の運用であれば22~23年に一度で済むことが判明したため、23年に一度となった{{Sfn|Schank|Smith|Alkire|Arena|2005|pp=7}}。2005年に3番艦「[[カール・ヴィンソン (空母)|カール・ヴィンソン]]」が、2009年に4番艦「[[セオドア・ルーズベルト (空母)|セオドア・ルーズベルト]]」が工事に入っている。これらのRCOHは、建造を担当したニューポート・ニューズ造船所 (NNSB) でしか行うことができないとされている{{Sfn|野木|2008}}。 |
|||
===防御=== |
|||
本級はアメリカにとって最重要艦種の一つであり、[[規制が議論されている兵器|NBC]]対策を初めとした各種防御も非常に充実しているとされる。 |
|||
== 能力 == |
|||
「とされる」というのは、本級の防御構造の詳細が知られていないためであるが、例えば10万tを超えた『[[ジョージ・ワシントン (空母)|ワシントン]]』の重量増分(『ルーズベルト』から約5,600t増)の多くが装甲重量に割かれたとされることなどからある程度の類推は可能である。 |
|||
=== C4ISR機能 === |
|||
[[ファイル:The information exchange systems structure around the CVSG.png|thumb|400px|left|CVSG内外に展開された情報システムの構造。]] |
|||
ニミッツ級は、[[空母打撃群]] (CVSG) {{Efn2|2006年以前は空母戦闘群 (CVBG) と呼称されていた。}}の[[旗艦]]となることから、充実した司令部設備を備えている。[[作戦術]]レベルの指揮・統制中枢となるのが、[[タスクフォース#一覧|任務部隊]]などの司令官の指揮所となる群司令部指揮所 (TFCC) である。当初、司令部幕僚の作業はほとんどが手作業であったが、1980年代初頭、[[ジェリー・O・タトル]]提督が司令部用部隊管理費から捻出した予算で[[JOTS|AN/USQ-112 統合作戦戦術システム (JOTS)]] を組み上げて以後、自動化が急速に進展した。2013年現在、本級をはじめとする空母のTFCCでは、地上の艦隊司令部指揮所 (FCC) や[[国家軍事指揮センター]] (NMCC) と情報を共有するための[[GCCS|汎地球指揮統制システム (GCCS)]]、艦隊の各艦と情報を共有するためのGCCS-M、そして艦の戦術情報を共有するための[[海軍戦術情報システム]] (NTDS) という3つの主要な指揮・統制システムが集中している。また、その指揮・統制を支援するため、空母インテリジェンス・センター (CVIC) も設置される。これは、艦隊自身が収集した情報や上級司令部あるいは[[Integrated Broadcast Service|統合同軸報送信サービス (IBS)]] を通じてもたらされた情報([[偵察衛星]]・[[偵察機]]や[[諜報活動]]による情報)を総合・分析する部署である。アメリカ海軍では、TFCCからもたらされる作戦 (OPS) 情報とインテリジェンス (INTEL) 情報を総合することにより、はじめて作戦指揮官の健全な[[意思決定]]が可能になると規定している{{Sfn|大熊|2006}}。 |
|||
これに対し、戦術レベルの指揮・統制中枢となるのが空母艦長の指揮所である空母戦闘指揮所 (CDC) であり、ここにはGCCS-MとNTDSが設置され、空母個艦の行動を指揮・統制する{{Sfn|大熊|2006}}。NTDSの後継として先進戦闘指揮システム ([[:en:Advanced combat direction system|ACDS]]) の開発が試みられたものの、これは成功しなかった。その後、より包括的な統合戦闘システムとして[[艦艇自衛システム#SSDS_Mk.2|艦艇自衛システム (SSDS Mk.2)]] が開発され、mod.1が本級の一部にも装備化されている{{Sfn|野木|2006}}。空母自身のセンサーとしては、[[3次元レーダー]]として[[AN/SPS-48|AN/SPS-48E]]、これを補完する長距離対空捜索レーダーとして[[AN/SPS-49]](V)5、対水上捜索レーダーとして[[AN/SPS-67]]が搭載される{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
なお、バイタルパートに2.5インチ(64mm)の[[ケブラー]]装甲が貼られていることは判明している<ref>『Aircraft carriers: an illustrated history of their impact』(ABC-CLIO Ltd.)より。</ref>。 |
|||
{{-}} |
|||
===機 |
=== 航空運用機能 === |
||
==== 発着艦設備 ==== |
|||
本級最大の特徴の一つである原子炉はA4W[[加圧水型原子炉|加圧水型]]2基を採用しており、A2W加圧水型8基を搭載した前級から著しく進歩している。これによって4基の蒸気タービン(26万馬力)を回し、30ノット超の最大速力を発揮する<ref>非公式には公試で31.5ノットを発揮したとされる。</ref>。 |
|||
[[ファイル:Flugdeck USS Nimitz.jpg|thumb|250px|left|「ニミッツ」の飛行甲板(1997年)]] |
|||
[[ニミッツ級航空母艦#船体|船体の項]]に上記したとおり、ニミッツ級では04甲板(レベル03の天井)が全通した[[飛行甲板]]とされており、全長332.9メートル×最大幅76.8メートル、面積にして4.5エーカー(1.8ヘクタール)を確保した。飛行甲板上には[[アングルド・デッキ]]が設定されており、長さは243メートル、船体中心線に対する角度は9度3分で、甲板長が長いことから、「[[キティホーク (空母)|キティホーク]]」の11度と比して小さい角度で済んでいる{{Sfn|海人社|2008}}。また7番艦以降では0.1度増した{{Sfn|海人社|2011}}。 |
|||
[[ファイル:USS Harry S. Truman (CVN-75) flight deck.jpg|thumb|250px|「ハリー・S・トルーマン」の飛行甲板]] |
|||
===航空艤装=== |
|||
飛行甲板上の配置は「キティホーク」以降のそれが踏襲されている。カタパルトは飛行甲板前方に2基(第1・2)、アングルド・デッキ上にさらに2基設置されている。機種としては、キティホーク級が搭載したMk.13の改良型であるMk.13-1が採用されており、4番艦以降ではさらに改良強化されたMk.13-2に改められた。カタパルト長は94メートル、フル装備のF/A-18を2秒で265キロメートル毎時に加速させることができる。また5番艦までは航空要員が飛行甲板に体を露出させてカタパルトを操作していたのに対し、6番艦以降では、NBC防護の観点から、第1・2および第3・4カタパルトの間にそれぞれ統合カタパルト管制室 (ICCS) が設置されている{{Sfn|海人社|2008}}。なお、1番艦は前級までと同じく3基のブライドル・レトリーバーを搭載して竣工したが、その後これを不要とする機体が主流となっていったため、2番艦は艦首右舷側1基のみとした。4番艦以降は全廃している。 |
|||
;[[飛行甲板]] |
|||
:本級の飛行甲板は全長332.9m、最大幅76.8m、面積は4.5エーカー(1.8ヘクタール)に達する。 |
|||
一方、[[アレスティング・ギア]](着艦制動装置)としてはMk.7-3が採用されており、105ノットで進入してくる重量22.7トン(非常時は27.2トンまで)の機体を安全に停止できる。装備要領としては、アングルド・デッキ後部に、8番艦までは4本のアレスティング・ワイヤー(着艦制動索)が張られていたが、着艦精度の向上を受けて、9番艦以降では3本となった{{Sfn|海人社|2008}}。また3本目と4本目のワイヤーの間には、[[アレスティング・フック]]が故障した機体等を強制的に停止させるため、ネット状のクラッシュ・バリアー(滑走制止装置)が設置されている{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
;格納庫 |
|||
:全長208.5m、最大幅32.9m。 |
|||
多数機を同時運用することから、ニミッツ級は充実した[[航空交通管制|航空管制]]能力を備えている。 |
|||
;エレベータ |
|||
:前級までと同じく外舷側に向けて前側半分程より広げた、変形五角形のサイド・エレベータを右舷アイランド前方2基、後方1基、左舷後方1基の計4基装備する。このエレベータは主翼を折りたたんだままの[[艦載機]]2機を同時に載せて昇降することができる。 |
|||
遠距離から航空機を誘導するための[[電波航法]]装置としては、AN/URN-25[[戦術航法装置]] (TACAN) が用いられる。これに基づいて艦に接近した航空機はAN/SPN-43B 航空管制用捜索レーダーにより捕捉される。これは晴天時には50海里、雨天時でも35海里の探知距離を備えており、対空捜索レーダーの補完としても用いられる。さらに接近してからは、AN/SPN-42、あるいは[[:en:Low probability of intercept radar|LPI]]化されたAN/SPN-46[[精測進入レーダー]]が用いられる。条件次第では自動着艦も可能であり、本級では2基が備えられていることから、同時に2機の発着艦が可能である{{Sfn|宮本|1994}}。 |
|||
;[[カタパルト]] |
|||
:前級までと同じく艦首2基、[[アングルド・デッキ]]上2基の4基を装備した。機種はC-13-1で、キティホーク級が搭載したC-13の改良型である。『リンカーン』以後はさらに改良強化したC-13-2に改められた。 |
|||
==== 格納・補給 ==== |
|||
;ブライドル・レトリーバー |
|||
[[ファイル:US Navy 090529-N-1062H-042 Supply and deck department Sailors transfer cargo in the hangar bay of the aircraft carrier USS George Washington (CVN 73) during a replenishment-at-sea.jpg|thumb|250px|「ジョージ・ワシントン」のハンガー]] |
|||
:1番艦『ニミッツ』は前級までと同じく3基を搭載して竣工したが、その後これを不要とする機体が主流となっていったため、2番艦『アイゼンハワー』は艦首右舷側1基のみとした。4番艦『ルーズベルト』以降は全廃している。 |
|||
飛行甲板の下に1層のギャラリー・デッキをおいて[[格納庫|ハンガー]]が設けられている。全長208.5メートル、最大幅32.9メートルで、高さは3層分、8.1メートルである。船体長の60パーセントを占めるものの、搭載機すべてを収容する容積はなく、主として整備スペースとして用いられる。[[ダメージコントロール]]の必要上、ハンガーは2枚の防火・耐爆シャッターによって3分割することができる。また艦尾側には露天で艦上機エンジンの試運転場も設けられている{{Sfn|海人社|2008}}。 |
|||
{{For2|搭載機の変遷|空母航空団#編制の変遷}} |
|||
;アレスティング・ギア(着艦制動索) |
|||
:Mk.7Mod3をアングルド・デッキ後部に8番艦『[[ハリー・S・トルーマン (空母)|トルーマン]]』までは4本、『[[ロナルド・レーガン (空母)|レーガン]]』と『ブッシュ』は3本装備している。 |
|||
飛行甲板とハンガーを連絡するエレベータとしては、右舷アイランド前方2基、後方1基、左舷後方1基の計4基装備する。これらはいずれもデッキサイド式で、寸法は25.9メートル×15.9メートル、力量58.5トンで、前級までと同じく外舷側に向けて前側半分程より広げた変形五角形となっており、主翼を折りたたんだままの[[艦上戦闘機]]2機を同時に載せて昇降することができる。このほか、兵装用のエレベータが9基設けられている{{Sfn|海人社|2008}}。 |
|||
;燃料・弾薬 |
|||
:キティホーク級は[[ジェット燃料|航空燃料]](JP-5)5,900t、弾薬1,250tを搭載していたが、ニミッツ級は航空燃料9,000t、弾薬2,000t(2,900t説あり)に増え、航空作戦継戦能力は、キティホーク級11日、『エンタープライズ』12日であるのに対し、ニミッツ級は16日と伸びている。 |
|||
また燃料・弾薬の搭載量も大幅に増強されており、最後の通常動力型空母である「[[ジョン・F・ケネディ (空母・初代)|ジョン・F・ケネディ]]」と比較すると、同艦では[[ジェット燃料|航空燃料]] (JP-5) 5,919トン、航空機用武器・弾薬1,800トンを搭載していたのに対し、本級ではそれぞれ、4割増の8,205トン、3割増の2,470トンとなっている。これにより継戦能力は飛躍的に強化され、「ジョン・F・ケネディ」では連続9日ないし11日が限界であったのに対し、ニミッツ級では無補給で最大16日の作戦行動が可能となっている{{Sfn|宮本|1994}}。 |
|||
====艦載機==== |
|||
各種艦載機80~105機程度の搭載・運用が完成時点では想定されていた。しかし全機を格納庫に収容することはできず、一定数は露天繋止の状態であった。 |
|||
=== 個艦防御機能 === |
|||
[[冷戦]]終結後は艦載機の性能向上でより少ない機数でも同様の任務を遂行できるようになったこと、無理な運用の必要性が薄れたことや機種の統合整理等によって、2013年現在の標準搭載機はCTOL機56機とヘリコプター15機の計71機とされている。 |
|||
ニミッツ級の固有兵装は個艦防御用に限られる。 |
|||
[[画像:US Navy 100629-N-0754Y-012 The aircraft carrier USS George Washington (CVN 73) conducts a live-fire exercise of its Phalanx Close-In Weapons System (CIWS).jpg|thumb|250px|「ジョージ・ワシントン」に搭載されたファランクスCIWS(左手前)とシースパロー発射機(奥)]] |
|||
[[防空]]システムとしては、当初は[[ターター・システム]]が検討されたものの、まもなく[[Mk 33 3インチ砲|50口径3インチ連装両用砲]]と[[Mk.56 砲射撃指揮装置]]の組み合わせに取って代わられた。しかし排水量制限の問題等に直面し、最終的に、[[シースパロー (ミサイル)|シースパロー]][[艦対空ミサイル#個艦防空ミサイル|個艦防空ミサイル]]・システムが採用された。1~2番艦では初期型の[[シースパロー_(ミサイル)#BPDMS|BPDMS]]が採用され、発射機としては8連装のMk.25計3基を右舷前部と艦尾両舷の[[スポンソン]]にそれぞれ配置した。3番艦以降では改良型の[[シースパロー_(ミサイル)#IBPDMS (NSSMS)|Mk.57 mod.3 IBPDMS]]とされて、発射機はMk.29発射機に改められており、80年代以降の改装で先の2隻も同じく更新している{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
また[[CIWS|近接防空]]用として、3~8番艦は新造時より、1~2・9~10番艦も改装によって2基から4基の[[ファランクス (火器)|20mmファランクスCIWS]]を装備した。配置箇所は右舷前部のシースパロー短SAM発射機近傍、左舷前部スポンソン、後部両舷、あるいは艦尾[[ジェットエンジン]]整備・試験スペース等である。一部の艦では、改装時に、ファランクスCIWSやシースパロー発射機の一部を置き換え、[[RAM (ミサイル)|RAM]][[艦対空ミサイル#近接防空ミサイル|近接防空ミサイル]]の21連装発射機が逐次搭載されている。 |
|||
;[[空母航空団]] |
|||
2013年現在 |
|||
{{col| |
|||
*戦闘攻撃飛行隊×1個(12-14機) |
|||
**[[F/A-18E/F (航空機)|F/A-18E]] |
|||
*戦闘攻撃飛行隊×1個(12-14機) |
|||
**F/A-18F |
|||
*海兵戦闘攻撃飛行隊×2個(20-24機) |
|||
**[[F/A-18 (航空機)|F/A-18C]] |
|||
| |
|||
*電子攻撃飛行隊×1個(4-6機) |
|||
**[[EA-6 (航空機)|EA-6B]] |
|||
*早期警戒飛行隊×1個(4-6機) |
|||
**[[E-2 (航空機)|E-2C]] |
|||
*艦載輸送飛行隊分遣隊×1個(1-2機) |
|||
**[[C-2 グレイハウンド (航空機)|C-2A(R)]] |
|||
| |
|||
*対潜ヘリコプター飛行隊×1個(6-8機) |
|||
**[[SH-60 シーホーク|SH-60F/HH-60H]] |
|||
}} |
|||
<gallery heights="150px" widths="200px"> |
|||
===その他=== |
|||
File:Rolling-airframe Missile (RAM) fired from Aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN 69).jpg|「アイゼンハワー」搭載のRAM発射機 |
|||
本級の乗員は諸説あるが合計6,286名、士官439名/下士官兵5,182名、操艦3,200名/航空団2,480名等の数字が各種文献で確認できる。時代や状態によって変動しているが、いずれにせよ5,000名を大きく超える巨大な数字であることは間違いない。 |
|||
</gallery> |
|||
[[対潜兵器]]は持たないが、一部艦ではウェーキ・ホーミング[[魚雷]]対策として[[Mk 32 短魚雷発射管|Mk.32 3連装短魚雷発射管]]を後部に装備している。また対魚雷のソフト・キル用としては、[[AN/SLQ-25|AN/SLQ-36ニクシー]]曳航式[[デコイ (兵器)|デコイ]]が搭載される{{Sfn|吉原|1994}}。 |
|||
==同型艦== |
|||
建造並びに大規模改修は、アメリカでも唯一その能力を保持する[[ニューポート・ニューズ造船所]]が全てを担当している。 |
|||
このほか、[[米艦コール襲撃事件]]のようなテロ対策としてキャット・ウォークに[[ブローニングM2重機関銃|M2 12.7mm重機関銃]]を配置することがある{{Efn2|員数外の装備であり、カタログデータに反映されない。}}。 |
|||
{|class="wikitable" style="text-align:center" |
|||
== 比較表 == |
|||
{{超大型航空母艦}} |
|||
{{原子力空母}} |
|||
== 同型艦 == |
|||
ニミッツ級空母の建造並びに大規模改修は、アメリカでも唯一その能力を保持する[[ニューポート・ニューズ造船所]]が全てを担当している。 |
|||
{| class="wikitable" style="text-align:center" |
|||
|- |
|- |
||
! 艦番号 |
! 艦番号 |
||
! 艦名 |
|||
! 発注 |
|||
! 起工 |
|||
! 進水 |
|||
! 就役 |
|||
! RCOH |
|||
! 母港 |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-68< |
|CVN-68<br />{{Efn2|1975年6月30日、原子力攻撃空母 (CVAN) から原子力空母 (CVN) に艦種変更された。}} |
||
|[[ニミッツ (空母)|ニミッツ]]<br/> USS Nimitz |
|||
|1967年<br/>3月31日 |
|||
|1968年<br/>6月22日 |
|||
|1972年<br/>5月13日 |
|||
|1975年<br/>5月3日 |
|||
|1998年–2001年 |
|||
|[[ワシントン州]][[ブレマートン]]<br />[[キトサップ海軍基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-69 |
|||
|CVN-69||[[ドワイト・D・アイゼンハワー (空母)|ドワイト・D・アイゼンハワー]]<br/> ''USS Dwight D. Eisenhower''||1970年<br/>6月29日||1970年<br/>8月15日||1975年<br/>10月11日||1977年<br/>10月18日||2001–2005||[[バージニア州]]<br/>[[ノーフォーク海軍基地|ノーフォーク]]||[[ノーフォーク海軍造船所]]で増強改修工事中<ref>[http://www.navy.mil/local/cvn69/]</ref> |
|||
|[[ドワイト・D・アイゼンハワー (空母)|ドワイト・D・アイゼンハワー]]<br/> USS Dwight D. Eisenhower |
|||
|1970年<br/>6月29日 |
|||
|1970年<br/>8月15日 |
|||
|1975年<br/>10月11日 |
|||
|1977年<br/>10月18日 |
|||
|2001年–2005年||[[バージニア州]][[ノーフォーク]]<br />[[ノーフォーク海軍基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-70 |
|||
|CVN-70||[[カール・ヴィンソン (空母)|カール・ヴィンソン]]<br/> ''USS Carl Vinson''||1974年<br/>4月5日||1975年<br/>10月11日||1980年<br/>3月15日||1982年<br/>3月13日||2005–2009||[[カリフォルニア州]]<br/>[[サンディエゴ海軍基地|サンディエゴ]]||[[太平洋]]<ref>[https://www.facebook.com/USSVINSON]</ref> |
|||
|[[カール・ヴィンソン (空母)|カール・ヴィンソン]]<br/> USS Carl Vinson |
|||
|1974年<br/>4月5日 |
|||
|1975年<br/>10月11日 |
|||
|1980年<br/>3月15日 |
|||
|1982年<br/>3月13日 |
|||
|2005年–2009年 |
|||
|[[ノースアイランド海軍航空基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-71 |
|||
|CVN-71||[[セオドア・ルーズベルト (空母)|セオドア・ルーズベルト]]<br/> ''USS Theodore Roosevelt''||1980年<br/>9月30日||1981年<br/>10月31日||1984年<br/>10月27日||1986年<br/>10月25日||2009–2013||バージニア州<br/>ノーフォーク||ニューポート・ニューズ停泊中(出港待ち)<ref>[http://www.navy.mil/local/cvn71/]</ref> |
|||
|[[セオドア・ルーズベルト (空母)|セオドア・ルーズベルト]]<br/> USS Theodore Roosevelt |
|||
|1980年<br/>9月30日 |
|||
|1981年<br/>10月31日 |
|||
|1984年<br/>10月27日 |
|||
|1986年<br/>10月25日 |
|||
|2009年–2013年 |
|||
|rowspan="2"|[[カリフォルニア州]][[サンディエゴ]]<br />[[ノースアイランド海軍航空基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-72 |
|||
|CVN-72||[[エイブラハム・リンカーン (空母)|エイブラハム・リンカーン]]<br/> ''USS Abraham Lincoln''||1982年<br/>12月27日||1984年<br/>11月3日||1988年<br/>2月13日||1989年<br/>11月11日||||バージニア州<br/>ノーフォーク||ノーフォーク停泊中(RCOH待ち)<ref>[http://flyteam.jp/airline/united-states-navy/news/article/19598]</ref> |
|||
|[[エイブラハム・リンカーン (空母)|エイブラハム・リンカーン]]<br/> ''USS Abraham Lincoln'' |
|||
|rowspan="2"|1982年<br/>12月27日 |
|||
|1984年<br/>11月3日 |
|||
|1988年<br/>2月13日 |
|||
|1989年<br/>11月11日 |
|||
|2013年–2017年 |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-73 |
|||
|CVN-73||[[ジョージ・ワシントン (空母)|ジョージ・ワシントン]]<br/> ''USS George Washington''||1982年<br/>12月27日||1986年<br/>8月25日||1990年<br/>7月21日||1992年<br/>7月4日||||[[神奈川県]]<br/>[[横須賀海軍施設|横須賀海軍基地]]||[[香港]]寄港→<br/>[[平成25年台風第30号|台風30号]]による国際支援のため[[フィリピン]]へ向け緊急航行中<ref>[https://www.facebook.com/pages/USS-George-Washington-CVN-73/177732872397]</ref> |
|||
|[[ジョージ・ワシントン (空母)|ジョージ・ワシントン]]<br/> USS George Washington |
|||
|1986年<br/>8月25日 |
|||
|1990年<br/>7月21日 |
|||
|1992年<br/>7月4日 |
|||
|2017年-2023年 |
|||
|[[神奈川県]][[横須賀市]]<br/>[[横須賀海軍施設|米海軍横須賀基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-74 |
|||
|CVN-74||[[ジョン・C・ステニス (空母)|ジョン・C・ステニス]]<br/> ''USS John C. Stennis''||不明||1991年<br/>3月13日||1993年<br/>11月11日||1995年<br/>12月9日||||ワシントン州<br/>[[ピュージェット・サウンド海軍造船所|ブレマートン]]||ブレマートン帰港<ref>[https://www.facebook.com/stennis74?hc_location=timeline]</ref> |
|||
|[[ジョン・C・ステニス (空母)|ジョン・C・ステニス]]<br/> USS John C. Stennis |
|||
|rowspan="2"|1988年<br/>6月30日 |
|||
|1991年<br/>3月13日 |
|||
|1993年<br/>11月11日 |
|||
|1995年<br/>12月9日 |
|||
|2023年- |
|||
|rowspan="2"|バージニア州ノーフォーク<br />ノーフォーク海軍基地 |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-75 |
|||
|CVN-75||[[ハリー・S・トルーマン (空母)|ハリー・S・トルーマン]]<br/> ''USS Harry S. Truman''||1988年<br/>6月30日||1993年<br/>11月29日||1996年<br/>9月7日||1998年<br/>7月25日||||バージニア州<br/>ノーフォーク||第5艦隊へ派遣中<br/>([[アラビア海]]航行中・[[アフガニスタン]]作戦支援)<ref>[https://www.facebook.com/USSTruman]</ref> |
|||
|[[ハリー・S・トルーマン (空母)|ハリー・S・トルーマン]]{{Efn2|当初「ユナイテッド・ステーツ」と命名される予定であった。}}<br/> USS Harry S. Truman |
|||
|1993年<br/>11月29日 |
|||
|1996年<br/>9月7日 |
|||
|1998年<br/>7月25日 |
|||
| |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-76 |
|||
|CVN-76||[[ロナルド・レーガン (空母)|ロナルド・レーガン]]<br/> ''USS Ronald Reagan''||1994年<br/>12月8日||1998年<br/>2月12日||2001年<br/>3月4日||2003年<br/>7月12日||||カリフォルニア州<br/>サンディエゴ||サンディエゴ帰港<ref>[https://www.facebook.com/ussronaldreagan]</ref> |
|||
|[[ロナルド・レーガン (空母)|ロナルド・レーガン]]<br/> USS Ronald Reagan |
|||
|1994年<br/>12月8日 |
|||
|1998年<br/>2月12日 |
|||
|2001年<br/>3月4日 |
|||
|2003年<br/>7月12日 |
|||
| |
|||
|[[ワシントン州]][[ブレマートン]]<br />[[キトサップ海軍基地]] |
|||
|- |
|- |
||
|CVN-77 |
|||
|CVN-77||[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|ジョージ・H・W・ブッシュ]]<br/> ''USS George H. W. Bush''||2001年<br/>1月26日||2003年<br/>9月6日||2006年<br/>10月9日||2009年<br/>1月10日||||バージニア州<br/>ノーフォーク||ノーフォーク帰港<ref>[https://www.facebook.com/USSGeorgeHWBush]</ref> |
|||
|[[ジョージ・H・W・ブッシュ (空母)|ジョージ・H・W・ブッシュ]]<br/> USS George H. W. Bush |
|||
|2001年<br/>1月26日 |
|||
|2003年<br/>9月6日 |
|||
|2006年<br/>10月9日 |
|||
|2009年<br/>1月10日 |
|||
| |
|||
|バージニア州ノーフォーク<br />ノーフォーク海軍基地 |
|||
|} |
|} |
||
<gallery widths="180px" heights="150px"> |
<gallery widths="180px" heights="150px"> |
||
ファイル:USS Nimitz in Victoria Canada 036.jpg|CVN-68<br />ニミッツ |
|||
ファイル:US Navy 051018-N-0490C-003 The Nimitz-class aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN 69) gets underway from Naval Station Norfolk.jpg|CVN-69<br />ドワイト・D・アイゼンハワー |
|||
ファイル:US Navy 011012-N-5884W-001 Operation Enduring Freedom.jpg|CVN-70<br />カール・ヴィンソン |
|||
ファイル:US Navy 060310-N-6410T-001 F-14D Tomcats are staged in launch position for their departure from the Nimitz-class aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN 71) to their home port of Naval Air Station Oceana.jpg|CVN-71<br />セオドア・ルーズベルト |
|||
ファイル:US Navy 101210-N-1261P-081 USS Abraham Lincoln (CVN 72) underway in the Arabian Sea in support of Operation Enduring Freedom.jpg|CVN-72<br />エイブラハム・リンカーン |
|||
ファイル:US Navy 101206-N-5538K-395 The aircraft carrier USS George Washington (CVN 76) transits the East China Sea.jpg|CVN-73<br />ジョージ・ワシントン |
|||
ファイル:US Navy 030317-N-4768W-034 USS John C. Stennis (CVN 74) steams off the coast of southern California.jpg|CVN-74<br />ジョン・C・ステニス |
|||
ファイル:USS Truman and USNS Spica.jpg|CVN-75<br />ハリー・S・トルーマン |
|||
ファイル:US Navy 071030-N-6074Y-128 Nimitz-Class aircraft carrier USS Ronald Reagan (CVN 76) conducts Board of Inspection and Survey (INSURV) following a six-month Planned Incremental Availability (PIA).jpg|CVN-76<br />ロナルド・レーガン |
|||
ファイル:US Navy 110129-N-3885H-187 USS George H.W. Bush (CVN 77) is underway in the Atlantic Ocean.jpg|CVN-77<br />ジョージ・H・W・ブッシュ |
|||
</gallery> |
</gallery> |
||
== |
== 登場作品 == |
||
{{main|[[ニミッツ級航空母艦に関連する作品の一覧]]}} |
|||
*8番艦『トルーマン』は、当初『ユナイテッド・ステーツ』と命名される予定だった。 |
|||
*2008年9月より、『ワシントン』が[[日本]]・[[横須賀海軍施設|横須賀基地]]を母港としている。同艦はアメリカ国防予算縮減の影響により、RCOHに入ることなく早期退役させる案が取りざたされている(2011年現在)。 |
|||
*前述の通り、『ブッシュ』は以下のような種々の新機軸を採用している。当初の構想ではほぼ別級と言えるほどに艦容が変貌するはずであったが、次級フォード級の設計が比較的保守的なものに落ち着いたことや建造費抑制等の理由から、外見上は小改正に留まることとなった。 |
|||
#ステルス・マストと一体化したアイランド(既存艦にも逐次導入中) |
|||
#新型多機能レーダー・システム |
|||
#ボリューム探索レーダー |
|||
#オープン・アーキテクチャ情報ネットワーク |
|||
#乗組員数の削減 |
|||
==登場作品== |
|||
ニミッツ級は現代アメリカ海軍を象徴する、ひいては現用空母を象徴する存在であり、数多くの媒体に露出している。 |
|||
; 映画 |
|||
* 『[[ファイナル・カウントダウン]]』 |
|||
: 1980年。アメリカ海軍の全面協力の下1979年当時の「ニミッツ」がCVW-8と共に出演。 |
|||
* 『[[大怪獣東京に現わる]]』 |
|||
: 1998年。日本を襲った二体の怪獣に対応するために「エイブラハム・リンカーン」が出動し、終盤で日本近海に到着する。劇中ではニュースでその名が語られるのみで、姿は登場しない。 |
|||
* 『[[エネミー・ライン]]』 |
|||
: 2001年。主人公が搭乗するF/A-18Fの母艦として「カール・ヴィンソン」が登場。 |
|||
* 『[[トータル・フィアーズ]]』 |
|||
: 2002年。「ジョン・C・ステニス」が米・[[ロシア|露]]の大戦勃発の引き金として、裏切り[[将校]]の命令を受けた[[ロシア空軍]]の[[Tu-22M (航空機)|Tu-22M]]から攻撃を受ける、沈没はまぬがれるが大破/[[飛行甲板]]が使用不能となる。 |
|||
* 『[[ステルス (映画)|ステルス]]』 |
|||
: 2005年。「エイブラハム・リンカーン」が[[ステルス機]]の母艦として登場。ストーリー上では「リンカーン」だが、スケジュールの関係で後半部分は「カール・ヴィンソン」や「ニミッツ」で撮影された。 |
|||
* 『[[トランスフォーマー/リベンジ]]』 |
|||
: 2009年。「セオドア・ルーズベルト」と「ジョン・C・ステニス」が登場。「ルーズベルト」は[[デストロン (トランスフォーマー)|ディセプティコン]]の攻撃を受け沈没。ただし沈没シーンではハルナンバーが74になっており、これは「ジョン・C・ステニス」の番号である。 |
|||
* 『[[G.I.ジョー (映画)|G.I.ジョー]]』 |
|||
: 2009年。エピローグにG.I.ジョーの母艦として、架空のニミッツ級空母「フラッグ」が登場。ハルナンバーは99である。 |
|||
* 『[[バトルシップ (映画)|バトルシップ]]』 |
|||
: 2012年。「ロナルド・レーガン」が登場。[[環太平洋合同演習|リムパック演習]]に各国の軍艦で構成されたリムパック艦隊の旗艦として参加。主人公のホッパー大尉の恋人の父親で艦隊司令官でもあるシェーン提督が座乗する。エイリアンのバリアによってホッパー大尉らの救援に向かえずバリアの外で待機していたが、[[戦艦]]「[[ミズーリ (戦艦)|ミズーリ]]」の砲撃でバリア発生装置が破壊され中に入れるようになると、すぐさま艦載機を発艦させ彼らの窮地を救った。 |
|||
* 『[[パシフィック・リム (映画)|パシフィック・リム]]』 |
|||
: 2013年。過去の記録映像として、怪獣「Kaiceph」の死骸を甲板上に乗せた「ジョン・C・ステニス」が登場する。 |
|||
* 『[[プレーンズ]]』 |
|||
: 2013年。ニミッツ級をモデルとしたキャラクター「ヨーキ」が登場する。ハルナンバーは81。 |
|||
; 小説・漫画・アニメ |
|||
* 『[[機甲戦記ドラグナー]]』 |
|||
: 1987年。ニミッツ級をモデルにした空母「アクアポリス」と「イースヨー」が登場。 |
|||
* 『[[創竜伝]]』 |
|||
: 1987年~。架空のニミッツ級空母「覇王(ダイナスト)」が登場。「四人姉妹」の指揮下に置かれている。 |
|||
* 『[[沈黙の艦隊]]』 |
|||
: 1988年~1996年。「カール・ヴィンソン」、「エイブラハム・リンカーン」、「セオドア・ルーズベルト」が登場。 |
|||
* 『[[岸和田博士の科学的愛情]]』 |
|||
: 1992年~1998年。米国(こめこく)海軍の「ミニッツ級空母」として登場。同型艦のうち約半数は巨大ロボット「空母マン」に変形する事が可能である。劇中にはハルナンバー88の「空母マン'88」が登場した |
|||
* 『[[新世紀エヴァンゲリオン]]』 |
|||
: 1995年。[[国連軍]]所属という設定のニミッツ級架空空母8番艦「オーバー・ザ・レインボウ」ほか数隻が登場する。なお「オーバー・ザ・レインボウ」の米海軍時代の名は「ユナイテッド・ステイツ」であるという設定がある。 |
|||
* 『[[新海底軍艦]]』 |
|||
: 1995年~1996年。ニミッツ級と思しき艦が、[[フォレスタル級航空母艦|フォレスタル級]]などと共に国連軍特別平和維持部隊に参加している。 |
|||
* 『[[マクロス ゼロ]]』 |
|||
: 2002年。地球統合軍所属という設定のニミッツ級後期型架空空母「イラストリア」が第1話に登場する。 |
|||
* 『[[ムダヅモ無き改革]]』 |
|||
: 2006年~。「ジョージ・H・W・ブッシュ」が登場し、小泉ジュンイチローと金将軍の麻雀試合の舞台となる。 |
|||
* 『[[めだかボックス]]』 |
|||
: 2009年~2013年。第二回漆黒宴の舞台として、ニミッツ級空母「ブラック」(通称「黒船」)が登場。個人のコレクションとされており、ハルナンバーは「ジョージ・ワシントン」と同じ73になっている。 |
|||
* 『[[ガールズ&パンツァー]]』 |
|||
: 2012年~2013年。サンダース大学付属高校の学園艦として、サイズを除いてニミッツ級に酷似した艦が登場する。 |
|||
* 『[[ビビッドレッド・オペレーション]]』 |
|||
: 2013年。UDF参加艦としてオープニング等に6番艦「ジョージ・ワシントン」が登場する。 |
|||
== 脚注 == |
|||
; ゲーム |
|||
{{脚注ヘルプ}} |
|||
* 『[[バンゲリングベイ]]』 |
|||
=== 注釈 === |
|||
: 1984年。自機の母艦として、架空のニミッツ級4番艦「ロナルド・レーガン」(実在するロナルド・レーガンは9番艦)が登場。ハルナンバーはなぜか52となっている。 |
|||
{{notelist2}} |
|||
* 『[[アクウギャレット]]』 |
|||
=== 出典 === |
|||
: 1996年。自機の母艦として、ハルナンバー79のニミッツ級架空艦(実在するCVN-79は[[ジェラルド・R・フォード級航空母艦|ジェラルド・R・フォード級]]2番艦「[[ジョン・F・ケネディ (CVN-79)|ジョン・F・ケネディ]]」)が登場する。 |
|||
{{Reflist|3}} |
|||
* 『[[エアロダンシング]]』シリーズ |
|||
: 『[[エアロダンシング#エアロダンシング F|F]]』(2000年)以降に実装された空母登場マップに、ハルナンバー93のニミッツ級架空艦が登場。 |
|||
* 『[[エナジーエアフォース#エナジーエアフォース aimStrike!|エナジーエアフォース aimStrike!]]』 |
|||
: 2003年。「ジョージ・ワシントン」が登場する。 |
|||
* 『[[エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー]]』 |
|||
: 2004年。ニミッツ級をモデルにしたヒューバート級空母「[[ケストレル (エースコンバットシリーズ)|ケストレル]]」が登場。同シリーズの他作品にも艦名不明のニミッツ級が登場している。 |
|||
==参考文献== |
== 参考文献 == |
||
* {{Cite book2|df=ja|authorlink=:en:Norman Friedman|first=Norman|last=Friedman|year=1983|title=U.S. Aircraft Carriers: An Illustrated Design History|publisher=[[:en:United States Naval Institute|Naval Institute Press]]|isbn=978-0870217395}} |
|||
*『〈新版〉アメリカ航空母艦史』([[海人社]]) |
|||
* {{Cite book2|df=ja|authorlink=:en:Norman Polmar|first=Norman|last=Polmar|year=2008|title=Aircraft Carriers: A History of Carrier Aviation and Its Influence on World Events|publisher=Potomac Books Inc.|volume = II|isbn=978-1597973434}} |
|||
*『航空母艦全史』(海人社) |
|||
* {{Cite book2|df=ja|first=Norman|last=Polmar|year=2013|title= The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet|edition=19th|publisher=Naval Institute Press|isbn=978-1591146872}} |
|||
*『世界の海軍 2011-2012』(海人社) |
|||
* {{Cite book2|df=ja|first=Stephen|last=Saunders|year= 2015|title=[[ジェーン海軍年鑑|Jane's Fighting Ships 2015-2016]]|publisher=[[:en:Jane's Information Group|Janes Information Group]]|isbn=978-0710631435}} |
|||
*『U.S.Aircraft Carriers』(Naval Institute Press) |
|||
* {{Cite report|df=ja|first1 = John|last1 = Schank | first2 = Giles|last2 = Smith | first3 = Brien|last3 = Alkire | first4 = Mark|last4 = Arena | first5 = John|last5 = Birkler | first6 = James|last6 = Chiesa|date = 2005|title = MODERNIZING THE U.S. AIRCRAFT CARRIER FLEET ― Accelerating CVN 21 Production Versus Mid-Life Refueling|url = https://www.rand.org/content/dam/rand/pubs/monographs/2006/RAND_MG289.pdf|publisher = RAND Corporation}} |
|||
* {{Cite book2|df=ja|authorlink=:en:Eric Wertheim|first=Eric|last=Wertheim|year= 2013|title=[[:en:Combat Fleets of the World|The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World]]|edition=16th |publisher=Naval Institute Press|isbn=978-1591149545}} |
|||
* {{Cite book ja|authorlink=大熊康之|last=大熊|first=康之|year=2006|title=軍事システム エンジニアリング|chapter=第5章 タトル提督のC4I近代化革命|publisher=[[かや書房]]|pages=143-175|isbn=978-4-906124-63-3}} |
|||
* {{Citation|和書|last=大塚|first=好古|date=November 2014|title=アメリカ航空母艦史|journal=[[世界の艦船]]|issue=807|pages=1-207|publisher=[[海人社]]|naid=40020238934}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=October 2007|title=アメリカ空母発達史 レキシントンからフォードまで|journal=世界の艦船|issue=680|pages=84-93|publisher=海人社|naid=40015608397}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=January 2008|title=航空母艦全史|journal=世界の艦船|issue=685|publisher=海人社|naid=40015770991|ref=}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=December 2008|title=ジョージ・ワシントンのハードウェア (極東の新戦力 米CVN「ジョージ・ワシントン」)|journal=世界の艦船|issue=699|pages=88-95|publisher=海人社|naid=40016306142}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=March 2011|title=世界の原子力水上艦ラインナップ (特集・原子力水上艦建造史)|journal=世界の艦船|issue=738|pages=90-99|publisher=海人社|naid=40018277435}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=April 2011|title=世界の海軍 2011-2012|journal=世界の艦船|issue=740|publisher=海人社|naid=40018748557}} |
|||
* {{Citation|和書|editor=海人社|date=September 2013|title=写真特集 世界の空母2013|journal=世界の艦船|issue=783|pages=21-59|publisher=海人社|naid=40019756779}} |
|||
* {{Citation|和書|authorlink=江藤巌|last=野木|first=恵一|date=August 2006|title=システムとしての艦隊防空-その発達をたどる (特集・対空兵装の変遷)|journal=世界の艦船|issue=662|pages=98-103|publisher=海人社|naid=40007357722}} |
|||
* {{Citation|和書|last=野木|first=恵一|date=December 2008|title=A4W原子炉の構造と安全性 (極東の新戦力 米CVN「ジョージ・ワシントン」)|journal=世界の艦船|issue=699|pages=96-99|publisher=海人社|naid=40016306143}} |
|||
* {{Citation|和書|last=中名生|first=正己|date=December 1994|title=究極のスーパー・キャリアー「ニミッツ」級 その誕生の経緯|journal=世界の艦船|issue=490|pages=70-73|publisher=海人社|doi=10.11501/3292274}} |
|||
* {{Citation|和書|last=宮本|first=勲|date=December 1994|title=「ニミッツ」級の航空部隊|journal=世界の艦船|issue=490|pages=86-93|publisher=海人社|doi=10.11501/3292274}} |
|||
* {{Citation|和書|last=吉原|first=栄一|date=December 1994|title=ニミッツ級のハードウェア|journal=世界の艦船|issue=490|pages=74-85|publisher=海人社|doi=10.11501/3292274}} |
|||
== |
== 関連項目 == |
||
* [[乗り物に関する世界一の一覧#Largest naval ship in history]] - 史上最大の軍艦について包括的に解説しており、ニミッツ級航空母艦について多く取り上げている。 |
|||
<references/> |
|||
==外部リンク== |
== 外部リンク == |
||
{{ |
{{Commonscat|Nimitz class aircraft carriers}} |
||
* [ |
* [https://www.globalsecurity.org/military/systems/ship/cvn-68.htm CVN-68 Nimitz-class]{{en icon}} |
||
* {{YouTube|kHX-qv-RVGg|超大型空母のフルスピード旋回・船体の傾きがすごい【ドリフト !?】}} |
|||
* [http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=126969 レゴブロックでCVN-75ハリー・S・トルーマンを製作した男] |
|||
{{世界の空母}} |
|||
{{ニミッツ級航空母艦}} |
{{ニミッツ級航空母艦}} |
||
{{アメリカ海軍の航空母艦}} |
{{アメリカ海軍の航空母艦}} |
||
{{Warship-stub}} |
|||
{{Link FA|de}} |
|||
{{Normdaten}} |
|||
{{デフォルトソート:にみつつきゆうこうくうほかん}} |
{{デフォルトソート:にみつつきゆうこうくうほかん}} |
||
[[Category:ニミッツ級航空母艦|* |
[[Category:ニミッツ級航空母艦|*]] |
||
[[Category:アメリカ合衆国の航空母艦|+ |
[[Category:アメリカ合衆国の航空母艦|+]] |
||
[[Category: |
[[Category:原子力空母]] |
||
[[Category:超大型空母]] |
|||
{{Link GA|en}} |
|||
[[Category:チェスター・ニミッツ]] |
2024年11月23日 (土) 05:41時点における最新版
ニミッツ級航空母艦 | |
---|---|
CVN-68 ニミッツ | |
基本情報 | |
艦種 | 航空母艦(原子力空母) |
命名基準 |
海軍功労者・歴代大統領。 一番艦はチェスター・ニミッツ元帥に因む。 |
建造所 | ニューポート・ニューズ造船所 |
運用者 | アメリカ海軍 |
建造期間 |
1968年 - 1982年(1~3番艦) 1981年 - 1998年(4~8番艦) 1998年 - 2009年(9・10番艦) |
就役期間 | 1975年 - 就役中 |
建造数 | 10隻 |
前級 | エンタープライズ(CVN-65) |
次級 | ジェラルド・R・フォード級 |
要目 | |
基準排水量 | 74,086トン以上[1] |
満載排水量 | 約100,000トン[注 1] |
全長 | 332.9 m[1] |
垂線間長 | 317 m[1] |
最大幅 | 89.4 m[3] |
水線幅 | 40.8 m[1] |
吃水 | 11.3-12.1 m[1] |
原子炉 | A4W加圧水型原子炉×2基 |
主機 | 蒸気タービン(65,000 hp (48 MW))×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×4軸 |
出力 | 260,000shp |
速力 | 30ノット (推定)[1] |
乗員 |
|
兵装 |
※CVN-72、74、75×3基[2] |
搭載機 |
冷戦期:90機、現在:70機前後 |
レーダー |
|
電子戦・ 対抗手段 |
|
ニミッツ級航空母艦(ニミッツきゅう こうくうぼかん、英語: Nimitz-class aircraft carrier)は、アメリカ海軍の原子力空母の艦級。世界で初めて量産された原子力空母であり、世界最大級・史上最大級の軍艦としても知られる[注 1]。
ネームシップの建造は1967年度計画によって着手され、2001年度計画による「ジョージ・H・W・ブッシュ」に至るまで、計10隻が建造された[1]。このように長期間に亘って多数が建造されたことから、順次に工法や設計の改訂が図られており、アメリカ海軍協会(USNI) では4~10番艦を、また『世界の艦船』誌では9・10番艦を、それぞれ独立した艦級(改ニミッツ級)として扱っている[3][4]。またこのように改良が重ねられた結果、「空母という艦種は同級で完成した」と称されるほど高い評価を得ている[4]。
来歴
[編集]第二次世界大戦後の核戦争時代の到来を受け、空軍戦略航空軍団への対抗もあり、アメリカ海軍は大型の艦上爆撃機を運用できる超大型空母の保有を志向した。1949年度計画の空母「ユナイテッド・ステーツ」(基準排水量 66,400 t)は挫折したものの、朝鮮戦争で空母航空団の存在意義が再確認されたこともあり、1952年度計画よりフォレスタル級(基準排水量 59,900 t)の建造が認可され、同型4隻が建造された[5]。そのネームシップは予算 1.9億USドルであったが、その後、値上がりして、改良型であるキティホーク級のネームシップでは 2.6億USドルとなった[6]。
一方、1950年の時点で、当時のアメリカ海軍作戦部長であったフォレスト・シャーマン大将によって、空母を含めた水上艦の原子力推進化の可能性検討が指示されていた。しかし、この時点では非常に高コストであったことから原子力委員会が賛成せず、1958年度計画でやっとキティホーク級をベースとした初の原子力空母として「エンタープライズ」の建造が認可された。ただし、艦型拡大(満載排水量にして9,000トン増大)もあり、建造費は7割増の4.5億ドルとなった。これもあり、アイゼンハワー政権下では、1959年度・1960年度ともに空母建造予算が認められず、1961年度・1963年度に各1隻の建造が認可されたものの、原子力推進の実績がまだ乏しかったこともあり、これらは在来型のキティホーク級とされた[6]。
その後、原子力推進技術の成熟を受け原子力委員会は1963年度計画のキティホーク級最終艦の原子力推進化を勧告したものの、同年10月に完成の遅延を理由としてロバート・マクナマラ国防長官は変更の中止(通常推進の維持)を決定した。1964年6月になって「エンタープライズ」の原子炉8基式よりも安価な2基式が実現可能となり、1965年度予算説明においてマクナマラ長官は高性能の原子炉の研究成果を受けて原子力艦隊の創設を発表した。原子力空母4隻体制が認可されたことから、ミッドウェイ級3隻を代替して、新型原子力空母3隻の建造が計画された。これにより建造されたのが本級である[6]。
ネームシップの建造は1967年度計画で着手され、残り2隻は1969・1970年度計画とされたがマクナマラ長官の解任と政権交代に伴ってそれぞれ1970年度・1974年度に遅延した。またニューポート・ニューズ造船所のストライキもあり、建造には3隻ともに7年を要することとなった。その後、一度は4番艦の建造が認可されたものの、比較的小型の通常動力型空母 (CVV) 計画の台頭に伴い、ジェラルド・R・フォード大統領は1977年度予算からその要求を削除した。ジミー・カーター大統領もCVV計画を支持し、議会の下院は1979年度予算に4番艦の建造費を追加したが、大統領はその執行を拒否した。翌1980年度予算ではCVVの建造が盛り込まれる計画であったが、当初の小型空母から満載67,000トンの中型空母に肥大化して低コスト性が失われており、イランアメリカ大使館人質事件の影響もあり、上院・下院が原子力空母の建造を勧告したことから、CVVにかえて本級4番艦が建造されることとなった。その後、レーガン政権下で打ち出された600隻艦隊構想を受け、1983年度予算で5番艦・6番艦、大ブッシュ政権下でも7番艦・8番艦と追加され[6]、最終的に10番艦までが建造されることとなった[5]。
設計
[編集]船体
[編集]ニミッツ級の設計は、おおむね超大型空母の嚆矢であるフォレスタル級のものを踏襲・拡大したものとなっている。約40年間にわたり順次改良されつつ建造され、就役後にもたびたび改装されていることから、各艦ごとにかなりの差異がある[7]。とくに9・10番艦は次級へのつなぎとして様々な新機軸を採用しており、改ニミッツ級と称されることもある[8]。本級の運用寿命は45 - 50年と想定されている[9]。
強度甲板は飛行甲板とされており、重装甲が施されている。その下には、1層のギャラリー・デッキを挟んでハンガーが設置されている。外見から受ける印象と異なり、上甲板にあたる主甲板はハンガー床面とされており、飛行甲板はレベル03の天井である04甲板に相当することから、艦の規模に比して乾舷は小さい。主甲板の下には第2~4甲板が設けられ、その下方はレベル5 - 8までの機関区画となっている。水線下に4層程度の空間装甲構造も含む防御構造が設けられ、艦底は二重底である。推進効率向上のためバルバス・バウを採用しているが、9番艦からさらに大型化されており以前の艦へバックフィットも検討されている[7]。
水線長比は7.8で、「エンタープライズ」とほぼ同値で「キティホーク」の7.6よりも若干細長い[7]。船型は抵抗上不利な肥えたものが採用され、速力はやや犠牲とされた。「エンタープライズ」と比べると、特にニミッツ級初期建造艦は、排水量が若干減少した一方で、航空燃料は257万ガロンから300万ガロン、航空弾薬は2,500トンから2,970トンへと、それぞれ搭載量が増加したことから、居住性の低下が指摘されている。燃料タンクは、従来通り空所と重層化して舷側に配置されて空間装甲を兼ねるが、弾薬庫の配置は、従来の3か所から2か所に削減し、艦の全長に占める割合を減らすことで脆弱性を低減している[10]。
抗堪性向上のため、4番艦以降では弾薬庫の舷側に一部とはいえ2.5インチ厚のケブラー板が張られ、また弾薬庫と機械室の天井が二重構造とされており、これにより満載排水量にして5,000トンほど大きくなり、「エンタープライズ」より大きくなった。5・6番艦ではさらに飛行甲板の装甲を増強するとともに上部構造物にも装甲を施したことにより、満載排水量10万トンの大台を超えた。7番艦以降では、さらに構造部材にHSLA-100高張力鋼が採用された[10]。
CVN-68 - 70 | CVN-71 - 75 | CVN-76,77 | |
---|---|---|---|
基準排水量 | 72,916 t | 73,973 t | 77,000 t以上 |
満載排水量 | 91,487 t | 96,386 t | 100,000 t以上 |
喫水 | 11.3 m | 11.8 m | 12.1m |
艦橋構造はキティホーク級準拠のアイランドとされており、SCANFARフェイズド・アレイ・レーダーを四面に張り巡らせた前級と大きく印象が異なる。ブリッジは3層で構成され、下段を司令部、中段を航海艦橋とし、上段は発着管制に充てられた[注 2]。アイランド頂部並びに直後には各種電子装備を据え付けるためのマストが設けられている。この構成は近年の改装の機に改められ、ラティス構造の閉囲を経てステルス性を向上させた新型のマストをアイランドと一体化させたものに逐次更新しており、10番艦では新造時からこの構造が採用された。
機関
[編集]原子力船であるニミッツ級は主機関としてはもちろん原子力推進を採用しており、原子炉には加圧水型のA4W 2基を搭載する。A4Wは、アメリカ海軍が空母用に開発した4番目の原子炉であり、Aは空母用であることを、Wはメーカーのウェスティングハウス・エレクトリックを意味する記号である。「エンタープライズ」ではやはり加圧水型のA2Wを搭載していたが、原子炉出力が低かったために8基という多数を搭載せざるを得なかったことから、2基に削減できたニミッツ級では、船体スペースの活用等で大きな恩恵があったとされている[11]。
A4Wは熱出力550MWで、蒸気タービンを駆動して得られる軸出力は公称130,000馬力(97,000 kW)、電力にして26,000 kWとされており[10]、日本の商用原子炉の電気出力と比べると数分の1から十数分の1に相当する。アメリカ国務省の公式な資料においても、「海軍の原子炉の出力は、最大級のものでも、アメリカの大規模な商業炉のものの5分の1に満たない」とされている[注 3][12]。
軍艦の原子炉は通常は巡航出力を発揮するため15パーセント程度の出力で運転されているが、戦闘時には1分以内に100パーセントの全力運転に移行できる。また、停泊中は停止されている。なお、原子炉は主機関のほかカタパルトへの高圧蒸気供給も担っている[11]。
ニミッツ級は炉心寿命の関係で就役期間中に原子炉燃料棒の交換が必要であり、船体切断を伴う2・3年掛かりの大工事である燃料交換・大規模整備 (Refueling and Complex OverHaul, RCOH) が逐次実施されている。核燃料交換のサイクルは、当初13年に一度と推定されていたが[注 4]、運用初期の経験から通常の運用であれば22~23年に一度で済むことが判明したため、23年に一度となった[13]。2005年に3番艦「カール・ヴィンソン」が、2009年に4番艦「セオドア・ルーズベルト」が工事に入っている。これらのRCOHは、建造を担当したニューポート・ニューズ造船所 (NNSB) でしか行うことができないとされている[11]。
能力
[編集]C4ISR機能
[編集]ニミッツ級は、空母打撃群 (CVSG) [注 5]の旗艦となることから、充実した司令部設備を備えている。作戦術レベルの指揮・統制中枢となるのが、任務部隊などの司令官の指揮所となる群司令部指揮所 (TFCC) である。当初、司令部幕僚の作業はほとんどが手作業であったが、1980年代初頭、ジェリー・O・タトル提督が司令部用部隊管理費から捻出した予算でAN/USQ-112 統合作戦戦術システム (JOTS) を組み上げて以後、自動化が急速に進展した。2013年現在、本級をはじめとする空母のTFCCでは、地上の艦隊司令部指揮所 (FCC) や国家軍事指揮センター (NMCC) と情報を共有するための汎地球指揮統制システム (GCCS)、艦隊の各艦と情報を共有するためのGCCS-M、そして艦の戦術情報を共有するための海軍戦術情報システム (NTDS) という3つの主要な指揮・統制システムが集中している。また、その指揮・統制を支援するため、空母インテリジェンス・センター (CVIC) も設置される。これは、艦隊自身が収集した情報や上級司令部あるいは統合同軸報送信サービス (IBS) を通じてもたらされた情報(偵察衛星・偵察機や諜報活動による情報)を総合・分析する部署である。アメリカ海軍では、TFCCからもたらされる作戦 (OPS) 情報とインテリジェンス (INTEL) 情報を総合することにより、はじめて作戦指揮官の健全な意思決定が可能になると規定している[14]。
これに対し、戦術レベルの指揮・統制中枢となるのが空母艦長の指揮所である空母戦闘指揮所 (CDC) であり、ここにはGCCS-MとNTDSが設置され、空母個艦の行動を指揮・統制する[14]。NTDSの後継として先進戦闘指揮システム (ACDS) の開発が試みられたものの、これは成功しなかった。その後、より包括的な統合戦闘システムとして艦艇自衛システム (SSDS Mk.2) が開発され、mod.1が本級の一部にも装備化されている[15]。空母自身のセンサーとしては、3次元レーダーとしてAN/SPS-48E、これを補完する長距離対空捜索レーダーとしてAN/SPS-49(V)5、対水上捜索レーダーとしてAN/SPS-67が搭載される[10]。
航空運用機能
[編集]発着艦設備
[編集]船体の項に上記したとおり、ニミッツ級では04甲板(レベル03の天井)が全通した飛行甲板とされており、全長332.9メートル×最大幅76.8メートル、面積にして4.5エーカー(1.8ヘクタール)を確保した。飛行甲板上にはアングルド・デッキが設定されており、長さは243メートル、船体中心線に対する角度は9度3分で、甲板長が長いことから、「キティホーク」の11度と比して小さい角度で済んでいる[7]。また7番艦以降では0.1度増した[16]。
飛行甲板上の配置は「キティホーク」以降のそれが踏襲されている。カタパルトは飛行甲板前方に2基(第1・2)、アングルド・デッキ上にさらに2基設置されている。機種としては、キティホーク級が搭載したMk.13の改良型であるMk.13-1が採用されており、4番艦以降ではさらに改良強化されたMk.13-2に改められた。カタパルト長は94メートル、フル装備のF/A-18を2秒で265キロメートル毎時に加速させることができる。また5番艦までは航空要員が飛行甲板に体を露出させてカタパルトを操作していたのに対し、6番艦以降では、NBC防護の観点から、第1・2および第3・4カタパルトの間にそれぞれ統合カタパルト管制室 (ICCS) が設置されている[7]。なお、1番艦は前級までと同じく3基のブライドル・レトリーバーを搭載して竣工したが、その後これを不要とする機体が主流となっていったため、2番艦は艦首右舷側1基のみとした。4番艦以降は全廃している。
一方、アレスティング・ギア(着艦制動装置)としてはMk.7-3が採用されており、105ノットで進入してくる重量22.7トン(非常時は27.2トンまで)の機体を安全に停止できる。装備要領としては、アングルド・デッキ後部に、8番艦までは4本のアレスティング・ワイヤー(着艦制動索)が張られていたが、着艦精度の向上を受けて、9番艦以降では3本となった[7]。また3本目と4本目のワイヤーの間には、アレスティング・フックが故障した機体等を強制的に停止させるため、ネット状のクラッシュ・バリアー(滑走制止装置)が設置されている[10]。
多数機を同時運用することから、ニミッツ級は充実した航空管制能力を備えている。
遠距離から航空機を誘導するための電波航法装置としては、AN/URN-25戦術航法装置 (TACAN) が用いられる。これに基づいて艦に接近した航空機はAN/SPN-43B 航空管制用捜索レーダーにより捕捉される。これは晴天時には50海里、雨天時でも35海里の探知距離を備えており、対空捜索レーダーの補完としても用いられる。さらに接近してからは、AN/SPN-42、あるいはLPI化されたAN/SPN-46精測進入レーダーが用いられる。条件次第では自動着艦も可能であり、本級では2基が備えられていることから、同時に2機の発着艦が可能である[17]。
格納・補給
[編集]飛行甲板の下に1層のギャラリー・デッキをおいてハンガーが設けられている。全長208.5メートル、最大幅32.9メートルで、高さは3層分、8.1メートルである。船体長の60パーセントを占めるものの、搭載機すべてを収容する容積はなく、主として整備スペースとして用いられる。ダメージコントロールの必要上、ハンガーは2枚の防火・耐爆シャッターによって3分割することができる。また艦尾側には露天で艦上機エンジンの試運転場も設けられている[7]。
飛行甲板とハンガーを連絡するエレベータとしては、右舷アイランド前方2基、後方1基、左舷後方1基の計4基装備する。これらはいずれもデッキサイド式で、寸法は25.9メートル×15.9メートル、力量58.5トンで、前級までと同じく外舷側に向けて前側半分程より広げた変形五角形となっており、主翼を折りたたんだままの艦上戦闘機2機を同時に載せて昇降することができる。このほか、兵装用のエレベータが9基設けられている[7]。
また燃料・弾薬の搭載量も大幅に増強されており、最後の通常動力型空母である「ジョン・F・ケネディ」と比較すると、同艦では航空燃料 (JP-5) 5,919トン、航空機用武器・弾薬1,800トンを搭載していたのに対し、本級ではそれぞれ、4割増の8,205トン、3割増の2,470トンとなっている。これにより継戦能力は飛躍的に強化され、「ジョン・F・ケネディ」では連続9日ないし11日が限界であったのに対し、ニミッツ級では無補給で最大16日の作戦行動が可能となっている[17]。
個艦防御機能
[編集]ニミッツ級の固有兵装は個艦防御用に限られる。
防空システムとしては、当初はターター・システムが検討されたものの、まもなく50口径3インチ連装両用砲とMk.56 砲射撃指揮装置の組み合わせに取って代わられた。しかし排水量制限の問題等に直面し、最終的に、シースパロー個艦防空ミサイル・システムが採用された。1~2番艦では初期型のBPDMSが採用され、発射機としては8連装のMk.25計3基を右舷前部と艦尾両舷のスポンソンにそれぞれ配置した。3番艦以降では改良型のMk.57 mod.3 IBPDMSとされて、発射機はMk.29発射機に改められており、80年代以降の改装で先の2隻も同じく更新している[10]。
また近接防空用として、3~8番艦は新造時より、1~2・9~10番艦も改装によって2基から4基の20mmファランクスCIWSを装備した。配置箇所は右舷前部のシースパロー短SAM発射機近傍、左舷前部スポンソン、後部両舷、あるいは艦尾ジェットエンジン整備・試験スペース等である。一部の艦では、改装時に、ファランクスCIWSやシースパロー発射機の一部を置き換え、RAM近接防空ミサイルの21連装発射機が逐次搭載されている。
-
「アイゼンハワー」搭載のRAM発射機
対潜兵器は持たないが、一部艦ではウェーキ・ホーミング魚雷対策としてMk.32 3連装短魚雷発射管を後部に装備している。また対魚雷のソフト・キル用としては、AN/SLQ-36ニクシー曳航式デコイが搭載される[10]。
このほか、米艦コール襲撃事件のようなテロ対策としてキャット・ウォークにM2 12.7mm重機関銃を配置することがある[注 6]。
比較表
[編集]CVN フォード級 | CVN ニミッツ級 | CVN エンタープライズ (最終状態) |
CV キティホーク級 (最終状態) |
CV フォレスタル級 (最終状態) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
船体 | 満載排水量 | 101,605 t[18] | 91,400 - 102,000 t[4] | 83,350 t[19] | 75,200 t - 83,000 t[20] | 75,900 t - 76,000 t[21] |
全長 | 332.8 m[18] | 332.0 m[4] | 341.3 m[19] | 319.3 m - 326.9 m[20] | 316.7 m - 319.0 m[21] | |
水線幅 / 最大幅 | 41.8 m / 78 m[18] | 40.8 m / 76.8 m[4] | 38.5 m / 78.3 m[19] | 39.6 m / 76.8 m[20] | 38.5 m / 76.8 m[21] | |
機関 | 方式 | 原子炉 + 蒸気タービン[18][4][19] | ボイラー + 蒸気タービン | |||
出力 | 280,000 hp[4][19][20][21][注 7] | |||||
速力 | 30 kt以上[18][4] | 36 kt[19] | 35 kt[20] | 34 kt[注 7][21] | ||
兵装 | 砲熕 | ファランクスCIWS × 2–3基[18][4][19][20][21] | ||||
ミサイル | ESSM 8連装発射機 × 2基[18] | シースパロー 8連装発射機 × 2–3基[4][19][20][21] | ||||
RAM 21連装発射機 × 2基[18] | ― | |||||
航空運用機能 | 形式 | CATOBAR | ||||
発艦装置 | 電磁式カタパルト × 4基 | 蒸気式カタパルト × 4基 | ||||
JBD | 4基 | |||||
着艦帯 | アングルド・デッキ配置 | |||||
制動索 | 3索 | 4索[注 8] | ||||
エレベーター | 3基 | 4基 | ||||
航空用ガソリン | ― | 363 kL[22] | 192 kL[22] | 353 kL[22] | ||
ジェット燃料 | 不明 | 10,220 kL[22] | 9,382 kL[22] | 4,439 kL[22] | 6,955 kL[22] | |
航空機用兵器 | 不明 | 2,970 t[22] | 1,800 t[22] | |||
搭載機数 | 常時70機前後 | 常時70機前後 / 最大90機 | ||||
同型艦数 | 1隻 / 10隻予定 (1隻艤装中、1隻建造中) |
10隻 | 1隻(退役) | 4隻(退役) | 4隻(退役) |
フォード級 | シャルル・ド・ゴール | ニミッツ級 | エンタープライズ (最終状態) | ||
---|---|---|---|---|---|
船体 | 満載排水量 | 101,600 t | 43,182 t | 100,000 t以上 | 93,284 t |
全長 | 337 m | 261.5 m | 330 m - 333 m | 336 m | |
水線幅 / 最大幅 | 41 m / 78 m | 31.5 m / 64.36 m | 41 m / 76.8 m | 40 m / 76 m | |
機関 | 原子炉 | A1B × 2基 | K15 × 2基 | A4W × 2基 | A2W × 8基 |
出力 | 不明 | 83,000 shp | 260,000 shp | 280,000 shp | |
速力 | 30 kt以上 | 27 kt | 30 kt以上 | 33.6 kt | |
兵装 | 砲熕 | ファランクス CIWS × 2基 | 20 mm 単装機関砲 × 8基 | ファランクス CIWS × 2–3基 | |
ミサイル | ESSM 8連装発射機 × 2基 | アスター15 VLS × 32セル | シースパロー 8連装発射機 × 2基 | ||
RAM 21連装発射機 × 2基 | SADRAL 6連装発射機 × 2基 | RAM 21連装発射機 × 2基 | |||
航空運用機能 | 発着艦方式 | CATOBAR | |||
発艦装置 | 電磁式カタパルト × 4基 | 蒸気式カタパルト × 2基 | 蒸気式カタパルト×4基 | ||
JBD | 4基 | 2基 | 4基 | ||
着艦帯 | アングルド・デッキ配置 | ||||
制動索 | 3索 | 4索[注 8] | |||
エレベーター | 3基 | 2基 | 4基 | ||
搭載機数 | 常時70機前後 | 最大40機 | 常時70機前後 / 最大90機 | ||
同型艦数 | 1隻 / 10隻予定 (1隻艤装中、1隻建造中) |
1隻 | 10隻 | 1隻(退役) |
同型艦
[編集]ニミッツ級空母の建造並びに大規模改修は、アメリカでも唯一その能力を保持するニューポート・ニューズ造船所が全てを担当している。
艦番号 | 艦名 | 発注 | 起工 | 進水 | 就役 | RCOH | 母港 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CVN-68 [注 9] |
ニミッツ USS Nimitz |
1967年 3月31日 |
1968年 6月22日 |
1972年 5月13日 |
1975年 5月3日 |
1998年–2001年 | ワシントン州ブレマートン キトサップ海軍基地 |
CVN-69 | ドワイト・D・アイゼンハワー USS Dwight D. Eisenhower |
1970年 6月29日 |
1970年 8月15日 |
1975年 10月11日 |
1977年 10月18日 |
2001年–2005年 | バージニア州ノーフォーク ノーフォーク海軍基地 |
CVN-70 | カール・ヴィンソン USS Carl Vinson |
1974年 4月5日 |
1975年 10月11日 |
1980年 3月15日 |
1982年 3月13日 |
2005年–2009年 | ノースアイランド海軍航空基地 |
CVN-71 | セオドア・ルーズベルト USS Theodore Roosevelt |
1980年 9月30日 |
1981年 10月31日 |
1984年 10月27日 |
1986年 10月25日 |
2009年–2013年 | カリフォルニア州サンディエゴ ノースアイランド海軍航空基地 |
CVN-72 | エイブラハム・リンカーン USS Abraham Lincoln |
1982年 12月27日 |
1984年 11月3日 |
1988年 2月13日 |
1989年 11月11日 |
2013年–2017年 | |
CVN-73 | ジョージ・ワシントン USS George Washington |
1986年 8月25日 |
1990年 7月21日 |
1992年 7月4日 |
2017年-2023年 | 神奈川県横須賀市 米海軍横須賀基地 | |
CVN-74 | ジョン・C・ステニス USS John C. Stennis |
1988年 6月30日 |
1991年 3月13日 |
1993年 11月11日 |
1995年 12月9日 |
2023年- | バージニア州ノーフォーク ノーフォーク海軍基地 |
CVN-75 | ハリー・S・トルーマン[注 10] USS Harry S. Truman |
1993年 11月29日 |
1996年 9月7日 |
1998年 7月25日 |
|||
CVN-76 | ロナルド・レーガン USS Ronald Reagan |
1994年 12月8日 |
1998年 2月12日 |
2001年 3月4日 |
2003年 7月12日 |
ワシントン州ブレマートン キトサップ海軍基地 | |
CVN-77 | ジョージ・H・W・ブッシュ USS George H. W. Bush |
2001年 1月26日 |
2003年 9月6日 |
2006年 10月9日 |
2009年 1月10日 |
バージニア州ノーフォーク ノーフォーク海軍基地 |
-
CVN-68
ニミッツ -
CVN-69
ドワイト・D・アイゼンハワー -
CVN-70
カール・ヴィンソン -
CVN-71
セオドア・ルーズベルト -
CVN-72
エイブラハム・リンカーン -
CVN-73
ジョージ・ワシントン -
CVN-74
ジョン・C・ステニス -
CVN-75
ハリー・S・トルーマン -
CVN-76
ロナルド・レーガン -
CVN-77
ジョージ・H・W・ブッシュ
登場作品
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ a b Polmar 2013, pp. 113–117では、4番艦「セオドア・ルーズベルト」(CVN-71) が満載排水量104,581トンと単独で史上最大の軍艦であり、姉妹艦はそれぞれ微妙に差があるが、全体で"2位グループ"を形成しているとしている。ただしSaunders 2015, pp. 936–937では、5番艦以降は103,637トンで、4番艦は97,933トン、3番艦以前は92,955トンとしている。
- ^ そのため、上段の窓は飛行甲板を見渡せる左舷側にのみ開けられている。
- ^ この際には2基のA4Wが集合的に捉えられていると考えられている。
- ^ このため、元々は約30年(1回のRCOHを挟んだ26年の運用)で退役する予定だった。[13]
- ^ 2006年以前は空母戦闘群 (CVBG) と呼称されていた。
- ^ 員数外の装備であり、カタログデータに反映されない。
- ^ a b 「フォレスタル」のみ出力260,000 hp、速力33ノット[21]
- ^ a b ニミッツ級9番艦以降は3索式。
- ^ 1975年6月30日、原子力攻撃空母 (CVAN) から原子力空母 (CVN) に艦種変更された。
- ^ 当初「ユナイテッド・ステーツ」と命名される予定であった。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g Saunders 2015, pp. 936–937.
- ^ 世界の艦船2022年8月号28頁
- ^ a b Wertheim 2013, pp. 831–833.
- ^ a b c d e f g h i j 大塚 2014, pp. 156–169.
- ^ a b 海人社 2007.
- ^ a b c d 中名生 1994.
- ^ a b c d e f g h 海人社 2008.
- ^ 海人社 2013.
- ^ 『アメリカ合衆国会計検査院1998年 通常動力と原子力の空母のコスト比較』
- ^ a b c d e f g 吉原 1994.
- ^ a b c 野木 2008.
- ^ アメリカ合衆国国務省 (2006年4月17日). “Fact Sheet on U.S. Nuclear Powered Warship (NPW) Safety” (PDF) (英語). 2013年11月24日閲覧。
- ^ a b Schank et al. 2005, pp. 7.
- ^ a b 大熊 2006.
- ^ 野木 2006.
- ^ 海人社 2011.
- ^ a b 宮本 1994.
- ^ a b c d e f g h 大塚 2014, pp. 170–174.
- ^ a b c d e f g h 大塚 2014, pp. 146–155.
- ^ a b c d e f g 大塚 2014, pp. 132–145.
- ^ a b c d e f g h 大塚 2014, pp. 118–131.
- ^ a b c d e f g h i Friedman 1983, appx.E Carrier Characteristics.
参考文献
[編集]- Friedman, Norman [in 英語] (1983年). U.S. Aircraft Carriers: An Illustrated Design History. Naval Institute Press. ISBN 978-0870217395。
- Polmar, Norman [in 英語] (2008年). Aircraft Carriers: A History of Carrier Aviation and Its Influence on World Events. Vol. II. Potomac Books Inc. ISBN 978-1597973434。
- Polmar, Norman (2013年). The Naval Institute Guide To The Ships And Aircraft Of The U.S. Fleet (19th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591146872。
- Saunders, Stephen (2015年). Jane's Fighting Ships 2015-2016. Janes Information Group. ISBN 978-0710631435。
- Schank, John; Smith, Giles; Alkire, Brien; Arena, Mark; Birkler, John; Chiesa, James (2005年). MODERNIZING THE U.S. AIRCRAFT CARRIER FLEET ― Accelerating CVN 21 Production Versus Mid-Life Refueling (PDF) (Report). RAND Corporation.
- Wertheim, Eric [in 英語] (2013年). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545。
- 大熊康之「第5章 タトル提督のC4I近代化革命」『軍事システム エンジニアリング』かや書房、2006年、143–175頁。ISBN 978-4-906124-63-3。
- 大塚好古「アメリカ航空母艦史」『世界の艦船』第807号、海人社、1-207頁、November 2014。 NAID 40020238934。
- 海人社 編「アメリカ空母発達史 レキシントンからフォードまで」『世界の艦船』第680号、海人社、84-93頁、October 2007。 NAID 40015608397。
- 海人社 編「航空母艦全史」『世界の艦船』第685号、海人社、January 2008。 NAID 40015770991。
- 海人社 編「ジョージ・ワシントンのハードウェア (極東の新戦力 米CVN「ジョージ・ワシントン」)」『世界の艦船』第699号、海人社、88-95頁、December 2008。 NAID 40016306142。
- 海人社 編「世界の原子力水上艦ラインナップ (特集・原子力水上艦建造史)」『世界の艦船』第738号、海人社、90-99頁、March 2011。 NAID 40018277435。
- 海人社 編「世界の海軍 2011-2012」『世界の艦船』第740号、海人社、April 2011。 NAID 40018748557。
- 海人社 編「写真特集 世界の空母2013」『世界の艦船』第783号、海人社、21-59頁、September 2013。 NAID 40019756779。
- 野木恵一「システムとしての艦隊防空-その発達をたどる (特集・対空兵装の変遷)」『世界の艦船』第662号、海人社、98-103頁、August 2006。 NAID 40007357722。
- 野木恵一「A4W原子炉の構造と安全性 (極東の新戦力 米CVN「ジョージ・ワシントン」)」『世界の艦船』第699号、海人社、96-99頁、December 2008。 NAID 40016306143。
- 中名生正己「究極のスーパー・キャリアー「ニミッツ」級 その誕生の経緯」『世界の艦船』第490号、海人社、70-73頁、December 1994。doi:10.11501/3292274。
- 宮本勲「「ニミッツ」級の航空部隊」『世界の艦船』第490号、海人社、86-93頁、December 1994。doi:10.11501/3292274。
- 吉原栄一「ニミッツ級のハードウェア」『世界の艦船』第490号、海人社、74-85頁、December 1994。doi:10.11501/3292274。
関連項目
[編集]- 乗り物に関する世界一の一覧#Largest naval ship in history - 史上最大の軍艦について包括的に解説しており、ニミッツ級航空母艦について多く取り上げている。