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'''水痘'''(すいとう)は、[[水痘・帯状疱疹ウイルス]](''varicella-zoster virus'', VZV)の感染による[[感染症]]の一種。一般に'''水疱瘡'''(みずぼうそう)または'''水ぼうそう'''としても知られている。 |
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英語では ''chicken pox'' <ref name="fukuoka" />や ''varicella''と呼ばれる。日本では、[[感染症法]]の第5類感染症に指定されており、[[学校保健安全法]]による第2類[[学校感染症]]に分類されている。 |
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== 疫学 == |
== 疫学 == |
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水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の[[レゼルボア|自然宿主]]はヒトのみであるが、世界中に分布しており<ref name="fukuoka">[https://www.city.fukuoka.med.or.jp/kensa/ensinbunri/enshin_104_x.pdf 水痘] 一般社団法人福岡市医師会 2023年11月10日閲覧。</ref>、接触感染、飛沫感染、空気感染で感染する<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei">[https://www.radionikkei.jp/kansenshotoday/__a__/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120815.pdf 庵原 俊昭「水痘の現状と対策」 ] ラジオNIKKEI 感染症TODAY 2012年8月15日</ref>。季節的には毎年12 - 7月に多く8 - 11月に減少する<ref name="fukuoka" />。 |
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季節的には毎年12 - 7月に多く8 - 11月には減少し、罹患年齢の多くは9歳以下。水痘ウイルスの[[レゼルボア|自然宿主]]はヒトのみであるが、世界中に分布している。1度かかると2度とかからないと一般に言われているものの、抗体が消えれば再発症する可能性は高く、再発症の例もたびたび報告されている。治癒後も神経節などに水痘・帯状疱疹ウイルスは潜伏しており、免疫低下時や疲労・ストレス時に再活性化し[[帯状疱疹]]を発症することがある。 |
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発疹を生じ、紅斑(皮膚表面が赤くなる)、[[水疱]](水ぶくれ)、[[膿疱]](粘度のある液体を含む水疱)と経過し、痂皮化(かひか、[[かさぶた]]への変化)してから治癒に至る<ref name="fukuoka" />。しかし、その後も水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は知覚神経節サテライト細胞に潜伏し続け、がんや加齢などの原因により、このウイルスに対する特異的細胞性免疫能の低下により再活性化する<ref name="nikkei" />。この再活性化により知覚神経を通って皮膚で再び増殖した状態が[[帯状疱疹]]である<ref name="nikkei" /><ref name="okinawa">[https://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/documents/siuto.pdf 水痘(みずぼうそう)について] 沖縄県 2011年3月</ref>。 |
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== 原因 == |
== 原因 == |
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[[ヘルペスウイルス科]]の水痘・帯状疱疹ウイルス (''varicella-zoster virus'', VZV) の初感染による<ref name="nikkei" />。感染経路は接触感染、飛沫感染、空気感染で感染で、発疹出現の1-2日前から出現後4-5日あるいは痂皮化するまで感染力がある<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。特に発疹出現1 - 2日前から出現当日までは感染力が高いとされている<ref name="sendai">[https://hospital.city.sendai.jp/pdf/p023-026%2035.pdf 田中宏典、早坂篤、石山美由紀、松本沙知子、品川真澄、大山喜子、赤石美穂、田邉康次郎、横溝玲、渡辺孝紀「当院周産期病棟での水痘発症とその対応」] 仙台市立病院医誌 35, 23-26, 2015</ref>。 |
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[[ヘルペスウイルス科]]の水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus)の初感染によるとされる。感染経路は、主に[[感染経路#飛沫核感染(空気感染、塵埃感染)|飛沫核感染(空気感染)]]で、水疱液の接触感染もある。非常に強い感染力を持ち、病院などでは同一フロアにいるだけで軽度の接触とみなす。より専門的には、「ウイルスを含有する飛沫もしくは飛沫核による空気感染、上気道、下気道がウイルスの排出、侵入、または接触のため感染する」といわれる。[[痂皮]](かひ)になっていない皮膚症状からの接触感染、帯状疱疹の人からの接触感染や飛沫感染もある。なお、ウイルスの大きさは150から200[[ナノメートル]]で、患者が排出したウイルスは、チリやホコリや水の粒とともに室内を飛散し、一定以上の数を鼻やのど(上気道)から吸い込めば、患者にさわらなくても感染する。 |
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感染力は[[麻疹]]に比べると弱いが、[[流行性耳下腺炎|ムンプス]]や[[風疹]]よりは強い<ref name="fukuoka" />。水痘の[[基本再生産数]]<math>R_0</math>は10-12である<ref>{{cite book|和書|author1=Ireland's Health Services|title=Health Care Worker Information|url=https://www.hse.ie/eng/health/immunisation/hcpinfo/guidelines/chapter23.pdf|access-date=2020-03-27|publisher=|year=}}</ref>。また、流行を抑制するための集団免疫率は90パーセント以上とされる<ref name="nikkei" />。 |
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== 症状 == |
== 症状 == |
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潜伏期は通常は2週間程度であるが、免疫不全患者ではさらに長くなることがある<ref name="fukuoka" />。子供の場合は通常発疹が初発症状であるが、成人の場合は発疹出現以前に1 - 2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがある<ref name="fukuoka" />。 |
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潜伏期は2週間程度(10 - 21日)で、全身に直径3 - 5mm程度の[[丘疹]](盛り上がった紅い発疹)が出現する。成人は発疹出現以前に1 - 2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがある。発疹は一斉にではなく、数日かけて続々と出現する。ひとつの発疹は丘疹→[[水疱]](水ぶくれ)→[[膿疱]](水ぶくれに膿がたまってくる)→[[痂皮]](かさぶた)の順に変化し、治癒する。さまざまな段階の発疹が混在するのが特徴で、これらの全てが[[痂皮]]になったときに治癒したとみなす(([[痘瘡]]では発疹の段階がそろっており、水痘との鑑別に重要であったが、今は痘瘡が存在しない)。発疹の出現は発病から3日目ごろがピーク。7日程度で痂皮になって治癒する。 |
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発疹は全身性で紅斑、丘疹を経て短時間で水疱に変化する<ref name="fukuoka" />。発疹は通常は頭皮、体幹、四肢の順に出現し、体幹部に最も多くみられ、数日間にわたって次々と新たな発疹が発生する<ref name="fukuoka" />。発疹は掻痒感([[かゆみ]])を伴うが<ref name="fukuoka" />、水疱を手で引っかくなどして化膿すると傷跡になることがある<ref name="okinawa" />。 |
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水痘は体があたたまるとかゆみが増すため暖房や厚着をする際には気をつける必要がある。発熱はまったくみられない場合や、39 - 40℃に達する高熱が出ることもあるなどさまざまである。 |
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一般的には倦怠感と38℃前後の発熱が2 - 3日続き、発疹は水疱から膿疱となり、さらに痂皮(かさぶた)となって治癒に至る<ref name="fukuoka" />。しかし、1歳以下、15歳以上、妊婦の場合には合併症を引き起こす確率が高く、皮膚の二次性細菌感染、脱水、[[肺炎]]、中枢神経合併症(無菌性髄膜炎や小脳炎など)をきたすことがある<ref name="fukuoka" />。 |
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[[アトピー性皮膚炎]]患者では[[皮疹]]が重症になりやすく、ステロイド療法中の患者や妊婦、新生児など免疫系の働きが変化している患者、[[悪性腫瘍]]に対して[[化学療法]]で治療中の患者や[[後天性免疫不全症候群|AIDS]]患者など[[免疫不全]]患者では重症になりやすい。成人の患者では[[間質性肺炎]]の合併がみられることがあり、皮疹も概して重症である。また、妊婦が妊娠初期(8 - 20週目)に感染すると2%程度の胎児に''先天性水痘症候群''として低体重出生、四肢の形成不全、皮膚瘢痕、部分的筋肉萎縮、[[脳炎]]、小頭症、[[白内障]]などの症状が現れる。 |
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成人で初感染すると小児のときよりも重症化しやすく水痘肺炎を合併することも多くなる<ref name="nikkei" />。 |
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妊婦と水痘の関係については、妊娠中に水痘に初感染した場合は非妊娠時よりも重症化しやすく、妊娠末期では肺炎の合併が増加する<ref name="sendai" />。また、胎児と水痘の関係では、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が経胎盤的に胎児に移行して影響を与えることがあり、特に妊婦が妊娠20週までに水痘に罹患した場合には子どもに'''先天性水痘症候群'''のリスクがある<ref name="sendai" />。影響は感染の時期により異なるが、感覚神経の異常、視覚原器の障害、頸髄と腰仙髄の障害、中枢神経系障害などの症状が起きることがある<ref name="sendai" />。 |
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== 診断 == |
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臨床的診断(水痘にみられる典型的な皮膚所見)とウイルス学的診断があり、後者には血清学的診断とVZVの検出がある<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。 |
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== 治療 == |
== 治療 == |
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抗ウイルス療法として[[抗ウイルス薬]]である[[アシクロビル]](ACV)や[[バラシクロビル]]などの投与が行われる<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。発症後48時間以内にACVを投与することは、軽症化や罹病期間の短縮に有効と考えられている<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。なお、妊婦については慎重に検討され、「産婦人科診療ガイドライン産科編 2014」では水痘患者と濃厚接種した水痘抗体がない可能性が高い妊婦に対する予防的免疫グロブリンの投与、水痘に感染した妊婦へのACV投与を考慮するとしている<ref name="sendai" />。 |
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水痘に罹患した場合は、小児科医などの専門医による早期治療が望まれる(早期治療で軽くなる)。治療として[[抗ウイルス薬]]である[[アシクロビル]]、[[バラシクロビル]]、[[ファムシクロビル]]などの内服や静脈注射を行うが、妊婦には抗ウイルス薬は用いない。かゆみに対する対症療法として[[フェノール亜鉛華リニメント]]や抗ヒスタミン薬などが処方される。発熱している場合は[[アスピリン]]の使用は避ける(市販の解熱剤にアスピリンが含まれる場合もあり、服用した際には必ず医師に伝える)。水ぶくれが壊れたら、抗生剤(無色のものが膿などと混同されなくてよい)入りの軟膏で二次感染を防ぐ。また、化膿がなければドレッシング材などで覆うことにより湿潤環境を維持することで跡が残りにくくなる場合があるので、専門医に相談する。なお化膿した部位にこの治療を行うと非常に悪化するので注意が必要である。成人になってから初感染すると脳炎や肺炎の合併が多く危険な場合があり早期治療が重要である。 |
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[[対症療法]]として、かゆみに対して[[フェノール亜鉛華リニメント|石炭酸亜鉛華リニメント]](カルボルチンクリニメント、カチリ)や[[抗ヒスタミン薬]]が処方される<ref name="fukuoka" />。 |
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=== 美容的観点 === |
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この病気は美容上大きな問題を残す場合がある。水ぶくれを壊したり、かさぶたを無理にとったり、化膿させると傷の深さにより皮膚がうまく再生されずにアトが残る場合がある。アトが残らないようしたい場合は、発病の初期に皮膚科を受診して医師からその注意を受けることが重要である。ただし、水疱は伝染病であるため外来で訪れる場合は他の患者の迷惑にならないよう予め受診の方法などを必ず相談する。水疱瘡のあとを美容外科で修正するのは、傷跡が主観的な要素がむしろ大きいため難しい場合もある。治療法としては、再度メス等で傷跡の上を削り皮膚を湿潤療法により自然に再形成させる方法(保険外)などで、1、2か月で治癒する。しかし罹患しないためのワクチンの注射が美容的観点からも結局は安くて有効といえる。 |
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なお、急性期に小児に対して[[アスピリン]]などの解熱剤を使用すると、激しい嘔吐や意識障害、痙攣などを生じる[[ライ症候群]]を引き起こすことがある<ref name="fukuoka" />。 |
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== 予防 == |
== 予防 == |
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[[File:Varicella vaccine.jpg|thumb|水痘ワクチン・帯状疱疹ワクチン]] |
[[File:Varicella vaccine.jpg|thumb|水痘ワクチン・帯状疱疹ワクチン]] |
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[[水痘ワクチン|水痘]]・[[帯状疱疹ワクチン]]([[生ワクチン]])の[[予防接種]]が予防法となる。ワクチンは[[1974年]]に日本で開発されたワクチンで、岡株は世界で唯一の水痘ワクチン株である<ref name="nikkei" />。 |
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水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)接種が予防の第一選択である。日本でも2014年10月1日から[[予防接種法#定期予防接種|定期接種]]となった<ref>{{Cite web|url=http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/varicella/|title=水痘 \| 厚生労働省 |author=厚生労働省 |accessdate=2016年5月16日}}</ref>。 |
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=== 日本 === |
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⚫ | 日本でも2014年10月1日から[[予防接種法#予防接種の対象|定期接種]]となった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/varicella/|title=水痘 \| 厚生労働省 |author=厚生労働省 |accessdate=2016-05-16}}</ref>。1歳になったらなるべく早く1回目を接種し、その6 - 12か月後に2回目を接種することが推奨される。なお、2015年5月には定期接種化により小児の入院事例が過去10年で最も少なかったことが報告されている<ref name="nikkei.medic.542280">[https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201505/542280.html 定期接種化で小児の水痘入院例が大幅に減少] 日経メディカルオンライン 記事:2015年5月25日 閲覧:2015年6月5日</ref>。 |
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; 定期接種の対象者とスケジュール |
; 定期接種の対象者とスケジュール |
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* 生後12 |
* 生後12か月から生後36か月にいたるまでの児(1歳から3歳の誕生日の前日まで) |
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** 1回目を1歳0 |
** 1回目を1歳0か月 - 1歳3か月の間、1回目終了から3か月以上あけて、標準的には6 - 12か月までの間隔をおいて2回目。 |
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* 生後36 |
* 生後36か月から生後60か月にいたるまでの児(3歳から5歳の誕生日の前日まで) |
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** 1回接種。経過措置として2014年10月 - 2013年3月31日まで限定。 |
** 1回接種。経過措置として2014年10月 - 2013年3月31日まで限定。 |
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ただし、既に水痘に罹患したことがある場合は対象外。任意接種として既に水痘ワクチンの接種を受けたことがある場合は、既に接種した回数分の接種を受けたものとみなす(経過措置対象者も含む)。 |
ただし、既に水痘に罹患したことがある場合は対象外。任意接種として既に水痘ワクチンの接種を受けたことがある場合は、既に接種した回数分の接種を受けたものとみなす(経過措置対象者も含む)。 |
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=== アメリカ合衆国 === |
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アメリカ合衆国では、1996年から定期接種を開始し、2006年に2回目の水痘ワクチン接種時期を4 - 6歳とした<ref name="nikkei" />。 |
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== 帯状疱疹との関係 == |
== 帯状疱疹との関係 == |
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=== 再活性化 === |
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⚫ | 宮崎県内の医療機関が1997 - 2006年に行った4万8388例(男2万181人、女2万8207人)に対する調査では、8月に多く冬は少なく、[[帯状疱疹#疫学的知見|帯状疱疹と水痘の流行は逆の関係にあった。]]この現象は、20 - 40歳代の子育て世代に顕著なため、水痘の子供と接したことによる[[ブースター効果]](追加免疫効果)が働いたと考えられている<ref>[ |
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帯状疱疹ウイルス(VZV)は初感染後、脊髄後根神経節(知覚神経節サテライト細胞)に潜伏し続けるが、長期間無症状のままである<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。しかし、がんや加齢、精神的ストレス、糖尿病などの原因により、このウイルスに対する特異的細胞性免疫能が低下して再活性化し、これが神経の支配領域に限局して疾患を引き起こしたものが帯状疱疹である<ref name="fukuoka" /><ref name="nikkei" />。 |
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=== 発症者数の関係 === |
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⚫ | 宮崎県内の医療機関が1997 - 2006年に行った4万8388例(男2万181人、女2万8207人)に対する調査では、8月に多く冬は少なく、[[帯状疱疹#疫学的知見|帯状疱疹と水痘の流行は逆の関係にあった。]]この現象は、20 - 40歳代の子育て世代に顕著なため、水痘の子供と接したことによる[[ブースター効果]](追加免疫効果)が働いたと考えられている<ref>[https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200910/512634.html 水痘が減ると帯状疱疹が増加] 日経メディカルオンライン 閲覧:2009年10月16日 記事:2009年10月13日</ref>。 |
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== 脚注 == |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/varicella/ 水痘] - [[厚生労働省]] |
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* [http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g2/k01_24.html 水痘] 国立感染症研究所感染症情報センター |
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* [https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/varicella.html 水痘とは] - [[国立感染症研究所]] |
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* [https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/16-感染症/ヘルペスウイルス感染症/水痘-水ぼうそう 水痘(水ぼうそう)] - [[MSDマニュアル]] |
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[[Category:ウイルス感染症]] |
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2024年12月9日 (月) 01:17時点における最新版
水痘 | |
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概要 | |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | B01 |
ICD-9-CM | 052 |
DiseasesDB | 29118 |
MedlinePlus | 001592 |
eMedicine | ped/2385 derm/74, emerg/367 |
Patient UK | 水痘 |
水痘(すいとう)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus, VZV)の感染による感染症の一種。一般に水疱瘡(みずぼうそう)または水ぼうそうとしても知られている。
英語では chicken pox [1]や varicellaと呼ばれる。日本では、感染症法の第5類感染症に指定されており、学校保健安全法による第2類学校感染症に分類されている。
疫学
[編集]水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の自然宿主はヒトのみであるが、世界中に分布しており[1]、接触感染、飛沫感染、空気感染で感染する[1][2]。季節的には毎年12 - 7月に多く8 - 11月に減少する[1]。
発疹を生じ、紅斑(皮膚表面が赤くなる)、水疱(水ぶくれ)、膿疱(粘度のある液体を含む水疱)と経過し、痂皮化(かひか、かさぶたへの変化)してから治癒に至る[1]。しかし、その後も水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は知覚神経節サテライト細胞に潜伏し続け、がんや加齢などの原因により、このウイルスに対する特異的細胞性免疫能の低下により再活性化する[2]。この再活性化により知覚神経を通って皮膚で再び増殖した状態が帯状疱疹である[2][3]。
原因
[編集]ヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルス (varicella-zoster virus, VZV) の初感染による[2]。感染経路は接触感染、飛沫感染、空気感染で感染で、発疹出現の1-2日前から出現後4-5日あるいは痂皮化するまで感染力がある[1][2]。特に発疹出現1 - 2日前から出現当日までは感染力が高いとされている[4]。
感染力は麻疹に比べると弱いが、ムンプスや風疹よりは強い[1]。水痘の基本再生産数は10-12である[5]。また、流行を抑制するための集団免疫率は90パーセント以上とされる[2]。
症状
[編集]潜伏期は通常は2週間程度であるが、免疫不全患者ではさらに長くなることがある[1]。子供の場合は通常発疹が初発症状であるが、成人の場合は発疹出現以前に1 - 2日の発熱と全身倦怠感を伴うことがある[1]。
発疹は全身性で紅斑、丘疹を経て短時間で水疱に変化する[1]。発疹は通常は頭皮、体幹、四肢の順に出現し、体幹部に最も多くみられ、数日間にわたって次々と新たな発疹が発生する[1]。発疹は掻痒感(かゆみ)を伴うが[1]、水疱を手で引っかくなどして化膿すると傷跡になることがある[3]。
一般的には倦怠感と38℃前後の発熱が2 - 3日続き、発疹は水疱から膿疱となり、さらに痂皮(かさぶた)となって治癒に至る[1]。しかし、1歳以下、15歳以上、妊婦の場合には合併症を引き起こす確率が高く、皮膚の二次性細菌感染、脱水、肺炎、中枢神経合併症(無菌性髄膜炎や小脳炎など)をきたすことがある[1]。
成人で初感染すると小児のときよりも重症化しやすく水痘肺炎を合併することも多くなる[2]。
妊婦と水痘の関係については、妊娠中に水痘に初感染した場合は非妊娠時よりも重症化しやすく、妊娠末期では肺炎の合併が増加する[4]。また、胎児と水痘の関係では、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が経胎盤的に胎児に移行して影響を与えることがあり、特に妊婦が妊娠20週までに水痘に罹患した場合には子どもに先天性水痘症候群のリスクがある[4]。影響は感染の時期により異なるが、感覚神経の異常、視覚原器の障害、頸髄と腰仙髄の障害、中枢神経系障害などの症状が起きることがある[4]。
診断
[編集]臨床的診断(水痘にみられる典型的な皮膚所見)とウイルス学的診断があり、後者には血清学的診断とVZVの検出がある[1][2]。
治療
[編集]抗ウイルス療法として抗ウイルス薬であるアシクロビル(ACV)やバラシクロビルなどの投与が行われる[1][2]。発症後48時間以内にACVを投与することは、軽症化や罹病期間の短縮に有効と考えられている[1][2]。なお、妊婦については慎重に検討され、「産婦人科診療ガイドライン産科編 2014」では水痘患者と濃厚接種した水痘抗体がない可能性が高い妊婦に対する予防的免疫グロブリンの投与、水痘に感染した妊婦へのACV投与を考慮するとしている[4]。
対症療法として、かゆみに対して石炭酸亜鉛華リニメント(カルボルチンクリニメント、カチリ)や抗ヒスタミン薬が処方される[1]。
なお、急性期に小児に対してアスピリンなどの解熱剤を使用すると、激しい嘔吐や意識障害、痙攣などを生じるライ症候群を引き起こすことがある[1]。
予防
[編集]水痘・帯状疱疹ワクチン(生ワクチン)の予防接種が予防法となる。ワクチンは1974年に日本で開発されたワクチンで、岡株は世界で唯一の水痘ワクチン株である[2]。
水痘患者と接触(空気感染が主なので直接触るという意味ではなく、同一フロアにいると言う意味)してしまった後でも、72時間以内にワクチン接種することで発症の予防または症状の軽減が期待できる[6]。
日本
[編集]日本でも2014年10月1日から定期接種となった[7]。1歳になったらなるべく早く1回目を接種し、その6 - 12か月後に2回目を接種することが推奨される。なお、2015年5月には定期接種化により小児の入院事例が過去10年で最も少なかったことが報告されている[8]。
- 定期接種の対象者とスケジュール
- 生後12か月から生後36か月にいたるまでの児(1歳から3歳の誕生日の前日まで)
- 1回目を1歳0か月 - 1歳3か月の間、1回目終了から3か月以上あけて、標準的には6 - 12か月までの間隔をおいて2回目。
- 生後36か月から生後60か月にいたるまでの児(3歳から5歳の誕生日の前日まで)
- 1回接種。経過措置として2014年10月 - 2013年3月31日まで限定。
ただし、既に水痘に罹患したことがある場合は対象外。任意接種として既に水痘ワクチンの接種を受けたことがある場合は、既に接種した回数分の接種を受けたものとみなす(経過措置対象者も含む)。
アメリカ合衆国
[編集]アメリカ合衆国では、1996年から定期接種を開始し、2006年に2回目の水痘ワクチン接種時期を4 - 6歳とした[2]。
帯状疱疹との関係
[編集]再活性化
[編集]帯状疱疹ウイルス(VZV)は初感染後、脊髄後根神経節(知覚神経節サテライト細胞)に潜伏し続けるが、長期間無症状のままである[1][2]。しかし、がんや加齢、精神的ストレス、糖尿病などの原因により、このウイルスに対する特異的細胞性免疫能が低下して再活性化し、これが神経の支配領域に限局して疾患を引き起こしたものが帯状疱疹である[1][2]。
発症者数の関係
[編集]宮崎県内の医療機関が1997 - 2006年に行った4万8388例(男2万181人、女2万8207人)に対する調査では、8月に多く冬は少なく、帯状疱疹と水痘の流行は逆の関係にあった。この現象は、20 - 40歳代の子育て世代に顕著なため、水痘の子供と接したことによるブースター効果(追加免疫効果)が働いたと考えられている[9]。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 水痘 一般社団法人福岡市医師会 2023年11月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 庵原 俊昭「水痘の現状と対策」 ラジオNIKKEI 感染症TODAY 2012年8月15日
- ^ a b 水痘(みずぼうそう)について 沖縄県 2011年3月
- ^ a b c d e 田中宏典、早坂篤、石山美由紀、松本沙知子、品川真澄、大山喜子、赤石美穂、田邉康次郎、横溝玲、渡辺孝紀「当院周産期病棟での水痘発症とその対応」 仙台市立病院医誌 35, 23-26, 2015
- ^ Ireland's Health Services『Health Care Worker Information』 。2020年3月27日閲覧。
- ^ 水痘・帯状疱疹とそのワクチン(IASR Vol.34 p.287-288:2013年10月号)
- ^ 厚生労働省. “水痘 \”. 2016年5月16日閲覧。
- ^ 定期接種化で小児の水痘入院例が大幅に減少 日経メディカルオンライン 記事:2015年5月25日 閲覧:2015年6月5日
- ^ 水痘が減ると帯状疱疹が増加 日経メディカルオンライン 閲覧:2009年10月16日 記事:2009年10月13日