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「ストレス (生体)」の版間の差分

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項目にふさわしくない内容を削除した。人種差別は心理的ストレッサーに含まれ、心理的ストレッサーの例は数多いが、一つだけ例示するには普遍的ではなく、項目に適さない。また、出典元も一ニュースサイトであり、確度が低い。
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{{出典の明記|date=2009年3月}}
{{Otheruses|心理的、生物学的なストレス|ストレスの[[工学]]的な意味|応力|その他|ストレス}}
{{Otheruses|心理的、生物学的なストレス|ストレスの[[工学]]的な意味|応力|その他|ストレス}}
{{出典の明記|date=2009年3月}}
'''ストレス'''([[英語|英]]: stress)とは、生活上の[[プレッシャー]]および、それを感じたときの感覚である{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=15-16}}。[[オックスフォード英語辞典]]では、苦痛や苦悩を意味するDistressが短くなった単語とされる{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=15-16}}。ストレスの概念は一般に、1930年代の[[ハンス・セリエ]]の研究に起源を持つとされる{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。この文脈では、精神的なものだけでなく、寒さ熱さなど生体的なストレスも含む。ストレスが健康に影響を与える研究が行われてきた。様々な[[ストレス管理]]の方法がある。
[[File:Response to stress.jpg|thumb|right|ストレスに対する神経ホルモン反応([[視床下部-下垂体-副腎系]])]]
'''ストレス'''([[英語|英]]: stress)とは、生活上の[[プレッシャー]]や悪感および、それを感じたときの感覚である{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=15-16}}。人間および殆どの哺乳類では、[[自律神経系]]と[[視床下部-下垂体-副腎系]](HPA軸)がストレスに反応する2つの主要なシステムである<ref name="ReferenceD">{{cite journal|last1=Ulrich-Lai|first1=Yvonne M.|last2=Herman|first2=James P.|title=Neural Regulation of Endocrine and Autonomic Stress Responses|journal=Nature Reviews Neuroscience|date=7 February 2017|volume=10|issue=6|pages=397–409|doi=10.1038/nrn2647|issn=1471-003X|pmid=19469025|pmc=4240627}}</ref>。


ストレスの概念は一般に、[[1930年代]]の[[ハンス・セリエ]]の研究に起源を持つとされる{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。この文脈では、精神的なものだけでなく、寒さ熱さなど生体的なストレスも含む。以降、ストレスが健康に影響を与えるという研究が数多く行われてきた。近年の[[2012年]]の研究では、ストレスが健康に影響を与えると認識している群の[[死亡率]]が43%高まることが見いだされている<ref name="pmid22201278" />。逆に認識していない群はそうではない<ref name="pmid22201278" />。そのようなストレスに対する認識の影響の研究が進展している。それにもかかわらず、[[ハーバード大学医学大学院|ハーバード大学医学部]]は、ストレスとさまざまな障害との関係を考えると、ストレスを軽減する方法を見つけることが[[健康]]を維持するための最も重要な分野であると主張している<ref>{{Cite web|title=Breathing your way to better health|url=https://www.health.harvard.edu/staying-healthy/breathing-your-way-to-better-health|website=Harvard Health|date=2021-11-01|accessdate=2021-10-24|language=en|first=Kelly|last=Bilodeau}}</ref>。ストレスを和らげる方法はたくさんある:[[瞑想]]、[[マインドフルネス]]、[[ヨガ]]、週末の遊び、[[休日|休暇]]<ref>{{Cite web|title=Staying Healthy|url=https://www.health.harvard.edu/topics/staying-healthy|website=Harvard Health|accessdate=2020-12-31|first=Harvard Health|last=Publishing}}</ref>。[[ストレス管理]]には様々な方法があり、具体的な技法については「[[ストレス管理#技法]]」を参照。
しかし、近年の2012年の研究では、ストレスが健康に影響を与えると認識している群の[[死亡率]]が43%高まることが見いだされている<ref name="pmid22201278"/>。逆に認識していない群はそうではない<ref name="pmid22201278"/>。そのようなストレスに対する認識の影響の研究が進展している。


== 起源 ==
== 起源 ==
[[オックスフォード英語辞典]]では、英語の''stress''は、[[中世]]の言葉である、苦痛や苦悩を意味する''distress''が短くなった言葉と説明されている{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=15-16}}。
[[オックスフォード英語辞典]]では、英語の''stress''は、[[中世]]の言葉である、苦痛や苦悩を意味する''distress''が短くなった言葉と説明されている{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=15-16}}。


1914年に生理学者の[[ウォルター・B・キャノン|ウォルター・キャノン]]は、精神的な意味に加え、酸素不足など今日使われているような意味で使っていた{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。ストレスの研究者の中には、このキャノンを研究領域の生みの親とする意見もある{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。
[[1914年]]に生理学者の[[ウォルター・B・キャノン|ウォルター・キャノン]]は、精神的な意味に加え、酸素不足など今日使われているような意味で使っていた{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。ストレスの研究者の中には、このキャノンを研究領域の生みの親とする意見もある{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=25-26}}。


[[ウィーン]]で生まれ、当時カナダの[[マギル大学]]の研究者であった[[ハンス・セリエ]]は、1936年に「各種有害作因によって引き起こされる症候群」を発表し、当初ストレスという言葉が受け入れられなかったため、有害作因という用語を使ったが、次第に受け入れられていった<ref name="事典セリエ">{{Cite book|和書|author=久保田正春|chapter=セリエ『現代社会とストレス』|title=精神医学文献事典|publisher=弘文堂|date=2003|isbn=978-4-335-65107-6|page=251}}</ref>。セリエは、ストレスを引き起きおこしているものを、[[ストレッサー]]として造語して区別した<ref name="事典セリエ"/>。
[[ウィーン]]で生まれ、当時カナダの[[マギル大学]]の研究者であった[[ハンス・セリエ]]は、1936年に「各種有害作因によって引き起こされる症候群」を発表し、当初ストレスという言葉が受け入れられなかったため、有害作因という用語を使ったが、次第に受け入れられていった<ref name="事典セリエ">{{Cite book|和書|author=久保田正春|chapter=セリエ『現代社会とストレス』|title=精神医学文献事典|publisher=弘文堂|date=2003|isbn=978-4-335-65107-6|page=251}}</ref>。セリエは、ストレスを引き起こしているものを、[[ストレッサー]]として造語して区別した<ref name="事典セリエ"/>。


セリエは、1956年に『現代社会とストレス』(''The Stress of Life'')を出版し一般向けに初めて概説した<ref name="事典セリエ"/>。これは1976年に改定版が出版され、これは邦訳書も出ている<ref name="事典セリエ"/>。
セリエは、1956年に『現代社会とストレス』(''The Stress of Life'')を出版し一般向けに初めて概説した<ref name="事典セリエ"/>。これは1976年に改定版が出版され、これは邦訳書も出ている<ref name="事典セリエ"/>。また、1957年には、セリエの来日により、ストレスという言葉が流行した<ref>{{Cite book |和書 |author=世相風俗観察会 |title=現代世相風俗史年表:1945-2008|publisher=河出書房新社 |year=2009-03 |page=82 |isbn=9784309225043}}</ref>。


『現代社会とストレス』1976年版の第1部では、全身適応症候群を提唱し、はじめに警告反応として副腎皮質、[[リンパ]]管、腸内腫瘍がの3徴候を示し、次に抵抗期では徴候が無くなり、最後に生体が崩壊するとした概念が提唱された<ref name="事典セリエ"/>。第2部は、ストレスという用語についてであり、用語の普及と共に用語が混乱したため、「生体組織内に誘起された、あらゆる変化からなる特異的な症候群の示す状態である」と定義した<ref name="事典セリエ"/>。また、第5部では、ストレスの研究から人生について割かれており、自分のストレスの度合いを知ることで他者を同じように愛することができ、「愛他的利己愛」の中に答えがあるとした<ref name="事典セリエ"/>。
『現代社会とストレス』1976年版の第1部では、全身適応症候群を提唱し、はじめに警告反応として副腎皮質、[[リンパ]]管、腸内腫瘍がの3徴候を示し、次に抵抗期では徴候が無くなり、最後に生体が崩壊するとした概念が提唱された<ref name="事典セリエ"/>。第2部は、ストレスという用語についてであり、用語の普及と共に用語が混乱したため、「生体組織内に誘起された、あらゆる変化からなる特異的な症候群の示す状態である」と定義した<ref name="事典セリエ"/>。また、第5部では、ストレスの研究から人生について割かれており、自分のストレスの度合いを知ることで他者を同じように愛することができ、「愛他的利己愛」の中に答えがあるとした<ref name="事典セリエ"/>。


== ストレッサー ==
== ストレッサー ==
ストレスの原因は[[ストレッサー]]と呼ばれその外的刺激の種類から物理的ストレッサー(寒冷、[[騒音]]、[[放射線]]など)、化学的ストレッサー([[酸素]]、[[薬物]]など)、生物的ストレッサー([[炎症]]、[[感染]])、心理的ストレッサー([[怒り]]、[[不安]]など)に分類される。ストレッサーが作用した際、生体は刺激の種類に応じた特異的反応と刺激の種類とは無関係な一連の非特異的生体反応(ストレス反応)を引き起こす。
ストレスの原因は[[ストレッサー]]と呼ばれその外的刺激の種類から物理的ストレッサー(寒冷、[[騒音]]、[[放射線]]など)、化学的ストレッサー([[酸素]]、[[薬物]]など)、生物的ストレッサー([[炎症]]、[[感染]])、心理的ストレッサー([[怒り]]、[[不安]]など)に分類される<ref>{{cite journal|author=浦川加世子|title=ストレス対処力を高める心のストレッチ|journal=順天堂保健看護研究|volume=3巻|page=63頁|date=2015|publisher=順天堂大学保健看護学部|accessdate=2020年3月11日|url= https://www.juntendo.ac.jp/hsn/albums/abm.php?f=abm00017139.pdf&n=保健看護研究第3巻_学内活動報告.pdf}}</ref>。ストレッサーが作用した際、生体は刺激の種類に応じた特異的反応と刺激の種類とは無関係な一連の非特異的生体反応(ストレス反応)を引き起こす。


== ストレス反応 ==
== ストレス反応 ==
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=== 緊急反応 ===
=== 緊急反応 ===
{{main|闘争・逃走反応}}
[[ウォルター・B・キャノン]]は[[1929年]]に外敵に襲われるような緊急事態において生理的・心理的な反応を観察した。その研究から交感神経系によって副賢髄質から分泌される[[アドレナリン]]の効果と一致して心拍数増加、心拍出量増加、筋肉血管拡張、呼吸数増加、気管支拡張、筋収縮力増大、血糖値増加などの緊急事態に有効なストレス反応が生じることが分かった。具体的に緊急事態において採られるべき闘争、逃走のどちらにも有効な反応である。
[[ウォルター・B・キャノン]]は[[1929年]]に外敵に襲われるような緊急事態において生理的・心理的な反応を観察した。その研究から交感神経系によって副賢髄質から分泌される[[アドレナリン]]の効果と一致して心拍数増加、心拍出量増加、筋肉血管拡張、呼吸数増加、気管支拡張、筋収縮力増大、血糖値増加などの緊急事態に有効なストレス反応が生じることが分かった。具体的に緊急事態において採られるべき闘争、逃走のどちらにも有効な反応である。


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[[急性ストレス障害]](Acute Stress Disorder, ASD)とはトラウマの体験後4週間以内に見られる急性な高血圧、消化器系の炎症、[[解離 (心理学)|解離]]症状、[[フラッシュバック (心理現象)|フラッシュバック]]、感情鈍磨などの特異的な症状が見られるものを言う。[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)とはトラウマ体験後に生じるフラッシュバック、過覚醒症状、感情鈍磨などの特定的な症状が継続するものである。
[[急性ストレス障害]](Acute Stress Disorder, ASD)とはトラウマの体験後4週間以内に見られる急性な高血圧、消化器系の炎症、[[解離 (心理学)|解離]]症状、[[フラッシュバック (心理現象)|フラッシュバック]]、感情鈍磨などの特異的な症状が見られるものを言う。[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)とはトラウマ体験後に生じるフラッシュバック、過覚醒症状、感情鈍磨などの特定的な症状が継続するものである。


== コルチゾールと関わり ==
== ストレス生物学 ==
[[File:HPA Axis Diagram (Brian M Sweis 2012).svg|right|thumb|350px|[[HPA軸]]。CRH([[副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン]]), ACTH([[副腎皮質刺激ホルモン]])が働き、最終的にコルチゾールが放出される]]
[[コルチゾール]](Cortisol)は[[副腎皮質ホルモン]]である[[糖質コルチコイド]]の一種であり、ヒドロコルチゾン(Hydrocotisone)とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク[[代謝]]を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、[[血圧]]や[[血糖]]レベルを高め、[[免疫]]機能の低下や[[不妊]]をもたらす。また、この[[ホルモン]]は、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の[[海馬 (脳)|海馬]]を萎縮させることが、近年[[うつ病]]や[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)患者の脳の[[核磁気共鳴画像法|MRI]]などを例として観察されている<ref>山脇成人「[http://jams.med.or.jp/symposium/full/129006.pdf うつ病の脳科学的研究:最近の話題]」『第129回日本医学会シンポジウム記録集うつ病』2005年6月16日発行、6-14頁。pp8-9参照</ref>。
[[コルチゾール]](Cortisol)は[[副腎皮質ホルモン]]である[[糖質コルチコイド]]の一種であり、ヒドロコルチゾン(Hydrocotisone)とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク[[代謝]]を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、[[血圧]]や[[血糖]]レベルを高め、[[免疫]]機能の低下や[[不妊]]をもたらす。また、この[[ホルモン]]は、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の[[海馬 (脳)|海馬]]を萎縮させることが、近年[[うつ病]]や[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)患者の脳の[[核磁気共鳴画像法|MRI]]などを例として観察されている<ref>山脇成人「[https://jams.med.or.jp/event/doc/129006.pdf うつ病の脳科学的研究:最近の話題]」『第129回日本医学会シンポジウム記録集うつ病』2005年6月16日発行、6-14頁。pp8-9参照</ref>。


ストレスによるコルチゾールの放出による海馬の萎縮は、動物実験では可逆的であり回復につれて海馬は成長する{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=177-178}}。ヒトでもクッシング症候群の研究者は、コルチゾールの濃度が改善されてから海馬の成長が起こっていることを確認している{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|p=167}}。
ストレスによるコルチゾールの放出による海馬の萎縮は、動物実験では可逆的であり回復につれて海馬は成長する{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|pp=177-178}}。ヒトでもクッシング症候群の研究者は、コルチゾールの濃度が改善されてから海馬の成長が起こっていることを確認している{{sfn|ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|2004|p=167}}。

またトンカットアリとコルチゾール量の関係について調べた研究では、トンカットアリを摂取したグループは摂取しなかったグループと比べてコルチゾールが16%減少し、さらにアンケートによって緊張・怒りの感情は共に10%以上軽減されたという研究結果も報告されている<ref>{{Cite web|和書|title=トンカットアリとは?効果やテストステロンの変化について、医師が解説 {{!}} クリニックTEN 渋谷|url=https://clinicten.jp/column/menshealth/1912/|website=クリニックTEN 渋谷 {{!}} 渋谷のかかりつけクリニック|date=2021-06-02|accessdate=2021-11-15|language=ja}}</ref>。
{{-}}

== ストレス尺度 ==
ストレス尺度には例えば以下が存在する:
* {{仮リンク|社会的再適応評定尺度|en|Holmes and Rahe stress scale}}<ref>[https://kokoro.mhlw.go.jp/glossaries/word-1577/ 社会的再適応評定尺度:用語解説] 厚生労働省</ref>(SRRS、生活変化ストレス尺度、ライフイベント法)
* {{仮リンク|知覚されたストレス尺度|en|Perceived Stress Scale}} (PSS)

なお「知覚されたストレス尺度」が高くてもオプティミズム([[楽天主義]])や{{仮リンク|ハーディネス|en|Hardiness (psychology)}}(頑健性)が強ければ心理的安寧を維持できるとされ<ref name="wc-p65"/><ref name="wc-pp69-70"/>、そのオプティミズムの尺度には Scheier の Life Orientation Test が<ref name="wc-p65">『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 p.65 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/3134299/1/38]</ref>、ハーディネスの尺度には Bartoneらの Dispositional Resilience Scale が存在する<ref name="wc-pp69-70">『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 pp.69-70 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/3134299/1/40]</ref>。

またソーシャルサポートも同様とされるが、ソーシャルサポートの尺度には Sarasonらの Social Support Questionnaire が存在する<ref>『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 pp.67-69 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/3134299/1/39]</ref>。


== ストレス対処 ==
== ストレス対処 ==
{{Main|ストレス管理}}
{{Main|ストレス管理|en:Coping}}
ストレス対処(またはストレスコーピングストレスマネジメント、Stress Management)とはストレッサーを処理するために意識的に行われる行動及び思考を言う。これは個人と環境の相互作用的な過程であるとする対処戦略という考え方があり、ストレッサーの解決を目指して情報収集や再検討を通じて解を図る問題焦点型対処とストレッサーが起因する情動反応に注目した攻撃行動や問題忘却するような情動焦点型対処に大別できる。またパーソナリティ特性であるとする考え方もある。
ストレス対処({{ill|ストレスコーピング|en|Coping}})・ストレス管理(ストレスマネジメントとはストレッサーを処理するために意識的に行われる行動及び思考を言う。情報収集や問題の再検討を通じてストレッサーそのもののを図る問題焦点型対処とストレッサーに対する考え方や捉え方を変えることで情動反応を和らげていく情動焦点型対処に大別できる。

研究者は、ストレスを最もよく管理するには、その瞬間に生きるだけでなく、将来のストレスにも備えることが必要であると指摘した<ref>{{Cite web|title=Live in the moment, but also plan for future stress|url=https://www.health.harvard.edu/mind-and-mood/live-in-the-moment-but-also-plan-for-future-stress|website=Harvard Health|date=2020-07-01|accessdate=2021-10-26|language=en}}</ref>。

具体的には下記のようなストレス対処技法があり、様々な技法を身につけるほど総合的なストレス対処力が向上するため、一つ一つの技法を身につけるためのサポートとともに、用いることができるストレス対処技法の幅を広げるためのサポートも行われる<ref>大島 郁葉・葉柴 陽子・和田 聡美・山本 裕美子(著)伊藤 絵美・石垣 琢麿(監修)(2015). 認知行動療法を提供する――クライアントとともに歩む実践家のためのガイドブック―― 金剛出版, 35・67頁. </ref>。


===ストレス対処の例===
===ストレス対処の例===
;3R
{{Columns-list|2|
*Rest([[休憩]])-[[睡眠]]
*3R
*Relaxation([[リラクゼーション (心理学)|リラクゼーション]])- 深呼吸、[[ストレッチ]]、[[入浴]]、[[瞑想]]
**Rest([[休憩]])
*Recreation([[レクリエーション]])- [[趣味]]、[[娯楽]]、[[散歩]]、[[フィジカルトレーニング|運動]]、[[音楽]]、[[ゲーム]]<ref>[https://www.lifehacker.jp/2015/10/151006_game_stressless.html 科学が証明する「ゲームのストレス軽減効果」]([[ライフハッカー]] 掲載日:2015.10.06)</ref>、[[旅行]]
**Relaxation([[リラクゼーション]])
;ストレス研究からのアプローチ
**Recreation([[レクリエーション]])
*[[自律訓練法]]
*[[自律訓練法]]
*[[認知行動療法]]
*[[認知療法]]
*[[認知療法]]
*[[療法]]
*[[心理療法]]
*[[心理療法]]
*[[趣味]]
*[[対人関係療法]]
*[[リフレーミング]]
*[[瞑想]]
*[[マインドフルネス]]
*[[動]]
*相談や[[カウンセリング]]
*[[スパ]]
*情動処理(感情を表出したり聴いてもらったりして、気持ちを整理する)
*規則的な[[睡眠]]
*環境調整(人間関係面の改善など、ストレスを感じる環境を第三者に改善してもらうこと)や環境変更(よりストレスの少ない環境に移動・変更すること)
}}
*問題解決法(ストレスの原因となる問題を見つけ、解決することを援助・促進する技法)


== ストレスの影響を認知が無効化する ==
== ストレスの影響を認知が無効化する ==
[[アメリカ合衆国]]での、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していなかった<ref name="pmid22201278">{{cite journal|last1=Keller|first1=Abiola|last2=Litzelman|first2=Kristin|last3=Wisk|first3=Lauren E.|last4=Maddox|first4=Torsheika|last5=Cheng|first5=Erika Rose|last6=Creswell|first6=Paul D.|last7=Witt|first7=Whitney P.|title=Does the perception that stress affects health matter? The association with health and mortality.|journal=Health Psychology|volume=31|issue=5|pages=677–684|year=2012|pmid=22201278|pmc=3374921|doi=10.1037/a0026743|url=http://content.apa.org/journals/hea/31/5/677}}</ref>。健康心理学者の[[ケリー・マクゴニガル]]はこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡する[[リスク]]が43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明した。また科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介している。例えば、ストレスを感じると[[心臓]]がどきどきするが、これを体に悪いとネガティブにとらえると実際に[[血管]]が収縮し[[心不全]]などの原因となる。ところが、心臓がどきどきするのは新鮮な[[血液]]を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かった。すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張している<ref name="superpresentation">[http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/140409.html Kelly McGonigal How to make stress your friend「ストレスと上手につきあう方法」](NHKスーパープレゼンテーション)</ref><ref name="TED">{{TED talk|id=kelly_mcgonigal_how_to_make_stress_your_friend|title=ケリー・マクゴニガル:ストレスと友達になる方法|詳細=|date=2013|time=14分25秒 }}</ref>。
[[アメリカ合衆国]]での、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していなかった<ref name="pmid22201278">{{cite journal|last1=Keller|first1=Abiola|last2=Litzelman|first2=Kristin|last3=Wisk|first3=Lauren E.|last4=Maddox|first4=Torsheika|last5=Cheng|first5=Erika Rose|last6=Creswell|first6=Paul D.|last7=Witt|first7=Whitney P.|title=Does the perception that stress affects health matter? The association with health and mortality.|journal=Health Psychology|volume=31|issue=5|pages=677–684|year=2012|pmid=22201278|pmc=3374921|doi=10.1037/a0026743|url=http://content.apa.org/journals/hea/31/5/677}}</ref>。健康心理学者の[[ケリー・マクゴニガル]]はこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡する[[リスク]]が43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明した。また科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介している。例えば、ストレスを感じると[[心臓]]がどきどきするが、これを体に悪いとネガティブにとらえると実際に[[血管]]が収縮し[[心不全]]などの原因となる。ところが、心臓がどきどきするのは新鮮な[[血液]]を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かった。すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張している<ref name="superpresentation">[http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/140409.html Kelly McGonigal How to make stress your friend「ストレスと上手につきあう方法」](NHKスーパープレゼンテーション){{リンク切れ|date=2021年4月}}</ref><ref name="TED">{{TED talk|id=kelly_mcgonigal_how_to_make_stress_your_friend|title=ケリー・マクゴニガル:ストレスと友達になる方法|詳細=|date=2013|time=14分25秒 }}</ref>。


==人とのつながり==
==人とのつながり==
近年の[[オキシトシン]]の研究は、動物の社会的行動におけるその役割を見出している。
近年の[[オキシトシン]]の研究は、動物の社会的行動におけるその役割を見出している。


動物研究では、親ネズミによる子ネズミの世話などによって、オキシトシンの分泌が高まり、同時にコルチゾールの低下が見いされている。
動物研究では、親ネズミによる子ネズミの世話などによって、オキシトシンの分泌が高まり、同時にコルチゾールの低下が見いされている。



==出典==
==出典==
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==参考文献==
==参考文献==
*{{Cite book|和書|author=ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|translator=星恵子監修、桜内篤子|title=ストレスに負けない脳|publisher=[[早川書房]]|date=2004|isbn=4-15-208594-0}}''The End of Stress as We Know It'', 2002
*{{Cite book|和書|author=ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー|translator=星恵子監修、桜内篤子|title=ストレスに負けない脳|publisher=[[早川書房]]|date=2004|isbn=4-15-208594-0}}''The End of Stress as We Know It'', 2002
*ハンス・セリエ『生命とストレス』(細谷東一郎訳、 [[工作舎]] 1997)ISBN 978-4-87502-284-8


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[戦闘ストレス反応]]
* [[戦闘ストレス反応]]
* [[職業性ストレス]]
* [[職業性ストレス]]
* [[産業保健心理学]]
* {{仮リンク|社会的ストレス|en|Social stress}} ‐ {{ill2|社会的つながり|en|Social connection}}により軽減され、この効果は{{ill2|ソーシャル・バッファリング|en|Social buffering}}と呼ばれる。
* [[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)
* [[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)
* [[不安遺伝子]]
* [[学習性無力感]]
* [[共感]]
* [[認知症]]
* [[フラストレーション]]
* [[フラストレーション]]
* [[コルチゾール]]
* [[コルチゾール]]
* [[ストレス脆弱性モデル]]
* [[ストレス脆弱性モデル]]
* [[コンフォートゾーン]] - ストレスが皆無でいられる空間
* [[自律神経失調症]]
* {{ill2|反芻 (心理学)|en|Rumination (psychology)}} - 解決策に目を向けず[[精神的苦痛]]や原因に着目する思考である。健康に良くないため、認識の再評価(意識改革、訓練、方法の変更、相手や環境に問題があった など)が推奨される。
* [[イップス]] - スポーツ選手などが精神的な事情でスランプや生活が乱れる症状


== 外部リンク ==
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2024年11月21日 (木) 05:49時点における最新版

ストレスに対する神経ホルモン反応(視床下部-下垂体-副腎系

ストレス: stress)とは、生活上のプレッシャーや悪感および、それを感じたときの感覚である[1]。人間および殆どの哺乳類では、自律神経系視床下部-下垂体-副腎系(HPA軸)がストレスに反応する2つの主要なシステムである[2]

ストレスの概念は一般に、1930年代ハンス・セリエの研究に起源を持つとされる[3]。この文脈では、精神的なものだけでなく、寒さ熱さなど生体的なストレスも含む。以降、ストレスが健康に影響を与えるという研究が数多く行われてきた。近年の2012年の研究では、ストレスが健康に影響を与えると認識している群の死亡率が43%高まることが見いだされている[4]。逆に認識していない群はそうではない[4]。そのようなストレスに対する認識の影響の研究が進展している。それにもかかわらず、ハーバード大学医学部は、ストレスとさまざまな障害との関係を考えると、ストレスを軽減する方法を見つけることが健康を維持するための最も重要な分野であると主張している[5]。ストレスを和らげる方法はたくさんある:瞑想マインドフルネスヨガ、週末の遊び、休暇[6]ストレス管理には様々な方法があり、具体的な技法については「ストレス管理#技法」を参照。

起源

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オックスフォード英語辞典では、英語のstressは、中世の言葉である、苦痛や苦悩を意味するdistressが短くなった言葉と説明されている[1]

1914年に生理学者のウォルター・キャノンは、精神的な意味に加え、酸素不足など今日使われているような意味で使っていた[3]。ストレスの研究者の中には、このキャノンを研究領域の生みの親とする意見もある[3]

ウィーンで生まれ、当時カナダのマギル大学の研究者であったハンス・セリエは、1936年に「各種有害作因によって引き起こされる症候群」を発表し、当初ストレスという言葉が受け入れられなかったため、有害作因という用語を使ったが、次第に受け入れられていった[7]。セリエは、ストレスを引き起こしているものを、ストレッサーとして造語して区別した[7]

セリエは、1956年に『現代社会とストレス』(The Stress of Life)を出版し一般向けに初めて概説した[7]。これは1976年に改定版が出版され、これは邦訳書も出ている[7]。また、1957年には、セリエの来日により、ストレスという言葉が流行した[8]

『現代社会とストレス』1976年版の第1部では、全身適応症候群を提唱し、はじめに警告反応として副腎皮質、リンパ管、腸内腫瘍がの3徴候を示し、次に抵抗期では徴候が無くなり、最後に生体が崩壊するとした概念が提唱された[7]。第2部は、ストレスという用語についてであり、用語の普及と共に用語が混乱したため、「生体組織内に誘起された、あらゆる変化からなる特異的な症候群の示す状態である」と定義した[7]。また、第5部では、ストレスの研究から人生について割かれており、自分のストレスの度合いを知ることで他者を同じように愛することができ、「愛他的利己愛」の中に答えがあるとした[7]

ストレッサー

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ストレスの原因はストレッサーと呼ばれ、その外的刺激の種類から物理的ストレッサー(寒冷、騒音放射線など)、化学的ストレッサー(酸素薬物など)、生物的ストレッサー(炎症感染)、心理的ストレッサー(怒り不安など)に分類される[9]。ストレッサーが作用した際、生体は刺激の種類に応じた特異的反応と刺激の種類とは無関係な一連の非特異的生体反応(ストレス反応)を引き起こす。

ストレス反応

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ストレス反応とはホメオスタシス(恒常性)によって一定に保たれている生体の諸バランスが崩れた状態(ストレス状態)から回復する際に生じる反応をいう。ストレスには生体的に有益である快ストレスと不利益である不快ストレスの2種類がある。これらのストレスが適度な量だけ存在しなければ本来的に有する適応性が失われてしまうために適切なストレスが必要である。しかし過剰なストレスによってバランスが失われてしまう場合があるため、様々なストレス反応が生じる。しかしストレスがある一定の限界を超えてしまうと、そのせいで身体や心に摩耗が生じる。この摩耗の事をアロスタティック負荷と呼ぶ。

緊急反応

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ウォルター・B・キャノン1929年に外敵に襲われるような緊急事態において生理的・心理的な反応を観察した。その研究から交感神経系によって副賢髄質から分泌されるアドレナリンの効果と一致して心拍数増加、心拍出量増加、筋肉血管拡張、呼吸数増加、気管支拡張、筋収縮力増大、血糖値増加などの緊急事態に有効なストレス反応が生じることが分かった。具体的に緊急事態において採られるべき闘争、逃走のどちらにも有効な反応である。

一般適応症候群

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一般適応症候群(全身的適応症候群、汎適応症候群)とは下垂体から副賢皮質ホルモン系への反応が生じるというストレス反応についての代表的な考え方である。まずストレッサーの刺激が視床下部、下垂体に伝達し前葉副賢皮質刺激ホルモンが分泌され活性化した身体にエネルギーが供給されるように働き警告反応期(ショック相、反ショック相)、抵抗期、症憊期と段階的に発展する。

ストレス障害

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急性ストレス障害(Acute Stress Disorder, ASD)とはトラウマの体験後4週間以内に見られる急性な高血圧、消化器系の炎症、解離症状、フラッシュバック、感情鈍磨などの特異的な症状が見られるものを言う。心的外傷後ストレス障害(PTSD)とはトラウマ体験後に生じるフラッシュバック、過覚醒症状、感情鈍磨などの特定的な症状が継続するものである。

ストレスの生物学

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HPA軸。CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン), ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が働き、最終的にコルチゾールが放出される

コルチゾール(Cortisol)は副腎皮質ホルモンである糖質コルチコイドの一種であり、ヒドロコルチゾン(Hydrocotisone)とも呼ばれる。炭水化物、脂肪、およびタンパク代謝を制御し、生体にとって必須のホルモンである。3種の糖質コルチコイドの中で最も生体内量が多く、糖質コルチコイド活性の約95%はこれによる。ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、血圧血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。また、このホルモンは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年うつ病心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の脳のMRIなどを例として観察されている[10]

ストレスによるコルチゾールの放出による海馬の萎縮は、動物実験では可逆的であり回復につれて海馬は成長する[11]。ヒトでもクッシング症候群の研究者は、コルチゾールの濃度が改善されてから海馬の成長が起こっていることを確認している[12]

またトンカットアリとコルチゾール量の関係について調べた研究では、トンカットアリを摂取したグループは摂取しなかったグループと比べてコルチゾールが16%減少し、さらにアンケートによって緊張・怒りの感情は共に10%以上軽減されたという研究結果も報告されている[13]

ストレス尺度

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ストレス尺度には例えば以下が存在する:

なお「知覚されたストレス尺度」が高くてもオプティミズム(楽天主義)やハーディネス英語版(頑健性)が強ければ心理的安寧を維持できるとされ[15][16]、そのオプティミズムの尺度には Scheier の Life Orientation Test が[15]、ハーディネスの尺度には Bartoneらの Dispositional Resilience Scale が存在する[16]

またソーシャルサポートも同様とされるが、ソーシャルサポートの尺度には Sarasonらの Social Support Questionnaire が存在する[17]

ストレス対処

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ストレス対処(ストレスコーピング英語版)・ストレス管理(ストレスマネジメント)とは、ストレッサーを処理するために意識的に行われる行動及び思考を言う。情報収集や問題の再検討を通じてストレッサーそのものの解消を図る問題焦点型対処と、ストレッサーに対する考え方や捉え方を変えることで情動反応を和らげていく情動焦点型対処に大別できる。

研究者は、ストレスを最もよく管理するには、その瞬間に生きるだけでなく、将来のストレスにも備えることが必要であると指摘した[18]

具体的には下記のようなストレス対処技法があり、様々な技法を身につけるほど総合的なストレス対処力が向上するため、一つ一つの技法を身につけるためのサポートとともに、用いることができるストレス対処技法の幅を広げるためのサポートも行われる[19]

ストレス対処の例

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3R
ストレス研究からのアプローチ

ストレスの影響を認知が無効化する

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アメリカ合衆国での、成人約30000人を対象とした8年間の追跡調査では、ストレスが健康に良くないと認識していない人の死亡率は低下していなかった[4]。健康心理学者のケリー・マクゴニガルはこうした研究を紹介し、ストレスが多いと死亡するリスクが43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明した。また科学的にはストレスの捉え方次第でストレスに対する体の反応が変わる研究を紹介している。例えば、ストレスを感じると心臓がどきどきするが、これを体に悪いとネガティブにとらえると実際に血管が収縮し心不全などの原因となる。ところが、心臓がどきどきするのは新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだと肯定的にとらえると、血管が収縮しないことが分かった。すなわちストレスは捉え方により、健康に全く害がないと主張している[21][22]

人とのつながり

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近年のオキシトシンの研究は、動物の社会的行動におけるその役割を見出している。

動物研究では、親ネズミによる子ネズミの世話などによって、オキシトシンの分泌が高まり、同時にコルチゾールの低下が見い出されている。

出典

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  1. ^ a b ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー 2004, pp. 15–16.
  2. ^ Ulrich-Lai, Yvonne M.; Herman, James P. (7 February 2017). “Neural Regulation of Endocrine and Autonomic Stress Responses”. Nature Reviews Neuroscience 10 (6): 397–409. doi:10.1038/nrn2647. ISSN 1471-003X. PMC 4240627. PMID 19469025. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4240627/. 
  3. ^ a b c ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー 2004, pp. 25–26.
  4. ^ a b c Keller, Abiola; Litzelman, Kristin; Wisk, Lauren E.; Maddox, Torsheika; Cheng, Erika Rose; Creswell, Paul D.; Witt, Whitney P. (2012). “Does the perception that stress affects health matter? The association with health and mortality.”. Health Psychology 31 (5): 677–684. doi:10.1037/a0026743. PMC 3374921. PMID 22201278. http://content.apa.org/journals/hea/31/5/677. 
  5. ^ Bilodeau, Kelly (2021年11月1日). “Breathing your way to better health” (英語). Harvard Health. 2021年10月24日閲覧。
  6. ^ Publishing, Harvard Health. “Staying Healthy”. Harvard Health. 2020年12月31日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g 久保田正春「セリエ『現代社会とストレス』」『精神医学文献事典』弘文堂、2003年、251頁。ISBN 978-4-335-65107-6 
  8. ^ 世相風俗観察会『現代世相風俗史年表:1945-2008』河出書房新社、2009年3月、82頁。ISBN 9784309225043 
  9. ^ 浦川加世子 (2015). “ストレス対処力を高める心のストレッチ”. 順天堂保健看護研究 (順天堂大学保健看護学部) 3巻: 63頁. https://www.juntendo.ac.jp/hsn/albums/abm.php?f=abm00017139.pdf&n=保健看護研究第3巻_学内活動報告.pdf 2020年3月11日閲覧。. 
  10. ^ 山脇成人「うつ病の脳科学的研究:最近の話題」『第129回日本医学会シンポジウム記録集うつ病』2005年6月16日発行、6-14頁。pp8-9参照
  11. ^ ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー 2004, pp. 177–178.
  12. ^ ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー 2004, p. 167.
  13. ^ トンカットアリとは?効果やテストステロンの変化について、医師が解説 | クリニックTEN 渋谷”. クリニックTEN 渋谷 | 渋谷のかかりつけクリニック (2021年6月2日). 2021年11月15日閲覧。
  14. ^ 社会的再適応評定尺度:用語解説 厚生労働省
  15. ^ a b 『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 p.65 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [1]
  16. ^ a b 『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 pp.69-70 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [2]
  17. ^ 『ワーク・コミットメントとストレスの関係に関する研究』 pp.67-69 鷲見克典 1998年 ISBN 978-4759915273 [3]
  18. ^ Live in the moment, but also plan for future stress” (英語). Harvard Health (2020年7月1日). 2021年10月26日閲覧。
  19. ^ 大島 郁葉・葉柴 陽子・和田 聡美・山本 裕美子(著)伊藤 絵美・石垣 琢麿(監修)(2015). 認知行動療法を提供する――クライアントとともに歩む実践家のためのガイドブック―― 金剛出版, 35・67頁.
  20. ^ 科学が証明する「ゲームのストレス軽減効果」(ライフハッカー 掲載日:2015.10.06)
  21. ^ Kelly McGonigal How to make stress your friend「ストレスと上手につきあう方法」(NHKスーパープレゼンテーション)[リンク切れ]
  22. ^ ケリー・マクゴニガル:ストレスと友達になる方法の講演映像 - TEDカンファレンス、2013、14分25秒。

参考文献

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  • ブルース・マキューアン、エリザベス・ノートン・ラズリー 著、星恵子監修、桜内篤子 訳『ストレスに負けない脳』早川書房、2004年。ISBN 4-15-208594-0 The End of Stress as We Know It, 2002
  • ハンス・セリエ『生命とストレス』(細谷東一郎訳、 工作舎 1997)ISBN 978-4-87502-284-8

関連項目

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外部リンク

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