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「ランドセル」の版間の差分

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'''ランドセル'''({{lang-nl-short|ransel}}){{efn2|明治時代には、ほぼ今の形になった。}}は、[[日本]]の多くの[[小学生]]が[[通学]]時に[[教科書]]、[[ノート]]などを入れて背負う[[鞄]](かばん)である。
[[ファイル:Heiwa elementary school 16.jpg|thumb|250px|教室の机に掛かるランドセル]]
'''ランドセル'''({{lang-nl-short|ransel}})は、[[日本]]の多くの[[小学生]]が[[通学]]時に[[教科書]]、[[ノート]]などを入れて背中に背負う[[鞄]]である。


[[ファイル:RIKEN VITAMIN.png|サムネイル|[[1938年]]([[昭和]]13年)の内閣情報部『写真週報』広告に描かれたランドセルを背負った子供]]
== 概要 ==
=== 歴史 ===
[[ファイル:RIKEN VITAMIN.png|thumb|right|200px|雑誌広告に描かれたランドセル<br />[[1938年]](昭和13年)]]
[[江戸時代]]([[幕末]])、[[江戸幕府|幕府]]が洋式[[軍隊]]制度([[幕府陸軍]])を導入する際、将兵の携行物を収納するための装備品として、[[オランダ]]からもたらされた[[背嚢]](はいのう、[[バックパック]])の[[オランダ語]]呼称「{{仮リンク|ransel|nl|Ransel}}」(「ランセル」または「ラヌセル」)がなまって「ランドセル」になったとされ<ref name="longseller" /><ref>[http://www.ndl.go.jp/nichiran/s2/s2_5.html 第2部 5.幕末の西洋兵学受容 江戸時代の日蘭交流 国立国会図書館] ページ下部「陸軍」の項目参照</ref><ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaJ/press/pr/wakaru/topics/vol29/index.html 外務省 わかる!国際情勢 Vol.29 オランダ~日蘭通商400周年] 「日本語になったオランダ語」参照</ref>、幕末の教練書である『歩操新式』の元治元年([[1864年]])版(求實館蔵板)にも「粮嚢」の文字に「ラントセル」の振り仮名がされているほか、画像としては一柳斎国孝筆の[[双六]]「調練仕方出世寿語禄」(版元・大黒屋金三郎)に描かれている、韮山笠を被った兵士が背負っている鞄がそれとみられる。これは昭和前期までの通学用ランドセルに形状がよく似ており、この背嚢がルーツであることがわかる


== 歴史 ==
[[明治時代]]以降、本格的な洋式軍隊として建軍された[[大日本帝国陸軍|帝国陸軍]]においても、[[歩兵]]など徒歩本分者たる[[尉官]][[准士官]][[見習士官]]<ref>全[[兵科]][[兵科#各部|部]]の[[将官]][[佐官]]および、[[砲兵]]・[[騎兵]]・[[工兵]]・[[輜重兵]]・[[憲兵 (日本軍)|憲兵]]・[[獣医]]の尉官は乗馬本分者であるため装備しない。</ref>、および[[下士官]]以下用として革製の背嚢が採用された。
[[江戸時代]]([[幕末]])、[[江戸幕府|幕府]]が洋式[[軍隊]]制度([[幕府陸軍]])を導入する際、将兵の携行物を収納するための装備品として、[[オランダ]]からもたらされた[[背嚢]](はいのう、[[バックパック]])の[[オランダ語]]呼称「{{仮リンク|ransel|nl|Ransel}}」(「ランセル」または「ラヌセル」)がなまって「ランドセル」になったとされる{{r|longseller}}<ref>[[国立国会図書館]]ホームページ:[https://www.ndl.go.jp/nichiran/s2/s2_5.html 第2部 5.幕末の西洋兵学受容 江戸時代の日蘭交流]ページ下部「陸軍」の項目参照(2024年4月28日閲覧)</ref><ref>[[日本国外務省]]ホームページ:[https://www.mofa.go.jp/mofaJ/press/pr/wakaru/topics/vol29/index.html わかる!国際情勢 Vol.29 オランダ~日蘭通商400周年]{{リンク切れ|date=2024年4月}}「日本語になったオランダ語」参照</ref>。幕末の教練書である『歩操新式』の[[元治]]元年([[1864年]])版(求實館蔵板)にも「粮嚢」の文字に「ラントセル」の[[振り仮名]]が付されているほか、画像としては一柳斎国孝([[歌川国孝]])筆の[[双六]]『調練仕方出世寿語禄』(版元:大黒屋金三郎)に描かれている、韮山笠を被った兵士が背負っている鞄がそれとみられる。これは[[昭和]]前期までの通学用ランドセルに形状がよく似ており、この背嚢がルーツであることがわかる。


[[明治]]時代以降、本格的な洋式軍隊として建軍された[[大日本帝国陸軍|帝国陸軍]]においても、[[歩兵]]など徒歩本分者たる[[尉官]]や[[准士官]]、[[見習士官]]{{efn2|全[[兵科]][[兵科#各部|部]]の[[将官]][[佐官]]および、[[砲兵]]、[[騎兵]]、[[工兵]]、[[輜重兵]]、[[憲兵 (日本軍)|憲兵]]、[[獣医]]の尉官は乗馬本分者であるため装備しない。}}、および[[下士官]]以下用として[[皮革|革]]製の背嚢が採用された。
通学鞄としての利用は、官立の模範小学校として開校した[[学習院初等科]]が起源とされている。創立間もない[[1885年]](明治18年)、学習院は「教育の場での平等」との理念から[[馬車]]・[[人力車]]による登校を禁止、学用品を入れ生徒が自分で持ち登校するための通学鞄として背嚢が導入されたが、当初はリュックサックのような形であった。[[1887年]](明治20年)、当時[[皇太子]]であった[[大正天皇|嘉仁親王]](後の[[大正天皇]])の学習院初等科入学の際、[[伊藤博文]]が祝い品として帝国陸軍の将校背嚢に倣った鞄を献上、それがきっかけで世間に徐々に浸透して今のような形になったとされる。贅沢な高級品であった事から戦前は都市部の富裕層の間で用いられる事が多く、地方や一般庶民の間では[[風呂敷]]や安価な布製ショルダーバッグ等が主に用いられていた。ランドセルが全国に普及したのは昭和30年代以降、[[高度経済成長]]期を迎えた頃からと言われる<ref name="longseller" />。


通学鞄としての利用は、官立の模範小学校として開校した[[学習院初等科]]が起源とされている。創立間もない[[1885年]](明治18年)、学習院は「教育の場での平等」との理念から[[馬車]]・[[人力車]]による登校を禁止、学用品は[[召使い]]ではなく生徒自身が持ち登校すると定めたことから、通学鞄としてランセルが導入された<ref name=":4">{{Cite web|和書|title=ランドセルの最新事情 {{!}} NHK {{!}} WEB特集 |url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220512/k10013622431000.html |website=NHKニュース |access-date=2022-05-26 |last=[[日本放送協会]]}}</ref>。
価格は1970年代には6,000円だったのが2014年には福岡のかばん店の例で40,000円程度からと、値上がりしており、これが低所得層にとって負担となっている<ref name="nishinippon20160325">[http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/233625 ランドセル、家計に重荷 無料で配布の自治体も] - 西日本新聞 2016年3月25日</ref>。また、ランドセルの購入は義務ではないがほぼ全ての生徒が新品を購入しており、ランドセルを与えなかったり中古やお下がりを持たせると子供がからかわれる可能性があることから新品を買わざるを得ない情勢となっている<ref name="nishinippon20160325"></ref>。


[[1887年]](明治20年)、当時[[皇太子]]であった[[大正天皇|嘉仁親王]](後の[[大正天皇]])の学習院初等科入学に際して、[[伊藤博文]]が祝い品として帝国陸軍の[[将校背嚢]]に倣った鞄を[[皇室|帝室]]に献上、これに近い形状が現代のランドセルの基礎とされる<ref name=":4" />。革を使っているため高級品であり、[[第二次世界大戦]]前は都市部の富裕層の間で用いられることが多く、地方や一般庶民の間では[[風呂敷]]や安価な[[布]]製ショルダーバッグ等が主に用いられていた。ランドセルが全国に普及したのは戦後の昭和30年代以降、[[高度経済成長]]期を迎え、人工皮革が登場した頃からと言われる{{r|longseller}}<ref name=":4" />。
ランドセル側面にあるフックは、「軍用背嚢の名残で元は[[手榴弾]]を下げるため」と[[テレビ番組]]で紹介されているが<ref>[http://www.ntv.co.jp/sekaju/old/student/20050416/03_0201.html 日本テレビ 世界一受けたい授業]</ref>、これは昭和30年代に入り、給食袋や体育着袋など生徒の持ち物が増えた事に対応した金具である{{要出典|date=2015年7月}}。実際の帝国陸軍において手榴弾は外部に露出して携行すると暴発事故の恐れがあるので雑嚢(背嚢とは別のショルダーバッグ)に入れられ(戦闘時には[[軍服 (大日本帝国陸軍)|軍服]]のポケットや腰の[[帯革]]も使用される)、そもそも活動時に重く邪魔になる背嚢は戦闘前に着脱される事が基本である。また、背嚢の周囲には[[毛布]](下士官以下はさらに[[テント|天幕]]・[[シャベル|円匙]]等)を巻き付けるため手榴弾を下げる余裕もない。


=== ===
== 日本のランドセル ==
[[ファイル:Heiwa elementary school 16.jpg|サムネイル|教室の机に掛かるランドセル]]
近年では軽さや丈夫さ、手入れの簡単さなどの要望から、人工皮革の[[クラレ|クラリーノ]]製が主流で、約7割を占めている<ref name="longseller">{{Cite web
[[ファイル:Schoolkids wearing hats and randoseru in Kugayama, Japan; January 2010.jpg|サムネイル|ランドセルカバー]]
|date=2004-03-24
[[ファイル:ジャポニカ学習帳 (49957434508).jpg |サムネイル|[[タブレット端末]]の収納スペースがあるランドセル]]
|url=http://www.nttcom.co.jp/comzine/no011/long_seller/index.html
|title=ニッポン・ロングセラー考 Vol.11 ランドセル
|work=COMZINE
|publisher=NTTコムウェア
|language=日本語
|accessdate=2010-12-14
}}</ref>。その他[[牛革]]、高級なものとして[[コードバン]](馬革)のものもある。素材デザインについては主流である上ふたがかばんの下まで覆う従来の学習院型以外にも、上ふたが通常の半分程度の長さのものや横型のものも登場している。また2011年度からの[[学習指導要領]]改訂により、教育現場で配布されるプリント類もB5からA4へと移行したため、A4版クリアファイルを曲げずに入れられるランドセルの需要が高まっているが、ランドセルを大型化させるかどうかに関してはメーカーで対応が分かれている<ref>{{Cite web
|date=2010-11-06
|url=http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20101106-OYT8T00465.htm
|title=ランドセル 1センチの攻防
|publisher=読売新聞
|language=日本語
|accessdate=2010-12-14
}}</ref>。


素材は近年では軽さや丈夫さ、手入れの簡単さなどの要望から、人工皮革の[[クラレ|クラリーノ]]製が主流で、約7割を占めている{{r|longseller}}。その他には[[牛革]]などがあり、[[コードバン]](馬革)のような高級素材もある<ref name=":3">{{Cite news|title=ランドセル 人気の色は?金額は? “ラン活”最新事情 {{!}} NHKニュース|url=https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210624/k10013099391000.html|work=NHKニュース|accessdate=2021-07-02|language=ja-JP|last=日本放送協会}}</ref>。
色は男子は[[黒]]、女子は[[赤]]が主流であるが、その他、[[ピンク]]、[[茶色|茶]]、[[紺]]、[[緑]]、[[青]]などカラフルな色のものや、複数の色を組み合わせた物も発売されている。これら、黒や赤以外のカラーランドセルは1960年頃には既に存在していたが、当時はほとんど売れず、売れ始めたのは2000年代に入ってからという<ref name="longseller" />。


デザインについては主流である上蓋が鞄の下まで覆う従来の学習院型以外にも、上蓋が通常の半分程度の長さのものや横型のものも登場している。また、教科書のページ数増加、[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]]端末の導入により、大型のランドセルの需要が高まっている<ref name=":4" />が、メーカーで対応が分かれている{{r|YOMIURI ONLINE 2010 11 06}}。タブレットの破損を防ぐため専用スペースを設けるメーカーもある<ref name=":3" />。2022年時点では素材や構造の工夫によりランドセル自体は軽量化が進んでいるが、中身の重量が増加している。[[フットマーク]]の調査によると小学校1~3年生が背負うランドセルは平均で3.97[[キログラム|kg]]にも達しており、[[肩こり]]や[[腰痛]]といった身体への影響や、重い荷物を背負うことへの拒否感から登校時に[[抑うつ]]状態となる「[[ランドセル症候群]]」が増加している<ref name=":5">{{Cite web|和書|title=「首が痛い…」ランドセル症候群なぜ起きる?小学生の約7割が陥る…適正な重量と対処法を解説 |url=https://www.fnn.jp/articles/-/279371 |website=[[フジニュースネットワーク|FNN]]プライムオンライン |date=2021-12-2|access-date=2024-04-28}}</ref>。同社の調査によると2022年時点では、教科書など入れる中身を含めた平均重量は4.28kgと更に重くなった<ref name=日経20240405>「[https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0446B0U4A300C2000000/ ランドセル文化 再考の芽/リュック無料配布の自治体も タブレット・教科書ズシリ 家計も肩も負担軽く]」『[[日本経済新聞]]』朝刊2024年4月5日(社会面)2024年4月28日閲覧</ref>。
ランドセル製作の大部分が手作業で行われ、1体に用いられる部品は金具も入れて100個以上となる。肩紐だけでも表材・裏材・ウレタンの型抜き、加工(糊付け・くるみ)、穴開け、ミシンがけ、かしめ、手縫いと10工程以上が必要となる<ref name="longseller" />。


かつて(概ね[[学校週5日制|学校完全5日制]]が実施される前)は色は男子は[[黒色]]、女子は[[赤色]]が主流で、その他、[[ピンク]]、[[茶色]]、[[紺色]]、[[緑色]]、[[青色]]などカラフルな色のものや、複数の色を組み合わせた物は少なかった。これら、黒や赤以外のカラーランドセルは1960年頃には既に存在していたが、当時はほとんど売れず、売れ始めたのは2000年代に入ってからという{{r|longseller}}。一般社団法人日本鞄協会ランドセル工業会の2018年から2020年の調査によると、男児では毎年70%近くが黒色であり15%程度が紺色で、黒色一色が売上の大部分を占めている<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=ランドセル購入に関する調査 2020年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会|url=https://archive.vn/yR2MG|website=archive.vn|date=2021-03-05|accessdate=2021-03-05}}</ref><ref name=":1">{{Cite web|和書|title=ランドセル購入に関する調査 2019年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会|url=https://archive.vn/D5lP9|website=archive.vn|date=2021-03-05|accessdate=2021-03-05}}</ref><ref name=":2">{{Cite web|和書|title=ランドセル購入に関する調査 2018年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会|url=https://archive.vn/er1qN|website=archive.vn|date=2021-03-05|accessdate=2021-03-05}}</ref>。一方で、女児では赤色、桃色、紫色がそれぞれ20%前後を占めており、圧倒的な色がなく分散している{{r|:0|:1|:2}}。
新入学生に対し[[交通安全協会]]等から交通安全を目的とした黄色いカバーを寄贈している地域も多く、1年生の間はランドセルにこのカバーを掛けて通学させる市町村が多く見られる。一方で、不審者に対し新1年生と知らしめることにもなるとの理由で、[[名札]]の廃止と同時にカバーを掛けさせないことを推奨する地域もある。
入学前年の7月ごろから売れ始めるなど吟味のために早期化しており、このような活動は「ラン活」とも呼ばれるようになった<ref>{{Cite web|和書|title=なぜランドセルが一番売れるのは7月なのか {{!}} 子育て |url=https://toyokeizai.net/articles/-/227321 |website=[[東洋経済新報社|東洋経済オンライン]] |date=2018-07-02 |access-date=2022-05-26 |language=ja}}</ref><ref name=":4" />。


ランドセル製作の大部分は手作業で行われ、1体に用いられる部品は金具も入れて100個以上となる。肩紐だけでも表材・裏材・[[ウレタン]]の型抜き、加工(糊付け・くるみ)、穴開け、[[ミシン]]がけ、かしめ、手縫いと10工程以上が必要となる{{r|longseller}}。複数のメーカーがあり([[#ランドセル製造会社|後述]])、前述の日本鞄協会ランドセル工業会はその各社による[[業界団体]]<ref name=日経20240405/>。
ランドセルは小学校入学から卒業までの6年間使うのが基本となっており、市販されているものは6年間の保証付きになっていることが多い。しかし、傷みの進行や本人の好みの変化などによって、卒業前にランドセルの使用をやめる児童もいる。


新入学生に対し[[交通安全協会]]等から[[交通安全]]を目的とした[[蛍光染料|蛍光色]]のカバーを寄贈している地域も多く、1年生の間はランドセルにこのカバーを掛けて通学させる市町村が多く見られる{{efn2|1年生が交通事故に遭った際、共済金や見舞金の支給にあたっては、蛍光色のカバーを付けていれば他の要件を問わずに支給対象とすることとする規約を定めているケースが多い。}}。一方で、不審者に対し新1年生と知らしめることにもなるとの理由で、[[名札]]の廃止と同時にカバーを掛けさせないことを推奨する地域もある。
欧米の学校でも似たようなものが使われている。ただし、ドイツの通学かばん[[:de:Schulranzen|Schulranzen]]、同オランダ[[:nl:Boekentas|Boekentas]]など、日本のランドセルに比べて素材は質素で軽いものが多い。

=== 価格 ===
日本鞄協会ランドセル工業会は2018年から平均購入価格を調査しており、2024年4月入学分では5万9138円と2018年比で約7800円増えている<ref name=日経20240405/>。少子化に伴い、子供一人あたりへの使う金額が高くなっている、「ラン活」の浸透などが影響している<ref name=日経20240405/><ref name=":6">{{Cite web |title=ワークマン「8800円ランドセル」に込められた狙い |url=https://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/toyokeizai/20240704-SYT8T5521271/ |website=読売新聞オンライン |date=2024-07-04 |access-date=2024-10-02 |language=ja}}</ref>。

1970年代には6000円で販売されていたが、2014年には[[福岡県]]のかばん店の例で4万円程度からの販売と値上がりが続いており、これが低所得層にとって負担となっている<ref name="nishinippon20160325">「[http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/233625 ランドセル、家計に重荷 無料で配布の自治体も]」[[西日本新聞]](2016年3月25日)</ref>。この需要に応える形で低価格な製品も登場している<ref name=":6" /><ref>{{Cite web |title=布製ランドセル、価格高騰に一石 ワークマンが8800円品 値札の経済学 |url=https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC285HB0Y4A820C2000000/ |website=日本経済新聞 |date=2024-09-10 |access-date=2024-10-02 |language=ja}}</ref>。


=== 多様化 ===
=== 多様化 ===
[[ファイル:Randoseru Dec 21 2018 07-07-33 PM.jpeg|サムネイル|売り場に並ぶランドセル]]
少子化傾向のため各メーカーは多用な製品を開発している<ref name="longseller" />。2005年ごろから半被せランドセルのマチ部分の厚みを薄くした「塾バッグ」と称するランドセルも販売されている。高級な革素材で丈夫で長持ちする丁寧な仕上げ、子供用と大人用の背負い紐を交換して、長く使ってもらおうとするもの、イタリアのデザイナーによる大人のためにデザインされた半被せ型のランドセルなども登場した。一方、革製でなく、帆布を使ったランドセルも過去に中学校の指定鞄だったものが復刻され、大人のランドセルとして販売されているものもある。
少子化傾向のため各メーカーは多様な製品を開発している{{r|longseller}}<ref name=":6" />。2005年ごろから、半被せランドセルのマチ部分の厚みを薄くした「塾バッグ」と称するランドセルも販売されている。高級な革素材で丈夫で長持ちする丁寧な仕上げ、子供用と大人用の背負い紐を交換して、長く使ってもらおうとするもの、機能な人工素材を使った実用性重視のランドセルも登場している<ref name=":6" />。


一部では指定のランドセルを使わせている小学校もあり、国立・立では比較的多い(男女共通の黒や茶色の鞄に校章を箔押しもしくは型押ししたもの、ランドセルと[[リュックサック]]の中間的な形の合成繊維製の背負い鞄など。後者の代表的なものに、京都府などで使われている「[[ランリック]](ランリュック)」や、北海道[[小樽市]]で使われている「ナップランド」などがある。また[[1970年代]]にいったんランドセルを廃止した自治体([[兵庫県]][[西宮市]]、[[埼玉県]][[富士見市]]など)が復活させた例もある。
[[帆布]]を使っランドセルも過去に中学校の指定鞄だったものが復刻され、大人のランドセルとして販売されているものもある。
立・の小学校では指定のランドセルを使わせていることが比較的多い(男女共通の鞄に校章を箔押しもしくは型押ししたものが多い)。また、ランドセルと[[リュックサック]]の中間的な形の合成繊維製のランサックなどがある。代表的なものに、[[京都府]]などで使われている「[[ランリック]](ランリュック)」や、北海道[[小樽市]]で使われている「ナップランド」などがある。また[[1970年代]]にいったんランドセルを廃止した自治体([[兵庫県]][[西宮市]]、[[埼玉県]][[富士見市]]など)が復活させた例もある。

また、[[大手私鉄]]系の百貨店では各社のイメージカラーを用いたり、フラッグシップ車両をモチーフとしたランドセルを発売している([[阪急百貨店]]での[[阪急マルーン]]色、[[近鉄百貨店]]での「[[近鉄50000系電車|しまかぜ]]」「[[近鉄80000系電車|ひのとり]]」、[[東武百貨店]]での「[[東武N100系電車|スペーシアX]]」をモチーフにしたものなど<ref>{{Cite web|和書|title=新型特急「スペーシアX」モチーフのランドセル4月登場!|url=https://news.mynavi.jp/article/20240324-2912493/|website=マイナビニュース|publisher=マイナビ|date=2024-03-24|accessdate=2024-06-23}}</ref>)。

=== 軽量化やランドセル以外への切り替え ===
上記のように、ランドセルは子供の身体や家計に負担になっている面もある。このためメーカーは素材の変更などで軽量化を進めつつ、6年間使い続けられる耐久性も必要と理解を求めている<ref name=日経20240405/>。

指定通学かばんを、ランドセルに限定しない地方自治体や学校もある<ref name=日経20240405/>。[[東京都]][[足立区]]の[[教育委員会]]はランドセルではない軽いかばんも可とする通知を2023年1月に出したほか、[[山口県]][[防府市]]や[[岡山県]][[備前市]]はリュックサックを無償配布した<ref name=日経20240405/>。リュックサック型への変更のほか、[[キャリーカート]]などの利用という対策もある<ref>{{Cite web|和書|title=大人たちから1000件超の猛批判 ランドセルを体感で90%軽くする「さんぽセル」が誕生した理由 |url=https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2206/11/news034.html |website=[[ITmedia]] ビジネスオンライン |access-date=2022-06-12 |language=ja}}</ref><ref name=":5" />。

[[島根県]][[出雲市]]の一部地域でも、ランドセルを廃止したり、自治体が新入生全員に配布したり、寄贈された中古品を補修して譲渡する例もある<ref name=":3" /><ref>{{Cite web|和書|title=ランドセルってそもそも必要? 「ラン活」過熱 出雲には使わぬ地域 |url=https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/183743 |website=[[山陰中央新報]] |access-date=2022-04-24 |date=2022-03-26 |author=増田枝里子}}</ref>。


=== ファッションとしての広がり ===
=== ファッションとしての広がり ===
[[ファイル:ランドセル (5829920631).jpg|サムネイル|ランドセルを背負った[[大人]]の[[女性]]]]
1982年に[[戸川純]]は、自らのライブステージに紺色のプリーツの[[吊りスカート]]に赤いランドセルという姿で現われ一世を風靡した。その後1997年ごろに、タレントの[[篠原ともえ]]が、ランドセルをファッションとして採り入れ、彼女のスタイリングが一部の若者に受け入れられた。その当時は、都内の有名大学でもランドセルで通学する女子大生が出現した。
1982年に[[戸川純]]は、自らのライブステージに紺色のプリーツの[[吊りスカート]]に赤いランドセルという姿で現われ一世を風靡した。その後1997年ごろに、[[タレント]]の[[篠原ともえ]]が、ランドセルをファッションとして採り入れた。


インテリアとして、過去に使っていたランドセルを子どもの頃の思い出として残しておきたいとの需要から「ミニランドセル」として小型に再加工するビジネスも存在する。<!--外部リンクの日本かばん協会のサイトに記載-->
[[インテリア]]として、過去に使っていたランドセルを子どもの頃の思い出として残しておきたいとの需要から「ミニランドセル」として小型に再加工するビジネスも存在する。<!--外部リンクの日本かばん協会のサイトに記載-->


2014年3月頃、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の女優[[ズーイー・デシャネル]]が赤いランドセルを背負った写真が出回り、若い人たちの間でもランドセルを身に着けることがブームとなりつつある。
2014年3月頃、[[アメリカ合衆国]](米国)の女優[[ズーイー・デシャネル]]が赤いランドセルを背負った写真が出回り、若い人たちの間でもランドセルを身に着けることがブームとなりつつある<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/71517 海外セレブも愛用!ランドセルの意外な魅力 | ファッション・トレンド | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準]</ref>


近年では、上記の米女優によるブーム拡散に加え、日本の[[アニメ]]などを通じてランドセルの存在を知った外国人が、日本旅行時に[[土産]]として購入し持ち帰る例が増えており、[[空港]]の[[免税店]]など、外国人向けの商店で売られていることもある<ref>{{cite news |title=日本のランドセルが世界で人気 女子が「カワイイ」「おしゃれ」 |newspaper=[[J-CAST]]ニュース |date=2015-12-19|url=http://www.j-cast.com/2015/12/19253337.html |accessdate=2014-12-20 }}</ref>。
近年では、上記の米女優によるブーム拡散に加え、[[アニメ (日本のアニメーション作品)|日本のアニメ作品]]などを通じてランドセルの存在を知った外国人が、日本旅行時に[[土産]]として購入し持ち帰る例が増えており、[[空港]]の[[免税店]]など、外国人向けの商店で売られていることもある<ref>{{cite news |title=日本のランドセルが世界で人気 女子が「カワイイ」「おしゃれ」 |newspaper=[[J-CAST]]ニュース |date=2015-12-19|url=https://www.j-cast.com/2015/12/19253337.html |accessdate=2014-12-20 }}</ref>。

=== ランドセル製造会社 ===
* [[セイバン]] ([[天使のはね]]、日本トップシェアメーカー)
* [[協和日本ホールディングス]](ふわりぃ)
* [[ハシモト (富山県)|ハシモト]](フィットちゃん)
<!--以上、シェア上位3社-->
<!--以下、ウィキペディア日本語版に記事があるものを五十音順に-->
* [[生田 (大阪市の企業)|生田]]
* [[池田屋 (鞄店)|池田屋]](ぴかちゃん)
* [[一澤信三郎帆布]]
* [[大隈カバン店]](うさぎのマーク)
* [[カバンのフジタ]](ぴょんちゃん)
* [[カワノバッグ]]
* [[神田屋鞄製作所]](カルちゃん)
* [[三栄鞄]](らんどせる屋さん)
* [[土屋鞄]]
* [[中村鞄製作所]]
* [[村瀬鞄行]]
* [[羅羅屋]](ララちゃん)

== ランドセルに似た海外の通学かばん ==
欧米の学校でも似たようなものが使われている国もある。ただし、[[ドイツ]]の通学かばん([[:de:Schulranzen|Schulranzen]])、オランダの同様な製品([[:nl:Boekentas|Boekentas]])など、日本のランドセルに比べて素材は質素で軽いものが多い。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[アンガス・ヤング]] - ロックバンド「[[AC/DC]]」のギタリスト。ランドセルを背負ったスタイルがトレードマークになっている。
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* [[学服]]
* [[学服]]
* [[学生鞄]]
* [[学生鞄]]
* 日本の主なランドセルメーカー
** [[セイバン]] (日本トップシェアメーカー)
** [[中村鞄製作所]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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* [http://www.randoseru.gr.jp/ 社団法人日本かばん協会ランドセル工業会]
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2024年10月14日 (月) 07:50時点における最新版

ランドセル: ransel[注 1]は、日本の多くの小学生通学時に教科書ノートなどを入れて背負う(かばん)である。

1938年昭和13年)の内閣情報部『写真週報』広告に描かれたランドセルを背負った子供

歴史

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江戸時代幕末)、幕府が洋式軍隊制度(幕府陸軍)を導入する際、将兵の携行物を収納するための装備品として、オランダからもたらされた背嚢(はいのう、バックパック)のオランダ語呼称「ranselオランダ語版」(「ランセル」または「ラヌセル」)がなまって「ランドセル」になったとされる[1][2][3]。幕末の教練書である『歩操新式』の元治元年(1864年)版(求實館蔵板)にも「粮嚢」の文字に「ラントセル」の振り仮名が付されているほか、画像としては一柳斎国孝(歌川国孝)筆の双六『調練仕方出世寿語禄』(版元:大黒屋金三郎)に描かれている、韮山笠を被った兵士が背負っている鞄がそれとみられる。これは昭和前期までの通学用ランドセルに形状がよく似ており、この背嚢がルーツであることがわかる。

明治時代以降、本格的な洋式軍隊として建軍された帝国陸軍においても、歩兵など徒歩本分者たる尉官准士官見習士官[注 2]、および下士官以下用として製の背嚢が採用された。

通学鞄としての利用は、官立の模範小学校として開校した学習院初等科が起源とされている。創立間もない1885年(明治18年)、学習院は「教育の場での平等」との理念から馬車人力車による登校を禁止、学用品は召使いではなく生徒自身が持ち登校すると定めたことから、通学鞄としてランセルが導入された[4]

1887年(明治20年)、当時皇太子であった嘉仁親王(後の大正天皇)の学習院初等科入学に際して、伊藤博文が祝い品として帝国陸軍の将校背嚢に倣った鞄を帝室に献上、これに近い形状が現代のランドセルの基礎とされる[4]。革を使っているため高級品であり、第二次世界大戦前は都市部の富裕層の間で用いられることが多く、地方や一般庶民の間では風呂敷や安価な製ショルダーバッグ等が主に用いられていた。ランドセルが全国に普及したのは戦後の昭和30年代以降、高度経済成長期を迎え、人工皮革が登場した頃からと言われる[1][4]

現代日本のランドセル

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教室の机に掛かるランドセル
ランドセルカバー
タブレット端末の収納スペースがあるランドセル

素材は近年では軽さや丈夫さ、手入れの簡単さなどの要望から、人工皮革のクラリーノ製が主流で、約7割を占めている[1]。その他には牛革などがあり、コードバン(馬革)のような高級素材もある[5]

デザインについては主流である上蓋が鞄の下まで覆う従来の学習院型以外にも、上蓋が通常の半分程度の長さのものや横型のものも登場している。また、教科書のページ数増加、タブレット端末の導入により、大型のランドセルの需要が高まっている[4]が、メーカーで対応が分かれている[6]。タブレットの破損を防ぐため専用スペースを設けるメーカーもある[5]。2022年時点では素材や構造の工夫によりランドセル自体は軽量化が進んでいるが、中身の重量が増加している。フットマークの調査によると小学校1~3年生が背負うランドセルは平均で3.97kgにも達しており、肩こり腰痛といった身体への影響や、重い荷物を背負うことへの拒否感から登校時に抑うつ状態となる「ランドセル症候群」が増加している[7]。同社の調査によると2022年時点では、教科書など入れる中身を含めた平均重量は4.28kgと更に重くなった[8]

かつて(概ね学校完全5日制が実施される前)は色は男子は黒色、女子は赤色が主流で、その他、ピンク茶色紺色緑色青色などカラフルな色のものや、複数の色を組み合わせた物は少なかった。これら、黒や赤以外のカラーランドセルは1960年頃には既に存在していたが、当時はほとんど売れず、売れ始めたのは2000年代に入ってからという[1]。一般社団法人日本鞄協会ランドセル工業会の2018年から2020年の調査によると、男児では毎年70%近くが黒色であり15%程度が紺色で、黒色一色が売上の大部分を占めている[9][10][11]。一方で、女児では赤色、桃色、紫色がそれぞれ20%前後を占めており、圧倒的な色がなく分散している[9][10][11]。 入学前年の7月ごろから売れ始めるなど吟味のために早期化しており、このような活動は「ラン活」とも呼ばれるようになった[12][4]

ランドセル製作の大部分は手作業で行われ、1体に用いられる部品は金具も入れて100個以上となる。肩紐だけでも表材・裏材・ウレタンの型抜き、加工(糊付け・くるみ)、穴開け、ミシンがけ、かしめ、手縫いと10工程以上が必要となる[1]。複数のメーカーがあり(後述)、前述の日本鞄協会ランドセル工業会はその各社による業界団体[8]

新入学生に対し交通安全協会等から交通安全を目的とした蛍光色のカバーを寄贈している地域も多く、1年生の間はランドセルにこのカバーを掛けて通学させる市町村が多く見られる[注 3]。一方で、不審者に対し新1年生と知らしめることにもなるとの理由で、名札の廃止と同時にカバーを掛けさせないことを推奨する地域もある。

価格

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日本鞄協会ランドセル工業会は2018年から平均購入価格を調査しており、2024年4月入学分では5万9138円と2018年比で約7800円増えている[8]。少子化に伴い、子供一人あたりへの使う金額が高くなっている、「ラン活」の浸透などが影響している[8][13]

1970年代には6000円で販売されていたが、2014年には福岡県のかばん店の例で4万円程度からの販売と値上がりが続いており、これが低所得層にとって負担となっている[14]。この需要に応える形で低価格な製品も登場している[13][15]

多様化

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売り場に並ぶランドセル

少子化傾向のため各メーカーは多様な製品を開発している[1][13]。2005年ごろから、半被せランドセルのマチ部分の厚みを薄くした「塾バッグ」と称するランドセルも販売されている。高級な革素材で丈夫で長持ちする丁寧な仕上げ、子供用と大人用の背負い紐を交換して、長く使ってもらおうとするもの、機能な人工素材を使った実用性重視のランドセルも登場している[13]

帆布を使ったランドセルも過去に中学校の指定鞄だったものが復刻され、大人のランドセルとして販売されているものもある。

私立・国立の小学校では指定のランドセルを使わせていることが比較的多い(男女共通の鞄に校章を箔押しもしくは型押ししたものが多い)。また、ランドセルとリュックサックの中間的な形の合成繊維製のランサックなどがある。代表的なものに、京都府などで使われている「ランリック(ランリュック)」や、北海道小樽市で使われている「ナップランド」などがある。また1970年代にいったんランドセルを廃止した自治体(兵庫県西宮市埼玉県富士見市など)が復活させた例もある。

また、大手私鉄系の百貨店では各社のイメージカラーを用いたり、フラッグシップ車両をモチーフとしたランドセルを発売している(阪急百貨店での阪急マルーン色、近鉄百貨店での「しまかぜ」「ひのとり」、東武百貨店での「スペーシアX」をモチーフにしたものなど[16])。

軽量化やランドセル以外への切り替え

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上記のように、ランドセルは子供の身体や家計に負担になっている面もある。このためメーカーは素材の変更などで軽量化を進めつつ、6年間使い続けられる耐久性も必要と理解を求めている[8]

指定通学かばんを、ランドセルに限定しない地方自治体や学校もある[8]東京都足立区教育委員会はランドセルではない軽いかばんも可とする通知を2023年1月に出したほか、山口県防府市岡山県備前市はリュックサックを無償配布した[8]。リュックサック型への変更のほか、キャリーカートなどの利用という対策もある[17][7]

島根県出雲市の一部地域でも、ランドセルを廃止したり、自治体が新入生全員に配布したり、寄贈された中古品を補修して譲渡する例もある[5][18]

ファッションとしての広がり

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ランドセルを背負った大人女性

1982年に戸川純は、自らのライブステージに紺色のプリーツの吊りスカートに赤いランドセルという姿で現われ一世を風靡した。その後1997年ごろに、タレント篠原ともえが、ランドセルをファッションとして採り入れた。

インテリアとして、過去に使っていたランドセルを子どもの頃の思い出として残しておきたいとの需要から「ミニランドセル」として小型に再加工するビジネスも存在する。

2014年3月頃、アメリカ合衆国(米国)の女優ズーイー・デシャネルが赤いランドセルを背負った写真が出回り、若い人たちの間でもランドセルを身に着けることがブームとなりつつある[19]

近年では、上記の米国女優によるブーム拡散に加え、日本のアニメ作品などを通じてランドセルの存在を知った外国人が、日本旅行時に土産として購入し持ち帰る例が増えており、空港免税店など、外国人向けの商店で売られていることもある[20]

ランドセル製造会社

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ランドセルに似た海外の通学かばん

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欧米の学校でも似たようなものが使われている国もある。ただし、ドイツの通学かばん(Schulranzen)、オランダの同様な製品(Boekentas)など、日本のランドセルに比べて素材は質素で軽いものが多い。

脚注

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注釈

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  1. ^ 明治時代には、ほぼ今の形になった。
  2. ^ 兵科将官佐官および、砲兵騎兵工兵輜重兵憲兵獣医の尉官は乗馬本分者であるため装備しない。
  3. ^ 1年生が交通事故に遭った際、共済金や見舞金の支給にあたっては、蛍光色のカバーを付けていれば他の要件を問わずに支給対象とすることとする規約を定めているケースが多い。

出典

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  1. ^ a b c d e f ニッポン・ロングセラー考 Vol.11 ランドセル”. COMZINE. NTTコムウェア (2004年3月24日). 2010年12月14日閲覧。
  2. ^ 国立国会図書館ホームページ:第2部 5.幕末の西洋兵学受容 江戸時代の日蘭交流ページ下部「陸軍」の項目参照(2024年4月28日閲覧)
  3. ^ 日本国外務省ホームページ:わかる!国際情勢 Vol.29 オランダ~日蘭通商400周年[リンク切れ]「日本語になったオランダ語」参照
  4. ^ a b c d e 日本放送協会. “ランドセルの最新事情 | NHK | WEB特集”. NHKニュース. 2022年5月26日閲覧。
  5. ^ a b c 日本放送協会. “ランドセル 人気の色は?金額は? “ラン活”最新事情 | NHKニュース” (日本語). NHKニュース. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210624/k10013099391000.html 2021年7月2日閲覧。 
  6. ^ ランドセル 1センチの攻防”. YOMIURI ONLINE (2010年11月6日). 2010年11月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年12月14日閲覧。
  7. ^ a b 「首が痛い…」ランドセル症候群なぜ起きる?小学生の約7割が陥る…適正な重量と対処法を解説”. FNNプライムオンライン (2021年12月2日). 2024年4月28日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g ランドセル文化 再考の芽/リュック無料配布の自治体も タブレット・教科書ズシリ 家計も肩も負担軽く」『日本経済新聞』朝刊2024年4月5日(社会面)2024年4月28日閲覧
  9. ^ a b ランドセル購入に関する調査 2020年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会”. archive.vn (2021年3月5日). 2021年3月5日閲覧。
  10. ^ a b ランドセル購入に関する調査 2019年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会”. archive.vn (2021年3月5日). 2021年3月5日閲覧。
  11. ^ a b ランドセル購入に関する調査 2018年|ランドセル購入に関する調査|ランドセル工業会”. archive.vn (2021年3月5日). 2021年3月5日閲覧。
  12. ^ なぜランドセルが一番売れるのは7月なのか | 子育て”. 東洋経済オンライン (2018年7月2日). 2022年5月26日閲覧。
  13. ^ a b c d ワークマン「8800円ランドセル」に込められた狙い”. 読売新聞オンライン (2024年7月4日). 2024年10月2日閲覧。
  14. ^ ランドセル、家計に重荷 無料で配布の自治体も西日本新聞(2016年3月25日)
  15. ^ 布製ランドセル、価格高騰に一石 ワークマンが8800円品 値札の経済学”. 日本経済新聞 (2024年9月10日). 2024年10月2日閲覧。
  16. ^ 新型特急「スペーシアX」モチーフのランドセル4月登場!”. マイナビニュース. マイナビ (2024年3月24日). 2024年6月23日閲覧。
  17. ^ 大人たちから1000件超の猛批判 ランドセルを体感で90%軽くする「さんぽセル」が誕生した理由”. ITmedia ビジネスオンライン. 2022年6月12日閲覧。
  18. ^ 増田枝里子 (2022年3月26日). “ランドセルってそもそも必要? 「ラン活」過熱 出雲には使わぬ地域”. 山陰中央新報. 2022年4月24日閲覧。
  19. ^ 海外セレブも愛用!ランドセルの意外な魅力 | ファッション・トレンド | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
  20. ^ “日本のランドセルが世界で人気 女子が「カワイイ」「おしゃれ」”. J-CASTニュース. (2015年12月19日). https://www.j-cast.com/2015/12/19253337.html 2014年12月20日閲覧。 

関連項目

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外部リンク

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