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「第二言語」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2020年11月}}
'''第二言語'''(だいにげんご)とはその人が[[母語]](第一言語)を習得した後に、あらためて学習し使用することができるようになった母語(第一言語)以外の言語。


'''第二言語'''(だいにげんご)とはその人が[[母語]](第一言語)を習得した後に、あらためて学習し使用することができるようになった母語(第一言語)以外の言語。
もとは、英語圏の宗主国を持った植民地での、現地人にとっての公用語という意味であり、第二言語=英語という英語宗主国人の観点に立った言葉だった。国家や民族の規範として第二言語があらかじめ、ある言語に定められていても、それとは別の言語が個人においては第二言語として結果的に定まることはいくらでもある。日本は一部少数民族を除いて(日本普遍の)第二言語の存在しない国とされている。


==概要==
==概要==
第二言語について世界的な統計をとると、[[英語]]、[[フランス語]]、[[中国語]]、[[アラビア語]]、[[ロシア語]]などを第二言語として学んでいる人の数が多い。([[#世界規模の統計]])
人が母語以外の言語を学ぶ動機はさざまであるが、一般にはより多くの人とコミュニケーションをするめであることが多い。そのため、第二言語として選ばれる言語は必然的にその地方、または世界的に多数の話者がいる言語であることが多い。多くの非英語圏の国では[[英語]]が第二言語となることが多いが、中国語・アラビア語などのように言語内での方言の文法・用法の差異が大きい言語では、英語ではなく、統一された共通語(中国語の[[普通話]]、アラビア語の[[フスハー]]など)を第二言語として学ぶ場合もある。この場合は、共通言語と方言のバイリンガルであるとも言える。


人が母語以外の言語を学ぶ動機や選ぶ方法はさまざまである。ひとつは、影響力が強く、広く選ばれている言語(話者が多い言語)を学ぶためである。世界的な視点で影響力を配慮して選ばれる場合もあり、また、地域ごとの影響力を配慮して、つまり住む地域に特に影響を持っている大国があればその言語を選ぶ、ということも行われる。
==第言語(母語)第二言語の==
幼児期に自然に獲得された母語と違い、特に学習の開始時期が遅かった場合第二言語の習得は生涯に渡った学習が必要になる場合がある。ほとんどの場合、第二言語が文法と語彙の点で母語と同一のレベルまで上達することはまれである。


[[アメリカ英語]]は、[[アメリカ合衆国]]が[[第二次世界大戦]]で戦勝国となり、戦後の国際政治で中心的な役割を果たしたことや、同国の経済力も戦後は圧倒的で、突出した[[消費]]地であり、アメリカの企業と取引をすることのメリットも大きかったことなどの影響でアメリカ英語が世界的に広まり、その結果しばしば第二言語として学ばれてきた。
==第二言語と外国語==
教育学において第二言語と[[外国語]]の区別がしばしば設けられることがあり、後者はその言語が話されていない地域において学ばれる。おそらく多くの[[英語]]話者にとって、[[インド]]や[[パキスタン]]、[[バングラデシュ]]のような国々における英語は外国語としてではなく第二言語としてみなされうる。若いうちに学習し、流暢に喋り、規則どおりに扱うことができるからである。加えて、アジア南部では法廷や行政、商取引における公的な言語として用いられている。


[[フランス語圏]]というのもそれなりの広がりを持っていて、その結果、第二言語として選ばれる。なおフランス語は[[ルーマニア]]、[[レバノン]]、[[モルドバ]]において「外国語」とみなされうるが、[[ルーマニア語]]と[[フランス語]]はそもそも同じ[[ロマンス諸語]]に属する。ルーマニアにはフランスと歴史的なつながりがあり、[[フランコフォニー国際機関]]のメンバーである。レバノンの[[国家語]]はアラビア語であるが、レバノンはフランスに統治されていた時代があり(フランス統治時代)、フランス語も広まった。現在では独立し、フランス語は一応は「外国語」とみなされうるが、フランス語は今も行政上用いられている言葉でもあり、多くの大学ではフランス語(か英語)が使われ、フランコフォニー国際機関の一員である。というわけでレバノンなどでもフランス語が第二言語としてしばしば選ばれる。
同様のケースにあたるのが[[アラブ・マグレブ連合]]([[リビア]]を除く)における[[フランス語]]である。ただし、[[スカンディナヴィア諸国]]や[[オランダ]]における英語と同様、これらの[[アラブ世界|アラビア語圏諸国]]においてフランス語は公用語ではない。他の[[サブサハラアフリカ|サハラ以南のアフリカ]][[フランス語圏]]も同様だが、[[モーリタニア]]と[[モーリシャス]]以外の国ではフランス語は公用語である。[[ウズベキスタン]]や[[キルギス]]、[[カザフスタン]]のようなポストソビエト諸国家において、[[ロシア語]]は第二言語とみなしうる。そして規模のあるロシア語話者コミュニティ([[:en:Russophone|Russophone]] communities)が存在する。


[[イスラーム圏]]は[[中東]]だけでなく[[東南アジア]]にも広がっており、そうした国の国民のうちアラビア語を母語としない人であっても、[[クルアーン]]を学べばその記述言語である[[アラビア語]]が学ばれることになり、しばしばそれが第二言語となる。特に、イスラーム教徒はクルアーンは改変してはいけなく、原則翻訳してはいけないものと考えており、そのままアラビア語のまま学び・理解し・暗記すべきものとされているので、クルアーンが経典として学ばれれば必然的にアラビア語が学ばれる、という関係になっている(キリスト教の[[聖書]]がかなり積極的に多言語に翻訳され、翻訳された状態で読まれるのとは状況が異なっている)。
しかし[[中国]]([[香港]]を例外としうる)において、英語は多くの共通点(たとえば歴史的接点やメディア、使用機会、類似する語彙と使用文字)の欠如から外国語と考えられうる。[[エジプト]]はかつて多くの[[ペルシャ湾]]沿岸の[[アラブ]]国家と同様イギリスの植民地であったが、中国同様エジプトにおいて英語は外国語である。


[[東ヨーロッパ]]諸国の多くは、[[ソヴィエト連邦]]に属していた歴史があり、今も国内にロシア系の人々がかなりの割合住みロシア語を話しているなど今もロシアやロシア語の影響は強く、ロシアとの経済的なつながりも強いので、しばしば[[ロシア語]]が第二言語に選ばれる。そして規模のあるロシア語話者コミュニティ([[:en:Russophone|Russophone]] communities)が存在する。
また、フランス語は[[ルーマニア]]や[[レバノン]]、[[モルドバ]]において外国語とみなされうるが、[[ルーマニア語]]と[[フランス語]]はそもそも同じ[[ロマンス諸語]]に属する ([[中国語]]と英語のような別々の語族からきているものと事情が異なる) 。しかも全世界において連邦レベルでルーマニア語を公用語にしている国はルーマニアとモルドバだけで、ルーマニアにいたってはフランスと歴史的なつながりがあり、また両ルーマニア語国家とも[[フランコフォニー国際機関]]のメンバーである。レバノンにおいてもフランス語は外国語とみなされうるが、多くの大学ではフランス語か英語が使われるほか、フランス語は行政上用いられる言葉でもあり、またルーマニア同様、フランスと歴史的接点が存在しフランコフォニー国際機関の一員である。


;方言/標準語の違いで、一種の別言語と見なす場合
George Weberによる1999年のレポートでは、世界の主要言語の第二言語話者の数は次のようになっている。
また中国語・アラビア語などのように言語内での方言の文法・用法の差異が大きい言語では、統一された共通語(中国語の[[普通話]]、アラビア語の[[フスハー]]など)を第二言語として学ぶ場合もある。この場合は、共通言語と方言のバイリンガルであるとも言える。

==言語「外国関係==
第二言語は外国語とは限らない。たとえば[[スイス]]の[[国家語]]はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語であるので、スイス国民のうちドイツ語を母語として育った人が、次にフランス語やイタリア語やロマンシュ語を学ぶ場合は第二言語を学んでいることになるが、それは「外国語」ではない。自国語、自国の公用語である。また[[香港]]でも中国語と英語が公用語になっているので、香港の中国語を母語とする人が英語を第二言語として学ぶ場合も、自国の2言語のうちのもう片方を学んでいるのであって、「外国語」ではない。

[[エジプト]]はかつてイギリスの[[植民地]]であったが、現在では「イギリスは、かつての宗主国、かつ、今は外国」という扱いなので、現在エジプトにおいて英語を第二言語として学んでいる人は、「外国語である英語」を第二言語として学んでいることになる。

教育学において第二言語と[[外国語]]の区別がしばしば設けられることがあり、後者はその言語が話されていない地域のものである。

== 世界規模の統計 ==
World Economic Forumによる2016年のレポートでは、世界の主要言語の第二言語話者の数は次のようになっている。


{| class="wikitable"
{| class="wikitable"
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|1 || [[フランス語]] || style="text-align:right" | 1億9000万人
|1 || [[フランス語]] || style="text-align:right" | 1億9200万人
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|2 || [[英語]] || style="text-align:right" | 15000万人
|2 || [[英語]] || style="text-align:right" | 51000万人
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|3 || [[ロシア語]] || style="text-align:right" | 1億2500万人
|3 || [[ロシア語]] || style="text-align:right" | 1億1500万人
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|4 || [[ポルトガル語]] || style="text-align:right" | 2800万人
|4 || [[ポルトガル語]] || style="text-align:right" | 3200万人
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|5 || [[アラビア語]] || style="text-align:right" | 2100万人
|5 || [[アラビア語]] || style="text-align:right" | 1億3200万人
|-
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|6 || [[スペイン語]] || style="text-align:right" | 2000万人
|6 || [[スペイン語]] || style="text-align:right" | 7000万人
|-
|-
|7 || [[中国語]] || style="text-align:right" | 2000万人
|7 || [[中国語]] || style="text-align:right" | 1億7800万人
|-
|-
|8 || [[ドイツ語]] || style="text-align:right" | 900万人
|8 || [[ドイツ語]] || style="text-align:right" | 8500万人
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|9 || [[日本語]] || style="text-align:right" | 800万人
|9 || [[日本語]] || style="text-align:right" | 1500万人
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|}


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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[母語]]、[[言語獲得]]
*[[母語]]、[[言語獲得]]
*[[外国語]]、[[外国語教育]]、[[語学]]
*[[第二言語習得]]
*[[第二言語習得]]
*[[外国語]]、[[外国語教育]]、[[語学]]
*[[母語話者の数が多い言語の一覧]]
*[[母語話者の数が多い言語の一覧]]



2022年5月10日 (火) 23:17時点における最新版

第二言語(だいにげんご)とは、その人が母語(第一言語)を習得した後に、あらためて学習し使用することができるようになった母語(第一言語)以外の言語。

概要

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第二言語について世界的な統計をとると、英語フランス語中国語アラビア語ロシア語などを第二言語として学んでいる人の数が多い。(#世界規模の統計

人が母語以外の言語を学ぶ動機や選ぶ方法はさまざまである。ひとつは、影響力が強く、広く選ばれている言語(話者が多い言語)を学ぶためである。世界的な視点で影響力を配慮して選ばれる場合もあり、また、地域ごとの影響力を配慮して、つまり住む地域に特に影響を持っている大国があればその言語を選ぶ、ということも行われる。

アメリカ英語は、アメリカ合衆国第二次世界大戦で戦勝国となり、戦後の国際政治で中心的な役割を果たしたことや、同国の経済力も戦後は圧倒的で、突出した消費地であり、アメリカの企業と取引をすることのメリットも大きかったことなどの影響でアメリカ英語が世界的に広まり、その結果しばしば第二言語として学ばれてきた。

フランス語圏というのもそれなりの広がりを持っていて、その結果、第二言語として選ばれる。なおフランス語はルーマニアレバノンモルドバにおいて「外国語」とみなされうるが、ルーマニア語フランス語はそもそも同じロマンス諸語に属する。ルーマニアにはフランスと歴史的なつながりがあり、フランコフォニー国際機関のメンバーである。レバノンの国家語はアラビア語であるが、レバノンはフランスに統治されていた時代があり(フランス統治時代)、フランス語も広まった。現在では独立し、フランス語は一応は「外国語」とみなされうるが、フランス語は今も行政上用いられている言葉でもあり、多くの大学ではフランス語(か英語)が使われ、フランコフォニー国際機関の一員である。というわけでレバノンなどでもフランス語が第二言語としてしばしば選ばれる。

イスラーム圏中東だけでなく東南アジアにも広がっており、そうした国の国民のうちアラビア語を母語としない人であっても、クルアーンを学べばその記述言語であるアラビア語が学ばれることになり、しばしばそれが第二言語となる。特に、イスラーム教徒はクルアーンは改変してはいけなく、原則翻訳してはいけないものと考えており、そのままアラビア語のまま学び・理解し・暗記すべきものとされているので、クルアーンが経典として学ばれれば必然的にアラビア語が学ばれる、という関係になっている(キリスト教の聖書がかなり積極的に多言語に翻訳され、翻訳された状態で読まれるのとは状況が異なっている)。

東ヨーロッパ諸国の多くは、ソヴィエト連邦に属していた歴史があり、今も国内にロシア系の人々がかなりの割合住みロシア語を話しているなど今もロシアやロシア語の影響は強く、ロシアとの経済的なつながりも強いので、しばしばロシア語が第二言語に選ばれる。そして規模のあるロシア語話者コミュニティ(Russophone communities)が存在する。

方言/標準語の違いで、一種の別言語と見なす場合

また中国語・アラビア語などのように言語内での方言の文法・用法の差異が大きい言語では、統一された共通語(中国語の普通話、アラビア語のフスハーなど)を第二言語として学ぶ場合もある。この場合は、共通言語と方言のバイリンガルであるとも言える。

「第二言語」と「外国語」の関係

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第二言語は外国語とは限らない。たとえばスイス国家語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語であるので、スイス国民のうちドイツ語を母語として育った人が、次にフランス語やイタリア語やロマンシュ語を学ぶ場合は第二言語を学んでいることになるが、それは「外国語」ではない。自国語、自国の公用語である。また香港でも中国語と英語が公用語になっているので、香港の中国語を母語とする人が英語を第二言語として学ぶ場合も、自国の2言語のうちのもう片方を学んでいるのであって、「外国語」ではない。

エジプトはかつてイギリスの植民地であったが、現在では「イギリスは、かつての宗主国、かつ、今は外国」という扱いなので、現在エジプトにおいて英語を第二言語として学んでいる人は、「外国語である英語」を第二言語として学んでいることになる。

教育学において第二言語と外国語の区別がしばしば設けられることがあり、後者はその言語が話されていない地域のものである。

世界規模の統計

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World Economic Forumによる2016年のレポートでは、世界の主要言語の第二言語話者の数は次のようになっている。

1 フランス語 1億9200万人
2 英語 5億1000万人
3 ロシア語 1億1500万人
4 ポルトガル語 3200万人
5 アラビア語 1億3200万人
6 スペイン語 7000万人
7 中国語 1億7800万人
8 ドイツ語 8500万人
9 日本語 1500万人

各国における状況

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アメリカにおける第二言語

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アメリカ人は、アメリカ合衆国国内に多数存在するヒスパニック系住民(スペイン語話者)の影響もあり、スペイン語を第二言語として学ぶことが多い。 また、フランス語も多く学ばれている。

フランスにおける第二言語

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隣接国のドイツ語やスペイン語を中心に学ばれており、また、英語も多く学ばれている。

関連項目

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