コンテンツにスキップ

「サトシ・ナカモト」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
H1d3 (会話 | 投稿記録)
m 改名提案にドットを使用。
ZairanTD (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
52行目: 52行目:
|date=2011-11-23
|date=2011-11-23
|accessdate=2014-03-07
|accessdate=2014-03-07
|quote=ナカモトが日本人なのかということさえ疑わしく思える。彼の英語は完璧で、ネイティブスピーカーのように慣用句を使っている。}}</ref>、運用が開始された<ref>{{Cite web
|quote=ナカモトが日本人なのかということさえ疑わしく思える。彼の英語は完璧で、母語話者のように慣用句を使っている。}}</ref>、運用が開始された<ref>{{Cite web
|last=Davis
|last=Davis
|first=Joshua
|first=Joshua

2017年2月27日 (月) 18:37時点における版

サトシ・ナカモト
研究分野 電子貨幣計算機科学暗号理論
主な業績 ビットコインの発明。
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

ナカモト サトシ(なかもと さとし、英文表記:Satoshi Nakamoto)は、ビットコインプロトコルと、そのリファレンス実装であるBitcoin Core (Bitcoin-Qt) を作ったことで知られる人物の称する氏名。本名かどうかも含め、当該人物の正体は不明。2008年、metzdowd.com内の暗号理論に関するメーリングリスト[1]に電子通貨ビットコインに関する論文を発表し始めた[2][3]。2009年にはビットコインのソフトウェアをネット上に発表し、ビットコインの最初の採掘を行い[4]、運用が開始された[5][6]

ナカモトは他の開発者とともにビットコインのソフトウェアのリリースに寄与し続け、それは彼のチームやコミュニティとの接触を次第に控えるようになる2010年半ばまで続いた。この頃、彼は次第にソフトウェアのソースコードリポジトリの管理などをギャヴィン・アンドレセン英語版に任せるようになり、やがてプロジェクト管理までをも引き渡した[7]。また同じ時期、 Bitcoin.orgなどといったいくつかのドメインの管理をビットコインのコミュニティ内のメンバーに引き渡した。

ナカモトは約100万BTCを所有していると推測され、これは2013年12月時点の相場で11億USドルに相当する額である[8]

正体をめぐる推測

一見すると日本人男性の名前のようであるが、偽名であると考えられてきた。

P2P財団英語版に掲載された略歴によれば、ナカモトとは(それがグループのペンネームなどではなく)個人の日系人男性であり、37歳であると主張している。ナカモトの使う英語は流暢なものであり、また彼のビットコインに関する論文には日本語が使われていないことから、日本人であるという主張には懐疑的な見方がなされている[4]

彼のビットコインに関する最初のソフトウェアは共同作業によるものと推測されており、このためにナカモト サトシとはあるグループが共有して使っている偽名であるという主張がある[9]

ソースコード中のコメントやフォーラムへの投稿に時おり使用されるイギリス英語の綴りやイディオム(例えば"bloody hard"といった表現)の使い方がナカモト、もしくは少なくともナカモトであると主張するグループの一個人を推測させるヒントになるという見方もされ、その場合、イギリスに起源がある人物であると目された[2][10][9]

スイスのプログラマーでコミュニティにおける活発なメンバーでもあるステファン・トーマスは、ナカモトがビットコインのフォーラムに投稿した時間帯をグラフ化した(その数は500件以上にものぼる)。その結果、グリニッジ標準時で午前5時から11時のあいだ、ほぼ投稿がないことが明らかとなった。土曜日や日曜日でもこのパターンは当てはまっており、つまりこの時間帯はナカモトの睡眠時間なのではないかと推測された[4]。もしナカモトが個人であり普通の睡眠習慣の持ち主であるなら、彼が住んでいるのはUTC−05:00もしくはUTC−06:00の地域と推測される。これは北米の東部標準時中部標準時、中央アメリカの西インド諸島や南米が当てはまる。

ナカモトの正体については様々な説が浮上した。ここでは有名なものを挙げる。

  • 2011年10月、調査ジャーナリストのアダム・ペネンバーグ英語版はナカモトとはニール・キング、ウラジミール・オクスマン、そしてチャールズ・ブライのことであるとする間接証拠について言及[14]。それには、2008年に彼らが出願した特許の出願書類が含まれていた[15]。ペネンバーグが3人に接触した時、彼らは全員ナカモトであることを否定した[14]
  • ジェド・マケーレブはナカモトの正体ではないかと言われたことがある[19]。マケーレブはファイル共有サービスOverneteDonkey2000英語版の創始者であり、ビットコインの取引所マウントゴックス(Mt. Gox)の設立者でもある。かつてはビットコインを強力に支え、後に他のデジタル通貨・リップル(Ripple)を発展させるための会社リップル・ラボを共同設立した[20]
  • テキサスのセキュリティー研究者であるダスティン・D.トランメルはナカモトであると推測されたが、公的に否定している[21]
  • 2013年12月、ニック・サボー英語版は逆テキスト分析で関係があるとされた [22]。サボは非集中的な通貨システムに熱心で、「ビットゴールド」についての論文を出したこともある[23]。これはビットコインの前身と考えられた[17]
  • 2014年3月、ジャーナリストのリア・マグラース・グッドマン英語版は雑誌ニューズウィークの記事において、アメリカ合衆国カリフォルニア州テンプルシティ英語版に住み、出生名がサトシ・ナカモトであった、現在64歳のドリアン・プレンティス・サトシ・ナカモトこそが話題のナカモト サトシであると述べた[24][25][26]。しかし、ドリアン・ナカモトはこれを否定[27]。ニューズウィーク誌は間違って引用したとし[28]、彼がかつて関わっていた国家機密の技術系の仕事について「私はもはや関係ないので議論できない」と語った部分を誤用しているとした。また同日、ナカモトがP2P財団に自身のアカウントで3年ぶりのメッセージを投稿したが、「私はドリアン・ナカモトではない」と述べている[29][30][31]
  • 2016年5月2日に、オーストラリアの起業家クレイグ・スティーブン・ライト英語版が自らがナカモト サトシであると報道機関に対し名乗り出た。その証拠として、本物のナカモト サトシしか知り得ないはずの暗号キーを使って電子署名をしてみせたが、まだ本物とするには疑問も残っていると報じられている[32][33]

脚注

注釈

出典

  1. ^ Satoshi's posts to Cryptography mailing list”. Mail-archive.com. 2014年3月7日閲覧。
  2. ^ a b Nakamoto, Satoshi (2009年5月24日). “Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System”. 2014年3月7日閲覧。
  3. ^ Nakamoto, Satoshi (2010年10月31日). “Bitcoin P2P e-cash paper”. 2014年3月7日閲覧。
  4. ^ a b c Wallace, Benjamin (2011年11月23日). “The Rise and Fall of Bitcoin”. Wired. 2014年3月7日閲覧。 “ナカモトが日本人なのかということさえ疑わしく思える。彼の英語は完璧で、母語話者のように慣用句を使っている。”
  5. ^ Davis, Joshua (2011年10月10日). “The Crypto-Currency: Bitcoin and its mysterious inventor.”. The New Yorker. 2014年3月7日閲覧。
  6. ^ Penenberg, Adam (2011年10月11日). “The Bitcoin Crypto-Currency Mystery Reopened”. Fast Company. 2014年3月7日閲覧。 “A New Yorker writer implies he found Bitcoin's mysterious creator. We think he got the wrong man, and offer far more compelling evidence that points to someone else entirely.”
  7. ^ Bosker, Bianca (2013年4月16日). “Gavin Andresen, Bitcoin Architect: Meet The Man Bringing You Bitcoin (And Getting Paid In It)”. HuffPostTech. 2014年3月7日閲覧。
  8. ^ Liu, Alec (2013年11月29日). “Bitcoin Mints Its First Billionaire: Its Inventor, Satoshi Nakamoto | Motherboard”. Motherboard.vice.com. 2014年3月7日閲覧。
  9. ^ a b Jeffries, Adrianne (2011年4月10日). “The New Yorker’s Joshua Davis Attempts to Identify Bitcoin Creator Satoshi Nakamoto”. Betabeat. 2014年3月8日閲覧。
  10. ^ Benjamin Wallace: The Rise and Fall of Bitcoin, Wired, November 23, 2011
  11. ^ Davis, Joshua (2011年11月10日). “The Crypto-Currency”. The New Yorker. 2013年3月7日閲覧。
  12. ^ Clear, Michael (2013年4月4日). “Clarifications on Joshua Davis' Article on Bitcoin in the New Yorker”. 2014年3月7日閲覧。
  13. ^ Who is Satoshi Nakamoto?”. coindesk.com (2013年11月26日). 2014年3月7日閲覧。
  14. ^ a b Penenberg, Adam (2011年10月11日). “The Bitcoin Crypto-currency Mystery Reopened”. The Fast Company. 2014年3月8日閲覧。
  15. ^ Updating and Distributing Encryption Keys US 20100042841 A1
  16. ^ I Think I Know Who Satoshi Is”. YouTube TheTedNelson Channel (2013年5月18日). 2014年3月8日閲覧。
  17. ^ a b JCastニュース. “ビットコイン提唱者「サトシ・ナカモト」は誰か? 京大有名教授、米大学教授、欧州の金融機関関係者・・・”. http://www.j-cast.com/2013/12/27193222.html?p=all 2014年3月13日閲覧。 
  18. ^ Eileen Ormsby (2013年7月10日). “The outlaw cult”. Theage.com.au. 2014年3月8日閲覧。
  19. ^ Liu, Alec (2013年5月22日). “Who Is Satoshi Nakamoto, the Creator of Bitcoin?”. vice.com. 2014年3月8日閲覧。
  20. ^ McMillan, Robert (2013年9月30日). “Bitcoin Maverick Returns for New Crack at Digital Currency”. Wired. 2014年3月8日閲覧。
  21. ^ I am not Satoshi” (blog). 2014年3月8日閲覧。
  22. ^ John Biggs (2013年12月5日). “Who is the real Satoshi Nakamoto? One researcher may have found the answer”. TechCrunch. http://techcrunch.com/2013/12/05/who-is-the-real-satoshi-nakamoto-one-researcher-may-have-found-the-answer/ 2014年3月8日閲覧。 
  23. ^ Satoshi Nakamoto is (probably) Nick Szabo” (2013年12月1日). 2014年3月8日閲覧。
  24. ^ リア・マグラース・グッドマン英語版 (2014年3月6日). “The Face Behind Bitcoin”. Newsweek. 2014年3月8日閲覧。
  25. ^ Andy Greenberg (2014年3月6日). “Bitcoin Community Responds To Satoshi Nakamoto's Outing With Disbelief, Anger, Fascination”. Forbes. http://www.forbes.com/sites/andygreenberg/2014/03/06/bitcoin-community-responds-to-satoshi-nakamotos-outing-with-disbelief-anger-fascination/ 2014年3月8日閲覧。 
  26. ^ Oremus, Will (2014年3月6日). “The real Satoshi Nakamoto: Newsweek finds mysterious bitcoin creator in Los Angeles”. Slate.com. http://www.slate.com/blogs/future_tense/2014/03/06/the_real_satoshi_nakamoto_newsweek_finds_mysterious_bitcoin_creator_in_los.html 2014年3月8日閲覧。 
  27. ^ Rodriguez, Salvador (2014年3月6日). “Dorian Satoshi Nakamoto chased by reporters, denies founding Bitcoin”. ロサンゼルス・タイムズ. http://www.latimes.com/business/technology/la-fi-tn-bitcoin-founder-la-chased-20140306,0,3692933.story 2014年3月6日閲覧。 
  28. ^ Ryan Nakashima (2014年3月7日). “Man said to create Bitcoin denies it”. Associated Press. http://hosted.ap.org/dynamic/stories/U/US_BITCOIN_FOUNDER_DENIAL?SITE=AP&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT&CTIME=2014-03-06-19-35-06 
  29. ^ Bitcoin open source implementation of P2P currency” (2014年3月7日). 2014年3月7日閲覧。
  30. ^ 'Real' bitcoin creator: 'I am not Dorian Nakamoto'”. CNBC (2014年3月7日). 2014年3月8日閲覧。
  31. ^ Bitcoin Creator Returns To Internet To Say, 'I Am Not Dorian Nakamoto'”. Forbes (2014年3月6日). 2014年3月8日閲覧。
  32. ^ “豪起業家、仮想通貨「ビットコイン」の発明者と名乗り出る”. AFPBB News (フランス通信社). (2016年5月2日). http://www.afpbb.com/articles/-/3085944 2016年5月2日閲覧。 
  33. ^ “豪起業家ライト氏、ビットコイン考案者と名乗り出る=BBC”. ロイター (ロイター). (2016年5月2日). http://jp.reuters.com/article/australia-bitcoin-idJPKCN0XT0N4 2016年5月2日閲覧。 

関連項目