コンテンツにスキップ

「EyeSight」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Akabori (会話 | 投稿記録)
→‎機能の限界: 出典がなく、国内販売車種でMT車が減っているため、独自研究と思われる。 曖昧な表現を修正
タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼:「富士重工業」→「SUBARU」カテゴリ変更依頼 - log: Category:富士重工業Category:SUBARU
183行目: 183行目:
[[Category:自動車工学]]
[[Category:自動車工学]]
[[Category:自動車安全技術]]
[[Category:自動車安全技術]]
[[Category:富士重工業]]
[[Category:SUBARU]]
[[Category:日立製作所]]
[[Category:日立製作所]]
[[Category:グッドデザイン賞]]
[[Category:グッドデザイン賞]]

2017年4月20日 (木) 08:29時点における版

スバル・レガシィ(5代目)のEyeSight

EyeSight(アイサイト)は、富士重工業日立製作所日立オートモティブシステムズが開発した衝突被害軽減ブレーキ。車内前方に装備されたステレオカメラで前方を監視し、障害物[1]を三次元的に認識することで、自動ブレーキ、クルーズコントロール等を制御する「運転支援システム」をコンセプトに開発されている。富士重が製造しスバル(SUBARU)ブランドで販売する乗用車に装備されている。市販車用に実用化された世界初のシステムでもある。

概要

EyeSightは、ADA(Active Driving Assist)の発展型として2008年に登場した。開発にあたっては、2004年に日立・日立AMSと提携。富士重が有するステレオカメラの技術と、日立の単眼式カメラの技術やソフトウェア開発のノウハウを結集する形で進められた。画像処理システムについては両社で共同の特許を取得している[2]。現在装備されているのは、改良型の「EyeSight(ver.2)」および「EyeSight(ver.3)」である。

機能(ver.2)

(ver.1)との基本的な機能に違いは無く、異なる点はプリクラッシュブレーキにおける「ぶつかる前に止まる」ことを国交省に働きかけ認めさせたことで、「衝突軽減」から「衝突回避」に性能向上を実現した。後述にある通り、完全な衝突回避を保証するものではない。

プリクラッシュブレーキ

車、歩行者等への衝突の可能性が高いとシステムが判断した場合、警告音と警告表示によって運転者の注意を喚起。回避操作が行われない場合、対象との相対速度が30 km/h 以内であれば自動ブレーキを働かせて被害の回避、軽減を行うほか、それ以上の速度であっても被害の軽減を行う。また、運転者がブレーキを操作した際は倍力装置で急ブレーキをアシストする。被害軽減の制御は0-100 km/h までの速度に対応している。

全車速追従機能付きクルーズコントロール

前方を走行中の車両を検知し、車間距離を保つようクルーズコントロールシステムを制御する。0-100 km/h までの速度に対応しており、車間距離を3段階で設定可能。実際の設定範囲はタイヤの磨耗や車速パルスの誤差を考慮し、40-114km/hとなっており、実際の上限はGPS測定で105km/h前後に相当する。また使用中にドライバーの操作で加速し140km/h以上になった場合は、クルーズコントロールは自動解除される。

高速道路や自動車専用道路での使用が前提の機能である[3]

AT誤発進抑制制御

発進時のシフトの入れ間違い、ペダルの踏み間違いによる事故の防止、軽減を行う。運転者への警告と、エンジン出力抑制の機能を有する。

警報&お知らせ機能

50km/h以上での車のふらつき、40km/h以上での車線の逸脱に対して警告音と警告表示を発する。また先行車発進後、3m以上離れても自車が発進しない場合に通知を行う。

衝突事故発生時の記録保持

(ver.1)より備わっている機能として、広告やセールスでは謳われていないが衝突回避動作を以ってしても事故が回避できず、エアバッグの作動などある一定の条件を満たすと、衝突前後のステレオカメラによる映像およびECUから取得可能な車両情報(ステアリング切り角、エンジン回転数、アクセル開度、ブレーキ、シフト状態)などのデータが記録されることが取扱説明書に記されている。ただし市販のドライブレコーダーと異なり、一般ユーザーによってデータを取得したり閲覧することはできない(もっとも、EyeSight搭載車に対応するドライブレコーダーがスバル用品から発売されている)。

機能(ver.3)

2014年6月20日、最初のEyeSight(ver.3)搭載車であるレヴォーグが発売された。(ver.2)に対する改良点は次の通りである。

  • ユニットの小型・薄型化。
  • カメラをCCD(モノクロカメラ)からCMOS(カラーカメラ)とすることによる視認性能の向上。
  • 視野角・視程を従来比40%向上。
  • カラーカメラ化による先行車ブレーキランプ認識機能の追加。それに伴うCPUの高速化・車両制御の精緻化。
  • 衝突回避の最大対応速度が50km/hに向上。
  • 電動パワーステアリングを協調させたアクティブレーンキープ機能と車線逸脱抑制機能の追加。

特色

  • ミリ波レーダは歩行者や自転車などの検知を不得意とするが、ステレオカメラはこれらも認識可能である。[4]
  • ミリ波レーダを利用したシステムの場合、上記欠点を補うため、単眼式カメラやその他センサと組み合わされることが多く、結果としてコストの上昇を招いているが、EyeSightの場合、カメラのみで高精度、高機能を実現したことによって価格を比較的低く抑えることに成功している[5]
  • 車内に装置を設置しているため、車外にセンサが露出しているシステムに比して、泥はねなど不意の汚損に対して若干のアドバンテージを持つ。また、車種によってはEyeSight用のウォッシャーノズルを装備している。

機能の限界

EyeSightはステレオカメラの映像を用いるシステムであることから、人間の視覚と同じく天候や周辺の明るさの影響を受ける。つまり、夜間[6]や濃霧、豪雨、西日に正対したとき、といった場合の動作が100%保証されているわけではない。障害物がフェンスであった場合や、無地の壁、縦縞模様の壁であった場合などに、カメラが認識できなくなる可能性が高まるともされている。また、雪で路面が覆われた場合等に車線が認識不可能になる点は、他社のカメラを利用した車線認識システムと同様である。

また、ステレオカメラの映像を用いるシステムであることから、「タイヤサイズ、サスペンション、フロントガラス等の交換および変更」「フロントガラスに撥水コーティングをする」「室内のフロントガラス周辺にてアクセサリー等の追加変更を行う」など、最低地上高やフロントガラスの映り込みが変わるような変更改造等を行った場合、システム動作に最悪な影響を与える恐れがある。そのため、搭載車両を純正状態から変更する場合は、事前に販売店に相談し注意事項を確認すべきである。

2017年2月現在で、すべてのEyeSight搭載車はATまたはCVTとの組み合わせに限られている。衝突被害軽減ブレーキをMT車に搭載する例はホンダ・フィットマツダ車の大半、あるいはトヨタ・カローラなどで見られるが、クルーズコントロールの機能面で速度やエンジン回転数を適切に制御する必要から、MT車販売比率が比較的高いと言われる[独自研究?]スバルにおいて、MT車へのEyeSight搭載は行なわれていない。

EyeSightもまた、他社の衝突被害軽減ブレーキと同じく、あくまでも運転者が主体であって装置はその能力を補う、というものである。ゆえに路面や周囲の環境、事故の形態によっては、100%被害を防げるものではないことに注意が必要である。適切な運用には、メーカーの告知している装置の特性を十分に理解する必要がある[7]。当然、事故を起こした時の責任はすべて運転者が負うものであり、システムとその製造メーカーに責任はないので意識して運転しなければならない。

搭載可能車種

2016年10月現在、以下の車種でEyeSight搭載グレードを選択可能。なお、BRZの全グレードとWRX STIはEyeSight非搭載である。

車種 バリエーション ver. 備考
レガシィ B4 (6代目・BN系) 3 車線維持機能
アウトバック (3代目・BS系) 車線維持機能
エクシーガ クロスオーバー7 2
フォレスター (4代目・SJ系D型以降) 3 車線維持機能
アダプティブドライビングビーム
インプレッサ G4 (5代目・GK系) 3 車線維持機能
アダプティブドライビングビーム
スポーツ (5代目・GT系) 3 車線維持機能
アダプティブドライビングビーム
XV (2代目・GP系D型以降) 2(ハイブリッド)
3(ガソリン車)
3のみ車線維持機能
レヴォーグ (初代・VM系) 3 車線維持機能
WRX S4 (VAG系) 3 車線維持機能

過去に搭載できた車種

車種 バリエーション ver.
レガシィ ランカスター(BH系) ADA
アウトバック(初代・BP系) 1
B4 (5代目・BM系) 2
ツーリングワゴン (5代目・BR系)
アウトバック (2代目・BR系)
インプレッサ G4 (4代目・GJ系) 2(A~D型まで)
3(D型~E型まで)
スポーツ (4代目・GP系) 2(A~D型まで)
3(D型~E型まで)
スポーツハイブリッド 2
XV (2代目・GP系A〜C型) 2
フォレスター (4代目・SJ系A〜C型) 2
エクシーガ 初代・YA系E型以降 2

プロモーション

EyeSightのプロモーション限界を意識したものになっており、「ぶつからないクルマ?」「ぶつからないSUV?」「ぶつからないハイブリッド?」「ぶつからないミニバン?」等と疑問符をつけたり(「ぶつからない」と断言していない)、テレビCMの最後に表示される警告では必ず効果音を鳴らしたり、カタログやウェブサイトでも「アイサイトだけに頼った運転は、絶対に行わないでください。」と非常に強い文言の警告を記載する等して注意喚起を図っている。後述のノベルティアイテムも「ぶつからない!?ミニカー」と命名する、EyeSightではなくスマートアシストを搭載するダイハツ工業からのOEMステラ(←ムーヴ)やプレオ+(←ミライース)も同様の手法を取る[8]等、これらの手法は徹底されている。

ぶつからない!?ミニカー

EyeSightの試乗体験キャンペーンで配布されているミニカー

前方に赤外線センサーが搭載されており、スイッチを入れるとヘッドランプが点灯して走行するようになっている。その状態でミニカーの収納箱に向けて走らせると自動で停車して更にブレーキランプが点灯するのが特徴。

これまでに配布された車種
  • インプレッサスポーツ(4代目)
  • レガシィツーリングワゴン
グレードは、恐らく2.0GT DIT EyeSightである。
  • フォレスター
車体のバランスが悪い物がある。
  • XVハイブリッド
フロント・リアが点灯する。
  • レヴォーグ
フロント・リアが点灯する。(ブレーキは点滅してから点灯する)
黒線の上をなぞるようにはみ出さない走りをするようになった。
映画「進撃の巨人」バージョンが存在する。
  • アウトバック
フロント・リアが点灯する。
はみ出さない機能は無くなり直進のみになる。
  • インプレッサスポーツ(5代目)

沿革

  • 1989年 - 富士重工業がステレオカメラに関する研究を開始。
  • 1991年 - 第29回東京モーターショーでADAを公開。
  • 1999年 - ADA搭載のレガシィ(ランカスターADA)を発売。
  • 2004年 - 日立製作所日立オートモティブシステムズと開発提携。
  • 2008年 - EyeSight搭載のレガシィ(アウトバック2.5XT)を発売。
  • 2009年 - エクシーガにEyeSight搭載グレードを設置。
  • 2010年 - EyeSight(ver.2)搭載のレガシィを発売。
  • 2011年 - EyeSight(ver.2)搭載車を自社生産するすべての車種に拡大することを発表[9]
  • 2011年 - EyeSight(ver.2)搭載のインプレッサ スポーツ、インプレッサG4を発売。
  • 2012年 - 文部科学大臣科学技術賞を受賞。
  • 2012年 - EyeSight(ver.2)搭載のエクシーガを発売。
  • 2012年 - EyeSight(ver.2)搭載のXV、フォレスターを発売。
  • 2013年 - 第10回新機械振興賞経済産業大臣賞を受賞。
  • 2013年 - 米国道路安全保険協会の性能評価で最高の"SUPERIOR"に認定。
    • 10月2日、次世代「アイサイト(EyeSight)」を発表[10][11]
  • 2014年
    • 6月20日、EyeSight(ver.3)搭載のレヴォーグを発売。
    • 8月25日、EyeSight(ver.3)搭載のWRX S4を発売。
    • 10月23日、国土交通省及びNASVAがEyeSight(ver.3)装備のレヴォーグに対し、JNCAP予防安全評価における評価点が満点の40点及び「先進安全車プラス(ASV+)」に選定[12]
    • 10月24日、EyeSight(ver.3)搭載のレガシィB4、レガシィアウトバックを発売。
    • 11月25日、EyeSight(ver.3)搭載のインプレッサ スポーツ、インプレッサG4、XVを発売。
  • 2015年

脚注・出典

  1. ^ 車両だけでなく、歩行者や二輪車も制御対象であり、車線やガードレールも立体認識する
  2. ^ 日立製作所-IT(情報・通信)-新たな価値協創で、次代のクルマ社会の夢を実現する。
  3. ^ cartopia No.492 p.24
  4. ^ 当然ながら、対象がカメラの視界に入ることが前提であり、幼児などは視界外となる可能性があるため注意が必要である。
  5. ^ Car Watch-カメラだけで先進安全装備を実現したスバル「EyeSight」
  6. ^ 街灯や前照灯の照射範囲は識別可能であるし、前車の尾灯が点灯していれば、それを識別して制御が行われる
  7. ^ シートベルトは確かに事故の被害を低減するが、だからといって着用していればそれで万事解決というわけではない。プリクラッシュセーフティシステムもまた、これと同様の存在なのである。
  8. ^ 警告文は「アイサイトだけに〜」を「スマートアシストだけに〜」に置き換えているが、OEM元のムーヴやミライース、ミライースのトヨタ自動車向けOEM版のピクシスエポック、OEM供給のないタントウェイク(トヨタ向けのピクシスメガ含む)ではそれを「スマートアシストに〜」に置き換えている。
  9. ^ 自動車リサーチ-スバルが全車種にアイサイトを装備すると発表
  10. ^ ニュースリリース 富士重工業 次世代「アイサイト(EyeSight)」を発表
  11. ^ 次世代アイサイト技術発表会 SUBARU-USTREAM
  12. ^ “スバル 「アイサイト」を搭載する3車種が「先進安全車プラス(JNCAP ASV+)」に選定” (PDF). 富士重工業 (2014年10月23日). 2014年11月1日閲覧。
  13. ^ スバル 運転支援システム「アイサイト」が2015年度グッドデザイン・ベスト100に選出~レガシィ アウトバック/B4もグッドデザイン賞を受賞~ 富士重工業 2015年9月29日

関連項目

参考文献

  • 『cartopia No.490』富士重工業株式会社、2013年1月1日
  • 『cartopia No.491』富士重工業株式会社、2013年2月1日
  • 『cartopia No.492』富士重工業株式会社、2013年3月1日

外部リンク