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「包茎手術商法」の版間の差分

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体質的にただれなどの皮膚障害の原因になっていたり、あるいは勃起障害につながっているなど、真に治療が必要な場合、マスコミで紹介されている美容外科外科以外でも美容形成的要素を考慮しなければ、[[健康保険]]が適用できる泌尿器科の診察と手術を受けることが可能である。
体質的にただれなどの皮膚障害の原因になっていたり、あるいは勃起障害につながっているなど、真に治療が必要な場合、マスコミで紹介されている美容外科外科以外でも美容形成的要素を考慮しなければ、[[健康保険]]が適用できる泌尿器科の診察と手術を受けることが可能である。


無暗に矯正することを問題視する医師もおり、陰茎の機能を損なう場合の治療や、[[割礼]]のような社会的理由によるものを除けば、[[劣等感]]のみを理由とする全ての包皮切除手術は、必ずしも必要性がないとする主張もみられる<ref>[http://web.archive.org/web/20060412033734/http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060327ik09.htm 包茎切らないで] - 読売新聞 2006年3月27日(2006年4月12日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。その状態が個人の価値観において劣等感の元になっているのであれば、隆鼻や二重瞼の施術のように美容整形的措置でその要因を[[肉体改造]]など矯正することはしばしば行われ、その可否に関する議論の一種ともいえるが、場所が特殊であるために、固有の問題もみいだされる。
無暗に矯正することを問題視する医師もおり、陰茎の機能を損なう場合の治療や、[[割礼]]のような社会的理由によるものを除けば、[[劣等感]]のみを理由とする全ての包皮切除手術は、必ずしも必要性がないとする主張もみられる<ref>[http://web.archive.org/web/20060412033734/http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060327ik09.htm 包茎切らないで] - 読売新聞 2006年3月27日(2006年4月12日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。その状態が個人の価値観において劣等感の元になっているのであれば、隆鼻や二重瞼の施術のように美容整形的措置でその要因を[[肉体改造]]など矯正することはしばしば行われ、その可否に関する議論の一種ともいえるが、場所が特殊であるために、固有の問題もみいだされる。


神戸市の泌尿器科医である石川英二は著書『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』において、日本人の8割以上が本来は「包茎(仮性・真性問わず)」であるとして、本来の包皮の機能を説明、コンプレックスの解消を目的とした包皮切除手術を問題視している。この中で包皮は、亀頭とは別の感覚体が多数存在し、性交における性感体の役割を果たしていることや、包皮は性交時に膣内を自由に動き、摩擦を軽減させる役割を果たすことが示されている。
神戸市の泌尿器科医である石川英二は著書『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』において、日本人の8割以上が本来は「包茎(仮性・真性問わず)」であるとして、本来の包皮の機能を説明、コンプレックスの解消を目的とした包皮切除手術を問題視している。この中で包皮は、亀頭とは別の感覚体が多数存在し、性交における性感体の役割を果たしていることや、包皮は性交時に膣内を自由に動き、摩擦を軽減させる役割を果たすことが示されている。

2017年9月5日 (火) 00:51時点における版

包茎手術商法(ほうけいしゅじゅつしょうほう)とは、男性の陰茎の悩みに関する形成外科手術、特に包茎手術のうち、医業経営による利益を第一とし、本来不必要な手術を行ったり、金銭を過剰に請求するような姿勢を捉えた俗称の一種。

概要

日本においては通常の包茎を「真性包茎」と呼び、通常時には亀頭を包皮が覆っているが勃起時には亀頭が露出し、通常の性交が可能であるものが「仮性包茎」と呼ばれる場合があるが[1]、このいわゆる「仮性包茎」状態が至って正常なものであり[2]、Schoberlein (1966)[3]の調査ではおおよそ通常時には割礼されていない成人の50%において包皮が亀頭を完全に覆っており、42%は包皮が部分的に覆っており残りの8%において亀頭が完全に露出しているに過ぎないとする(ドイツでの調査)。言わば、通常時に亀頭が露出している・いないを基準とすれば、男性の約92%が(真性)包茎または仮性包茎に罹患していることとなる。また、欧米では17歳までに包茎は1%未満になるとの報告もなされている[4]。医学的にはこういった、亀頭包皮と亀頭の癒着、または包皮輪の狭窄のために勃起時においてもこれが露出しない場合において、包茎と呼ばれる一種の症状として扱われる[5]。よって「仮性包茎」はこの要件を満たさず、治療には健康保険などは適用されず、自費診療となる[6]

いわゆる包茎手術商法と呼ばれるものとして、本項では主に新聞・雑誌などで取り上げられている、自由診療美容整形を専門とする美容整形外科業界のうちに見出される、 患者の満足よりも病院の利益を優先する業態について説明する。なお後述するように包茎手術をおこなう医院やクリニックの全てが利益優先だったり悪徳商法だというわけではないが、その一部には国民生活センターなど公的機関が消費者に注意を発する事態にまでなっているケースも見出される。

これら美容整形外科では、マスコミやウェブサイトで、著名なタレントを起用した華々しい広告で信頼を与えて、「土日・祝祭日も診療(年中無休)」や「完全予約制」など時間的に自由が利くことや「契約ローンあり」(分割払いなど)といったような支払いの不安を和らげたり、あるいは「相談無料」などの羞恥心を和らげる宣伝コピーを謳うことによって男性患者が来院しやすいようにしている。また、これら業態の特徴として「包茎であることは不潔で恥ずかしいことだ」「包茎は一人前の男ではない」「包茎は女性に嫌われる」と位置付けて、真性包茎と本来手術の必要性の無い正常な陰茎を「仮性包茎」(後述)と呼び、コンプレックスを煽る宣伝活動が挙げられる。医療法69条、70条の中で病院の広告のガイドラインは規定されているが、この種の美容整形外科の広告は、関連して販売されるビデオCDなどの広告という形式(→バイブル商法)で新聞・雑誌に掲載されている。

その中には、保険治療の観点で生殖機能の面で必要のない(手術しなくても性交ができる)者に対して手術を勧めるために、不安を煽る情報を与える等の行為や、悪徳商法にみなされる一部の業態も国民生活センターや泌尿器科医師などから報告が挙がっている。

悪徳商法

こと悪徳商法の場合では、手術をしようとやってきた患者に対して不安を煽るような情報を与えたり、事前に示された金額以外に追加で様々なものが必要だと後から説明するなどの問題が出ている。このような悪徳商法では、事前に示された金額よりも遥かに多い金銭を要求されることから、国民生活センターにもトラブル報告が寄せられている[7]。 またこういった手術では、手術後の痛みを和らげるとしてコラーゲンヒアルロン酸を大量に注射するのを勧めたり、女性の歓喜を誘うとの触れ込みで「真珠(シリコンボール)埋め込み」「長茎手術」など元来不要な肉体改造を勧め、この施術の代金としてやはり高額な金額を請求された事例も聞かれる。これらの事例では、判断能力の弱い未成年者に対して保護者の承諾が無い形で手術を勧める場合、特に問題視されている。

これらでは高額のローンを組まされる事例も多く、熊本県消費生活センターの警告するところでは未成年者が広告に記載された料金の14倍・140万円にものぼる請求をされたという事例もみられる[8]。また北海道消費者センターが2008年8月に公表したところでは15万円・カウンセリング無料の広告にアルバイトで貯めた金を持って相談に訪れたところ、診察のはずがその場で手術しながら次々にクリニックの言いなりに決められてしまい、ローン金利を含め210万円にまでなったケースもあるという[9]。こういった100万円超というケースも特異な例ではなく、上に挙げた2004年の国民生活センター発表では相談事例(579件)の平均契約金額は101万円である。

本来の包茎手術との違い

亀頭包皮内板部が細菌感染等の理由により炎症を繰り返す場合や、排尿勃起射精といった陰茎の諸機能が損なわれている場合など、重篤な症状を治療するための手術は健康保険制度の適用範疇で泌尿器科にて治療が行われる。しかし排尿といった日常的機能や、勃起・射精などの生殖にかかわる機能に支障が無いにもかかわらず包皮を切除する場合は一般の医療行為と異なり、自由診療(いわゆる「美容目的」としての美容外科の範疇)となり、健康保険が適用されず高額な手術費用が必要となる。

勃起にも疼痛をともなう真性包茎の場合、健康保険適用の範囲の手術で、2006年の泌尿器科での治療では自己負担額は1~3万円程度とされるが、美容外科における手術費用は一般的なクリニックでも10~20万円程度だという。また後述する泌尿器科医の石川英二が指摘するところでは、全男性の1~2%とされる真性包茎の場合でも、米国において9割程度がステロイド剤塗布治療で一定の成果が上がっているという。(→ステロイド)。

包茎手術の問題

体質的にただれなどの皮膚障害の原因になっていたり、あるいは勃起障害につながっているなど、真に治療が必要な場合、マスコミで紹介されている美容外科外科以外でも美容形成的要素を考慮しなければ、健康保険が適用できる泌尿器科の診察と手術を受けることが可能である。

無暗に矯正することを問題視する医師もおり、陰茎の機能を損なう場合の治療や、割礼のような社会的理由によるものを除けば、劣等感のみを理由とする全ての包皮切除手術は、必ずしも必要性がないとする主張もみられる[10]。その状態が個人の価値観において劣等感の元になっているのであれば、隆鼻や二重瞼の施術のように美容整形的措置でその要因を肉体改造など矯正することはしばしば行われ、その可否に関する議論の一種ともいえるが、場所が特殊であるために、固有の問題もみいだされる。

神戸市の泌尿器科医である石川英二は著書『切ってはいけません! 日本人が知らない包茎の真実』において、日本人の8割以上が本来は「包茎(仮性・真性問わず)」であるとして、本来の包皮の機能を説明、コンプレックスの解消を目的とした包皮切除手術を問題視している。この中で包皮は、亀頭とは別の感覚体が多数存在し、性交における性感体の役割を果たしていることや、包皮は性交時に膣内を自由に動き、摩擦を軽減させる役割を果たすことが示されている。

こういった手術では勃起時の状態で外皮の弛み具合を調節するが、これは熟練を要する施術でもあるため、十分な弛み具合が確保されていないような手術の場合では、逆に勃起時に表皮が引っ張られ痛みが生じる場合もある。また手術方法如何では陰茎にはっきりとそれと判るような目立つ傷が残ることもあり、未熟な技術による手術では包茎を隠そうとしてより目立ってしまい劣等感の元になる可能性もある。また執刀医が泌尿器の分野において未熟である場合、審美的には一見、問題がなくとも血管や神経の保存/保全が不十分で勃起不全やいわゆる不感症となってしまうこともある。

包皮の扱いに関して

日本小児泌尿器科学会理事の中井秀郎は、通常新生児は全て真性包茎であるが、思春期になると勃起時には自然に皮がめくれるようになるとしている。乳幼児の段階で無理に剥いてしまうと怪我をする危険性がある上、これが治る過程で将来に渡って陰茎と包皮が癒着したり剥けにくくなる真性包茎になる可能性を指摘しており、幼児の段階では簡単に剥けないならそのまま包皮ごと洗って清潔に保つだけでも十分だとしている。

手術の適用範疇は上に述べたとおり、勃起時に皮が引き伸ばされ痛みが生じたり、或いは亀頭部分が感染症や包皮炎を起こしやすかったり常に清潔にせざるを得ない場合に限られる。なお性交の場合は、泌尿器科医一般の見解として、挿入の直前に入浴して局部をよく洗えば必要十分な清潔さは保てると考えられている。

備考

  1. ^ 小野江為則、小林博、菊池浩吉編著、18章生殖器18.2陰茎の病理(2)包茎、『病理学』、第二版、pp.480-481、理工学社。ISBN:4-8445-5126-4
  2. ^ ダイヤグラム・グループ(編)、池上千寿子根岸悦子(訳)、1976(原著), 1981(邦訳)、『マンズ・ボディー』、鎌倉書房 p. J07-10
  3. ^ WERNER SCHÖBERLEIN (1966年). “Bedeutung und Häufigkeit von Phimose und Smegma”. 2014年8月10日閲覧。 - Münchener Medizinische Wochenschrift 7. pages 373-377 (1966)
  4. ^ (Gairdnerら, 1949) - 五十嵐 (2011)
  5. ^ 五十嵐 (2011) p.490
  6. ^ 飛波玄馬ら 2000 『まちがいだらけの包茎知識』 p.87
  7. ^ 国民生活センター・美容医療にかかわる消費者被害の未然防止に向けて(PDF形式)
  8. ^ 熊本県消費生活センター・包茎手術被害について
  9. ^ 札幌市消費センター・包茎手術被害について
  10. ^ 包茎切らないで - 読売新聞 2006年3月27日(2006年4月12日時点のアーカイブ

関連項目

外部リンク