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'''思いやり予算'''(おもいやりよさん)とは、[[防衛省]]予算に計上されている「'''在日米軍駐留経費負担'''」の通称である。[[在日米軍]]の駐留経費における日本側の負担のうち、[[日米地位協定]]及び、在日米軍駐留経費負担特別協定<ref>正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」</ref>を根拠に支出されている。 |
'''思いやり予算'''(おもいやりよさん)とは、[[防衛省]]予算に計上されている「'''在日米軍駐留経費負担'''」の通称である。[[在日米軍]]の駐留経費における日本側の負担のうち、[[日米地位協定]]及び、在日米軍駐留経費負担特別協定<ref>正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」</ref>を根拠に支出されている。 |
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ニュースや討論番組など報道関係でしばしば「'''日本側負担駐留経費=思いやり予算'''」のように扱われることがあるが、後述のように「思いやり予算」とは在日米軍駐留経費の日本側負担のうちの全部ではなく一部を示すものであり、用語の意義としては誤用である。 |
ニュースや討論番組など報道関係でしばしば「'''日本側負担駐留経費=思いやり予算'''」のように扱われることがあるが、後述のように「思いやり予算」とは在日米軍駐留経費の日本側負担のうちの全部ではなく一部を示すものであり、用語の意義としては誤用である。韓国も思いやり予算と表現している<ref name=":0">http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/09/10/0200000000AJP20170910000900882.HTML</ref><ref>http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/11/09/0200000000AJP20171109001200882.HTML</ref>。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
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[[1978年]]([[昭和]]53年)6月<ref>[[西山太吉]]は1972年(昭和47年)から実施されていたと主張している。[[沖縄返還]]にあたって、新たに基地の移転や改修が日本側の負担とされ、そのうちの米軍施設改良工事費6500万ドルは、国会の承認を経ず防衛庁予算費目に含む形で5年間支払われたという。 田島康彦・清水勉 『秘密保全法批判-脅かされる知る権利』 日本評論社 2013年3月 p.162</ref>、時の[[防衛庁長官]]・[[金丸信]]が、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)を日本側が負担すると決めたことから始まる。[[日米地位協定]]の枠を超える |
[[1978年]]([[昭和]]53年)6月<ref>[[西山太吉]]は1972年(昭和47年)から実施されていたと主張している。[[沖縄返還]]にあたって、新たに基地の移転や改修が日本側の負担とされ、そのうちの米軍施設改良工事費6500万ドルは、国会の承認を経ず防衛庁予算費目に含む形で5年間支払われたという。 田島康彦・清水勉 『秘密保全法批判-脅かされる知る権利』 日本評論社 2013年3月 p.162</ref>、時の[[防衛庁長官]]・[[金丸信]]が、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)を日本側が負担すると決めたことから始まる。[[日米地位協定]]の枠を超える負担に対して、円高や多額の対米貿易黒字などによって日本が急激に経済成長する一方で、財政的な困難に直面し、日本が経済規模に対して軍事面の負担をしないことに不満を持った[[アメリカ合衆国]]の負担への特別措置を要請された金丸が、「思いやりの立場で対処すべき」などと導入したことから、'''思いやり予算'''と呼ばれるようになった。思いやり予算の内訳は、在日米軍基地職員の労務費、基地内の光熱費・水道費、訓練移転費、施設建設費などである<ref>[https://thepage.jp/detail/20151018-00000006-wordleaf 日米で交渉が難航している「思いやり予算」ってそもそも何?]</ref>。[[田原総一朗]]は冷戦時代にソ連の[[衛星国]]と複数の国境を接していた[[北大西洋条約機構]]で他の西欧諸国と連携して徴兵制の[[ドイツ連邦軍]]を持つ西ドイツに言及して、在日米軍が撤退して国防を単独でする場合には徴兵制の導入と日本の[[歳出]]を占める防衛費が約3倍以上にする必要になると述べている<ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171101-00010008-tokyofm-life 田原総一朗「日米安保条約と徴兵制度」を語る]</ref>。 |
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思いやり予算の内訳は、在日米軍基地職員の労務費、基地内の光熱費・水道費、訓練移転費、施設建設費などである。思いやり予算の開始当初から現在までに、日本が負担した駐留経費の総額は3兆円超に及び、年度あたりでも[[ドイツ]]や[[大韓民国]]など、他の同盟国と比較して圧倒的に額が多い。そのため、日本は「世界一気前のいい同盟国」と揶揄される。[[ブレジンスキー]]は日本を {{en|protectorate}} (保護領)と呼んだ。 |
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英語表記でも「{{lang|en|Omoiyari yosan}}」で通用するが、公式表記には「{{lang|en|Host Nation Support}}」(駐留国受け入れ支援、接受国支援、HNS)が当てられており、[[アメリカ合衆国連邦政府]]の高官などは「負担」をイメージさせる「思いやり予算」という呼び名を好まず、日本の戦略的「貢献」という側面を強調する発言をしばしば行っている。 |
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2011年1月21日、[[外務大臣 (日本)|外務大臣]][[前原誠司]]は「米軍が(日本に)駐留し、ある程度必要な経費を日本が負担することは、日本の安全保障、外交における戦略的な特別協定であるという観点から、もはや「思いやり予算」という言葉は適当ではないというのが、私(大臣)の思い」と述べ、今後は「ホスト・ネーション・サポート」を使用する考えを示し、マスコミ各社にも協力を呼び掛けた<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/m/press/kaiken/gaisho/2011/01/21-1.html 外務大臣会見記録]</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/today/news/20110122k0000m010028000c.html 前原外相:米軍への「思いやり予算」名称を変更] 毎日新聞 2011年1月21日</ref>。 |
2011年1月21日、[[外務大臣 (日本)|外務大臣]][[前原誠司]]は「米軍が(日本に)駐留し、ある程度必要な経費を日本が負担することは、日本の安全保障、外交における戦略的な特別協定であるという観点から、もはや「思いやり予算」という言葉は適当ではないというのが、私(大臣)の思い」と述べ、今後は「ホスト・ネーション・サポート」を使用する考えを示し、マスコミ各社にも協力を呼び掛けた<ref>[http://www.mofa.go.jp/mofaj/m/press/kaiken/gaisho/2011/01/21-1.html 外務大臣会見記録]</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/today/news/20110122k0000m010028000c.html 前原外相:米軍への「思いやり予算」名称を変更] 毎日新聞 2011年1月21日</ref>。 |
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が存在する<ref>[http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_keihi/keihi.html 在日米軍関係経費(平成26年度予算)]</ref>。2010年11月、「[[しんぶん赤旗]]」編集局が入手した「在沖縄米軍電話帳」で、[[キャンプ・フォスター]]の司令部内に“専門” “担当士官” “管理士官”がいる「思いやり予算」担当部署(HNSO)が設置されている事が判明した<ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-11-26/2010112601_04_1.html 在沖海兵隊部隊の全容判明 「思いやり予算」専門部存在 資料を本紙入手]</ref>。 |
が存在する<ref>[http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_keihi/keihi.html 在日米軍関係経費(平成26年度予算)]</ref>。2010年11月、「[[しんぶん赤旗]]」編集局が入手した「在沖縄米軍電話帳」で、[[キャンプ・フォスター]]の司令部内に“専門” “担当士官” “管理士官”がいる「思いやり予算」担当部署(HNSO)が設置されている事が判明した<ref>[http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-11-26/2010112601_04_1.html 在沖海兵隊部隊の全容判明 「思いやり予算」専門部存在 資料を本紙入手]</ref>。 |
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[[1990年代]]から、娯楽・保養施設、果ては日本人従業員に貸与される制服や備品までも思いやり予算で処理されている事が指摘され、近年にはさらなる「不適切な支出」が明らかとなり、見直すべきとの声が多く上がってきた<ref>[http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/140742/slideshow/77490/ 思いやり予算 バーテンダー・宴会マネジャー給与… 不適切な支出「続々」]</ref>。2008年度の予算について、野党であった民主党は「レジャー向けの職員の人件費まで日本が負担するのはおかしい」などとして反対した<ref>[http://www.news24.jp/articles/2008/04/02/04106398.html 「思いやり予算」に反対の方針 民主党]2008年4月2日 NEWS24</ref>。 |
[[1990年代]]から、娯楽・保養施設、果ては日本人従業員に貸与される制服や備品までも思いやり予算で処理されている事が指摘され、近年にはさらなる「不適切な支出」が明らかとなり、見直すべきとの声が多く上がってきた<ref>[http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/140742/slideshow/77490/ 思いやり予算 バーテンダー・宴会マネジャー給与… 不適切な支出「続々」]</ref>。2008年度の予算について、野党であった民主党は「レジャー向けの職員の人件費まで日本が負担するのはおかしい」などとして反対した<ref>[http://www.news24.jp/articles/2008/04/02/04106398.html 「思いやり予算」に反対の方針 民主党]2008年4月2日 NEWS24</ref>。予算総額は1999年(平成11年)の2,756億円が頂点となったあと総額の減少が続いており、2010年(平成22年)には1,881億円となっていた。しかし同年、民主党の[[菅直人]]政権は、以後5年に渡って前年度水準を維持することでアメリカ政府と合意した<ref>[http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_156135 思いやり予算、総額維持=協定5年に延長―日米が合意]2010年12月3日 The Wall Street Journal</ref>。上記の合意を受け、2011年(平成23年)1月21日午前に、[[前原誠司]]外務大臣と[[ジョン・ルース]]駐日アメリカ大使は外務省で会い、2011年度以降の「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」に署名した。 |
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予算総額は1999年(平成11年)の2,756億円が頂点となったあと総額の減少が続いており、2010年(平成22年)には1,881億円となっていた。しかし同年、民主党の[[菅直人]]政権は、以後5年に渡って前年度水準を維持することでアメリカ政府と合意した<ref>[http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_156135 思いやり予算、総額維持=協定5年に延長―日米が合意]2010年12月3日 The Wall Street Journal</ref>。 |
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上記の合意を受け、2011年(平成23年)1月21日午前に、[[前原誠司]]外務大臣と[[ジョン・ルース]]駐日アメリカ大使は外務省で会い、2011年度以降の「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」に署名した。 |
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[[東日本大震災]]の後の[[トモダチ作戦]] |
[[東日本大震災]]の後の[[トモダチ作戦]]の影響もあり、2011年(平成23年)3月31日には、民主、自民などの賛成多数で、「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」が国会で可決・批准された。これによって、有効期限は従来の3年から5年に延長され、今後5年間、日本は米軍に現行水準(2010年度予算で1881億円)を支払い続けることが決定した。 |
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正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」。 |
正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」。 |
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== 集団安全保障国家 == |
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== その他 == |
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* 日本と同じく連合国軍(アメリカ軍や[[ソビエト連邦]]軍)が[[第二次世界大戦後]]も駐留していた旧[[西ドイツ]]・[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]、[[イタリア]]においても、同様に在独米軍や在伊米軍などアメリカを中心とした米欧加の[[集団安全保障]]組織であるNATO傘下の軍や在独ソ連軍など[[ワルシャワ条約機構]]傘下に対する「思いやり予算」が存在している。NATO加盟国は2014年、国防費を2024年までに各国の国内総生産(GDP)の2%以上にすることで合意していたが、2017年時点で基準達成しているのは米国と英国、ポーランド、ギリシャ、エストニアの5カ国だけだったためアメリカは側は不満を表明した<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201702/CK2017022102000233.html 「NATO各国は国防費の増額を」 米副大統領、事務総長に促す]</ref>。2016年にNATOの[[イェンス・ストルテンベルグ]]事務総長は29ヵ国の加盟国に対し米軍駐留費負担の増額を呼びかけている。ストルテンベルグ事務局長は英国の[[テリーザ・メイ]]首相との会談後の記者会見で、「欧州加盟国が駐留経費を増やせば、米国はもっとNATOに貢献するだろう。欧州で駐留経費を増やすことは、大西洋沿岸国家のきずなや米国と欧州の公平な負担のために重要だ」と強調し、トルコで開かれたNATO首脳会議でも、「トランプ氏が欧州加盟国の駐留経費増額の重要性を指摘したが、同時にNATOと欧州の安全保障に対するトランプ氏の強力な支持を確認した」と語っている<ref>[http://japanese.donga.com/List/3/03/27/788756/1 NATO事務総長、「米国との同盟のために」と欧州の米軍駐留経費増額を呼びかけ]</ref>。2017年に全加盟国が前年度の防衛費の4.3%増加を決定している<ref>[https://jp.reuters.com/article/nato-defence-idJPKBN19J14H NATO加盟の欧州諸国とカナダ、2017年防衛費を4.3%増額へ]</ref>。 |
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* [[1932年]]締結の[[日満議定書]]に思いやり予算と似た趣旨の項目がある。 |
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* 日本と同じく連合国軍(アメリカ軍や[[ソビエト連邦]]軍)が[[第二次世界大戦後]]も駐留していた旧[[西ドイツ]]・[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]、[[イタリア]]においても、同様に在独米軍、在独ソ連軍、在伊米軍に対する「思いやり予算」が存在していた。 |
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* [[日本共産党]]は思いやり予算の廃止を主張している<ref>2011年4月28日の衆議院本会議における[[穀田恵二]]共産党国対委員長の演説</ref>。[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]は、[[2009年]][[第45回衆議院議員総選挙]]の[[マニフェスト]]で思いやり予算の廃止を主張<ref>[http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto02_01.htm 社民党OfficialWeb政策衆議院選挙公約2009「マニフェスト」ダイジェスト版]</ref>、その後2011年の予算編成において思いやり予算の削減を主張していた。 |
* [[日本共産党]]は思いやり予算の廃止を主張している<ref>2011年4月28日の衆議院本会議における[[穀田恵二]]共産党国対委員長の演説</ref>。[[社会民主党 (日本 1996-)|社会民主党]]は、[[2009年]][[第45回衆議院議員総選挙]]の[[マニフェスト]]で思いやり予算の廃止を主張<ref>[http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/manifesto02_01.htm 社民党OfficialWeb政策衆議院選挙公約2009「マニフェスト」ダイジェスト版]</ref>、その後2011年の予算編成において思いやり予算の削減を主張していた。 |
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* [[池田信夫]]はアメリカ軍に日本の安全保障を委託するのが嫌だというなら、[[日本社会党]]・冷戦時の左派のような非現実な[[非武装中立]]ではなく日本が委託している理由である自国の軍隊の存在を認めない現行の憲法を改正して軍備も増強し、アメリカの[[核の傘]]に頼らずに日本独自の核武装することには賛成するのかと指摘している<ref>https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171018-00010000-agora-pol</ref>。 |
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* 韓国は在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定に基づき、1991年からは経費の一部の1073億ウォンを韓国側が負担したのが始まりである。両国は91年から計9回特別協定を結んでいる。9回目の毎年2年前の消費者物価指数の上昇率を反映することにしている協定によって、2014年基準で在韓米軍駐留費用の韓国側の負担が約半額の9200億ウォンである<ref name=":0" />。韓国政府はアメリカがNATO加盟国に求めている国内総生産比2%以上の国防予算を韓国は2015年基準でGDP比2.35%を支出していることや徴兵制で他の同盟・集団安全保障国以上に同盟に貢献していることを強調している<ref name=":0" /><ref name=":1">[http://japan.hani.co.kr/arti/politics/25643.html 「韓国、在韓米軍の駐留費用の70%を負担」]</ref>。2016年時点で駐留費の70%に当たる9441億ウォンを支出している。韓国国会予算政策処の2013年に韓国の分担金支援規模が一位だと判明している<ref name=":1" />。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2017年11月24日 (金) 12:39時点における版
思いやり予算(おもいやりよさん)とは、防衛省予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称である。在日米軍の駐留経費における日本側の負担のうち、日米地位協定及び、在日米軍駐留経費負担特別協定[1]を根拠に支出されている。
ニュースや討論番組など報道関係でしばしば「日本側負担駐留経費=思いやり予算」のように扱われることがあるが、後述のように「思いやり予算」とは在日米軍駐留経費の日本側負担のうちの全部ではなく一部を示すものであり、用語の意義としては誤用である。韓国も思いやり予算と表現している[2][3]。
概要
1978年(昭和53年)6月[4]、時の防衛庁長官・金丸信が、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)を日本側が負担すると決めたことから始まる。日米地位協定の枠を超える負担に対して、円高や多額の対米貿易黒字などによって日本が急激に経済成長する一方で、財政的な困難に直面し、日本が経済規模に対して軍事面の負担をしないことに不満を持ったアメリカ合衆国の負担への特別措置を要請された金丸が、「思いやりの立場で対処すべき」などと導入したことから、思いやり予算と呼ばれるようになった。思いやり予算の内訳は、在日米軍基地職員の労務費、基地内の光熱費・水道費、訓練移転費、施設建設費などである[5]。田原総一朗は冷戦時代にソ連の衛星国と複数の国境を接していた北大西洋条約機構で他の西欧諸国と連携して徴兵制のドイツ連邦軍を持つ西ドイツに言及して、在日米軍が撤退して国防を単独でする場合には徴兵制の導入と日本の歳出を占める防衛費が約3倍以上にする必要になると述べている[6]。
2011年1月21日、外務大臣前原誠司は「米軍が(日本に)駐留し、ある程度必要な経費を日本が負担することは、日本の安全保障、外交における戦略的な特別協定であるという観点から、もはや「思いやり予算」という言葉は適当ではないというのが、私(大臣)の思い」と述べ、今後は「ホスト・ネーション・サポート」を使用する考えを示し、マスコミ各社にも協力を呼び掛けた[7][8]。
そして、「思いやり予算」以外にも、日本が拠出している在日米軍関連経費は存在する。防衛省公式サイトの「在日米軍関係経費(平成26年度予算)」によれば、平成26年度の在日米軍関連経費の内訳のうち、いわゆる「思いやり予算」は1,848億円であるが、それとは別に、
- 基地周辺対策費・施設の借料など 1,808億円
- 沖縄に関する特別行動委員会(SACO)[9]関係費 120億円
- 米軍再編関係費 890億円
- 提供普通財産上試算(土地の賃料) 1,660億円(防衛省の予算外、25年度資産)
- 基地交付金 384億円(防衛省の予算外、25年度予算)
が存在する[10]。2010年11月、「しんぶん赤旗」編集局が入手した「在沖縄米軍電話帳」で、キャンプ・フォスターの司令部内に“専門” “担当士官” “管理士官”がいる「思いやり予算」担当部署(HNSO)が設置されている事が判明した[11]。
1990年代から、娯楽・保養施設、果ては日本人従業員に貸与される制服や備品までも思いやり予算で処理されている事が指摘され、近年にはさらなる「不適切な支出」が明らかとなり、見直すべきとの声が多く上がってきた[12]。2008年度の予算について、野党であった民主党は「レジャー向けの職員の人件費まで日本が負担するのはおかしい」などとして反対した[13]。予算総額は1999年(平成11年)の2,756億円が頂点となったあと総額の減少が続いており、2010年(平成22年)には1,881億円となっていた。しかし同年、民主党の菅直人政権は、以後5年に渡って前年度水準を維持することでアメリカ政府と合意した[14]。上記の合意を受け、2011年(平成23年)1月21日午前に、前原誠司外務大臣とジョン・ルース駐日アメリカ大使は外務省で会い、2011年度以降の「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」に署名した。
東日本大震災の後のトモダチ作戦の影響もあり、2011年(平成23年)3月31日には、民主、自民などの賛成多数で、「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」が国会で可決・批准された。これによって、有効期限は従来の3年から5年に延長され、今後5年間、日本は米軍に現行水準(2010年度予算で1881億円)を支払い続けることが決定した。
正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」。
(億円) | |
---|---|
1978年 | 62
|
1979年 | 280
|
1980年 | 374
|
1985年 | 807
|
1990年 | 1,680
|
1995年 | 2,714
|
2000年 | 2,755
|
2005年 | 2,378
|
2010年 | 1,881
|
2015年 | 1,899
|
歴史
- 1978年 - 在日米軍基地日本人労働者の福利厚生費の一部を負担開始。
- 1979年 - 同労働者の給与の一部を負担開始。提供施設の整備が始まる。
- 1987年 - 在日米軍駐留経費負担特別協定を締結。在日米軍基地日本人労働者の手当の負担開始。
- 1991年 - 在日米軍基地日本人労働者の基本給の負担開始。(上限人数制限有)在日米軍施設の光熱費の負担開始。
- 1996年 - 在日米軍訓練移転費用の負担開始。
- 2001年 - 日本側が基本給を負担する在日米軍基地日本人労働者の上限人数の引き下げで合意。
- 2006年 - 期間を2年間に短縮した在日米軍駐留経費負担特別協定の新協定(以下「新特別協定」)を締結[16]。
- 2008年 - 「新特別協定」の3年間延長案が、いわゆる「ねじれ国会」のため、参議院外交防衛委員会で初めて否決。(最終的には、条約に関する衆議院の優越規定(日本国憲法第61条)により可決。)
- 2011年 - 5年間を効力とする内容で菅内閣が新たに合意、「在日米軍駐留経費の日本側負担に関する特別協定」締結。
- 2016年 - 締結(略称「在日米軍駐留経費負担に係る特別協定」)。
各国の負担比率
各国の駐留米軍経費負担率(2002年)は以下の通りである。
国家 | 経費負担率 | 金額 |
---|---|---|
日本 | 74.5% | 44億1134万ドル |
サウジアラビア | 64.8% | 5,338万ドル |
カタール | 61.2% | 8,126万ドル |
ルクセンブルク | 60.3% | 1,925万ドル |
クウェート | 58.0% | 2億5,298万ドル |
イタリア | 41.0% | 3億6,655万ドル |
韓国 | 40.0% | 8億4,311万ドル |
ドイツ | 32.6% | 15億6,392万ドル |
集団安全保障国家
- 日本と同じく連合国軍(アメリカ軍やソビエト連邦軍)が第二次世界大戦後も駐留していた旧西ドイツ・東ドイツ、イタリアにおいても、同様に在独米軍や在伊米軍などアメリカを中心とした米欧加の集団安全保障組織であるNATO傘下の軍や在独ソ連軍などワルシャワ条約機構傘下に対する「思いやり予算」が存在している。NATO加盟国は2014年、国防費を2024年までに各国の国内総生産(GDP)の2%以上にすることで合意していたが、2017年時点で基準達成しているのは米国と英国、ポーランド、ギリシャ、エストニアの5カ国だけだったためアメリカは側は不満を表明した[17]。2016年にNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は29ヵ国の加盟国に対し米軍駐留費負担の増額を呼びかけている。ストルテンベルグ事務局長は英国のテリーザ・メイ首相との会談後の記者会見で、「欧州加盟国が駐留経費を増やせば、米国はもっとNATOに貢献するだろう。欧州で駐留経費を増やすことは、大西洋沿岸国家のきずなや米国と欧州の公平な負担のために重要だ」と強調し、トルコで開かれたNATO首脳会議でも、「トランプ氏が欧州加盟国の駐留経費増額の重要性を指摘したが、同時にNATOと欧州の安全保障に対するトランプ氏の強力な支持を確認した」と語っている[18]。2017年に全加盟国が前年度の防衛費の4.3%増加を決定している[19]。
- 日本共産党は思いやり予算の廃止を主張している[20]。社会民主党は、2009年第45回衆議院議員総選挙のマニフェストで思いやり予算の廃止を主張[21]、その後2011年の予算編成において思いやり予算の削減を主張していた。
- 池田信夫はアメリカ軍に日本の安全保障を委託するのが嫌だというなら、日本社会党・冷戦時の左派のような非現実な非武装中立ではなく日本が委託している理由である自国の軍隊の存在を認めない現行の憲法を改正して軍備も増強し、アメリカの核の傘に頼らずに日本独自の核武装することには賛成するのかと指摘している[22]。
- 韓国は在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定に基づき、1991年からは経費の一部の1073億ウォンを韓国側が負担したのが始まりである。両国は91年から計9回特別協定を結んでいる。9回目の毎年2年前の消費者物価指数の上昇率を反映することにしている協定によって、2014年基準で在韓米軍駐留費用の韓国側の負担が約半額の9200億ウォンである[2]。韓国政府はアメリカがNATO加盟国に求めている国内総生産比2%以上の国防予算を韓国は2015年基準でGDP比2.35%を支出していることや徴兵制で他の同盟・集団安全保障国以上に同盟に貢献していることを強調している[2][23]。2016年時点で駐留費の70%に当たる9441億ウォンを支出している。韓国国会予算政策処の2013年に韓国の分担金支援規模が一位だと判明している[23]。
脚注
- ^ 正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」
- ^ a b c http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/09/10/0200000000AJP20170910000900882.HTML
- ^ http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2017/11/09/0200000000AJP20171109001200882.HTML
- ^ 西山太吉は1972年(昭和47年)から実施されていたと主張している。沖縄返還にあたって、新たに基地の移転や改修が日本側の負担とされ、そのうちの米軍施設改良工事費6500万ドルは、国会の承認を経ず防衛庁予算費目に含む形で5年間支払われたという。 田島康彦・清水勉 『秘密保全法批判-脅かされる知る権利』 日本評論社 2013年3月 p.162
- ^ 日米で交渉が難航している「思いやり予算」ってそもそも何?
- ^ 田原総一朗「日米安保条約と徴兵制度」を語る
- ^ 外務大臣会見記録
- ^ 前原外相:米軍への「思いやり予算」名称を変更 毎日新聞 2011年1月21日
- ^ 1995年設置、1996年12月に最終報告をまとめて答申、解散
- ^ 在日米軍関係経費(平成26年度予算)
- ^ 在沖海兵隊部隊の全容判明 「思いやり予算」専門部存在 資料を本紙入手
- ^ 思いやり予算 バーテンダー・宴会マネジャー給与… 不適切な支出「続々」
- ^ 「思いやり予算」に反対の方針 民主党2008年4月2日 NEWS24
- ^ 思いやり予算、総額維持=協定5年に延長―日米が合意2010年12月3日 The Wall Street Journal
- ^ 金額は歳出ベース合計。防衛省、「在日米軍駐留経費負担」、『防衛省の取組 在日米軍に関する諸施策』、(2016年2月28日取得、http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_keihi/index.html , http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_keihi/suii_img.pdf )。
- ^ 在日米軍駐留経費負担特別協定の署名について - 外務省プレスリリース
- ^ 「NATO各国は国防費の増額を」 米副大統領、事務総長に促す
- ^ NATO事務総長、「米国との同盟のために」と欧州の米軍駐留経費増額を呼びかけ
- ^ NATO加盟の欧州諸国とカナダ、2017年防衛費を4.3%増額へ
- ^ 2011年4月28日の衆議院本会議における穀田恵二共産党国対委員長の演説
- ^ 社民党OfficialWeb政策衆議院選挙公約2009「マニフェスト」ダイジェスト版
- ^ https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171018-00010000-agora-pol
- ^ a b 「韓国、在韓米軍の駐留費用の70%を負担」
関連項目
外部リンク
- 在日米軍駐留経費負担について(防衛省)
- 在日米軍の駐留にかかわる経費の負担など 平成19年度版防衛白書(同上)
- 検索キーワード/思いやり予算(しんぶん赤旗)