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「Rance -光をもとめて-」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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タグ: 2017年版ソースエディター
予告通り、4つの文献を基に加筆・出典明記。『Rance -光を求めて-』の発売日は2つの文献で記述されていた日付へと修正しました。また、アニメ作品のスタッフ節や「パッケージの表紙を飾るトマト・ピューレは~」のくだり等は現状出典を伴わず些細な事柄として除去しました。その他、独自研究的な文章も編集除去し、適宜{{要出典}}を添付しています。#開発節は出典に記載されていないことが紛れ込んでいたので改稿しました
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{{美少女ゲーム系
{{美少女ゲーム系
| タイトル = Rance -光を求めて
| タイトル = Rance -光を求めて
| 対応機種 = オリジナル:[[PC-8800シリーズ]]、[[PC-9800シリーズ]]、[[X68000]]、[[FM TOWNS]]、[[MSX]]<br />[[ALICEの館4・5・6]]収録版:Windows
| 対応機種 = オリジナル:[[PC-8800シリーズ|PC-8800SR]]{{r|chronicle}}、[[PC-9800シリーズ|PC-9801VM]]{{r|chronicle}}、[[X68000]]{{r|chronicle}}、[[FM TOWNS]]{{r|chronicle}}、[[MSX]]{{r|chronicle}}<br />[[ALICEの館4・5・6]]収録版:[[Windows]]
| 発売元 = アリスソフト
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| 備考 = パッケージ版は限定販売
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『'''Rance -光を求めて-'''』は、[[1989年]][[7月15日]]に発売されたアダルトゲームであり、ランスシリーズ第1作であと同時にアリスソフトブランドのデビュー作でもある。当初は『クレセントムーンがぁる』も加えた3本同時発売の予定であったが、『Intruder』と2本同時に発売された。現在はアリスソフトの「配布フリー宣言」対象ソフトであり、ストーリーをまとめたダイジェスト版も配布されている。
『'''Rance -光を求めて-'''』(ランス ひかりをもとめて)は、日本のゲームブランド・[[アリスソフト]]より[[1989年]][[8月15日]]に発売されたアダルトゲームである{{r|chronicle|miyamoto69}}。[[Rance|Ranceシリーズ]]の第1作であり、ゲーム『Intruder』と同じくして発売されたアリスソフトのデビュー作でもある{{r|miyamoto70|taizen}}。現在はアリスソフトの「配布フリー宣言」対象ソフトであり{{r|chronicle}}、ストーリーをまとめたダイジェスト版も配布されている。

1997年12月に発売されたWindows用ソフト『[[ALICEの館4・5・6]]』には、本作の移植版が収録されているほか、2013年9月27日にはリメイク版である『'''ランス01 光をもとめて'''』が発売された。
また、リメイク版を元にアニメ化したOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』が発売されたほか、リメイク版のコミカライズとして夕霧による24ページの読み切り版がコミックメガストアα 2014年3月号に掲載された。
1997年12月に発売された[[Windows]]用ソフト『[[ALICEの館4・5・6]]』には本作の移植版が収録されたほか{{要出典|date=2020-01}}、アリスソフトの母会社である[[チャンピオンソフト]]の設立から30周年となる{{r|miyamoto291}}2013年の9月27日にはリメイク版である『'''ランス01 光をもとめて'''』が同じくWindows向けに発売された{{r|chronicle}}。また、リメイク版を元にアニメ化したOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』が発売されたほか、リメイク版のコミカライズとして夕霧による24ページの読み切り版が『[[メガストア|コミックメガストアα]]』の2014年3月号に掲載された。


== あらすじ ==
== あらすじ ==
鬼畜戦士の異名を持つ{{r|chronicle}}ランスは、行方不明となってしまった名家のお嬢様・ヒカリ{{r|pcangel102}}を捜す依頼を受けた{{r|chronicle}}。そこで彼は相棒であり{{r|pcangel102}}奴隷の{{r|chronicle|pcangel102}}シィルをヒカリが通っていたパリス学園に侵入させ、魔法による読心術で調査を開始する{{r|pcangel102}}。ランス自身もリーザス王国内に乗り込み{{r|chronicle}}、通行手形を手に入れることで街の中心に所在するリーザス城への潜入に成功するが、城内で開催されていたコロシアムに出場することになる{{r|pcangel102}}。結果的に大会での優勝を勝ち取ったランスだが、そこに同席していた王女・リアに指輪の捜索を依頼される{{r|pcangel102}}。ランスは幽霊の女の子・ラベンダーがその持ち主であることを突き止めるが、彼女の話を聞いてリア王女が諸悪の根源であることを知る{{r|pcangel102}}。情報を得たランスはヒカリの所在にもリア王女が関わっていると考え、彼女を糾弾するため城へと向かい{{r|pcangel102}}お仕置きとばかりに彼女の貞操を奪う{{r|pcangel103}}。
鬼畜戦士の異名を持つランスは、行方不明のリーザスの名家のお嬢様・ヒカリを捜す依頼を受けた。彼の相棒シィルは学生としてパリス学園に侵入するが、調査を妨害する忍者と出くわす。


== システム ==
== システム ==
美少女ゲーム誌上では、本作のシステムについて様々な見解が掲示されている。まず、雑誌『[[PC Angel neo|PC ANGEL]]』の増刊『美少女ゲーム傑作選』{{r|pcangel102}}やパソコンゲーム誌の編集者を務めた経験のある前田尋之{{r|chronicle}}によれば、本作はコマンド選択形式の[[アドベンチャーゲーム]] (AVG) とダンジョン探索などを行う[[ロールプレイングゲーム]] (RPG) の要素が共存するとされている。前者ではシステム自体はRanceシリーズの歴代作品と類似しているが、主人公を育成するなどの RPG 的な要素には乏しいとしているが{{r|pcangel102}}、前田は本作のシステム自体は AVG であるものの、RPG に見せかけるような工夫が凝らされているとした{{r|chronicle}}。そのほか『エロゲー文化研究概論』を著した宮本直毅も「ファンタジーAVG兼RPG」と表現し{{r|miyamoto70}}、歴代の美少女ゲームに関する批評を収集した『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』に掲載されたライター・はまぐちしんたろうのレビューでは「クエスト型RPG」と形容されている{{r|taizen}}。システムに関しては、開発側も[[#開発|後述]]の通り、AVGのシステムを利用してRPG風に作り上げたと言及している<ref name="denfami20190801-1"/>。
本作は[[アドベンチャーゲーム|AVG]]+[[ロールプレイングゲーム|RPG]]という形ではあったものの、RPG要素は少ない。移動は全てコマンドで行い、戦闘は一対一で行われる。他のRPGの要素としてはお金を貯めてヒントを買うことが出来ることなどがある。また、 本作ではランスはシィルとHすることにより魔法を使うことが出来るようになっている。

リメイク版のシステムは、コマンド選択型[[アドベンチャーゲーム|AVG]]と[[ロールプレイングゲーム|RPG]]を組み合わせたものとなっており、戦闘シーンでは冒険で手に入れた武器や防具、アイテムや仲間キャラクターなどの「チップ」を選び敵と戦う独特なものとなっている。
リメイク版前作の構成要素全てが強化され{{r|chronicle}}、コマンド選択型[[アドベンチャーゲーム|AVG]]と[[ロールプレイングゲーム|RPG]]を組み合わせたものとなっている。戦闘シーンでは冒険で手に入れた武器や防具、アイテムや仲間キャラクターなどの「チップ」を選び敵と戦う独特なものとなっている。


== 登場人物 ==
== 登場人物 ==
{{Main|Ranceシリーズの登場人物}}
{{Main|Ranceシリーズの登場人物}}
声優はOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』での配役である
声優はOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』での配役である
;ランス
;ランス
:声 - 由嘉鈍<ref name="TGSmart20141209"/>
:声 - 由嘉鈍<ref name="TGSmart20141209"/>
;シィル・プライン
;シィル・プライン
:声 - 高橋さや
:声 - 高橋さや
:魔法処理によってランスの奴隷とされている{{r|pcangel102}}魔法使い{{r|pcangel103}}。本作ではRanceシリーズの歴代作品とは違い、主人公・ランスは奴隷であるシィルと同伴して行動を行うことは無いが、シィルの元を訪れることで魔法の会得や体力の回復などが可能になっていた{{r|pcangel102}}。
:ランスの従者である魔法使い。
;堀川奈美
;堀川奈美
:声 - 黒井音瑚
:声 - 黒井音瑚
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;ヒカリ・ミ・ブラン
;ヒカリ・ミ・ブラン
:声 - [[星咲イリア]]
:声 - [[星咲イリア]]
:大富豪である{{r|pcangel103}}ブラン家の次女{{r|taizen}}。
;ラベンダー
;ラベンダー
:声 - [[雪村とあ]]
:声 - [[雪村とあ]]
:リア王女による責め苦の末、自殺してしまい幽霊となった女の子{{r|taizen|pcangel103}}。
;キース・ゴール
;キース・ゴール
:声 - 雨戸武治
:声 - 雨戸武治
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:声 - 戸塚和也
:声 - 戸塚和也
;ライハルト
;ライハルト
:声 - 浪速辰
:声 - 浪速辰


== 開発 ==
== 開発 ==
チャンピオンソフトに勤めていた本作の開発者のTADAは、会社の経営が傾きかけていたところでエロゲーの制作を提案し、会社内で新ブランド・アリスソフトを立ち上げた<ref name="denfami20190801-1"/>。本作を含め『Intruder』・『クレセントムーンがぁる』と3作品が同時並行で制作されたが、TADAの好みからファンタジックな世界を舞台として制作されたのが本作『Rance -光を求めて-』に当たる<ref name="denfami20190801-1"/>。当時のアリスソフトではRPGを制作する環境が整っていなかったが、本作はAVGを無理やり改変することによってRPG風に仕立て上げ、プログラミング言語[[BASIC]]を用いて制作された<ref name="denfami20190801-1"/>。TADAは作品の出来について、「チャンピオンソフトでの経験はあったんですが、いま思うと「よくあれを発売したなあ」というレベルでしたね。(中略)学生時代に作れなかった同人ソフトを社会に出てから作ったようなものですね。」と2019年に行われたインタビューの中で振り返っており、Ranceシリーズ作品に「アリスの館」という制作者のコメントコーナーを設けたのも、チャンピオンソフト時代に発売したディスクマガジンのノリだったと話している<ref name="denfami20190801-1"/>。
本作は、RPG調のファンタジーAVGとして企画されたものの、元々アリスソフトにはRPGの開発環境が無く、経験値を計算するためのプログラムなどを用意することが出来なかった。このため、レベル屋(後のレベル神)といったシステム面での工夫により、無理矢理RPGとしての体裁を整えた。
TADAは作品の出来について、「チャンピオンソフトでの経験はあったんですが、いま思うと「よくあれを発売したなあ」というレベルでしたね。(中略)学生時代に作れなかった同人ソフトを社会に出てから作ったようなものですね。」2019年の電ファミニコゲーマーとのインタビューの中で振り返っており、「アリスの館」という制作者のコメントコーナーを入れたのも、チャンピオンソフト時代に発売したディスクマガジンのノリだったと話している<ref name="denfami20190801-1"/>。


=== セッティング ===
=== セッティング ===
TADAは様々なRPGをプレイする中で、主人公が得た力を世界や人々のために使う点に疑問を抱き、普通はまず手に入れたすごい力を自分のために使うだろうという考えから、ランスという傍若無人でスケベな主人公を作り上げた<ref name="denfami20190607"/>。当初、TADAは相棒のシィルを「勇敢で元気な魔法使い」として設定していたが、グラフィッカーのYUKIMIの提案により、奴隷という設定が追加された<ref name="denfami20190607"/>。さらに、TADAはスライムやエルフといったファンタジー作品によく出てくる種族をそのまま登場させるのではなく、ハニーやカラーといったオリジナルの種族に置き換えた<ref name="denfami20190607">{{Cite web|title=平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡|url=https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190607e|website=電ファミニコゲーマー|accessdate=2019-06-12|language=ja|date=2019年6月7日|author=福山幸司}}</ref>。のちにこれらの工夫はランスシリーズでの特色と成っていった
TADAは様々なRPGをプレイする中で、主人公が得た力を世界や人々のために使う点に疑問を抱き、普通はまず手に入れたすごい力を自分のために使うだろうという考えから、ランスという傍若無人でスケベな主人公を作り上げた<ref name="denfami20190607"/>。当初、TADAは相棒のシィルを「勇敢で元気な魔法使い」として設定していたが、グラフィッカーのYUKIMIの提案により、奴隷という設定が追加された<ref name="denfami20190607"/>。さらに、TADAはスライムやエルフといったファンタジー作品によく出てくる種族をそのまま登場させるのではなく、ハニーやカラーといったオリジナルの種族に置き換えた<ref name="denfami20190607">{{Cite web|title=平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡|url=https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190607e|website=電ファミニコゲーマー|accessdate=2019-06-12|language=ja|date=2019年6月7日|author=福山幸司}}</ref>。

パッケージの表紙を飾るトマト・ピューレは本編には全く出てこないものの、続編の『ランス2』に薬屋として登場。『ランス・クエスト』ではパッケージで描かれた衣装で登場し、パーティキャラクターになる。
=== リメイク ===
=== リメイク ===
初期作品を遊びたいファンがいると考えたTADAは、オリジナル版を試しにプレイしたところ、あまりの古さと恥ずかしさにそのままでは出せないと判断し、リメイクを考えた<ref name="denfami20190801-2"/>。TADAが社内で募集をかけたところ、『[[大帝国]]』の開発に参加したいってんちろくと、『闘神都市III』などににサブ原画として参加した[[魚介 (イラストレーター)|魚介]]が手を挙げた<ref name="denfami20190801-2">{{Cite web|title=【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(2ページ目)|url=https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a/2|website=電ファミニコゲーマー|date=2019-08-01|accessdate=2019-08-04|author=今俊郎,黛宏和}}</ref>。
初期作品を遊びたいファンがいると考えたTADAは、オリジナル版を試しにプレイしたところ、あまりの古さと恥ずかしさにそのままでは出せないと判断し、リメイクを考えた<ref name="denfami20190801-2"/>。TADAが社内で募集をかけたところ、『[[大帝国]]』の開発に参加したいってんちろくと、『闘神都市III』などににサブ原画として参加した[[魚介 (イラストレーター)|魚介]]が手を挙げた<ref name="denfami20190801-2">{{Cite web|title=【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(2ページ目)|url=https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a/2|website=電ファミニコゲーマー|date=2019-08-01|accessdate=2019-08-04|author=今俊郎,黛宏和}}</ref>。


== OVA ==
== OVA ==
リメイク版のOVA化作品である『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』は、2014年から2019年にかけてDVDび全話収録のBlu-ray Disc、ゴールドディスクが発売された。ダウンロード版は単品動画として配信されている。
リメイク版のOVA化作品である『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』は、2014年から2019年にかけてDVDおよび全話収録のBlu-ray Disc、ゴールドディスクが発売された。ダウンロード版は単品動画として配信されている。


=== 制作 ===
=== 制作 ===
OVA版『ランス01』は、ピンクパイナップルのプロデュースの、[[アニメーションスタジオ・セブン]]による制作が行われた<ref name="TGSmart20141209"/>。
OVA版『ランス01』は、ピンクパイナップルのプロデュースのもと、[[アニメーションスタジオ・セブン]]による制作が行われた<ref name="TGSmart20141209"/>。同社の『恋騎士 PurelyKiss』などで知られる西川貴史は、ピンクパイナップルのプロデューサーである吉田小陰により、本作の監督に指名された<ref name="TGSmart20141209"/>。
同社の『恋騎士 PurelyKiss』などで知られる西川貴史は、ピンクパイナップルのプロデューサーである吉田小陰により、本作の監督に指名された<ref name="TGSmart20141209"/>。


通常、アニメ化の企画時にイラストを原作者側へ提出する際、原作の絵をトレースしたようなイラストがつけられるが、西川は劇中の場面を想定した[[絵コンテ|イメージボード]]をアリスソフト側に提出した<ref name="TGSmart20141209"/>。これにより、アリスソフト側に西川のイメージがスムーズに伝わり、最終的に映像化の許諾を得られた<ref name="TGSmart20141209"/>。
通常、アニメ化の企画時にイラストを原作者側へ提出する際、原作の絵をトレースしたようなイラストがつけられるが、西川は劇中の場面を想定した[[絵コンテ|イメージボード]]をアリスソフト側に提出した<ref name="TGSmart20141209"/>。これにより、アリスソフト側に西川のイメージがスムーズに伝わり、最終的に映像化の許諾を得られた<ref name="TGSmart20141209"/>。
演出上の基準となるものを用意するという西川の考えにより、脚本作成後の絵コンテは、西川と親しい漫画家の堤抄子が担当した<ref name="TGSmart20141210">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=4098|title=【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【後編】|accessdate=2019-07-07|publisher=|date=2014-12-10|website=TG Smart}}</ref>。
演出上の基準となるものを用意するという西川の考えにより、脚本作成後の絵コンテは、西川と親しい漫画家の堤抄子が担当した<ref name="TGSmart20141210">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=4098|title=【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【後編】|accessdate=2019-07-07|publisher=|date=2014-12-10|website=TG Smart}}</ref>。


アニメ化に際し、ユーザーの目線を重視する方針がとられ、その一環として、スタッフの知り合いのRanceシリーズファンへの聞き取りや、ファンサイトの調査が行われた<ref name="TGSmart20141209"/>。
アニメ化に際し、ユーザーの目線を重視する方針がとられ、その一環として、スタッフの知り合いのRanceシリーズファンへの聞き取りや、ファンサイトの調査が行われた<ref name="TGSmart20141209"/>。
西川は本格的なファンタジーは初めてだったことから、自分が幼少期に親しんだ『[[ロードス島戦記]]』をはじめとする一昔前のファンタジーアニメの面白さを表現することに注力した<ref name="TGSmart20141209"/>。
西川は本格的なファンタジーは初めてだったことから、自分が幼少期に親しんだ『[[ロードス島戦記]]』をはじめとする一昔前のファンタジーアニメの面白さを表現することに注力した<ref name="TGSmart20141209"/>。
また、設定が西川一人の手でおえないところがあることから、美術設定は長年の『Rance』ファンが起用され、設定の検証も行われた<ref name="TGSmart20141209">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=4097|title=【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【前編】|accessdate=2019-07-07|publisher=|date=2014-12-09|website=TG Smart}}</ref>。
また、設定が西川一人の手でおえないところがあることから、美術設定は長年の『Rance』ファンが起用され、設定の検証も行われた<ref name="TGSmart20141209">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=4097|title=【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【前編】|accessdate=2019-07-07|publisher=|date=2014-12-09|website=TG Smart}}</ref>。
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ヒロインのシィル・プラインはメインヒロインながらも、なかなか一番人気になれないという現況を鑑みた西川により、ほおに髪の毛をかけるなどして色気を出す試みが行われた<ref name="TGSmart20141210"/>。
ヒロインのシィル・プラインはメインヒロインながらも、なかなか一番人気になれないという現況を鑑みた西川により、ほおに髪の毛をかけるなどして色気を出す試みが行われた<ref name="TGSmart20141210"/>。
ランスを振り回す道具屋のパティ・ザ・サマーは明るい性格を表現するため、じっとしているときでも髪の毛が跳ねているように描かれ、耳が隠れないようにした<ref name="TGSmart20141210"/>。また、旅館「氷砂糖」の女主人・堀川奈美は華やかな感じを出すために、振袖を着た女性としてデザインされた<ref name="TGSmart20141210"/>。
ランスを振り回す道具屋のパティ・ザ・サマーは明るい性格を表現するため、じっとしているときでも髪の毛が跳ねているように描かれ、耳が隠れないようにした<ref name="TGSmart20141210"/>。また、旅館「氷砂糖」の女主人・堀川奈美は華やかな感じを出すために、振袖を着た女性としてデザインされた<ref name="TGSmart20141210"/>。
盗賊のネカイ・シスの衣装はファンタジー色の強いデザインが施された<ref name="TGSmart20141210"/>。一方、パーツが多い上に、左右でパーツの内容に差異があったため、色の塗り間違いなどのトラブルが起きやすかった<ref name="TGSmart20141210"/>。
盗賊のネカイ・シスの衣装はファンタジー色の強いデザインが施された<ref name="TGSmart20141210"/>。一方、パーツが多い上に、左右でパーツの内容に差異があったため、色の塗り間違いなどのトラブルが起きやすかったという<ref name="TGSmart20141210"/>。そのほか、とらわれの町娘であるパルプテンクス・フランダースは、西川の監修のもと、ピンクパイナップルの別作品で監督を務めた小原和大がデザインを手がけた<ref name="TGSmart20141210"/>。

とらわれの町娘であるパルプテンクス・フランダースは、西川の監修のもと、ピンクパイナップルの別作品で監督を務めた小原和大がデザインを手がけた<ref name="TGSmart20141210"/>。


====== キャスティング ======
====== キャスティング ======
キャスティングに関しては細心の注意が払われ、ファンの意見、西川のイメージ、アリスソフトの意見をすりあわせた上で選定され、演技の指導にはアリスソフトも参加した<ref name="TGSmart20141209"/>。
キャスティングに関しては細心の注意が払われ、ファンの意見、西川のイメージ、アリスソフトの意見をすりあわせた上で選定され、演技の指導にはアリスソフトも参加した<ref name="TGSmart20141209"/>。
ランス役の由嘉鈍は、アリスソフト側のイメージと西川のイメージが一致する形で選ばれた<ref name="TGSmart20141209"/>。ネカイ役の御苑生メイも、ランスの声は自分の中のイメージに合っていたので演じやすかったとTGSmartとのインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141126"/>。ほかの声優も同様の理由で選定された<ref name="TGSmart20141209"/>。
ランス役の由嘉鈍は、アリスソフト側のイメージと西川のイメージが一致する形で選ばれた<ref name="TGSmart20141209"/>。これについてネカイ役の御苑生メイも、ランスの声は自分の中のイメージに合っていたので演じやすかったとTGSmartとのインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141126"/>。ほかの声優も同様の理由で選定された<ref name="TGSmart20141209"/>。
ネカイ役には御苑生メイが起用されることが初期の段階から決まっており、西川は作画時にイメージしやすかったと前述のインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141210"/>。
御苑生はTG Smartとのインタビューの中で、リメイク元である『Rance』は美少女ゲームを知るきっかけになった作品であると述べており、出演が決まった時はうれしかった一方、心配にもなったと話している<ref name="TGSmart20141126"/>。
御苑生は『Rance』をプレイした時にネカイを見たことがなかったため、初めて台本を読んだ際、色気のある大人の女性であるという印象を抱き、それに合わせて少し色気のある演技をしようと考えた<ref name="TGSmart20141126"/>。その後、ネカイがかわいらしいキャラクターであるが判明したため、それに合わせた演技をした<ref name="TGSmart20141126">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=3949|title=【ピンパイ】『ランス01 光をもとめて』ネカイ・シス役の声優・御苑生メイさんにインタビュー!|accessdate=2019-07-07|publisher=|website=TG Smart|date=2014-11-26}}</ref>。


また、ナレーターとして勅使河原冬子が起用され、彼女おかげ内容が非常に引き締まったと西川はインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141209"/>。
ネカイ役には御苑生メイを起用することは制作陣初期の段階から決まっており、ゆえに西川は作画時にイメージしやすかったと前述のインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141210"/>。
御苑生はTG Smartとのインタビューの中で、リメイク元である『Rance』は美少女ゲームを知るきっかけになった作品であると述べており、御苑生自身は『Rance』をプレイした時にネカイを見たことがなかったため、初めて台本を読んだ際、色気のある大人の女性であるという印象を抱き、それに合わせて少し色気のある演技をしようと考えたという<ref name="TGSmart20141126"/>。しかしその後、ネカイがかわいらしいキャラクターであると分かり、それに合わせた演技をしたと話している<ref name="TGSmart20141126">{{Cite web|url=https://www.tgsmart.jp/article.aspx?a=3949|title=【ピンパイ】『ランス01 光をもとめて』ネカイ・シス役の声優・御苑生メイさんにインタビュー!|accessdate=2019-07-07|publisher=|website=TG Smart|date=2014-11-26}}</ref>。
このほかにも、端役でお笑いコンビの[[NOモーション。]]が参加している。


また、ナレーターとして勅使河原冬子が起用され、彼女のおかげで内容が非常に引き締まったと西川はインタビューの中で振り返っている<ref name="TGSmart20141209"/>。このほかにも、端役でお笑いコンビの[[NOモーション。]]が参加している{{要出典|date=2020-01}}。
=== スタッフ ===
:* 原作 - アリスソフト(「ランス01 光をもとめて」より)
:* 企画 - ふじけん
:* プロデューサー - 吉田松陰<ref name="TGSmart20141209"/>、堀江拓
:* 監督・作画監督・キャラクターデザイン・演出 - [[西川貴史]]<ref name="TGSmart20141209"/>
:* 脚本 - うだたん
:* 絵コンテ - 西川貴史、[[堤抄子]]
:* 美術設定 - 西ビー
:* 色彩設定 - 吉澤大輔
:* 撮影監督 - 堀川和人
:* 音響監督 - 郷歩みゆき
:* 編集 - 新海コウキ
:* 題字 - 梅津僚介
:* 世界地図 - 堤抄子
:* ボブザの描いた絵図 - ラッシャーヴェラク
:* 原画 - 小原和大、宮嶋仁志、安本学、長田信博、西川貴史、伊藤陽裕、野沢弘樹、田中淳次、高力台地、中川貴裕、zhao cunzhen、鬼島、大飛龍狂一、山あつし、西ビー、小幅寛之
:* 第二原画 - 小澤宏貴、田中和貴、金田雅俊、黒満ことみ、千川早一郎、おかざきゆきお、hong sun ho、kim jun hwan、lee se bo、park si youn
:* 動画検査 - 高円寺東尾
:* 動画 - 陽陽動画、おかざきゆきお、DNA
:* 色指定・検査 - 吉澤大輔
:* 仕上げ - 陽陽動画、おかざきゆきお、DNA
:* 美術 - NAMU animation
:* 撮影 - 堀川和人、高田誠
:* 編集スタジオ - 柳編集室
:* 音響編集 - 諏訪田谷
:* 録音調整 - 恵比寿義人
:* 録音助手 - 五反田篤志
:* 録音スタジオ - ST-U2-SAM
:* 広報 - 早漏上、舞美真淫、蘭子・dx、青山学淫
:* アドバイザー - 小椋俊介
:* 制作担当 - 入谷竜雄
:* ピクセルアニメーション - [[いまざきいつき]]
:* 制作 - [[アニメーションスタジオ・セブン|(株)セブン]]
:* 製作 - [[ピンクパイナップル]]


=== シリーズ ===
=== シリーズ ===
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; Blu-ray Disc
; Blu-ray Disc
:* 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」 ブルーレイ 完全版 2017年12月22日発売 JDBA-57454
:* 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」 ブルーレイ 完全版 2017年12月22日発売 JDBA-57454


; ゴールドディスク
; ゴールドディスク
:* 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」ゴールドディスク 2019年5月31日発売 JDXA-57524
:* 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」ゴールドディスク 2019年5月31日発売 JDXA-57524


== 反響 ==
== 反響 ==
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本作の初期ロットは約600本という少ない本数だったが、徐々に売り上げを伸ばし、最終的には当時のチャンピオンソフトの基準で「売れた」と判断できる本数にまで達した<ref name="denfami20190801-1">{{Cite web|title=【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(1ページ目)|url=https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a|website=電ファミニコゲーマー|date=2019-08-01|accessdate=2019-08-04|author=今俊郎,黛宏和}}</ref>。
本作の初期ロットは約600本という少ない本数だったが、徐々に売り上げを伸ばし、最終的には当時のチャンピオンソフトの基準で「売れた」と判断できる本数にまで達した<ref name="denfami20190801-1">{{Cite web|title=【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(1ページ目)|url=https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a|website=電ファミニコゲーマー|date=2019-08-01|accessdate=2019-08-04|author=今俊郎,黛宏和}}</ref>。


専門誌のライター陣からは以下のような評価を受けている。まず、『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』でライターとして参画したはまぐちしんたろうは、本作は2000年付近の作品水準と比較して RPG としての攻略難易度が高いとしている{{r|taizen}}。登場キャラクターに関しては、主人公のランスが敬語を使用する点などその他のRanceシリーズと比較して一風変わった設定になっているとはまぐちが指摘している{{r|taizen}}が、前田尋之には鬼畜戦士としてのランスはシリーズ「1作目から彼の個性は抜きん出ている」と評されている{{r|chronicle}}。


== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
* {{Cite|和書|author=はまぐちしんたろう|date=2000-10-10|chapter=ランス―光をもとめて―|title=パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000|publisher=ぶんか社|isbn=4-8211-0717-1|edition=初版第1刷|pages=62|ref=taizen}}
* {{Cite|和書|author=前田尋之|date=2016-08-08|chapter=Rance -光を求めて-|title=ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル|publisher=オークス|isbn=978-4-7990-0809-6|edition=第二刷|page=50|ref=chronicle}}
* {{Cite|和書|author=宮本直毅|date=2017-05-15|chapter=脱衣ゲームによる「ごほうび」感覚の形成|title=エロゲー文化研究概論 増補改訂版|publisher=総合科学出版|isbn=978-4-88181-859-6|edition=第1版第1刷}}
** {{Wikicite|ref=miyamoto1|reference=「「アリスソフト」設立〜『ランス』シリーズ始動〜」、69 - 70頁。}}
** {{Wikicite|ref=miyamoto2|reference=「アリスソフトならではのキャッチコピー」、291頁。}}


=== 雑誌記事 ===
* {{Cite journal|和書|journal=PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選|issue=PC ANGEL 10月号増刊|publisher=オデッセウス|date=1994-10-31}}
** {{Wikicite|ref=pcangel|reference=「Rance 光をもとめて」、102 - 103頁。}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2020年1月18日 (土) 16:15時点における版

Rance -光を求めて
対応機種 オリジナル:PC-8800SR[1]PC-9801VM[1]X68000[1]FM TOWNS[1]MSX[1]
ALICEの館4・5・6収録版:Windows
発売元 アリスソフト
発売日 1989年8月15日[1][2]
備考 「配布フリー宣言」対象ソフト
テンプレートを表示
ランス01 光をもとめて
対応機種 Windows XP(SP2以降)/Vista/7/8
発売元 アリスソフト
プロデューサー TADA[3]
ディレクター いってんちろく(兼ゲームデザイナー)[3]
キャラクターデザイン 魚介[3]
発売日 2013年9月27日[1]
メディア DVD-ROM
ダウンロード販売
テンプレートを表示

Rance -光を求めて-』(ランス ひかりをもとめて)は、日本のゲームブランド・アリスソフトより1989年8月15日に発売されたアダルトゲームである[1][2]Ranceシリーズの第1作目であり、ゲーム『Intruder』と同じくして発売されたアリスソフトのデビュー作でもある[4][5]。現在はアリスソフトの「配布フリー宣言」対象ソフトであり[1]、ストーリーをまとめたダイジェスト版も配布されている。

1997年12月に発売されたWindows用ソフト『ALICEの館4・5・6』には本作の移植版が収録されたほか[要出典]、アリスソフトの母会社であるチャンピオンソフトの設立から30周年となる[6]2013年の9月27日にはリメイク版である『ランス01 光をもとめて』が同じくWindows向けに発売された[1]。また、リメイク版を元にアニメ化したOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』が発売されたほか、リメイク版のコミカライズとして夕霧による24ページの読み切り版が『コミックメガストアα』の2014年3月号に掲載された。

あらすじ

鬼畜戦士の異名を持つ[1]ランスは、行方不明となってしまった名家のお嬢様・ヒカリ[7]を捜す依頼を受けた[1]。そこで彼は相棒であり[7]奴隷の[1][7]シィルをヒカリが通っていたパリス学園に侵入させ、魔法による読心術で調査を開始する[7]。ランス自身もリーザス王国内に乗り込み[1]、通行手形を手に入れることで街の中心に所在するリーザス城への潜入に成功するが、城内で開催されていたコロシアムに出場することになる[7]。結果的に大会での優勝を勝ち取ったランスだが、そこに同席していた王女・リアに指輪の捜索を依頼される[7]。ランスは幽霊の女の子・ラベンダーがその持ち主であることを突き止めるが、彼女の話を聞いてリア王女が諸悪の根源であることを知る[7]。情報を得たランスはヒカリの所在にもリア王女が関わっていると考え、彼女を糾弾するため城へと向かい[7]お仕置きとばかりに彼女の貞操を奪う[8]

システム

美少女ゲーム誌上では、本作のシステムについて様々な見解が掲示されている。まず、雑誌『PC ANGEL』の増刊『美少女ゲーム傑作選』[7]やパソコンゲーム誌の編集者を務めた経験のある前田尋之[1]によれば、本作はコマンド選択形式のアドベンチャーゲーム (AVG) とダンジョン探索などを行うロールプレイングゲーム (RPG) の要素が共存するとされている。前者ではシステム自体はRanceシリーズの歴代作品と類似しているが、主人公を育成するなどの RPG 的な要素には乏しいとしているが[7]、前田は本作のシステム自体は AVG であるものの、RPG に見せかけるような工夫が凝らされているとした[1]。そのほか『エロゲー文化研究概論』を著した宮本直毅も「ファンタジーAVG兼RPG」と表現し[4]、歴代の美少女ゲームに関する批評を収集した『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』に掲載されたライター・はまぐちしんたろうのレビューでは「クエスト型RPG」と形容されている[5]。システムに関しては、開発側も後述の通り、AVGのシステムを利用してRPG風に作り上げたと言及している[9]

リメイク版では前作の構成要素全てが強化され[1]、コマンド選択型AVGRPGを組み合わせたものとなっている。戦闘シーンでは冒険で手に入れた武器や防具、アイテムや仲間キャラクターなどの「チップ」を選び敵と戦う独特なものとなっている。

登場人物

声優はOVA『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』での配役である。

ランス
声 - 由嘉鈍[10]
シィル・プライン
声 - 高橋さや
魔法処理によってランスの奴隷とされている[7]魔法使い[8]。本作ではRanceシリーズの歴代作品とは違い、主人公・ランスは奴隷であるシィルと同伴して行動を行うことは無いが、シィルの元を訪れることで魔法の会得や体力の回復などが可能になっていた[7]
堀川奈美
声 - 黒井音瑚
旅館「氷砂糖」の主人[11]
パティ・ザ・サマー
声 - 青葉りんご
リーザス王国にある道具屋「バルチック」の主人[11]。明るい性格で、ことあるごとにランスを振り回す[11]
ミリー・リンクル
声 - 藤森ゆき奈
リーザス王国にある武器屋「あきらめ」の主人。無口な人物で、対照的な性格であるパティとは親しい。
ウィリス・藤崎
声 - 羽瀬らいる
ネカイ・シス
声 - 御苑生メイ[12]
盗賊団「かぎりない明日戦闘団」の副団長。
マリス・アマリリス
声 -加賀ヒカル
パルプテンクス・フランダース
声 -かわしまりの
謎の忍者(見当かなみ)
声 - 真中海
リーザス王国の王女リアの部下であるくノ一で、ランス達を追いかけている。
メナド・シセイ
声 - 桜川未央
リーザス城の門番。
ユラン・ミラージュ
声 - 壱伊なるせ
リーザスの城内にあるコロシアムのチャンピオンである女剣闘士。
リア・パラパラ・リーザス
声 - 萌花ちょこ
リーザス王国の王女にして、実質的な支配者。
ヒカリ・ミ・ブラン
声 - 星咲イリア
大富豪である[8]ブラン家の次女[5]
ラベンダー
声 - 雪村とあ
リア王女による責め苦の末、自殺してしまい幽霊となった女の子[5][8]
キース・ゴール
声 - 雨戸武治
ボブザ・フランダース
声 - 戸塚和也
ライハルト
声 - 浪速辰

開発

チャンピオンソフトに勤めていた本作の開発者のTADAは、会社の経営が傾きかけていたところでエロゲーの制作を提案し、会社内で新ブランド・アリスソフトを立ち上げた[9]。本作を含め『Intruder』・『クレセントムーンがぁる』と3作品が同時並行で制作されたが、TADAの好みからファンタジックな世界を舞台として制作されたのが本作『Rance -光を求めて-』に当たる[9]。当時のアリスソフトではRPGを制作する環境が整っていなかったが、本作はAVGを無理やり改変することによってRPG風に仕立て上げ、プログラミング言語BASICを用いて制作された[9]。TADAは作品の出来について、「チャンピオンソフトでの経験はあったんですが、いま思うと「よくあれを発売したなあ」というレベルでしたね。(中略)学生時代に作れなかった同人ソフトを社会に出てから作ったようなものですね。」と2019年に行われたインタビューの中で振り返っており、Ranceシリーズ作品に「アリスの館」という制作者のコメントコーナーを設けたのも、チャンピオンソフト時代に発売したディスクマガジンのノリだったと話している[9]

セッティング

TADAは様々なRPGをプレイする中で、主人公が得た力を世界や人々のために使う点に疑問を抱き、普通はまず手に入れたすごい力を自分のために使うだろうという考えから、ランスという傍若無人でスケベな主人公を作り上げた[3]。当初、TADAは相棒のシィルを「勇敢で元気な魔法使い」として設定していたが、グラフィッカーのYUKIMIの提案により、奴隷という設定が追加された[3]。さらに、TADAはスライムやエルフといったファンタジー作品によく出てくる種族をそのまま登場させるのではなく、ハニーやカラーといったオリジナルの種族に置き換えた[3]

リメイク

初期作品を遊びたいファンがいると考えたTADAは、オリジナル版を試しにプレイしたところ、あまりの古さと恥ずかしさにそのままでは出せないと判断し、リメイクを考えた[13]。TADAが社内で募集をかけたところ、『大帝国』の開発に参加したいってんちろくと、『闘神都市III』などににサブ原画として参加した魚介が手を挙げた[13]

OVA

リメイク版のOVA化作品である『ランス01 光をもとめて THE ANIMATION』は、2014年から2019年にかけてDVDおよび全話収録のBlu-ray Disc、ゴールドディスクが発売された。ダウンロード版は単品動画として配信されている。

制作

OVA版『ランス01』は、ピンクパイナップルのプロデュースのもと、アニメーションスタジオ・セブンによる制作が行われた[10]。同社の『恋騎士 PurelyKiss』などで知られる西川貴史は、ピンクパイナップルのプロデューサーである吉田小陰により、本作の監督に指名された[10]

通常、アニメ化の企画時にイラストを原作者側へ提出する際、原作の絵をトレースしたようなイラストがつけられるが、西川は劇中の場面を想定したイメージボードをアリスソフト側に提出した[10]。これにより、アリスソフト側に西川のイメージがスムーズに伝わり、最終的に映像化の許諾を得られた[10]。 演出上の基準となるものを用意するという西川の考えにより、脚本作成後の絵コンテは、西川と親しい漫画家の堤抄子が担当した[11]

アニメ化に際し、ユーザーの目線を重視する方針がとられ、その一環として、スタッフの知り合いのRanceシリーズファンへの聞き取りや、ファンサイトの調査が行われた[10]。 西川は本格的なファンタジーは初めてだったことから、自分が幼少期に親しんだ『ロードス島戦記』をはじめとする一昔前のファンタジーアニメの面白さを表現することに注力した[10]。 また、設定が西川一人の手でおえないところがあることから、美術設定は長年の『Rance』ファンが起用され、設定の検証も行われた[10]

キャラクター設定

ランスのデザインは企画書用に書き起こされたデザインがほぼそのまま採用された[11]。また、女性ファンからも好かれるようにするため、鬼畜でありながらも明るい少年のようなところをもつキャラクターとして設定された[11]。 ヒロインのシィル・プラインはメインヒロインながらも、なかなか一番人気になれないという現況を鑑みた西川により、ほおに髪の毛をかけるなどして色気を出す試みが行われた[11]。 ランスを振り回す道具屋のパティ・ザ・サマーは明るい性格を表現するため、じっとしているときでも髪の毛が跳ねているように描かれ、耳が隠れないようにした[11]。また、旅館「氷砂糖」の女主人・堀川奈美は華やかな感じを出すために、振袖を着た女性としてデザインされた[11]。 盗賊のネカイ・シスの衣装はファンタジー色の強いデザインが施された[11]。一方、パーツが多い上に、左右でパーツの内容に差異があったため、色の塗り間違いなどのトラブルが起きやすかったという[11]。そのほか、とらわれの町娘であるパルプテンクス・フランダースは、西川の監修のもと、ピンクパイナップルの別作品で監督を務めた小原和大がデザインを手がけた[11]

キャスティング

キャスティングに関しては細心の注意が払われ、ファンの意見、西川のイメージ、アリスソフトの意見をすりあわせた上で選定され、演技の指導にはアリスソフトも参加した[10]。 ランス役の由嘉鈍は、アリスソフト側のイメージと西川のイメージが一致する形で選ばれた[10]。これについてネカイ役の御苑生メイも、ランスの声は自分の中のイメージに合っていたので演じやすかったとTGSmartとのインタビューの中で振り返っている[12]。ほかの声優も同様の理由で選定された[10]

ネカイ役には御苑生メイを起用することは制作陣の間で初期の段階から決まっており、ゆえに西川は作画時にイメージしやすかったと前述のインタビューの中で振り返っている[11]。 御苑生はTG Smartとのインタビューの中で、リメイク元である『Rance』は美少女ゲームを知るきっかけになった作品であると述べており、御苑生自身は『Rance』をプレイした時にネカイを見たことがなかったため、初めて台本を読んだ際、色気のある大人の女性であるという印象を抱き、それに合わせて少し色気のある演技をしようと考えたという[12]。しかしその後、ネカイがかわいらしいキャラクターであると分かり、それに合わせた演技をしたと話している[12]

また、ナレーターとして勅使河原冬子が起用され、彼女のおかげで内容が非常に引き締まったと西川はインタビューの中で振り返っている[10]。このほかにも、端役でお笑いコンビのNOモーション。が参加している[要出典]

シリーズ

DVD
  • 第1話「ランス、起つ!!」 2014年12月26日発売 JDXA-57271
  • 第2話「進行!! リーザス中枢」 2015年6月26日発売 JDXA-57275
  • 第3話「ランス、断つ!!」 2016年1月29日発売 JDXA-57276
  • 第4話「そして、王道へ…」 2016年6月24日発売 JDXA-57277
Blu-ray Disc
  • 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」 ブルーレイ 完全版 2017年12月22日発売 JDBA-57454
ゴールドディスク
  • 「ランス01 光をもとめて THE ANIMATION」ゴールドディスク 2019年5月31日発売 JDXA-57524

反響

オリジナル版に対する反響

本作の初期ロットは約600本という少ない本数だったが、徐々に売り上げを伸ばし、最終的には当時のチャンピオンソフトの基準で「売れた」と判断できる本数にまで達した[9]

専門誌のライター陣からは以下のような評価を受けている。まず、『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』でライターとして参画したはまぐちしんたろうは、本作は2000年付近の作品水準と比較して RPG としての攻略難易度が高いとしている[5]。登場キャラクターに関しては、主人公のランスが敬語を使用する点などその他のRanceシリーズと比較して一風変わった設定になっているとはまぐちが指摘している[5]が、前田尋之には鬼畜戦士としてのランスはシリーズ「1作目から彼の個性は抜きん出ている」と評されている[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 前田 2016, p. 50.
  2. ^ a b 宮本 2017, p. 69.
  3. ^ a b c d e f 福山幸司 (2019年6月7日). “平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡”. 電ファミニコゲーマー. 2019年6月12日閲覧。
  4. ^ a b 宮本 2017, p. 70.
  5. ^ a b c d e f はまぐち 2000, p. 62.
  6. ^ 宮本 2017, p. 291.
  7. ^ a b c d e f g h i j k l 「Rance 光をもとめて」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 102.
  8. ^ a b c d 「Rance 光をもとめて」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 103.
  9. ^ a b c d e f 今俊郎,黛宏和 (2019年8月1日). “【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(1ページ目)”. 電ファミニコゲーマー. 2019年8月4日閲覧。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l 【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【前編】”. TG Smart (2014年12月9日). 2019年7月7日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 【ピンパイ】『ランス01』制作者インタビュー【後編】”. TG Smart (2014年12月10日). 2019年7月7日閲覧。
  12. ^ a b c d 【ピンパイ】『ランス01 光をもとめて』ネカイ・シス役の声優・御苑生メイさんにインタビュー!”. TG Smart (2014年11月26日). 2019年7月7日閲覧。
  13. ^ a b 今俊郎,黛宏和 (2019年8月1日). “【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(2ページ目)”. 電ファミニコゲーマー. 2019年8月4日閲覧。

参考文献

書籍 

  • はまぐちしんたろう「ランス―光をもとめて―」『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』(初版第1刷)ぶんか社、2000年10月10日、62頁。ISBN 4-8211-0717-1 
  • 前田尋之「Rance -光を求めて-」『ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル』(第二刷)オークス、2016年8月8日、50頁。ISBN 978-4-7990-0809-6 
  • 宮本直毅「脱衣ゲームによる「ごほうび」感覚の形成」『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(第1版第1刷)総合科学出版、2017年5月15日。ISBN 978-4-88181-859-6 
    • 「「アリスソフト」設立〜『ランス』シリーズ始動〜」、69 - 70頁。
    • 「アリスソフトならではのキャッチコピー」、291頁。

雑誌記事 

  • 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』PC ANGEL 10月号増刊、オデッセウス、1994年10月31日。 
    • 「Rance 光をもとめて」、102 - 103頁。

外部リンク