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== 経歴・人物 ==
== 経歴・人物 ==
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一般財団法人難病治療研究振興財団による「[[ヒトパピローマウイルスワクチン]](HPVワクチン)副反応病態究明チーム」に参画し、病因解明分野においてゲノム解析を担当<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000097691.pdf |title=日本医師会・日本医学会合同シンポジウム 子宮頸がんワクチンについて考える |accessdate=2019-08-17 |publisher=厚生労働省}}</ref>。2016年11月11日にイギリスの科学誌{{仮リンク|サイエンティフィックリポーツ|en|Scientific Reports}}に中島が責任著者を務める論文が掲載された。論文の内容は、[[血液脳関門]]を人工的に開いて薬物が通りやすくなった状態にしたマウスにHPVワクチンを大量に投与すると[[運動障害]]や脳障害が引き起こされるというものだった<ref name="BFJ2018" /><ref name="Science2018" />。この論文はそれまで報告されていた様々なHPVワクチンの副作用についての一定の科学的根拠となりうるとして、日本のみならず世界の公衆環境衛生擁護者を警戒させるものだった<ref name="Science2018">{{Cite web |url=https://www.sciencemag.org/news/2018/05/journal-retracts-paper-claiming-neurological-damage-hpv-vaccine |title=Journal retracts paper claiming neurological damage from HPV vaccine |accessdate=2019-08-17 |author=Dennis Normile |date=2018-05-11 |website=Science |publisher=AAAS |language=en}}</ref>。
一般財団法人難病治療研究振興財団による「[[ヒトパピローマウイルスワクチン]](HPVワクチン)副反応病態究明チーム」に参画し、病因解明分野においてゲノム解析を担当<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000097691.pdf |title=日本医師会・日本医学会合同シンポジウム 子宮頸がんワクチンについて考える |accessdate=2019-08-17 |publisher=厚生労働省}}</ref>。2016年11月11日にイギリスの科学誌{{仮リンク|サイエンティフィックリポーツ|en|Scientific Reports}}に中島が責任著者を務める論文が掲載された。論文の内容は、[[血液脳関門]]を人工的に開いて薬物が通りやすくなった状態にしたマウスにHPVワクチンを大量に投与すると[[運動障害]]や脳障害が引き起こされるというものだった<ref name="BFJ2018" /><ref name="Science2018" />。この論文はそれまで報告されていた様々なHPVワクチンの副作用についての一定の科学的根拠となりうるとして、日本のみならず世界の公衆環境衛生擁護者を警戒させるものだった<ref name="Science2018">{{Cite web |url=https://www.sciencemag.org/news/2018/05/journal-retracts-paper-claiming-neurological-damage-hpv-vaccine |title=Journal retracts paper claiming neurological damage from HPV vaccine |accessdate=2019-08-17 |author=Dennis Normile |date=2018-05-11 |website=Science |publisher=AAAS |language=en}}</ref>。


しかし論文掲載後、別の2つの研究グループからそれぞれ当該論文の内容について、HPVワクチンの投与量が多すぎることや、血液脳関門を開くために[[百日咳毒素]]を共投与していることなどの実験に関する問題点が同誌を発行するNature Publishing Groupへ指摘され、2018年5月11日にNature Publishing Groupは「大量のHPVワクチンと百日咳毒素の同時投与は、HPVワクチンが単独で神経学的な損傷を与えることを判定するためには適切な手法ではない」ことから、「実験手法が研究目的に対して適切でない」として当該論文を撤回した<ref name="Science2018" /><ref>{{Cite journal |last=Nakajima |first=Toshihiro |last2=Nishioka |first2=Kusuki |last3=Nakamura |first3=Ikuro |last4=Shumpei Yokota |last5=Usui |first5=Chie |last6=Kuroiwa |first6=Yoshiyuki |last7=Fujita |first7=Hidetoshi |last8=Aratani |first8=Satoko |date=2018-05-11 |title=Retraction: Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus vaccine and pertussis toxin |url=https://www.nature.com/articles/srep46971 |journal=Scientific Reports |volume=8 |pages=46971 |language=en |DOI=10.1038/srep46971 |issn=2045-2322 |PMID=29749388 |PMC=PMC5946160}}</ref><ref name="BFJ2018">{{Cite web |url=https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hans-ronbun-tekkai |title=HPVワクチン薬害説を支える論文撤回 英科学誌が「不適切」と判断した2つの理由 |accessdate=2019-08-17 |last=Iwanaga |first=Naoko |date=2018-05-18 |website=BuzzFeed |publisher=BuzzFeed Japan |language=ja}}</ref>。中島は論文撤回前に[[サイエンス]]誌の取材に対し「マウスを使った同種の研究で一般的に用いられている」と主張しており<ref name="Science2018" />、論文撤回後、[[朝日新聞]]の取材に対し「撤回は一方的」であり、「ワクチンの投与量は薬の安全性の試験の基準に基づいて」おり、「百日ぜき毒素も血液脳関門を一過性で開くために使っているだけ」とコメントしている<ref>{{Cite web |url=https://www.asahi.com/articles/ASL5D7J3ZL5DULBJ00D.html |title=HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」 |accessdate=2019-08-17 |date=2018-05-13 |website=朝日新聞デジタル |publisher=朝日新聞社 |language=ja}}</ref>。
しかし論文掲載後、別の2つの研究グループからそれぞれ当該論文の内容について、HPVワクチンの投与量が多すぎることや、血液脳関門を開くために[[百日咳毒素]]を共投与していることなどの実験に関する問題点が同誌を発行するNature Publishing Groupへ指摘され、2018年5月11日にNature Publishing Groupは「大量のHPVワクチンと百日咳毒素の同時投与は、HPVワクチンが単独で神経学的な損傷を与えることを判定するためには適切な手法ではない」ことから、「実験手法が研究目的に対して適切でない」として当該論文を撤回した<ref name="Science2018" /><ref>{{Cite journal |last=Nakajima |first=Toshihiro |last2=Nishioka |first2=Kusuki |last3=Nakamura |first3=Ikuro |last4=Shumpei Yokota |last5=Usui |first5=Chie |last6=Kuroiwa |first6=Yoshiyuki |last7=Fujita |first7=Hidetoshi |last8=Aratani |first8=Satoko |date=2018-05-11 |title=Retraction: Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus vaccine and pertussis toxin |url=https://www.nature.com/articles/srep46971 |journal=Scientific Reports |volume=8 |pages=46971 |language=en |doi=10.1038/srep46971 |issn=2045-2322 |pmid=29749388 |pmc=PMC5946160}}</ref><ref name="BFJ2018">{{Cite web |url=https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/hans-ronbun-tekkai |title=HPVワクチン薬害説を支える論文撤回 英科学誌が「不適切」と判断した2つの理由 |accessdate=2019-08-17 |last=Iwanaga |first=Naoko |date=2018-05-18 |website=BuzzFeed |publisher=BuzzFeed Japan |language=ja}}</ref>。中島は論文撤回前に[[サイエンス]]誌の取材に対し「マウスを使った同種の研究で一般的に用いられている」と主張しており<ref name="Science2018" />、論文撤回後、[[朝日新聞]]の取材に対し「撤回は一方的」であり、「ワクチンの投与量は薬の安全性の試験の基準に基づいて」おり、「百日ぜき毒素も血液脳関門を一過性で開くために使っているだけ」とコメントしている<ref>{{Cite web |url=https://www.asahi.com/articles/ASL5D7J3ZL5DULBJ00D.html |title=HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」 |accessdate=2019-08-17 |date=2018-05-13 |website=朝日新聞デジタル |publisher=朝日新聞社 |language=ja}}</ref>。


== 来歴 ==
== 来歴 ==

2020年1月25日 (土) 18:18時点における版

中島 利博
生誕 1964年11月
教育 鹿児島大学医学部
職業 東京医科大学医学総合研究所 教授
医学関連経歴
受賞 キルギス共和国健康大臣特別栄誉賞(2015年
日本内科学会奨励賞(1996年
日本リウマチ学会賞賞2002年
ノバルティス・リウマチ医学賞2005年

中島 利博(なかじま としひろ、1964年11月[1] - )は、日本の医学者博士(医学)

経歴・人物

1989年鹿児島大学医学部を卒業。ソーク研究所留学後、1997年に博士(医学)取得(鹿児島大学)。ハーバード大学医学部 instructor、筑波大学応用生物化学系講師、聖マリアンナ医科大学教授などを歴任後、2010年より東京医科大学医学総合研究所教授[1]

E3ユビキチンリガーゼの1種が関節リウマチを引き起こす原因タンパク質であることを発表し、そのタンパク質をシノビオリンと名付けた[1]。日本リウマチ学会賞、日本内科学会奨励賞、ノバルティス・リウマチ医学賞などの賞を受賞している[2][3]

2006年に初めてキルギス共和国を訪れて以来、同国に蔓延するリウマチ熱およびその後遺症によるリウマチ性心疾患の調査や治療、および予防活動を行っており[4]、2008年より同国の医療分野に関する国家顧問に任命され[5]、2015年、同国特別栄誉賞を日本人として初めて受賞した[6]。 2016年には日本では3人目となる同国名誉領事に就任した[7]

ヒトパピローマウイルスワクチンに関する研究

一般財団法人難病治療研究振興財団による「ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)副反応病態究明チーム」に参画し、病因解明分野においてゲノム解析を担当[8]。2016年11月11日にイギリスの科学誌サイエンティフィックリポーツに中島が責任著者を務める論文が掲載された。論文の内容は、血液脳関門を人工的に開いて薬物が通りやすくなった状態にしたマウスにHPVワクチンを大量に投与すると運動障害や脳障害が引き起こされるというものだった[9][10]。この論文はそれまで報告されていた様々なHPVワクチンの副作用についての一定の科学的根拠となりうるとして、日本のみならず世界の公衆環境衛生擁護者を警戒させるものだった[10]

しかし論文掲載後、別の2つの研究グループからそれぞれ当該論文の内容について、HPVワクチンの投与量が多すぎることや、血液脳関門を開くために百日咳毒素を共投与していることなどの実験に関する問題点が同誌を発行するNature Publishing Groupへ指摘され、2018年5月11日にNature Publishing Groupは「大量のHPVワクチンと百日咳毒素の同時投与は、HPVワクチンが単独で神経学的な損傷を与えることを判定するためには適切な手法ではない」ことから、「実験手法が研究目的に対して適切でない」として当該論文を撤回した[10][11][9]。中島は論文撤回前にサイエンス誌の取材に対し「マウスを使った同種の研究で一般的に用いられている」と主張しており[10]、論文撤回後、朝日新聞の取材に対し「撤回は一方的」であり、「ワクチンの投与量は薬の安全性の試験の基準に基づいて」おり、「百日ぜき毒素も血液脳関門を一過性で開くために使っているだけ」とコメントしている[12]

来歴

[1]

受賞歴

[3]

著書

[3]

  • 2008年 - 世界の発酵乳 発酵乳の文化・生理機能 モンゴル・キルギスそして健康な未来へ / はる書房    
  • 2014年 - リウマチをなおす / 出版芸術社    

脚注

  1. ^ a b c d 利博, 中島「ユビキチン化酵素シノビオリンの発見から臨床応用」、日本臨床プロテオーム研究会、2017年、doi:10.14905/jscp.2017.0_16 
  2. ^ 日本リウマチ学会賞・奨励賞 受賞者一覧”. 日本リウマチ学会. 2019年8月8日閲覧。
  3. ^ a b c 中島 利博 - 研究者 - researchmap”. researchmap. 科学技術振興機構. 2019年8月8日閲覧。
  4. ^ 医学総合研究所・中島利博教授がキルギス共和国名誉日本領事に就任 ~長年のリウマチ熱の克服活動を通じた両国の交流促進の功績により~”. 東京医科大学. 2019年8月8日閲覧。
  5. ^ 医学総合研究所・中島利博教授がキルギス共和国名誉日本領事に就任 ~長年のリウマチ熱の克服活動を通じた両国の交流促進の功績により~”. 東京医科大学. 2019年8月8日閲覧。
  6. ^ 東京医科大学医学総合研究所・中島利博教授がキルギス共和国特別栄誉賞受賞”. 東京医科大学. 2019年8月8日閲覧。
  7. ^ キルギス共和国名誉領事に就任した東京医科大学の中島利博教授がキルギスとの医学・医療の枠を越えた国際交流の発展に貢献”. 東京医科大学. 2019年8月8日閲覧。
  8. ^ 日本医師会・日本医学会合同シンポジウム 子宮頸がんワクチンについて考える”. 厚生労働省. 2019年8月17日閲覧。
  9. ^ a b Iwanaga, Naoko (2018年5月18日). “HPVワクチン薬害説を支える論文撤回 英科学誌が「不適切」と判断した2つの理由”. BuzzFeed. BuzzFeed Japan. 2019年8月17日閲覧。
  10. ^ a b c d Dennis Normile (2018年5月11日). “Journal retracts paper claiming neurological damage from HPV vaccine” (英語). Science. AAAS. 2019年8月17日閲覧。
  11. ^ Nakajima, Toshihiro; Nishioka, Kusuki; Nakamura, Ikuro; Shumpei Yokota; Usui, Chie; Kuroiwa, Yoshiyuki; Fujita, Hidetoshi; Aratani, Satoko (2018-05-11). “Retraction: Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus vaccine and pertussis toxin” (英語). Scientific Reports 8: 46971. doi:10.1038/srep46971. ISSN 2045-2322. PMC PMC5946160. PMID 29749388. https://www.nature.com/articles/srep46971. 
  12. ^ HPVワクチンの論文撤回 英科学誌「不適切な方法」”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2018年5月13日). 2019年8月17日閲覧。

外部リンク