「大阪市交通局66系電車」の版間の差分
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[[File:Osaka-subway66707.jpg|thumb|250px|NHK朝ドラ「わろてんか」のラッピングが施されていた66707号車]] |
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'''大阪市交通局66系電車'''(おおさかしこうつうきょく66けいでんしゃ)は、[[1990年]]([[平成]]2年)に登場した[[大阪市交通局]]の高速電気軌道([[大阪市営地下鉄]])[[ |
'''大阪市交通局66系電車'''(おおさかしこうつうきょく66けいでんしゃ)は、[[1990年]]([[平成]]2年)に登場した[[大阪市交通局]]の高速電気軌道([[大阪市営地下鉄]])[[Osaka Metro堺筋線|堺筋線]]用の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]。[[2018年]](平成30年)4月の大阪市交通局民営化にともない、[[大阪市高速電気軌道]](Osaka Metro)に継承された。 |
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2020年3月23日 (月) 14:39時点における版
お願い:車両の動きなどについては、Wikipedia:検証可能性に反する、個人の目撃報告や外部の私設サイトなどを典拠とする情報を記載しないでください。これらはWikipedia:出典を明記するやWikipedia:独自研究は載せない、Wikipedia:信頼できる情報源などの方針により除去されることがあります。 |
大阪市営地下鉄66系電車 | |
---|---|
阪急京都線内を走る第15編成 | |
基本情報 | |
運用者 |
大阪市交通局 大阪市高速電気軌道 |
製造所 | 川崎重工業、近畿車輛 |
製造年 | 1990年 - 2003年 |
製造数 | 17編成136両 |
投入先 | 堺筋線 |
主要諸元 | |
編成 | 8両編成17本(136両) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 | 直流1,500V架空電車線方式 |
最高運転速度 |
堺筋線内 70 km/h 阪急線内 110 km/h |
起動加速度 | 2.8 km/h/s |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
編成定員 | 1,108人 |
編成重量 | 225.5 t |
全長 | 18,900 mm |
全幅 | 2,845 mm |
全高 | 4,080 mm |
台車 |
SUミンデン式ボルスタレス台車 SS-120・SS-020 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 180 kW |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 98:17 (5.76) |
編成出力 | 2,880 kW |
制御方式 |
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御(第1 - 第12編成) IGBT素子VVVFインバータ制御(第13 - 第17編成および前期型更新車) |
制動装置 | 回生ブレーキ(純電気式)併用電気指令式ブレーキ |
保安装置 | WS-ATC、阪急型ATS |
備考 | 全長・全幅・全高および編成重量の数値は第1編成のもの |
大阪市交通局66系電車(おおさかしこうつうきょく66けいでんしゃ)は、1990年(平成2年)に登場した大阪市交通局の高速電気軌道(大阪市営地下鉄)堺筋線用の通勤形電車。2018年(平成30年)4月の大阪市交通局民営化にともない、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)に継承された。
堺筋線と、直通運転先の阪急電鉄(阪急)千里線・京都本線で使用されている。
概要
従来堺筋線で使用されていた60系は非冷房であり、一部編成については冷房装置を搭載することとしたが、内装が直通相手の阪急の車両に比較すると見劣りするとされていた。そこで、非冷房で残された60系の置き換えと内装の向上を目的として、1990年(平成2年)より新型車両の投入が開始された。これが66系である。製造時期によって第01編成 - 第12編成の前期車と第13編成 - 第17編成の後期車に分けることができる。
堺筋線初のVVVFインバータ制御車であり、同じくVVVFインバータ制御が採用された第三軌条方式各路線用の新20系と同じ年に登場したことから、当系列は「新20系の堺筋線版」と言われることがある。ただし、車体外観は新20系が直線的なデザインで片側に4か所の客用扉が設けられているのに対し、66系は曲線を多用したデザインで客用扉は片側3か所であるなど、使用路線の違いで異なる部分も多い。
編成構成は以下の通り。
- 車両番号の付番体系は新20系に準じている。すなわち、万の位の「6」と千の位の「6[1]」で系列名を表し、百の位で車両形式、十と一の位で製造番号(編成番号と一致)を表す。
- 両制御車の運転台側は自動連結器、4 - 5両目の連結器は密着連結器、それ以外は半永久連結器が搭載されている。
- 「e」は蓄電池搭載車を表す、大阪市交通局独自の記号。
↑天下茶屋 | |
66600形 (Tec1) | 静止形インバータ (SIV) や空気圧縮機 (CP) 、蓄電池などの補機類を搭載する制御車。 |
66000形 (Ma1) | パンタグラフや主制御器などの走行機器を搭載する中間電動車。 6両編成では天神橋筋六丁目方の車端部に簡易運転台(営業時は扉の中に封印)が設置されていた。 |
66100形 (Mb1) | 66000形からパンタグラフを取り除いた構造を持つ中間電動車。 6両編成には組み込まれていなかった。 |
66700形 (Tp') | CPを搭載する付随車。 天神橋筋六丁目方の車端部に簡易運転台が設置されている。6両編成には組み込まれていなかった。 |
66800形 (T') | 主要機器を搭載しない付随車。 天下茶屋方の車端部に簡易運転台が設置されている。 |
66300形 (Mb2) | 66100形と同様の中間電動車。 |
66200形 (Ma2) | 66000形と同様の中間電動車。 |
66900形 (Tec2) | 66600形と同様の制御車。 |
↓天神橋筋六丁目・阪急線 |
1990年落成の第01編成から1992年(平成4年)落成の第05編成までは6両編成で製造された。1992年から1993年(平成5年)にかけて、これらの編成には追加新造の66100形と66700形が挿入され8両編成となった。1993年に第06編成から第08編成までの3本が、1994年(平成6年)に第09編成から第12編成までの4本が8両編成で製造され[2]この時点で8両編成12本(96両)が出揃った。前期置き換えで60系非冷房車は消滅し増備は一旦終了。
1999年(平成11年)1月から車端への転落防止幌の取り付けが進められ、2000年(平成12年)10月までに全車施工が完了した。
2002年(平成14年)より老朽化が進んできた60系冷房改造車の置き換えを目的として製造が再開された。2003年(平成15年)にかけ第13編成 - 第17編成の8両編成5本(40両)が製造され現在の8両編成17本(136両)の陣容となった。これで60系は全廃となり堺筋線所属車は66系で統一された。
2009年(平成21年)12月5日・6日には堺筋線と阪急京都線との相互直通運転開始40周年を記念し、阪急嵐山線への臨時直通列車が天下茶屋 - 嵐山間で各日1往復運転された。この臨時列車には第1編成が6両編成に減車の上充当された[3]。また2011年(平成23年)5月14日・15日には直通特急として天下茶屋と嵐山の間で各日1往復で運行された[4]。2009年に運転された臨時列車と違う点は方向幕表示が2009年の時は「臨時」で、2011年に運転された列車では白表示で、堺筋線内でも特急運転が行われた。
構造
車体外観・電装品
車体はステンレス鋼の地肌を生かした無塗装で、窓上に茶色、腰部に上から橙色、白色、茶色の細い帯が入れられている。側面の窓配置は60系を踏襲したドア間3枚・車端部に1枚(中間車の場合)[5]であるが、形状は60系の角ばった2段式から、同時期に製造された新20系と類似した、角が丸みを帯びた1枚下降式に変更された。
前面は60系の切妻形状から、窓が大きく傾斜がつけられたものに変化した。帯は窓下と尾灯・標識灯の間に入り、それより上は黒色に塗装されている。上部中央に前照灯2灯が、その左隣に行先表示器が、右隣にVVVFインバータ制御車であることを示す「VVVF 66 SERIES CAR」のシンボルマーク(新20系のものとは図案が異なる)が配置された。また、窓下の帯部分には角型で、外側が尾灯・内側が標識灯となった灯具ユニットが2組設置された。灯具配置は直通先の阪急車と同様である。
2002年の66613F以降は若干の仕様変更が行われた。従来金属塗装だった窓上部は従来より拡大されたガラスで覆われ、側面上部の帯は茶色単色から、茶帯の下側に白色の細帯が追加されたツートンに変更された。また、屋根上のクーラー外キセがFRP製からステンレス製に変更され、側面ルーバー形状も変更された。また、66614F以降は66613Fと比べ前面上部と運転台に微妙な違いが見られる。
従来終着駅名のみの表示であった行先表示器は、列車種別が併記されたものとなった。既存編成についても種別表記入りに順次交換されている。種別は急行[6]や直通特急の表示もあるが、普通・回送・準急以外、使用されたことはない。なお幕式は普通と急行、フルカラーLEDは普通、準急、急行、直通特急などの表示が可能である。
VVVFインバータ装置の素子は66612F以前は日立製作所製および同社からライセンス供与を受けて東芝や三菱電機が製造したGTOサイリスタ(4500V/2000A)[7]、66613F以降は東芝と三菱電機がそれぞれ設計・製造するIGBT(3300V/1200A)が採用された。
台車は大阪市営地下鉄では初めてボルスタレス式が採用された。第13編成以降は空気ばねの改良で床面高さが前期車より4cm低い115cmとされ、ホームとの段差が軽減されている。
内装
第12編成以前は座席モケットはローズ色、ドア開閉時には開時と閉時で音程が違うブザー音が鳴る仕様であった。1992年に製造された第3編成以降は各車両に1か所ずつ車椅子スペースが設けられ、1991年(平成3年)までに製造された車両にも1999年に設置された。
現在は堺筋線用の車内自動放送装置を搭載しているが、第01編成・第02編成には新造当初は未搭載であった。
66613F以降は交通バリアフリー法が施行されたことに伴い、LED式車内案内表示装置が車内扉上に千鳥配置され、ブザーはドアチャイムに変更され、ドア開閉時にドアチャイムとリンクして点滅する扉開閉予告灯が設置される(現在は前期車にも設置済み)など、バリアフリー化が図られたものとなった。客室案内表示器搭載車で案内表示がない箇所にも、ドアの開閉を知らせる(こちら側・反対側)ランプがある。また、乗り入れ先の阪急線内でも、開閉案内が一部の駅(待避可能駅・終着駅)を除いて行われている。
また、座席はバケット式に変更され、1人あたりの座席幅が拡大された分、着席人数が減った(10人→9人)。座席モケットは茶系のものになった。座席上部の荷棚も金網からステンレス製のパイプ式のものに変更され、ドア間の座席中央には荷棚から座席下部にかけてスタンションポール(握り棒)が1本ずつ設置された。第12編成以前も張替えによって第13編成以降風の茶系の座席モケットとなっている。
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前期車の室内
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後期車の室内
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座席張替えを受けた前期車の室内。後期車に準じたモケットとなったが、形状は従来と変わらない。
更新工事
2012年6月に第05編成がアルナ車両に入場、以下の改造が行われ、2012年12月3日に出場した。出場後、試運転、乗務員訓練を行い[8][9][10]、2013年2月1日より営業運転に復帰した[11]。
- スカートの取り付け。
- 識別灯・尾灯をLED式への交換。
- 行先表示器を30000系と同様のフルカラーLEDに変更(優等種別や嵐山、河原町なども表示可能、2018年度施工車からは側面の行き先表示器に駅ナンバリング記号も付与された表示に変更)。
- 前面のVVVFマークを撤去し、車号表示をVVVFマークのあった場所へ移動。
- 30000系や新20系改造車に準じたグラデーションの帯が採用された(カラーリングは茶⇒オレンジ)。
- シート端のポールの2本化、床面配色の変更、バケットシートの採用など、30000系に準じた車内となった。
- VVVFインバータ装置と補助電源装置(SIV)のASSY交換を実施。いずれもIGBT素子を使用したものである。
- 種別表示設定機器に阪急京都線内の全種別を追加。行先表示設定機器に高槻市から先の長岡天神・桂・河原町・嵐山を追加。
- 車内照明のLED化(2014年度以降の施工車)。
なお、新20系では2014年度以降、更新工事に車内案内表示器のLCD化及び開扉時の盲導鈴鳴動機能追加が実施されているが、66系は2014年度以降の施工車でもこれらの工事は実施されていない。
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更新車前面。
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更新車側面(東吹田検車場敷地外より撮影)。
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更新車内装
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前照灯がLED化された66602F
なお、2015年11月に更新された第01編成以降は堺筋線沿線にある天王寺動物園をモチーフに内装のデザイン変更(乗降扉および連結部の扉に動物柄のステッカー、ガラス部分に動物のイラスト)が施されている[12][13]。
2018年11月にリニューアルされた第07編成は、変更後の内装デザインが同編成より前に施工された編成とは異なり、今宮戎神社・堀川戎神社にちなんだえびすをモチーフとする新しいデザインとなっている[14]。
編成番号 | 竣工年月 | 8連化 | 製造所 | 更新状況 | 制御装置 |
---|---|---|---|---|---|
01 | 1990年4月 | 1993年7月 | 川崎重工業 | 更新済み (内装変更) |
製造当初GTO→更新後IGBT |
02 | 1991年5月 | 1993年7月 | 更新済み | ||
03 | 1992年4月 | 1992年11月 | 更新済み | ||
04 | 1992年5月 | 1993年2月 | 更新済み (内装変更) | ||
05 | 1992年6月 | 1993年2月 | 更新済み | ||
06 | 1993年4月 | 一括新造 | 更新済み (内装変更) | ||
07 | 1993年5月 | 更新済み (内装変更) | |||
08 | 1993年6月 | GTO | |||
09 | 1994年5月 | ||||
10 | 1994年6月 | ||||
11 | 1994年7月 | 近畿車輛 | |||
12 | 1994年8月 | ||||
13 | 2002年6月 | 川崎重工業 | IGBT | ||
14 | 2003年2月 | ||||
15 | 2003年3月 | ||||
16 | 2003年10月 | 近畿車輛 | |||
17 | 2003年11月 |
脚注
- ^ 投入線区の路線番号(堺筋線は6号線)に由来している。
- ^ 石本隆一 「大阪市交通局 車歴表」『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』 第744巻、電気車研究会、2004年、203頁。
- ^ “大阪市交66系,臨時直通列車で嵐山へ”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2009年12月7日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ “大阪市交66系、臨時直通特急で嵐山へ”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2011年5月15日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ ドア間隔が均等になるように配慮(車両間では連結部が窓1枚分に相当)された設計が引き継がれたものの、ドア間3枚・車端部に2枚(中間車の場合)の阪急車両に比べて両端のドアが車端側に位置しているというずれも存置されることとなった。なおこの扉・窓配置は東京メトロ日比谷線などに類例がある。
- ^ 相互直通先である阪急京都線の急行列車は堺筋急行も含め2007年3月をもって廃止されている。
- ^ 磁励音は新20系より低めである。
- ^ “大阪市交66系リフレッシュ改造車、阪急へ貸し出し”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2012年12月18日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ “大阪市交66系66605編成が日中試運転”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2013年1月8日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ “大阪市交66系66605編成が阪急千里線で試運転”. 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース (2013年1月25日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ “堺筋線 66系車両リフレッシュのご紹介”. 大阪市交通局 (2013年1月24日). 2013年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月25日閲覧。
- ^ “楽しさをテーマに大阪・天王寺動物園にちなんだどうぶつたちがお客さまをお待ちしております!”. 大阪市交通局 (2015年11月20日). 2016年2月13日閲覧。
- ^ 車内デザイン一新!第2号!担当者が紹介します!堺筋線「どうぶつ」 - YouTube(大阪市交通局公式)
- ^ “堺筋線66系車両車内デザイン変更のご紹介 ~沿線ゆかりの恵比寿様~”. Osaka Metro (2018年11月27日). 2019年1月2日閲覧。
関連項目
- ウィキメディア・コモンズには、大阪市交通局66系電車に関するカテゴリがあります。