「金沢シーサイドライン新杉田駅逆走事故」の版間の差分
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2020年3月23日 (月) 16:38時点における版
金沢シーサイドライン 新杉田駅逆走事故 | |
---|---|
金沢シーサイドライン新杉田駅ホーム | |
発生日 | 2019年6月1日 |
発生時刻 | 20時15分頃 |
国 | 日本 |
場所 |
神奈川県横浜市磯子区新杉田町 新杉田駅構内 |
路線 | 金沢シーサイドライン |
運行者 | 横浜シーサイドライン |
事故種類 | 逆走事故 |
原因 | 配線の断線 |
統計 | |
列車数 | 1(2000形第41編成5両) |
死者 | なし |
負傷者 | 17人[1] |
金沢シーサイドライン新杉田駅逆走事故(かなざわシーサイドラインしんすぎたえきぎゃくそうじこ)は、2019年(令和元年)6月1日、横浜シーサイドラインが運行する金沢シーサイドライン(AGT路線)の新杉田駅で列車が逆走し車止めに衝突、乗客が負傷した事故である。同路線初の鉄道人身障害事故となった。
概要
2019年(令和元年)6月1日午後8時15分頃、新杉田駅発並木中央駅行きの2000形5両編成の電車(無人自動運転)は旅客の乗降を終え、ドアが閉まると同時に進行方向とは逆方向に起動し、25メートル先の車止めに衝突した。全車両のモーターが進行方向とは逆に動き、時速20キロメートル以上で車止め(油圧式緩衝装置タイプ)に衝突したと見られている[2][3]。運輸安全委員会は翌2日の午前から事故調査を開始した[4]。
6月2日までの神奈川県警察の発表では、本件事故により乗客計14人が負傷し[4]、うち6人が骨折などの重傷を負っている[5][6]。8月31日、神奈川新聞は17人が負傷したと報じている[1]
なお、当該車両は6月2日午後から3日午前1時までに、別車両を用意して金沢区の車両基地まで牽引・収容された[7]。
原因および対策
運輸安全委員会の経過報告によると、直接の原因は下り方向へ走行することを指示する回路が断線したことにある[8]。ただし、システム上の問題として、上下いずれの進行方向も指示されない場合はモーター制御装置に記憶された進行方向にそのまま走行する仕様となっていたこと、地上側での進行方向の確認をモーター制御装置よりも上流部分で行っていたため断線を把握できなかったことが挙げられ、これらのいずれかが適切な仕様であれば列車は発車しなかった。さらに、ATCの後退検知機能が「指示された進行方向と逆に走行」した場合にしか機能しない仕様となっており、進行方向の指示がなかったため非常ブレーキが作動しなかった。
金沢シーサイドラインでは、モーター制御装置について進行方向の指示がある場合にのみ加速するよう変更、地上側での進行方向の確認をモーター制御装置よりも下流部分で行うよう変更、走行方向の指示がない場合にはATCの後退検知機能が両方向に機能するよう変更した。
影響
事故発生後よりバスによる代行輸送が横浜市営バス・京急バスを中心に実施され、並行してJR線・京浜急行電鉄・京急バスによる振替輸送も行われた[2][6][9]。国土交通省は安全が確認できるまでの間、運行禁止措置を発令した[6]。
事故から3日後の6月4日朝までに事故車両以外の15編成の確認を行い、国土交通省と協議、同日午前11時より運転を再開[10][11]。安全確保のため、自動運転ではなく運転士乗務による手動運転を行い、運転士の数に限りがあるため、通常の65%程度の本数(運転間隔約7~10分)による特別ダイヤでの運転再開となった[10]。代行バスは運転再開後も平日ラッシュ時を中心に引き続き運行されている[10]。
6月4日より新杉田駅では2番線のみを使って運転をしていたが、復旧作業が終了したため6月16日より1番線の使用を再開した[12]。
2019年7月1日以降、平日朝夕のラッシュ時の運行本数を増便する一方、利用者の少ない早朝や深夜の運行を減便すること、土曜休日は原則10分間隔で運行すること、これらの臨時ダイヤ改定により平日朝の新杉田駅 - 市大医学部駅間の代行輸送バスは運行を取りやめる(振替輸送は継続)ことが6月26日になって発表された。なお、無人による完全自動運転の再開の目途はたっていないとも伝えられた[13]。
8月31日から保安要員を運転席に同乗させる形で自動運転が再開し[1]、9月6日からは完全自動運転が3か月ぶりに再開した[14]。完全自動運転再開から約1か月間は万一に備えて両方の終端駅に保安要員を配置すると報じられている[14]。
脚注
- ^ a b c “自動運転を再開 運転席には保安要員を配置”. 神奈川新聞. (2019年8月31日) 2019年9月8日閲覧。
- ^ a b “車両のモーター、一斉に逆作動…4日も全線で運休の見込み”. 読売新聞. (2019年6月4日). オリジナルの2019年6月8日時点におけるアーカイブ。 2019年6月4日閲覧。
- ^ “シーサイドライン時速20キロ以上で衝突か 全車両モーター動く”. 毎日新聞. (2019年6月3日) 2019年6月4日閲覧。
- ^ a b “逆走事故、運輸安全委が調査…再開めど立たず”. 読売新聞. (2019年6月2日). オリジナルの2019年6月8日時点におけるアーカイブ。 2019年6月4日閲覧。
- ^ “「体が飛ばされた」シーサイドライン逆走 自動運転 車内パニック”. 東京新聞 TOKYO Web (2019年6月2日). 2019年6月2日閲覧。
- ^ a b c “シーサイドラインが逆走し衝突、20人負傷か 横浜”. 朝日新聞デジタル (2019年6月1日). 2019年6月1日閲覧。
- ^ “床がめくれ、連結部にゆがみ 逆走のシーサイドライン”. 朝日新聞デジタル. (2019年6月3日) 2019年6月4日閲覧。
- ^ 鉄道人身障害事故調査の経過報告について - 運輸安全委員会、2020年2月27日
- ^ “シーサイドライン車両逆走、横浜 重傷含め20人程度けがのもよう”. 共同通信 (2019年6月1日). 2019年6月1日閲覧。
- ^ a b c “シーサイドライン、有人運転で再開 代行バスも”. 朝日新聞デジタル. (2019年6月4日) 2019年6月5日閲覧。
- ^ "横浜シーサイドライン運転再開について" (PDF) (Press release). 横浜シーサイドライン. 4 June 2019. 2019年6月4日閲覧。
- ^ "新杉田駅ホーム 1番線の使用再開について" (PDF) (Press release). 横浜シーサイドライン. 14 June 2019. 2019年6月19日閲覧。
- ^ “7月から朝夕増便 逆走事故のシーサイドライン、自動運転メド立たず”. 神奈川新聞. (2019年6月26日) 2019年6月27日閲覧。
- ^ a b “3カ月ぶり完全自動運転 本数も回復、通勤客「よかった」”. 神奈川新聞. (2019年9月6日) 2019年9月8日閲覧。
関連項目
- Osaka Metro南港ポートタウン線(ニュートラム/AGT路線) - 1993年に住之江公園駅で車止めに衝突する事故が発生している(ニュートラム暴走衝突事故)。
- 関東鉄道常総線列車衝突事故
外部リンク
- シーサイドライン(横浜シーサイドライン)
- (金沢シーサイドライン)鉄道人身障害事故調査の経過報告について - 運輸安全委員会 2020年02月27日公表