「業法」の版間の差分
電波法、外国為替銀行法などを追加 |
|||
69行目: | 69行目: | ||
** [[医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律]](医薬品の製造販売業など) |
** [[医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律]](医薬品の製造販売業など) |
||
** [[化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律]](第一種特定化学物質の製造の事業など)(厚生労働省・経済産業省・環境省の共管) |
** [[化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律]](第一種特定化学物質の製造の事業など)(厚生労働省・経済産業省・環境省の共管) |
||
** [[覚 |
** [[覚醒剤取締法]] |
||
** [[化製場等に関する法律]] |
** [[化製場等に関する法律]] |
||
** [[確定拠出年金法]](確定拠出年金運営管理業)(厚生労働省・内閣府の共管) |
** [[確定拠出年金法]](確定拠出年金運営管理業)(厚生労働省・内閣府の共管) |
2020年4月22日 (水) 08:13時点における版
業法(ぎょうほう)とは、特定の業種の営業の自由を公共の福祉のために制限する内容の法律を指す。法令用語ではなく、講学上の用語ないしは俗語である。
説明
日本国憲法第22条第1項は、「公共の福祉に反しない限り」という留保を附して、職業選択の自由を保障する。職業選択の自由には、自己の選択した職業を遂行する自由、すなわち、営業の自由が含まれる[1]。
したがって、どのような営業を行うかについて、公権力の干渉を受けないのが原則であるが、公共の福祉のためには、営業の自由は一定の制約を受ける。他人の権利・利益を侵害するような営業は、当然、許されない。
公共の福祉に反する営業により他人の権利・利益を侵害した場合、業者は、刑事上・民事上の責任追及を受ける(刑罰、損害賠償など)。理性ある業者は、刑罰や損害賠償を避けるように行動するものであるから、刑事上・民事上の責任追及には、公共の福祉に反する営業をある程度、抑止する効果がある。
しかしながら、刑事上・民事上の制度のみでは、公共の福祉は十分に実現できない。ある種の営業は、公衆に与え得る危害が重大であるため、事後的な責任追及の制度のみでは、公衆の被害を未然に防ぐのに不十分である。また、ある種の営業は、国民の生活に不可欠であるが、業者にユニバーサルサービスを刑事上・民事上の制度によって義務付けることは難しい。
そこで、行政権が、公共の福祉の増進のために、特定業種の営業に干渉する活動を行うことが正当化される場合がある。経済学でも、市場の失敗を是正することは政府の役割の一つであると説かれる。
ところで、行政権が私人の自由を侵害する場合には必ず、根拠となる法律が必要である(法律の留保)。営業の自由にも、法律の留保の原則が及ぶ。
そこで、行政権が公共の福祉の目的で営業の自由に介入する根拠となる法律が必要になる。ところで、営業の持つ社会的意義、影響などは多種多様であり、規制が必要な理由も様々であるため、どのような規制が是認されるかは、一律に論ずることができない(薬局距離制限事件最高裁判決)。したがって、根拠法は、銀行法、建設業法、電気事業法など、業種別に制定される。この種の法律を業法と総称する。
現行の業法
所管府省別。複数の府省が共管する法律は重複掲載。府省は建制順、法律は題名の五十音順。
医師の業務や弁護士の業務は営利目的のものではないと解されるので、医師法や弁護士法は業法のうちに数えていない。医師以外の医療関係専門職に関する法律や弁護士以外の士業に関する法律についても同様。
- 内閣府所管
- インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
- 確定拠出年金法(確定拠出年金運営管理業)(厚生労働省・内閣府の共管)
- 貸金業法
- 銀行法
- 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律
- 金融商品取引法(金融商品取引業など)
- 警備業法
- 古物営業法
- 質屋営業法
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(内閣府・国土交通省の共管)
- 社債、株式等の振替に関する法律(振替業)(内閣府・法務省・財務省の共管)
- 商品投資に係る事業の規制に関する法律(商品投資顧問業)(内閣府・農林水産省・経済産業省の共管)
- 信託業法
- 探偵業の業務の適正化に関する法律
- 長期信用銀行法
- 電子記録債権法(電子債権記録業)(法務省・内閣府の共管)
- 風俗営業法
- 不動産特定共同事業法(内閣府・国土交通省の共管)
- 保険業法
- 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(公共施設等運営事業)
- 無尽業法
- 総務省所管
- 電気通信事業法
- 電波法
- 放送法
- 民間事業者による信書の送達に関する法律(一般信書便事業など)
- 郵便法
- 法務省所管
- 債権管理回収業に関する特別措置法
- 社債、株式等の振替に関する法律(振替業)(内閣府・法務省・財務省の共管)
- 電子記録債権法(電子債権記録業)(法務省・内閣府の共管)
- 外務省所管
- なし
- 財務省所管
- 文部科学省所管
- 厚生労働省所管
- 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(採血業)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品の製造販売業など)
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質の製造の事業など)(厚生労働省・経済産業省・環境省の共管)
- 覚醒剤取締法
- 化製場等に関する法律
- 確定拠出年金法(確定拠出年金運営管理業)(厚生労働省・内閣府の共管)
- クリーニング業法
- 建設労働者の雇用の改善等に関する法律(建設業務有料職業紹介事業など)
- 興行場法(興行場営業)
- 公衆浴場法(浴場業)
- 港湾労働法(港湾労働者派遣事業)
- 住宅宿泊事業法(厚生労働省・国土交通省の共管)
- 職業安定法(有料職業紹介事業など)
- 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律
- 食品衛生法(飲食店営業など)
- 水道法(水道事業、水道用水供給事業)
- 大麻取締法
- 毒物及び劇物取締法
- と畜場法
- 美容師法
- 墓地、埋葬等に関する法律(墓地・納骨堂・火葬場の経営)
- 麻薬及び向精神薬取締法(麻薬輸入業など)
- 理容師法
- 旅館業法
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
- 農林水産省所管
- 愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律
- 卸売市場法(卸売業者、仲卸業者)
- 家畜改良増殖法(家畜登録事業)
- 家畜商法
- 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(米穀出荷事業など)
- 商品先物取引法(農林水産省・経済産業省の共管)
- 商品投資に係る事業の規制に関する法律(商品投資顧問業)(内閣府・農林水産省・経済産業省の共管)
- 飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料製造業など)
- 農薬取締法
- 肥料取締法
- 遊漁船業の適正化に関する法律
- 輸出水産業の振興に関する法律
- 養鶏振興法(種鶏業、ふ化業)
- 養蜂振興法(養蜂業など)
- 林業種苗法(生産事業など)
- 経済産業省所管
- アルコール事業法
- 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液化石油ガス販売事業)
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質の製造の事業など)(厚生労働省・経済産業省・環境省の共管)
- 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(製錬事業など)
- ガス事業法
- 火薬類取締法(火薬類製造業など)
- 揮発油等の品質の確保等に関する法律(揮発油販売業など)
- 計量法(特定計量器の製造事業など)
- 鉱業法
- 工業用水道事業法
- 航空機製造事業法
- 採石法(採石業)
- 砂利採取法(砂利採取業)(経済産業省・国土交通省の共管)
- 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(再資源化事業)(経済産業省・環境省の共管)
- 使用済自動車の再資源化等に関する法律(引取業など)(経済産業省・環境省の共管)
- 商品先物取引法(農林水産省・経済産業省の共管)
- 商品投資に係る事業の規制に関する法律(商品投資顧問業)(内閣府・農林水産省・経済産業省の共管)
- 深海底鉱業暫定措置法
- 水洗炭業に関する法律
- 石油需給適正化法
- 石油の備蓄の確保等に関する法律(石油精製業など)
- 石油パイプライン事業法(経済産業省・国土交通省の共管)
- 大規模小売店舗立地法
- 電気工事業の業務の適正化に関する法律
- 電気事業法
- 熱供給事業法
- 武器等製造法(武器製造事業)
- 輸出入取引法
- 国土交通省所管
- 屋外広告物法(屋外広告業)
- 海上運送法(一般旅客定期航路事業など)
- 貨物自動車運送事業法
- 貨物利用運送事業法
- 気象業務法(予報業務)
- 軌道法(運輸事業)
- 空港法(空港機能施設事業)
- 建設業法
- 航空法(航空運送事業)
- 港湾運送事業法
- 小型船造船業法
- 自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(内閣府・国土交通省の共管)
- 砂利採取法(砂利採取業)(経済産業省・国土交通省の共管)
- 住宅宿泊事業法(厚生労働省・国土交通省の共管)
- 石油パイプライン事業法(経済産業省・国土交通省の共管)
- 船員職業安定法(船員職業紹介事業など)
- 倉庫業法
- 造船法
- 測量法(測量業)
- 宅地建物取引業法
- 積立式宅地建物販売業法
- 鉄道事業法
- 道路運送車両法(自動車分解整備事業)
- 道路運送法(旅客自動車運送事業など)
- 内航海運業法
- 不動産特定共同事業法(内閣府・国土交通省の共管)
- 不動産の鑑定評価に関する法律(不動産鑑定業)
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理業)
- 旅行業法
- 環境省所管
- 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(第一種特定化学物質の製造の事業など)(厚生労働省・経済産業省・環境省の共管)
- 浄化槽法(浄化槽清掃業など)(環境省・国土交通省の共管)
- 使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(再資源化事業)(経済産業省・環境省の共管)
- 使用済自動車の再資源化等に関する法律(引取業など)(経済産業省・環境省の共管)
- 動物の愛護及び管理に関する法律(動物取扱業)
- 土壌汚染対策法(汚染土壌処理業)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(一般廃棄物処理業など)
- 防衛省所管
- なし
廃止された業法
- 1962年(昭和37年)4月1日廃止
- 1974年(昭和49年)3月1日廃止(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の施行による)
- 1982年(昭和57年)4月1日廃止
- 1985年(昭和60年)4月1日廃止(電気通信事業法・たばこ事業法の施行による)
- 1987年(昭和62年)4月1日廃止(鉄道事業法の施行による)
- 1990年(平成2年)12月1日廃止(貨物運送取扱事業法(現・貨物利用運送事業法)の施行による)
- 1993年(平成5年)4月1日廃止
- 1994年(平成6年)11月11日廃止
- 1995年(平成7年)11月1日廃止(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の施行による)
- 1996年(平成8年)4月1日廃止
- 1997年(平成9年)4月1日廃止(塩事業法の施行による)
- 1998年(平成10年)4月1日廃止
- 1998年(平成10年)12月1日廃止
- 1999年(平成11年)1月1日廃止
- 2000年(平成12年)6月1日廃止(大規模小売店舗立地法の施行による)
- 2001年(平成13年)4月1日廃止(アルコール事業法の施行による)
- 2001年(平成13年)10月1日廃止(著作権等管理事業法の施行による)
- 2002年(平成14年)1月1日廃止(石油備蓄法(現・石油の備蓄の確保等に関する法律)改正法の施行による)
- 2007年(平成19年)9月30日廃止(金融商品取引法に統合)
- 2011年(平成23年)1月1日廃止(商品先物取引法に統合)
- 2011年(平成23年)6月30日廃止(放送法に統合)
- 2016年(平成28年)4月1日廃止
- 2018年(平成30年)4月1日廃止
- 主要農作物種子法(指定種子生産者に関する規定があった)
参考文献
- ^ 芦部信喜『憲法 新版 補訂版』(岩波書店、1999年、ISBN 4-00-000647-9)p. 201