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「黒執事の登場人物」の版間の差分

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: ウェストン校では翡翠の獅子寮に所属し、監督生であるグリーンヒルの寮弟になっている。過去に剣術を始めて間もないエリザベスに圧倒された経緯から、自らを「凡人」と自称しているが、妹を含め周囲の才能を嫉妬することなく追い求め、自らを天才へと近づける才能「一直線の尊敬(フルリスペクト)」の持ち主になっている。真夜中のお茶会での一件後、放校処分となったグリーンヒルらP4に代わる新たな監督生となるが、伝統に固執し殺人を正当化するP4の主張を理解できず、自身も盲信しかけた「伝統」という存在にへの疑念を残す事となった。
: ウェストン校では翡翠の獅子寮に所属し、監督生であるグリーンヒルの寮弟になっている。過去に剣術を始めて間もないエリザベスに圧倒された経緯から、自らを「凡人」と自称しているが、妹を含め周囲の才能を嫉妬することなく追い求め、自らを天才へと近づける才能「一直線の尊敬(フルリスペクト)」の持ち主になっている。真夜中のお茶会での一件後、放校処分となったグリーンヒルらP4に代わる新たな監督生となるが、伝統に固執し殺人を正当化するP4の主張を理解できず、自身も盲信しかけた「伝統」という存在にへの疑念を残す事となった。
; アンジェリーナ・ダレス
; アンジェリーナ・ダレス
: 声 - [[勝生真沙子]] / [[朴ロ美|朴璐美]]
: 声 - [[勝生真沙子]] / [[朴璐美]]
: 通称「'''マダム・レッド'''」または「アン叔母様」。結婚前から「レディ・レッド」と呼ばれていた。通称名は父親似の赤髪({{仮リンク|レッドヘアー|en|Red hair}})を持ち、自身も赤を好むことが由来。元バーネット男爵夫人。レイチェルの妹。
: 通称「'''マダム・レッド'''」または「アン叔母様」。結婚前から「レディ・レッド」と呼ばれていた。通称名は父親似の赤髪({{仮リンク|レッドヘアー|en|Red hair}})を持ち、自身も赤を好むことが由来。元バーネット男爵夫人。レイチェルの妹。
: 美人であることから、「社交界の花形」「夜会の女王」などの美称を持つ。任務の一環で、とある舞踏会に潜入することとなったシエルにマナーなどの手ほどきをした。その一方、葬儀屋を笑わせようとする際に下ネタを連発するほどの下ネタ好きでもある。
: 美人であることから、「社交界の花形」「夜会の女王」などの美称を持つ。任務の一環で、とある舞踏会に潜入することとなったシエルにマナーなどの手ほどきをした。その一方、葬儀屋を笑わせようとする際に下ネタを連発するほどの下ネタ好きでもある。

2020年6月17日 (水) 01:24時点における版

黒執事 > 黒執事の登場人物

黒執事の登場人物(くろしつじのとうじょうじんぶつ)では、枢やな漫画作品『黒執事』に登場する人物の説明をまとめる。また、それを原作としたテレビアニメ黒執事』および『黒執事II』に登場する人物のほか、舞台版やゲーム版のみに登場する人物についても記述する。なお、実写映画版の登場人物については黒執事#登場人物(映画)を参照。

担当声優は、ドラマCD版 / アニメ版の順。声優名1人の場合はアニメのみであることを示す。特記の無い限りテレビアニメ版は第1期・第2期を指すものとし、テレビアニメオリジナル設定は一覧の末尾に表記する。

主要人物

セバスチャン・ミカエリス
- 森川智之 / 小野大輔
本作の主人公。ファントムハイヴ家の執事。瞳は紅茶色。黒髪。身長186cm。
品位・教養・武術・料理・容姿など、すべてにおいて完璧。その物腰は柔らかく極めて謙虚だが、慇懃無礼に毒舌や皮肉を吐くことがあり、シエルにも容赦がない。破滅的な家事を行うフィニ、メイリン、バルドに対しても慇懃な態度は崩さないが、度重なる失敗を度々フォローさせられていることから、心の中で暴言を吐くことがある。大の(猫科の虎も含め)好きであり、特に肉球を押すことを好んでいる。
正体は悪魔。人間業では到底不可能な技術を難なくこなし、人間ならば死に至る攻撃も効かない。シエルとは、「彼に対し嘘をつかない」[注釈 1]、「裏切らず絶対服従」、「復讐を終えるまであらゆる外的要因から守り抜く」という3つの契約を結んでおり、左手の甲には黒魔術を示す逆ペンタクルが描かれている。現在の外見は、契約の際にシエルに合わせてとったものだが、執事の業務については理解が不十分だったため当初はシエルの要求を何一つ満たせず、執事として「偽物」の烙印を押されており、彼からの度重なる指摘と鍛錬の末に現在の完璧な執事に至った。
決め台詞は「私はあくま(悪魔)で 執事ですから」「ファントムハイヴ家の執事たる者 このくらい出来なくてどうします?」「御意 ご主人様(イエス マイロード)」。また、「セバスチャン」の名はファントムハイヴ家で以前飼われていた犬の名前を取って命名されたものであり、それ以前の名は不明。ノアの方舟サーカス編における、サーカス潜入中の芸名は「ブラック」。「ケルベロス」という名の犬を飼っているが、本編には未登場。
作者からの呼称は「セバス」。原案では七三分けだったが、色々あって「センター分け」となった。
テレビアニメ版
犬は嫌い。第1期最終話では、真の姿(本人曰く「無様で醜悪でえげつない」)を現したが、ヒールのような足元を除いてその姿は黒い影に包まれていた。
第2期では、アロイスとハンナの契約によりシエルが悪魔へ転化させられたことで彼が人間としての魂を失ったため、永遠にその魂を食べられなくなる。さらにシエルの「魂を食らうまで執事として従え」という命令と、バラ迷宮で彼に「お前は永遠に僕の執事だ」という命令に「イエス」と答えていたため、永遠にシエルの執事として仕える運命となる。その後、執事長の証であるピンをタナカに返上し、シエルと共にファントムハイヴ家を去る。そして決め台詞も、「あくま(悪魔)で執事ですから」から「あくま(悪魔)で悪魔の執事ですから」に変わる。
シエル・ファントムハイヴ
声 - 沢城みゆき / 坂本真綾
通称:坊ちゃん。物語開始時は12歳。身長は明言されていない。ファントムハイヴ伯爵家・現当主の少年。1875年12月14日生まれ。血液型はシリウス。(現実世界で言うとAB型。AB型に輸血できるかは不明)舞台版ではスコーン(お菓子)で表現されるほど身長が低く、体重が軽い。
幼くして広大な領地を治め、玩具・製菓の一流メーカー「ファントム社」の社長を務める天才実業家。大学生レベルの知能も持っている。
我侭かつ傲慢で冷静沈着だが、押しに弱い。周りに翻弄されたり騒ぎに巻き込まれたりと溜息をつきつつも、結局は容認する苦労人だが、その信条の芯である「逆境に屈せず誇り高く生きる姿勢」は、セバスチャンに一目置かれている。
アフタヌーンティーの菓子は欠かさず、小腹が空いただけでパフェを要求する、セバスチャンが来客のために用意した『暴れん坊伯爵』型のチョコレートを摘み食いするなど、大の甘党。その一方で辛いものはあまり好まない。フランス語が話せる。昔から身体が弱く喘息持ち。猫アレルギーでもある。
人付き合いを好まず、しかもセバスチャンに「壊滅的」と言わしめる程に社交ダンスが苦手。ノアの方舟サーカス編でのサーカス潜入中の芸名は「スマイル」。
瞳は青碧色だったが、自らの魂を対価としてセバスチャンと契約した後、右目のみアメジスト色のオッドアイになる。容姿は母親似、髪は父譲りの美少年。ドルイット子爵に近づく任務の際、正体を隠すために嫌々ながらも女装の提案を受け入れ、子爵から「駒鳥」と評される程の可憐さを醸し出した。
代々のファントムハイヴ家当主は、違法な麻薬を持ち込むマフィアの始末など、英国の裏社会の管理や汚れ仕事を請け負っており、現当主である彼も、「悪の貴族」、「女王の番犬」、「裏社会の秩序」等の通り名を持っている。しかし一方で自身の当主としての行為を「罪」と自負しており、マダム・レッドやジョーカーなど、その過程で命を落とした者達への自責の念に苛まれてもいる。
3年前に何者か(テレビアニメ版ではアンジェラ/アッシュ)に両親を惨殺され、悪魔崇拝の団体へ売り飛ばされた。以降1か月はその団体の黒ミサの生贄の1人として監禁され、度重なる凄惨な拷問と凌辱、更には背中へ焼印を押されるなど地獄のような日々を強いられていた。しかし、ある時に召喚されたセバスチャンと契約を交わして黒ミサを脱出した以降、彼を執事として仕えさせている。眼帯で覆われている右目には、セバスチャンの左手のものと同じ模様の逆ペンタクルが契約の証として埋め込まれている。また、帰還した当初は貴族としての教育や礼儀作法などをすっかり忘れてしまっていたため、セバスチャンからの一心同体とも言える度重なる指摘と鍛錬の末に現在の完璧な当主に至った。
エリザベスに翻弄されて鬱陶しく思うものの、彼女には思い入れを持っており、可能な限りは支えてやりたいと思っている。
正体は、元々存在していたシエルの双子の弟である。幼少期は兄と同じ容姿を持ちながらも内向的で後ろ向きの思考を持ち、母親から喘息など身体の弱さを受け継いだため、フランシスが「継承者のシエルにもしもの事があれば 次男が家督を継がねばなりません」「病弱なあの子に番犬の仕事は荷が重すぎる」とヴィンセントに話しているのを偶然聞いてしまったこともあり、すべてにおいて望まれた兄を羨みつつそんな自分に劣等感を抱いていた。そして3年前の黒ミサの日、生贄として殺された兄の姿を目の前にしたことと、それによって召喚された悪魔のセバスチャンに名を問われた際、もし出来損ないの自分が生き残ったと知られればエリザベスや親族たちに迷惑をかけると考え、今までの弱い自分を捨て去るためと、兄の代わりに伯爵家を継ぐ覚悟で彼の名前であるシエル・ファントムハイヴを名乗った。元々の名前は現時点で不明である。
好物はチョコレート。
テレビアニメ版
原作でシエルの正体が明かされる前の時期にアニメ化されたこともあり、双子の設定は無い。アンジェラへの復讐を遂げた後、契約通り魂をセバスチャンに渡して死ぬはずだった。しかし、アンジェラとの戦いの直後にクロードに魂を一時的に横取りされていたため、復讐に関する記憶を失ったまま生存していた。その後、アロイスの記憶を上書きされたことで記憶を取り戻すも、アロイスとハンナの契約に巻き込まれる形で悪魔に転生し、人間としての魂を永遠に失う[注釈 2]。人間として生きられなくなったことで近縁の者に別れを告げ、セバスチャンと共に屋敷を去った(1889年8月26日に人間としての生を終えたことになっている。享年13)。

ファントムハイヴ家

使用人

タナカ
声 - 麦人 / 藤村俊二
ファントムハイヴ家の家令(ハウススチュワード)。仕事中の姿があまり描かれておらず、頻繁にお茶を啜っている。他人に変わったブレンドの飲み物を提供する事があり、セバスチャンでさえも辟易している。第2話からは常にデフォルメされた姿である。
ファントムハイヴ家には先代から仕えており、3年前の事件の際に先代夫婦共々殺されかけていた。事件後、病院を訪ねてきたシエルと再会し、同行していたセバスチャンにファントムファイヴ家執事長が代々受け継いでいる懐中時計を渡している。
連続殺人事件編ではセバスチャンの代理として執事に任命され、バルドら3人に的確な指示を送っている。また、ファントムハイヴ家の敵には冷徹に対応する強かさも持ち合わせており、ノアの方舟サーカス編では本邸で宿泊中のエリザベスに気付かれる事なく、ピーターの死体を隠す手際の良さを見せている。
柔術の使い手であり[1]、その実力は大柄なウッドリーを取り押さえている。[2]。また、日本刀での居合の達人でもあり、現役軍人でさえも翻弄させている。高齢故、長時間の戦いは厳しい模様。
モデルは藤村俊二であり、2017年1月25日に彼が死去したことが報じられた際には、作者が公式Twitterで追悼文を発表している[3]
テレビアニメ版
最初からデフォルメされているが、時折リアル化しており(「リアルタナカさん」と呼ばれる)、表に出られないシエルに代わって「ファントム社」代表として新聞社のインタビューに応じる。3分経つとデフォルメに戻り、眠ってしまう。
フィニアン
声 - 高城元気 / 梶裕貴
通称フィニ。ファントムハイヴ家の庭師(ガードナー)。まだ幼さを残す、天真爛漫な少年。16歳。身長163cm。金髪碧眼。
庭師でありながら、庭の植物を全て枯らした事が数回ある。『暴れん坊伯爵』の主人公に憧れている。怪談が苦手。
物語開始の約1年前、ドイツにて人体実験の被験体として収監されていたが、「先生」と呼んでいた研究者に情報抹消の為に殺されかけてしまう。しかし自身の怪力を発揮して逃亡し、偶然研究所を訪れていたシエルに拾われる形でファントムハイヴ家に仕える事となった。「フィニアン」という名はとある童話の主人公の名前からシエルが命名したもので、その事から彼に恩義を感じており、彼やファントムハイヴ家に敵対するものには容赦ない。
セバスチャンには及ばないものの、太い木の幹を素手で折るなど、外見からは想像できない程の怪力を持つ。本人なりに、平時においては力加減などで考える一幕もある。怪力だけでなく凄まじい脚力を発揮できるほか、身体も人間より非常に頑丈である。首元には被験体時代のコードナンバー「S-012」が刻印されており、普段は麦わら帽子で隠している。本来の力を発揮する際は目の色が変化する。
テレビアニメ版
人体実験の目的が謎の薬の実験台であり、怪力もそれによって発現したものである。
バルドロイ
声 - 小山力也 / 東地宏樹
通称バルド。ファントムハイヴ家の料理人(シェフ)。身長180cm。常に煙草を吸っているいかつい男。
今までに作ったものはセバスチャン曰く「8割方が(残りの2割は有害物質)」であり、兵器を使って調理するなど、今までまともな料理を作ったことは牛たたき丼以来一度も無い。しかし努力はしているようで、「目玉焼きは作れるようになった」との事。セバスチャンに窘められることはあるが、勤務態度はやや不真面目で、他の2人と違い言いつけを聞き流す一面もある。
アメリカ出身での元軍人であり、母国から取り寄せた新兵器を使い、ラムのラベンダー焼きを作ろうとするほど、性格は極めて豪快かつ大雑把。ファントムハイヴ家に雇用される以前は、極めて過酷な戦場に身を置いていた。また、過去の戦場での体験から、蛇が苦手。
料理についても軍人時代の癖が染み付いており、使えそうな物はとっておく癖がある。「ゆっくり料理をしたことがないから、生き急いで」、兵器を用いて調理するらしい。
フィニやメイリンと共に行動する事が多く、彼らを率いるリーダー格として屋敷内のトラブル解決に乗り出そうとする。特に有事におけるシエルやセバスチャンの不在時は、フィニやメイリンを統率し爆薬や重火器を駆使してファントムハイヴ家の敵を圧倒する。無精髭と咥えタバコがトレードマークで、作者曰く「オヤジ少年」。
テレビアニメ版
敵の策を看破するなど優秀な軍曹だったが、意見を上官に却下されて小隊は壊滅、彼のみが生き残った。
メイリン
声 - 折笠富美子 / 加藤英美里
ファントムハイヴ家の家女中(ハウスメイド)。23歳。身長165cm。中国人。原案では中国系の出身。宝物はシエルから贈られた眼鏡。
極度の遠視で、シエルから贈られた眼鏡を掛けている。洗剤のⅢ杯(3杯)の表記をxxx杯(30杯)に見間違えるほど極度のドジッ娘で、割った食器は数知れない。「ですだよ」などの訛りが入った口調で話す。怪談が苦手。ファントムハイヴ家で働くまではスカートを履いたことがない(本人談)。セバスチャンに好意を寄せている様子。色恋事にはかなり奥手かつ真摯であり、セバスチャンに顔を寄せられただけで紅潮しており、「心を許した人の前でなければ脱がない」と決めているらしい。作中ではあまり触れられないが、ニナにはグラマラスな容姿を評価されている。
その素性は凄腕の狙撃手であり、眼鏡を外せば照準器なしで遠距離の目標を狙い撃ちできる。有事の際には普段とは一転して至極冷静になり、敵であれば女子供であろうと容赦なく射殺する。また、着ているメイド服はニナ特製の物であり、裾をまくし上げてスナイパースタイルに変化させられる。
テレビアニメ版
驚異的な視力を活かした狙撃手としての活動中に、セバスチャンにスカウトされた。怪談は大好きであり、曰く付きの古い屋敷の怪現象にも目を輝かせる。色恋沙汰にはいくらか興味があるようで、情事や男性の全裸を見ては鼻血を噴き出す。また、グラマラスな容姿を活かした水着姿や、胸の谷間を強調したサービスシーンが描かれている。
スネーク
声 - 寺島拓篤
ファントムハイヴ家の従僕(フットマン)。皮膚の所々が蛇の鱗のようなものに覆われた細身の青年であり、元・ノアの方舟サーカス一軍団員。
基本的に寡黙で無表情。首にはほぼ常に蛇を巻き付けており、サーカスでは自分のテントに多数の蛇を放し飼いにしている。「…って(蛇の名前)が言ってる」と、常に蛇の代弁という形式で喋る。サーカス時代の担当演目は蛇使いであり、「片親が蛇のハーフ」という演出で登場し、実際に蛇との意思疎通もできる(ジョーカー曰く「蛇が友達」)。一軍メンバーで唯一ジョーカー達とは異なる地で育ち、サーカス加入前は見世物として非人道的な扱いを受けていたが、ジョーカー達に救い出されサーカスに加入した。この経緯からジョーカー達に多大な恩を感じているものの、彼らの裏の顔については全く知らず、ファントムハイヴ本邸襲撃にも一切関与していなかった為、一軍メンバーで唯一の生存者となった。
ジョーカー達の失踪後、直前に騒ぎを起こしていたシエルが彼らの失踪に関わっていると推測し、一人サーカスを抜けシエルの匂いを追ってタウンハウスに辿り着く。その際「シエルの客」と勘違いしたソーマの案内で本邸に到着し、蛇を使役してシエルの殺害を目論む。しかし蛇は偶然シエルの部屋で眠っていたフェルペスを誤って殺害してしまい、更に蛇の音をセバスチャンに追跡されて捕縛され、アーサーが帰路についた後にフェルペス殺害の真犯人としてシエルと再会する事となる。
シエルの口からジョーカー達の裏の仕事を聞かされ、その事実を受け入れられずにいたが、ドールの最期を彼に重ねたシエルの「ジョーカー達は証拠を掴む前に姿を消した」という嘘に騙される形で、ジョーカー達を探すための足掛かりとしてファントムハイヴ家に従僕として雇用される事となる。雇用された後も、シエルとセバスチャンの事はサーカス時代の芸名で呼んでいる。手先が器用であり、ファントムハイヴ家の雑務をそつなくこなしている。かねてより自身の皮膚の模様にコンプレックスを抱いていたが、シエルの「何を恥じる必要がある」という言葉を受け、以降は堂々とした姿勢で職務に臨んでいる。
仲間である蛇達の名前は、著名な文学者の名前からとられている(オスカー、ワイルドワーズワスキーツなど)。蛇達との意思疎通能力を活かし、蛇達の触覚や嗅覚による情報収集、合図に合わせての奇襲攻撃、諜報活動などに長けている。一方で蛇の体質故に、蛇笛や寒冷地での行動が苦手。

関係者

ヴィンセント・ファントムハイヴ
声 - 興津和幸
シエル兄弟の父親。ファントムハイヴ伯爵家先代当主。ブルネットの髪。レイチェルとは彼女の父親を通じて知り合い、結婚。幸せな日々を送っていたが、3年前、何者かによって妻と当時の使用人達共々惨殺され、遺体は屋敷ごと燃やされた。
常に穏やかで物腰の柔らかい人物だが、自分に利のない人間には一切の興味を示さない利益主義者。また、「女王の番犬」の役目を冷酷に務めていたことから、裏社会ではその存在を恐れられていた。ウェストン校時代は紺碧の梟寮の監督生であり、「碧の奇跡」の立役者でもあった。
レイチェル・ファントムハイヴ
声 - 植竹香菜
シエル兄弟の母親。母親似の亜麻色の髪を持つ美人。生前は病弱で喘息持ちだったが、性格は陽気でくだけている。アンジェリーナとは雰囲気が似ている。ヴィンセントと結ばれ幸せな日々を送るが、3年前、夫と共に何者かに惨殺された。
シエル・ファントムハイヴ(兄)
ファントムハイヴ編にて突如セバスチャン達の前に現れた、シエルと瓜二つの少年。口調もそっくりだが、彼の方が自信に溢れている。社交的で前向き思考の持ち主。
正体はレイチェルが産んだシエルの双子の兄で、エリザベスの(本来の)婚約者である。『シエル』という名前も元々は彼のもの。幼少期からファントムハイヴ家の次期当主として申し分ない才能を持ち両親や親族たちから一身に期待を受けていた。病弱な弟を一番に可愛がっており、理解者でもあった。
3年前のある日、弟と共に人買いに売り飛ばされ、買われた先で連れていかれた会場で凄惨な拷問と凌辱の末に黒ミサの生贄として殺された。そして彼の魂を元に召喚された悪魔こそが後のセバスチャンである。また、当主の証であるファントムハイヴ家の指輪を見つからないように飲み込んで隠し持っており、後に弟によって腹から取り出される。
しかし、遺体を秘密裏に回収した葬儀屋によって走馬灯劇場を改竄され、青の教団編にて自力で動けるまでになる。そして屋敷に帰還すると自分の蘇生の過程で起こした大量殺人事件の罪を弟に着せ、本来自分が継ぐはずだったファントムハイヴ伯爵の座を取り戻そうと目論む。
好物は苺。
エリザベス・ミッドフォード
声 - 斎藤千和 / 田村ゆかり
シエルの許婚で、彼とはいとこ同士でもある侯爵令嬢。愛称は「リジー」。誕生日は公開されていないが13歳。身長154cm。フルネームは「エリザベス・エセル・コーディリア・ミッドフォード」(テレビアニメ版第1期第3話より)。
非常に明るく天真爛漫な性格。シエルが大好きで、彼が常に笑顔でいられるよう奮闘する。ロリータ系など可愛い物に目がなく、社交界の際は他者のドレス姿を見てまわっている。
母親以上の天才剣士。幼少期のシエルの発言から、彼の嫌悪の対象になることを恐れ剣術を嫌っていたが、先代ファントムハイヴ伯爵夫妻の惨殺とシエルの失踪・帰還を機に「シエルを守れるようになりたい」と願い、女王の番犬の妻として自らの意思で剣を取ることを誓う。その後も剣士としての自分をシエルに伏せていたが、豪華客船編での歪んだ肉人形の襲撃を受け、初めてシエルの前で剣を持ち大量の歪んだ肉人形を葬り去った。
しかし、「青の教団」編でシエルの入れ替わりの事実を知ったことで強い自己嫌悪に陥り自宅を出奔、本物のシエルに加担してしまう。
フランシス・ミッドフォード
声 - 田中敦子
エドワードとエリザベスの母親。ヴィンセントの妹。
非常に厳格で規律に厳しく、惰性と欲を何より嫌う。噂では、女王陛下主催のフェンシング大会において騎士団長のミッドフォード侯爵に圧倒的な強さで勝利したことがきっかけで、ミッドフォード侯爵に見初められ結婚した模様。結婚後も日々の鍛錬を怠らず、若き日の強さと美貌を保っている。フェンシングの他に狩猟も得意としており、シエルに狩り勝負を持ち掛けたこともある。男が前髪を伸ばすことを快く思っていない。また、シエルと顔を合わせる度に鍛え直そうとしている。一方では、誕生日を迎えたシエル(弟)に笑顔で祝福の言葉を述べる姿から、両親を亡くした彼を心底可愛がっている。シエル(弟)の病弱さを案じ、兄に進言したこともある。
セバスチャンのことを、前髪が長く「ふしだらな顔」であることから、「いやら執事」と呼ぶこともある。
アレクシス・レオン・ミッドフォード
声 - 中田譲治
エドワードとエリザベスの父親。英国騎士団団長にして公爵。厳格な雰囲気を漂わせているが、性格はお茶目。シエルを気に入っており、娘と共に彼に抱きついては、妻に窘められている。
ウェストン校では翡翠の獅子寮に所属し、ディーデリヒの寮弟だった。実はヴィンセントより年下である。
エドワード・ミッドフォード
声 - 山下誠一郎
エリザベスの兄。英国騎士団に所属。典型的なシスコンで、一家で唯一シエルを許嫁であると認めていない(※本心では妹のパートナーに相応しいと認めている)。幼くしてファントムハイヴ家の当主となり「女王の番犬」としての役目を果たしているシエルを尊敬している。
ウェストン校では翡翠の獅子寮に所属し、監督生であるグリーンヒルの寮弟になっている。過去に剣術を始めて間もないエリザベスに圧倒された経緯から、自らを「凡人」と自称しているが、妹を含め周囲の才能を嫉妬することなく追い求め、自らを天才へと近づける才能「一直線の尊敬(フルリスペクト)」の持ち主になっている。真夜中のお茶会での一件後、放校処分となったグリーンヒルらP4に代わる新たな監督生となるが、伝統に固執し殺人を正当化するP4の主張を理解できず、自身も盲信しかけた「伝統」という存在にへの疑念を残す事となった。
アンジェリーナ・ダレス
声 - 勝生真沙子 / 朴璐美
通称「マダム・レッド」または「アン叔母様」。結婚前から「レディ・レッド」と呼ばれていた。通称名は父親似の赤髪(レッドヘアー)を持ち、自身も赤を好むことが由来。元バーネット男爵夫人。レイチェルの妹。
美人であることから、「社交界の花形」「夜会の女王」などの美称を持つ。任務の一環で、とある舞踏会に潜入することとなったシエルにマナーなどの手ほどきをした。その一方、葬儀屋を笑わせようとする際に下ネタを連発するほどの下ネタ好きでもある。
若い頃は赤髪と姉の美貌に劣等感を抱いていたが、ヴィンセントに褒められて自信を持ち、彼に惹かれる。しかし彼は姉と結婚してしまい、それ以降は嫌っていた社交界に積極的に出るようになった。後に夜会で知り合ったバーネット男爵に見初められ、忘れられない人がいると告げるも「それでもいい」と言ってくれた彼と結婚し、子どもを身籠った。しかし後に馬車の事故に巻き込まれ、夫を亡くした上に自身も内臓破裂に見舞われ、妊娠していた子供と子宮を切除された。その後は看護師を経て、ロンドン王立病院の女医に就いた。
裏の顔は切り裂きジャック事件の犯人。動機は、気軽に子供を堕胎する娼婦たちへの嫉妬と怒りから。シエルに正体を見破られただけではなく、自分の好きな人を奪った姉への嫉妬から姉に似た彼を殺そうと目論むが直前に躊躇し、グレルに見限られてデスサイズで胸を切り裂かれ、1888年11月9日に死亡した。
一番可愛がっていたのは、シエル(兄)である模様(リジー談)。
ソーマ・アスマン・カダール
声 - 立花慎之介
逆さ吊り事件の捜査をしていたシエルたちの前に突如として現れた、ベンガル藩王国第26王子。17歳。
単純な性格であり、他人の言うことを鵜呑みにしたりすぐに立場を変えたりもする。好奇心旺盛で、初めて見る物には何でも興味を示す。宮廷育ちらしく我侭を言うことも多いが、セバスチャンに脅しに近い形で諭されたことやシエルの過去を知ってからは、ある程度控えるようになり、時には正論で諭すことがある。基本的に空気を読まないためシエルからは鬱陶しがられているが、シエルへの思いは真剣であり、「王子」というその身分を買われて頼み事をすることもある。
宮廷で自身の乳母役をしていたミーナを連れ戻しに英国を訪れた。カリー勝負後は、「自立した良い男」になるべくファントムハイヴ邸に居候しようとするが、シエルの口八丁によりアグニと共にファントムハイヴ家の別邸(タウンハウス)の管理を任された。
名門寄宿学校編では、本人に自覚は無いがコールを排除する駒として入学させられ、深紅の狐寮に配属される。クリケット大会では一流の技術を見せるほか、王族育ち故に幼少から英才教育が施されており、名門校の授業を「簡単すぎる」と言い切るほどの博識。また初めて見聞きすることに対する理解・飲み込みも早く、シエルからは「精神年齢が低いことに目をつぶれば、万能な人間」と評される(セバスチャン曰く「逆にその一点が全てを台無しにしている」)。
テレビアニメ版
第2期ではセバスチャンからシエルの記憶喪失を聞かされ、それがばれないよう芝居をすることを誓ったものの、再会するなり泣いて抱きつき、アグニが必死でごまかす。
アグニ
声 - 安元洋貴
ソーマの執事(カーンサマー)。ソーマと共にミーナ捜索のため英国を訪れた。旧名アルシャド・サティエンドラ・イヤー。1858年8月24日生まれ。主人のソーマの命令に対し、「御意のままに(ジョー・アーギャー)」と応じるのが決め台詞。
常に温厚かつ冷静で、ファントムハイヴ家の使用人トリオにも的確な指導をするなど、その器量はセバスチャンと互角。また、ソーマへの信仰心による自己暗示(サマーディ)で自らを強化することができ、フェンシング勝負で悪魔であるセバスチャンと対等に渡り合える程の卓越した身体能力を発揮する。何百種というスパイスから最高の調合を行い、奇跡のカリーを作り出す「神の右手(カーリーの右手)」を持つ。司祭階級(バラモン)に生まれながらも堕落した父や自身も神を信じられず冒涜と悪逆の限りを尽くし、処刑される寸前に自らを救い出して改心させてくれたソーマを、「神」と慕う。
「インド帰り逆さ吊り事件」の真犯人。ミーナの本性をソーマに知らせたくないがためにハロルド側に付き、彼の計画に従っていた。その後はカリー勝負でセバスチャンと対決し、同等の実力と評されるが、ヴィクトリアの裁量によって敗北した。それ以降、セバスチャンにとっては数少ない人間の友人の1人となっている。
「青の教団編」にて、別邸を襲撃した何者かからソーマを守るため応戦、ソーマを退避させるも、自身は彼を守りぬく形で全身を刃物で切り裂かれ死亡する。1889年11月15日没。その生き様はセバスチャンからも執事の鑑として賛美された。
ニナ・ホプキンス
ファントムハイヴ家専属の仕立て屋。シエルや使用人たちの衣類デザインを一手に引き受ける。自他ともに認めるレズビアンおよびショタコンで、女性と15歳以下の少年しか興味がない(本人談)。シエルとメイリンにはセクハラに近い態度で接するが、フィニとバルドには素っ気ない。
脚の露出は羞恥とされる当時の英国の風習に反し、ブルーマー・スタイル をデザインに取り入れる等非常に前衛的な性格であり、格式を重視するセバスチャンとは反りが合わない。
ピット
新聞記者。ファントムハイヴ家とはヴィンセントの代から関わりがあり、幼少期のシエルの写真も撮っていた。「女王の番犬」としての一面も把握しており、有事の際には協力している。

王室関係者

ヴィクトリア
声 - 瀬田ひろ美
英国女王。英国史上最も輝かしい歴史を築いた女王であり、世界中に植民地を広げ、英国を「太陽の沈まない国」と称されるまでに発展させた。政治的手腕と服や行事・ダンスに至るまで様々な流行を発信し、国民から絶大な支持を得ている。『暴れん坊伯爵』のモデルという噂もある。
劉曰く「結構キャラが濃い」人であり、亡き夫・アルバートを未だ愛する余り、彼との思い出が蘇る度に所構わず泣き崩れることもしばしば。シエルを「ぼうや」と呼び、シエルの父・ヴィンセントのことも高く買っている。シエルが唯一頭が上がらない人物である。
シエル曰く「世界を変える蝶の羽ばたき(=バタフライエフェクトの発端)が見える」とのこと。また、自身の要求を満たせない者への処罰は厳格であり、ノアの方舟サーカスの事件の顛末に疑問を持ち、シエルの「女王の番犬」としての資質を再度試している。
テレビアニメ版
声 - 川澄綾子
原作とはまったく異なる人物となっており、素顔は常に黒いレースで覆われ、会話は全て従者のアッシュに代弁させている。カリー審査会場へ馬で乗り入れるような大胆さもない。その素顔は少女の姿で、亡き夫の身体に自身を接いだ不老不死。シエルが探し求めた黒幕の正体で、浄化のためにシエルの両親を始末し、それまでの忠義に対するせめてもの弔として両親を結合させたと語った。身体が腐りかけた時にアッシュによる浄化を女王が拒んだことから彼に見限られ、そのまま死亡した。
ジョン・ブラウン
ヴィクトリア女王の馬丁を務める男性。凄腕の鞭使い。常にゴーグルを着けており、素顔は不明。ヴィクトリアの馬に踏みつけられても平然と起き上がったり、シエルのポケットに気づかれぬままヴィクトリアの手紙を忍ばせたりと、身体能力は非常に高い。アルバートを思い出したヴィクトリアが泣き崩れる度に、彼を模したパペット腹話術で彼女を慰めている。
テレビアニメ版には第1期・第2期ともに登場せず、役割は後述するアッシュに取って代わられている。
チャールズ・グレイ
声 - 木村良平
女王守護を執り行う秘書武官兼執事。フィップスとコンビで「Wチャールズ」と呼ばれている。一人称は「ボク」。ウェストン校翡翠の獅子寮OB。白を基調とした燕尾服をまとっており、髪も白い。
グレイ伯爵の爵位を持つが、当主となって日が浅いという。「紅茶に名がつく程の名家」出身といわれていることや、祖父が首相を務めていたという事から、実在する貴族グレイ伯爵家の当主という設定であると思われるが、彼自身は架空の人物であり、史実の「首相の孫のグレイ伯爵」は第4代グレイ伯爵アルバート・グレイである。
剣術を得意としており、バルドとメイリンを一蹴するほどの実力を持つ。また、誰に対しても不遜と言えるほどの態度を示すが、大食漢で幽霊や蛇などが苦手。影でシエルを「クソガキ」と蔑んでいる。
ヴィクトリア女王の命を受け、ファントムハイヴ家で行われた正餐会でジーメンスを騙して殺害し、事件を調査していたセバスチャンをも殺害してその罪をシエルになすりつけようとするが、シエルたちの策略によって失敗する。その後真犯人の濡れ衣を着せられたウッドリーを連行中に殺害する。
テレビアニメ版では第3期に登場。ケルヴィン男爵、彼が監禁していた子供たち、そしてノアの方舟サーカス主要団員たちの終焉を見届けた。
チャールズ・フィップス
声 - 前野智昭
女王守護を執り行う秘書武官兼執事。グレイとコンビで「Wチャールズ」と呼ばれている。一人称は「俺」。ウェストン校 翡翠の獅子寮OB。
寡黙であり、「女王の命令は絶対」という揺るがぬ信念を持っている。「~が出来てこそ一流の執事」が口癖で、ほぼ全ての事柄を完璧にこなす万能人。可愛いものが好きで、刺繍のセンスに関してエリザベスと気が合う。
テレビアニメ版では第3期に登場。グレイと共にケルヴィン男爵らの終焉を見届けた。

裏世界の住人

劉(ラウ)
声 - 遊佐浩二 / 同左
中国の貿易会社「崑崙(コンロン)」の英国支店長兼上海マフィア青幇(チンパン)の幹部。華僑。一人称は我(わたし)。身長177cm。
シエルに英国内で阿片窟を開く許可を得る代わりに、東洋人街の管理を請け負っている。普段は中国服を着ており(舞踏会に出席した時は変装の辻褄合わせのため、燕尾服を着用)、身軽な服装の下に鍼(本人曰く治療用)を忍ばせている。
飄々として知ったかぶりをすることが多く[注釈 3]、真実をほのめかすような発言をしてはシエルたちを苛立たせている。また、「新年会の眠れる虎」を自称しているが、ギャグセンスは皆無[注釈 4]である。
本性は開眼した時に垣間見え、とぼけたような発言とは裏腹に、自らのシマを荒らした者は決して許さない冷酷な一面も併せ持つ。
作者曰く「連載当初から最も変化したキャラクター」。
モノクロページでは衣装のスクリーントーンにラーメンどんぶりの柄を用いているため、作者とアシスタントからは赤執事編まで「ラーメン」と呼ばれていた。
テレビアニメ版
第1期でとある事件をきっかけにシエルから離反し、藍猫と共に逃亡を図る。自分を追ってきたシエルに「君の駒であることに退屈した」と吐き捨てて殺そうとしたが、それを阻んだセバスチャンに成敗されて藍猫と共に海へ落下し、死亡したかのように描写されていたが、第2期では藍猫と共に何事も無かったかのように生きており、関係も以前の頃に戻っていた。その後、セバスチャンの頼みにより記憶を失ったシエルに離反前と同じように接する。
第1期第20話では「ラウ・ターレン」と呼ばれているが、これはフルネームではない(「ターレン」とは、中国語での敬称「大人」のことであり、日本語での敬称「様」に相当する)。
藍猫(ランマオ)
声 - 矢作紗友里 / 同左
劉の義妹。丈の短いチャイナドレスを纏った美少女。身長158cm[注釈 5]
寡黙で無表情であり、喋る時は片言で、ほぼ劉に促される形で喋る。巨乳。
常に劉の傍らに控えているほか、を持った姿も見受けられるなど、彼の用心棒を務めていることもうかがえる。身体能力はかなり高い。
テレビアニメ版
寡黙で無表情な一方、劉のことを「義兄さん」と呼ぶ姿も見受けられる。また、チャイナドレス以外にも露出度の高い衣装で平然と表へ出るうえ、見えてはいけない箇所が見えても平然としたまま戦うことが多い。第1期ではシエルから離反した劉と共に逃亡を図ってセバスチャンに倒されるが、第2期では劉と共に登場を果たしている。
クラウス
声 - 梁田清之 / 羽野だい豆
シエルの古い知人。裏社会に通じており、シエルに情報を与える。イタリア語を喋っているシーンもあるなど、国籍は定かではない。
シエルからの要請でイタリアに麻薬密売の調査に赴いていたほか、ヴィンセントの存命中はドイツに赴いていたりと、英国内よりも海外での活動を主としている様子。
アズーロ・ヴェネル
声 - 平田広明 / 鳥海浩輔
表向きはイタリア貿易商の社長だが、実はイタリアン・マフィアの中堅幹部で英国への麻薬の密売を担当していた。シエルを誘拐するが、セバスチャンによって壊滅させられる。
ディーデリヒ
声 - 浜田賢二
ヴィンセントの代から付き合いがあるドイツ人貴族。ヴァイツゼッカー男爵。ウェストン校では翡翠の獅子寮の監督生だったが、クリケットで紺碧の梟寮に負けて、ヴィンセントの寮弟となった。青年時代は細身だったが大食漢のため、現在はメタボ体型。しかしバルドを下したヴォルフラムを翻弄させるなど、俊敏に行動することもできる。
「狼の谷」の調査を事前にシエルから要請されており、ヴォルフラムに捕らえられたシエルを救出し、一行の脱出を援護した。

死神

グレル・サトクリフ
声 - 福山潤
バーネット邸の執事。気が弱く、茶も碌に淹れられない程に不甲斐無い(テレビアニメ版ではファントムハイヴ家へ修行に出されたほど)が、歌は上手い。身長175cm。
正体は赤(血)を好む狂気に満ちた死神であり、赤い長髪のオカマ。「これでも執事DEATH(デス)★」が決め台詞。所属は死神派遣協会の回収課で、自身用にカスタマイズしたチェーンソー型の死神の鎌(デスサイズ)を持つ。
セバスチャンを「セバスちゃん」と呼んで惚れ込んでいるものの、本命はウィリアムとの事。邪険に扱われるほど(自分が)興奮する性癖。セバスチャンの頼みには弱く、嬉々として言うことを聞いている。
マダム・レッドの殺人に手を貸し、更に彼女を殺害した事から規定違反とみなされ、ウィルに折檻され引きずられながら去った。その後、謹慎処分を受け姿を見せずにいたが、豪華客船編で謹慎を解かれ、カンパニア号が衝突した氷山から同船に乗り込み、ロナルドと共に1000名以上の魂回収と、"動く死体"の調査を行った(アニメでは第3期「サーカス編」で謹慎が解かれ、異常なテンションでファントムハイヴ家へ魂回収に向かうもセバスチャンとシエルはケルヴィン男爵家に潜入中で留守にしており、嘆きつつ魂の回収を行った)。
原画の時点では「ショ」が語尾についていた。
テレビアニメ版
謹慎処分になっておらず、一時的に下働きへ降格された上でチェーンソー型の死神の鎌を没収された代わりに、2つの鋏(切れ味だけは以前のもの同様に優れているものの、威力は激減している)を持って再登場。その後は鋏すらも没収され、さらに小さな2つの鋏を使っている。第1期第24話では緊急事態によりウィルによって一時的にチェーンソーを得た。
死神派遣協会に入会する時の評価は実技・AAA、筆記・B、倫理・C。
ウィリアム・T・スピアーズ
声 - 杉山紀彰
死神派遣協会管理課の死神であり、通称ウィル。眼鏡を掛けた七三分けの男性。身長182㎝。
沈着冷静かつ几帳面で真面目な性格。残業は許さず、規定違反を犯した者には容赦ない。グレルとは同期であるため、彼の不始末の尻拭いをさせられることも多く頭を悩ませており、鉄拳制裁で憂さ晴らししている。セバスチャンら悪魔を(人間と契約していようがいなかろうが関係なく)「害獣」として忌み嫌っている。伸縮式高枝伐りバサミ型の‘死神の鎌’を持つ。
サーカス編ではノアの方舟サーカス団の新人「スーツ」という芸名で潜入していた。死神としての本性をまったく隠せておらず、周囲の目を気に留めずにセバスチャンを「悪魔」と呼んでいたが、団員たちからはギャグと受け取られていた。図らずも自分がセバスチャンと同じテントに部屋を割り当てられた際には、セバスチャン共々表情を強ばらせる一方で、‘死神の鎌’を使ってテント内に自分の「領域」を勝手に線引きしたり、喘息の発作を起こして身動きが取れなくなったシエルの命令で調査に赴こうとしていたセバスチャンを「飼い主と一緒にいない悪魔のせいで残業を増やされたくない」として妨害していた。シエル達がサーカス団での調査を終えた後はケルヴィン男爵邸の魂回収へ赴く。
ロナルド・ノックス
声 - KENN
若手の死神。軟派な若者のような、軽薄で小生意気な性格だが本人曰く「残業しない主義」で、愚痴をこぼしながらも与えられた役目はきっちりこなす。またそのために、「現場に居合わせた」という事実だけで残業の原因になりかねない悪魔に対しては非常に攻撃的。
グレルとウィリアムの後輩で、グレルを「サトクリフ先輩」と呼んでいる。趣味は合コン。所属部はグレルと同じ回収課であり、総務課の女性死神と仲が良いらしい。芝刈り機型の‘死神の鎌’を持つ。
ノアの方舟サーカス編にて初登場。ウィルの増援として現れケルヴィン男爵邸で魂の回収を敢行した。
豪華客船編では、カンパニア号2等客として乗船。仕事の時間まで他の客とエールを飲んで過ごし、以降は1000人以上の魂回収と"動く死体"についての調査を実行する。その後、葬儀屋と戦闘中にセバスチャンによって完膚無きまでに殴られ、戦闘不能に追い込まれた。
テレビアニメ版
第2期第9話にて、アロイスの魂の異変を察知してセバスチャンと接触。
「次の死神はロナルド・ノックスDIE(ダイ)!」という庶務課の女の子に考えてもらった決めゼリフで登場した。
葬儀屋(アンダーテイカー)
声 - 諏訪部順一
不気味な声音で話す長い銀髪の男。黒装束に身を包み、顔と首、左手の小指に傷があり、目は前髪で隠れており、外からは見えない。一人称は「小生」。シエルの知人であり、彼に度々情報を提供している。趣味は棺に入れる前の遺体の検死。腰には彼が今まで埋葬してきた者達の毛髪を使用したメモリアルジュエリーを下げており、中にはシエルの祖母・クローディアのものがある。(後に豪華客船編でシエルに引きちぎられ、彼に「預ける」形で置いていく)
セバスチャンも認める変人。葬儀屋としての顔とは別に、裏社会における秘密裏の死体処理およびそれらの死体の情報を扱う情報屋としての顔も持っており、情報料には極上の笑いを要求する。客へ出すお茶をビーカーに入れたり、骨壺に骨型のクッキーを入れてもてなしている。
豪華客船編終盤にて死神としての本性を表わす。50年前に死神派遣協会を脱退しており、眼鏡もかけていない[注釈 6]。何らかの理由で現世へと降り立ったようで、「魂回収後の肉体に、レコードの続きを挿入したらどうなるのか」という自分の興味を満たすため、動く死体「歪んだ肉人形(ビザール・ドール)」を造り出した。大鎌の形をした死神の鎌(デスサイズ)を使用し、戦闘能力はセバスチャン・グレル・ロナルドの三人を圧倒するほど。また、無数の板塔婆を使いこなして相手を攪乱させる。なお、死神の鎌は派遣教会から許可を得て使用する支給品であり、脱退時には必ず回収されるため、持ち出した方法は不明。死神派遣協会からは「違反者」と見なされ、現在はシエルと死神の二勢力からその行方を追われている。
寄宿学校編ではウェストン校の校長として暗躍していたことが発覚する。デリックらの遺体に本人達の「未来への願望」をレコードの続きとして挿入し、より生者に近い「歪んだ肉人形」の開発に成功している。正体発覚後はウェストン校を去り、何らかの所用でフランスを訪れていたことがディーデリヒから語られている。また、彼の元を訪れた際に、亡きヴィンセントの写真に涙し「ファントムハイヴ伯爵はまだいる」という、意味深な言葉を残している。
ファントムハイヴ編では、これまでの実験の成果によって蘇生した「本物のシエル」を連れて現れる。
テレビアニメ版
原作以上に出番が多い。第1期第17話では、グレルの死に顔を貶したために壺へ入れられて塩漬けにされており(本人は気に入っていた模様)、この時だけは情報料を免除した。第18話では「伝説の死神」であった。素顔は、グレルが惚れるほどの美形らしい。マリー・アントワネットロビン・フッドといった有名な人物の魂を扱った過去を持つが、現役は引退済み。死神派遣協会では、管理官クラスの役職に就いていた模様。ウィルやグレルでは扱えない最終兵器(デスブックマーク)を使用する場面も見受けられる。
ローレンス・アンダーソン
OVA『死神ウィルの物語』に登場。死神派遣協会の中枢ともいえる眼鏡課の課長。通称おやっさん。最終試験に合格した全ての死神の眼鏡を制作している伝説の人。
アラン・ハンフリーズ
『ミュージカル黒執事 -The Most Beautiful DEATH in The World- 千の魂と堕ちた死神』に登場する、舞台オリジナルキャラクター。ポールウェポンのように柄の長いナタ型の‘死神の鎌’を持つ。死神派遣協会ではウィリアムも一目置くほどの優秀な優等生死神。真面目で責任感が強い性格。新人時代、エリックが教育係を担当しており、彼よりも好成績を残している今も彼に憧れている。死神がかかる死の棘が心臓に突き刺さる呪いにかかってしまう。その呪いを解こうと「穢れのない千の魂」をエリックが集めていることを知り、自分のせいで彼が手を汚し、死神派遣協会から追われる身になることを悔やみ、エリックと共に死神派遣協会を追われる道を選ぶ。「穢れのない千の魂」を集めることを止める代わりに自分が死んでも彼のパートナーでいることを望む。しかし、アランの命を救うためにアランに内緒でまだエリックが「穢れのない千の魂」を集めていることを知り、これ以上エリックの手を汚してほしくない一心で千個目の魂として狙ったシエルの盾となりエリックの一撃を受け、死亡。
アニメ第2期OVA「死神ウィルの物語」にてエリックとともに一瞬登場した。アニメ第3期第3話にも登場。
エリック・スリングビー
『ミュージカル黒執事 -The Most Beautiful DEATH in The World- 千の魂と堕ちた死神』に登場する舞台オリジナルキャラクター。のこぎり型の‘死神の鎌’を持つ。実力のある死神であるのだが、不真面目で職務態度はよくない。アランが新人時代、彼の教育係をしていた。アランが死神がかかる死の棘が心臓に突き刺さる呪いにかかっていることを知り、唯一呪いを解く方法である「穢れのない千の魂」を集めるようになる。そのことが死神派遣協会にばれ、追われる身になってしまうがドルイット子爵の協力もあり、999個までの魂を集める。しかし、最後の千個目としてシエルを狙い、自分を止めようとシエルの盾となったアランを斬ってしまい、自分の手で殺してしまう。アランを救えなかったことと自分の手で殺してしまったことに絶望し、セバスチャンに殺してもらうことを望み、セバスチャンの手でアランの死神の鎌で斬られ死亡。
アニメ第2期OVA「死神ウィルの物語」にてアランとともに一瞬登場した。アニメ第3期第3話にも登場。
ザーシャ
死神派遣協会ドイツ支部の回収課の死神。一人称は「僕(ぼく)」。首からカメラを下げており、遺体の撮影なども担当している。「自殺者への罰」とされる死神の職務を「天職」として楽しんでいる。
人間の歴史や進化に異常なまでの興味を抱いており、SuLINを生み出したサリヴァンが英国に亡命したことを「(英独間の)最高の牽制」と称し、世界的な大戦争勃発の可能性を予見している。「ヒマじゃないから」という理由で戦争を良しとしているため、ルドガーからは「変人」と称されている。また、シエルを「面白い経歴をもった子」と評している。
ルドガー
ザーシャ同様、死神派遣協会ドイツ支部の回収課の死神。一人称は「俺」。やや気怠げな性格であり、愛煙家。スーツにスニーカーという、ラフな服装を好んでいる。シエルを初めて見た際に女子と間違えており、ザーシャに訂正されて驚いている。
シエルが自身達の存在に気づいた事に驚きながらも、「『死』に近い人間に『死そのもの』である死神は気づかれやすい」と推測している。なお、ザーシャに回収の時間を知らせるなど、仕事はきちんとしている模様。電動剪定機型の死神の鎌を持つ。
オセロ
死神派遣協会科学捜査科所属の男性。ロンドンで頻発する失血死事件の調査のため、グレルと組んで行動する。戦闘は不得手で、死神の鎌はカスタムされていない草刈鎌型。
科学技術や複雑な機械に造詣があり、一目見ただけでその装置の大まかな用途を理解できる。グレルとはあまり気が合わないが、考え方は似ているところがあり、「事件の首謀者を捕えて折檻」というマッドサイエンティスト染みた気質も持っている。

ノアの方舟サーカス

ケルヴィン男爵
声 - 茶風林
貧救院を経営する貴族で、ジョーカーらの父親的存在。ジョーカーに宛てた手紙では「笛吹きの息子・トム」と名乗る。ジョーカー達からは「お父様」と呼ばれている。
かつて夜会で出逢ったファントムハイヴ家の裏の顔を知って魅了され(シエルも生前の父と共に夜会に参加した際に、ケルヴィンに会った事をおぼろげに覚えていた)、以降は執拗に同家へ執着するようになる。しかしヴィンセントが自身に興味を示さなかった事から、「『特別な人間』には『特別な人間』しか触れられない」「醜い顔の自分には、ファントムハイヴ家に触れる事さえ許されない」という思い込みから、己には無い魅力を欲するあまり、自分を整形手術で少女の人形のような姿に変え、ジョーカー達に子供を誘拐させては薬漬けにして自我を奪ったうえでサーカスじみた見世物をやらせて殺害するなど、徐々に変態的な行為へ走るとともに子供じみた言動へ変貌していった。整形手術の傷痕が残っているためか、顔面は左目と口以外は包帯で覆われている。また、両足は先生の手術により切断されている。
足の不自由から、3年前にシエルが生贄として捧げられた黒ミサには参加しておらず、ジョーカーから「入団した新人は、警察のスパイかも知れない」と報告を受け、その「新人」が2人組である事から、彼らがシエルとセバスチャンだと確信し、積年の思いを果たすために自分の屋敷の地下で再び黒ミサを再現しようと目論む。しかし、激昂したシエルに銃撃されて重傷を負い、最後はセバスチャンに頭部を踏み潰されて死亡した。その後、シエル達はケルヴィンが経営していた貧救院へ向かうが、院はとうの昔に廃墟と化していたことが判明する。ジョーカーがケルヴィンの助命を乞う言葉から、貧救院の子供達全員が既にケルヴィンの犠牲になったことが示唆されている。
ジョーカー
声 - 宮野真守
サーカス団のまとめ役(本人曰く「自分は『雇われ団長』で、実際の団長は別にいる」とのこと)。担当演目は道化師(ジョーカー)。道化師を演じている間は京言葉で話す。
普段は誰に対しても陽気に振る舞っているが、ケルヴィンの命令で罪を犯している負い目から、ビーストをはじめ団員達と精神的に距離をとっている。ケルヴィンの異常な行動を嫌悪しながらも、孤児だった自分達を育ててくれた恩ゆえに従わざるを得なくなっている。
右腕は骸骨のような義肢で、前腕部には短剣が仕込まれており、戦闘の際は義肢に仕込んだ刃物に加えて杖で戦う。ケルヴィンを撃ったシエルに襲いかかるが、セバスチャンに左腕を切り落とされ、ケルヴィンの助命を乞う。最期は自身の人生を嘆き、スネークを除く一軍メンバーの死、先生の本性、そして自らの義肢の原料を知り、深い絶望に打ち拉がれながら出血多量により死亡した。享年25歳。
ウィルの審査情報によると、「娼婦カレン・テイラーの息子、1863年4月2日生まれ、1889年2月9日死亡、本名記載なし」と記されている。グレルの際にボツにされてしまったため、「今度こそ!」というコメントと共に原画の時点では「ショ」が語尾に付く設定が記されていた。
ビースト
声 - 甲斐田裕子
一軍団員。担当演目は猛獣使い。黒い巻き毛の美女。「ベティ」という名の虎を飼っている。猛獣使い用の鞭は裏の仕事での武器としても使っている。左足が義肢。ジョーカーに想いを寄せている素振りを見せているが、ジョーカー自身が距離を保っている事から、報われない想いとして葛藤している。
セバスチャンがベティとスキンシップを取ったことでショーを台無しにされて以来、セバスチャンのことを「変人」と呼ぶようになるも彼の誘惑に陥落し、ケルヴィンの名を教えてしまう。
その後、ファントムハイヴ邸へ乗り込んだ際にはダガーと共に行動していたが、バルドとフィニによって厨房へ追いつめられる。自分を庇ったダガーをバルドに射殺され激昂し鞭を振り回すが、それによって厨房内に小麦粉が充満し、バルドの投げ込んだマッチの火で粉塵爆発が発生し、爆死した。享年24歳。
グレルの審査情報によると、「スカラリーメイド(鍋洗い等を担当する下級メイド)・アメリアの娘、1864年5月22日生まれ、1889年2月9日死亡、本名:マリー」と記されている。
ダガー
声 - 岡本信彦
一軍団員。担当演目はナイフ投げ
マイペースで明るい性格の少年。ビーストを好いており、彼女のことを「姐さん」と呼び、手を出した者には容赦なく制裁を加える。右足が義肢。
ファントムハイヴ邸へ乗り込み、ビーストと共に行動していたが、厨房へ追い詰められた後にバルドのマクシム型重機関銃の掃射からビーストを庇い、彼女の腕の中で死亡した。
作者とアシスタントからは服があまりにもシマシマすぎたため「食い倒れ太郎」と呼ばれている。
ドール
声 - 高垣彩陽
一軍団員。担当演目は綱渡り
少年のような風貌と言動だが、実は女性。公演中はジョーカーに「お姫さん」と呼ばれている。顔にソバカスがあるため、シエルから「ソバカス」と呼ばれている。顔の左側に火傷の痕があり、普段は前髪(公演の際は花飾り)で隠している。面倒見が良く快活な性格。同じような境遇に育った(と思っている)シエルに何かと気を遣い、思い入れも深い。また、ジョーカー達からは実の妹のように可愛がられており、心から彼らを慕っている。一軍でありながら本人曰く「眠れないから」という理由から一人部屋を嫌う。ファントム社のキャンディをこよなく愛している。
シエルが一軍のテントへ忍び込んだ際に発見し、そのまま一軍のメンバーに見つからないように逃げ道を案内した。しかし、スネークの蛇によってそれが露見し、ピーターには平手打ちをされてしまう。
状況をジョーカーへ伝えるために馬でケルヴィンの屋敷へ向かうが、シエルとセバスチャンによって既にジョーカーやケルヴィンは亡くなり、彼らがファントムハイヴの者である事をシエルに告げられ、悲壮と絶望の内に激昂して彼らに襲いかかる。
彼女のその後は明確に描かれていないが、砕けたキャンディや緑の魔女編での葛藤するシエルの前にジョーカーらと共に姿を見せている事から、セバスチャンによって絶命された事が示唆されている。
ピーターとウェンディ
声 - 泰勇気(ピーター)、新谷真弓(ウェンディ)
共に一軍団員。担当演目は空中ブランコ
小柄で幼い風貌の2人組(劇中の描写から双子とうかがえる)。武器はワイヤー。何らかの疾患により身体的成長が止まっており、実年齢は外見よりも上。そのためにセバスチャンを「坊や」と呼び、団員たちからは「兄さん/姉さん」と呼ばれている。
ファントムハイヴ邸へ乗り込んだ際、ジャンボを始末したフィニへ襲いかかり、ワイヤーでフィニの首を切断しようと目論むが、遠方からのメイリンの狙撃によってウェンディが射殺される。残されたピーターは狙撃を止めるべく先にメイリンを倒そうとするものの力及ばず、逃走を図った際に同じく射殺された。
ジャンボ
声 - 小柳良寛
一軍団員。担当演目は火吹き芸。大柄な禿頭の男。強面だが、心優しく面倒見が良く、怪力が自慢。何らかの疾患で体格が育ち過ぎており、ケルヴィンに拾われる以前から大柄だった。
ファントムハイヴ邸へ乗り込むがフィニと鉢合わせてしまい、圧倒された末に撲殺ないし圧殺される。
先生
声 - 三上哲
サーカス団の専属医で義肢職人。ジョーカーたちに義肢を提供した車椅子姿の男性。本名は不明。
表の顔は温厚かつ誠実な人柄を装っているが、その本性は理想を追求するあまり、「特別な素材」として人骨を使っての義肢製作に傾倒している狂科学者。ケルヴィンの命令の基にジョーカー達が誘拐した子供達の死体から骨を抜き取って義肢を製作していたうえ、車椅子姿もジョーカー達を欺くための偽装であり、普通に歩ける健常者であった。「特別な素材」の詳細を知ったシエルから非難されても全く悪びれていないどころか、彼を「『製品の出来栄え』よりも『〈素材〉と〈過程〉』に拘る石頭」と軽蔑していた。
最期は「女王の番犬」への鞍替えをシエルに平然と申し出るが、彼の命を受けたセバスチャンの手刀打ちで胸を突き破られ、死亡する。

ファントムハイヴ邸連続殺人事件編の人物

アーサー
声 - 浅沼晋太郎
眼科医兼、若手の売れない小説家。気が弱いが冷静な性格。服の袖口にメモをとる癖がある。マイナー誌に一度だけ掲載された長編小説をシエルがいたく気に入っていた経緯から、ファントムハイヴ邸で行われた正餐会へ招待され事件に遭遇する。
事件解決後帰路につきかけた際、ジェレミーのある発言から事件の不審点に気付きファントムハイヴ邸へ引き返し、事件の裏に蠢いていたシエルとヴィクトリア女王の思惑、「女王の番犬」としてのファントムハイヴ家、そしてセバスチャンが異形の存在である事を知る事となった。
見知った真実を一切口外しない事を条件に帰路につく事を許されるが、自身の想像を超越する体験をした事から強い執筆欲に駆られ、絶筆を考えていた「例の主人公」の作品を始め数多くの作品を生み出し続けた。後年にはファントムハイヴ邸の事件を基にした小説も書いていたが、後に暖炉に入れて焼却した。作中で語られる事件の全容は、この小説を基にしている。また、ウェストン校の事件後にシエル達がロンドンを訪れた際に、書店で新しい歴史小説を発見し、シエルが購入している。
当時の時代設定、ファーストネームや職業などの人物設定から、素性は後に英国を代表する有名な推理小説家であることが仄めかされている。
ゲオルグ・フォン・ジーメンス
声 - 野川雅史
ヴィクトリア女王陛下の遠縁にしてドイツからの客人で、正餐会の主賓。バンベルガー銀行名誉役員。
堅物で厳格な人物だが非常に酒癖が悪く、酔っ払ってアイリーンやメイリンに手を出すなどの一面も見られる。また、熟成中のワインを勝手に拝借する一面も見せる。
正餐会の夜、ファントムハイヴ邸の客室で何者かに殺害されているところを発見されるが、それはグレイに唆されての狂言だった。しかし、正餐会の目的はヴィクトリア女王の仕組んだドイツ軍事力強化阻止のためのジーメンス殺害であり、その命を受けていたグレイによって、後に本当に殺害される。
カール・ウッドリー
声 - 櫻井トオル
ダイヤモンド研磨業を営むウッドリー社の社長。正餐会の招待客。
プライドが高く、企業の経営者として、シエルに密かに対抗意識を抱いている。事件が起こると真っ先にシエルを疑い、彼に殴りかかろうとしてタナカに止められた。
ダイヤで手に入れた非合法な武器を紛争地域に売り捌く武器商人という裏の顔を持ち、裏社会のルールへの「違反者」として、シエルたちに目をつけられていた。
シエルたちの策略で連続殺人事件の真犯人の濡れ衣を着せられて連行されるが、シエルに罪を着せられず苛立ったグレイの腹いせに頭部を剣で貫かれ、死亡する。
パトリック・フェルペス
声 - 渡辺拓海
造船・海運企業の大手であるブルー・スター・ライン社の御曹司。正餐会の招待客。非常に気が弱く常におどおどしているが、会社の貿易課を任されるほどの手腕を持つ。劉とは商売敵の関係にある。
死亡したジーメンスの隣室での宿泊を恐れたため、シエルの部屋を借りることになるが、彼の命を狙って侵入したスネークの毒蛇に誤って毒殺される。
グリムズビー・キーン
声 - 徳本英一郎
有名な舞台演出家。正餐会の招待客。正餐会に連れ添ったアイリーンとは密かに交際している。
明るい性格だが気が短く、喧嘩っ早い。酔った勢いでアイリーンに手を出したジーメンスに激昂し、トラブルを起こしかけている。
アイリーン・ディアス
声 - 宮本茉奈
オペラ歌手。正餐会の招待客。
国立劇場を満席にするほどの実力と美貌を持つ。アンチエイジングの一環として赤シソのエキスを飲んでおり、若々しい容姿を保っている。
ファントムハイヴ邸連続殺人事件の後グリムズビーとは別れ、新たな恋人が出来ている。馬車の事故により出演する舞台に遅れていた所を駆けつけたセバスチャンと再会し、ファントム社の香水の広告塔に立つ事を条件に、劇場まで送り届けられた。
ジェレミー・ラスボーン
声 - 小野大輔
教会の牧師。シエルとは昔からの知り合い。
セバスチャンが密かに手配した伝書梟の手紙を受け取り、嵐の中をファントムハイヴ邸にやって来る。
アーサー以上の観察眼を持ち、ファントムハイヴ邸連続殺人事件の捜査に乗り出す。
正体は変装したセバスチャン。捜査の際には常に先回りする形で、自身の死体役とジェレミー役とを行き来していた。また、ジェレミーとしてセバスチャンの遺体を検死する際には遺体をフェルペスにすり替え、後にグレイ伯爵が白布を剥ぐまでに着替えて死体役に戻っている(その際、手袋だけ殺害当時のものに替え忘れている)。
自身が“シロ”だという証拠となったライシーアム劇場の『湖上の美人』のチケットは、前日にセバスチャンが夜会を抜け出して実際に鑑賞したものであるが、2分しか観られなかった。

豪華客船編の人物

リアン・ストーカー
声 - 石川界人
カルンスタイン病院の院長にして、暁学会の会長。肉体や精神、果ては天候などあらゆる健康を好み、あらゆる不健康を嫌う。
「克服できない最大の不健康=死」という持論から、死という厄災を回避できれば人間は完全救済されるという意思の下、死者甦生の技術開発に没頭していた。葬儀屋の協力で「歪んだ肉人形(ビザール・ドール)」を造り出し、それを「死者甦生」と謳って豪華客船にて披露するが、失敗してパニックを引き起こす。実際は葬儀屋の興味と「歪んだ肉人形」を欲しがる人間による実験を実現させるため、利用されていたにすぎなかった。
最後は船首が持ち上がったカンパニア号の床を滑り落ち、転落死した。享年34。
マーガレット・コナー
カンパニア号処女航海日の2週間前に不運な事故で命を落とした少女。享年17。
死後、暁学会の研究発表会にてリアンから完全救済(蘇生措置)を行われ、「歪んだ肉人形」と化す。棺桶の中でシェザンナを噛み殺した後に外へ出て動き出すが、最後はロナルドに死神の鎌で頭部を砕かれ、完全に死亡した。
審査に入ったロナルドが走馬灯劇場(シネマティックレコード)を確認すると、走馬灯劇場が無いことが発覚する。これにより、完全救済措置を行われた故人は「蘇生したのではなく、死体のまま動いている」という事実が判明した(2週間前の事故死の際、ロナルド自身の手でマーガレットの魂は審査されている)。
シェザンナ・コナー
マーガレットの母親。1841年7月23日生まれ。享年47。
事故死したマーガレットを復活させるため、リアンらと共にカンパニア号に乗船していた。リアンの力により「復活」したマーガレットに熱い抱擁を行うが、「歪んだ肉人形」と化していた彼女に噛み殺されてしまった。

名門寄宿学校編の人物

校長
ウェストン寄宿学校の校長。生徒及び教職員からは絶対的存在として扱われ、校長の名義で行われる権限の執行は疑問を抱くことすら許されない。面会にも副校長・P4・P4の寮弟・学園祭での優秀者といったごく僅かな立場の者しか許されておらず、平時は副校長を通じて指示を下し、表向きに顔を出すことも稀なためその人物像は謎に包まれていた。シエルの追跡により発覚した正体は知己の葬儀屋であった。
ヨハン・アガレス
ウェストン寄宿学校副校長。多忙な校長の代わりに学内の一切を執り仕切っている。よくドジをふむ。
実はデリックと癒着しており、彼のいじめを隠蔽し、それを知ったグリーンヒルら監督生らにデリックとともに殺害され「歪んだ肉人形」にされていた。挙動が不自然だったのはそのためだったが、葬儀屋によると人形としての機能は優秀だった模様。

P4

シエル編入時の監督生である4人の通称。「P」は監督生を指す「プリーフェクト」の頭文字。寮も性格も様々だが全員が固い絆で結ばれた親友同士で、ウェストン校を愛しその伝統を重んじている。

その信念ゆえに伝統を穢す者を許せず、1年前にデリックやアガレスを衝動的に殺害し、「暁学会」にデリックたちの蘇生を依頼して事件の隠蔽を図った。シエルにより真相を暴かれた後、デリックのスキャンダルを揉み消したい女王の意向で罪に問われない代わりに4人とも放校処分となり、2年生のハーコートを除いてP4の寮弟が繰り上がって新しいP4に就任した。

エドガー・レドモンド
高貴で格式高い家柄の生徒が集まる「深紅の狐寮」監督生。長髪をたくわえた美男子。赤いウエストコートを羽織る。ドルイット子爵の甥で、容姿も似ている。
寛大な性格で、高貴な身分で優秀な人物であれば他寮の人間でも興味を示し勧誘する。寮弟が何度か変わっている。
1年前監督生になった後、デリックを寮弟としていたが、彼にいじめられていた生徒の告発によりデリックの本性を知る。デリック殺害後は叔父の伝手でリアンに犠牲者たちの蘇生を依頼した。
ハーマン・グリーンヒル
運動面において高い能力を誇る生徒が集まる「翡翠の獅子寮」監督生。髪をオールバックにした体育会系の青年。緑のウエストコートを羽織る。
スポーツ精神を重んじる性格。常にクリケットのラケットを携えているが、暴力は振るわないと心に誓っている。グリーンヒルに限らず緑寮の生徒は女性に弱い。
学校の伝統を穢した上に監督生の地位までも得ようとするデリックを許せず、彼らをラケットで撲殺し、殺人の実行犯となる。
ロレンス・ブルーアー
成績優秀な生徒が集まる「紺碧の梟寮」監督生。眼鏡をかけ常に本を読んでいる青年。青いウエストコートを羽織る。
規律や勉学に対して厳しく、実直な性格。8人兄弟唯一の男子で、姉が3人、妹が4人いる。
学園の伝統と規律を守ることに固執しており、デリック殺害の隠蔽を行ったときも自分達の正義を信じて疑わなかった。
グレゴリー・バイオレット
芸術面に秀で、個性の強い生徒が集まる「紫黒の狼寮」監督生。フードを被り外界を嫌う長髪の青年。紫のウエストコートを羽織る。
極度の人間嫌い。絵画の腕に関しては天才的実力を持つ。グリーンヒルをモデルにして無茶なポーズをとらせるが、実際は別のモチーフの絵を描いている。
デリック殺害の際、グリーンヒルが最初の一撃を加えた直後に部屋の出口を封鎖。グリーンヒルが後悔する中、同じ監督生として共に罪を背負う口火を切った。

その他の寮生

モーリス・コール
「深紅の狐寮」所属。レドモンドの元寮弟。学園一の美少年として人気があり、寮弟としての仕事も完璧に仕上げることから、次期監督生として注目を浴びていた。本人の口ぶりからするとヤンガーサンのようである。
本性はかなり狡猾であり、仕事を後輩たちに押し付け、それをすべて自らの手柄としていた。さらに監督生らに徹底的に媚びることで、次期監督生の座を狙っていた。しかし、シエルを騙してその評価を貶めようとしたために真実を暴露され、力尽くで口を封じようとするが、シエルの策で会話の内容すべてがP4に筒抜けになってしまい、踏み込んだグリーンヒルとエドワードに成敗されたうえ、レドモンドからは寮弟の契約を解消させられた。さらにとどめとして、シエルにより「つけまつげを装着している自らのすっぴん写真」を学校中にばらまかれた。
ジョアン・ハーコート
「深紅の狐寮」所属。2年生。コールに利用されて嘘吐き呼ばわりされたため、悲嘆に暮れていたが、セバスチャンに救われる。コールがレドモンドの寮弟を解消させられた後、その後釜に座った。
ヘーゲルの『論理学』の原書を読むほどの読解力をもつ。クリケットではスピンボールを得意とする。
エドワード・ミッドフォード
「翡翠の獅子寮」所属。グリーンヒルの寮弟。上記。
クレイトン
「紺碧の梟寮」所属。ブルーアーの寮弟。先輩風を吹かせる傾向があり、新人には厳しい。気軽に人を誉めない主義。デリックの事件解決後、新たに監督生となる。
チェスロック
「紫黒の狼寮」所属。バイオレットの寮弟。モヒカン頭の粗野な性格の青年。「紺碧の梟寮」の寮生を嫌っており、「がり勉」と見下している。事件後に新たな監督生となる。
クリケットではトップスピンをかけたドライブボールを得意とする。
彼の「パンクな外見でクラシカルな楽器を弾きこなす」というキャラクター性はパイプオルガニストのキャメロン・カーペンターをモデルとしたため。
マクミラン
「紺碧の梟寮」所属。シエルが学校で初めて喋った生徒で、以後親交を深める。そばかすのある純朴な少年。
デリック・アーデン
「深紅の狐寮」所属。ヴィクトリア女王のいとこであるクレメンス公爵の一人息子。ウェストン寄宿学校に行ったきり長期休みになっても帰ってきていない。
レドモンドの寮弟で大きな実績と才能を持っていたとされていたが、本性は冷酷で一部の生徒を仲間達と共にいじめており、自分の実績や才能もすべて他人の成果を奪い取ったものだった。さらにアガレスを買収して自身の評価が落ちないよう根回ししており、卑怯な方法で次期監督生の地位を得ようと目論んでいた。しかし1年前、いじめが発覚した際に激昂したグリーンヒルに仲間やアガレス共々殺害された。その後、死体は「暁学会」に預けられ、葬儀屋により改良型の「歪んだ肉人形」にされた。

緑の魔女編の人物

ジークリンデ・サリヴァン
ドイツ・ニュルンベルク郊外にある、瘴気と人狼によって呪われた「人狼の森」に隔離された狼の谷の若き領主。11歳の少女で一人称は「ボク」。
領民からは「緑の魔女」と崇められており、古の魔女の代から継がれてきた村を覆い支配する人狼との盟約のため、より強力な瘴気を生み出す「究極魔法」を完成させようとしている。代々の領主の決まりとして足を纏足にしており、移動時は常に執事のヴォルフラムに抱えてもらっている。
外界から訪れたシエル達に興味を抱き、領民らの反対を押し切って自身の屋敷に招く。ヴォルフラム以外の領民は全員女性であるため、男性に関してやや間違った認識を抱きシエルを困惑させている。ヴォルフラムを男性と認識しておらず「番犬」呼ばわりしているが、彼への信頼は厚い。好奇心旺盛かつ頭脳明晰であり、簡単な英語もすぐに習得できるほど。「緑の魔女」としての責任感は強いが、シエルとの出会いにより外の世界の存在を改めて実感し、外の世界への強い憧れと使命への責任感に思い悩むようになる。
その素性はマスタードガスの研究者夫婦の娘であり、更には3歳にしてマスタードガスの製造法を理解してしまう、亡き父譲りの天才児である。彼女の才能を知った母・サリヴァン教授はドイツ政府に掛け合い、幼少のサリヴァンを外界から隔離し、「緑の魔女」「人狼と瘴気」などの世界観を持つ村の設立、「領民を守る」という使命意識を植え付け、新型の毒ガスを「究極魔法」として率先して開発させる計画を発案した。領主の決まりとされていた纏足も足の自由を奪い、有事の際に逃亡を防ぐための措置だった。そして全ての真実を伏せられたまま、「究極魔法」=SuLIN(サリン)[注釈 7]の生成法を完成させてしまう。
シエルとセバスチャンにより、全ての真実を突きつけられ絶望する。凶悪な毒ガスを生み出してしまった自責の念から、一時は死を選びかけたが、「究極の毒ガスを生み出したのなら、魔法の治療薬も作れるかもしれない」というシエルの言葉に鼓舞され、生きることを決意。シエル達の援助の下、ヴォルフラムと共に森を脱出し、英国へ亡命した。
英国ではヴィクトリア女王の援助の基で小さな病院を営む傍ら、医療技術を中心とした発明を行っており、その一つとして多脚式歩行器具「蜘蛛の脚(アラクネ・バトゥッサ)」を発明し、これまで不自由だった自己歩行を補っている。なお、SuLIN生成に伴う重大な危険性をシエルに指摘され、生成法は一切口外しないと誓っている。
ヴォルフラム・ゲルツァー
サリヴァンの執事を務める狼の谷唯一の男性。通称「ヴォルフ」。サリヴァンを「お嬢」と呼び、自由に歩けない彼女の足となりサポートしている。
給仕は間違いこそ無いが要領が悪く、セバスチャンを呆れさせる程。サリヴァンの身を常に案じているが、彼女が外の世界に関心を抱くことを快く思っておらず、シエル達に対しても敵意を抱いている。
その正体はドイツ軍の軍人で、階級は中尉。幼少より国を守る兵士として鍛えられた結果、至近距離で放たれた弾丸すらも避ける程の非常に高い戦闘能力を身に付けている。その実力をドイツ軍の上層部に買われ、サリヴァンの護衛・監視、そして有事の際の始末役を兼ねた「執事」役に任命された。「ヴォルフラム・ゲルツァー」という名はこの任命時に与えられた物であり、本名は不明。
経歴に見合わない任務に当初は不満を感じていたものの、徐々にサリヴァンを自身が純粋に守るべき対象として認識し、同時に彼女を騙している事に罪悪感を抱いていた。真実露見後、追撃部隊としてサリヴァンを確保しようとするも、戦車による攻撃に躊躇が見られない事から、ヒルデを始め軍が最初からサリヴァン抹殺を計画していた事を察し激昂、密かに軍を裏切りグレーテの凶弾からサリヴァンを守った。直後に生き残っていたヒルデの凶弾を受け瀕死の重体に陥るが、「サリヴァンの執事」としての価値を見出したシエルの意を受けたセバスチャンに救助され、サリヴァンと共に英国へ亡命した。
その後もサリヴァンの執事として仕えているが、英語の習得が遅れており、シエル達からはその都度言い間違いを指摘されている。
ヒルデ・ディックハウト
狼の谷に住む村の女達のリーダー格。緑の館に赴き、サリヴァンの身の回りの世話も行っている。領民の中でも特にシエル達を警戒しており、彼らの追放を何度もサリヴァンに懇願していた。
その正体はドイツ軍の少佐で、狼の谷に在留する軍の責任者。サリヴァンに真実が露見しSuLINのサンプルを持ち去られた為、情報漏洩を防ぐために試作の戦車を率いて彼らを追撃する。しかしセバスチャンに戦車を爆破され、火傷を負いながら辛うじて戦車から脱出する。執念深い追跡の末、裏切り者のヴォルフラムを背後から撃ち倒しサリヴァンをも射殺しようとするも、駆けつけたセバスチャンに首を切られ死亡する。享年30歳。
アンネ・ドレヴァンツ
狼の谷に住む村の小柄な女性で、ヒルデと共にサリヴァンの身の回りの世話をしている。
その正体はドイツ軍の第一特殊遊撃部隊隊長であり、ヒルデの部下。サリヴァン抹殺を含め与えられた任務に忠実。ヒルデと共に戦車でシエルたちを追撃するも、セバスチャンにバルド特製のジャム缶爆弾を放り込まれ、全身裂傷により死亡する。享年25歳。
グレーテ・ヒルバート
狼の谷に住む村の黒髪の背の高い女性で、ヒルデと共にサリヴァンの身の回りの世話をしている。口数が少ない寡黙な性格。
正体はドイツ軍の第二特殊遊撃部隊隊長であり、ヒルデの部下。隊を率いてシエルに扮したサリヴァンを抱えて逃亡するフィニを追撃するも、タナカの居合とメイリンの狙撃に阻まれ、一時撤退を余儀なくされる。その後鉄道のホームに先回りし、物陰からサリヴァンを射殺しようとするも、彼女を逃がす為に駆けつけたヴォルフラムに射殺される。
ババ様
狼の谷の長老。顔が膨れて左目が潰れた醜い容姿をしている。サリヴァンに対する発言力も強く、他の村人同様に余所者を激しく警戒し、「究極魔法」の完成を急かしている。
その正体はサリヴァンの実母であり、軍関係者からは「サリヴァン教授」と呼ばれる科学者。13年前、マスタードガスの兵器運用化プロジェクトに参加し、科学者であった夫によって運用化に成功する。しかし不慮の事故により彼は亡くなり、自身もマスタードガスを浴びて現在の醜い容姿となった。しかしその後出産したサリヴァンが、夫同様に天才的頭脳を持っていることが判明し、「愛する頭脳(ヒト)が戻ってきた」と歓喜と狂気に取り憑かれる。
サリヴァン教授は政府に掛け合い、サリヴァンに新型の毒ガスを率先して開発させるため、「緑の魔女育成計画(Grüne Hexe Ausbildung Projekt)」を発案した。実子であるサリヴァンの頭脳と感情を悪用した一連の仕打ちに対し、シエルからは「子供は親の道具ではない」と吐き捨てられている。
シエルと共に逃げたサリヴァンの奪還を懇願し、自身はSuLINのサンプルと生成法を持って逃亡を図るも、セバスチャンが吸い込んできたマスタードガスを至近距離で当てられ、死亡した。遺体はセバスチャンにより生成法もろとも燃やされ、サンプルは海底に放棄された。

青の教団編の人物

ブラバット
占い師。スフィア・ミュージックホールに人々を集め、血液を利用した占いを行っていた。穏やかでユーモア溢れる振舞いを見せるが、底知れぬ本性を隠している。セバスチャンを「人間ではない」と見抜いている。
「シリウス様」こと「本物のシエル」に雇われており、スコットランドヤードに拘束された際に雇い主をシエルと偽証し逮捕させた。

その他の人物

ドルイット子爵/アレイスト・チェンバー
声 - 鈴木達央
美しいプラチナブロンドの髪を持つ美青年の貴族。医大を卒業しているが、病院への勤務や開業はしていない。アンジェリーナ曰く「守備範囲バリ広の女好き」。
食や芸術の愛好家でもあり、品評会などにも度々顔を見せている。独特の美学を持つ。社交期(シーズン)には何度か自宅でパーティーを催しているが、裏では闇オークションを行っていた。また、暁学会のメンバーであることがわかっている(「不死鳥」のポーズは我流)。
本編での「切り裂きジャック事件」の容疑者として挙げられ、シエルとセバスチャンの活躍によって逮捕されたが、後に保釈金を積んで出所した。豪華客船編ではリアンから「歪んだ肉人形」を停止させる装置を奪って自分の帝国を創りあげることを企むがあっさり失敗、客船は沈没したが奇跡の生還を果たす。
原作・アニメ共にシリアスなストーリーの中で突然現れ、その場をかき回すというお笑いキャラと化している。登場人物のほとんどを苛立たせる言動と思考の持ち主だが、葬儀屋からは「失うのは世界の損失」と言われるほど面白い人間と評されている。また、寄宿学校編にてレドモンドの叔父であることが判明したが、フランシスからはあまり気に入られていない模様。
アーサー・ランドル
声 - 中博史 / 青山穣
通称ランドル卿。ロンドン警視庁(スコットランドヤード)警視総監。容姿は第3話、名前は第15話で判明(フルネームはテレビアニメ版第1期第4話で判明)。
ヴィクトリア女王の命令には警察を総動員させ動いているが、大した成果を挙げられないことでシエルに皮肉られており、本人も彼を快く思っていない。また、警視総監として、事件の報酬である裏金を直接ファントムハイヴ家へ届ける役目も担っているため、よく屋敷に出入りしている。シエルを「悪魔」、ファントムハイヴ家を「悪霊の巣」と呼んでいる。
フレッド・アバーライン
声 - 菅沼久義
ロンドン警視庁警部。ランドル卿の部下。成果を挙げられない上、ランドル卿に怒鳴られることが多いため、彼の短気さには辟易している。賄賂などの裏金を嫌う、正義感溢れる警察官である。シエルやセバスチャンにはわざとなのか「アンダーライン」と呼ばれ、その都度訂正している。シエルを何かと気にかけている。
絵画に詳しく、ランドルと共にファントムハイヴ邸を訪れた時は、数々の名画に感動していた。
テレビアニメ版
原作と異なる青年の警部補として登場。第1期第10話では、(本人曰く)普通の話で葬儀屋(アンダーテイカー)に爆笑され、「絶対に仕事を間違えている」「笑いなら世界を取れる」と断言された。結婚と子供の誕生を間近に控えていたが、第20話で劉の凶刃からシエルを庇い致命傷を負い、シエルに看取られながら息を引き取った。
ハロルド・ウエスト=ジェブ
声 - 下山吉光
輸入品を手広く扱っている輸入業者。シエルも一度面識があるが、彼曰く「肩書き主義でいけ好かない男」であり、何かにつけてブランドにこだわる。
主にインドから香辛料や紅茶葉を輸入しており、「ハロルド・トレーディング」という雑貨店や「ハロルド・ウエスト」というヒンドスターニー・コーヒーハウスを経営している。
アングロ=インディアン逆さ吊り事件の黒幕で、アグニを利用してカリーの品評会で王室御用達(ロイヤルワラント)を手に入れようとしたが、セバスチャンに敗れた上、劉と藍猫に成敗された。ソーマの元使用人であるミーナと結婚している。
ミーナ
声 - 後藤邑子
ベンガル藩王国宮廷の元侍女で、ソーマの乳母。ソーマ曰く「宮廷一の美女」。
ある時突如、ソーマの下を去る。ソーマにはウエストに無理やり連れ去られたと思われていたが、実はカーストのせいで一生変わらぬ身分階級と我侭なソーマの世話に嫌気が差し、自ら望んでウエストと結婚していた。カリー対決後、劉と藍猫に成敗される。
テレビアニメ版
カリー対決前にソーマと接触してアグニの想いを裏切るなど、原作以上に冷酷さが強調されている。カリー対決の際にはアンジェラの仕込んだ「魔のスパイス」によって暴走するが、セバスチャンによって鎮められた。
シャープ・ハンクス
舞台版のみ登場。初演版「千の魂と堕ちた死神」で初登場し、それ以降の原作のエピソードの舞台化でも登場している。アバーラインの部下で新人刑事。アバーラインと共に事件の捜査を行う。真面目で正義感は強いがお惚けた発言が多く、アバーラインを困らせる。

アニメ版の人物

第1期

ダミアーノ
声 - 銀河万丈
第1期第1話に登場。インドにあるファントム社のぬいぐるみ縫製工場を任されていたイタリア人の男性。
従業員を確保するためと称してシエルに巨額の支援金を要求するが、実は彼らを全員クビにしており、工場などは全て売り払っていた。ファントムハイヴ家からの支援金で私腹を肥やそうと目論むが、シエルに見破られてセバスチャンに恐怖体験をさせられ、満身創痍で逃げ出した。
なお、来客を日本趣向でもてなすエピソード自体は原作第1話と同様であるが、客はダミアーノではなくクラウスという人物である。
ヘンリー・バリモア
声 - 仲野裕
第1期第7話、第8話に登場。通称:ヘンリー卿。ハウンズワース村の支配者。当初、シエルをチワワ呼ばわりしていた。村の買収に「祟りがあるから」と断るが、シエルとセバスチャンにトリックを暴かれ、村人に追及され牢に入れられる。そして最後はプルートゥに噛み殺された。
ジェームズ
声 - 川上貴史
第1期第7話に登場。犬を飼育している、心優しい青年。「1人で飼って良いのは5匹まで」という村の掟を破り、6頭目をこっそり飼っていたため、殺されてしまった。
アンジェラ・ブラン
声 - 矢島晶子
第1期第7話から登場。バリモア家に仕えるメイド。ヘンリー卿に虐げられている一方、夜になると逆に彼を傅かせている。ヘンリー卿に内緒でプルートゥを餌付けし、飼っていた。
正体は不浄を嫌う天使で、多くの事件に関与している。後述のアッシュと同一人物であり、状況や気分に応じて肉体を変化できる(顔や身体を違う性別に変えることすら可能)。
シエルのシネマティックレコードを書き換えて浄化しようとするも、彼がそれを拒んだため、失敗に終わる。
名前のアンジェラはそのまま天使の意味で、ブランはフランス語で「白」の意味。
プルートゥ
声 - 山口孝史
第1期第7話から登場。アンジェラに飼われていた巨大な魔犬。興奮すると、銀髪に小さな八重歯を持つ人間の青年の姿に変身する。炎を噴けるが、人間の姿でも言葉は話せず、習性や行動も犬と同じ。フィニからは「プルプル」と呼ばれている。
ヘンリー卿を噛み殺して彼の片腕を小丘に突き立てるが、セバスチャンに調教された後、アンジェラの頼みでファントムハイヴ家に引き取られた。セバスチャンの他、アンジェラやアッシュにもよく懐いている。
最終局面でアッシュに操られて暴走し、シエルの屋敷やロンドンの町を燃やしてしまう。もう以前のプルートゥには戻れないと判断したシエルの命令により、涙ながらにバルド、フィニ、メイリンに倒される。
ポール・ジョーンズ
声 - 川野剛稔
第1期第9話に登場。ブリット・ビジネスの記者。ファントム社を取材しようと、ファントムハイヴ家を訪問する。
ポーラ
声 - 伊月ゆい
第1期第10話から登場し、第2期にも引き続き登場。原作にも第13巻から登場した。ミッドフォード家の侍女。シエルに仕えるセバスチャンのように、「イエス、マイレディ」と発言する。
リジーのお供として氷上マーケットに訪れた。気落ちしたリジーのため鈴を鳴らして元気付けようとしたり、シエルを思うリジーの気持ちを温かく見守ったりと、主人への想いは本物。
ドロセル・カインズ
声 - 勝杏里
第1期第10話 - 第12話に登場。マンダレー邸の執事兼人形師。手回しのオルガンを持っている。『ロンドン橋落ちた』の替え歌や操り糸で、人形たちを操る。「ボクは考えました」が口癖。
実はドロセル本人は既に5年前に他界しており、何者かに人形として偽りの生命を与えられていた。セバスチャンにコルセスカで頭を割られ、機能を停止する。
アッシュ・ランダース
声 - 日野聡
第1期第15話から登場。テレビアニメ版でのヴィクトリア女王の執事。靡くような銀髪を持つ長身の男性で、原作のジョンとは、容姿がまったく異なる。女王の代弁役兼護衛であり、腰には細剣を差している。女王から、ファントムハイヴ家宛ての命令を記した手紙を届ける役目を担っている。
正体は天使であり、アンジェラと同一人物。また、女王の身体と故アルバート公の身体を接いだ張本人でもある。天使であることも前提に、女王に深く信頼されている。人間を滅ぼして穢れの無い世界を創ろうとしたが、真の姿を現したセバスチャンに惨殺される。死体はタワーブリッジの天辺に磔にされた。
エドワード
声 - 斎賀みつき
第1期第16話に登場。約400年前のイングランド国王エドワード5世幽霊。父王の死に伴って王位を継承した少年だが、王位簒奪を企てる親族によって弟リチャードともどもロンドン塔幽閉され、そのまま消息不明となった。(作中では)その場で暗殺された兄弟だが、だけは幼い頃から即位前まで暮らしていたラドロー城へ舞い戻り、以来400年間、留まり続けている。
この古城の新たな所有権者になったシエルは、ホテルに改装しようと計画したが、現場は霊が現れたことで作業が進まない。怖れて身を引いた施工業者に替わってシエルたちが城へ赴くと、エドワードたちの霊が現れる。400年来城主は自分だと言って譲らない“国王”エドワードは、臣下の伯爵・客人としてシエルを遇する。2人はチェスに興じるが、万物の形状を自在に操るエドワードは、負かしたシエルからセバスチャンを奪って我が物とし、彼もイングランド王室の執事として兄弟に仕え始める。
殺害された当時、門番の裏切りによって命を落としたため、嘘を何よりも嫌う。
リチャード
声 - 笹本優子
エドワードの弟。兄と同じく、死後、霊魂がラドロー城に留まり続けている。抱え持っている子供の頭蓋骨を片時も放そうとしないが、それには、兄に明かせない悲しい理由があった。セバスチャンを気に入り、自分たちの執事として迎え入れる。
マチルダ・シモンズ
声 - 高梁碧
第1期第17話、第18話に登場。ブレストンの外れにある、使われていない古い修道院へ集った異端の教団で働いている、若く美しい修道女の1人。
潜入したセバスチャンに一目惚れしてしまい、離れの小屋でセバスチャン曰く「マーキング」を施された後、惚けながら教団の情報を提供してしまう。グレルは「マーキング」を施されたマチルダのことを死亡者リストに書いてしまうほど気に食わなかった模様だが、彼女の身体のマーキングは後にセバスチャンが危機から脱する際に役立つこととなる。
コラーロ
声 - 坂口侯一
イタリアン・マフィア、フェッロファミリーのボス。第1期第20話で劉が英国を去る際に彼の縄張りを引き継ぐ。結果的に劉と共闘してシエルを闇の世界から追い落とそうとする。第21話でファントムハイブ家の襲撃に失敗し、その後は登場していない。
女王陛下
声 - 定岡小百合
第1期第24話に登場。肉体が腐り果てたヴィクトリア女王の代行者として、大衆の前に姿を見せた。

第2期

トランシー家

英国の裏社会で起きた厄介事を片付ける「女王の番犬」ことファントムハイヴ家に対して、トランシー家は英国で起きた厄介事の後始末を任されている「蜘蛛」と呼ばれる。アロイスが当主になってからは、屋敷にはアロイス以外には彼の契約した悪魔といった人外しかいない。

クロード・フォースタス
声 - 櫻井孝宏
トランシー家の執事を務めるアロイスと契約した蜘蛛の悪魔。第2期の黒幕的存在。黒髪金瞳に眼鏡を着用する美青年。契約者・アロイスには「イエス、ユア・ハイネス」と絶対服従し、執務を完璧にこなす。アロイスの「願い」に従って、セバスチャンがアッシュとの戦いで契約印の刻まれた左腕を失った隙をつき、望みを果たし魂を差し出そうとしたシエルの魂を奪っていった。
常に冷静沈着で無感情な鉄面皮だが、仕事前のウォームアップにタップダンスを踊り出すなど、挙動には若干外連味がある。セバスチャンとは互いに平静を装いつつも、皮肉混じりに仕事の不備を指摘し、執事の格を熾烈に競い合うなど、かなり険悪な仲。トランシー家に遣える悪魔たちの指揮も任されており、戦闘時にはハンナの体内に収納している魔剣・レーヴァテインを武器にして戦う。
アロイスからはその忠誠心とアロイス自身を必要とする姿から厚く信頼されており、唯一の寄る辺として愛情を抱かれていたが、自身はあくまで喰らう魂の1つとしか認識しておらず、セバスチャンが単なる契約者としての関係以上に執着しているシエルに興味が移る。やがて執事に愛情を求めるアロイスを見限り、シエルを手に入れるための道具として利用しようと考え殺害、アロイスから抽出した魂を指輪に封じ込め、シエルを洗脳してアロイスの記憶と混濁させることにより、シエルに自身を主と思い込ませることに成功するが、シエルからは執事業を完璧にこなせず奇行が過ぎるため、毛嫌いされる。
最後は、シエルの魂を巡ってセバスチャンとの決闘の末、セバスチャンの手によってレーヴァテインで貫かれたことで死亡する。最後はセバスチャンから利用していたはずのアロイスに悪魔である自分が翻弄されていたことを指摘され、アロイスを己の真の主として認め、執事として息絶える。
アロイス・トランシー
声 - 水樹奈々
トランシー伯爵家現当主を務める金髪碧眼の美少年。1874年11月5日生まれ。通称「旦那様」。生後間もなく何者かにさらわれ行方不明になったとされていたが、ある日クロードを連れて帰還し父の後を継ぎ当主になった。
性格は基本的に明るく、クロードには絶対の信頼を置くが、彼以外の者を見下したりハンナの左目を抉ったりする残忍性と、孤独や暗闇を恐れる脆さを併せ持つ。舌にはクロードとの契約の証である黄色の逆ペンタクルが刻まれている。
本名はジム・マッケン。トランシー伯爵の実子ではなく、一村の裕福な子供だった。両親の死後、弟・ルカと共に村人たちから虐げられて彼らを憎む中、ルカと契約したハンナの手で村とルカを失い(村を失うことは本人の希望でもあった)、トランシー家の男娼として迎えられた際、トランシー伯爵を手玉に取って養子に収まった。その後クロードと契約し、契約者の「願い」による魂の熟成を狙うクロードから、弟を殺した相手がセバスチャンであると吹き込まれ、伯爵が死にトランシーの全てを相続した後、セバスチャンに復讐すべく彼が執着するシエルを奪い取ろうとする。
セバスチャンとクロードの密約によって、シエルから自身の復讐相手と誤解されたことでシエルとの決闘の果てに敗北し、致命傷を負う。最後は孤独を恐れるあまりクロードへの愛情を吐露するが、その姿に幻滅したクロードに殺され、シエルの魂を欲するクロードの策略によって魂を抽出されてトランシー家当主の指輪に封じ込められ、その記憶をシエルと混濁させられた。
しかし、ハンナが殺害直後のアロイスの眼を体内に取り込んでおり、ハンナによってシエルの肉体の中で覚醒した意識が彼の肉体を支配する。自らの意識によりトランシー邸の庭園に作り出した薔薇迷宮でシエルの魂を巡ってセバスチャンとクロードが争う間、ハンナによって全ての真実を知らされ、アロイスとルカを愛していると告げたハンナとの契約を承諾する。シエルへの嫉妬心と自らを裏切ったクロードへの復讐心から、セバスチャンとクロードのどちらが勝ってもシエルの魂を手に入れられないよう、「シエルを悪魔として蘇らせる」という内容でハンナと契約した。
死の島においてセバスチャンに敗北したクロードが死亡した後、ハンナに魂を差し出し、最後はルカ、クロード、ハンナと全員の愛を手に入れた。
ハンナ・アナフェローズ
声 - 平野綾
トランシー家唯一のメイド。魔剣・レーヴァテインを体内に収納する「悪魔の剣を納める鞘」と呼ばれる悪魔。長い銀髪と褐色の肌を持つ物静かな美女で、常に憂いの表情を浮かべている。
第1話にて左目をアロイスに抉られ、彼と契約するまでは包帯を巻いていた。アロイスからは同じく悪魔であるクロードとは異なり、「何を考えているか分からない」と毛嫌いされ、虐げられている。
過去にアロイスの弟・ルカと契約してアロイスの村を滅ぼし、ルカの魂を契約により喰らった張本人。ルカのただ純真に兄を想い、魂を喰らった自分に感謝する姿に心打たれ、ルカと血を分けた兄弟であるアロイスを愛して彼の願いを叶えるべく、三つ子の眷属と共にトランシー家を訪れる。
グレルに腹を串刺しにされて無惨に敗北するが、悪魔であるために傷は治癒してその直後にクロードによって殺害されたアロイスの眼を自らの体内に取り込み、クロードによって洗脳されたシエルの中のアロイスを覚醒させた。アロイスの覚醒後、彼の眼は自らの左目に移植する。薔薇迷宮で全ての真実を告白してルカとアロイスへの愛を告白し、アロイスと契約する。
死の島においてシエルの魂を巡ってセバスチャンとクロードを決闘させ、アロイスとの契約に従いシエルを悪魔に変えた後、アロイスとルカの魂を内包したままクロードの亡骸の傍らで、崩れゆく死の島と運命を共にする。
トンプソン / ティンバー / カンタベリー
声 - 鈴村健一(OVA)
トランシー家の使用人である三つ子の悪魔。顔と服装はそっくり同じで、見分け方は前髪。
元々はハンナの眷属で、ハンナがトランシー家に遣えると共に使用人となった。そのため、トランシー家では影響力の強いクロードにも従う。常に3人一緒に行動し、全員無口だが、仕事や戦闘はそつなくこなす。最後はセバスチャンにバラバラに切断され、死亡する。
3人とも毒舌のため、命令で普段は聞こえないほどの小声で話している。喋る時はトンプソンは明るい声で、ティンバーは暗い声で、カンタベリーは狡猾そうな声で喋る。また、ハンナの頼みでトランシー家に仕えているだけで、本心ではトランシー家を「燃やしちゃうのにね」と言うほど嫌悪している[注釈 8]
トランシー伯爵
声 - ふくまつ進紗
アロイスの父親で、トランシー家前当主。3年前に病死した。悪趣味な嗜好を持ち、屋敷の奇抜な内装だけではなく、大勢の少年を男娼として家に迎え、その身体を貪る変態として知られていた。
アーノルド・トランシー
声 - 星野充昭
トランシー伯爵の弟で、アロイスの叔父。金銭欲が強い模様。アロイスが本当にトランシー家の人間かどうか疑念を抱いている。

トランシー家の関係者

エドワード・アバーライン
声 - 菅沼久義
フレッド・アバーラインの双子の兄で、スコットランドヤードの警部。正義感は強いが、暑苦しい性格をしている。
マーガレット・ターナー
声 - 津田匠子
ロンドンの街並にある写真屋ターナーの妻だが、本心では彼のことを愛しておらず、無理やり結婚させられたらしい。
金色の眼をした謎の人物[注釈 9]に唆され、自分の幸せのためにカメラのフラッシュを利用し、ターナーをはじめとした人々を次々と焼殺した後、自身も炎に包まれて焼死する。
ルカ・マッケン
声 - 井上麻里奈
アロイス(ジム)の弟。兄を心から慕い、彼の言いつけに「イエス、ユア・ハイネス」と答えるのが好きだった。
故郷の村を憎む兄の望みを叶えるため、村を滅ぼすべくハンナと契約し、その代償として魂を食われて死亡する。それを知りながらも兄の望みが叶うことをただ純粋に喜び、魂を食われる直前にハンナへの感謝さえ述べるその姿は、彼女の心に大きな影響を与えた。
トマス・ウォリス
声 - 川野剛稔
OVA『死神ウィルの物語』に登場。グレルとウィリアムの死神最終試験の実技課題として、死に値するかの審査の対象となった青年。1775年のグリストル出身で、印刷工場にて働きながら小説家を志望している。1799年12月16日午後4時に魂を回収(死亡)予定。
小説家としては鳴かず飛ばず続きだったところにグレルとウィリアムが現れたことが、小説『死神ウィルの物語』を執筆するきっかけとなる。その出版の締切日、馬車にはねられて死亡したトマスの魂を回収する際にウィリアムは死の足掻きを初体験し、グレルに助けられている。

ゲーム版の人物

ステラ・ローズ
声 - 中島愛
ローズ家の令嬢。
パトリック
ローズ家の元執事。
ローマン・マクダウェル
ローズ家の元家令。
ロレイン・マクダウェル
ローマンの娘。
エドワード・リドリー
ステラの近親者。通称「リドリー爵」。

脚注

注釈

  1. ^ そのため、セバスチャンはシエルの本名を呼ばず「坊ちゃん」で通している。
  2. ^ 爪もセバスチャン同様にすべて黒くなり、瞳の色も赤に変わった。
  3. ^ 原作初登場時にはキャラクターが定まっておらず、ドラマCDで劉を担当した遊佐浩二の演技に作家が触発され、キャラクターが決定した。
  4. ^ そのため、葬儀屋を笑わせようとした際にはくだらないダジャレの1発で失格にされた。
  5. ^ DVD I付属の設定資料集には154cmとあるが、作家のブログにて誤字であると訂正。
  6. ^ ロナルドの発言から、"眼鏡をかけているか否か"も所謂「脱退組」かどうかの判断基準である
  7. ^ 実際のサリンのスペルはSarinだが、作中ではサリヴァン教授により、Sullivan(サリヴァン)、Letzt Waffe(最終兵器)、Ideal(完璧な)、Nebel(霧)の頭文字を取って命名されている。また実際のサリン生成が初めて公になったのは1902年であり、命名はナチスの下でサリン開発に関わった4名の化学者の頭文字による。
  8. ^ ハンナのことも「巨乳」などの毒舌を吐くこともあるが、アロイスとは反対に慕っている。
  9. ^ 人物の正体については最後まで明かされなかったが、クロードであることが示唆されている。

出典

  1. ^ 枢やな『黒執事』10巻、スクウェア・エニックス2010年、28頁。
  2. ^ 枢やな『黒執事』10巻、スクウェア・エニックス、2010年、24-25頁。
  3. ^ 藤村俊二さんを『黒執事』作者が追悼 「幼少より憧れの老紳士だった」 - ハフィントンポスト日本版