「グリコール酸」の版間の差分
m Category:カルボン酸を追加 (HotCat使用) |
|||
64行目: | 64行目: | ||
織物産業では染料やなめし剤、食品産業では[[香料]]や[[防腐剤]]として使われている。また、グリコール酸は[[エマルション]]ポリマーや[[溶媒]]、添加剤として[[インク]]や[[塗料]]によく含まれており、流動性の向上と光沢を与えている。 |
織物産業では染料やなめし剤、食品産業では[[香料]]や[[防腐剤]]として使われている。また、グリコール酸は[[エマルション]]ポリマーや[[溶媒]]、添加剤として[[インク]]や[[塗料]]によく含まれており、流動性の向上と光沢を与えている。 |
||
外用では、[[皮膚]]への透過性が優れているため、皮膚科での[[ケミカルピーリング]]では20-80%の濃度、家庭用[[スキンケア]]では10%以下の濃度で使われており、皺や[[ニキビ]]、色素過剰などを改善する効果があるとされている。皮膚に使用すると、グリコール酸は表皮の上層と反応し死んだ皮膚細胞の脂質の結合力を弱める。これにより新しい皮膚細胞が露わになることになる。 |
外用では、[[皮膚]]への透過性が優れているため、皮膚科での[[ケミカルピーリング]]では20-80%の濃度、家庭用[[スキンケア]]では10%以下の濃度で使われており、皺や[[尋常性痤瘡|ニキビ]]、色素過剰などを改善する効果があるとされている。皮膚に使用すると、グリコール酸は表皮の上層と反応し死んだ皮膚細胞の脂質の結合力を弱める。これにより新しい皮膚細胞が露わになることになる。 |
||
== 安全性 == |
== 安全性 == |
2020年8月25日 (火) 00:00時点における版
グリコール酸 | |
---|---|
2-ヒドロキシエタン酸 | |
別称 ヒドロキシ酢酸 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 79-14-1 |
ChemSpider | 737 |
KEGG | C00160 |
RTECS番号 | MC5250000 |
| |
特性 | |
化学式 | C2H4O3 |
モル質量 | 76.05 g/mol |
外観 | 無色の固体 |
密度 | 1.27 g/cm3 |
融点 |
75 ℃ |
沸点 |
分解 |
水への溶解度 | 10 g/100mL |
他の溶媒への溶解度 | アルコール, アセトン, 酢酸 酢酸エチル[1] |
酸解離定数 pKa | 3.83 |
危険性 | |
主な危険性 | 腐食性 (C) |
NFPA 704 | |
Rフレーズ | R22-R34 |
Sフレーズ | S26-S36/37/39-S45 |
引火点 | 129 °C[2] |
関連する物質 | |
関連するα-ヒドロキシ酸 | 乳酸 |
関連物質 | 酢酸, グリセロール |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
グリコール酸(グリコールさん、英: glycolic acid)または ヒドロキシ酢酸 (hydroxyacetic acid) は、α-ヒドロキシ酸 (AHA) の一種である。砂糖に関する作物サトウキビ、テンサイ、パイナップルなどに天然に含まれる。有機化学の材料、溶媒、塗料、染料、香料、防腐剤、また外用してスキンケアに使われる。日本の法律で濃度が3.6%を超えるものは劇物である[3]。
性質
分布
グリコール酸は砂糖作物に関連しており、サトウキビ、テンサイ、パイナップル、カンタロープ、および未成熟のブドウに見られる。
合成
グリコール酸は天然に存在するため安価に手に入れることができる。化学的にはクロロ酢酸と水酸化ナトリウムの反応で合成することが可能である。
用途
有機合成では、酸化還元反応、エステル化などの中間体として使われ、高分子化学では、ポリグリコール酸や他の生体適合性のある共重合体のモノマーとして使われる。
織物産業では染料やなめし剤、食品産業では香料や防腐剤として使われている。また、グリコール酸はエマルションポリマーや溶媒、添加剤としてインクや塗料によく含まれており、流動性の向上と光沢を与えている。
外用では、皮膚への透過性が優れているため、皮膚科でのケミカルピーリングでは20-80%の濃度、家庭用スキンケアでは10%以下の濃度で使われており、皺やニキビ、色素過剰などを改善する効果があるとされている。皮膚に使用すると、グリコール酸は表皮の上層と反応し死んだ皮膚細胞の脂質の結合力を弱める。これにより新しい皮膚細胞が露わになることになる。
安全性
グリコール酸には強い刺激性がある[4]。
摂取すると、毒性のあるシュウ酸に代謝される[5]。2016年に改正された毒物及び劇物指定令によって、7月15日より本品およびこれを3.6%を越えて含む製剤が劇物に指定された[3][6]。そのため一部の高濃度に含有していた化粧品などに配合できなくなった[7]。
脚注
- ^ “DuPont Glycolic Acid Technical Information”. 2006年7月6日閲覧。
- ^ “Glycolic Acid MSDS”. University of Akron. 2006年9月18日閲覧。
- ^ a b 毒物及び劇物指定令の一部改正について(通知)平成28年7月1日 薬生発0701第1号 (PDF)
- ^ “Glycolic Acid MSDS”. ICSC:NENG1537 International Chemical Safety Cards (WHO/IPCS/ILO). 2006年6月8日閲覧。
- ^ 諸角誠人, 小川由英、実験的蓚酸カルシウム結石症における蓚酸前駆物質に関する研究 『日本泌尿器科学会雑誌』1995年 86巻 5号 p.1022-1027, doi:10.5980/jpnjurol1989.86.1022
- ^ 毒物及び劇物指定令 第二条 (PDF) 国立医薬品食品衛生研究所
- ^ 太田正佳、都甲武史「美容皮膚科医に必要なZOスキンケアプログラムについての知識」『デルマ』第262号、2017年10月、101-118頁。
関連項目
外部リンク
- "Glycolic Acid"(pdf) Priority Existing Chemical Assessment Report No. 12, National Industrial Chemicals Notification and Assessment Scheme(NICNAS、オーストラリア政府発の regulator)ISBN 0-642-43258-9
- DuPont Glycolic Acid
- CrossChem GlyAcid EBP (glycolic acid)
- Glycolic.org Glycolic Acid
- Computational Chemistry Wiki
- Glycolic%20Acidグリコール酸 DATA