コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「ズキンガラス」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼: {{Cite journal}}のパラメータ一を小文字にする - log
Cewbot (会話 | 投稿記録)
89行目: 89行目:


== 人間との関係 ==
== 人間との関係 ==
定期的に農地や草地で駆除されている。アイルランドの[[コーク]]の銃会では1980年代初頭の2年で2万3000羽が撃たれている<ref name=Cocker/>。
定期的に農地や草地で駆除されている。アイルランドの[[コーク]]の銃会では1980年代初頭の2年で2万3000羽が撃たれている<ref name=Cocker/>。


ユーラシア大陸の広範囲に生息しており、Scotch crowやDanish crowとしても知られている。スコットランドではhoodie、北アイルランドではgrey crowと呼ばれている<ref>{{cite book |editor-last=Macafee |editor-first=CI |date=1996 |title=A Concise Ulster Dictionary |publisher=Oxford University Press |location=Oxford |isbn=0-19-863132-4}}</ref>。ドイツではNebelkräheと呼ばれる。
ユーラシア大陸の広範囲に生息しており、Scotch crowやDanish crowとしても知られている。スコットランドではhoodie、北アイルランドではgrey crowと呼ばれている<ref>{{cite book |editor-last=Macafee |editor-first=CI |date=1996 |title=A Concise Ulster Dictionary |publisher=Oxford University Press |location=Oxford |isbn=0-19-863132-4}}</ref>。ドイツではNebelkräheと呼ばれる。

2020年8月30日 (日) 22:49時点における版

Corvus cornix
Corvus cornix
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
: カラス科 Corvidae
: カラス属 Corvus
: C. cornix
学名
Corvus cornix Linnaeus, 1758[1]
英名
Hooded crow[1]

ズキンガラス[2][3] (Corvus cornix)は、鳥綱スズメ目カラス科カラス属に分類される鳥類。ハイイロガラスとも呼ばれる[4]

北ヨーロッパ東ヨーロッパ東南ヨーロッパのほか、中東の一部地域で見られ、黒い頭部・のど・翼・尾・腿の羽毛・くちばし・目・足が特徴的である。他のカラス科と同様に雑食性である。

生態や形態はハシボソガラスと非常に似ていたため、長い間ほとんどの研究者から一つの種の地理的な変種であると見なされてきた。生息域が重なる地域で観察された雑種の存在もその見解に重要性を与えていた。しかし2002年以降、雑種の例は想定されていたよりも少なく[5][6]生まれた雑種も活動性が低い、という詳細な観察の結果、独立種としての地位に昇格した。

分布

飛んでいる姿(イランエスファハーンより)

ヨーロッパ北部・東部で繁殖し、亜種も含めると生息範囲は南ヨーロッパと西アジアに広がる。イギリス北部やドイツ、デンマーク、イタリア北部やシベリアなど、ハシボソガラスと重複する生息範囲内では雑種が見られる。しかし、雑種は純系と比べ適応性が低く、ハシボソガラスと分離する理由の1つである[7]。ロシア中部やイランなどの一部地域では異種交配種があまりないか、全くない。

イギリス諸島ではスコットランドやそれに付随する島々、マン島で定期的に繁殖している。アイルランドでも広い範囲で繁殖している。秋季、イギリス東部海岸では数種の渡り鳥が見られる。かつては一般的に見られていた[8]

形態

ドイツのベルリンにて
エジプトにて

色は黒い頭部・のど・翼・尾・腿(大半は光沢のある黒である)を除くアッシュグレーで、足とくちばしは黒である。他のカラス属と同様に秋季は生え変わりとなっている。大きさで性別を見分けることが可能で、雌よりも雄の方が大きい。飛行速度は遅く、通常まっすぐに飛ぶ。大きさは48-52センチである。孵化直後の雛は大人よりも黒く、青か灰色がかった目と赤い口を有している。翼幅は98センチで、重さは平均510グラムである[9]

灰色と黒色の違いは明瞭で、ハシボソガラスやミヤマガラスなど、他種のカラスと混同することはないが、Corvus cornix.ogg 鳴き声[ヘルプ/ファイル]だけで区別することは困難である[10]

分類

学名Corvusはラテン語ワタリガラス[11]、cornixはカラスに由来している[12]

長い間、ハシボソガラスの亜種(Corvus corone cornix)と考えられていた[13]ように、形態や生態に類似性を見出すことができる。

以下の分類・分布はIOC World Bird List (v8.1)に従う[1]

Corvus cornix cornix Linnaeus, 1758
ヨーロッパ北部および東部
Corvus cornix capellanus Sclater, 1877
イラク東部からイラン南西部
Corvus cornix pallescens (Madarász, 1904)
イラク、エジプトトルコ
Corvus cornix sharpii Oates, 1889
バルカン半島からイラク北部・中央アジア・シベリア西部にかけて
イングランドの動物学者Richard Bowdler Sharpeにより命名[要検証]
ハシボソガラスと本種の分布を白線で分けたヨーロッパの地図

Corvus cornixハシボソガラスはヨーロッパ上では左図のように分布している関連性の高い種である。この分布は更新世間の氷河の形成によるもので、各個体が分離していき、温暖化が進んだ後の二次的接触の際、生息範囲を広げたものと考えられている[6][14]

この2種が遺伝的に同一であるということを示すため、ポエルストラを中心にほぼ両種の個体すべての塩基配列を決定させた結果、DNA(mRNA)は0.28%程度の不足が鳥類染色体18の塩基配列(胴体の羽の軽い着色に当たる部分)に見られた[6]

このように、2種は子を絶やさないよう交配ができ、重複した生息範囲内では交配が可能であるが、本種同士、ハシボソガラス同士でそれぞれ交配している。外見上異種交配が妨げられているのは明白である[6][14]。ポエルストラはこれを生態学的には同類交配であると考えており、突然変異体間の相互作用により、これが新たな系統、急に現れる新種に繋がる。

アニクニシュナンとアクヒラ[15]は代わりに異種交配に対する生理学・解剖学・遺伝子の不足が見られるにも関わらず、接触域を越える異種交配に対して倹約ながらコイノフィリア英語版の説明を試みている。

生態

で食べ物(前に隠したものと推定されている)を探す
鳴き声

雑食性で、ハシボソガラスと同様のものを食べている腐食動物である。低空飛行しながら軟体動物カニを咥え、ハシボソガラスと同じように高所から落として殻を割っている。古きスコットランドでは中身のないウニの殻のことをカラスのカップと呼んでいた[8]

海岸の崖では親鳥がいない時にカモメカワウなどの鳥の卵を盗み、卵を盗むためにニシツノメドリの隠れ場に入ることもある。小さな哺乳類や鳥類やその死骸・死肉も食べる。

雨樋や植木鉢、茂みの下などに肉やナッツを一とした食べ物を隠す習性があり、その上で昆虫を食べることもある。また、他のカラスが去った場所に食べ物を隠したかどうかを確認する。

卵と巣
生後10日の雛
オス

巣作りは地域により異なるが、冷えた時期の後半にされるということは共通している。ロシア北西部やシェトランド諸島フェロー諸島では5月中旬から6月中旬、ペルシア湾岸では2月下旬である[16]。イギリス諸島のより暖かい地域では4月が産卵期にあたる[17]

大きな巣は高い木に作られることが多いが、断崖や古びれた建物や鉄塔に作ることがある。大きくないものでは地面・地面に近いところに作られることがある。形状はハシボソガラスのものと似ているが、海岸に作られた巣では海藻を巣に織り込ませることがしばしばあり、動物の骨や針金も頻繁に使用されている[8][18]

4-6個の茶色の斑点がある青い卵の大きさは4.3センチ×3センチで、重さは19.8グラムで、うち6%が殻である[9]

雛は晩成性英語版で、雌によって17日から19日間暖められ、雄によって餌が調達される。生後32日から36日後に巣立っていく。暖めた雌は自分の食べ物を雛に食べさせることが報告された[19]

記録された長寿年齢は16歳と9カ月である[9]

托卵するマダラカンムリカッコウの第二宿主となることがある(宿主としてはカササギが好ましい)。しかし、イスラエルエジプトのようにカササギが生息しない地域では本種が宿主となる[20]

人間との関係

定期的に農地や草地で駆除されている。アイルランドのコーク県の銃会では1980年代初頭の2年で2万3000羽が撃たれている[8]

ユーラシア大陸の広範囲に生息しており、Scotch crowやDanish crowとしても知られている。スコットランドではhoodie、北アイルランドではgrey crowと呼ばれている[21]。ドイツではNebelkräheと呼ばれる。

ハシボソガラスと本種の重複する生息範囲は北西にゆっくりと広がりつつあるが、ロシア除くヨーロッパ地域に300万羽の個体数がある[18]

穴の空いた袋から食べ物を探す

ケルト神話において、クー・フーリンの最期の肩に鳥が現れ[22]モリガン、妻テトラ、カリアッハベーラにも現れたことがあった[23]。この話は伝承されており、ハイランド地方とアイルランドにおけるフェアリーと関連付けられている。18世紀、スコットランドの牧羊者が羊を攻撃しないようこのカラスに奉仕をした[24]

フォロー諸島の伝承の一つとして、聖燭祭の朝に出かけた未婚者が石や骨、芝生を投げ、その時に海を飛び越えれば夫は外国人で、農場や家に飛べばそこから男性と結婚し、じっとしたままであれば結婚しないままといった内容のものがある[25]

イングランド南部の冬に毎年訪れていた頃、ロイストンクロウと呼ばれており、ロイストン英語版の羊の牧草地で鳥の食べられる死肉が提供されていた。1855年設立の地方紙であるロイストンクロウ[8]にはノースハートフォードシャー州会議の頂上部として取り上げられている[26]

オスロの王宮の鳥室に描かれる37種のノルウェーの鳥のうちの1種である[27]

ジェスロ・タルJack Frost And The Hooded Crowという歌はクリスマス・アルバムのザ・ブロードスウォード・アンド・ザ・ビーストのボーナストラックに収録されている[28]

出典

  1. ^ a b c Crows, mudnesters, birds-of-paradise, Gill F & D Donsker (Eds). 2018. IOC World Bird List (v 8.1). doi:10.14344/IOC.ML.8.1. (Retrieved 16 May 2018)
  2. ^ 西海功「DNA バーコーディングと日本の鳥の種分類」(PDF)『日本鳥学会誌』第61巻第2号、2012年、223-237頁、doi:10.3838/jjo.61.223 
  3. ^ 江口和洋「カササギ」『日本鳥学会誌』第65巻第1号、2016年、5-30頁、doi:10.3838/jjo.65.5 
  4. ^ 吉田保晴「ハシボソガラス Corvus corone のなわばり非所有個体の採食地と塒の利用」『山階鳥類研究所研究報告』第34巻、2003年、257-269頁、doi:10.3312/jyio1952.34.257 
  5. ^ Parkin, David T. (2003). “Birding and DNA: species for the new millennium”. Bird Study 50 (3): 223–242. doi:10.1080/00063650309461316. http://www.ingentaconnect.com/content/tandf/bird/2003/00000050/00000003/art00003. 
  6. ^ a b c d Poelstra, Jelmer W.; Vijay, Nagarjun; Bossu, Christen M. et al. (2014). “The genomic landscape underlying phenotypic integrity in the face of gene flow in crows”. Science (Washington, D.C.: American Association for the Advancement of Science) 344 (6190): 1410–1414. doi:10.1126/science.1253226. ISSN 0036-8075. PMID 24948738. https://kops.uni-konstanz.de/bitstream/123456789/29667/3/Poelstra_0-260687.pdf.  Further reading: [1]
  7. ^ Jones, Steve (1999): Almost Like A Whale: The Origin Of Species Updated. Doubleday, Garden City. ISBN 978-0-385-40985-8
  8. ^ a b c d e Cocker, Mark; Mabey, Richard (2005). Birds Britannica. London: Chatto & Windus. pp. 418–425. ISBN 0-7011-6907-9 
  9. ^ a b c Hooded Crow Corvus cornix [Linnaeus, 1758]”. BTOWeb BirdFacts. British Trust for Ornithology. 2008年2月4日閲覧。
  10. ^ Mullarney, Killian; v, Lars; Zetterstrom, Dan; Grant, Peter (2001). Birds of Europe. Princeton Field Guides. Princeton University Press. p. 336. ISBN 0-691-05054-6 
  11. ^ "Corvus". Merriam-Webster Dictionary. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)
  12. ^ Simpson, DP (1979). Cassell's Latin Dictionary (5th ed.). London: Cassell Ltd.. p. 153. ISBN 0-304-52257-0 
  13. ^ Vere Benson, S. (1972). The Observer's Book of Birds. London: Frederick Warne & Co. Ltd.. ISBN 0-7232-1513-8 
  14. ^ a b de Knijf, Peter (2014). “How carrion and hooded crows defeat Linnaeus's curse”. Science (Washington, D.C.: American Association for the Advancement of Science) 344 (6190): 1345–1346. doi:10.1126/science.1255744. ISSN 0036-8075. PMID 24948724. 
  15. ^ Poelstra, Jelmer W.; Vijay, Nagarjun; Bossu, Christen M. et al. (2014). “The genomic landscape underlying phenotypic integrity in the face of gene flow in crows”. Science (Washington, D.C.: American Association for the Advancement of Science) 344 (6190): 1410–1414. doi:10.1126/science.1253226. ISSN 0036-8075. PMID 24948738. Commentary by Mazhuvancherry K. Unnikrishnan and H. S. Akhila
  16. ^ Goodwin, D. (1983). Crows of the World. Queensland University Press, St Lucia, Qld. ISBN 0-7022-1015-3 
  17. ^ Evans, G (1972). The Observer's Book of Birds' Eggs. London: Warne. pp. 18. ISBN 0-7232-0060-2 
  18. ^ a b Snow, David; Perrins, Christopher M., eds (1998). The Birds of the Western Palearctic concise edition (2 volumes). Oxford: Oxford University Press. pp. 1478–1480. ISBN 0-19-854099-X 
  19. ^ Yom-Tov, Yoram (June 1974). “The Effect of Food and Predation on Breeding Density and Success, Clutch Size and Laying Date of the Crow (Corvus corone L.)”. J. Anim. Ecol. 43 (2): 479–498. doi:10.2307/3378. 
  20. ^ Snow & Perrin (1998) 873–4
  21. ^ Macafee, CI, ed (1996). A Concise Ulster Dictionary. Oxford: Oxford University Press. ISBN 0-19-863132-4 
  22. ^ Armstrong, Edward A. (1970) [1958]. The Folklore of Birds. Dover. p. 81. ISBN 0-486-22145-8 
  23. ^ Armstrong, p. 83
  24. ^ Ingersoll, Ernest (1923). Birds in legend, fable and folklore. New York: Longmans, Green and Co.. p. 165. https://archive.org/details/birdsinlegendfab00inge 2009年8月8日閲覧。 
  25. ^ Armstrong, Edward A. (1970) [1958]. The Folklore of Birds. Dover. p. 74. ISBN 0-486-22145-8 
  26. ^ Young, Robert (2005–2009). “Civic Heraldry of England and Wales - Thames Valley and Chilterns”. Civic Heraldry. self. 2008年3月17日閲覧。
  27. ^ The Bird Room”. The Norwegian Royal Family - Official Website. The Norwegian Royal Family (3 February 2007). 2008年3月17日閲覧。
  28. ^ Anderson, Ian (2007年). “The Jethro Tull Christmas Album Special Edition Features Bonus DVD in USA!”. Jethro Tull - The Official Website. Jethro Tull. 2008年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年3月17日閲覧。

関連項目

外部リンク