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2021年4月からはプレミアム客船[[パシフィック・ワールド (旅客船)|パシフィック・ワールド号]]をチャーターし、世界一周クルーズを行う。
2021年4月からはプレミアム客船[[パシフィック・ワールド (旅客船)|パシフィック・ワールド号]]をチャーターし、世界一周クルーズを行う。


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当時[[早稲田大学]]の学生であった[[辻元清美]](現・[[立憲民主党 (日本 2017)|立憲民主党]]衆議院議員)ら数名が、[[1983年]]([[昭和]]58年)に設立した。


2020年4月 - 新型コロナウイルス感染症の流行により、同年4月に出港予定だった世界一周クルーズを催行中止とした。キャンセルした乗客への返金方法について「3年間の分割返済」を提案したことから、観光庁からの指導を受けたことが報じられ、実質破綻状態にある。
2020年4月 - 新型コロナウイルス感染症の流行により、同年4月に出港予定だった世界一周クルーズを催行中止とした。キャンセルした乗客への返金方法について「3年間の分割返済」を提案したことから、観光庁からの指導を受けたことが報じられ、実質破綻状態にある。

2020年11月1日 (日) 10:18時点における版

ピースボート
設立 1983年[1]
本部 日本の旗 日本東京都新宿区高田馬場3-13-1 ノークビルB1[2]
座標 北緯35度42分43秒 東経139度42分0秒 / 北緯35.71194度 東経139.70000度 / 35.71194; 139.70000座標: 北緯35度42分43秒 東経139度42分0秒 / 北緯35.71194度 東経139.70000度 / 35.71194; 139.70000
ウェブサイト https://www.pbcruise.jp/
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客船「パシフィック・ワールド」(2021年-使用)
客船「ゼニス」(2020年-現在使用)
客船「オーシャンドリーム」(2012年-2020年使用)
客船「オセアニック」(2009-2012年使用)

ピースボート英語: Peace Boat)は、国際交流を目的として設立された日本非政府組織(NGO)、もしくは、その団体が企画している船舶旅行の名称である。設立当初はアジアをめぐるクルーズの企画を主体としていたが、1990年以降は世界各地をめぐる「地球一周の船旅」を繰り返し行っている。

2021年4月からはプレミアム客船パシフィック・ワールド号をチャーターし、世界一周クルーズを行う。

当時早稲田大学の学生であった辻元清美(現・立憲民主党衆議院議員)ら数名が、1983年昭和58年)に設立した。

2020年4月 - 新型コロナウイルス感染症の流行により、同年4月に出港予定だった世界一周クルーズを催行中止とした。キャンセルした乗客への返金方法について「3年間の分割返済」を提案したことから、観光庁からの指導を受けたことが報じられ、実質破綻状態にある。

概要

客船「トパーズ号」(2003年~2008年使用)
地中海沿岸を航行中のピースボート

ピースボートはアジアをはじめとする各地の人々と現地での交流を行うことで国際交流と理解を図るという趣旨により、青少年を運営主体として長期の船旅を企画している。また、ジャパングレイス旅行業者としてこの船旅を企画・実施している。

1983年にピースボートが企画される発端となったのは、日本のアジア侵略を「進出」と書き換え、被害国の人々が抗議した「教科書問題」である(誤報に端を発して国際問題となった。報じられた教科書とは別に「進出」との書き換え意見があったことも判明した)。世界中の市民と交流するに当たって、平和民主主義人権から地球環境問題など、具体的には、ユーゴスラビア紛争パレスチナ問題などの地域紛争や、核問題、アフリカなどの貧困問題、HIV問題、あるいはカンボジアのような国の地雷廃絶など、地球上が抱える重大な問題をテーマに扱い、世界の市民と交流を行いながら続けてきた船旅企画である。

時として政治的・外交的問題を意識して渡航先を選ぶこともあることから、その行動や成果には賛同と否定の両方がある。 ピースボートの主要活動である船舶旅行(クルーズ)は、平均して年3回以上行われている。船舶や寄港地での講演や交流企画もあり、参加者に体験と交流を促す面が強い。その一方、「ボランティアスタッフ」になれば通常より割安で乗船できることもあり、「安価な世界旅行ができる」と考えて参加する者もいると言われる。 また、クルーズ以外にも多数のプロジェクトが実施されている。

ピースボートは国連との特殊諮問資格 (Special Consultative Status) をもつ国際NGOとして、活動の成果を踏まえて国連に報告、提言などを行うことができる。このことは国連広報センターのHPでも触れられている。

ピースボートは核兵器廃絶を目指す国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営グループとして参加している。ピースボート共同代表の川崎哲はICAN国際運営委員に名を連ねており、ICANとして2017年度のノーベル平和賞を受賞している[3]

歴史

当時早稲田大学在学中の数名の学生が創設。

これまでに実施されたクルーズ及び、現在発表されているクルーズ

  • 第1回 ピースボート83(1983年9月2日 - 9月14日)
  • 第44回 ピースボート地球一周の船旅(2003年12月25日 - 2004年4月1日)
  • 第45回 ピースボート地球一周の船旅(2004年4月4日 - 7月11日)
  • 第46回 ピースボート地球一周の船旅(2004年7月14日 - 10月19日)
  • 第47回 ピースボート地球一周の船旅(2004年10月22日 - 2005年1月31日)
  • 第48回 ピースボート地球一周の船旅(2005年2月2日 - 5月18日)
  • 第49回 ピースボート地球一周の船旅(2005年5月21日 - 8月31日)
  • 第50回 コリア・ジャパン未来クルーズ(2005年8月13日 - 2005年8月27日)
  • 第51回 ピースボート地球一周の船旅(2005年9月3日 - 2005年12月16日)
  • 第52回 ピースボート地球一周の船旅(2005年12月26日 - 2006年3月30日)
  • 第53回 ピースボート地球一周の船旅(2006年4月5日 - 7月16日)
  • 第54回 ピースボート地球一周の船旅(2006年7月21日 - 10月30日)
  • 第55回 ピースボート地球一周の船旅(2006年11月2日 - 2007年2月11日)
  • 第56回 ピースボート地球一周の船旅(2007年2月25日 - 6月6日)
  • 第57回 PEACE&GREEN BOAT 2006(2006年12月13日 - 12月27日)
  • 第58回 ピースボート地球一周の船旅(2007年6月9日 - 9月20日)
  • 第59回 ピースボート地球一周の船旅(2007年9月23日 - 2008年1月10日)
  • 第60回 ピースボート地球一周の船旅(2008年1月12日 - 4月28日)
  • 第61回 PEACE&GREEN BOAT 2007(2007年7月15日 - 7月29日)
  • 第62回 ピースボート地球一周の船旅(2008年5月14日 - 9月4日)
  • 第63回 ピースボート地球一周の船旅(2008年9月7日 - 1月13日)
  • 第64回 ピースボート地球一周の船旅(2009年1月15日 - 4月19日)
  • 第65回 PEACE&GREEN BOAT 2008(2008年11月21日 - 11月28日)
  • 第66回 ピースボート地球一周の船旅(2009年4月23日 - 8月12日)
  • 第67回 ピースボート地球一周の船旅(2009年8月27日 - 12月11日)
  • 第68回 ピースボート地球一周の船旅(2009年12月28日 - 4月9日)
  • 第69回 ピースボート地球一周の船旅(2010年4月16日 - 7月25日)
  • 第70回 ピースボート地球一周の船旅(2010年8月2日 - 10月20日)
  • 第71回 ピースボート地球一周の船旅(2010年10月25日 - 2011年1月8日)
  • 第72回 ピースボート地球一周の船旅(2011年1月23日 - 4月8日)
  • 第73回 ピースボート地球一周の船旅(2011年4月24日 - 7月12日)
  • 第74回 ピースボート地球一周の船旅(2011年7月19日 - 11月1日)
  • 第75回 ピースボート地球一周の船旅(2012年1月24日 - 5月3日)
  • 第76回 ピースボート地球一周の船旅(2012年5月8日 - 8月17日)
  • 第77回 ピースボート地球一周の船旅(2012年8月24日 - 11月17日)
  • 第82回 PEACE&GREEN BOAT 2012(2012年12月1日 - 12月9日)
  • 第78回 ピースボート地球一周の船旅(2012年12月14日 - 2013年3月25日)
  • 第79回 ピースボート地球一周の船旅(2013年4月1日 - 7月12日)
  • 第80回 ピースボート地球一周の船旅(2013年7月18日 - 10月10日)
  • 第85回 PEACE&GREEN BOAT 2013(2013年10月18日 - 10月27日)
  • 第81回 ピースボート地球一周の船旅(2013年11月22日 - 2014年3月6日)
  • 第83回 ピースボート地球一周の船旅(2014年3月13日 - 6月24日)
  • 第84回 ピースボート地球一周の船旅(2014年7月9日 - 10月21日)
  • 第89回 PEACE&GREEN BOAT 2014(2014年10月30日 - 11月8日)
  • 第86回 ピースボート地球一周の船旅(2014年11月21日 - 3月6日)
  • ピースボート2015年春ショートクルーズ(2015年3月21日 - 4月2日)
  • 第87回 ピースボート地球一周の船旅(2015年4月12日 - 7月26日)
  • PEACE&GREEN BOAT 2015(2015年8月1日 - 8月10日)
  • 第88回 ピースボート地球一周の船旅(2015年8月21日 - 12月6日)
  • 第90回 ピースボート地球一周の船旅(2015年12月17日 - 2016年3月30日)
  • ピースボート2016年春ショートクルーズ(2016年3月31日 - 4月8日)
  • 第91回 ピースボート地球一周の船旅(2016年4月12日 - 7月27日)
  • PEACE&GREEN BOAT 2016(2016年7月29日 - 8月6日)
  • 第92回 ピースボート地球一周の船旅(2016年8月18日 - 11月30日)
  • 第93回 ピースボート地球一周の船旅(2016年12月9日 - 2017年3月23日)
  • ピースボート2017年春ショートクルーズ(2017年3月28日 - 4月5日)
  • 第94回 ピースボート地球一周の船旅(2017年4月12日 - 7月26日)
  • PEACE&GREEN BOAT 2017(2017年7月27日 - 8月7日)
  • 第95回 ピースボート地球一周の船旅(2017年8月13日 - 11月25日)
  • ピースボート2018ニューイヤークルーズ(2017年12月28日 - 1月5日)
  • 第96回 ピースボートオセアニア一周クルーズ(2018年1月8日 - 3月4日)
  • 第97回 ピースボートアジアグランドクルーズ(2018年3月7日 - 4月23日)
  • 第98回 ピースボート地球一周の船旅(2018年5月8日 - 8月22日)
  • ピースボート2018ゴールデンウィーククルーズ(2018年4月24日 - 5月3日)
  • 第99回 ピースボート地球一周の船旅(2018年9月1日 - 12月18日)
  • 第100回 ピースボート地球一周の船旅(2018年12月26日 - 2019年4月1日)
  • PEACE&GREEN BOAT 2019(2019年4月7日 - 4月18日)
  • 第101回 ピースボート地球一周の船旅(2019年4月20日 - 2019年8月2日)
  • 2019年夏日本一周クルーズ(2019年8月4日 - 2019年8月23日)
  • 第102回 ピースボート地球一周の船旅(2019年9月1日 - 2019年12月12日)
  • 第103回 ピースボートオセアニア一周クルーズ(2019年12月21日 - 2020年2月16日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2021年4月 Voyage107(2021年4月13日 - 2021年7月30日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2021年8月 Voyage108(2021年8月20日 - 2021年12月7日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2021年12月 Voyage110(2021年12月15日 - 2022年4月1日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2022年4月 Voyage111(2022年4月9日~2022年7月24日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2022年8月 Voyage112(2022年8月20日~2022年12月6日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2022年12月 Voyage113(2022年12月14日~2023年3月29日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2023年4月 Voyage114(2023年4月7日~2023年7月24日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2023年8月 Voyage115(2023年8月23日~2023年12月6日)
  • ピースボート地球一周の船旅 2023年12月 Voyage116(2023年12月13日~2023年3月29日)

国連ミレニアムキャンペーンのロゴを船体にペイント

ピースボートと国連ミレニアムキャンペーンは協力してプロジェクトを行ってきた。船上でも、国連ミレニアムキャンペーンのアジアディレクター、ミナール・ピンプルによるワークショップなどを開催している。2009年10月には、こうした世界から貧困をなくすというメッセージを世界中に届けるため、ピースボートの船体に国連ミレニアムキャンペーンのロゴがペイントされている。

国連ミレニアムキャンペーンは、「2015年までに世界の貧困を半減する」ことなどを目指す8つの目標「ミレニアム開発目標(MDGS)」の実現に向けて、世界規模で活動しているキャンペーン組織としている。

2016年8月、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の公式キャンペーン団体として、新たな巨大ロゴが船体にペイントされた。

ICANロゴが船体にペイントされた。

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のロゴを船体にペイント

2017年12月、ピースボートは核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の国際運営グループとして、新たな巨大ロゴが船体にペイントされた。



ピースボートが実施しているプロジェクト活動

地雷廃絶キャンペーン

ピースボートが地雷除去と建設を支援した小学校で子どもたちと交流

ピースボートでは、1998年から継続的にカンボジアアフガニスタンなどの地雷埋設国で、地雷除去を行う政府機関やNGOの支援を行うプロジェクトであるピースボート地雷廃絶キャンペーン(P-MAC:PeaceBoat Mine Abolition Campaign)を行っている。 世界中におよそ8千万個と言われている地雷によって、今も命を失ったり怪我をする人が後を絶たない。その犠牲者の多くは戦闘員ではなく、一般市民である。「世界中で1時間にひとり」と言われる地雷の犠牲者を減らすためにピースボートは地雷廃絶キャンペーンを立ち上げている。

 ピースボート地雷廃絶キャンペーンは1998年以来、「地雷をなくそう100円キャンペーン」や「なんだろう地雷出前教室」、地雷被害者への支援など、さまざまなキャンペーンを展開し、2018年末までに、カンボジアの地雷原・170万平方メートル(東京ドーム36個分)から地雷を除去。またその土地に小学校4校と保健所1棟も建設した。その支援活動によって2016年には「カンボジア王国友好勲章」を受章した。現在も学校や農地のための地雷除去募金を集めている。カンボジアの地雷除去を行う政府系組織CMAC[4]でもピースボートの支援はサポート団体として紹介されている。

地球大学

ピースボート地球大学は、1999年10月に出航した第26回ピースボート地球一周の船旅において初めて開催された。目的は、平和についてより広く実践的に学び、地球的視野から平和をつくりだしていく人材を育てること。参加者は日本人の若者のみならず、国際奨学生として近隣のアジア諸国や世界の紛争地域から若者を招いている。

2014年からは全行程を英語でおこなう短期間の「特別プログラム」を、2016年からは国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に関連づけたカリキュラムを実施している。

これまでに47クルーズでプログラムを実施し、のべ3000名以上が参加している(2019年10月時点)。

UPA国際協力プロジェクト

第87回クルーズの寄港地ラグアイラ(ベネズエラ)にて支援物資を届けた。

ピースボート・クルーズで訪れる土地に、日本国内で集めた支援物資を届けるプロジェクト。ピースボート設立当初の1984年から始まり、以降毎クルーズ活動している。各地のNGOや学校などに、必要な物資を届けている。その内容は、文房具やスポーツ用品、楽器、ミシン、衛生用品など多岐にわたる。大型客船を使うという特長を活かし、一度に多量の物資を運ぶほか、救急車や車椅子といった大型の物資提供も行ったことがある。プロジェクト名にある「UPA」とは「United Peoples Alliance」の頭文字を取ったもので、国と国のつながりとは異なる「人々の連合」を作るという意味から付けられている。[5]

DeNAが実施している「Sekai Egao プロジェクト」と協力して、2016年1月にランニングシューズ213足をモザンビークに、2016年6月に野球道具1180個をキュラソーベネズエラに届けた。

ベトナム・枯葉剤被害者支援キャンペーン

ピースボートは2005年から3年間に渡って集めた外貨募金(約1万3000ドル)をベトナムの枯葉剤被害者協会に贈り、 被害者支援のための施設の建設費の一部(屋根の建築や家具の購入費用等)として使われた。2009年のクルーズでは、日本からの被爆者とともに、その施設で初めて交流会を行っている。[6]

PEACE&GREEN BOAT

ピースボートは、2005年に韓国のNGO「環境財団」とともに史上初の日韓NGO共催による「ピース&グリーンボート」を実施。500名を越える参加者と共に15日間の東アジアの船旅を実施した。その後、11回にわたって「ピース&グリーンボート」を実施して、交流を行っている。(2019年10月現在)

ピースボール

2010年12月、元サッカー日本代表監督のフィリップ・トルシエが「ピースボール親善大使」に就任

サッカーを通じて各地で交流を行うプロジェクト。クルーズで訪れる土地でのサッカー交流の他、日本国内で中古のサッカーボールの寄贈を呼びかけ、経済的事情などからサッカーボールを持つことが出来ない子どもたちや、各地の学校、サッカーチームなどに、ボールを贈る活動も行っている。これまでボールを届けた国は以下の通り。

エリトリアケニア南アフリカベトナムブラジルベネズエラトルコマダガスカルキューバアルゼンチンチリニューギニアクロアチア東ティモールインドパレスチナフィジーセイシェル中国リビアエクアドル、チューク、スペインモルディブカナダエルサルバドルエジプトオランダ北アイルランドメキシコフィリピングアテマライエメンヨルダンナミビア 他

2009年2月には、イラクの子供達を支援するチャリティーサッカー大会を開催している。[7]

2010年12月、元サッカー日本代表監督のフィリップ・トルシエが「ピースボール親善大使」に就任。ピースボートと協力して、世界の子どもたちにサッカーボールを届けるなどの活動をしていくことを明らかにした。トルシエとピースボールの協力活動第一弾として、2011年に出航する世界一周クルーズで訪問するモロッコに396個のボールを届けた。今でもモロッコで長い時間を過ごすというトルシエは「アフリカ各地の子供たちは、ボールを買えず、空き缶やペットボトルをボール代わりにしていることが多い。本物のボールを蹴る幸せを一人でも多くの子供たちに知ってほしい」と呼びかけている。読売新聞などに取り上げられた[8]

2014年5月、ブラジルリオデジャネイロにあるストリートチルドレン養護施設サンマルチーニョ慈善協会内にサッカー場を建設。 建設費用は全て街頭、クラウドファンディングなどの募金活動で集めた。金田喜稔GAKU-MCがキャンペーンの呼びかけ人。

2019年現在、約14300個、46ヶ国にサッカーボールを届けている。

エジプトのピラミッド前で演舞

ピースボート よさこいプロジェクト

高知よさこいの名門『ほにや』とコラボレーションしたプロジェクト。 チーム名はピースボートよさこい「ほにや丸」。 2019年4月出航の101回クルーズで初開催し、世代・国籍を超えた60名以上が参加。エジプトピラミッドの前など、オプショナルツアーで訪れた場所でダンス交流を行った。他にもコロンビアパナマフィジーオーストラリアでパフォーマンスを披露した。 また、ピースボート史上初となるオーシャンドリーム号船内で開催した国連公式イベントでも、演舞を披露し反響を呼んだ。

ガラパゴスの森再生プロジェクト

ダーウィン進化論を起草したことで知られるガラパゴス諸島の自然環境保護プロジェクト。観光客や島民の増加により、多くの外来種が持ち込まれ危機に瀕するガラパゴス諸島の自然を守るための植林活動などを行っている。ピースボート・クルーズにゲストとしても乗船経験のある、フォトグラファー・藤原幸一と、彼が代表を務めるNGO「ガラパゴス自然保護基金」そして、ガラパゴス諸島の「チャールズ・ダーウィン研究所」との共同プロジェクト。[9]

野球用品を届けるプロジェクト

ピースボートは、スポーツを通じた市民の交流を進めるため、野球が盛んだが、子ども達を中心に、野球用品を手に入れることができないキューバベネズエラに、日本で野球用品を集めて送る活動も行っている。第67回クルーズでは、プロ野球選手スポーツキャスターの協力を得ながら、キューバにボール240個、バット92本、アンダーシャツ158枚、シューズ22足、グローブ16個など、を贈っている[10]

「旅と平和」エッセイ大賞

ピースボートは、旅を通じて世界を学び、未来の国際社会をつくる若者を応援する「旅と平和」エッセイ大賞を行って、「旅と平和」をテーマにしたエッセイを募集している。大賞にはピースボートが主催する地球一周クルーズの無料乗船券などが贈られる。審査委員は鎌田慧(ルポライター)、伊藤千尋(朝日新聞記者)ら[11]

パレスチナ・ガザ支援活動

ピースボートでは、2008年末からはじまったイスラエル軍によるパレスチナガザ地区への軍事攻撃を受けて、それに抗議するデモなどを行った。また、ガザへ援助物資を届ける人道支援活動も行っている。2009年の3月には、イスラエル軍の攻撃を受けたパレスチナ自治区のガザの避難所で生活している人々に、緊急援助として毛布を送るための募金を街頭で行い、集まった50万円で300枚の毛布を購入し送っている[12]

2010年9月には、医師の鎌田實がピースボートのメンバーとともに、かつて虐殺事件のあった難民キャンプなどを訪れて、イスラエルパレスチナ双方の人々と交流。その後第70回地球一周クルーズに乗船した。とくにパレスチナ人の息子をイスラエル軍によって殺されたものの、その臓器をイスラエル人の子どもたちに提供した父親との対話の様子は、NHKの海外ネットワークや、日本テレビのニュースなどで放映されている。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海(通称 おりづるプロジェクト)

ピースボートは、創立25周年を記念して、2008年に出航した第63回クルーズにおいて、1945年8月に落とされた広島・長崎の原爆投下によって被爆した被爆者を募集し、のべ103名の被爆者が乗船し、「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」と題し地球一周クルーズの各寄港地での被爆体験の証言を行った。

被爆証言を行った寄港地は下記の通りである。

ベトナムインドエリトリアエジプトトルコギリシアマルタイタリアスペインカナリア諸島ドミニカベネズエラペルーイースター島タヒチニュージーランドオーストラリアパプアニューギニアパラオ

2009年に出航した第67回クルーズにおいて、第二回被爆者プロジェクトを実施した。こうした活動を受けて、広島の秋葉忠利市長は、ピースボートのヒバクシャプロジェクトへの支援を表明する手紙を書いている[13]

2009年10月11日には、バチカンを訪問したピースボート乗船者の被爆者が、ローマ法王ベネディクト16世の祈りの集いに出席。法王は、広島と長崎の被爆者らに対して「世界が二度と、このような罪のない人命の大量殺りくを目撃することのないよう祈る」とメッセージを発した[14]

同年10月26日、第一回被爆者プロジェクトの成果として製作した映画が国連本部の会議場で上映された。 上映されたのはドキュメンタリー映画「フラッシュ・オブ・ホープ」。コスタリカのエリカ・バニャレロ監督の作品で、被爆者103人が世界各地を巡った船旅を追ったもの[15]

2010年9月21日、被爆者らを乗せた船がキューバを訪れた際に、フィデル・カストロ国家評議会議長と面会。被爆者の声を聞いたカストロは、「あなたたちのように、人類が冒している危険を認識している人たちと協力していきたい」と述べた[16]

2017年には第10回目のおりづるプロジェクトを実施。

おりづるプロジェクト2018のメンバーとメキシコの国連大使の元へ面会

おりづるプロジェクトの実施にあたり、被爆証言を伝えるだけではなくその中で平和首長会議への加盟やヒバクシャ国際署名など共に行っている。

2017年7月7日に核兵器禁止条約が採択される。

その条約採択に向け尽力したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)がノーベル平和賞を受賞。ピースボートは2007年より、ICANの国際運営団体の1つになっている。

2018年5月、ICANがノーベル平和賞を受賞後初の地球一周クルーズを実施。おりづるプロジェクト2018と題して、ノーベルメダルと賞状の公式レプリカと共に、寄港地で被爆証言を行い、核兵器禁止条約への署名・批准を訴えてきた。

2019年1月現在、のべ180名の被爆者が乗船した。

グローバルスクール

2010年から開校。生きづらさを抱える若者を対象にした洋上コミュニケーションプログラム。ピースボート地球一周クルーズで訪れるその土地の文化や現地の人との出会い、船内にいるバックグラウンド様々な乗客の中での生活のなかから、「ヒトと違うこと」に胸を張って生きる自信を生み出す原体験づくりが狙い 。 クルーズ旅行は寄港日数よりも船上日数のほうが多くなるのが普通だが、その洋上期間を活かし専門家によるコミュニケーションのトレーニングや、洋上講師による授業を行う。

これまでに、14歳~38歳まで、のべ155名が受講した。(2019年1月現在)

また、ジャーナリストの池上彰や作家の池田香代子などが講師を担ったことがある。

ピースボート子どもの家

洋上モンテッソーリ保育園

ピースボート子どもの家 2009年4月から、2歳から6歳までの子どもを対象とした洋上のモンテッソーリ保育園、ピースボート子どもの家を地球一周クルーズにおいて実施している。 洋上では、子ども向けの英西会話プログラム、 寄港地での学校体験などがあり、一人ひとりの子どもの発達や興味にあわせて、国際モンテッソーリ教師・担当保育士が環境を用意し、子どもたちの好奇心や学ぶ力、表現力を大切に育んでいる。子どもの発達をとことん見つめ、「自分でできた!」という自ら成長する力を援助するプログラムを実施している。

これまでに、のべ179名の子どもたちと、そのご家族が地球一周を経験している。(2019年10月現在)[17]

東日本大震災緊急支援

ピースボートは、1995年の阪神・淡路大震災以来、国内外での災害救援活動を展開してきた。

2011年3月11日に発生した東日本大震災を受けて、ピースボートでは緊急支援チームを結成。宮城県石巻市を中心に、現地の社会福祉協議会やその他NPO、延べ9万人を越えるボランティアと協力し、被災者支援に取り組む。中長期で復旧・復興を支えるため、2011年4月19日に一般社団法人ピースボート災害ボランティアセンター(2019年10月1日より「一般社団法人 ピースボート災害支援センター」に団体名称を変更)を設立した。活動内容は、炊き出しや食事の配達、物資の搬送、避難所の支援、泥のかき出し、漁業支援、仮設住宅の生活支援など多岐にわたる。活動を引き継いだピースボート災害ボランティアセンター(PBV)は、その後もネパール地震(2015年4月)、熊本地震(2016年4月)、西日本豪雨(2018年7月)などの国内外で起きる自然災害の緊急支援活動に加えて、「災害ボランティア・トレーニング」を実施し、将来の災害に備えた防災・減災への取り組みも展開している。国際的には、国連防災機関(UNDRR)による「災害に強い都市づくり」キャンペーンと公式提携し、世界各地でトレーニングや啓発活動を進めている。 (2019年10月現在)

福島子どもプロジェクト

保養と国際交流の体験を通して、子どもたちに夢と健康を届けたいとの思いから、2011年の震災直後に「福島子どもプロジェクト」を立ち上げた。約50名の子どもたちが南相馬市からピースボートの船旅に1週間ほど参加した。船上での体験プログラムやオーストラリアに滞在して環境学習を実施するなどさまざまな取り組みを行っている。

福島子どもプロジェクトは、国際NGOピースボートと一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)が共同で実施している。

脱原発世界会議

2012年1月14〜15日、ピースボートら6団体の共催で原子力のない世界を目指す「脱原発世界会議 2012 YOKOHAMA」が開催された。(パシフィコ横浜)会議への参加者は、海外からの約30カ国約100名を含めて、2日間でのべ1万1500人になった。また、会議はインターネットで全世界に中継され、約10万人が視聴した。この会議をきっかけに、全国の64の自治体の首長による「脱原発を目指す首長会議」が発足(2012年4月28日)。原発ゼロを目指して活動を始めた。大飯原発の再稼働については「拙速に陥らず、自治体、住民の合意形成を求める」として反対した。この事実は毎日新聞、東京新聞などで取り上げられている。

グローバル9条キャンペーン

2014年7月14日国際民主法律家協会などと共に、「グローバル9条キャンペーン」を立ち上げた。7月1日、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し、世界と日本の人々に広く行動を呼びかける国際アピールを発出する[18]

評価が分かれている諸問題

国後島への渡航

第38回クルーズに於いて、ピースボートは日本・ロシア間の領土問題となっている国後島へ渡航した。領土が他国に占拠されている状態で日本人が渡航してしまうと、その領土があたかも相手国の領土であるかのごとく入域することになる。そのため、北方領土に対する日本の法的立場を害することになるおそれがある。こうした危惧から日本の外務省はピースボートに対し事前に渡航自粛要請をしていた。しかし、ピースボートは渡航を敢行した。クルーズ後の2002年10月31日に、外務省は欧州局ロシア課長名でピースボートに改めて自粛を要請した(自粛を再要請した事実はピースボートのHPに記述されている(2002.11.1))。

ピースボート側は、外務省側からは事前に国後島への渡航に関して「問題はない」との回答を受けており、日露市民相互の信頼関係を築くための国際交流の一環であり、まったく正当なものだと主張している。またピースボートの訪問は、外務省の見解に沿うようロシア政府の領土であることを認めない、ビザなし、パスポートなしの形で行われたとしている[19]

北朝鮮への渡航

「アジア未来航海」と名づけられた第29回クルーズや、「コリア・ジャパン未来クルーズ」と名づけられた第50回クルーズなど、ピースボートは数回にわたり朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へ渡航している。また、過去に万景峰号をチャーターして北朝鮮へのクルーズを行ったこともある。

海賊対策での海上自衛隊派遣問題

ピースボートは、海賊対策での「ソマリア沖の海賊海上自衛隊派遣反対」を掲げていたにも関わらず、2009年5月、第66回目の地球一周航海の際、ソマリア沖・アデン湾を航行中に、海上自衛隊護衛艦さみだれ」、「さざなみ」による護衛を受けていたことが報道された[20]

事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(旅行会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話しており、海自による護衛は、船旅の企画・実施を行う旅行会社が、護衛任務を調整する「国土交通省海賊対策連絡調整室」と安全対策を協議した結果、海自が護衛する船団に入ることが決まったと述べており、ピースボートが海自に護衛を直接依頼したのではない、と主張している。

2016年5月、第91回目の地球一周航海の際にも、ソマリア沖・アデン湾を航行する際に、海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり」に護衛されたが、ピースボート側は「コメントする立場にない」としている[21]

船のトラブル

ピースボートが2008年にチャーターした船は、何度かトラブルを起こしたことがある。クリッパー・パシフィック号(1970年建造・22,954トン)は、2008年に行なわれた第62回の世界一周の航海において、ニューヨーク寄港時に整備不良が発覚し、出港を差し止められた。その後、数日遅れて出航した船は、地球一周を経て帰国している。また、2009年からチャーターした客船オセアニック号(1965年建造・38,772トン)も、2012年に実施された第75回世界一周の航海中に停電をおこしたことが原因で、帰航日が一日遅れた。そのことは、2012年5月の週刊新潮でも報じられている。その後、2012年5月からチャーター船はオーシャンドリーム号(1981年建造・35,265トン)に変更された。現在、ピースボートの公式サイトでは、チャーター船の建造年数を記載するようになっている。

事件・訴訟

地球一周船旅に関する訴訟

2009年8月11日2008年出航の第62回と第63回の参加者24人に、ピースボートの船が整備不良で航行不能になるなどして航海中の日程変更を強いられ、健康被害も出たとして、約2700万円の損害賠償を吉岡共同代表や旅行会社などに請求する訴訟を起こされた[22]

しかし、ピースボート及び旅行会社に責任はないと勝訴となった。

名誉毀損に関する訴訟

週刊新潮がピースボートの企画旅行に対して批判記事を掲載した。これに対してピースボート主宰者らは出版社の新潮社などに対し、著しく名誉を傷つけられる報道をされたしたとして、損害賠償を求める訴訟を起こした(ピースボートのHPに記述されている)。

東京地裁は新潮社側に192万円の支払いを命じる判決を下したが、東京高裁では敗訴となり、最高裁は上告を棄却しピースボート主宰者側の敗訴が確定した。

また、ピースボート関係者は文藝春秋などに対しても、1994年10月20日号の週刊文春の記事により名誉を傷つけられたとして、損害賠償を求める訴訟を起こしたが、こちらも2002年2月8日に最高裁での敗訴が確定した。なお、この記事で「ピースボートの集客方法は旅行業法上問題がある」と指摘されたことから、この問題以降は旅行会社をジャパングレイスに変更し、広告にも主催旅行社の名前を大きく出すようになった。

乗船客による大麻密輸事件

2013年10月10日、横浜港大さん橋国際客船ターミナル(横浜市中区)で、オーシャンドリーム号から下船し上陸する際に乾燥大麻約5.66グラム(末端価格約2万8000円)を密輸しようとしたとして、乗客の自称カメラマンの男が関税法違反(輸入禁止貨物の輸入未遂)容疑で横浜税関に告発された。大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された男は個人的に吸引する目的でジャマイカで購入し、船内で何度か吸っていたことを認めた[23]

この件について、ピースボート事務局の広報責任者は「若い世代の参加者が多く、薬物は最も気を付けていることの一つ。出航前から注意喚起を繰り返していたので大変残念だ」とコメントした[24]

脚注

  1. ^ ピースボートの主なあゆみ”. ピースボート. 2017年10月7日閲覧。
  2. ^ アクセス”. ピースボート. 2017年10月7日閲覧。
  3. ^ 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞したことを受け、ピースボートが声明を発表しました 国際交流NGOピースボート
  4. ^ カンボジア地雷対策センターのHP
  5. ^ UPA国際協力プロジェクト
  6. ^ 参照ピースボートのHP
  7. ^ ピースボールHPチャリティーサッカー大会
  8. ^ 読売新聞
  9. ^ ガラパゴスの森再生プロジェクト
  10. ^ ピースボートプレスリリース
  11. ^ 「旅と平和」エッセイ大賞
  12. ^ ガザ攻撃に反対するアピール ピースボートプレスリリース
  13. ^ 秋葉市長からの応援の手紙
  14. ^ 産経ニュース
  15. ^ 時事通信社 被爆体験を伝える映画上映 プレスリリース
  16. ^ 産経ニュース
  17. ^ ピースボート子どもの家未来名刺 TEDx TOKYOyz
  18. ^ レイバーネット2014年7月14日 ピースボートとグローバル9条キャンペーンの国際アピール : 日本の平和憲法を救え!
  19. ^ ピースボートのHP(2002.8.29)
  20. ^ ピースボート護衛受ける ソマリア沖 MSN産経ニュース 2009年5月14日
  21. ^ 「『危ないときは守って』はムシがいい」 ソマリア沖で海上自衛隊の護衛艦がピースボートを護衛 MSN産経ニュース 2016年5月17日
  22. ^ 客船のトラブル多発で提訴 ピースボートの参加者24人 47NEWS 2009年8月11日
  23. ^ ピースボートの船で大麻密輸か 横浜税関が乗客を告発 産経新聞 2013年10月28日
  24. ^ ピースボートで大麻密輸の疑い、横浜税関が自称カメラマンを告発 神奈川新聞 2013年10月28日

外部リンク