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2021年3月21日 (日) 00:11時点における版

ターミナル
The Terminal
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 サーシャ・ガヴァシ
ジェフ・ナサンソン
原案 アンドリュー・ニコル
サーシャ・ガヴァシ
製作 ウォルター・F・パークス
ローリー・マクドナルド
スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮 パトリシア・ウィッチャー
ジェイソン・ホッフス
アンドリュー・ニコル
出演者 トム・ハンクス
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
スタンリー・トゥッチ
音楽 ジョン・ウィリアムズ
撮影 ヤヌス・カミンスキー
編集 マイケル・カーン
配給 アメリカ合衆国の旗 ドリームワークス
日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 2004年6月18日
日本の旗 2004年12月18日
上映時間 129分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $60,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $219,417,255[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $77,872,883[1]
日本の旗 41.5億円[2]
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ターミナル』(The Terminal)は、2004年公開のアメリカ映画。スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス出演。上映時間は、予告編を含み129分。

パスポートが無効になりターミナルに閉じ込められてしまった男と、ターミナル内の従業員との交流と恋模様を描いた作品で、ロマンスおよびコメディの要素を持つ[3][4][5]

ストーリー

アメリカジョン・F・ケネディ国際空港の国際線ロビー、入国手続きゲートで奇怪な缶詰を手にしたクラコウジア人のビクター・ナボルスキーは足止めされていた。彼の母国のクラコウジアで、彼が乗った飛行機が出発した直後にクーデターが起こり事実上クラコウジア政府が消滅。そのため、彼のパスポートは無効状態となり、入国ビザは取り消されていたのだった。

アメリカに入国するために亡命難民申請をすることもできず、かといって母国に引き返すこともできず、行き場を失ったビクターはJFK空港の国際線乗り継ぎロビーの中に留め置かれることになった。テレホンカードポケベル(職員がビクターを呼び出すのに使用する)、空港内のパス(職員のオフィスに入るときなどに使用する。ビクターは制限区域内や工事中のエリアにも入っている)、食事のクーポン券などを渡されたビクターは空港内で生活を始める。

乗り継ぎロビーはドア1枚を抜ければ空港外(アメリカ国内)へと出ることができるうえ、監視の目もそれほど厳しくないため、空港から脱走(不法入国)しようと思えば可能であった。しかし、真面目なビクターは頑なに空港内で待つことを選び、そのことで、自分の昇進のために空港からビクターを追い払いたい国境警備局のディクソンと対立するようになる。空港で生活するうちにビクターは空港で働くことを決心する。はじめは空港内に放置された旅客用のカート返却のデポジット金を稼ぐなどしていたがディクソンに専用の職員を充てがわれ仕事を失ってしまう、やがて工事現場で無断で行った大工仕事の腕を買われターミナルの内装業として雇われる。空港職員とも打ち解けていき、清掃員のグプタや機内食サービスのエンリケなどと親しくなる。

ある日、空港入国管理官の視察が行われている最中、視察団に同行していたディクソンの元に、ミロドラゴヴィッチ(ヴァレリー・ニコラエフ英語版)という男が入国審査の取調室で暴れているという連絡が入る。重病の父親のために持ち込もうとした処方薬が、書類不備で没収されそうになったためであったが、英語が通じないため、ディクソンはビクターを呼び出し通訳させる。ビクターの機転で、薬は山羊のためのものという嘘で通関出来るようになり、ミロドラゴヴィッチからは感謝されるものの、嘘を見抜いたディクソンは上司サルチャックもいる視察団の目の前でビクターに暴言を浴びせ、後日ディクソンはナボルスキーを自分のオフィスに呼び出し、ニューヨークにその爪先すら一歩も踏ませない、と告げる。しかしこの出来事をグプタが空港の他の職員達に喧伝したことで、空港職員達のビクターへの対応が好意的になる。

空港の生活のなかで、客室乗務員アメリア・ウォーレンと出会う。恋人とうまくいっていなかったアメリアはビクターと親しくなる。ある日、ビクターは働いて得た賃金でアメリアを食事に誘う。空港の仲間たちのサポートもあって、空港内の展望デッキでディナーをともにすることができ、二人は意気投合する。その後、フライトから帰ってきたアメリアにビクターは工事中の水飲み場を改造した噴水を披露する(アメリアのお気に入りのナポレオンジョゼフィーヌに噴水を贈ったことにちなむ)。噴水は未完に終わったが、ビクターはアメリアに大切に持っていた缶詰を見せ、なぜ自分が空港でずっと待っているのかを明かす。

1958年、熱狂的なジャズファンだったビクターの父ディミタル・ナボルスキーは、ハンガリー新聞A Great Day in Harlem写真を見た。それはニューヨークのジャズミュージシャンたちの集合写真であった。ディミタルはその写真の57人のジャズプレイヤーにファンレターを送り、メンバー全員のサインを返信してもらい、それを缶詰に大切に保管していた。しかし、メンバーのひとりベニー・ゴルソンからは40年待ったにもかかわらず返事が来ず、やがてディミタルは他界してしまった。ディミタルが亡くなる前、ビクターは父に「必ずニューヨークへ行って、ベニー・ゴルソンのサインをこの缶に入れる」と約束した。父との約束を果たすためにビクターはJFK空港でずっと待っていたのだった。

その翌日、クラコウジアの内戦は終結する。喜ぶビクターのもとにアメリアが訪れ、コネで手に入れたアメリカに1日だけ入国できる特別ビザを渡した。ニューヨークへ行けることになったビクターの最後の障害となったのは、事あるごとに彼と対立してきたディクソンであった。ディクソンは特別ビザに必要な自身の署名を拒み、それどころか、ビクターが帰国しない場合は友人である空港職員たちを解雇することを仄めかし、ビクターに即刻クラコウジア行きの便に乗るように迫った。ニューヨーク行きを諦めてクラコウジアに帰ろうとしたビクターだったが、グプタが誘導路に侵入、折り返しクラコウジア行きとなるはずの飛行機をゲート寸前で止めたため、クラコウジア行きの便は遅延となり、エンリケら空港の仲間たちに背中を押され、不法入国ではあるが、ニューヨークへ行く決心をする。ディクソンが入国審査官にビクターを逮捕するよう命じるが、レイは自身の上着を着せビクターの入国を黙認、空港中の職員たちに見送られて、長らく住んだターミナルを後にし、ビクターはニューヨーク市街へと向かった。

ニューヨーク市街のラマダ・インを訪れたビクターは、ラウンジで演奏するベニー・ゴルソンと対面した。ついに、ベニー・ゴルソンのサインを手に入れたビクターは、ホテルを後にしてタクシーに乗り込んだ。ビクターは車内で最後のサインを缶詰に入れると、「どちらへ?」と尋ねた運転手に「家に帰るんだ」と応えたのであった[6]

主な登場人物

ビクター・ナボルスキー (Viktor Navorski)
クラコウジア人の中年男性。年齢・職業などは明かされてないが、アメリアとの会話から建設作業員として働いた経歴があり、歳は40代以上であることがわかる。大工仕事が得意で、教養はあり、愛国心に満ち、性格はとても真面目で素直である。少々不器用で要領は悪いが、約束は必ず守る。また、空港内でニューヨーク案内の英語の本とクラコウジア語の本を購入し、見比べて、英語を習得している。初めのうちは英語も片言だったが、物語終盤には完全に習得している。長い空港生活のなかで、多くの空港職員と親しくなり、仕事もみつける。
アメリア・ウォーレン (Amelia Warren)
ユナイテッド航空ファーストクラス担当のフライトアテンダントである。実際は39歳だが、33とも27ともサバを読む。5分と1人でいられず、毒になる男を次から次へ食べてしまうという悪い癖があり、本人も自覚している。長いし、安いし、男が殺しあうからと、歴史の本をよく読む。特にナポレオンがお気に入りである。
フランク・ディクソン (Frank Dixon)
JFK空港の国境警備局主任。警備局長に昇進する予定だったが、ビクターとの揉め事で予定の時期から昇進延期となってしまった。真面目な性格で麻薬を密輸した人間を即座に見破るなど職務能力は高いが、一方で厄介者であるビクターを故意に不法入国させることで空港から追い出そうとするなど陰湿な一面もある。ニューヨーク市街へ行きたいというビクターと最後の最後まで対立し、脅しを含めてビクターをクラコウジア行きの飛行機に乗せようとするも、空港中の職員がビクターの味方をするのを見て結局彼を見逃す。中盤では空港に許可無く薬を持ち込んだミロドラゴビッチを庇ったビクターに激高し、上司のサルチャックと他の職員の前でビクターとクラコウジアを貶める発言をする失態を犯すが、最終的には警備局長に昇進した(ビクターとミロドラゴビッチの件についてはサルチャックに咎められた)。
レイ・サーマン (Thurman)
空港の警備員。ディクソンの部下。ビクターに空港内を案内する。初めはビクターに対して高圧的だったが、最後はニューヨーク市街へ向かう彼をターミナルの玄関から送り出す。
ジョー・マルロイ (Joe Mulroy)
空港の職員(貨物輸送担当)。ビクターと友人になる。
エンリケ・クルズ (Enrique Cruz)
フード・サービス勤務。スペイン語圏出身のヒスパニック。入国審査官のドロレス・トーレスに恋をしていた。そのためビクターに対して食事(機内食)を提供するかわりにドロレスに様々な質問をするようにと取引していた。後にドロレスと結婚する。
ドロレス・トーレス (Dolores Torres)
JFK空港の入国係官。ビクターを介して、後にエンリケと結婚する。スタートレックの熱狂的なファンで、ヴァルカン・サリュートをする場面がある。
グプタ・ラハン (Gupta Rajan)
JFK空港の清掃員。インド・マドラス出身。「予約とってあるか?」が口癖。床をモップで濡らしておき、そこを通る人が滑って転ぶのを眺めるのが唯一の楽しみ。当初ビクターをCIAのスパイではないかと考えるほど用心していたが、最後には協力するほどの仲になった。特技はジャグリング。かつてインドで汚職警官に対し殺人未遂を犯し、家族を置いてアメリカへ逃げてきたという過去をもつ(そのため、アメリカで逮捕・強制送還となると、インドで獄中生活をすることになる)。ラストはビクターをニューヨークへ行かせるため、ターミナルに向かってくるボーイング747(ビクターが乗る予定だったクラコウジアに帰る便)にモップを手に突撃して遅延させた。銃をもった空港警察に囲まれるも「お前ら、予約とってあるか?」と言ってのける。
サルチャック (Salchak)
JFK空港の国境警備局長。ディクソンの上司。退任して、ディクソンに後を譲る。退職を機にクルーザーを購入した。マニュアル主義のディクソンを諭す一面も。
ウェイリン (Waylin)
JFK空港の警備員であり、サーマンの部下。映画においては初めてビクターと会話する人物でもある。
ビクターがアメリカに来た初日に入国審査を行なうも、パスポートが無効になっていたためにサーマンを呼んだ。
物語の終盤、ディクソンがビクターをクラコウジアに追い返すために人事を盾にしたことを見聞きし、それをグプタに伝えた。
ミロドラゴビッチ (Milodragovich)
物語中盤、無許可で薬を空港に持ち込み、没収されそうになったロシア人。ロシア語の通訳がおらず薬を放さない彼に空港職員達は手を焼いていたが、クラコウジア語はロシア語と似ていたため、ディクソンによりビクターが通訳として呼び出され、ビクターを介してディクソンとの会話が可能となった。
ビクターは当初、彼がアメリカから持ちだそうとした薬は彼の父親のための薬であると訳したが、すぐ後で「ヤギ」と「父」を聞き間違えたとし、結果的にヤギのための薬ということでミロドラゴビッチは持ち出すことに成功する。アメリカから医薬品を持ち出すにあたっては、人間のための薬は複数の書類が必要だが、動物のための薬の場合は書類などは不要である。この1件でミロドラゴビッチを救ったビクターは空港の仲間に「ヤギのビクター」と称賛される。

スタッフ

キャスト

役名 俳優 日本語吹き替え
DVD版 フジテレビ
ビクター・ナボルスキー トム・ハンクス 江原正士
アメリア・ウォーレン キャサリン・ゼタ=ジョーンズ 深見梨加 安藤麻吹
フランク・ディクソン スタンリー・トゥッチ 佐々木勝彦 大塚芳忠
レイ・サーマン バリー・シャバカ・ヘンリー 手塚秀彰 宝亀克寿
ジョー・マルロイ シャイ・マクブライド 星野充昭 江川央生
エンリケ・クルズ ディエゴ・ルナ 川島得愛 内田夕夜
ドロレス・トーレス ゾーイ・サルダナ 石塚理恵 林真里花
グプタ・ ラハン クマール・パラーナ 塾一久 永井一郎
サルチャック エディ・ジョーンズ 佐々木梅治 稲垣隆史
ミロドラゴビッチ ヴァレラ・ニコラエフ 石住昭彦 竹田雅則
空港職員 スティーブン・メンデル 安井邦彦 秋元羊介
カール ジュード・チコレッラ 津田英三
ウェイリン コリー・レイノルズ 川村拓央 鳥海勝美
ナディア リニ・ベル 多緒都 加藤悦子
モニカ カーリース・バーク 堀江真理子 藤生聖子
ベニー・ゴルソン ベニー・ゴルソン本人 佐藤祐四 秋元羊介
クリフ ダン・フィナティ 小形満 遠藤純一
吉野家マネージャー ジム・イシダ 喜多川拓郎 佐々木省三
スウォッチマネージャー ステファン・フラー 落合弘治
ルーシー サーシャ・スピルバーグ 根本圭子 木下紗華
ニュースキャスター ディルヴァ・ヘンリー 定岡小百合 こんのゆり
CBP局員 ジョン・エディンズ 船木真人 鳥海勝美
店員 リディア・ブランコ 重松朋 若原美紀
女性 スーザン・スローム すずき紀子 八木かおり

テレビ版その他の日本語吹替え声優:向井修荻野晴朗瀬尾恵子一馬芳和清水美智子

「クラコウジア」について

正式名称クラコウジア共和国クラコウジアきょうわこく)とは、本作品に登場する、架空の国である。英語表記はThe Republic of Krakozhia。キリル文字表記は Кракожия である。

映画の中で、ビクターの祖国であるクラコウジアは2004年1月16日、国内で軍事クーデターが起こるという設定になっている。

小さな国で、おおよその位置は東ヨーロッパ、旧ソ連ロシア付近である。過去にクーデターが勃発していた中央アジア諸国、もしくはコーカサス地方のロシア語圏の国家がモチーフ。また、主人公のパスポートベラルーシのものと酷似している。

トム・ハンクスが喋っていたクラコウジア語は全てアドリブで、ロシア語などのいくつかの言語の発音からヒントを得ている。しかし、英語の字幕でのトム・ハンクスのクラコウジア語がブルガリア語となっていたため、ブルガリア語にも近い発音だということが分かる。

作中のロシア人ミロドラゴビッチとの会話シーンではクラコウジア語で行われたが、意思疎通が可能であったためクラコウジア語はロシア語に近い言語である。劇中では通訳を呼ぼうにも到着まで1時間かかってしまうことから、ロイの発案で通訳として呼ばれた経緯がある。フランクにも「隣国に住んでる、言葉に多少の違いはあっても通訳としてぜひ助けてほしい」とお願いされている。

関連

  • 撮影に使われた空港は本物ではなくセットである。これはテロへの警戒で本物の空港での撮影許可が下りなかったため。舞台となったのはJFK国際空港だが、建設に20週間を費やしたカリフォルニアの巨大格納庫に作られたセットは、数箇所の国際空港を融合させたものとなっている。セット内にある店舗は全て実在するものであり、バーガーキングや日本の吉野家等を始めとして35店舗が参加。エキストラには実際にその店舗で行われる研修を受けさせた。本物の店員が出演した店舗もある。
  • 本編が進むに連れ、ジャズが重要な要素となっていく。終盤、ジャズ・バーのシーンでベニー・ゴルソン本人が出演をしている。
  • 予告編や公式サイトで印象的に使われている曲はジョン・デンバー作の「悲しみのジェット・プレーン」(Leaving on a Jet Plane) をシャンタール・クレヴィアジックがカバーしたもの。映画本編では使われていない。
  • 東京国際映画祭にスピルバーグの来日と舞台挨拶も予定されていたが、『宇宙戦争』の撮影のためにキャンセルとなっている。
  • 映画予告に使われていた曲はImmediate Musicの「Rhapsody」「Dare to Dream」「The New Land」の3曲である。
  • 劇中ではユナイテッド航空提供のボーイング747が使用されている。ビクターの搭乗予定の航空会社はユナイテッド航空であり、アメリアはユナイテッド航空のフライトアテンダントという設定である。また、スターアライアンスは主要なスポンサーであり、制服、備品、エキストラを提供していた。
  • 主人公のモデルは、1988年からパリのシャルル・ド・ゴール空港で18年も生活したイラン人のマーハン・カリミ・ナセリと言われている。この映画の製作者は、このマーハンが書き続けた日記「ターミナルマン」の映画化権を30万ドルで買った[7]

出典

  1. ^ a b c The Terminal (2004)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2010年4月9日閲覧。
  2. ^ 日本映画産業統計 過去興行収入上位作品 (興収10億円以上番組) 2005年(1月〜12月)”. 社団法人日本映画製作者連盟. 2010年4月9日閲覧。
  3. ^ The Internet Movie Database. “The Terminal”. 2008年11月10日閲覧。におけるGenreに記載
  4. ^ All Movie Guide. “The Terminal”. 2008年11月10日閲覧。におけるGenre / Typeに記載
  5. ^ allcinema ONLINE. “ターミナル(2004)”. 2008年11月10日閲覧。における「ジャンル」に記載
  6. ^ スティーヴン・スピルバーグ(監督) (2004-6). ターミナル (映画). アメリカ合衆国: ドリームワークス. {{cite AV media}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  7. ^ 「映画になった奇跡の実話」 鉄人ノンフィクション編集部

外部リンク