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「ウランゲリ島」の版間の差分

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[[アザラシ]]、[[レミング]]、[[ホッキョクグマ]]の繁殖地となっている。また、夏の間は多くの鳥がやってくる。
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島の名前は探検家[[フェルディナント・フォン・ウランゲル]]にちなむ<ref name=Blue>{{Cite book|和書 |author = トラビス・エルボラフ, アラン・ホースフィールド |year = 2017 |title = 世界の果てのありえない場所 本当に行ける幻想エリアマップ |publisher = 日経ナショナルジオグラフィック社 |page = 148 |isbn = 978-4-86313-377-8}}</ref>。彼は[[チュクチ|チュクチ族]]から島の位置を聞いて探索に向かったものの、見つけることはできなかった。島を「発見」したのはアメリカの捕鯨船船長トマス・ロング(Thomas Long)である。
島の名前は探検家[[フェルディナント・フォン・ウランゲル]]にちなむ<ref name=Blue>{{Cite book|和書 |author = トラビス・エルボラフ, アラン・ホースフィールド |year = 2017 |title = 世界の果てのありえない場所 本当に行ける幻想エリアマップ |publisher = 日経ナショナルジオグラフィック社 |page = 148 |isbn = 978-4-86313-377-8}}</ref>。彼は[[チュクチ族]]から島の位置を聞いて探索に向かったものの、見つけることはできなかった。島を「発見」したのはアメリカの捕鯨船船長トマス・ロング(Thomas Long)である。


[[1911年]]には、ロシア人のグループが上陸した。1921年、[[カナダ]]の探検家[[ヴィルヤルマー・ステファンソン]]([[w:Vilhjalmur Stefansson|Vilhjalmur Stefansson]])はこの島をカナダ領とするため、カナダ人1名・アメリカ人3名・イヌイット1名、合計5名からなる移住者の一行を送った。しかしこの初期メンバーで生き残ったのはイヌイット1人のみであった。1923年にはあらためて13名(アメリカ人1名・イヌイット12名)からなる移住グループをこの島に送り込んだが、1924年にソビエトはステファンソンの送り込んだイヌイットを国外退去させ、現在ある町をつくった。
[[1911年]]には、ロシア人のグループが上陸した。1921年、[[カナダ]]の探検家[[ヴィルヤルマー・ステファンソン]]([[w:Vilhjalmur Stefansson|Vilhjalmur Stefansson]])はこの島をカナダ領とするため、カナダ人1名・アメリカ人3名・イヌイット1名、合計5名からなる移住者の一行を送った。しかしこの初期メンバーで生き残ったのはイヌイット1人のみであった。1923年にはあらためて13名(アメリカ人1名・イヌイット12名)からなる移住グループをこの島に送り込んだが、1924年にソビエトはステファンソンの送り込んだイヌイットを国外退去させ、現在ある町をつくった。

2021年5月13日 (木) 02:30時点における版

世界遺産 ウランゲリ島保護区の
自然体系
ロシア
ウランゲリ島に広がるツンドラ
ウランゲリ島に広がるツンドラ
英名 Natural System of Wrangel Island Reserve
仏名 Système naturel de la Réserve de l'île Wrangel
面積 916,300 ha
(緩衝地域 3,745,300ha)
登録区分 自然遺産
IUCN分類 Ia
登録基準 (9), (10)
登録年 2004年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
ウランゲリ島の位置
使用方法表示

ウランゲリ島(ウランゲリとう、ロシア語: Остров Врангеля, ラテン文字転写: Ostrov Vrangelya: Wrangel Island)は、北極海東シベリア海チュクチ海との間にあるロシア領の。英語名はランゲル島[1]極東連邦管区チュクチ自治管区に所属している。大陸とはロング海峡を挟む。経度180度の子午線が通るが、日付変更線は島の東側に引かれている。

概要

アザラシレミングホッキョクグマの繁殖地となっている。また、夏の間は多くの鳥がやってくる。

島の名前は探検家フェルディナント・フォン・ウランゲルにちなむ[2]。彼はチュクチ族から島の位置を聞いて探索に向かったものの、見つけることはできなかった。島を「発見」したのはアメリカの捕鯨船船長トマス・ロング(Thomas Long)である。

1911年には、ロシア人のグループが上陸した。1921年、カナダの探検家ヴィルヤルマー・ステファンソンVilhjalmur Stefansson)はこの島をカナダ領とするため、カナダ人1名・アメリカ人3名・イヌイット1名、合計5名からなる移住者の一行を送った。しかしこの初期メンバーで生き残ったのはイヌイット1人のみであった。1923年にはあらためて13名(アメリカ人1名・イヌイット12名)からなる移住グループをこの島に送り込んだが、1924年にソビエトはステファンソンの送り込んだイヌイットを国外退去させ、現在ある町をつくった。

最後の氷河期、ウランゲリ島にはマンモスが生息していた。このマンモスは島嶼化によって一般的なマンモスより小型だった。考古学的証拠から、紀元前1700年頃に最後のマンモスがこの島で原住民に狩猟されて絶滅したと考えられている。

ただし最新の研究で、こうした考えに疑問が出され、人類の到達する約100年前にマンモスが絶滅していると考えられること、遺伝的多様性も維持されていたという調査結果から、環境の緩やかな変化や狩猟によってではなく、巨大な嵐、細菌、ウイルスといった突発的な事件によってマンモスは絶滅したのではないかという説も出されている[3]

同島の自然保護区は、2004年にはユネスコ世界遺産に自然遺産として登録された。

気候

ケッペンの気候区分ではツンドラ気候(ET)に属する。

ウランゲリ島の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 1.5
(34.7)
−0.2
(31.6)
0.2
(32.4)
2.5
(36.5)
9.6
(49.3)
15.9
(60.6)
18.2
(64.8)
16.7
(62.1)
11.9
(53.4)
5.3
(41.5)
1.8
(35.2)
2.0
(35.6)
18.2
(64.8)
平均最高気温 °C°F −19.4
(−2.9)
−19.9
(−3.8)
−18.6
(−1.5)
−12.8
(9)
−2.9
(26.8)
3.4
(38.1)
5.9
(42.6)
5.2
(41.4)
1.8
(35.2)
−4.1
(24.6)
−10.4
(13.3)
−16.8
(1.8)
−7.4
(18.7)
日平均気温 °C°F −22.8
(−9)
−23.5
(−10.3)
−22.4
(−8.3)
−16.6
(2.1)
−5.7
(21.7)
0.9
(33.6)
3.0
(37.4)
2.8
(37)
0.0
(32)
−6.1
(21)
−12.9
(8.8)
−19.7
(−3.5)
−10.3
(13.5)
平均最低気温 °C°F −26.4
(−15.5)
−27.0
(−16.6)
−26.1
(−15)
−20.4
(−4.7)
−8.2
(17.2)
−1.0
(30.2)
1.0
(33.8)
0.9
(33.6)
−1.7
(28.9)
−8.4
(16.9)
−15.7
(3.7)
−22.8
(−9)
−13.0
(8.6)
最低気温記録 °C°F −42.0
(−43.6)
−44.6
(−48.3)
−45.0
(−49)
−38.2
(−36.8)
−31.5
(−24.7)
−12.3
(9.9)
−4.9
(23.2)
−6.5
(20.3)
−21.4
(−6.5)
−29.8
(−21.6)
−34.9
(−30.8)
−57.7
(−71.9)
−57.7
(−71.9)
降水量 mm (inch) 7
(0.28)
7
(0.28)
5
(0.2)
7
(0.28)
8
(0.31)
10
(0.39)
21
(0.83)
25
(0.98)
17
(0.67)
13
(0.51)
10
(0.39)
8
(0.31)
138
(5.43)
平均降雨日数 0.1 0.2 0.03 0.3 4 9 14 17 11 2 1 0.2 59
平均降雪日数 13 13 12 14 17 9 3 6 15 22 16 13 153
湿度 79 80 80 81 85 87 88 89 86 81 79 79 83
平均月間日照時間 2 59 195 267 199 233 226 125 73 50 4 0 1,433
出典1:Климат о. Врангеля[4]
出典2:NOAA (sun 1961–1990)[5]

世界遺産

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (9) 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

脚注

  1. ^ 小澤実・中丸禎子・高橋美野梨『アイスランド・グリーンランド・北極を知るための65章』明石書店、2016年、68頁。ISBN 978-4-7503-4308-2 
  2. ^ トラビス・エルボラフ, アラン・ホースフィールド『世界の果てのありえない場所 本当に行ける幻想エリアマップ』日経ナショナルジオグラフィック社、2017年、148頁。ISBN 978-4-86313-377-8 
  3. ^ マンモス絶滅の原因は気候変動や「狩り」ではない、研究 (2010年04月01日 15:15 AFPBB News)
  4. ^ ru:Климат о. Врангеля” (Russian). Weather and Climate (Погода и климат). 2016年2月28日閲覧。
  5. ^ Vrangelja Island (Wrangel Island) Climate Normals 1961–1990”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2016年2月28日閲覧。

座標: 北緯71度14分 西経179度25分 / 北緯71.233度 西経179.417度 / 71.233; -179.417