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「四重積 (ベクトル解析)」の版間の差分

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2021年8月8日 (日) 23:12時点における版

四重積とは3次元ユークリッド空間における4つのベクトルであり、ベクトル解析におけるスカラー四重積ベクトル四重積の総称である。

スカラー四重積

スカラー四重積は2つのクロス積ドット積である。

ここで a, b, c, d は3次元ユークリッド空間のベクトルである。

幾何学的には a, b で張られた面積ベクトルと c, d で張られた面積ベクトルの重なり具合(射影)を表す。

以下の式 (ビネ・コーシーの恒等式)

が成り立つ。

また、特別な場合である

も有用な公式でラグランジュの恒等式英語版と呼ばれる。

ベクトル四重積

ベクトル四重積は2つのクロス積のクロス積である。

ここで a, b, c, d は3次元ユークリッド空間のベクトルである。

幾何学的には a, b で張られた面と c, d で張られた面の交線に平行なベクトルを表す。

ベクトル三重積の公式を使えば

が得られる。ただし [a, b, c] = a・(b×c) である。

2つの異なる右辺が導かれるのは左辺を X×(c×d) とみて展開したか (a×bY とみて展開したかで異なるからである。幾何学的には、交線はそれぞれの平面に含まれるので、点を表すパラメータ表示が2通りあることを意味する。


2つの右辺が等しいことより恒等式

が得られる。

これは [a, b, c]≠0 の場合、基底 {a, b, c} (正規直交基底とは限らない)における r の成分表示が

であること示す。

あるいは、(a b c)を縦ベクトルを並べてできる3×3行列としたときの連立方程式

に対するクラメルの公式

と同じである。


なお、

が先の公式の特別な場合として導かれるが、この等式は以下のように導くこともできる。

ab で作られる平面と、 ac で作られる平面との交線は a に平行であることは自明である。また、abc一次従属 ([a, b, c ]=0) すなわち共面であるとき、2つの平面は平行なので左辺は0になる。このことから、右辺は [a, b, c ]a の定数倍であることが導かれる。右手系の正規直交基底を代入することで比例定数が1であることがわかるので、等式が得られる。


参考文献

  • Gibbs, Josiah Willard; Wilson, Edwin Bidwell (1901). Vector analysis: a text-book for the use of students of mathematics. Scribner. http://www.archive.org/details/vectoranalysiste00gibbiala 
  • 丸山祐一、喜多義範『理工系 ベクトル解析』共立出版、2003年。ISBN 4320017439 
  • 小野寺嘉孝『なっとくするベクトル』講談社、2001年。ISBN 4061545337 
  • 北野正雄『マクスウェル方程式―電磁気学のよりよい理解のために』サイエンス社、2009年。ISBN 4781912222 

関連項目