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2021年9月6日 (月) 10:37時点における版

ビートルズ > ビートルズの曲名一覧 > フール・オン・ザ・ヒル
セルジオ・メンデス > フール・オン・ザ・ヒル
フール・オン・ザ・ヒル
ビートルズ楽曲
収録アルバムマジカル・ミステリー・ツアー
英語名The Fool on the Hill
リリース
  • アメリカ合衆国の旗 1967年11月27日 (LP)
  • イギリスの旗 1967年12月8日 (EP)
録音
ジャンルポップ
時間3分
レーベル
作詞者レノン=マッカートニー
作曲者レノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
マジカル・ミステリー・ツアー 収録曲
マジカル・ミステリー・ツアー
(A-1)
フール・オン・ザ・ヒル
(A-2)
フライング
(A-3)
マジカル・ミステリー・ツアー 収録曲
アイ・アム・ザ・ウォルラス
(B-1)
フール・オン・ザ・ヒル
(C-1)
フライング
(C-2)
音源

フール・オン・ザ・ヒル」 (The Fool on the Hill) は、ビートルズの楽曲である。1967年に放送されたテレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の挿入歌で、同名のEP盤キャピトル編集盤にも収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲[1][2]。タイトルは英語で「丘の上の阿呆」の意味で、オランダのデザイナー集団「ザ・フール」と、同名のタロットカードに由来している。また、マッカートニーはマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーからインスピレーションを得たとしている。

1968年にセルジオ・メンデス&ブラジル'66によってカバーされ、Billboard Hot 100でトップ10入りを果たした。その後、1970年代後半までに、多くのアーティストによってカバーされた。1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、マッカートニーによるデモ音源とテイク4が収録された。

背景

「フール・オン・ザ・ヒル」は、大衆には理解されていないが、実際には賢い孤独な人物を題材とした楽曲[3]。マッカートニーは、1997年に出版された伝記『ポール・マッカートニー: メニー・イヤーズ・フロム・ナウ英語版』で、タイトルがオランダのデザイナー集団「ザ・フール」と、同名のタロットカードに由来していることを明かしている[4]。また、本作の人物像については、「マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのような人物のことを歌った曲だと思う。彼を中傷する人たちは彼のことを愚か者呼ばわりしてた。なぜなら彼の笑い方に真剣さが感じられなかったからさ」と語っている[1]

ビートルズのデビュー前より交流のあったアリステア・テイラー英語版は、著書『Yesterday: My Life With the Beatles』で「マッカートニーが愛犬のマーサとプリムローズ・ヒルを散歩しているときに、不思議な男に出会ったことから着想を得た楽曲」と書いている[5][6][7]

マッカートニーは、1967年3月に「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」を書いている途中で、ジョン・レノンに本作を演奏して聴かせた[8]。この時点でメロディは完成していたが、歌詞は未完成であった。楽曲に感銘を受けたレノンは、マッカートニーに歌詞をメモに書き残しておくように勧めた。1980年のPLAYBOY誌のインタビューで、レノンは本作について「これはポールの曲さ。良い歌詞だ。彼が完璧な曲を作る能力を持っているという証さ」と語っている[2]

レコーディング

1967年9月6日にマッカートニーによって「フール・オン・ザ・ヒル」のデモ音源が録音された[9]。この日のデモ・バージョンと後述の9月25日のセッションで録音されたテイク4は、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』に収録された[10][11]

9月25日に前述のデモ音源を参考にした本格的なレコーディングが始まり、この日にレノンとジョージ・ハリスンハーモニカ、マッカートニーのリコーダーボーカルリンゴ・スタードラムスが録音されたが、翌日のセッションでほとんどの楽器が差し替えられることとなった[12][注釈 1]

9月27日にマッカートニーの追加のボーカル[13]、10月20日に外部ミュージシャンによるフルートがオーバー・ダビングされた[14]。なお、完成した楽曲のエンディング部分には、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」で聞けるものと似たサウンドエフェクトが含まれている[15]

曲中に使われたハーモニカムーディー・ブルースの元メンバーであるレイ・トーマスとマイク・ピンダーからもらい受けたもの[16]

リリース・評価

「フール・オン・ザ・ヒル」は、1967年11月27日にアメリカで発売されたキャピトル編集盤『マジカル・ミステリー・ツアー』のA面2曲目に収録された[17][18]。イギリスではそれより遅れ、12月8日に発売された2枚組EP『マジカル・ミステリー・ツアー』のC面1曲目に収録された[19][20]。同年12月26日、BBC1でテレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』が放映された[21][22]。「フール・オン・ザ・ヒル」の場面はフランスのニースで撮影されていて、歌詞のイメージに合わせるかたちで日の出のシーンが含まれている[23]。なお、撮影にはマッカートニー以外のメンバーは不参加となっている。解散後に発売された『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』、『ビートルズ バラード・ベスト20 』、『リヴァプールより愛を込めて ザ・ビートルズ・ボックス 』にも収録された。

2010年に公開されたジェイ・ローチ監督による映画作品『奇人たちの晩餐会 USA』でオープニングテーマとして使用された。映画の制作会社であるパラマウント映画ドリームワークスは使用するにあたり150万ドルを支払ったことを明かしている[24]

2006年にシルク・ドゥ・ソレイユのミュージカルのサウンドトラック盤として発売された『LOVE』が、2011年にiTunes Storeで配信が開始された際に、ボーナス・トラックとして他のビートルズの楽曲とコラージュされた音源が収録された[25]

本作について、メロディ・メーカー英語版誌のボブ・ドウバーンは「典型的なビートルズの叙情的なバラード」と評し[26]NME誌のロイ・カー英語版トニー・タイラー英語版は、同じく『マジカル・ミステリー・ツアー』に収録の「アイ・アム・ザ・ウォルラス」と共に「遥かに優れた楽曲」と評し[27]、音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版は「表現に富んでいて、感動的だ」[28]と肯定的な評価をしている。その一方で、音楽評論家のティム・ライリー英語版は「『ミッシェル』以来のナンセンスな曲」と評価している[29]

2006年にモジョ誌が発表した「The 101 Greatest Beatles Songs」の第71位[30]、2012年にニューヨークのラジオ局WAXQが発表した「420th-best classic rock song of all time」[31]、2018年にタイムアウト・ロンドン誌が発表した「The 50 Best Beatles songs」で第34位にランクインした[32]

マッカートニーによるライブでの演奏

楽曲発表時、ビートルズはライブを行なっていなかったため、ビートルズ時代にライブで演奏されることはなかった。その後、1979年のウイングスのイギリスツアーで初めて演奏された[33][34][注釈 2]

1989年から1990年にかけて行なわれたソロ名義でのワールドツアーでは、1960年代にサイケデリックなデザインが施したピアノで演奏された[36]。その後、2001年から2002年に行われた「Driving World Tour」でも演奏された。

マッカートニーによるライブ演奏は、『ポール・マッカートニー・ライブ!![37]、『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』、『バック・イン・ザ・ワールド[38]に収録されている。

演奏

クレジットはイアン・マクドナルド英語版の著書を出典としたもの[39]。フルート奏者についてはマーク・ルイソン英語版によって明言されている[40]

ビートルズ
外部ミュージシャン
  • クリストファー・テイラー、リチャード・テイラー、ジャック・エロリー - フルート

カバー・バージョン

セルジオ・メンデス&ブラジル'66によるカバー

「フール・オン・ザ・ヒル」
セルジオ・メンデス&ブラジル'66シングル
初出アルバム『フール・オン・ザ・ヒル英語版
B面 星屑のボサノヴァ
リリース
ジャンル ボサノヴァ[42]
時間
レーベル A&Mレコード
作詞・作曲 レノン=マッカートニー
プロデュース
チャート最高順位
テンプレートを表示

セルジオ・メンデス&ブラジル'66は、1968年にボサノヴァ調にアレンジしてカバーした。リード・ボーカルはラニ・ホール英語版が担当した。1968年7月にシングル盤として発売され、Billboard Hot 100で最高位6位を獲得した[44]。また、同年には同名のアルバムも発売された。

2018年にメンデスは、1967年にプロデューサーのハーブ・アルパートから『マジカル・ミステリー・ツアー』を紹介され、「フール・オン・ザ・ヒル」のメロディに感動したことと、マッカートニーから本作をカバーしたことに対する感謝の手紙が送られてきたことを明かした[42]

その他のアーティストによるカバー

1960年代後半にキャバレーのパフォーマーの間で特に人気の高い曲とされ[45]、1970年代後半までに多数のアーティストによってカバーされており、最もカバーされたマッカートニーの作品のひとつとなっている[46]

1971年にシャーリー・バッシーによるカバー・バージョンが発表され、全英シングルチャートで最高位48位を獲得した[47]。1976年に公開されたミュージカル映画『All This and World War II』では、ヘレン・レディによるカバー・バージョンが使用された[48]。2014年にCBSで放送された『The Night That Changed America: A Grammy Salute to The Beatles』では、ユーリズミックスによってカバーされた[49][50]

そのほかアッカー・ビルク[51]ボビー・ジェントリー英語版[52]フォー・トップス[53]パトリシア・バーバー英語版[54]パーシー・フェイス[55]ペトゥラ・クラーク[56]レイ・スティーブンス英語版[57]ミッキー・ドレンツ[58]らによってカバーされ、日本では森山良子[59]山下和仁[60]村治佳織[61]竹井詩織里[62]らによってカバーされた。

また2007年にビータリカは、メタリカの「フューエル英語版」と本作をマッシュアップさせた「Fuel On The Hill」という楽曲を発表しており、アルバム『Masterful Mystery Tour』に収録されている。

脚注

注釈

  1. ^ 具体的にどの楽器が差し替えられたかは明言されていない。
  2. ^ 解散後初めてビートルズ時代の楽曲がセットリストに含まれたウイングスのワールドツアー(1975年 - 1976年)で演奏することが検討されたが[35]、最終的に演奏されることはなかった。

出典

  1. ^ a b Miles 1997, p. 365-366.
  2. ^ a b Sheff 2000, p. 186.
  3. ^ Gould 2007, p. 455.
  4. ^ Miles 1997, p. 343.
  5. ^ Taylor, Alistair (1991). Yesterday: My Life With the Beatles. Pioneer Books. ISBN 978-1556982927 
  6. ^ Davies, Hunter (2004). The Beatles: the Authorized Biography. Cassell Illustrated. ISBN 978-0091930516 
  7. ^ Womack 2014, p. 280.
  8. ^ ハウレット, ケヴィン (2017). サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド -50周年記念エディション-〈6枚組スーパー・デラックス〉 (楽曲解説) (Media notes). アップル・レコード. p. 10. {{cite AV media notes2}}: |format=を指定する場合、|url=も指定してください。 (説明); 不明な引数|artist=は無視されます。(もしかして:|others=) (説明)
  9. ^ Lewisohn 1988, p. 123.
  10. ^ Lewison 1988, p. 125-126.
  11. ^ Winn 2009, p. 121.
  12. ^ Lewisohn 1988, p. 126.
  13. ^ Lewisohn 1988, p. 127.
  14. ^ Winn 2009, p. 132.
  15. ^ Womack 2014, p. 281.
  16. ^ Schnee, Stephen (2015年1月15日). “An Exclusive interview with The Moody Blues' Ray Thomas!”. Discussions Magazine. 2016年2月27日閲覧。
  17. ^ Lewisohn 2005, p. 131.
  18. ^ Greene 2016, p. 41-42.
  19. ^ Miles 2001, p. 284-285.
  20. ^ Winn 2009, p. 80.
  21. ^ Everett 1999, p. 132.
  22. ^ Greene 2016, p. 38-39.
  23. ^ Miles 2001, p. 282.
  24. ^ Friedman, Roger (2010年7月20日). “Song for “Schmucks”: Beatles Score $1.5 Mil for “Fool on the Hill””. HTTH LLC. 2010年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月8日閲覧。
  25. ^ "The Beatles' Grammy-Winning 'LOVE' Album and 'All Together Now' Documentary Film to Make Digital Debuts Exclusively on iTunes Worldwide" (Press release). EMI Music/Apple Corps Ltd/Cirque du Soleil. 1 February 2011. 2020年9月8日閲覧
  26. ^ Shaar Murray, Charles (2002). “Magical Mystery Tour: All Aboard the Magic Bus”. Mojo Special Limited Edition: 1000 Days That Shook the World (The Psychedelic Beatles - April 1, 1965 to December 26, 1967). London: Emap. p. 128 
  27. ^ Carr & Tyler 1978, p. 70.
  28. ^ MacDonald 1998, p. 237-238.
  29. ^ Riley 2002, p. 240.
  30. ^ Alexander, Phil (July 2006). “The 101 Greatest Beatles Songs”. Mojo: 68. 
  31. ^ The Top 1,043 Classic Rock Songs of All Time: Dirty Dozenth Edition”. Q1043.com. 2013年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月9日閲覧。
  32. ^ Time Out London Music (2018年5月24日). “The 50 Best Beatles songs”. Time Out London. 2018年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月9日閲覧。
  33. ^ Madinger & Easter 2000, p. 254.
  34. ^ Badman 2001, p. 238.
  35. ^ Riley 2002, pp. 359–360.
  36. ^ Sounes 2010, p. 421.
  37. ^ Madinger & Easter 2000, p. 223.
  38. ^ Ingham 2006, p. 122.
  39. ^ MacDonald 2005, p. 270.
  40. ^ Lewisohn 1988, p. 129.
  41. ^ George Martinへのインタビュー - ポップ・クロニクルズ(1969年)
  42. ^ a b Shand, John (2018年3月26日). “Sergio Mendes story: Making songs by the Beatles and Bacharach shine anew”. The Sydney Morning Herald (Nine Entertainment Co.). https://www.smh.com.au/entertainment/music/sergio-mendes-story-making-songs-by-the-beatles-and-bacharach-shine-anew-20180321-h0xqzx.html 2020年9月9日閲覧。 
  43. ^ Billboard Review Panel (3 August 1968). “Spotlight Singles”. Billboard: 74. 
  44. ^ a b The Hot 100 Chart”. Billboard (1968年9月28日). 2020年9月9日閲覧。
  45. ^ Ingham 2006, p. 48.
  46. ^ Schaffner 1978, p. 91.
  47. ^ Official Singles Chart Top 50”. Official Charts Company (1970年12月27日). 2020年9月9日閲覧。
  48. ^ Film Threat admin (2004年10月1日). “The Bootleg Files: 'All This and World War II'”. Film Threat. 2020年9月9日閲覧。
  49. ^ Appleford, Steve (28 January 2014). “McCartney and Starr Team Again as Eurythmics, Grohl Honor the Beatles”. Rolling Stone. https://www.rollingstone.com/music/music-news/mccartney-and-starr-team-again-as-eurythmics-grohl-honor-the-beatles-233567/. 
  50. ^ Kaye, Ben (2014年2月11日). “Watch: The Beatles tribute concert featuring Paul McCartney, Dave Grohl, Eurythmics, and more”. Consequence of Sound. 2020年9月9日閲覧。
  51. ^ The Fool on the Hill - Acker Bilk - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  52. ^ The Fool on the Hill - Bobbie Gentry - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  53. ^ The Fool on the Hill - The Four Tops - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  54. ^ The Fool on the Hill - Patricia Barber - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  55. ^ The Fool on the Hill - Percy Faith - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  56. ^ The Fool on the Hill - Petula Clark - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
  57. ^ The Fool on the Hill - Ray Stevens - オールミュージック. 2020年9月9日閲覧。
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  59. ^ “日本人がカバーした新旧THE BEATLESカバーを1枚に網羅”. 音楽ナタリー (ナターシャ). (2009年10月1日). https://natalie.mu/music/news/21844 2020年9月9日閲覧。 
  60. ^ “ヘイ・ジュード、イエスタデイ 山下和仁(G) [2CD]”. シーディージャーナル. https://artist.cdjournal.com/d/hey-jude-yesterday/3199111365 2020年9月9日閲覧。 
  61. ^ プレリュード[CD] - 村治佳織”. UNIVERSAL MUSIC JAPAN. 2020年9月9日閲覧。
  62. ^ The note of my eighteen years | 竹井詩織里”. ORICON NEWS. オリコン. 2020年9月9日閲覧。

参考文献

外部リンク