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== 作品 ==
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パニュアッシスの作品については[[アポロドロス]]<ref>アポロドーロス、1巻5・2。</ref><ref>アポロドーロス、3巻10・3。</ref><ref>アポロドーロス、3巻14・4。</ref>、[[パウサニアス]]<ref>パウサニアス、9巻11・2。</ref><ref>パウサニアス、10巻8・9。</ref><ref>パウサニアス、10巻29・9。</ref>、[[ヒュギーヌス]]<ref>ヒュギーヌス『天文譜』2巻6・1。</ref>、[[アテナイオス]]、{{仮リンク|アヴィエヌス|en|Avienius}}、{{仮リンク|ビュザンティオンのステファノス|en|Stephanus of Byzantium}}、[[アレクサンドリアのヘシュキオス]]などが言及している。
パニュアッシスの作品については[[アポロドロス]]<ref>アポロドーロス、1巻5・2。</ref><ref>アポロドーロス、3巻10・3。</ref><ref>アポロドーロス、3巻14・4。</ref>、[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]<ref>パウサニアス、9巻11・2。</ref><ref>パウサニアス、10巻8・9。</ref><ref>パウサニアス、10巻29・9。</ref>、[[ヒュギーヌス]]<ref>ヒュギーヌス『天文譜』2巻6・1。</ref>、[[アテナイオス]]、{{仮リンク|アヴィエヌス|en|Avienius}}、{{仮リンク|ビュザンティオンのステファノス|en|Stephanus of Byzantium}}、[[アレクサンドリアのヘシュキオス]]などが言及している。


* 『ヘラクレイア』({{el|Ἡράκλεια,}}, {{ラテン翻字|el|Hērakleia}})はヘラクレス伝説を扱った作品で全14巻9000詩行におよぶ。その長大さは『[[イリアス]]』、『[[オデュッセイア]]』、『[[テーバイド|テーバイス]]』以降かつアレクサンドリア時代以前の叙事詩中では最長を誇り、パニュアッシスの評判の多くがこの作品に負っている。1巻で[[ネメアのライオン]]について言及され<ref>ビュザンティオンのステファノス。</ref>、3巻でおそらく[[ケンタウロス族]]の[[ポロス]]との酒宴、5巻で[[ゲリュオン]]の牛について言及されていたことが断片から明らかとなっている。通常、ヘラクレスの難行においてゲリュオンの牛は最後の方に位置しており、パニュアッシスにおいても同じであるならば、彼の作品は難行以降の冒険に関する伝説を多く扱っていたことになる。もっとも、1巻において[[太陽神]][[ヘリオス]]の杯でエリュテイアに渡ったことが語られていたという古代の証言も残っている<ref name="バルバロイ!" />。
* 『ヘラクレイア』({{el|Ἡράκλεια,}}, {{ラテン翻字|el|Hērakleia}})はヘラクレス伝説を扱った作品で全14巻9000詩行におよぶ。その長大さは『[[イリアス]]』、『[[オデュッセイア]]』、『[[テーバイド|テーバイス]]』以降かつアレクサンドリア時代以前の叙事詩中では最長を誇り、パニュアッシスの評判の多くがこの作品に負っている。1巻で[[ネメアのライオン]]について言及され<ref>ビュザンティオンのステファノス。</ref>、3巻でおそらく[[ケンタウロス族]]の[[ポロス]]との酒宴、5巻で[[ゲリュオン]]の牛について言及されていたことが断片から明らかとなっている。通常、ヘラクレスの難行においてゲリュオンの牛は最後の方に位置しており、パニュアッシスにおいても同じであるならば、彼の作品は難行以降の冒険に関する伝説を多く扱っていたことになる。もっとも、1巻において[[太陽神]][[ヘリオス]]の杯でエリュテイアに渡ったことが語られていたという古代の証言も残っている<ref name="バルバロイ!" />。
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]](1953年)
* [[パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
* [[ヘロドトス]]『[[歴史 (ヘロドトス)|歴史]](下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1972年)
* [[ヘロドトス]]『[[歴史 (ヘロドトス)|歴史]](下)』[[松平千秋]]訳、岩波文庫(1972年)
* [[ウィリアム・スミス (辞書編集者)|William Smith]], Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology. 1849.
* [[ウィリアム・スミス (辞書編集者)|William Smith]], Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology. 1849.

2021年11月15日 (月) 11:09時点における版

パニュアッシス
Πανύασις
誕生 紀元前5世紀
ハリカルナッソス
死没 紀元前454年
ハリカルナッソス
職業 詩人
活動期間 古代ギリシア
ジャンル 叙事詩
代表作 『ヘラクレイア』『イオニカ』
親族 ヘロドトス
ウィキポータル 文学
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パニュアッシス古希: Πανύασις, Panyassis)は、紀元前5世紀頃のカリア地方の都市ハリカルナッソス(現在のボドルム)出身の叙事詩人である。歴史の父とも呼ばれる歴史家ヘロドトスの叔父ないし従兄弟にあたる[1]。出身地からハリカルナッソスのパニュアッシス: Panyassis of Halicarnassus)とも呼ばれる。

概要

パニュアッシスはハリカルナッソスの名家の出であり、おそらくヘロドトスの叔父ないし従兄弟であった。『スーダ』によればパニュアッシスの父ポリュアルコスとヘロドトスの父リュクセスは兄弟である。しかし『スーダ』はまた、パニュアッシスがヘロドトスの母ロイオと兄弟の間柄であったとする説や、ハルカリナッソスではなくサモス島の出身とする説についても述べている[1]。いずれにしても、パニュアッシスやヘロドトスの父のリュクセスという名前はカリア系であるので、彼らの家系にカリア人の血が入っていたと考えられている[2]。紀元前460年頃にアルテミシア英語版の孫にあたる僭主リュグミダス英語版がハリカルナッソスを支配したとき、パニュアッシスとヘロドトスはサモス島に移住しなければならなかった。数年後、パニュアッシスは故郷に戻ったが、反政治的行動のために前454年にリュグダミスによって処刑された。パニュアッシスは生前に重要な評価を受けることはなかったが、死後に偉大な詩人として評価された。彼は廃れつつあった叙事詩を復興させたことで知られ、特にヘラクレス伝説を扱ったヘクサメトロスの叙事詩『ヘラクレイア』とイオニア地方の歴史を扱ったエレゲイア詩『イオニカ』が有名である。これらの作品は現在では断片しか残っていないが[3]、ヘロドトスの文学的素養に少なからず影響を与えていたと考えられている[2]

作品

パニュアッシスの作品についてはアポロドロス[4][5][6]パウサニアス[7][8][9]ヒュギーヌス[10]アテナイオスアヴィエヌス英語版ビュザンティオンのステファノス英語版アレクサンドリアのヘシュキオスなどが言及している。

  • 『ヘラクレイア』(Ἡράκλεια,, Hērakleia)はヘラクレス伝説を扱った作品で全14巻9000詩行におよぶ。その長大さは『イリアス』、『オデュッセイア』、『テーバイス』以降かつアレクサンドリア時代以前の叙事詩中では最長を誇り、パニュアッシスの評判の多くがこの作品に負っている。1巻でネメアのライオンについて言及され[11]、3巻でおそらくケンタウロス族ポロスとの酒宴、5巻でゲリュオンの牛について言及されていたことが断片から明らかとなっている。通常、ヘラクレスの難行においてゲリュオンの牛は最後の方に位置しており、パニュアッシスにおいても同じであるならば、彼の作品は難行以降の冒険に関する伝説を多く扱っていたことになる。もっとも、1巻において太陽神ヘリオスの杯でエリュテイアに渡ったことが語られていたという古代の証言も残っている[3]
  • 『イオニカ』(Ἰωνικά, Iōnika)。イオニア誌の意。イオニア地方の都市の歴史、特に同地域へのイオニア人の伝説的な入植について歌った地誌的性格の作品で、7000詩行におよぶ。しかし現在では実際の詩は伝わっておらず、また明確な影響も他の古代の作家に見出せないため、実在したのか疑問視する向きもある[3]

校訂

Matthewsほか、Bernabé、Daviesの2人の校訂が知られている。

  • V. J. Matthews. Panyassis of Halikarnassos. Text and Commentary. Series: Mnemosyne, Supplements, Volume: 33.

脚注

  1. ^ a b Panuasis”. Suda On Line Search. 2020年1月17日閲覧。
  2. ^ a b 松平千秋訳の解説、p.372。
  3. ^ a b c パニュアッシス『ヘーラクレイア』”. バルバロイ!. 2020年1月17日閲覧。
  4. ^ アポロドーロス、1巻5・2。
  5. ^ アポロドーロス、3巻10・3。
  6. ^ アポロドーロス、3巻14・4。
  7. ^ パウサニアス、9巻11・2。
  8. ^ パウサニアス、10巻8・9。
  9. ^ パウサニアス、10巻29・9。
  10. ^ ヒュギーヌス『天文譜』2巻6・1。
  11. ^ ビュザンティオンのステファノス。

参考文献

外部リンク