コンテンツにスキップ

「冲永佳史」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
タグ: 差し戻し済み
2022年6月12日 (日) 03:03‎ 118.103.63.129による版へ巻き戻し
タグ: 手動差し戻し 差し戻し済み サイズの大幅な増減
7行目: 7行目:
[[慶應義塾大学大学院理工学研究科]]では[[航空機]]の[[翼]]や[[レーシングカー]]の[[エアロパーツ|ウイング]]に関わる[[液体]]工学分野の[[乱流]]工学の学術研究に従事し、乱流を細かく分解してから各部位の運動について基礎方程式を数値的に解析した。
[[慶應義塾大学大学院理工学研究科]]では[[航空機]]の[[翼]]や[[レーシングカー]]の[[エアロパーツ|ウイング]]に関わる[[液体]]工学分野の[[乱流]]工学の学術研究に従事し、乱流を細かく分解してから各部位の運動について基礎方程式を数値的に解析した。


== 人物 ==

=== 理事長への就任理由 ===
冲永佳史理事長・学長就任については、次のような経緯が新聞記事で公開された。

「東京国税局は2002年6月、帝京大関連団体が合格発表前に集めた寄付金総額は同年3月期までの7年間で計約140億円に上ると認定。うち大学以外の複数の団体に流れた約65億円について、関連団体の法人所得とし、申告漏れを指摘した。一連の問題では、冲永荘一氏が監督責任を取って9月に帝京大総長を辞任。総長制を廃止し、二男、佳史氏が新学長に就任した。」<ref>「脱税で帝京学園元会長を逮捕」産経新聞、2002年11月6日</ref>

=== 永久の「理事長・学長」 ===

==== 寄附行為上の規程 ====
他方で、帝京大学の定款にあたる「帝京大学寄附行為」では、帝京大学の学長は一度就任してしまえば規程上は永久に理事・学長であり続けることが保証されている。

実際に、法的に公開義務のある「帝京大学寄附行為」第八条(役員の任期)では、「役員」つまり理事や監事の任期が次のように定められている。


「役員('''第六条第1項第一号に掲げる理事を除く'''。以下この条において同じ。)の任期は、四年とする。」<ref>{{Cite web |url=https://www.teikyo-u.ac.jp/application/files/3815/8702/3982/kifu20200330.pdf |title=学校法人帝京大学寄附行為 第八条 |access-date=2022年6月3日 |quote=この寄附行為はオンラインで公開されているものの、2022年6月現在、閲覧者がプリントアウトできない設定になっている。}}</ref>



この第八条で理事の任期の例外とされる「第六条第1項第一号に掲げる理事」とは、同寄附行為第六条において「帝京大学の学長」と定められている。つまりこの「学長」だけは他の理事とは異なり、理事会の改選にも影響されず、他の理事に課せられている四年の任期にも縛られず、しかも一度「学長」になってしまえば、理事会等による決議にも触れることなく、そのまま理事でもあり続けるよう、規程上定められている。

しかも帝京大学では学長の任期について定める規程もない。つまり一度学長になれば永久に学長であり続けるよう、筋道が整えられている。

以上より、現在の帝京大学学長冲永佳史は、本人から退任しない限り、理事会、評議員会、教授会等によるいかなる決議や意見等とも無関係に、永久に学長・理事であり続けるという規程上の建て付けになっている。そして任期もなく長年にわたって理事・学長である人物の意向は理事会での大きな権限となる。現に学長に就任した2002年以降、冲永佳史理事・学長は2022現在に到るまで、約20年もの間、「理事長・学長」でもあり続けている。

このような永久理事・学長を保証する規程は、現在のところそれを禁止する法律が存在していない。しかし実際にこれを正式な規程として備えている大規模総合大学は帝京大学の他に見聞しない。

==== 「大学設置基準」 ====
なお、学校教育法に基づく「大学設置基準」第13条の2(学長の資格)においては、「学長となることのできる者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ大学運営に関し識見を有すると認められる者とする。」<ref>{{Cite web |url=https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/053/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2012/10/30/1325943_02_3_1.pdf |title=大学設置基準 昭和三十一年文部省令第二十八号 |access-date=2022年6月3日 |publisher=e-Gov 法例検索}}</ref>と定められている。しかし帝京大学は9学部から成る東京都内を中心とした、全国有数の大規模総合大学であるにもかかわらず、帝京大学学長の「学識が優れ」ていることを保証する、学長の研究業績は公表されておらず、また学長の学位についての明記も、大学公式HPの主な記事などには見当たらない。

==== 経営者の聖域化と私大ガバナンス ====
昨今の私立大学のガバナンスをめぐる議論では、経営者のワンマン体制に対する、評議員会や監事等による監視や権限の強化が叫ばれている。それに対して、公益法人でありながら、ひとりの人物が、しかも「大学設置基準」で要求される「学識が優れ」ていることを保証するエビデンスさえ公表せずとも、事実上永久に「理事長・学長」であり続けることを約束しているのが現在の帝京大学の規程である。

帝京大学はグループ全体で見れば私立大学日本一の資産規模を持つ大学であり、それに応じた国からの経常費補助金なども2020年度は帝京大学だけで104億3200万円と莫大である<ref>{{Cite web |url=https://www.teikyo-u.ac.jp/application/files/2516/2400/1632/A-1_jigyohoukokusyo_2020.pdf |title=学校法人帝京大学 2020年度 事業報告書 |access-date=2022年6月3日 |publisher=学校法人帝京大学}}</ref>。こうした税金を財源とする公的資金から高額の支援を受け、高度な公益性を持つ大規模大学でありながら、その「理事長・学長」だけは大学内外からの評価や批判、選挙などによる選任からも永久に免れることを保証しているのが、現在の「寄附行為」をはじめとする帝京大学の規程である。しかしこれに対する、大学の内外からの何らかの指摘や注意、意見は、未だかつて公に確認されていない。

==== 文科省による大学ガバナンスへの今後の方向性 ====
文部科学省「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」による令和3年3月19日づけの「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性【概要】」<ref>{{Cite web |url=https://www.mext.go.jp/content/20210319-mxt_sigakugy-mext_00024_1.pdf |title=「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性【概要】」 |access-date=2022年6月1日 |publisher=文部科学省}}</ref>においては、「役員の選解任の在り方」として「役員の選任は、評議員会が行うこととする。」とされた。この「役員」とは理事、監事を指し、評議員会による選任を受けない例外の役員は定められていない。つまり学長である理事を含め、すべての理事が評議員会による選任を受ける方向性が示された。

それを受け、文部科学省「学校法人制度改革特別委員会」による令和4年3月 29 日づけの「学校法人制度改革の具体的方策について」<ref>{{Cite web |url=https://www.mext.go.jp/content/20220329-mxt_sigakugy-000021544-0001.pdf |title=「学校法人制度改革の具体的方策について」 |access-date=2022年6月3日 |publisher=文部科学省}}</ref>も、「理事の選解任」を定めた項目で次のように明記する。

そこでは「理事の選任は、評議員会のチェック機能を定期的に発揮させる重要な手段となりうる。」とした上で、「理事の選任機関として、 評議員会その他の機関(評議員会、理事会のほか、役員選考会議、設立団体、選挙実施機関な ど任意に置かれる機関を含む。)を寄附行為で明確に定めるよう法的に措置すべきである。」<ref>{{Cite web |url=https://www.mext.go.jp/content/20220329-mxt_sigakugy-000021544-0001.pdf |title=「学校法人制度改革の具体的方策について」 p.7 |access-date=2022年6月3日 |publisher=文部科学省}}</ref>と、「理事の選任機関」の明確化を規定している。

ここでのポイントは「評議員会のチェック機能を定期的に発揮させる」ことであり、そこに照らせばこのチェックを永久に受けないで済む理事の存在はあり得ない。

==== 民間シンクタンクによる大学ガバナンスへの指摘 ====
こうした理事への監督強化の流れに沿い、主要な民間のシンクタンクである三菱UFJリサーチ&コンサルティングからも、次のような指摘が見られる。

「…学校法人では、「理事長」および 「理事会」の権限が非常に強くなっている一方で、「評議員会」における監督・監視権限の仕組みが不十分であり、現在の体制ではガバナンスを有効に機能させることは難しい」<ref>{{Cite web |url=https://www.murc.jp/report/rc/report/consulting_report/cr_211117/ |title=中嶋淳一郎、山内哲也「不祥事を防止し、経営と教育の質を高める学校法人のガバナンス強化」2021/11/17 p.3 |access-date=2022年6月3日 |publisher=三菱UFJリサーチ&コンサルティング}}</ref>

「ガバナンスを強化するためには、統治機関である「評議員会」、「理事」、「理事会」および「監事」の 機能を強化し、「評議員会」には「理事」と「監事」といった役員の選解任権と監督によるモニタリング型の機関へと変貌することが望ましい。」<ref>{{Cite web |url=https://www.murc.jp/report/rc/report/consulting_report/cr_211117/ |title=中嶋淳一郎、山内哲也「不祥事を防止し、経営と教育の質を高める学校法人のガバナンス強化」2021/11/17 p.7 |access-date=2022年6月3日 |publisher=三菱UFJリサーチ&コンサルティング}}</ref>

このように、「評議員会」に「「理事」と「監事」といった役員の選解任権と監督」の権利が与えられた「モニタリング型の機関」の必要が繰り返し説かれている。そうした「機関」では、永久「理事長・学長」を保証する規程が存在することは論理的に不可能となる。

== 脚注 ==
{{デフォルトソート:おきなか よしひと}}
{{デフォルトソート:おきなか よしひと}}
[[Category:日本の機械工学者]]
[[Category:日本の機械工学者]]

2022年6月12日 (日) 09:50時点における版

冲永 佳史(おきなが よしひと、1973年4月8日 - )は、日本学校経営者。妻は冲永寛子、兄は冲永荘八、兄の妻は冲永隆子、父は冲永荘一、祖父は冲永荘兵衛

来歴

1973年、帝京大学創設者である冲永荘一の次男として東京都品川区に生まれる。慶應義塾中等部慶應義塾高等学校を経て、1996年慶應義塾大学理工学部を卒業。1998年同大学大学院理工学研究科修士課程を修了。現在は 帝京大学グループの複数の学校の理事長・学長を兼任している。

慶應義塾大学大学院理工学研究科では航空機レーシングカーウイングに関わる液体工学分野の乱流工学の学術研究に従事し、乱流を細かく分解してから各部位の運動について基礎方程式を数値的に解析した。

人物

理事長への就任理由

冲永佳史理事長・学長就任については、次のような経緯が新聞記事で公開された。

「東京国税局は2002年6月、帝京大関連団体が合格発表前に集めた寄付金総額は同年3月期までの7年間で計約140億円に上ると認定。うち大学以外の複数の団体に流れた約65億円について、関連団体の法人所得とし、申告漏れを指摘した。一連の問題では、冲永荘一氏が監督責任を取って9月に帝京大総長を辞任。総長制を廃止し、二男、佳史氏が新学長に就任した。」[1]

永久の「理事長・学長」

寄附行為上の規程

他方で、帝京大学の定款にあたる「帝京大学寄附行為」では、帝京大学の学長は一度就任してしまえば規程上は永久に理事・学長であり続けることが保証されている。

実際に、法的に公開義務のある「帝京大学寄附行為」第八条(役員の任期)では、「役員」つまり理事や監事の任期が次のように定められている。


「役員(第六条第1項第一号に掲げる理事を除く。以下この条において同じ。)の任期は、四年とする。」[2]


この第八条で理事の任期の例外とされる「第六条第1項第一号に掲げる理事」とは、同寄附行為第六条において「帝京大学の学長」と定められている。つまりこの「学長」だけは他の理事とは異なり、理事会の改選にも影響されず、他の理事に課せられている四年の任期にも縛られず、しかも一度「学長」になってしまえば、理事会等による決議にも触れることなく、そのまま理事でもあり続けるよう、規程上定められている。

しかも帝京大学では学長の任期について定める規程もない。つまり一度学長になれば永久に学長であり続けるよう、筋道が整えられている。

以上より、現在の帝京大学学長冲永佳史は、本人から退任しない限り、理事会、評議員会、教授会等によるいかなる決議や意見等とも無関係に、永久に学長・理事であり続けるという規程上の建て付けになっている。そして任期もなく長年にわたって理事・学長である人物の意向は理事会での大きな権限となる。現に学長に就任した2002年以降、冲永佳史理事・学長は2022現在に到るまで、約20年もの間、「理事長・学長」でもあり続けている。

このような永久理事・学長を保証する規程は、現在のところそれを禁止する法律が存在していない。しかし実際にこれを正式な規程として備えている大規模総合大学は帝京大学の他に見聞しない。

「大学設置基準」

なお、学校教育法に基づく「大学設置基準」第13条の2(学長の資格)においては、「学長となることのできる者は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ大学運営に関し識見を有すると認められる者とする。」[3]と定められている。しかし帝京大学は9学部から成る東京都内を中心とした、全国有数の大規模総合大学であるにもかかわらず、帝京大学学長の「学識が優れ」ていることを保証する、学長の研究業績は公表されておらず、また学長の学位についての明記も、大学公式HPの主な記事などには見当たらない。

経営者の聖域化と私大ガバナンス

昨今の私立大学のガバナンスをめぐる議論では、経営者のワンマン体制に対する、評議員会や監事等による監視や権限の強化が叫ばれている。それに対して、公益法人でありながら、ひとりの人物が、しかも「大学設置基準」で要求される「学識が優れ」ていることを保証するエビデンスさえ公表せずとも、事実上永久に「理事長・学長」であり続けることを約束しているのが現在の帝京大学の規程である。

帝京大学はグループ全体で見れば私立大学日本一の資産規模を持つ大学であり、それに応じた国からの経常費補助金なども2020年度は帝京大学だけで104億3200万円と莫大である[4]。こうした税金を財源とする公的資金から高額の支援を受け、高度な公益性を持つ大規模大学でありながら、その「理事長・学長」だけは大学内外からの評価や批判、選挙などによる選任からも永久に免れることを保証しているのが、現在の「寄附行為」をはじめとする帝京大学の規程である。しかしこれに対する、大学の内外からの何らかの指摘や注意、意見は、未だかつて公に確認されていない。

文科省による大学ガバナンスへの今後の方向性

文部科学省「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」による令和3年3月19日づけの「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性【概要】」[5]においては、「役員の選解任の在り方」として「役員の選任は、評議員会が行うこととする。」とされた。この「役員」とは理事、監事を指し、評議員会による選任を受けない例外の役員は定められていない。つまり学長である理事を含め、すべての理事が評議員会による選任を受ける方向性が示された。

それを受け、文部科学省「学校法人制度改革特別委員会」による令和4年3月 29 日づけの「学校法人制度改革の具体的方策について」[6]も、「理事の選解任」を定めた項目で次のように明記する。

そこでは「理事の選任は、評議員会のチェック機能を定期的に発揮させる重要な手段となりうる。」とした上で、「理事の選任機関として、 評議員会その他の機関(評議員会、理事会のほか、役員選考会議、設立団体、選挙実施機関な ど任意に置かれる機関を含む。)を寄附行為で明確に定めるよう法的に措置すべきである。」[7]と、「理事の選任機関」の明確化を規定している。

ここでのポイントは「評議員会のチェック機能を定期的に発揮させる」ことであり、そこに照らせばこのチェックを永久に受けないで済む理事の存在はあり得ない。

民間シンクタンクによる大学ガバナンスへの指摘

こうした理事への監督強化の流れに沿い、主要な民間のシンクタンクである三菱UFJリサーチ&コンサルティングからも、次のような指摘が見られる。

「…学校法人では、「理事長」および 「理事会」の権限が非常に強くなっている一方で、「評議員会」における監督・監視権限の仕組みが不十分であり、現在の体制ではガバナンスを有効に機能させることは難しい」[8]

「ガバナンスを強化するためには、統治機関である「評議員会」、「理事」、「理事会」および「監事」の 機能を強化し、「評議員会」には「理事」と「監事」といった役員の選解任権と監督によるモニタリング型の機関へと変貌することが望ましい。」[9]

このように、「評議員会」に「「理事」と「監事」といった役員の選解任権と監督」の権利が与えられた「モニタリング型の機関」の必要が繰り返し説かれている。そうした「機関」では、永久「理事長・学長」を保証する規程が存在することは論理的に不可能となる。

脚注

  1. ^ 「脱税で帝京学園元会長を逮捕」産経新聞、2002年11月6日
  2. ^ 学校法人帝京大学寄附行為 第八条”. 2022年6月3日閲覧。 “この寄附行為はオンラインで公開されているものの、2022年6月現在、閲覧者がプリントアウトできない設定になっている。”
  3. ^ 大学設置基準 昭和三十一年文部省令第二十八号”. e-Gov 法例検索. 2022年6月3日閲覧。
  4. ^ 学校法人帝京大学 2020年度 事業報告書”. 学校法人帝京大学. 2022年6月3日閲覧。
  5. ^ 「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性【概要】」”. 文部科学省. 2022年6月1日閲覧。
  6. ^ 「学校法人制度改革の具体的方策について」”. 文部科学省. 2022年6月3日閲覧。
  7. ^ 「学校法人制度改革の具体的方策について」 p.7”. 文部科学省. 2022年6月3日閲覧。
  8. ^ 中嶋淳一郎、山内哲也「不祥事を防止し、経営と教育の質を高める学校法人のガバナンス強化」2021/11/17 p.3”. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング. 2022年6月3日閲覧。
  9. ^ 中嶋淳一郎、山内哲也「不祥事を防止し、経営と教育の質を高める学校法人のガバナンス強化」2021/11/17 p.7”. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング. 2022年6月3日閲覧。

関連項目