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「念仏の鉄」の版間の差分

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'''念仏の鉄'''(ねんぶつのてつ)は[[必殺シリーズ]]に登場する、[[山崎努|山﨑努]]演じる架空の人物である。原作を持たない、[[テレビ番組]]オリジナルのキャラクターである。
'''念仏の鉄'''(ねんぶつのてつ)は[[必殺シリーズ]]に登場する、[[山﨑努]]演じる架空の人物である。原作を持たない、[[テレビ番組]]オリジナルのキャラクターである。
必殺シリーズ前期の代表的なキャラクターの一人である。
必殺シリーズ前期の代表的なキャラクターの一人である。



2022年12月5日 (月) 09:47時点における版

念仏の鉄(ねんぶつのてつ)は必殺シリーズに登場する、山﨑努演じる架空の人物である。原作を持たない、テレビ番組オリジナルのキャラクターである。 必殺シリーズ前期の代表的なキャラクターの一人である。

キャラクター

表稼業

江戸の観音長屋で按摩を営む破戒僧。上州出身。

元は宗慶寺の僧侶であったが、檀家の人妻と肉体関係を持ったために女犯の罪に問われ、佐渡島に流される。この時、同心見習いとして佐渡金山に勤めていた中村主水藤田まこと)と知り合う。怪我人の絶えない金山での過酷な流刑生活から、我流で骨接ぎの技術を会得した。

仕置人本編の2年前、御赦免となり江戸に流れる。その後、習得した技術を生かし、観音長屋で接骨医を営みながら、酒と女に明け暮れるその日暮らしの生活を送っていた。 佐渡時代からの知り合いであった、中村主水とは江戸で再開してからつるむようになったと思われ、旧仕置人では一緒に釣りに行ったり、酒をのみに行ったりしている様子が見られた。

旧仕置人の時は普通の着物姿であったが、新仕置人からは赤の長襦袢に黒の着物に右耳にピアスを着けた姿となり以後この格好が鉄のトレードマークとなる。

無類の女好きで、その性格が災いして未成年人妻に手を出して捕まったり、事件に巻き込まれたりしたこともあった。 金遣いも荒く、仕置の前に女遊びで20両使い果たすこともあり、その荒らさ故に仲間から借金をすることも多く、また、支払いが出来ないことで付け馬につけられたり、布団蒸しにされたりすることもあった。

抱いた女ですら利害が絡むと突き放すなど、基本的には冷徹でドライな性格だが、子供や年寄りには無料で治療を行うなど心優しい一面もある。 特に新仕置人では、子供と優しく接する様子や涙もろい一面を見せたりとより人間味溢れる性格となった。

表家業は腕が良いとそれなりに評判のようで、よく治療客が訪れている。 また、出張で按摩を行う事もあり、主水の治療のために中村家に来たこともあった。

塩豆などの豆菓子が好物であり、特に落花生が大好物のようでアジトに常備していたり、着物の袂に入れていたりといたるところで、ボリボリと食べている様子が多々見られる。また新必殺になると生卵に穴をあけて吸う事が多くなる。 また、料理の腕にも自信があるのかないのか、近所の若い娘たちを集めて「念仏流秘伝味噌の寄せ鍋」を振る舞ったりしている。

新必殺の後半になると、演ずる山崎努のスケジュールの都合で、台詞が少なくなり、まともに仕事をする事がなく、巳代松の金をちょろまかしたり、正八の商売の邪魔をするような、ストーリーに深くかかわらない登場の仕方が多くなる。

裏稼業

晴らせぬ恨みを金銭で晴らす殺し屋。シリーズ通してリーダーとして活躍し、殺しの立案と実行を行う。 観音長屋に居を構えていた棺桶の錠沖雅也)が持ち込んだ事件をきっかけに北町奉行所で同心をしていた主水、鉄砲玉のおきん(野川由美子)、おひろめの半次(津坂匡章)らとともに金を貰って、悪を闇に葬る殺し屋「仕置人」となる(第2作『必殺仕置人』)。

仕置人の存在が奉行所に発覚した後は江戸を去り、姿を消していたが、4年後、江戸に再び舞い戻り、鋳掛屋の巳代松(中村嘉葎雄)。絵草子屋の正八火野正平)。スリのおてい(中尾ミエ)とともに、元締・虎藤村富美男)が主宰する仕置人の組織、寅の会に加わる。そんなある時、寅の会で主水の仕置の依頼が取り上げられたことをきっかけに主水と再会。主水と再び組んで、裏稼業を行うこととなる(第10作『新・必殺仕置人』)。

寅の会の一員となってからはかつての非情さは徐々に影を潜め、掟には厳しいものの、自分と関わりのあった女や子供への情に流されることもあった。

その代わりに「一ヶ月殺しをしねぇと、世の中靄がかったようになる」と語り、殺しは癖であり、やめられないと言い、暗殺行為そのものに快楽を感じるようになった。

新仕置人では仕置をする際に主に潜入目的で変装することが多くなり、中には遊びでやっている様にしか思えないものがあった[1]

危機に陥った仲間を救い出したり、外道仕置はいかなる場合も行なわず、仕置に際しては金額の多寡で決めたりしない義理堅さも持っている。

その後、寅の会で仕置人を続けていたが、辰蔵の寅の会乗っ取りに反抗した際、辰蔵一味に捕らえられ、右腕を焼かれるが、辰蔵と相討ちになりながらも自らの手で仕置する。その後は女郎屋に行き、床入りした後に命を落とす。

骨外し術

殺し技は骨外し。骨接ぎで得た人体骨格の知識を元に、相手の腰骨や喉を指先で破壊し、死に至らしめる。殺しの際はレントゲンの映像に切り替わり 骨が折れたり外れる描写がされる。一切武器や道具を使わず全て素手で行っており、頑丈に鍛えた指先の力は相当で、屋内の木の壁を突き破ることも可能。人体の構造を把握している為、殺さずに半身不随にしたり、声を出せないようにすることも可能であり、生き地獄を味わわせることもあった。放送前は「三本指殺法」として宣伝されており、右手の人差し指、中指、薬指を使うことになっていたが、実際には人差し指と中指を使っている[2]。右手の人差し指、中指、薬指での殺しは舞台劇『必殺仕事人』で、誠直也が演じた際に披露している[2]

中村主水との関係

必殺シリーズの中でも主水とは裏稼業以前からの付き合いもあり、年齢、性格、裏稼業の経験的にも最もつり合いが取れた関係であり、『黄金コンビ』『実質的な相棒』と言われる事も多い。表裏関係なく互いに小突き合う程対等な付き合いをしており。鉄と組んでる時は、主水は参謀にまわり、鉄の計画の全面的なサポートを行う。まれに「めんどくさい」という理由で計画を主水に丸投げする事もある。また、裏切りの疑いを掛けた主水を仕置しようとしたことがある[3](『新・仕置人』第8話「裏切無用」)結果的には誤解であったものの「こいつとは古い付き合いだから殺す時は俺がやる」と言うほどお互い信頼を持っている事がうかがえる。また主水の女癖の悪さは、鉄の影響によるものなのが作中時々見られる。また主水と同じ女と関係を持ち身ごもった子供がどっちの子なのかもめた事もある。

その後の鉄の登場

新仕置人の最終回で明確に死亡した鉄であったが、人気が高く、何度も制作陣は鉄を作中復活させようと企画するものの、演じる山崎努自身が「同じ役を演じるのが飽きた」と出演を断った事で実現には至らなかった。1982年、『必殺仕事人III』に先立って放映された必殺スペシャル『仕事人大集合』の企画段階では鉄を復活させ、ゲスト出演させるという案が持ち上がっていたが、山崎自身が出演に消極的だったために交渉は失敗し、棺桶の錠と知らぬ顔の半兵衛(緒形拳)が再登場することになった。また1985年、『必殺仕事人V・激闘編』制作の際にも復活案が浮上するが、これも固辞されたため、新キャラクターとして、同じく指による急所砕きの技を使用する壱(柴俊夫)を登場させた経緯がある。以降、再登場は実現しないまま、現在に至る。 本編での再登板は叶わなかったが、舞台版の『必殺仕事人』では誠直也が鉄を演じており、誠は必殺スペシャル『必殺スペシャル・春 勢ぞろい仕事人! 春雨じゃ、悪人退治』で別のキャラクターではあるが、鉄や壱に似た素手の怪力技を使った。

バラエティー番組の「必殺」のパロディーや、その他の媒体では本編では共演した事が無い、必殺後期の代表キャラの飾り職人の秀三田村邦彦)、三味線屋の勇次中条きよし)と組む機会が多く、1990年バンプレストから発売された、ファミコン用ゲーム ソフト「必殺仕事人」、1996年バンダイビジュアルから発売された、セガサターン用ゲーム ソフト「必殺!」や2007年4月に京楽産業.から発売されたパチンコ機「CRぱちんこ必殺仕事人III」にも登場しており、タイトルが「仕事人」でない番組から「仕事人」のゲームやパチンコに多く登場している。

出演作品

TVシリーズ

舞台

  • 必殺仕事人(演じたのは誠直也


パチンコ機

解説

初登場は『必殺仕置人』。必殺シリーズ第1作『必殺仕掛人』の主人公 藤枝梅安緒形拳)をモチーフに作られたキャラクターである。坊主頭の接骨師で家族を持たず、気ままな独り暮らしを送っているという設定から、梅安の「二匹目のどじょう」を狙っていたことが窺える。しかし、自己中心的快楽主義者という梅安にはなかった怪人的な一面を持ち合わせており、享楽的な人生を謳歌している。『新・必殺仕置人』で、シリーズに復帰[4]。同作の最終回で、命を落とした。なお、鉄の再登場にあたり、山崎は一度演じた役は再びやらないという強い信念を持っていたが、制作スタッフの説得に負けてしまったというエピソードがある。

破戒僧であるため作中頭を丸めた坊主であるが山崎努が「祭ばやしが聞こえる」の出演が決まった為、第23話以降は頭髪を伸ばして登場するようになった。


2007年8月7日、『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」に京本政樹が出演した際、「ぱちんこ必殺仕事人」シリーズのポスターを後ろに貼ってもらい、京本がポスターの端の鉄の写真について「あの坊主、誰かわかりますか?」と聞いたところ、タモリも観客もわからなかった様子で、京本は「山崎努さんです。本当は『仕置人』なんですけど、30年前です」と説明していた。

裏話

  • 『新・仕置人』に於ける鉄はストーリーライン上『仕置人』同様に主人公扱いであるが、演者の山崎は本編のクレジット タイトルでは最後尾(トメ)に記載されており、主演扱いではない。ただし、そのクレジットは起こしタイトル[5]となっている[6]。これは制作段階で、主水役の藤田がトメに再び回されることに抗議をしたためであり、結果、藤田の対応に苦慮していた制作スタッフが山崎と藤田に交渉して、順序を入れ替えたと言われている。詳しくはこちらを参照。

脚注

  1. ^ 捕り方(第7話)、女装(第8話)、・歌舞伎のようなド派手なメイク(第21話)、阿呆陀羅経坊主(第25話)、鎧兜(第28話)
  2. ^ a b 山田誠二『必殺シリーズ完全百科』p28
  3. ^ 実際は主水が事情を把握していなかったための誤解。
  4. ^ 主水や密偵役以外の旧作の殺し屋が再登板するのはシリーズ初であった。
  5. ^ 倒れている文字が起き上がってくるようにエフェクトされた表示。
  6. ^ 他作品では主人公扱いではあっても主演扱いではなかった時の主水=藤田、山田五十鈴菅井きん村上弘明滝田栄らにも使用されたことがあった。