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2023年10月9日 (月) 13:49時点における版
スタソーマ(Sutasoma,須陀素彌,蘇陀蘇摩,普明王[1],須陀摩王)は[2]、インドの叙事詩『マハーバーラタ』の登場人物。パーンダヴァのビーマとドラウパディーとの間に生まれた子で、父親の異なる4人の兄弟プラティヴィンディヤ、シュルタキールティ、シャタニーカ、シュルタセーナがいる。また異母兄弟にガトートカチャがいる。
クルクシェートラの戦いでは主に他の4兄弟とともに戦ったが、後に眠っているところをアシュヴァッターマンの夜襲にあい、他の4兄弟やドリシタデュムナ、シカンディンらとともに殺された。
ジャータカにおいては[3]、カウラヴァ王朝における釈迦の前世とされ[4]、性善説を説く沙門に布施をするという約束を果たす前に人食いに捕えられた際に必ず戻ると約束して布施の約束を守り[5]、人食いとの約束も守って食われに戻り、感動した人食いに[6]真実の功徳を説いている[7]。 太宰治の『走れメロス』の元となったといわれることもあるが、『走れメロス』は作品末尾で「古伝説とシルレルの詩から」と典拠を示しており、「シルレルの詩」とはフリードリヒ・フォン・シラーの『人質譚詩』[8]、「古伝説」とは太宰が少年時に読んだ可能性のある高等小学校用国語読本に『真の知己』として採録され[9]、それ以前にも少なくない修身の教科書に収録されていた『デイモンとピシアス』が指摘されている[10]。
脚注
- ^ 小野玄妙 1927, p. 185.
- ^ 日明 & 小川孝栄 1887, p. 13.
- ^ 引田弘道 & 大羽恵美 2017, p. 105.
- ^ 大屋徳城 1909, p. 18.
- ^ 寺尾与三 & 本田穆堂 1931, p. 28.
- ^ 早川厚一 et al. 2014, p. 192.
- ^ 引田弘道 & 大羽恵美 2017, p. 106.
- ^ 滝口晴生 2013, p. 75.
- ^ 幸田国広 2015, p. 65.
- ^ 幸田国広 2015, p. 66.
参考文献
- 日明、小川孝栄『高祖遺文録』 2巻、久遠寺、1887年、13-15頁。doi:10.11501/823606。 NCID BB14502518。OCLC 836146579。国立国会図書館書誌ID:000000466488 。2023年10月9日閲覧。
- 大屋徳城『釈迦』内外出版協会、1909年、17-18頁。doi:10.11501/816545。 NCID BN08876074。OCLC 673053224。国立国会図書館書誌ID:000000461347 。2023年10月9日閲覧。
- 小野玄妙『仏教美術講話』甲子社書房、1927年、186-188頁。doi:10.11501/1178181。 NCID BN1255626X。OCLC 1074920446。国立国会図書館書誌ID:000000772539 。2023年10月9日閲覧。
- 寺尾与三、本田穆堂『天の花地の花 : 童話物語』八紘社、1931年、23-30頁。doi:10.11501/1717084。 NCID BB06859342。OCLC 672905776。国立国会図書館書誌ID:000000809725 。2023年10月9日閲覧。
- 早川厚一、曽我良成、村井宏栄、橋本正俊、志立正知「『源平盛衰記』全釈(9・巻3-2) (梅本和泰教授 退職記念号)」『名古屋学院大学論集』第50巻第2号、名古屋学院大学総合研究所、2014年、134-212頁、CRID 1390009224749277952、doi:10.15012/00000358、ISSN 03850056、NAID 120005662314、NCID AN00179501、OCLC 5571105260、国立国会図書館書誌ID:025277292、2023年10月9日閲覧。
- 滝口晴生、滝口晴生「太宰治「走れメロス」の原話をたどって」『山梨大学教育人間科学部紀要』第15号、山梨大学教育人間科学部、2013年、75-82頁、CRID 1390853649708877184、doi:10.34429/00001299、ISSN 18825923、NAID 120006804492、NCID AA12316801、OCLC 5567725655、国立国会図書館書誌ID:025353188、2023年10月9日閲覧。
- 幸田国広「「走れメロス」教材史における定番化初期の検討 : 道徳教育と読解指導に着目して」『読書科学』第56巻第2号、日本読書学会、2015年、65-75頁、CRID 1390282680123870080、doi:10.19011/sor.56.2_65、ISSN 0387284X、NAID 130005330425、NCID AN00172568、OCLC 9660816351、国立国会図書館書誌ID:026161742、2023年10月9日閲覧。
- 引田弘道、大羽恵美「クシャーンティ・アヴァダーナ : 『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』第38章和訳」『愛知学院大学文学部紀要』第47号、愛知学院大学文学会、2017年、103-117頁、CRID 1050573407752963584、ISSN 02858940、NAID 40021506778、NCID AN0000649X、OCLC 7447322571、国立国会図書館書誌ID:028907848、2023年10月9日閲覧。