スーパーボール
スーパーボール(英語: Super Ball)は、玩具用に開発されたゴムボールの一種。非常に弾力があるため、大きく跳ねるのが特徴。
反発係数は0.8から0.9程度である。スーパーボールを作るキットのようなものも売られている。
歴史
[編集]1964年に、アメリカ合衆国で化学者のノーマン・スティンレー (Norman Stingley) により、ポリブタジエンにケイ酸などの様々な添加物を加えた素材とともに開発された。スティンレーは勤務先の企業に製品化を提案するが、耐久性に難点があったため、却下された。その後、スティンレーは玩具を扱うWham-O社に持ち込み、同社が耐久性について改良を加え、「Super Ball」の商品名で発売される。製品は爆発的に売れ、最盛期には日産17万個が生産された。現在も同社は当時のモデルを販売している。
狭義には「スーパーボール」はWham-O社の製品を指し、英語では高弾性ゴムボール玩具の一般呼称として「bouncy ball」を用いることもある。
安全性
[編集]誤飲によって食道・気道へ運ばれるおそれのある製品である[1]。死亡事故も発生している。
- 2007年10月29日、3歳9か月男児が、スーパーボール(直径3.5cm)を2つ口の中に入れて遊んでおり。気づいた母親がボールをだすよう叱ったところ、驚いて1つを飲み込んでしまった。母親が口の中に指を入れたが取り出せず、救急要請し飲み込んでから37分後に入院。喉頭に詰まったスーパーボールを摘出したが、6か月後に死亡した[2][3][4]
多くのものは弾力に富み、小さな子供がぶつかってもあまり痛くない。しかし、2–6 cm 程度と小さいため、誤飲のおそれがある。また、床面や壁面に投げつけたスーパーボールはその強い弾性ゆえ予期せぬバウンドを繰り返し、蛍光灯や窓ガラスなどを破壊することがある。
日本各地の動物園で、スーパーボールが動物に向かって投げ込まれるケースが相次ぐようになっている。動物が誤飲する可能性があり、各動物園は対応に苦慮している[6]。
種類
[編集]球の色は非常に鮮やかで、球が透明で球の内部にラメやオモチャなどが入っているものもある。
反発係数(跳ね返り係数)が大きいものが多いが、中には反発係数が限りなく0に近い非弾性ゴムで作られたものも市販されている。また、跳ね返り係数が0に近い部分と大きい部分の両方が存在する球もある。ラグビーボール型や、複数の球が組み合わさった分子模型のような形のものも存在し、これらは不規則な跳ね返りを楽しめる。
スーパーボールは自作することもでき、作り方もさまざま方法がある[7]。
スーパーボールすくい
[編集]金魚すくいと同等の設備で金魚の代わりにスーパーボールをすくわせる、スーパーボールすくいという遊びが縁日の屋台に出されることがある。金魚と比較して準備や維持のコストが抑えられるので、小学校の催しなどの小規模な縁日ではよく見かけられる。色とりどりのスーパーボールが水に浮かべられている様子は、楽しげな縁日の雰囲気を演出する。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 内閣府消費者委員会 第29回資料 「【資料4】 食品SOS対応プロジェクト会合資料(消費者庁提供資料) (資料4-2) 窒息事故の詳細分析について」、2010年7月9日。
- ^ a b 2センチのボールを詰まらせた1歳女児 母が指を入れたら、さらにはまり込み…5日目に死亡 | ヨミドクター(読売新聞)
- ^ 【No.3】3歳の子どもがスーパーボールを誤飲して窒息死!対策方法は? – ikutech
- ^ 傷害速報 No.3 スーパーボールによる窒息 -『日本小児科学会雑誌』2008年4月号(112:802)掲載。
- ^ 薬局でもらったボールで乳児が窒息・死亡事故 | あなたの健康百科 | Medical Tribune
- ^ 【独自】動物園の柵内にスーパーボール…いたずらか、誤飲恐れ 読売新聞 2019年11月22日
- ^ “スーパーボールの作り方│ラテックス不使用や100均材料で簡単手作り! | HugKum(はぐくむ)”. hugkum.sho.jp (2023年7月1日). 2023年8月17日閲覧。
関連項目
[編集]- こどもの文化
- ロングバケーション (テレビドラマ)
- すっとびボール - スーパーボールなどを使った科学教材。
- スーパーボウル - 毎年2月上旬に行われるアメリカンフットボール・NFLの優勝決定戦。名の由来はこのスーパーボールから来ている。