川村たかし
川村 たかし(かわむら たかし、 1931年11月8日 - 2010年1月30日)は、日本の児童文学作家。本名、川村 隆。
来歴・人物
[編集]奈良県五條市出身。奈良県立五條高等学校、奈良学芸大学(現・奈良教育大学)卒業後、花岡大学に師事。
「近畿文化」に寄稿したのを機に創作活動に専念。1960年、花岡大学らとともに近畿児童文化協会を結成し、機関紙『近畿児童文化』を発刊した[1]。1970年に、花岡大学らと「幼年芸術」を発刊した[1]。1981年には那須正幹ら児童文学者らとともに児童文学創作集団「亜空間」を結成し、同名の季刊誌「亜空間」を創刊した。
1978年『山へいく牛』で国際アンデルセン賞優良作品賞、野間児童文芸賞を受賞し、1980年『山へ行く牛』『北へ行く旅人たち - 新十津川物語』で路傍の石文学賞を受賞、その後NHKによりテレビドラマ化(主演・斉藤由貴)された。1981年短編集『昼と夜のあいだ 夜間高校生』で日本児童文学者協会賞、1989年『新十津川物語』(全10巻)で日本児童文学者協会賞、産経児童出版文化賞大賞、1995年『天の太鼓』で日本児童文芸家協会賞受賞。創作長編・短編・ノンフィクション・評論など著書多数。
五條市の小・中学校・高校教諭、奈良教育大学、梅花女子大学教授を長く務めた。奈良県立五條高等学校定時制教諭時代は野球部の監督を務め、1978年の全国高等学校定時制通信制軟式野球大会に出場した。「もう一つの甲子園」という同大会の別称は、毎日新聞に投稿した川村の文章を萩本欽一が読み、テレビで取り上げたことがきっかけとなって浸透したものである。
1998年に第3代日本児童文芸家協会会長に就任。
2002年に紫綬褒章受章。
2010年1月30日、敗血症のため逝去[2]。78歳没。叙従五位、旭日小綬章追贈[3]。
著書
[編集]- 『川にたつ城』(実業之日本社) 1968、のち偕成社文庫
- 『最後のクジラ舟』(実業之日本社) 1969
- 『カシャンボとゴランボ』(実業之日本社) 1970
- 『青い金魚』(旺文社) 1971
- 『クジラと少年』(実業之日本社) 1971
- 『シカのいる森』(実業之日本社) 1971
- 『花坂団地のふたり組』(あかね書房) 1971
- 『まぼろしのカステラ』(実業之日本社) 1971、のち偕成社文庫
- 『がらくた楽団』(金の星社) 1972
- 『凍った猟銃』(偕成社) 1972、のち文庫
- 『ないたオンガラボウシ』(文研出版、創作わたしの民話) 1972
- 『サーカスのライオン』(ポプラ社) 1972
- 『もりくいクジラ』(実業之日本社、クジラむかしむかし) 1972
- 『あみかけクジラ』(実業之日本社、クジラむかしむかし) 1973
- 『クジラまつり』(実業之日本社、クジラむかしむかし) 1973
- 『ぶつかれモンタ』(ポプラ社) 1973
- 『ふんどし校長』(偕成社) 1974、のち文庫
- 『星の小ぼとけさま』(文研出版) 1974
- 『なぞかけ鬼』(岩崎書店) 1974
- 『のっぽてんぐとちびてんぐ』(文研出版) 1974
- 『こぞうさんのおばけたいじ』(文研出版) 1975
- 『ツチノコ探検隊』(偕成社) 1976.11
- 『とんとんとんかんべえ』(小学館) 1976.10
- 『ふうせん山に春がきて』(小峰書店) 1976.4
- 『おてんばショコちゃん』(偕成社) 1977.3
- 『熊野海賊』(岩崎書店) 1977.5
- 『山へいく牛』(偕成社) 1977.11、のち文庫
- 『アホウドリの島 鳥島漂着ものがたり』(岩崎書店) 1977.2
- 『かいぞくとらえもん』(教学研究社) 1978.3
- 『赤い海賊船 朱印船と日本人町』(教学研究社) 1979
- 『ノルウェーから来た鯨とり』(偕成社) 1979.2
- 『泣きむし笑いむし』(小学館) 1979.12
- 『ちきゅうのうらの花やさん』(金の星社) 1980.2
- 『闘牛ものがたり』(ポプラ社文庫) 1980.10
- 『昼と夜のあいだ 夜間高校生』(偕成社) 1980.12
- 『夏のダイヤモンド “片足のエース"の力投物語』(PHP研究所) 1981.8
- 『まほうつかいのいるがっこう』(PHP研究所) 1981.11
- 『まぼろしのカステラ』(偕成社文庫) 1981.12
- 『さすらいのコーチャン』(佼成出版社) 1982.5
- 『ふくろうのあずけもの』(文研出版) 1983.1
- 『星まつりのふしぎなふえ』(文研出版) 1983.6
- 『投げろ魔球! カッパ怪投手』(ポプラ社) 1983.12
- 『児童文学の方法 虚構の真実』(国土社) 1983.5
- 『毒矢』(国土社) 1983.12
- 『戦場からきた少年たち』(講談社) 1984.2
- 『メインポールの旗のもとに ベルリンオリンピックにかけた若人たち』(PHP研究所) 1984.2
- 『三年三組三銃士』(偕成社) 1984.2
- 『銀のさかながやってくる』(PHP研究所) 1985.12
- 『ほやほやにいちゃん1年生!』(国土社) 1985.4
- 『花咲きたぬき』(小峰書店) 1987.9
- 『十津川出国記』(北海道新聞社、道新選書1) 1987.11
- 『ひびけ! 第九交響曲』(国土社) 1988.12
- 『おおきなさかな』(すずき出版、ジャータカ絵本全集10) 1988.3
- 『六にんのごうけつ』(ひかりのくに) 1993.1
- 『天の太鼓』(文渓堂) 1994.12
- 『ドンマイ、上むけ』(くもん出版) 1994.7
- 『絵舟 狩野探幽の暗号』(ポプラ社) 1998.10
- 『先生がいて牛がいて』(探究社) 1999.4
- 『風の声 土のうた』(天理教道友社) 2008.7
「新十津川物語」
[編集]- 『北へ行く旅人たち』(偕成社、新十津川物語1) 1977.12
- 『広野の旅人たち』(偕成社、新十津川物語2) 1978.10
- 『石狩に立つ虹』(偕成社、新十津川物語3) 1980.1
- 『北風にゆれる村』(偕成社、新十津川物語4) 1981.3
- 『朝焼けのピンネシリ』(偕成社、新十津川物語5) 1983.6
- 『雪虫の飛ぶ日』(偕成社、新十津川物語6) 1984.12
- 『吹雪く大地』(偕成社、新十津川物語7) 1985.12
- 『燃える海山』(偕成社、新十津川物語8) 1987.5
- 『星の見える家』(偕成社、新十津川物語9) 1987.12
- 『マンサクの花』(偕成社、新十津川物語10) 1988.12
- 『新十津川物語 文芸版』全10巻(偕成社) 1990、のち文庫
翻訳
[編集]- 『アザラシのカール 北海へ帰る』(ブルクハルト・バルトス、くもん出版) 1991.12
脚註
[編集]- ^ a b 大淀町「花岡大学ってどんなひと?」
- ^ 訃報:川村たかし氏 産経新聞 2010年1月31日閲覧
- ^ 『官報』第5268号、平成22年3月9日
- ^ “五條市名誉市民”. 五條市. 2022年7月26日閲覧。