特定医療法人
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
特定医療法人(とくていいりょうほうじん)とは、財団又は持分の定めのない社団の医療法人であって、その事業及び医療施設が医療の普及と向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ公的に運営されていることで国税庁長官の承認を受けた医療法人である[1]。
概要
[編集]〇租税特別措置法
- (特定の医療法人の法人税率の特例)
第六十七条の二 財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないもの(清算中のものを除く。)のうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき政令で定める要件を満たすものとして、政令で定めるところにより国税庁長官の承認を受けたもの(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四十二条の二第一項に規定する社会医療法人を除く。)の当該承認を受けた後に終了した各事業年度の所得については、法人税法第六十六条第一項又は第二項の規定にかかわらず、百分の十九の税率により、法人税を課する。
医療法人は、特定医療法人の申請時及び承認後の各事業年度において、厚生労働大臣が財務大臣と協議して定める基準を満たすものである旨の厚生労働大臣の当該各事業年度に係る証明書の交付を受けなければならない(租税特別措置法施行令第39条の25第1項第1号、平成15年厚生労働省告示第147号)[2]
特定医療法人の主な要件
[編集]- 40床以上の病院または15床以上の救急告示診療所であること等
- 社会保険診療などに関わる収入金額が全収入の80%超であること
- 自費患者は社会保険診療と同一の基準により計算すること
- 医療収入の金額は直接経費の1.5倍の範囲であること
- 差額ベッド比率30%以下
- 役員の同族割合が3分の1以下
- 役職員一人につき年間給与総額(俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与の総額をいう。)が3600万円以下であること
- 解散時の残余財産の帰属は、国・地方公共団体・財団たる医療法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないものとしている
特定医療法人の税率・業務範囲
[編集]特定医療法人となった場合には、法人税において19%の軽減税率(通常は23.2%)が適用される。
特定医療法人は、病院等の本来業務及び介護事業などの附帯業務を行うことができるが(通常の医療法人と同一)、社会医療法人と異なり収益業務を行うことはできない。
特定医療法人数の推移
[編集]特定医療法人の法人数は、令和4年3月31日現在で331法人(社団271、財団50)である。多い順に兵庫県(20法人)、福岡県(18法人)、東京都・神奈川県・愛知県(17法人)となっており、鳥取を除く全都道府県に1つ以上存在している。特定医療法人数の推移を見ると、昭和45年の89法人から平成20年の412法人まで順調に増加していたが、平成20年以降の法人数は減少している。
脚注
[編集]- ^ “特定医療法人制度について”. 厚生労働省. 2022年8月8日閲覧。
- ^ 厚生労働省ホームページ(平成30年8月18日閲覧)https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000306796.pdf