特異測度
数学の分野において、ある可測空間 (Ω, Σ) 上で定義される二つの正(あるいは符号付または複素)測度 μ および ν が特異(とくい、英: singular)であるとは、Σ 内の二つの互いに素な集合 A と B で、その合併が Ω であり、B のすべての可測部分集合上で μ がゼロとなり、A のすべての可測部分集合上で ν がゼロとなるようなものが存在することを言う。この関係は と表される。
ルベーグの分解定理の改良されたものにおいては、特異測度をある特異連続測度と離散測度に区分している。例としては下記を参照されたい。
Rn 上の例
[編集]特別な例として、ユークリッド空間 Rn 上のある測度が特異的であるとは、それがその空間上のルベーグ測度に関して特異的であることを言う。例えば、ディラックのデルタ関数は特異測度である。
例 離散測度
は、その分布的導関数(distributional derivative)としてディラックのデルタ関数 を持つ。これは実数直線上の測度で、0 において点質量(point mass)を持つ。しかし、ディラック測度 はルベーグ測度 に関して絶対連続ではなく、 も に関して絶対連続では無い。すなわち、 であるが であり、また を任意の開集合で 0 を含まないものとするなら、 であるが である。
例 特異連続測度
カントール分布は連続であるが絶対連続では無い累積分布関数であり、実際その絶対連続な部分はゼロである。すなわち、この分布は特異連続である。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- Eric W Weisstein, CRC Concise Encyclopedia of Mathematics, CRC Press, 2002. ISBN 1-58488-347-2.
- J Taylor, An Introduction to Measure and Probability, Springer, 1996. ISBN 0-387-94830-9.
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