王山古墳
王山古墳 | |
---|---|
墳丘(左に前方部、右に後円部) | |
別名 | 総社町1号墳 |
所属 | 総社古墳群 |
所在地 |
群馬県前橋市大渡町1丁目6-1 (王山公園内) |
位置 | 北緯36度23分41.80秒 東経139度3分10.75秒 / 北緯36.3949444度 東経139.0529861度座標: 北緯36度23分41.80秒 東経139度3分10.75秒 / 北緯36.3949444度 東経139.0529861度 |
形状 | 前方後円墳(積石塚) |
規模 |
墳丘長75.6m 高さ4m(後円部) |
埋葬施設 | 両袖式横穴式石室 |
出土品 | 歯・辻金具・胡簶金具・埴輪 |
築造時期 | 6世紀初頭 |
史跡 | 前橋市指定史跡「王山古墳」 |
地図 |
王山古墳(おうやまこふん)は、群馬県前橋市大渡町(おおわたりまち)にある古墳(積石塚)。形状は前方後円墳。総社古墳群を構成する古墳の1つ。前橋市指定史跡に指定されており、王山公園として整備されている[1]。
概要
[編集]支群 | 古墳名 | 形状 | 規模 | 埋葬施設 | 築造時期 | 史跡指定 |
---|---|---|---|---|---|---|
北 | 遠見山古墳 | 前方後円墳 | 墳丘長88m | 竪穴式石室? | 5c後半 | 市史跡 |
南 | 王山古墳 | 前方後円墳 | 墳丘長76m | 横穴式石室 | 6c初頭 | 市史跡 |
王河原山古墳? | 前方後円墳 | (消滅) | ||||
北 | 二子山古墳 | 前方後円墳 | 墳丘長90m | 横穴式石室2基 | 6c後半 | 国史跡 |
愛宕山古墳 | 方墳 | 一辺56m | 横穴式石室 | 7c前半 | ||
宝塔山古墳 | 方墳 | 一辺66m | 複室横穴式石室 | 7c中葉 | 国史跡 | |
蛇穴山古墳 | 方墳 | 一辺44m | 横穴式石室 | 7c後半 | 国史跡 |
群馬県中部、榛名山東南麓・利根川西岸の前橋台地上に築造された古墳である。現在までに墳丘頂部・前方部半分が失われているほか[2]、1972・1974年(昭和47・49年)に発掘調査が実施されている[3][4]。
墳形は前方後円形で、前方部を北方向に向ける。墳丘は後円部で3段築成、前方部で2段築成[2]。盛土の上に川原石や砂・礫を詰め、その外側には自然石による葺石が施されており[5]、墳丘外表では円筒埴輪・形象埴輪(大刀形・盾形埴輪)が検出されている[5]。また墳丘周囲には幅24メートルの周濠(湛水濠)が巡らされる[2]。埋葬施設は両袖式の横穴式石室で、東方向に開口した。全長16.45メートルを測る群馬県内では最長級の大型石室になる[2]。この石室は大きく破壊を受けており、調査では歯・辻金具片・胡簶金具のみが検出されている[2][5]。
築造時期は、古墳時代後期の6世紀初頭頃と推定される[5][4]。総社古墳群では遠見山古墳に後続し、王河原山古墳または二子山古墳に先行する時期に位置づけられる。群馬県内では初期の様相を呈する横穴式石室を有する点で、畿内ヤマト王権とのつながりによる先進的技術の導入が示唆され[5]、総社地域が古代上毛野地方(上野国)の政治的・文化的中心となる過程を考察するうえで重要視される古墳になる。
古墳域は1984年(昭和59年)に前橋市指定史跡に指定された[6]。現在は史跡整備のうえで「王山公園」として公開されている。
遺跡歴
[編集]墳丘
[編集]- 墳丘長:75.6メートル
- 後円部 - 3段築成。
- 直径:50メートル
- 高さ:4.5メートル
- 前方部 - 2段築成。
- 幅:63.1メートル
後円部基壇・前方部斜面に敷かれた川原石は厚さ2-2.5メートルにおよび、後円部墳丘の中段・上段は全て積石によって構築される点で特異性を示す[2]。
-
後円部墳頂
-
後円部から前方部を望む
-
後円部葺石
-
大刀形埴輪・胡簶金具
前橋市総社歴史資料館展示。
埋葬施設
[編集]埋葬施設としては両袖式横穴式石室が構築されており、東方向に開口した。石室の規模は次の通り[3][5]。
- 石室全長:16.37メートル
- 玄室:長さ4.37メートル、幅1.63メートル(奥壁)、現存高さ1.6メートル[2]
- 羨道:長さ12メートル
石室は後円部の基壇上に構築される[2]。石室の石材は川原石で、奥壁は横積み、他の壁は小口積みによって構築される[2]。玄室の壁面には赤色顔料の塗布が指摘される[3]。
群馬県内では初期(導入期)の横穴式石室であり、同時期の横穴式石室古墳としては前二子古墳(前橋市西大室町)・簗瀬二子塚古墳(安中市)が知られる[5][4]。
文化財
[編集]前橋市指定文化財
[編集]- 史跡
- 王山古墳 - 1984年(昭和59年)3月12日指定[6]。
関連施設
[編集]- 前橋市総社歴史資料館(前橋市総社町総社) - 王山古墳の出土品等を展示。
脚注
[編集]参考文献
[編集](記事執筆に使用した文献)
- 史跡説明板(前橋市教育委員会、1992年設置)
- 「東国の雄 総社古墳群」(パンフレット)(前橋市教育委員会事務局文化財保護課、2016年)。 - リンクは前橋市ホームページ。
- 「王山古墳」『日本歴史地名大系 10 群馬県の地名』平凡社、1987年。ISBN 4582490107。
- 松本浩一「王山古墳」『日本古墳大辞典』東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607。
関連文献
[編集](記事執筆に使用していない関連文献)
- 『群馬総社古墳群 -東国古代文化の中心-』観光資源保護財団、1978年。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 総社・清里の文化財を訪ねて > 王山古墳 - 前橋市ホームページ