るし長者
表示
(留志長者から転送)
るし長者とは天竺にいたという伝説上の人物、ならびにそれを主人公とした物語である。表記は盧至長者、留志長者とも。
『盧至長者因縁経』、『法苑珠林』、『今昔物語集』巻3第22話「盧至長者語」、『古本説話集』「留志長者事」、『宇治拾遺物語』第6巻3話「るし長者のこと」、などに見られ、それらを素材として奈良絵本などもつくられている。
概要
[編集]天竺にるし長者という非常に慳貪(けんどん)な富豪が住んでいたが、その有り様を目にした帝釈天が、長者の姿そっくりに変化して現われて蔵をひらかせ、彼の財産をすべて他人に分け与えてしまう。るし長者は改心し慳貪の業(ごう)によって地獄道(あるいは餓鬼道)に落ちることをまぬがれ、家族にも優しくなる。
参考文献
[編集]- 渡辺綱也 校訂『宇治拾遺物語』上巻 岩波書店〈岩波文庫〉1951年 188-191頁
- 川口久雄 校訂『梅沢本 古本説話集』 岩波書店〈岩波文庫〉1955年 108-110頁
- 徳田和夫 編著『新潮古典文学アルバム お伽草子 伊曾保物語』 1991年 新潮社 74頁