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異所性膵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

異所性膵(いしょせいすい、ectopic pancreas)は、膵臓から解剖学的に離れた部位に存在し、本来の膵臓と血管やその他の連絡のない膵組織である。迷入膵(abberrant pancreas)、あるいは副膵(accessory pancreas)とも呼ばれる。

胎生期に背側膵が遺残または迷入して発生すると考えられている。

大きさは通常0.2~2cm程度である。

疫学

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発生率は1~2%との報告がある。多くは単発性である。

胃(特に幽門部)、十二指腸、上部空腸に発生することが多い[1]。稀に回腸腸間膜胆道肝臓脾臓メッケル憩室虫垂などにも見られることがある。

分類

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病理学的に以下の3型に分類される(Heinrich分類)[2]

  • Ⅰ型:腺房・導管・ランゲルハンス島を有するもの。
  • Ⅱ型:腺房・導管を有し、ランゲルハンス島を欠くもの。
  • Ⅲ型:導管のみを有するもの。

症状

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異所性膵自体は多くは無症状であるが、急性膵炎[3][4]膵癌[5]を生じることがある。

開腹手術の際に偶然見つかることもあるが、病変がなければ通常は切除しない。

脚注

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  1. ^ De Castro Barbosa, J. J.; Dockerty, M. B.; Waugh, J. M. (1946-05). “Pancreatic heterotopia; review of the literature and report of 41 authenticated surgical cases, of which 25 were clinically significant”. Surgery, Gynecology & Obstetrics 82: 527-542. ISSN 0039-6087. PMID 21024692. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21024692. 
  2. ^ von Heinrich, Hans (1909). “Ein Beitrag zur Histologie des sogen. akzessorischen Pankreas” (PDF). Virchows Archiv für pathologische Anatomie und Physiologie und für klinische Medizin (Springer-Verlag Berlin/Heidelberg) 198 (3): 392-401. doi:10.1007/BF02085327. https://scholar.archive.org/work/kqwwjd7cbfcorjcgyc3gxzg6ei/access/ia_file/crossref-pre-1923-scholarly-works/10.1007%252Fbf02066164.zip/10.1007%252Fbf02085327.pdf. 
  3. ^ 金子猛ほか「急性膵炎で発症した小腸間膜異所性膵組織の1例」『日本消化器外科学会雑誌』第36巻第1号、2003年、46-50頁、doi:10.5833/jjgs.36.46 
  4. ^ 友野絢子ほか「急性出血性膵炎を来した小腸異所性膵に対し切除を施行した1例」『日本消化器外科学会雑誌』第53巻第6号、2020年、512-517頁、doi:10.5833/jjgs.2019.0046 
  5. ^ 星野由維ほか「腹腔鏡下に根治切除しえた小腸異所性膵癌」『日本消化器外科学会雑誌』第55巻第11号、2022年、692-700頁、doi:10.5833/jjgs.2021.0036