異所性膵
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異所性膵(いしょせいすい、ectopic pancreas)は、膵臓から解剖学的に離れた部位に存在し、本来の膵臓と血管やその他の連絡のない膵組織である。迷入膵(abberrant pancreas)、あるいは副膵(accessory pancreas)とも呼ばれる。
胎生期に背側膵が遺残または迷入して発生すると考えられている。
大きさは通常0.2~2cm程度である。
疫学
[編集]発生率は1~2%との報告がある。多くは単発性である。
胃(特に幽門部)、十二指腸、上部空腸に発生することが多い[1]。稀に回腸、腸間膜、胆道、肝臓、脾臓、メッケル憩室、虫垂などにも見られることがある。
分類
[編集]病理学的に以下の3型に分類される(Heinrich分類)[2]
症状
[編集]異所性膵自体は多くは無症状であるが、急性膵炎[3][4]や膵癌[5]を生じることがある。
開腹手術の際に偶然見つかることもあるが、病変がなければ通常は切除しない。
脚注
[編集]- ^ De Castro Barbosa, J. J.; Dockerty, M. B.; Waugh, J. M. (1946-05). “Pancreatic heterotopia; review of the literature and report of 41 authenticated surgical cases, of which 25 were clinically significant”. Surgery, Gynecology & Obstetrics 82: 527-542. ISSN 0039-6087. PMID 21024692 .
- ^ von Heinrich, Hans (1909). “Ein Beitrag zur Histologie des sogen. akzessorischen Pankreas” (PDF). Virchows Archiv für pathologische Anatomie und Physiologie und für klinische Medizin (Springer-Verlag Berlin/Heidelberg) 198 (3): 392-401. doi:10.1007/BF02085327 .
- ^ 金子猛ほか「急性膵炎で発症した小腸間膜異所性膵組織の1例」『日本消化器外科学会雑誌』第36巻第1号、2003年、46-50頁、doi:10.5833/jjgs.36.46。
- ^ 友野絢子ほか「急性出血性膵炎を来した小腸異所性膵に対し切除を施行した1例」『日本消化器外科学会雑誌』第53巻第6号、2020年、512-517頁、doi:10.5833/jjgs.2019.0046。
- ^ 星野由維ほか「腹腔鏡下に根治切除しえた小腸異所性膵癌」『日本消化器外科学会雑誌』第55巻第11号、2022年、692-700頁、doi:10.5833/jjgs.2021.0036。