盧照鄰
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盧 照鄰(ろ しょうりん、637年? - 689年)は、中国の唐代初期の詩人。字は升之。王勃・楊炯・駱賓王とともに「初唐の四傑」と称せられる。
略伝
[編集]范陽郡涿県の出身。幼少より曹憲・王義方に従って経史と小学を学び、詩文に巧みであった。初めは鄧王府の文書の処理係である典籤となり、鄧王(唐の高祖の子の李元裕)に重用された。のち新都県尉となったが病のために職を辞し、陽翟具茨山(現在の河南省許昌市禹州市)の山麓に移住した。病が重くなって、ついに潁河に身を投じて死んだ。
その詩は厭世的で悲しみいたむ作が多い。長安の繁栄のさまを詠じた「長安古意」が最もよく知られ、『唐詩選』にも収められている。著に『盧升之集』7巻と『幽憂子』3巻がある。
長安古意 | |
長安大道連狹斜 | 長安の大道狹斜に連なる |
青牛白馬七香車 | 青牛 白馬 七香車 |
玉輦縱橫過主第 | 玉輦縱橫 主第に過(よぎ)り |
金鞭絡繹向侯家 | 金鞭絡繹(らくれき)として侯家に向かう |
龍銜寶蓋承朝日 | 龍は寶蓋を銜(ふく)んで朝日を承け |
鳳吐流蘇帶晩霞 | 鳳は流蘇を吐いて晩霞を帶ぶ |
百丈游絲爭繞樹 | 百丈の游絲 爭うて樹を繞り |
一群嬌鳥共啼花 | 一群の嬌鳥 共に花に啼く |
遊蜂戲蝶千門側 | 遊蜂戲蝶 千門の側ら |
碧樹銀台萬種色 | 碧樹銀台万種の色 |
複道交窗作合歡 | 複道交窗 合歡をなす |
雙闕連甍垂鳳翼 | 雙闕連甍 鳳翼を垂る |
梁家畫閣天中起 | 梁家の畫閣 天中に起こり |
漢帝金莖雲外直 | 漢帝の金莖 雲外に直し |
樓前相望不相知 | 樓前に相望んで相知らず |
陌上相逢詎相識 | 陌上に相逢うてなんぞ相識らん |
借問吹簫向紫煙 | 借問す 簫を吹いて紫煙に向かう |
曾經學舞度芳年 | 曾て經て舞を學んで芳年を度(わた)る |
得成比目何辭死 | 比目と成るを得ば何ぞ死を辭せん |
願作鴛鴦不羨仙 | 願わくは鴛鴦とならん仙を羨まず |
比目鴛鴦真可羨 | 比目鴛鴦 真に羨むべし |
雙去雙來君不見 | 雙去雙來 君見えず |
生憎帳額繍孤鸞 | 生憎や帳額 孤鸞を繍す |
好取開簾帖雙燕 | 好取す 簾を開いて雙燕を帖するを |
雙燕雙飛繞畫梁 | 雙燕雙飛 畫梁を繞る |
羅幃翠被鬱金香 | 羅幃翠被 鬱金香 |
片片行雲著蟬鬢 | 片片たる行雲 蟬鬢に著き |
纖纖初月上鴉黄 | 纖纖たる初月 鴉黄に上る |
鴉黄粉白車中出 | 鴉黄粉白 車中より出づ |
含嬌含態情非一 | 嬌を含み態を含んで情は一つにあらず |
妖童寶馬鐵連錢 | 妖童の寶馬 鐵連錢 |
娼婦盤龍金屈膝 | 娼婦の盤龍 金屈膝 |
御史府中烏夜啼 | 御史の府中 烏夜啼き |
廷尉門前雀欲棲 | 廷尉門前 雀は棲(すくわ)んと欲す |
隱隱朱城臨玉道 | 隱隱たる朱城 玉道に臨み |
遙遙翠幰没金堤 | 遙遙たる翠幰(すいけん)金堤に没す |
挾彈飛鷹杜陵北 | 彈を挾み鷹を飛ばす杜陵の北 |
探丸借客渭橋西 | 丸を探り客に借す渭橋の西 |
倶邀俠客芙蓉劍 | 倶に邀う俠客芙蓉の劍 |
共宿娼家桃李蹊 | 共に宿す娼家桃李の蹊 |
娼家日暮紫羅裙 | 娼家日暮 紫羅の裙 |
清歌一囀口氛氳 | 清歌一たび囀じて口氛氳 |
北堂夜夜人如月 | 北堂夜夜 人月の如く |
南陌朝朝騎似雲 | 南陌朝朝騎雲に似たり |
南陌北堂連北里 | 南陌北堂 北里に連なる |
五劇三條控三市 | 五劇三條 三市を控(ひ)く |
弱柳青槐拂地垂 | 弱柳青槐 地を拂って垂れ |
佳氣紅塵暗天起 | 佳氣紅塵 天を暗うして起る |
漢代金吾千騎來 | 漢代の金吾 千騎來る |
翡翠屠蘇鸚鵡杯 | 翡翠の屠蘇 鸚鵡の杯 |
羅襦寶帶為君解 | 羅襦寶帶 君が為に解き |
燕歌趙舞為君開 | 燕歌趙舞 君が為に開く |
別有豪華稱將相 | 別に豪華の將相と稱する有り |
轉日回天不相讓 | 日を轉じ天を回らして相讓らず |
意氣由來排灌夫 | 意氣由來 灌夫を排し |
專權判不容蕭相 | 專權判して蕭相を容れず |
專權意氣本豪雄 | 專權意氣 もと豪雄 |
青虯紫燕坐生風 | 青虯紫燕 坐(いなが)ら風を生ず |
自言歌舞長千載 | 自ら言う歌舞千載に長ずと |
自謂驕奢凌五公 | 自ら謂う驕奢五公を凌ぐと |
節物風光不相待 | 節物風光 相待たず |
桑田碧海須臾改 | 桑田碧海 須臾に改まる |
昔時金階白玉堂 | 昔時 金階白玉堂 |
只今唯見青松在 | 只今唯見る青松の在るを |
寂寂寥寥揚子居 | 寂寂寥寥 揚子の居 |
年年歳歳一床書 | 年年歳歳 一床の書 |
獨有南山桂花發 | 獨り南山の桂花の發(ひら)く有り |
飛來飛去襲人裾 | 飛び來り飛び去り人の裾を襲う |