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知的障害者身柄確保死亡事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

知的障害者身柄拘束死亡事件(ちてきしょうがいしゃみがらこうそくしぼうじけん)は、佐賀県佐賀市2007年(平成19年)9月25日に発生した、知的障害者の青年が路上で警察官から5人がかりで取押えられた際に死亡した事件である。被害者の名前から安永健太さん取押え暴行死亡事件、または単に安永健太さん事件とも言われる。

事件の内容

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2007年(平成19年)9月25日夕方、佐賀県佐賀市内の授産施設(作業所)に通う被害者(当時25歳)が、佐賀市南佐賀の国道208号自転車で走行中、「車道を蛇行運転していた(警察発表)」のを佐賀県佐賀警察署所属のパトカーが発見し、警察官は「酩酊状態と判断」したため、パトカーにより追跡。その後、被害者は信号停車中のバイクに衝突・転倒した。この際に、警察官が保護しようとして肩に手を触れたところ、驚いた被害者が抵抗したため、応援に駆けつけた警察官を含む5名によりうつぶせの状態で取りおさえられた。直後に、被害者は痙攣呼吸困難等の症状を示し、救急搬送先の病院で死亡が確認された。なお、この際に直接取り押さえた警察官5人は被害者の死亡に気付かず、別の警察官からの指摘によって初めて被害者の死亡を認識している[1]

裁判の経過

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遺族は2008年(平成20年)3月17日、警察官が取り押さえる際に暴行を加えたとして、特別公務員暴行陵虐致死の疑いで佐賀地方検察庁刑事告訴したが、佐賀地検は同年3月29日不起訴処分とした。そのため、遺族は4月3日佐賀地方裁判所に対し、佐賀県警の警察官5名を特別公務員暴行陵虐致死容疑で付審判請求。これを受け、障害者団体・市民グループによる付審判請求の署名集めの活動が全国規模で展開され、11万人以上が署名したことから、2009年(平成21年)3月3日、佐賀地裁は、直接暴行を加えたとされる警察官1人を特別公務員暴行陵虐罪で付審判を開始すると決定した[2]。その後、同年9月、特別公務員暴行陵虐致傷罪への訴因変更が認められた。

2011年(平成23年)3月29日、佐賀地裁は、懲役1年の求刑に対し、警察側に不利になる被告人の警察官が安永を殴ったとする目撃証言は取り押さえ行為を見間違えた可能性があるとして採用せず、無罪判決を出した[3]検察官役の弁護士はこの判決に対して控訴した。

2012年(平成24年)1月10日福岡高等裁判所は検察官役の指定弁護士による控訴を棄却し、一審の無罪判決を支持した[4]。これに対し、検察官役の弁護士は上告したが、同年9月18日最高裁判所第二小法廷小貫芳信裁判長)は上告を棄却し、無罪が確定した。

また、遺族は佐賀県に対し4200万円の損害賠償を求める訴訟も起こしたが、一審の佐賀地裁は取り押さえを適法だったとして請求を棄却、二審の福岡高裁もこれを支持し、2016年7月1日付けで最高裁第二小法廷が上告を退ける決定を下し遺族の敗訴が確定している[5]

警察側の主張

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警察は当初より一貫して「取り押さえは正当だった」、「暴行は加えてない」との主張をしており、目撃者により警察官の暴行が証言された際も調書への記載は行わなかった[6]

警察による証言の変化

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警察は当初、被害者を確保した際に後ろ手にして手錠をしたことを明かさなかった上、直接関与した警察官の人数も実際は5人のところを2人と過少に説明していた[1]

脚注

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外部リンク

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