神戸小1女児殺害事件
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神戸小1女児殺害事件 | |
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場所 | 日本:兵庫県神戸市長田区 |
日付 | 2014年(平成26年)9月11日 - 9月24日 |
攻撃側人数 | 1名 |
武器 | 包丁 |
死亡者 | 1名 |
犯人 | 1名 |
容疑 | 殺人・死体遺棄 |
動機 | 裁判節を参照 |
対処 | 無期懲役 |
管轄 |
兵庫県警察長田警察署 神戸地方検察庁 |
神戸小1女児殺害事件(こうべしょういちじょじさつがいじけん)とは、2014年(平成26年)9月に日本の兵庫県神戸市長田区で、小学校1年生の女児が行方不明となり、殺害された事件。
事件経過
[編集]- 2014年
- 9月11日 - 女児が行方不明になり、母が長田署に捜索願。
- 9月12日 - 兵庫県警が公開捜査。女児の持ち物と思われるリュックサックの写真も併せて公開。
- 9月16日 - 女児の後ろを歩く容疑者が防犯カメラに映っていたことから、容疑者の男K宅を捜査員が訪問し、任意でK宅を調べる[1]。
- 9月23日 - 夕方、捜索していた捜査員が女児の遺体の腐乱臭に気付き、雑木林に放置してあったビニール袋から腐敗が進んだ女児の遺体の肉片とたばこの吸い殻とK名義の診察券を発見[2]。
- 9月24日 - 兵庫県警捜査本部設置。酒に酔い雑木林の方へ向かう遺体遺棄現場から30メートルに住む容疑者を捜査員が発見し、任意同行をもとめ、前日発見されたビニール袋に中にあった吸い殻とDNAが一致したため逮捕[3]。
- 9月26日 - 警察の家宅捜査で女児のリュックサックが容疑者宅から発見[4]。
- 10月14日 - Kを殺人容疑で再逮捕。
- 10月21日 - Kが殺害を自供[5]。
- 10月31日 - Kの鑑定留置が行われ、[6]その後神戸地方検察庁は刑事責任能力ありとした。
- 2016年
被害女児当日足取り
[編集]以下は女児が行方不明となった2014年9月11日の出来事である[12]。
- 午後2時45分 - 下校。祖母宅にランドセルを置いて友人宅へ向かう。
- 午後3時15分 - 祖母宅から400メートル離れたコンビニの防犯カメラに一人で歩く姿が映る。
- 午後3時30分 - コンビニ近くの友人宅に行くが友人に会えずに管理人と話しをする。
- 午後4時30分 - 自宅近くの幼稚園で目撃される。
- 午後5時 - 交番前の階段で目撃される。
- 午後5時30分 - 交番から450メートルの大丸山公園、その後、公園から坂道120メートル下った高校のグランド脇で同級生が目撃する。
- 午後5時30分 - 女児が自宅に戻らないことから母親が親類や友人と捜索。
- 午後7時05分 - 女児が見つからず、母親が長田署へ[13]。
犯人
[編集]Kは鹿児島県南九州市出身。22歳頃から2年間、九州の陸上自衛隊で施設科部隊に配属され、大型一種免許や特殊車両免許等を取得する。除隊後は、鹿児島市で食品メーカー専属会社のトラック配送員の他、風俗のチラシ配り、パチンコ店等を転々としていた[14]。2008年ごろ、大阪府大阪市西成区に住み着き日雇い建築重機オペレーターや、大型ダンプ運転手として日銭を得ていたが、翌2009年には神戸市兵庫区に転居し、福原地区の風俗店で働く。事件当時住んでいたアパートに越してきたのは7月。知的障害者が交付可能な障害者手帳のひとつである療育手帳を所持していた[15]。男は生活保護を受給していながら[16]、飲酒でたびたび近隣住民とトラブルをおこしていた[17]。
2016年12月の控訴審で、Kと岩国刑務所で服役している女性の受刑者と養子縁組の話が持ち上がっている事が明らかとなった[18]。
裁判
[編集]起訴状によると2014年9月11日午後3時半ごろ、自宅アパート近くの路上で「絵のモデルになってほしい」と女児に声をかけて自宅に誘い入れ、11日中にロープで首をしめ、包丁で突き刺すなどして殺害し、16日までにバラバラに切断して遺体を複数のビニール袋に入れて自宅近くの雑木林などに投棄した。犯行の動機については「殺して女の子の体を触りたかった」「話相手になってほしい」「生きていると叫ばれて、警察に通報されると思った」とし、遺体を切断した理由は「体の中がどうなっているか興味があった」「あとでみたり触ったりしたいと思い、遺体の一部は冷蔵庫に入れた」としている[19]。
第一審
[編集]2016年3月7日、裁判員裁判初公判で「わいせつ目的で誘拐した記憶はない」と起訴内容の一部を否認。女児の殺害や死体遺棄については認めた[20]。検察側は、被告が女児を殺害後、わいせつ行為に及んで目的を果たしたとして「性的欲求を満たすための誘拐」と計画性を強調。「口封じのため躊躇なく殺害。極めて猟奇的」と非難し、死刑を求刑した[21]。被告は最終意見陳述で「尊い命を奪ってしまい、ご遺族には申し訳ありませんでした」と謝罪した[21]。
3月18日、神戸地裁で開かれた判決公判(佐茂剛裁判長)で、求刑通り死刑判決が言い渡された[9]。「永山基準により、殺人被害者が1人であるときの死刑は回避される傾向にあるものの、この裁判では、犯行の残虐性や動機から死刑が許容される」とした[9]。弁護側は判決を不服として大阪高裁に即日控訴した[9]。
第二審
[編集]2016年12月の控訴審で、Kは800枚以上の写経を行い「申し訳ないという気持ちがますます深まっています。冥福を祈っています」と話したが、続く検察側の質問に対し、写経で書いていることにどのような意味があるか勉強したが忘れた、女の子の夢について一審で遺族が話していた内容についても覚えていない、と答えた[18]。
2017年3月10日、大阪高等裁判所は神戸地裁の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡した[10]。樋口裕晃裁判長は、Kに計画性はなかったとし、「生命軽視の姿勢が強くうかがえるとは言えず、罪は軽減されるべき」と指摘。控訴審でも否認したわいせつ目的誘拐罪を認定したが「殺害はその発覚を恐れた自己保身のためで、一審は動機の身勝手さを過大に評価している」と述べた[22]。
さらに「性的な目的で被害者1人が殺害された場合、同種前科のない被告には死刑が選択されない傾向がある」と説明し「公平の観点から死刑は許容されない」と減刑に踏み切った理由を述べた[23]。検察側は判決を不服として最高裁に上告した[11]。
最高裁
[編集]2019年7月3日、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は7月1日付で、検察側の上告を棄却する決定をした。
裁判員裁判で審理された一審神戸地裁の死刑判決を破棄し、無期懲役とした二審大阪高裁判決が確定した[24]。
脚注
[編集]以下の出典において、記事名に事件当事者の実名が使われている場合、その箇所を伏字とする
- ^ “容疑者宅を捜索=遺棄現場以外で切断か―小1女児遺体事件・兵庫県警”. MSNニュース. 時事通信. (2014年9月25日) 2016年3月19日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “「まさか…」近隣住民に悲痛な声 神戸・長田で遺体発見”. 神戸新聞NEXT. (2014年9月23日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ 決め手はタバコ 女児死体遺棄、捜査本部会見の一問一答 神戸新聞NEXT 2014年9月24日
- ^ 容疑者宅にクマの縫いぐるみ付きリュック神戸・長田遺棄事件 神戸新聞NEXT 2014年9月27日
- ^ 「女児の首絞め殺害」 ××容疑者が供述 神戸女児殺害 神戸新聞NEXT 2014年10月22日
- ^ ××容疑者を鑑定留置へ神戸・女児殺害事件 神戸新聞NEXT 2014年10月3日
- ^ “【神戸女児殺害】××容疑者を殺人などで起訴 神戸地検”. 産経ニュース. (2015年1月30日) 2017年5月24日閲覧。
- ^ “【神戸小1女児殺害】「わいせつ目的の記憶ありません」初公判でK、殺人罪などを認めた上で起訴内容の一部否認 神戸地裁”. 産経ニュース. (2016年3月7日) 2017年5月24日閲覧。
- ^ a b c d e “神戸女児殺害 49歳被告に死刑…残虐性を重視 地裁判決”. 毎日新聞. (2016年3月18日). オリジナルの2017年5月24日時点におけるアーカイブ。 2017年5月24日閲覧。
- ^ a b “神戸・長田女児殺害 一審の死刑破棄、無期懲役判決”. 神戸新聞NEXT. (2017年3月10日11時10分) 2017年3月10日閲覧。
- ^ a b “神戸・小1女児殺害 大阪高検が上告 無期懲役減刑を不服”. 毎日新聞. (2017年3月23日). オリジナルの2017年5月24日時点におけるアーカイブ。 2017年5月24日閲覧。
- ^ “小1女児行方不明 有力な手がかりなし”. (2014年9月15日). オリジナルの2014年9月15日時点におけるアーカイブ。 2018年11月6日閲覧。
- ^ “○○ちゃんの11日の足取り―神戸小1女児”. 時事通信. (2014年9月24日)
- ^ “神戸女児遺棄容疑者 宗教入信希望も酒癖悪く入信許可議論に”. NEWSポストセブン. (2014年9月29日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ “○○ちゃん事件の××「知的障害者手帳」起訴・裁判に影響?”. J-CASTテレビウォッチ (2014年9月25日). 2017年5月24日閲覧。
- ^ 生活保護受給が減らない要因に”地方の口利き利権”が浮上 デイリーニュースオンライン 2015年1月7日
- ^ 神戸遺体遺棄事件 ××容疑者 職を転々 周囲とトラブル 神戸新聞NEXT 2014年9月30日
- ^ a b “神戸女児殺害事件・控訴審初公判傍聴記1”. 「扉をひらくために」 (2016年12月19日). 2018年11月6日閲覧。
- ^ 神戸新聞NEXT 2016年3月11日
- ^ “長田女児殺害初公判 わいせつ目的を否定”. 神戸新聞NEXT. (2016年3月7日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ a b “神戸・長田女児殺害事件公判 ××被告に死刑求刑”. 神戸新聞NEXT. (2016年3月11日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ “一審の死刑破棄、無期懲役判決”. 神戸新聞NEXT. (2017年3月10日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ “裁判員死刑判決の高裁支持例なく 長田女児殺害”. 神戸新聞NEXT. (2017年3月10日) 2018年11月6日閲覧。
- ^ “神戸小1女児殺害、無期確定へ 最高裁、二審の死刑破棄を支持”. 神戸新聞. 2019年8月24日閲覧。
関連項目
[編集]- 裁判員裁判で言い渡された死刑判決が控訴審で破棄された事例
- 南青山妻子殺人服役後男性殺害事件
- 松戸女子大生殺害放火事件
- 長野市一家3人殺害事件 - 第一審(裁判員裁判)で死刑を宣告された被告人3人のうち、1人は控訴審で無期懲役に。残る2人は控訴棄却・上告棄却の判決を言い渡され、死刑が確定。
- 大阪心斎橋通り魔殺人事件
- 淡路島5人殺害事件 - 第一審は被告人の完全責任能力を認定して死刑を宣告したが、控訴審では犯行時、被告人が心神耗弱状態だったことが認定され、(死刑相当の犯行とは認定されたものの)無期懲役が言い渡された。
- 熊谷連続殺人事件 - 同上。
- 三春町ひき逃げ殺人事件