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神戸新交通1000型電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神戸新交通1000型電車
神戸新交通1000型電車(南魚崎駅にて)
基本情報
運用者 神戸新交通
製造所 川崎重工業
製造年 1989年 - 1998年
製造数 44両(4両編成11本)
運用開始 1990年2月21日
投入先 六甲アイランド線(六甲ライナー)
主要諸元
編成 4両編成(2M2T)
将来の6両編成化を想定
軌間 1,700 mm
電気方式 三相交流600V,60Hz
剛体三相三線式
最高運転速度 62.5 km/h
起動加速度 3.5 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 先頭車 54人(座席18人)
中間車 60人(座席20人)
車両重量 10.5 t
編成重量 42.0 t
全長 8,400 mm(連結面間)
全幅 2,390 mm
全高 3,210 mm
車体 アルミニウム合金
台車 全軸ステアリング方式・車軸懸架空気ばね方式
KW108形(動力)・KW109形(付随・いずれもボルスタレス方式
主電動機 直流分巻電動機
三菱電機製 MB-3298A形
主電動機出力 110 kW(中間車に2台搭載)
駆動方式 直角カルダン駆動方式
歯車比 53:6(8.83)
制御方式 三菱電機[1]サイリスタ位相制御
(可逆式サイリスタレオナード制御)
制御装置 TPC-TA113-1形
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ[2]保安ブレーキ駐車ブレーキ(内拡き式ドラムブレーキ
保安装置 ATCATO人工知能応用型[1]
備考 出典[3][4]
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神戸新交通1000型電車(こうべしんこうつう1000がたでんしゃ)は、神戸新交通六甲アイランド線(六甲ライナー)に所属するAGT新交通システム)用の車両である。

概要

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1990年(平成2年)2月21日の同線開業と同時に9編成が運用を開始した。ポートライナー8000型2000型は6両編成だが、1000型は4両編成。ただし、将来の6両編成化を見込んで300番と400番が飛んでいる。

ポートライナーの試作車両も1000形であったが、本形式とは一切関係がない。

外内装

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アルミ車体にクリームをベースとしてコーポレートカラーであるグリーンのラインを巻いている。ロゴマークについては非常脱出用貫通扉の左側に愛称と社名のロゴが入っている。8000形とは違い、少し丸い形をなしている。

台車は8000型で使われていたウレタン充填ゴムタイヤから中子式気体入りゴムタイヤに変更され、最高速度は62.5km/hに上がった。駆動方式・制御方式・歯車比は8000形と同様だが、主電動機は8000形より出力を向上させた三菱電機製のMB-3298A(出力110kW)を採用し、各電動車に2基ずつ搭載する[4][5]。補助電源装置は47 kVA容量を持つ補助変圧器で、三相交流550Vを入力電圧として三相交流200Vと三相交流100Vを出力するものである[4]。このほか整流器による直流100V出力がある[4]

内装は先頭車両の運転台側半分がクロスシートになっている。荷物棚はないが、各車両の端にあるモニター装置が入っている箱が荷物置き場になっている。窓は運転台側が固定窓に、それ以外は上3分の1が内側に少しだけ開くようになっている。通話装置(非常時に乗客と運転指令所間で通話する装置)は8000形と同じく送受話器型だが、色が壁と同じ色のベージュに変更された。

また、住宅街にあたる住吉駅南魚崎駅間走行時はプライバシーに配慮して後述の瞬間くもりガラスを、マリンパーク駅に向かって右側のガラスに採用している。前面向かって左側の運転台の背面部分には、神戸新交通のコーポレートロゴマークと愛称である「六甲ライナー」と書かれてあり、夜間は緑色に点灯する。なお、車両登場直後はここは「神戸新交通六甲アイランド線」となっていた。 最終増備車の第11編成には、車内に小型のLED車内案内表示器を設置した。

瞬間くもりガラス

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マリンパーク駅に向かって右側のガラスには、2枚のガラスの間に液晶シートを挟み込んだ合わせガラスになっている。これは、線路の近くのマンションの内部が見えないようにするために取られた対策で、液晶シートの中には特殊ポリマーが封入されている。このポリマーの中での液晶の分子は通常では不規則に並んでいるため、ガラスは白く曇る。これに電流を流すと一定方向に整列するため、完全に透明状態になる。つまり、電流が流れていると透明状態になり、電流が切れると曇ってしまう。ただしドア部分とマリンパーク方先頭車の運転席付近のガラスは曇らない。

製造時期

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開業当初から走っている01 - 09編成は1989年(平成元年)に、10編成は1993年(平成5年)に、11編成は1998年(平成10年)に、すべて川崎重工業で製造された。

09編成は1995年(平成7年)1月17日、上り始発列車として南魚崎 - 魚崎間を走行中(住吉駅に向かって運行中、約50 km/hで走行)、兵庫県南部地震阪神・淡路大震災)が発生し、車両は脱線して大きく被災した[6]。編成のうち1209、1509、1609号車の3両は脱線して軌道上の構造部と激突、車体ならびに台車・集電装置が大きく損傷した[6]。ただし、最後尾の1109号車は免れ、軌道上に残された[6]。損傷の激しかった3両の車体は、製造元の川崎重工業兵庫工場に搬入され、大規模な修繕工事を実施した[6]。この編成は震災から約1年後の1996年(平成8年)1月23日から営業運転に復帰した[6]

六甲ライナーではこのほか、07編成がマリンパーク駅に停車中であったが、こちらは被災を免れた[6]

編成表

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2022年4月1日現在は4両編成×4本(16両)が在籍する[7]

← マリンパーク
住吉 →
廃車 備考
1100型 (Tc1) 1200型 (M1) 1500型 (M2) 1600型 (Tc2)
Co,CP BT APU Co,CP 搭載機器 Co:制御装置、CP:空気圧縮機、APU:補助電源装置、BT:蓄電池
1101 1201 1501 1601 2021年7月20日
1102 1202 1502 1602 2020年1月21日[8]
1103 1203 1503 1603 2020年運用離脱
1104 1204 1504 1604 2020年運用離脱
1105 1205 1505 1605 2021年12月21日
1106 1206 1506 1606 2022年6月16日
1107 1207 1507 1607
1108 1208 1508 1608
1109 1209 1509 1609 2019年11月8日[8][注釈 1] 阪神・淡路大震災被災編成
1110 1210 1510 1610
1111 1211 1511 1611 六甲大橋でのタイヤパンク、カーブ検知装置故障の当該車[9]

今後

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老朽化により、2018年(平成30年)度より2023年(令和5年)度にかけて新型車両(3000形)へ置き換えられ、全車代替廃車される予定となっている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 『鉄道ファン』誌のWeb版サイト内の『鉄道ニュース』の2019年10月25日付の記事にて当該編成の離脱に間接的に触れられているが、事業者からの正式発表では無いので注意されたい。当該サイト及び神戸新交通3000形電車の記事も参照の事。

出典

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  1. ^ a b 三菱電機『三菱電機技報』1990年1月号「技術の進歩特集 (PDF) 」新交通車両用電機品 p.17、人工知能(エキスパートシステム)を応用した自動列車運転装置 p.90。
  2. ^ ナブコ『ナブコ70年史』pp.130 - 131。
  3. ^ 交友社「鉄道ファン」1990年2月号新車ガイド「神戸新交通六甲アイランド線1000形」p.55。
  4. ^ a b c d 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1990年10月臨時増刊号新車年鑑「神戸新交通1000形」。
  5. ^ 『モノレールと新交通システム』グランプリ出版、2004年12月16日、176頁。 
  6. ^ a b c d e f 交友社『鉄道ファン』1997年3月号連載「阪神大震災 被災と復旧の記録7 神戸新交通」pp.82 - 87。
  7. ^ ジェー・アール・アール『私鉄車両編成表 2022年版』
  8. ^ a b ジェー・アール・アール編『私鉄車両編成表 2020』交通新聞社、2020年、p.205。
  9. ^ 神戸新交通 六甲アイランド線における輸送障害の状況報告(第一報) | 神戸新交通”. 2022年7月5日閲覧。

参考文献

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  • 交友社鉄道ファン
    • 1990年2月号新車ガイド「神戸新交通六甲アイランド線1000形」
    • 1997年3月号連載「阪神大震災 被災と復旧の記録7 神戸新交通」

外部リンク

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