稲田茂 (グラフィックデザイナー)
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稲田 茂(いなだ しげる、1928年 - 2009年7月)は、書体デザイナー、グラフィックデザイナー。岡山県小田郡矢掛町出身。稲田しげる、亜井宇重夫(あい・うえお)名義でも活動した。「イナブラッシュ」「イダシエ」「昭和モダン体」などの書体をデザインしたことで知られている[1]。とくに「昭和モダン体」は漫画『さよなら絶望先生』のロゴに使用されたことがきっかけで「絶望書体」と呼ばれ人気を集めた[2]。死後、書体は有限会社六歌仙が管理している[3]。
略歴
[編集]- 1928年、岡山県小田郡矢掛町に生まれる。
- 1945年、京城公立工業学校(現・ソウル科学技術大学校)建築科卒業。
- 株式会社奥村組(岡山県)入社。
- 株式会社日展(東京のディスプレイ会社)入社。
- グラフィックデザイナーとして独立。レタリングや文字に関する本を多く執筆。書体デザイナーとしては、明朝体やゴシック体のような基本書体よりも、広告の見出しなどに使われるディスプレイ体を中心に制作した。
- 1973年、「少年少女世界の美術館」(主婦と生活社)全12巻の本文全文の描き文字を担当。
- 全国ドライ新聞社専属ライター、株式会社CCセンター専属デザイナー。
- 2009年7月、死去。
デザイン書体
[編集]主要なものに限る。
- ファニー/FNY(写研、1972)
- イナブラシュ/ENA(写研)
- イダシェ/EDA(写研)
- トーク(モリサワ、1980)
- イボテ/EBOT(写研、1985)
- イナひげ/EHGE(写研、1985)
- イナミン/EEMN(写研、1989)
- イナクズレ/EKZ(写研、1989)
- イナピエロ/EPR(写研、1994)
- ぶらっしゅ(リョービイマジクス)
- 木彫体(エム・ピー・シー、1999)
- 昭和モダン体(エム・ピー・シー、1999)
- 民芸体(エム・ピー・シー、2002)
著書
[編集]- 『日本字フリースタイル700』(ダヴィッド社、1969)
- 『日本字フリースタイルのエレメント』(ダヴィッド社、1971)
- 『写真でみるレタリング入門』(ダヴィッド社、1975)
- 『日本字フリースタイル700 2』(ダヴィッド社、1976)
- 『タイトル文字1000 そのアイデアとバリエーション』(日美デザイン研究所)
- 『明朝体・ゴシック体マスター』(日美デザイン研究所)
- 『ちらし広告の技術 いちばん身近な広告媒体』(現代ジャーナリズム出版会、1978)
- 『PTAとうさん奮戦記』(けいせい出版、1978)※1979年に「PTA父さん奮戦記」のタイトルで東映教育映画化
- 『日本字フリースタイル700 3』(ダヴィッド社、1981)
- 『新隷書体字典』(マール社、1981)
- 『民芸文字』(マール社、1982)
- 『組み合わせてすぐできるチラシタイトル5000』(マール社、1983)
- 『昭和モダン体』(エム・ピー・シー、1999)
- 『木彫体』(エム・ピー・シー、1999)
- 『MPC看板フォントCD-ROM BOOK 1 木彫体』(エム・ピー・シー、2002)
- 『MPC看板フォントCD-ROM BOOK 2 昭和モダン体』(エム・ピー・シー、2002)
- 『MPC看板フォントCD-ROM BOOK 5 民芸体』(エム・ピー・シー、2002)
脚注
[編集]- ^ “活字・写植・フォントのデザインの歴史 - 書体設計士・橋本和夫に聞く(35) イナブラシュ――レタリングと写植”. マイナビニュース (2019年8月13日). 2021年6月19日閲覧。
- ^ 「絶望書体」展開開始 MPCのびっくりベンマーク通信 書籍『昭和モダン体』の旧発行元・MPCの広報ブログ
- ^ 昭和モダン体の使用について
外部リンク
[編集]- 稲田茂の娘のTwitter (@inadachie) - X(旧Twitter)
- デザインフォントえびす-フォントライブラリー - 死後、書体を管理している有限会社六歌仙によるフォントの有料サービス