空気のビタミン
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空気のビタミン(くうきのビタミン)とは、空気中に酸素以外に必須の物質であるという仮説である[1]。その起源は、18世紀の室内空気質の悪化原因のひとつで、ラボアジェは人体から発生する二酸化炭素が原因であるとする考えを発表し、19世紀中頃にペッテンコッフェルが二酸化炭素の増加や酸素の減少ではなく人体から発生する有機物を主張した[2]。農業分野でも18世紀の中頃から20世紀の初め頃にわたり、電界への暴露と収量の増加に関する研究が行われ、19世紀の終わり頃に発見された空気イオンの作用も指摘された[3]。血圧を下げ、ぜんそくおよび皮膚病、疲労回復に効果を示すと言われる陰イオンが空気のビタミンと喧伝され[4]、抗酸化物質としての性質から[5]マイナスイオンが呼ばれる例もある[6]。これを供給する空気清浄機も存在し[7]、空気のビタミンとしてのマイナスイオンはエッセンシャルオイルのマイクロミストにより大量に発生するとも言われ[8]、空気のビタミンを生物に不可欠とうたった商品に消費者庁により措置命令が出された例もある[9]。現在では室内空気質の悪化は、熱環境や有害物質によるものと解明され[10]、また空気中に含まれる元素・分子の分析が進み、それぞれの人体への影響の検証などから、必須の物質という仮説は否定されている。
参考文献
[編集]- 秋田清「作業能率における陰イオンの効果」『人文學』第76号、同志社大学人文学会、1965年、80-91頁、doi:10.14988/pa.2017.0000002567、ISSN 04477340、NAID 120005630379、国立国会図書館書誌ID:158128、2022年10月23日閲覧。
- 重光司「放電プラズマ・電磁界を応用した生物学・農学的研究 3.電界・空気イオン・放電の植物影響」『プラズマ・核融合学会誌』第75巻第6号、プラズマ・核融合学会、1999年、659-665頁、doi:10.1585/jspf.75.659、ISSN 0918-7928、NAID 110003826510、国立国会図書館書誌ID:4767477、2022年11月6日閲覧。
- 林田隆夫「新しい繊維のはなしIV (その1) ―快適・健康・清潔・便利―」『繊維製品消費科学』第47巻第10号、日本繊維製品消費科学会、2006年、570-579頁、doi:10.11419/senshoshi1960.47.570、ISSN 18846599、NAID 130004009934、国立国会図書館書誌ID:8559136、2022年10月23日閲覧。
- 菅原明子『天然素材住宅で暮らそう!』成甲書房、2006年、73頁。ISBN 9784880862071 。2022年10月23日閲覧。
- 千葉栄一、新谷明喜『オーラルケアのためのアロマサイエンス : 口腔内の健康に活かされる香り』フレグランスジャーナル社、2007年、54頁。ISBN 9784894791237 。2022年10月23日閲覧。
- 柳宇「平成28年度委員会終了報告書概要 室内空気質のための必要換気量」『空気調和・衛生工学』第91巻第8号、空気調和・衛生工学会、2017年、843-847頁、ISSN 03864081、NAID 40021303559、OCLC 7123432374、国立国会図書館書誌ID:028479921、2022年11月6日閲覧。
- 消費者庁「別紙1」『株式会社アップドラフトに対する景品表示法に基づく措置命令について』、消費者庁、2021年6月、2022年10月23日閲覧。
- 消費者庁「株式会社アップドラフトに対する景品表示法に基づく措置命令について」『株式会社アップドラフトに対する景品表示法に基づく措置命令について』、消費者庁、2021年、2022年10月23日閲覧。