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管理情報ベース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

管理情報ベース(Management Information Base, MIB)とは、通信ネットワークにおけるデバイスを管理するためのデータベースの一種であり、OSI/ISOネットワーク管理モデルをベースとして発展したものである。ネットワークにおける実体(ルーター、スイッチなど)を管理する(仮想)データベース内のオブジェクトの集合体から構成される。

概要

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MIB内のオブジェクトは、Abstract Syntax Notation One(ASN.1)のサブセットである "Structure of Management Information Version 2 (SMIv2)" RFC 2578 で定義されている。その構文解析を行うソフトウェアをMIBコンパイラと呼ぶ。

データベースは階層型(木構造)であり、各エントリはオブジェクト識別子を通して識別される。MIBについての RFC としては、RFC 1155 "Structure and Identification of Management Information for TCP/IP based internets" があり、それに関連して RFC 1213 "Management Information Base for Network Management of TCP/IP-based internets" と RFC 1157 "A Simple Network Management Protocol" がある。

SNMPは、ルーターやゲートウェイやスイッチなどの管理対象オブジェクト(MIBオブジェクト)と管理コンソールなどの間のプロトコルであり、MIBを使用している。管理コンソールが制御するコンポーネントは、SNMPマネージャと通信するためのソフトウェアモジュール、いわゆるSNMPエージェントを必要とする。

SNMPは一連のコマンドとクエリを使用する。ネットワークをニーズに合わせてチューニングするため、MIBはそれらコマンドや対象オブジェクト(制御対象実体や潜在的な状態情報源)についての情報を格納している。

MIBオブジェクトは例えば次のようなものである。

  • ifOutQLen: 出力キュー長
  • atTable: アドレス変換テーブル(ARPテーブルなど)

RFC 1213 ではこれらを必須なものとして定義している。atTable を使わないような環境(DDN-X.25 など)では、atTable は単に空にしておく。このテーブルオブジェクトにはもちろん、テーブルの各エントリの定義 atEntry が含まれ、それぞれの atEntry にインタフェースに関する情報 (if) などが含まれる。

MIB は新たな機能を追加し、曖昧さを排除し、問題を修正するため、定期的に更新されている。それらの更新は RFC 2578 の10章に準拠する。何度も更新されているMIBの例として、もともと RFC 1213 "MIB-II" で定義された重要なオブジェクト群がある。MIB はその後分割され、

  • RFC 4293 "Management Information Base for the Internet Protocol (IP)"
  • RFC 4022 "Management Information Base for the Transmission Control Protocol (TCP)"
  • RFC 4113 "Management Information Base for the User Datagram Protocol (UDP)"
  • RFC 2863 "The Interfaces Group MIB"
  • RFC 3418 "Management Information Base (MIB) for the Simple Network Management Protocol (SNMP)"

などで定義されている。

MIBインデックス

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MIBはIETFなどの標準化団体が定義する部分と、企業その他が定義する部分がある。

IETFが管理する部分

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IETFの最初の5000のRFCのうち、318のRFCにMIB定義が含まれている。以下はそのごく一部である。

  • SNMP - SMI:RFC 1155 - Structure of Management Information (SMI)を定義している。
  • MIB-I: RFC 1156 - かつてCMIPで使われていたもので、SNMPでは使わない。
  • SNMPv2-SMI: RFC 2578 - Structure of Management Information Version 2 (SMIv2)
  • MIB-II: RFC 1213 - Management Information Base for Network Management of TCP/IP-based internets
  • SNMPv2-MIB: RFC 3418 - Management Information Base (MIB) for the Simple Network Management Protocol (SNMP)
  • TCP-MIB: RFC 4022 - Management Information Base for the Transmission Control Protocol (TCP)
  • UDP-MIB: RFC 4113 - Management Information Base for the User Datagram Protocol (UDP)
  • IP-MIB: RFC 4293 - Management Information Base for the Internet Protocol (IP)
  • IF-MIB: RFC 2863 - The Interfaces Group MIB
  • ENTITY-MIB: RFC 4133 - Entity MIB (Version 3)
  • ENTITY-STATE-MIB: RFC 4268 - Entity State MIB
  • ALARM-MIB: RFC 3877 - Alarm Management Information Base (MIB)
  • ファイバーチャネル
    • FC-MGMT-MIB: RFC 4044 Fibre Channel Management MIB
    • FIBRE-CHANNEL-FE-MIB: RFC 2837 Definitions of Managed Objects for the Fabric Element in Fibre Channel Standard
  • HPR-IP-MIB: RFC 2584 - Definitions of Managed Objects for APPN/HPR in IP Networks

IEEEが管理する部分

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IETFとIEEEは、IEEEが関わったMIB(イーサネットやブリッジ関連など)をIEEEのワークグループに移管することで合意した。これは現在進行中であり、移管が完了したものはごく一部である。

脚注・出典

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関連項目

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外部リンク

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