紫光集団
種類 | 国有企業 |
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本社所在地 |
中華人民共和国 北京市国家ハイテクイノベーションサービスセンター |
設立 | 1988年 |
業種 | 電子製造業、電子通信業、電子情報産業 |
代表者 | 趙偉国 |
外部リンク |
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清華紫光集団(せいかしこうしゅうだん、中国語: 清華紫光集團、英語: Tsinghua Unigroup)は、中国の半導体メーカー。英語名称は「清華大グループ」の意である[1]。
概要
[編集]清華大学系の半導体関連企業グループであり、ソリューションサービスの清華同方、ケミカルの清華誠志などとともに清華グループの中核をなす。
中国の大手半導体メーカーであった武漢新芯集成電路製造(XMC)を前身とする長江メモリ、2009年に破綻したドイツの半導体大手キマンダの西安工場を継承した西安華芯半導体を前身とする西安紫光国芯半導体(紫光国芯、Unigroup Guoxin)などを傘下に持ち、中国で半導体メモリを製造している。また、スマホ用SoC大手の紫光展鋭、ITサービスなどを手がける紫光股份なども傘下に持つ。
2009年以降、紫光集団に出資した健坤投資集団の趙偉国が紫光集団の董事長となり、趙の持つ豊富な人脈を生かして国家開発銀行など中国の政府系金融機関から巨額の資金を調達し、買収や設備投資を積極的に展開していたが[2]、急激な経営拡大がたたり、2020年11月以降に複数回のデフォルトを起こし、2021年7月に企業破産法を申請[3]。北京市第1中級人民法院(日本の地方裁判所に相当)の管理下に入り、裁判所と債権者集団の監督の下で再建を進めている。
なお、紫光集団は形式的には清華大学傘下の持株会社である清華ホールディングスの傘下にあったが、実際は中国の不動産王である趙偉国会長が2022年まで経営を握っていた。無謀な事業拡張によって紫光集団が2021年に破綻した後も、趙会長が経営を握り続け、裁判所が指名した紫光の管財人および債権者委員会と対立していたが[4]、趙会長は2022年2月に退任。2022年7月、趙・前董事長は不適切な利益移転の疑いで当局に身柄を拘束された[5]。
2022年7月には投資ファンド主導で経営陣が刷新され、経営再建が開始されたが、一方で、半導体事業への参入を目指す台湾・鴻海グループが出資の意向を示している[6]。
沿革
[編集]1988年、紫光集団の前身である、清華大学科技開発総公司が創設され、1993年には、これが清華紫光総公司と改称された[7]。2009年に大幅な増資と再編が行われ、株式の51%を清華大学傘下の清華控股有限公司、49%を民間企業である健坤集団が保有する形となった[7]。
2014年、紫光集団は、いずれも半導体メーカーであるRDAマイクロエレクトロニクスと展訊通信を、合わせて16億ドルで買収した。同年9月には、この買収の結果を受けて、インテルがこの2社の株式の20%を15億ドルで取得した[8][9]。
2015年5月、ヒューレット・パッカードが、中国におけるデータ・ストレージやサーバの事業の51%を、23億ドルで紫光集団に売却して、H3Cという名称の合弁企業を設立し、8千人の雇用再編を行なった[10][11]。同年7月、紫光集団は、マイクロン・テクノロジに230億ドルでの買収を持ちかけたが、これは拒まれた[12]。また、台湾のTSMCとMediaTekの25%の株式取得を計画するも台湾政府に阻まれた[13]。同年9月、紫光集団は、紫光股份を通して、ウェスタン・デジタルの株式の15%を37.8億ドルを出資し筆頭株主となったが、米政府の審査が下りず中止された。翌10月、紫光集団は、台湾の企業である力成科技を6億ドルで買収し[14]、11月に韓国のSKハイニックスにも株式の15~20%を取得する買収を持ちかけるも拒まれた[15]。同年12月、紫光集団は、台湾の南茂科技 (ChipMOS Technologies) とシリコンウェア・プレシジョン・インダストリーズの株式の25%を合わせておよそ29億ドルで取得した[14]
2016年7月、中国最大の国有半導体メーカ―である武漢新芯集成電路製造 (武汉新芯集成电路制造、XMC)」の株式の過半を取得した[1]。同年9月、紫光集団は、南京にウェスタン・デジタルとの合弁会社、紫光西部数拠有限公司を設立した。2016年から2020年にかけて、紫光集団は、フラッシュメモリの大規模製造事業所を中国に数カ所建設すべく投資するとしており、総額は数百億ドル規模に上るものと見込まれている[16]。武漢市では、NAND型フラッシュメモリ工場の建設が進められており[1]、フラッシュメモリを発明したかつての東芝の技術者も協力している[17]。
2019年11月、エルピーダメモリの元社長坂本幸雄を紫光集団の高級副総裁および日本子会社の最高経営責任者(CEO)に起用することを発表した[18]。
2020年年6月末時点で1566億元の有利子負債を抱え、うち5割強が1年以内に返済期限を迎える。20年1~6月期は33億元の最終赤字と、資金流出に歯止めがかかっていない[19]。2020年11月、私募債が一部債務不履行に陥り、他の社債や傘下企業の株価も大きく下落した。
脚注
[編集]- ^ “中国の紫光集団、2兆円超の資金確保-買収などに充当か”. ブルームバーグ・エル・ピー (2017年3月28日). 2017年11月28日閲覧。
- ^ 清華紫光集団が破産を認める、企業再編へ:再編の詳細は明かさず - EE Times Japan
- ^ “破綻した中国半導体メーカーの紫光、会長が救済案に徹底抗戦誓う”. ブルームバーグ・エル・ピー (2021年12月22日). 2022年8月13日閲覧。
- ^ “中国・紫光集団前トップの身柄拘束”. 日本経済新聞 (2022年7月25日). 2022年8月13日閲覧。
- ^ “鴻海が中国・紫光集団に出資計画か、台湾当局の許可必要に”. ロイター (2022年7月14日). 2022年8月13日閲覧。
- ^ a b “集团简介”. 紫光集團. 2017年11月28日閲覧。
- ^ Intel va chercher en Chine des puces pour smartphones, Sarah Belouezzane, Le Monde, 26 septembre 2014
- ^ Intel gains a new ally in China's chip wars: Beijing, Gerry Shih, Noel Randewich et Matthew Miller, Reuters, 13 octobre 2014
- ^ HP sells $2.3 billion China unit stake to forge partnership with Tsinghua Unigroup, Reuters, 21 mai 2015
- ^ HP: une coentreprise avec Tsinghua Holdings en Chine, L'Express, 21 mai 2015
- ^ China's Tsinghua prepares $23 billion bid for U.S. chip maker Micron: sources, Reuters, 14 juillet 2015
- ^ “中国、野望頓挫か…海外企業「爆買い」失速、悲願の半導体量産が大金積んでも失敗”. ビジネスジャーナル (2016年4月20日). 2019年4月17日閲覧。
- ^ a b China's Unigroup to pay $2 billion for stakes in two Taiwan chip companies, J.R. Wu et Faith Hung, Reuters, 11 décembre 2015
- ^ “SKハイニックス「中国の清華紫光集団の投資を拒絶」”. 中央日報 (2015年11月27日). 2019年4月17日閲覧。
- ^ Le chinois Tsinghua Unigroup investit 30 milliards de dollars dans une deuxième méga usine de mémoires, Ridha Loukil, Usine Nouvelle, 19 janvier 2017
- ^ 「三流の東芝 一流の半導体」『週刊ダイヤモンド』6月3日号
- ^ “エルピーダ坂本元社長に聞く、中国紫光集団の副総裁オファーを受けた理由 坂本幸雄氏独占インタビュー”. ASCII (2019年11月20日). 2019年12月15日閲覧。
- ^ “中国・紫光が債務不履行 半導体国産化に影響も”. 日本経済新聞 (2019年11月20日). 2020年12月3日閲覧。