組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
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(組織犯罪処罰法から転送)
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 | |
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日本の法令 | |
通称・略称 |
組織的犯罪処罰法、組織犯罪処罰法 テロ等準備罪法、共謀罪法(平成29年6月21日法律第67号) |
法令番号 | 平成11年8月18日法律第136号 |
種類 | 刑事法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1999年8月12日 |
公布 | 1999年8月18日 |
施行 | 2000年2月1日 |
所管 |
法務省(刑事局) 国家公安委員会 警察庁(刑事局) |
主な内容 | 組織犯罪や犯罪収益に関する刑法の特別法 |
関連法令 | 暴力団対策法、破壊活動防止法 |
条文リンク | e-Gov法令検索 |
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(そしきてきなはんざいのしょばつおよびはんざいしゅうえきのきせいとうにかんするほうりつ、平成11年8月18日法律第136号)は、暴力団・テロ組織などの反社会的団体や、会社・政治団体・宗教団体などに擬装した団体による組織的な犯罪に対する刑罰の加重と、犯罪収益の資金洗浄(マネー・ローンダリング)行為の処罰、犯罪収益の没収・追徴などについて定める日本の法律である。略称は組織的犯罪処罰法[1][2]、組織犯罪処罰法[3][4]、組処法[5][6]など。
暴力団による薬物・銃器犯罪や、地下鉄サリン事件など、組織的犯罪の規模拡大・国際化が大きな治安悪化要因となっていることから、これに対処するため本法は制定された。
構成
[編集]定義(2条)
[編集]- 団体
- 共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの
- 犯罪収益
- 財産上の不正な利益を得る目的で犯した犯罪行為により取得された財産、資金等提供罪により提供された資金、外国公務員等不正利益供与罪により供与された財産、公衆等脅迫目的資金提供罪に係る資金
- 犯罪収益に由来する財産
- 犯罪収益の果実として得た財産、犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他犯罪収益の保有又は処分に基づき得た財産
- 犯罪収益等
- 犯罪収益、犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産
- 薬物犯罪収益
- 薬物犯罪の犯罪行為により得た財産若しくは当該犯罪行為の報酬として得た財産又は前項第七号に掲げる罪に係る資金
- 薬物犯罪収益に由来する財産
- 薬物犯罪収益の果実として得た財産、薬物犯罪収益の対価として得た財産、これらの財産の対価として得た財産その他薬物犯罪収益の保有又は処分に基づき得た財産
- 薬物犯罪収益等
- 薬物犯罪収益、薬物犯罪収益に由来する財産又はこれらの財産とこれらの財産以外の財産とが混和した財産
組織的犯罪の加重処罰(3条以下)等
[編集]団体の活動として、下記の罪に当たる行為を実行するための組織により行われたときは、その罪を犯した者は、通常の刑罰よりも重い刑罰が科される。また、団体に不正権益を得させ、又は団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で、下記の罪を犯した者も、同様に加重処罰される。
「団体の活動」とは、団体の意思決定に基づく行為であって、その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するものをいう。また、「不正権益」とは、団体の威力に基づく一定の地域又は分野における支配力であって、当該団体の構成員による犯罪その他の不正な行為により当該団体又はその構成員が継続的に利益を得ることを容易にすべきものをいう。
- 刑法96条(封印等破棄)の罪 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこれらの併科(通常は、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
- 刑法96条2項(強制執行妨害目的財産損壊等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
- 刑法96条3項(強制執行行為妨害等)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
- 刑法96条4項(強制執行関係売却妨害)の罪 五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はこれらの併科(同、3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又はこれを併科。)
- 刑法186条1項(常習賭博)の罪 5年以下の懲役(同、3年以下の懲役。)
- 刑法186条2項(賭博場開張等図利)の罪 3月以上7年以下の懲役(同、3月以上5年以下の懲役。)
- 刑法199条(殺人)の罪 死刑又は無期若しくは6年以上の懲役(同、 死刑又は無期若しくは5年以上の懲役。)
- 刑法220条(逮捕及び監禁)の罪 3月以上7年以下の懲役(同、3月以上5年以下の懲役。)
- 刑法223条1項又は2項(強要)の罪 5年以下の懲役(同、3年以下の懲役。)
- 刑法225条の2(身の代金目的略取等)の罪 無期又は5年以上の懲役(同、無期又は3年以上の懲役)
- 刑法233条(信用毀損及び業務妨害)の罪 6年以下の懲役又は50万円以下の罰金(同、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。)
- 刑法234条(威力業務妨害)の罪 5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(同、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。)
- 刑法246条(詐欺)の罪 1年以上の有期懲役(同、10年以下の懲役。)
- 刑法249条(恐喝)の罪 1年以上の有期懲役(同、10年以下の懲役。)
- 刑法260条前段(建造物等損壊)の罪 7年以下の懲役(同、5年以下の懲役。)
なお、組織的な身の代金目的略取等における解放による刑の減軽、組織的な殺人等の予備の自首には刑の必要的減免がある。
犯罪収益等の没収・追徴(13条以下)
[編集]犯罪収益等の没収・追徴について、その範囲を拡大し、手続を整備した。
参考文献
[編集]- 髙山佳奈子『共謀罪の何が問題か』岩波書店〈岩波ブックレット NO. 966〉、2017年5月。ISBN 978-4002709666。
関連項目
[編集]- 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約
- 国際捜査共助等に関する法律
- 破壊活動防止法(破防法)
- 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法・オウム新法)
- 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)
- 公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金等の提供等の処罰に関する法律
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)
- 反社会的勢力 - 資金洗浄
- テロ等準備罪(共謀罪)
- 組織犯罪
- TOC条約 - 国連国際組織犯罪防止条約。TOC条約、パレルモ条約とも呼ばれる。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 組織的犯罪処罰法における没収等について[PDF: 174KB]
- ^ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)では附則中に「以下「組織的犯罪処罰法」という。」という文言がある事から、公的・行政的には正式な略称は組織的犯罪処罰法になるものと思われる。
- ^ 組織犯罪処罰法って何?違反となる行為と適用される刑罰 刑事事件弁護士ナビ
- ^ デジタル大辞泉 小学館
- ^ 犯罪収益対策の強化【主担当課:三重県警察本部刑事部組織犯罪対策課】
- ^ 第11 組織犯罪対策の強化 - 北海道警察